未公開論文
青少年の社会化支援理念の変遷
及び支援方法論に関する研究
(2003年度までの関連文献研究を中心として)
テキストのみ


図解付PDFはこちら


西村美東士


青少年の社会化支援理念の変遷及び支援方法論に関する研究

第1章 序論...........................................................................
1.1 青少年社会化支援研究の課題.............................................
1.1.1 青少年の社会化の観点からみた支援理念研究の課題
1.1.2 研究対象とする青少年の社会化支援方法研究の課題
1.2 本研究の問題意識...............................................................
1.3 本研究の課題設定...............................................................
1.4 本論文の構成.....................................................................
1.4.1 「青少年の社会化」支援理念の変遷
1.4.2 青少年教育指導における社会化支援の方法論
1.4.3 社会化支援のための政策決定・政策実施のプロセス

第2章 「青少年の社会化」支援理念の変遷....................................
2.1 研究目的........................................................................
2.2 研究方法........................................................................
2.3 青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷..................
2.3.1 キーワード出現の傾向............................................................
2.3.2 キーワード出現率の操作結果の検討..........................................
2.3.3 青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷........................
2.4 論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念と
  その変遷........................................................................
2.5 「青少年教育・対策」文献に見る社会化支援理念の変遷.........
2.5.1 「青少年対策」に関する社会化支援理念の変遷...........................
2.5.2 「青少年教育」に関する社会化支援理念の変遷...........................
2.6 これまでの社会化支援理念の検討.......................................
2.6.1 1990年代における「個性重視」支援理念の検討...........................
2.6.2 青少年教育施設における社会化支援...........................
2.6.3 職業・就職支援に関する社会化支援理念の検討
2.6.4 「居場所づくり」の支援方策に関する理念の検討........................

第3章 社会化支援の方法論―青少年教育指導の実践から―...............
3.1 若者の友人関係の類型と社会化支援の方法...........................
3.1.1 方法.......................................................................................
3.1.2 結果.......................................................................................
3.1.3 各類型の社会的有能感/無力感の特徴..........................................
3.2
学生の社会化を支援する大学授業の方法..............................
3.2.1 研究1の方法...........................................................................
3.2.2 研究1の結果と考察..................................................................
3.2.3 研究2の目的...........................................................................
3.2.4 研究2の方法...........................................................................
3.2.5 研究2の結果と考察..................................................................
3.2.6 研究3の目的...........................................................................
3.2.7 研究3の方法...........................................................................
3.2.8 研究3の結果と考察..................................................................
3.2.9 討論.......................................................................................

3.3 ワークショップ型授業の構成要素とその効果........................
3.3.1 仮説の設定..............................................................................
3.3.2 研究の方法..............................................................................
3.3.3 結果と考察..............................................................................
3.3.4 討論.......................................................................................

第4章 社会化支援の方法論-政策決定・政策実施のプロセスから-...
4.1 佐野市における青少年の社会化支援と「子育てのまちづくり」
の計画過程の分析............................................................
4.1.1 研究の背景と目的.....................................................................
4.1.2 研究方法.................................................................................
4.1.3 研究結果.................................................................................
4.1.4 考察.......................................................................................
4.1.5 結論.......................................................................................
4.1.6 討論-社会化過程の構造的理解...................................................
4.2 宿泊型青少年教育施設における支援方法..............................
4.2.1 青少年教育施設の基本的性格......................................................
4.2.2 青少年教育施設の歴史...............................................................
4.2.3 宿泊型施設における指導性と専門性の困難....................................
4.2.4 青少年教育施設に求められる個人化/社会化機能...........................
4.2.5 団体宿泊訓練への新たな理解......................................................

第5章 結論

【資料】....................................................................................
「青少年教育・対策」参考文献リスト
    (1.5「青少年教育・対策文献に見る社会化支援理念の変遷」参考文献)

引用文献・参考文献.....................................................................
    



第1章 序論


1.1 本研究の目的
 現代青少年の規範意識、倫理観などの欠落によって社会人としての基本的態度や判断力が未発達な状況を生み出していると考えられる。本研究では青少年の社会化の最終到達像の概要を設定しておきたい。社会化を個人化と対比させて、下図のような4類型を想定した。横軸に社会化、縦軸に個人化の水準を設定している。ここでは、Ⅰ社会化・個人化タイプ、Ⅱ個人化・非社会化タイプ、Ⅲ非個人化・非社会化タイプ、Ⅳ社会化・非個人化タイプとして表した。たとえば、「青少年が重大事件を引き起こしたり、新たな青少年問題が浮上したりするたびに、社会の側は、彼らに望ましい社会化の達成を求めようとしてきた。」ということについてみると、その対応は、図のⅣ社会化・非個人化タイプにつながるものと解釈できる。
 
                    個人化の進展
   
   
   
   
   
   
   
   
         Ⅱ個人化・非社会化タイプ   Ⅰ社会化・個人化タイプ
   
   社会化の停滞・不全                       社会化の進展
   
         Ⅲ非個人化・非社会化タイプ  Ⅳ社会化・非個人化タイプ
   
   
   
   
   
   
   
   
   
                   個人化の停滞・不全

図1 青少年の社会化の進展と不全

 本研究では、青少年問題の本質的要因として社会化不全の問題に着目し、その達成のための支援理念の課題と、これを支える方法論を明らかにしようとした。これによって、青少年の望ましい社会化と個人化がともに達成されるような青少年像を目指したい。それは、この図の「Ⅰ社会化・個人化タイプ」に他ならない。第一象限に位置する「自立して社会に参画する個人」を青少年の社会化の最終到達像として描いている。
 
1.2 青少年社会化支援研究の課題

1.2.1 青少年の社会化の観点からみた支援理念研究の課題
 今日、青少年自身は彼らなりに社会適応を望んでいるものと思われるが、家庭・学校・社会のもつ青少年に対する社会化機能1は、彼らのニーズに十分には対応できていないと考える。多くの青少年は、これまでの社会規範に合わせることも、自分たちにふさわしい規範を見出すこともできないまま、経緯しているといえる。そのため、あるときは家族、集団、組織における自己を明確に位置づけられないまま漂流し、あるときは引きこもりとして社会から隔絶するということになったのだと考える。
 また、青少年の個人化傾向の表れとしては、昨今の「自分らしさ」志向などを挙げることができるが、これも、自己の社会化や社会的位置づけと分離して進行したときは、現実化が困難なものになると考えられる。
 これらの問題は、わが国全体が、確たる目標や価値を共有できずにいる状況と軌を一にするものといえよう。青少年も、その巨大な波の中で翻弄され、望ましい生き方や規範が簡単には定まらないのだと考えられる。
 本研究では、このような状況の中で、青少年の社会化支援理念を打ち立てるための重要な契機を提供したいと考えた。そのために、とりわけ青少年の社会化プロセスと個人化プロセスの両者の関係に着目した。
 これまでの社会化に関する研究においては、社会化を「個人の意思を超えた社会の作用」としてとらえる観点と、「個人の社会的能力の獲得過程」としてとらえる観点の二つがあると整理できる。それらの文献における社会化は「個人化を抑圧する作用」として取り上げられ、個人化は「社会化を阻害する作用」として取り上げられてきた。これらはいずれの観点においても、社会化と個人化とがそれぞれ相反するものとしてとらえ、互いにとってのマイナス要因として扱われてきた。
 わが国の青少年支援に関する政策理念においては、とりわけ1980年代に「個性重視」が盛んに叫ばれてきた。しかし、それらは社会化との関連づけがないことによって、その成果が達成できなかったといえよう。
 これらの研究や政策理念の問題として、「個人にとって社会化は社会からの圧力」、あるいは、「社会にとって個人化は社会形成の阻害要因」として作用するという暗黙の前提が基底にあったと考える。
 本研究では、その「暗黙の前提」の存在と誤りを明らかにした上で、相互のプラス要素を積極的に扱い、両者の共存的発展を促進する方法論を明らかにしたい。個人化は社会化のプロセスとして、社会化は個人化のプロセスとして、とらえられる。このようにプロセスとして認識することが、相互のプラス要素の理解と、問題の解決につながると考える。
 また、本研究では、社会的能力の獲得過程における青少年個人の主体性に着目し、社会が青少年に対して発揮する社会化機能についても、その過程に対する支援としてとらえたい。このような青少年の社会化支援は、広く家庭、学校、社会が主体となって行われているが、青少年を能力獲得主体としてとらえることによって、個人のニーズやレディネスに応じた支援方法を検討することができると考える。
 以下、文献と教育政策の二つの側面における、社会化と個人化へのアプローチの特徴を整理しておきたい。表1-1に、その概要を示す。本表で注目すべきことは、「①両者の共存的発展を促進する観点を有すること」、「②個人の能力獲得過程を解明すること」、「③青少年支援の方法を追求していること」の全てを満たしたアプローチが見当たらないことである。
 

 表1-1 これまでの文献及び教育政策における社会化と個人化へのアプローチの特徴
類型


主な論点




代表例

社会化重視型


個人の意思にかかわらず社会化は行われる。


デュルケームなど 個人重視型


社会化は個人が受け入れる過程が重要である。


パーソンズ
ブリム
ブルーマー 個人化批判型


個人化の進行により社会化が損なわれる。


ギデンズ
柴野昌山
養老孟司
宮本みち子 個性重視
・個人化重視型

個性を重視し、個人化促進を重視することが必要である。

臨時教育審議会「個性重視」答申
90年代初頭審議会答申 個性重視
・社会化重視型

個性を重視するが、同時に社会化も重視することが必要である。

門脇厚司
中教審「生きる力」答申
青少年育成施策大綱
中教審2007年答申 社会化重視 ○ ○ ○ ○ 個性重視 ○ ○ 個人化重視 ○ 個人化認識 ○ 能力獲得過程の解明 ○ 支援方法追求 ○ ○
 個人化と社会化に関する社会学からの観点としては、結果としての個人と社会の位置関係を論ずるものと、個人のプロセスを論ずるものの二つが見られる。社会化の解釈における個人の位置づけについて、デュルケーム(Durkheim, E.)2による社会優位、パーソンズ(Parsons, T.)3やブリム(Brim, O. G.)4による個人の学習・能力獲得過程重視、ブルーマー(Blumer, H.)5による個人の解釈過程の重視に代表される変遷をたどってきた。そのなかに、社会化過程における個人の学習、能力獲得、さらには解釈や交渉の主体としての重視という傾向を見ることができる。しかし、それらは、個人化と社会化の肯定的価値を見出し、統合的に促進しようとする立場に立つものではなかった。
 近年の個人化の進行の中で、ギデンズ(Gidens, A.)は「新しい個人主義」を提起した6。彼が指摘した「個人化の進行が、個人のあり方を根本的な不安にさらす」という課題の解決については、青少年の社会化支援理念の研究に委ねられる面が大きいと考える。
 わが国の青少年教育研究においては、「個人化」と「社会化」を関連づけて論じた文献として、柴野昌山の論考が注目される7。柴野は、親のしつけが個別化されて自分の子どもにだけ焦点があてられる場合には、社会的に孤立した自己中心的しつけに偏向するおそれがあるとして、個人化の否定的側面を強調している。彼の議論は、個人化傾向(柴野の言葉では「積極的な個人本位」)の可能性にはふれているが、それを社会化と関連づけて積極的に捉えるまでには至らず、結局は個人化傾向について否定的側面を強調するだけに終わっている。個人の価値観も、社会全体の価値観もますます流動化、多様化する今日の様相を背景として考えれば、柴野の論に立脚すると、個人化と分離した社会化支援理念は、ますます普遍的な目標や、共有すべき価値を見失い、混迷を深めることが予想される。
 次に、青少年の個人化と社会化に関連したわが国の文献として、門脇厚司、養老孟司、宮本みち子の3人の議論について見ておきたい。門脇は、子ども個人の対他関係による社会化に関する能力獲得過程を述べた点で、養老は、「共通了解」の重要性を「個性重視」と対峙させて議論した点で、宮本は、個人化や「自己選択・自己責任」の問題点を指摘して点で、注目される。
 1999年、門脇厚司は「子どもの社会力」というキーワードを提起した8。子ども個人の対他関係に着目し、また、その回復による社会に対する主体的能力の育成の必要を述べた点は、本研究においても重要な指摘であると考える。
 2000年前後から、青少年の社会化不全に関わる問題が重視され9、その議論のなかで個人化は、むしろ社会化阻害要因としての側面が強調されてとらえられる傾向が強まった。1990年代に入って、関連文献において大きな位置を占めるようになった「個性重視」の支援理念は、2000年以降大きく後退し、それに代わって「社会性涵養」の重要性が叫ばれるようになる。2003年、養老孟司は、その著『バカの壁』第3章「『個性を伸ばせ』という欺瞞」において、臨時教育審議会答申以来の「個性重視」理念に対して、強く異議を唱えた10。また、本研究の文献分析によっても、2000年代初頭に、「社会性」というキーワードの関連文献における出現率が大きく増加したことが明らかになった(第2章参照)。これは、青少年の社会化に対する社会的期待の高まりを示すものと考えられる。だが、「個性重視」の支援理念は逆に弱体化していった。
 宮本みち子は「ライフコースの個人化と問題解決の私化」の問題を指摘し、さらに、「自己選択・自己責任」について、「ライフコースの個人化と問題解決の私化」と同様の問題を抱えており、「何がやりたいことなのかを自問自答するなかからは、やりたいものをみつけることはむずかしい」とし、親も子も現実逃避の結果に陥っているとしている11。
 宮本が指摘する「自己選択・自己責任」の問題は、個性重視、個人尊重の青少年支援理念のもつ根本的な問題ともいえる。1985年の臨時教育審議会第1次答申が提言した「個性重視」の理念は、その現実化を考えた場合、大きな課題が残されている。同時に、「何がやりたいことなのか」を自問自答することについて、宮本のようにこれを「社会の中での自己発見」と対置させて、「結果としての現実逃避」として否定するだけでは、個性重視理念の現実化はますます遠くなることは明らかである。青少年支援理念においては、「自問自答」と「社会の中での自己発見」の往復を促す視点が求められると考える。
 このように「社会化」に関するこれまでの文献について見てみると、青少年支援理念研究の観点からは次の課題が指摘できる。デュルケームの社会優位の観点に対して、その後、個人のプロセスを重視する観点が提起されてきた。しかし、個人化と社会化の肯定的価値を見出し、統合的に促進する理念に発展するまでには至らなかった。とくにわが国では、今日の青少年の個人化傾向のなかで、その否定的側面を強調することによって、個性重視の支援理念は弱体化していった12。
 教育政策においては、その支援理念は大きく揺れてきた。とりわけ、1990年代の個性重視から「生きる力」重視へ、さらに2000年代の社会化重視への変遷について、各種審議会答申を中心に見ておきたい。
 1985年の臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」が、90年代初頭の支援理念に大きな影響を与えた。これは、欧米へのキャッチアップを実現した我が国の教育改革の基本的考え方として、「個性重視」の原則を挙げ、生涯学習体系への移行を訴えたものである13。90年代初頭の国の各種審議会答申は、この影響を強く受け、「生涯学習社会」という理念のもとに、個人の自発的意思、自己選択、自己決定を重視した。
 90年代の青少年教育は、この考え方に大きな影響を受けながら展開した。90年代初頭の国の各種審議会答申に表れた「個人」に関する観点を表1-1に示す。
 
 表1-2 1990年代初頭の各種審議会
答申名 答申時期 「個人」の観点 中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」 1990年
1月 生涯学習振興の留意点として、「生涯学習は、生活の向上、職業上の能力の向上や、自己の充実を目指し、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであること」などの指摘を行った。 中央教育審議会答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」 1991年
4月 「学校教育を生涯学習の一環としてとらえ、過度の受験競争など学校教育が抱えている問題点を解決するためにも、生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果を評価するような生涯学習社会を築いていくことが望まれる」とした。 生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」 1992年
7月 「人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会の構築を目指すべきである」とした。  
 表1-1から、「生涯学習社会」という理念のもとに、個人の自発的意思、自己選択、自己決定が重視されたことがわかる。しかし、これまでの社会化支援理念においては、臨教審が20年以上前に提起した「個性重視」や、その後の審議会で提起された生涯学習推進における自己選択、自己決定等の個人中心の支援理念が、社会化支援と十分に関連づけされないまま、現在まで至ってしまったと考えられる。
 1996年、中央教育審議会は「ゆとり」の中で子どもたちに「生きる力」を育むため、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、社会全体でこれに取り組むよう答申した14。さらに、「教育は、子供たちの『自分さがしの旅』を扶ける営み」として、個性重視の考え方のもとに、「他者との共生、異質なものへの寛容、社会との調和といった理念」を重視するよう提唱した。本研究の視点からは、同答申は、「自分さがし」と(社会の中で)「生きる力」の両者を結びつけて支援する理念を示したものととらえられる。だが、両者の「結びつき」を現実化するための方法は明らかにされなかったと考える。
 2004年3月には、内閣総理大臣を本部長とする「青少年育成推進本部」が、青少年の社会参画推進を主要な一環とする「青少年育成施策大綱」15を発表するなど、2000年代に入ると、青少年の自己形成と社会化達成への期待は増大しているといえる。だが、青少年問題の焦点が社会化に絞られていくのにしたがって、個性重視の支援理念は逆に弱体化しているといえる。その理由は、90年代初頭までの個人中心の支援理念が、社会化支援理念と十分に結びつかないまま現在まで至ってしまったからであると考える。
 青少年の自己成長について、中央教育審議会答申(2007年1月)16は、「より完全な自己を実現していく、すなわち自己実現を目指していくこと」としつつ、社会的自立について「我々が社会的存在である以上は、社会と全く関係を持たない自己実現というものはあり得ない」とした。だが、他者や、社会と自己との関係への興味・関心への発展、すなわち社会化プロセスの一環と、より完全な自己の実現や好奇心の発露、すなわち個人化プロセスの一環とが、青少年社会化支援理念研究において、十分に関連づけて検討されてこなかったと考える。
 「社会化」に関するこれまでの教育政策については、社会化支援理念研究の観点からは次の課題が指摘できる。1985年からの個性重視、1990年代初頭の生涯学習推進における個人中心の支援理念については、90年代後半からの「自分さがし」と「生きる力」や、社会への主体的参画を重視する支援理念への発展が見られる。だが、青少年によって社会問題が引き起こされるたびに、世論は動揺し、青少年教育政策にも揺らぎを与えてきた。社会の期待が大きくなるにしたがい、社会化支援理念がその影響を受けて個人化の進行という青少年の実態とむしろ乖離していく側面があったといえる。このことから、教育政策における社会化支援理念研究における重要な課題として、第一に、青少年の自己形成と社会的自立の支援という普遍的理念の統合、第二に、個性重視、個人中心の個人化支援と、規範意識や社会参画意欲の向上に向けた社会化支援の統合という二つの統合の課題が導かれる。
 文献と教育政策の二つの観点による考察から、青少年の社会化の観点からみた支援理念研究の課題として、次の点を指摘しておきたい。第一に、個人化と社会化のそれぞれについては、これまでも検討されてきたが、これを互いに関連づけて検討する必要がある。第二に、個人化の否定的側面ばかりでなく、社会化の促進要因として個人化がもつ肯定的側面をも検討する必要がある。第三に、その場合でも、自己責任、自己選択などの個人重視の原則を機械的に適用するのではなく、青少年の自己成長を支援することによって社会化の促進を図る現実的な支援理念を追究する必要がある。
 
1.2.2 研究対象とする青少年の社会化支援方法研究の課題
 青少年支援は、支援理念と、その実現のための方法論とが一体となって行われる。したがって、社会化支援理念研究においても、その理念を現実化する支援方法をも研究対象としなければ現実には意味をなさないと考える。
 本研究の対象である青少年の支援方法及びそこでの社会化過程についてのこれまでの研究においては、次に挙げる3点の理由から十分ではなかったと考える。
 第一に、青少年の社会化過程とその支援方法を結びつけて検討する研究が十分には行われてこなかった。
 社会化過程とその支援方法に関するこれまでの青少年教育研究においては、有益な知見の蓄積が見られると同時に、次の面で限界があったと考える。
 
1. 研究対象としては、体験学習、とくに野外教育に偏っており、青少年教育に関する総合的な実証的研究としては不十分であった。
2. 研究方法としては、社会化効果の測定が、国立那須甲子少年自然の家による研究などの一部の先進事例を除けば不十分であった。
3. 研究結果としては、青少年教育における青少年個人の社会化過程の類型や構造が明らかにされていない。
4. 同じく研究結果としては、指導内容や指導方法と、青少年の社会化過程への効果との関連が明らかにされていない。
 
 第二に、支援方法の研究においては、青少年自身の記述を分析する方法が未成熟であった。
 青少年教育や大学教育等の場において、青少年の「感想」や「報告」を回収する機会は多い。しかし、その分析については、たんなる紹介にとどまることが多く、実証的研究には至っていないといえる。そのため、青少年の社会化過程を分析するための指標も設定されないない。
 社会化過程分析のための指標設定については、乳幼児を対象としたものなどが心理学の立場から数多く見られるが、広く青少年の社会化支援を効果的に進めるためには、教育的視点が求められると考える。とくに、「自己」「他者との関わり」については、それぞれの気づきが行き来するよう支援し、その効果を確かめる必要がある。そのためには、支援において行われる指導の方法や内容に関する活動分析の結果と、青少年の記述分析の結果とを対照して、社会化支援の効果を検証することが必要になる。
 第三に、青少年の能力達成過程の理解と、その理解に基づいた教育目標の設定に関する問題が指摘される。
 田中治彦は「日本の近代産業社会において採用され有効とされてきた青少年育成の基盤が崩壊しつつある」として、「関わりの場としての『居場所』の構想」を提起している17。崩壊しつつあるとした「青少年育成の基盤」とは、「大人が『教育目標』を設定して子どもをそこまで『到達』させるという手法」であるという。なぜなら、「子どもたちは目の前にぶらさげられた『人参』である教育目標自体を疑問視しているし、到達しても『人参』はないだろうと疑っている。ここにおいて『教育』『育成』『指導』という用語と手法が、子ども、若者の世界で無力化しつつある」と田中はいう。さらに、田中は、「それでは私たちはどのように子どもたちと対峙したらよいのであろうか。結論的に言えば、それは『教育』『育成』『指導』から、『関わり』と『参画』への発想の転換である」という。
 田中の議論は、流動化、多様化する社会にあって、これまで自明とされてきた教育目標に対して、青少年の視点から問い直し、「関わりと参画」による社会化効果を指摘したという点で、新鮮である。しかし、「関わりと参画」を促進する青少年支援においてもなお、青少年の多様な社会化実態と、社会の多様化、流動化に対応した目標設定が必要になるはずである。
 子どもの参画については、ロジャー・ハートの示した「参画のはしご」が注目される18。しかし、そこに示された「はしご」は、各参画形態における参加度によってレベル分けされたものであり、本来の能力ラダー(知識・技能・態度に関する順序性のある達成過程)とは異なるものである。そのため、「子どもの参画する能力の発達」という章を含めて、各参画形態における必要能力の構造と、それに対応した効果的指導方法が十分に分析的には明らかにされていないといえる。
 その原因は、青少年の社会化プロセスを構造的に把握し、効果的な指導方法を分析的に明らかにするという面が不十分であったからであると考える。
 また、青少年の社会化支援方法研究においては、社会化達成度の評価方法が重要な課題となる。この点では、学校経営における診断手法の開発に関する研究が有益な示唆を与える19。そこでは、学校現場の問題意識に基づいた具体的な指標が設定され、そのことによって、教職員が明確な自己評価を行い、実質的な経営改善を行うことができるようになっている。社会化達成度の評価においても、このような具体的な指標が必要である。
 青少年の個人化や価値観の多様化を、社会化と対峙させて検討する研究は、社会学や心理学等の研究において、これまでも行われてきた。しかし、個人化や多様化を明確に社会化促進の本道として位置づけて、これに対応した支援理念について検討し、さらにはそれを現実化するための目標設定や、その目標を達成するための方法論を検討してきた研究は見当たらない。
 以上の検討から、青少年の社会化支援方法研究の課題として、次の諸点が指摘できる。第一に、青少年の社会化過程を実証的に分析し、その結果と結びつけて支援方法を検討する必要がある。第二に、青少年自身の記述によって、その社会化過程を分析する方法を検討する必要がある。第三に、青少年の社会化過程の中での達成能力を把握し、適切な目標と能力ラダーの設定について検討する必要がある。そして、これらの研究にあたっては、青少年及びその社会化過程の多様な実態に対応した類型的、動態的理解を進める必要がある。
 
1.3 本研究の問題意識
 青少年の社会化の観点からは、次のように支援理念を方向づけ、その確立を図るための研究を進める必要がある。
 
* 社会からの要請の視点だけでなく、個人の視点からも、社会化を捉え直す。
* 社会化過程における個人化の積極的側面に着目する。
* 個人化と社会化の過程を、一体的に支援する。
* 社会化過程を構造的に把握し、構造モデルの類型的理解のもとに支援する。
* 他者や社会への関与や参画と、自問自答や自己内対話の両側面を、一体的に支援する。
* 社会化に関わる獲得能力に着目し、その能力ラダーに適切に対応して支援する。
 
 そのためには、個人化と社会化の一体的支援という目的を明確にした研究が必要である。具体的には次の研究を進めたい。
 
1. 青少年個人を尊重し、その自己形成に着目した社会化支援理念の研究
2. 青少年個人の社会化ニーズをいかした社会化支援理念の研究
3. 青少年個人の他者や社会との関わりと自己への気づきに着目した社会化支援理念の研究
 
 支援方法研究としては、個人化と社会化の一体的支援という目的を現実化する方法を明らかにする必要がある。具体的には次の研究を進めたい。
 
1. 青少年個人の社会化過程に着目し、支援方法をこれと結びつけて検討する。そのために、社会化という目的を明確に位置づけ、指導の内容や方法が、その結果につながる過程を実証的、動態的に確かめる。
2. 社会化支援の方法については、青少年自身の「自分らしさ」願望や社会化ニーズと関連づけて検討する。とくに彼らの交友関係における阻害要因に注目して、これが社会化支援によって解決され、彼ら自身のもつ顕在、潜在の個人化ニーズ、社会化ニーズが望ましいかたちで引き出される方法を検討する。
3. 記述分析のための指標を設定し、そのとき行われた指導の方法や内容と対照して、社会化効果を検討する。
4. 支援理念現実化の一環としての政策決定・政策実施については、第一に、政策決定における社会化の阻害要因と促進要因の共通理解及び政策決定にあたっての合意形成過程、第二に、政策実施機関における社会化支援の実践と研究の過程を分析し、その結果をもとに、個人を重視した社会化政策の決定、実施の方法を検討する。

 過去の社会化支援理念は、社会と青少年の双方の変容によって大きく揺らいできた。また、そこには一定の蓄積はあったとはいえ、方法論と結びついて現実化されることについては不十分であった。この問題の解決のためには、青少年の「個人化」と「社会化」を一体化してとらえて、そのインタラクティブな関係を明らかにする支援理念研究と、それを現実化する方法論研究が必要であると考える。
 
1.4 本研究の課題設定
 
 これまで、青少年に対するさまざまな場面において、それぞれの立場や観点から青少年の社会化支援が行われ、その理念が形成され、各種の学問的観点からそれぞれの局面についての検討が行われてきた。しかし、両者のニーズを関連づけて検討する研究は、その重要性にもかかわらず、行われてこなかったといえる。
 本研究では、支援理念研究にあたり、青少年個人とその自己形成を重視する視点から、社会化を「社会の中でより充実して生きるための能力(知識・技能・態度)の獲得過程」として設定した。また、青少年個人は、このような社会化ニーズと並行して個人化ニーズともいうべき願望等を有していることに注目する必要がある。そのため、本研究では「社会化」と対比させ、「個人化」を、「個人としてより充実して生きるための能力の獲得過程」として設定した。
 以上の設定に基づき、「社会化支援理念変遷過程の研究」、「個人化と社会化に関わるこれまでの支援理念の研究」、「青少年の多様な社会化実態とその過程の理解に基づいた支援方法の研究」、「支援理念現実化の一環としての政策決定・政策実施の方法に関する研究」の4課題を設定した。
 
(1) 社会化支援理念変遷過程の研究
① テーマ
 「青少年問題文献」に見られる社会化支援理念の変遷
② 目的
 「青少年問題文献」に表れた社会化に関する支援理念の変遷過程を明らかにすることによって、次の仮説を検証する。
〔仮説1:青少年の「個人化」と「社会化」を分離してとらえたため、両者を統合した社会化支援理念を見出せなかった。〕
〔仮説2:青少年個人からの視点が軽視されたため、彼らの社会化の実態やニーズに適合した社会化支援理念を見出せなかった。〕
③ 方法
* 方法1 キーワード出現率の量的分析
 平成14・15・16年度日本学術振興会研究成果公開促進費(データベース)の助成を受けて構築した「青少年問題に関する文献データベース」に収録した文献のうち、1978年1月から2002年12月までに発行された「青少年問題全般」文献23,732件と、西村美東士がドキュメンテーションを作成した文献、及び本研究のために公開できる範囲内で要旨を充実させたり、新たにドキュメンテーション作成を行ったりして補完した「青少年教育・対策」文献、4,202件(1990年1月から2004年3月発行分まで)を分析対象とする。
 分析は、各データの題名、要旨のそれぞれについて、青少年の社会化支援に関するキーワードが出現した文献を抽出して行い、発行年による量的変化等について検討する。
* 方法2 「社会性」に関する論旨の量的分析
 「青少年問題に関する文献データベース」に収録した文献のうち、「要旨」の中に「社会性」という語が含まれていて、なおかつ「社会性」に関する文脈を「要旨」から抽出できた文献、282件を対象とする。対象とする文献は、1980年4月発行から2003年3月発行までの24年間分である。
 分析は、各文献の「要旨」について行い、対象文献において使われている「社会性」のもつ意味及び文脈の変遷を検討する。検討に当たって、各文献の個人と社会との「関係性」の認識に着目し、「社会性」に関する論旨を次の5タイプに類型化して、その量的変化を分析する。①主観的社会、②身近な他者、③一般的他者、④集団・組織、⑤社会全体。
* 方法3 「青少年教育・対策」文献における支援理念の変遷に関する質的分析
 前掲「青少年教育・対策」文献、4,249件(1989年4月から2004年3月発行分まで)のうち、青少年の社会化支援に関する510件を抽出し、次のジャンルごとに発行年度ごとの質的変化を検討する。Ⅰ青少年対策:①青少年問題、②青少年対策、③青少年育成国民運動。Ⅱ青少年教育:①青少年教育、②指導者・ボランティア、③団体活動、④国際交流、⑤メディア・文化。
 
(2) 個人化と社会化に関わるこれまでの支援理念の研究
① テーマ
 青少年社会化支援のトピックスに関する支援理念の変遷と課題
② 目的
 「個性重視」、「青少年教育施設」、「職業・就職支援」、「居場所づくり」の4つのトピックスに関する支援理念の変遷や課題を検討し、社会化支援理念における個人重視の内容と、その阻害要因を明らかにする。
③ 方法
 前述方法1から3までを必要に応じて活用するほか、トピックスに応じた類型化を試みる。
 
(3) 青少年の多様な社会化実態とその過程の理解に基づいた支援方法の研究
① テーマ
 若者の社会化実態とニーズの構造的理解に基づいた自己形成支援の方法
② 目的
 若者の友人関係、個人化・社会化ニーズ、社会化過程について、類型的、構造的に理解し、これに対応した青少年教育指導の効果を検証する。
③ 方法
* 方法1 若者の友人関係の類型的理解と各類型に応じた社会化支援方法の検討
 若者の友人関係の類型的理解と各類型に応じた社会化支援方法を明らかにするため、現代都市青年の友人関係や自己意識などについて行った質問紙調査結果(2002年秋、杉並・神戸の青年1,100件)に基づき、現代青年の「自分らしさ×友人関係」について4タイプに分類し、それぞれの特徴の差を検討する。
* 方法2 大学授業における学生の社会化支援方法の検討
・ 多様な教育形態の社会化支援効果を明らかにするため、双方向要素を取り入れた授業において、自己や他者に関する学生の授業イメージの量的変化を測定して分析する。
・ 青少年個人の社会化の段階及び類型の理解に基づく支援方法を明らかにするため、自分自身にとっての「自分らしさ」と社会性との関係について学生に記述させ、「自分らしさの位置づけ×社会的能動性」について4タイプに分類し、各類型の社会化課題を検討する。
・ 「未来の母親」としての女子学生の社会化過程とその問題点を明らかにするため、子育て支援研究に取り組ませる授業において、成果の検討や学生の記述内容の逐語的分析を行う。
・ 学生の自己決定能力を効果的に育成するためのワークショップの構成要素を明らかにするため、ワークショップ型授業において、学生の気づきを即自、対自、対他者の3つに分けて記述分析により検討する。さらに、活動分析によって、学生の気づき過程と対応させて教育指導効果を検証する。
 
 上述の記述分析においては、気づきのプロセスの理念型を図1-1のように設定する。図1-1では、気づきの状態を「即自」と「対自」と「対他」に分け、その発展上に「対自=対他」を設定する。「即自」とは無自覚に認識できる「そのままの自分」である。ただし、「対自」や「対他」から何度も立ち戻った末の深いレベルの「即自」は、いわゆる自然体の「あるがままの自分」が想定される。「対自」とは自己を客観的に認識する「もう一人の自分」が想定される。これも表層的な自己否定から深層の自己受容に至るまで、いくつかのレベルが想定される。「対他」とは「自己とは異なる他者の存在」への気づきである。これも、「ほかの人も自分と同じ」というレベルから、「異なる他者への共感や自他受容」などのレベルまで数段階のレベルが考えられる。
 また、青少年個人の社会化過程と結びつけて支援方法を検討するため、図1-1に示した理念型に沿って青少年の気づきに関する指標を設定した上で記述分析を行うこととする。
 
(4) 支援理念現実化の一環としての政策決定・政策実施の方法に関する研究
① テーマ
テーマ1 青少年社会化支援及び子育てのまちづくりに関する計画過程の分析
テーマ2 宿泊型青少年教育施設における社会化支援の方法と個人化との関連の検討
② 目的
目的1
 政策決定における社会化の阻害要因と促進要因の共通理解及び政策決定にあたっての合意形成過程を明らかにする。
目的2
 政策実施機関における社会化支援の実践と研究の過程を明らかにする。とりわけ、個人化と社会化との関連の視点から、個人を重視した社会化支援の方法について検討する。
③ 方法
方法1
 社会化支援のための実効性のある計画策定の方法を明らかにするため、「居場所」、「参画」、「仲間づくり」、「文化や労働の継承」、「地域の教育力」、「自然の教育力」、「教育機関の教育力」、「家庭の教育力」の6つの社会化促進要因を設定し、これによって政策決定に参画する市民委員の発言を分析する。
方法2
 個人化と社会化の統合的支援の課題に直面してきた宿泊型青少年教育施設の、とくに政策的に課せられた「団体宿泊訓練機能」について、関係文献に示された実践と研究の蓄積に基づいて、その効果的な方法論に関する検討を行う。
 
1.5 本論文の構成
 本研究は、青少年の社会化支援に関する理念の変遷の研究と、支援方法の研究の2つで構成している。
 第1章の序論では、青少年社会化支援研究の課題として、支援理念研究の課題、青少年の社会化過程及びその支援方法研究の課題、支援実践との結合に関する課題について述べた。次に、研究課題から引き出された個人化・社会化に関する問題意識について述べた。最後に、問題意識に基づいて本研究の課題を設定するとともに、研究全体の仮説を設定した。
 第2章では、「青少年の社会化」支援理念の変遷について検討した。2.3では、キーワード出現の傾向、キーワード出現率の操作結果の検討をもとに、青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷を検証した。2.4では、論旨の分析から「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷について検証した。2.5では、「青少年教育・対策」文献から社会化支援理念の変遷を検討した。2.6では、これまでの社会化支援理念の検討として、「1990年代における『個性重視』支援理念」、「青少年教育施設における社会化支援」、「職業・就職支援に関する社会化支援理念」、「『居場所づくり』の支援方策に関する理念」を検討した。
 第3章では、青少年教育指導の実践面から社会化支援の方法論について検討した。3.1では、若者の友人関係の類型を検証した。3.2では、学生の社会化を支援する大学授業の方法について検討した。3.3では、ワークショップ型授業の構成要素とその効果を検証した。
 第4章では、政策決定・政策実施のプロセスから社会化支援の方法論について検討した。4.1では、佐野市における青少年の社会化支援と「子育てのまちづくり」の計画過程を分析した。4.2では、宿泊型青少年教育施設における支援方法について検討した。
 第5章で、結論を述べた。
 
第1章注

第2章 「青少年の社会化」支援理念の変遷



2.1 研究目的
 現代青少年に関する諸問題については、社会性の欠如や社会的不適応、非行や引きこもりなど、多くの指摘がなされてきた。この問題を解決するために、社会的にも多大な労力と費用が払われてきた。このような実践と研究により、個人の充実や、望ましい社会化を支援するための理念が形成されてきたが、それは次の理由から、十分な社会化効果を果たすには至っていないと考える。
 第一に、青少年の「個人化」を、社会化とは二項対立的にとらえたため、「個人化」支援と統合された社会化支援理念を形成することが十分にはできなかった。
 第二に、青少年自身の友達関係や仲間関係の欲求を、社会化達成への萌芽的欲求として積極的にとらえ支援すること、さらには、これを望ましい社会化や社会参画能力獲得へと結びつけることが十分にはできなかった。
 第三に、青少年の社会化支援のための実践や研究で得た成果や知見の交流が十分ではなかった。そのため、その成果を検討しあい、協働によって継承、発展させることが十分にはできなかった。
 そこで、本研究では、これまで蓄積してきた「青少年問題ドキュメンテーション」等を活用した文献分析によって、上記3点に関する実態を明らかにしようとした。
 このようにして、青少年の社会化支援に関する理念の変遷を明らかにし、流動化、多様化する社会の中での支援の「目標」や「価値観」のあり方について検討したい。
 
2.2 研究方法
 次の方法で文献分析を行った。本研究全体をとおしての研究方法の特徴は、各文献の「要旨」を含めて分析対象としたことにある。

方法1 キーワード分析1
(1) 分析対象
 方法1で対象とした文献は、平成14・15・16年度日本学術振興会研究成果公開促進費(データベース)の助成を受けて構築した「青少年問題に関する文献データベース」に収録した文献のうち、1978年1月から2002年12月までに発行された文献23,732件である。
 本データベースは、総理府青少年対策本部(当時)等による『青少年問題に関する文献集』20に収録されたドキュメンテーションを、作成者の了解を得てデータベースに収録し、公開している。
 本研究では、要旨が全収録文献に対して付記されるようになった昭和53年(1978年)以降発行の資料を分析対象とした。
 収録文献のカテゴリーは、『青少年問題に関する文献集』においては、大項目では、「社会」、「文化」、「生涯学習・社会教育」、「家庭」、「職場」、「学校教育」、「意識」、「非行」、「心身の発達」の9種類である21。このように本データベースは広いカテゴリーにわたるため、その収録文献を、本研究では「青少年問題全般」文献と呼ぶ。
(2) 分析方法
 各データの題名、要旨のそれぞれについて、青少年の社会性に関するキーワードが出現した文献を抽出し、発行年による量的変化等について検討した。
(3) 本方法を活用した研究結果
 本方法による研究結果については、おもに下記の節において報告し、検討する。
「1.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷」

方法2 キーワード分析2
(1) 分析対象
 「青少年問題に関する文献データベース」に収録した文献のうち、西村美東士がドキュメンテーションを作成した文献、及び本研究のために公開できる範囲内で要旨を充実させたり、新たにドキュメンテーション作成を行ったりして補完した文献、4,202件を対象として、検討を行い、キーワード出現の傾向や出現率の操作方法の妥当性を確かめた。対象文献の発行年は1990年から2004年である。ただし、2004年発行文献については、3月までに発行された文献のみ対象とした。
 担当した文献のカテゴリーは、『青少年問題に関する文献集』においては、大項目では、「社会」、「文化」、「生涯学習・社会教育」の3種類である。そのため、本研究は、「青少年教育」と「青少年対策(行政及び青少年育成運動)」を主対象としたものといえる。本研究では、これを「青少年教育・対策」文献と呼ぶ。
(2) 分析方法
 各データの題名、要旨のそれぞれについて、青少年の社会化支援に関するキーワードが出現した文献を抽出し、発行年による量的変化等について検討した。
(3) 本方法を活用した研究結果
 本方法による研究結果については、おもに下記の節において報告し、検討する。
「1.3青少年の社会化に関するキーワードの出現率の変遷」のうち、とくに「1.3.1キーワード出現の傾向」、「1.3.2キーワード出現率の操作結果の検討」
 また、「青少年教育・対策」文献については「1.5『青少年教育・対策』文献に見る社会化支援理念の変遷」において、逐一、文献要旨に当たって詳しく検討した。

方法3 キーワード検索による論旨の分析
(1) 分析対象
 「青少年問題に関する文献データベース」に収録した文献のうち、「要旨」の中に「社会性」という語が含まれていて、なおかつ「社会性」に関する文脈を「要旨」から抽出できた文献、282件を対象とした。対象とした文献は、1980年4月発行から2003年3月発行までの24年間分である。
(2) 分析方法
 対象文献において使われている「社会性」のもつ意味及び文脈を、各文献の「要旨」から分析した。
 分析に当たって、各文献の個人と社会との「関係性」の認識に着目し、「社会性」に関する論旨を、次の5タイプに類型化して検討した。
 
① 主観的社会
② 身近な他者
③ 一般的他者
④ 集団・組織
⑤ 社会全体

 上記分類は、「学生の自己決定能力を高める授業方法」研究の一環として「ワークショップ型授業の構成要素とその効果」について研究を行った際、学生の気づきの状態を理解するために設定した次の概念に基づいている22。

 学生の気づきの状態を「即自」と「対自」と「対他」に分け、その発展上に「対自=対他」を設定した。ここでの自は自己であり、他は他者である。「即自」とは無自覚に認識できる「そのままの自分」である。ただし、「対自」や「対他」から何度も立ち戻った末の深いレベルの「即自」は、いわゆる自然体の「あるがままの自分」が想定される。「対自」とは自己を客観的に認識する「もう一人の自分」を想定している。これも表層的な自己否定から深層の自己受容に至るまで、いくつかのレベルが想定される。「対他」とは「自己とは異なる他者の存在」への気づきである。これも自己からの関わり方に数段階のレベルを想定している23。

 本研究では、上記の「即自」、「対自」、「対他」の概念を、青少年の社会化過程に沿った形で応用し、「自分自身」、「身近な他者」、「その他の他者」、「集団組織」、「社会全体」という5つのタイプを設定した。また、この5タイプが、必ずしも一方向のみのレベルアップを意味するものではないことに注意が必要である。
(3) 本方法を活用した研究結果
 本方法による研究結果については、おもに下記の節において報告し、検討する。
「1.4論旨の分析から見た『青少年の社会化』を支援する理念とその変遷」

方法4 総合的手法による支援理念の抽出
(1) 分析対象
 最近発行された文献を中心として、特定テーマに基づいて、対象とする文献を設定した。
(2) 分析方法
 方法1から3までを必要に応じて活用したほか、トピックスに応じた類型化を試みた。
(3) 本方法を活用した研究結果
 本方法による研究結果については、「1.6これまでの社会化支援理念の検討」以降で報告し、特定テーマに関する検討や最近の関連文献に関する検討を行う。

2.3 青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷

2.3.1 キーワード出現の傾向
 方法1によって、「青少年問題全般」文献におけるキーワード出現の傾向を確かめた。
 表2-1に「震災」の出現率を示した。図2-1に出現件数の変遷、図2-1-2に出現率の変遷を示した。なお、表2-1と図2-1-3では、比較のため、「地震」の出現率データを参照した。
 阪神大震災は1995年(平成7年)1月17日に起きている。そのことから、「題名に出現」については1年以内に、「要旨に出現」については1年後ぐらいにピークを迎え、その後、出現文献数が減衰していくことがわかった。「地震」についても同様の結果が得られた。
 次に「17歳」の出現率を調べ、その結果を表2-2、図2-2、図2-2-2、図2-2-3に示した。「青少年教育・対策」文献において同様の分析を行った。その結果を、表2-3、図2-3、図2-3-2、図2-3-3に示した。ともに、比較のため、「18歳」の出現率データを参照した。



表2-1 「震災」の出現率( 青少年問題全般文献 N=23,732 )
震災 の出現率 n= 23,732 出現数= 91 AVE= 0.3%     西暦 文献
総数   出現数     出現率   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 震災 地震 78 301 79 641 80 706 81 662 82 702 83 664 84 520 85 540 86 717 87 769 88 848 89 834 90 741 91 891 92 994 93 1,055 94 1,147 0.1% 95 1,178 9 15 15 0.8% 1.3% 1.3% 1.3% 0.3% 96 1,305 6 27 27 0.5% 2.1% 2.1% 2.1% 0.4% 97 1,493 8 16 17 0.5% 1.1% 1.1% 1.1% 0.3% 98 1,469 1 9 9 0.1% 0.6% 0.6% 0.6% 0.1% 99 1,702 3 12 13 0.2% 0.7% 0.8% 0.7% 0.2% 00 1,537 2 4 4 0.1% 0.3% 0.3% 0.3% 0.1% 01 1,322 6 6 0.5% 0.5% 0.5% 02 994 0.1% 注 以下、0は空欄にした。


図2-1 「震災」の出現件数の変遷( 青少年問題全般文献 )



図2-1-2 「震災」の出現率の変遷( 青少年問題全般文献 )
 
 
 図2-1-3 「地震」の出現率と「震災」との比較( 青少年問題全般文献 )
 
表2-2 「17歳」の出現率( 青少年問題全般文献 )
17歳 の出現率 n= 23,732 出現数= 164 AVE= 0.7%     西暦 文献
総数   出現数     出現率   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 17歳 18歳 78 301 3 3 1.0% 1.0% 1.0% 1.0% 79 641 3 3 0.5% 0.5% 0.5% 1.1% 80 706 1 6 6 0.1% 0.8% 0.8% 0.8% 0.6% 81 662 3 3 0.5% 0.5% 0.5% 1.8% 82 702 5 5 0.7% 0.7% 0.7% 0.1% 83 664 3 3 0.5% 0.5% 0.5% 0.5% 84 520 5 5 1.0% 1.0% 1.0% 0.6% 85 540 1 1 1 0.2% 0.2% 0.2% 0.2% 0.2% 86 717 3 3 0.4% 0.4% 0.4% 1.0% 87 769 3 3 0.4% 0.4% 0.4% 1.4% 88 848 8 8 0.9% 0.9% 0.9% 1.4% 89 834 12 12 1.4% 1.4% 1.4% 1.2% 90 741 10 10 1.3% 1.3% 1.3% 2.6% 91 891 6 6 0.7% 0.7% 0.7% 1.0% 92 994 7 7 0.7% 0.7% 0.7% 1.1% 93 1,055 8 8 0.8% 0.8% 0.8% 1.9% 94 1,147 6 6 0.5% 0.5% 0.5% 1.3% 95 1,178 5 5 0.4% 0.4% 0.4% 0.8% 96 1,305 11 11 0.8% 0.8% 0.8% 1.6% 97 1,493 13 13 0.9% 0.9% 0.9% 0.7% 98 1,469 9 9 0.6% 0.6% 0.6% 1.9% 99 1,702 1 12 13 0.1% 0.7% 0.8% 0.7% 1.9% 00 1,537 5 11 12 0.3% 0.7% 0.8% 0.7% 0.8% 01 1,322 3 6 7 0.2% 0.5% 0.5% 0.5% 0.4% 02 994 2 2 0.2% 0.2% 0.2%


図2-2 「17歳」の出現件数の変遷( 青少年問題全般文献 )


図2-2-2 17歳少年が起こした事件と「17歳」の出現率の変遷( 青少年問題全般文献 )


 図2-2-3 「18歳」の出現率と「17歳」との比較( 青少年問題全般文献 )
 
 
 

表2-3 「17歳」の出現率( 青少年教育・対策文献 )
17歳 の出現率 n= 4,202 出現数= 7 AVE= 0.1%     西暦 文献
総数   出現数     出現率   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 17歳 18歳 90 102 91 168 0.6% 92 178 93 172 0.6% 94 213 0.5% 95 221 0.5% 96 255 97 287 1.0% 98 335 1 1 0.3% 0.3% 0.3% 1.5% 99 364 1.1% 00 469 1 1 0.2% 0.2% 0.2% 0.6% 01 385 2 4 4 0.5% 1.0% 1.0% 1.0% 0.5% 02 416 1 1 0.2% 0.2% 0.2% 03 475 0.6% 04 162


 図2-3 「17歳」の出現件数の変遷( 青少年教育・対策文献 )
 
 

 図2-3-2 「17歳」の出現率の変遷( 青少年教育・対策文献 )
 

 図2-3-3 「18歳」の出現率と「17歳」との比較( 青少年教育・対策文献 )


 表2-3-4 「16歳」「17歳」「18歳」の出現率の比較( 「読売新聞」全国版 )
西暦 記事総数 「16歳」 「17歳」 「18歳」 実数 % 実数 % 実数 % 98 118,569 168 0.14% 195 0.16% 274 0.23% 99 131,961 188 0.14% 175 0.13% 293 0.22% 00 141,404 256 0.18% 367 0.26% 313 0.22% 01 133,459 150 0.11% 198 0.15% 279 0.21% 02 131,189 153 0.12% 168 0.13% 273 0.21% 03 136,166 202 0.15% 207 0.15% 317 0.23% 04 137,822 177 0.13% 216 0.16% 331 0.24%

  
 図2-3-4 新聞に見る「16歳」「17歳」「18歳」出現率の変遷(「読売新聞」全国版)



 1977年10月30日に高校2年の息子の家庭内暴力に悩まされて、父親が息子を殺害するという開成高校生殺害事件が起こった。1983年から1984年にかけて、高校2年生などによる「いじめ復讐事件」が多発した。1989年(平成元年)3月29日、17歳少年らによる女子高生コンクリート詰め殺人事件が発覚した。
 図2-2-2からは、17歳少年が事件を起こすたびに、「17歳」という語を含む文献が増加する傾向が顕著に示されている。
 そして、2000年5月3日には、17歳の少年による「西鉄バスジャック事件」が起き、本事件の前後に17歳の少年による事件が多発したため、マスコミ等では、「キレる17歳」、「17歳問題」などと騒がれた。
 そのため、「青少年問題全般」文献においては2000年に、「青少年教育・対策」文献においては2001年に、「17歳」の出現率が一つのピークを迎える。
 反面、法制度上等では本来のターニングポイントである「18歳」の出現率が「17歳」よりも相対的に高い水準で維持されていることも、本研究の対象としている文献の注目すべき特徴と考える。
 マスコミと「青少年問題全般」文献との比較のため、表2-3-4、図2-3-4に、「読売新聞記事検索」による全文検索の集計結果を示した24。マスコミでは、事件のあった2000年だけ「17歳」の出現率が倍増している。また、「16歳」も引きずられてよく使われた。この点で、図2-2-3「青少年問題全般」文献との相違が認められる。
 そこには、時々の青少年が起こす「事件」に引きずられずに、青少年支援のあり方を継続的に追求しようとする「研究の姿勢」が表れていると推察される。
 また、「青少年教育・対策」文献においては、図2-3-3から、図2-3-4に示されたマスコミにおける「17歳」出現率倍増の1年後に、実数は少ないが出現率は急増したことがわかる。これは、世論が危惧する「17歳問題」に対応しようとする「教育」や「対策」の姿勢が表れたものと考える。
 
2.3.2 キーワード出現率の操作結果の検討
 次に、キーワードの出現率の数値そのものを検討するため、一般的なキーワードと考えられる「青少年」を検索語として、同様の分析を行った。なお、比較対象とした「子ども」については、要旨においては「子供」を含めて検索した。「青少年」を検索語とした表2-4以降の結果から次のことがわかる。

① 「青少年問題に関する文献」なのであるから、ほとんどの(仮に90%以上とする)文献のキーワードとして「青少年」が含まれると考えられるが、実際には「青少年問題全般」の文献においては15.2%、「青少年教育・対策」等を主とする文献においても48.1%にすぎない。むしろ、概念上は「青少年」に含まれる「子ども」のほうが多かった。したがって、「青少年」というキーワードについては、本分析結果としての出現率に対して、「青少年問題全般」で5倍以上、「青少年教育・対策」で2倍弱の文献がこの共通のキーワードに該当していると解釈すべきだと考える。
② 上記①と同様の理由から、「青少年」をキーワードとする文献の比率が、年によってこのように変化するのは、文献本来のキーワードの現実を反映していないのではないかと推察される。これらの経年変化については、毎年発行される文献自体の変化を反映しているのではなく、資料送付者の選択やドキュメンテーション作成者の書く要旨の分量などの変化が影響していると考える。
③ これらの文献分析の限界性は、本研究において分析する社会化に関するキーワードについては、さらに大きな問題になると考える。出現実数が少ないため、「青少年」という語以上に上記の問題が影響を及ぼすことになるからである。

 以上から、次の3点が分析上の阻害要因になっていると考える。
 
① 「要旨」の分量の不十分さ。(本来なら全文テキスト検索が理想であろう)
② 「資料収集」や「要旨」の分量に関する経年的不統一。(ドキュメンテーション作成者間の不統一も指摘できる。)
③ ドキュメンテーションにおける検索語の出現率と、実際の原著のもつべきキーワードとの食い違い。

 上記③の問題を根本的に解決するためには、充実したシソーラスを作成し、すべての原著書に対して、遡及的に、専門的判断のもとに考え得る複数さらには多数のキーワードをシソーラスから選んで付与するという作業が必要になると考える。しかし、今日のデータベース技術から考えれば、このような手間を要する作業は効率的とはいえない。
 そこで、本研究では、①については遡及的な改善が不可能、③については本分析方法のもつ宿命的限界ととらえ、②の阻害要因について、悪影響を減少させる修正操作を試みた。
 すでに述べたように、年ごとの「要旨」の分量の異なりによって、表面上の出現率が左右されてしまう。
 ドキュメンテーション作業において、一般的な文献については、800字程度の「要旨」を作成することが許された場合、文献全体のキーワードをほぼ網羅できるということをわれわれは経験的に感じていた。
 そこで、当該年度の「要旨」平均文字数が800字に満たない場合、800字であればもっと出現率が増えるはずであると考え、800字を「理想的文字数」として仮に設定した。ただし、その倍率については、文字数が増えるほど一文献において重複する割合が大きくなると考え、単純な比率に対して平方根を求めることにした。そのため、当該年度の「要旨」平均文字数に対する「理想的文字数」の比を求め、その平方根を求めて倍率とした。出現率をその倍率でかけて、「操作後の出現率」とすることにして、その結果を確かめた。
 エクセルでの計算式は次のとおりである。

操作後の出現率= 元の出現率×SQRT(800/当該年度「要旨」平均文字数)

 その結果を、表2-4以下の図表に示した。
 また、年ごとのバラツキの影響を避け、変遷の把握と可視化を図るため、グラフに多項式(6次)近似曲線を加えた。
 以上の「操作」を加えた結果を検討した結果、主として字数制限に関する要旨作成方針の逐年変化の影響を和らげる方法として、この「操作」は妥当であると考えた。


表2-4 「青少年」の出現率( 青少年問題全般文献 )
青少年 の出現率 n= 23,732 出現数= 4,026 AVE= 15.2%     西暦 文献
総数   出現数     出現率   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 青少年 子ども 78 301 19 37 39 6.3% 12.3% 13.0% 12.3% 26.2% 79 641 42 78 86 6.6% 12.2% 13.4% 12.2% 29.3% 80 706 51 92 103 7.2% 13.0% 14.6% 13.0% 33.7% 81 662 56 92 105 8.5% 13.9% 15.9% 13.9% 35.3% 82 702 46 89 97 6.6% 12.7% 13.8% 12.7% 34.6% 83 664 42 96 115 6.3% 14.5% 17.3% 14.5% 38.4% 84 520 33 64 73 6.3% 12.3% 14.0% 12.3% 31.5% 85 540 36 75 80 6.7% 13.9% 14.8% 13.9% 30.0% 86 717 56 93 100 7.8% 13.0% 13.9% 13.0% 34.6% 87 769 36 100 104 4.7% 13.0% 13.5% 13.0% 27.2% 88 848 53 107 116 6.3% 12.6% 13.7% 12.6% 30.4% 89 834 51 92 101 6.1% 11.0% 12.1% 11.0% 30.0% 90 741 47 92 97 6.3% 12.4% 13.1% 12.4% 27.8% 91 891 100 185 196 11.2% 20.8% 22.0% 20.8% 31.5% 92 994 95 208 211 9.6% 20.9% 21.2% 20.9% 28.2% 93 1,055 91 169 174 8.6% 16.0% 16.5% 16.0% 25.5% 94 1,147 108 206 218 9.4% 18.0% 19.0% 18.0% 29.9% 95 1,178 111 194 206 9.4% 16.5% 17.5% 16.5% 30.8% 96 1,305 106 206 213 8.1% 15.8% 16.3% 15.8% 31.6% 97 1,493 114 240 248 7.6% 16.1% 16.6% 16.1% 30.3% 98 1,469 134 265 274 9.1% 18.0% 18.7% 18.0% 32.3% 99 1,702 148 320 334 8.7% 18.8% 19.6% 18.8% 33.3% 00 1,537 163 283 311 10.6% 18.4% 20.2% 18.4% 29.7% 01 1,322 127 194 217 9.6% 14.7% 16.4% 14.7% 25.0% 02 994 118 181 208 11.9% 18.2% 20.9% 18.2% 23.8%


 図2-4 「青少年」の出現件数の変遷( 青少年問題全般文献 )


 図2-4-2 「青少年」の出現率の変遷( 青少年問題全般文献 )



 図2-4-3 「子ども」の出現率と「青少年」との比較( 青少年問題全般文献 )

表2-5 「青少年」の出現率( 青少年教育・対策文献 )
青少年 の出現率 n= 4,202 出現数= 2,016 AVE= 48.1%     西暦 文献
総数   出現数     出現率   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 青少年 子ども 90 102 36 54 58 35.3% 52.9% 56.9% 52.9% 43.1% 91 168 61 106 108 36.3% 63.1% 64.3% 63.1% 38.7% 92 178 59 101 103 33.1% 56.7% 57.9% 56.7% 32.6% 93 172 60 102 104 34.9% 59.3% 60.5% 59.3% 36.6% 94 213 78 140 144 36.6% 65.7% 67.6% 65.7% 44.1% 95 221 72 125 130 32.6% 56.6% 58.8% 56.6% 40.7% 96 255 74 142 145 29.0% 55.7% 56.9% 55.7% 40.8% 97 287 84 158 162 29.3% 55.1% 56.4% 55.1% 44.6% 98 335 93 172 177 27.8% 51.3% 52.8% 51.3% 46.6% 99 364 101 183 192 27.7% 50.3% 52.7% 50.3% 57.7% 00 469 130 204 225 27.7% 43.5% 48.0% 43.5% 50.5% 01 385 85 127 143 22.1% 33.0% 37.1% 33.0% 38.2% 02 416 92 144 163 22.1% 34.6% 39.2% 34.6% 29.8% 03 475 63 111 125 13.3% 23.4% 26.3% 23.4% 34.1% 04 162 17 33 37 10.5% 20.4% 22.8% 20.4% 32.7%


 図2-5 「青少年」の出現件数の変遷( 青少年教育・対策文献 )


 図2-5-2 「青少年」の出現率の変遷( 青少年教育・対策文献 )



 図2-5-3 「子ども」の出現率と「青少年」との比較( 青少年教育・対策文献 )

 
表2-6 操作後「青少年」の出現率( 青少年問題全般文献 )
青少年 の出現率【操作後】 n= 23,732 出現数= 4,026 AVE= 23.4% 平均要旨文字数 西暦 文献
総数 出現数     出現率【操作後】   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 青少年 子ども 78 301 19 37 39 11.4% 22.2% 23.4% 22.2% 47.4% 245 79 641 42 78 86 10.0% 18.6% 20.6% 18.6% 44.9% 341 80 706 51 92 103 10.8% 19.4% 21.7% 19.4% 50.2% 361 81 662 56 92 105 12.4% 20.4% 23.3% 20.4% 51.8% 372 82 702 46 89 97 9.6% 18.5% 20.2% 18.5% 50.5% 375 83 664 42 96 115 9.2% 21.0% 25.2% 21.0% 55.9% 378 84 520 33 64 73 9.2% 17.9% 20.4% 17.9% 45.9% 377 85 540 36 75 80 9.7% 20.1% 21.5% 20.1% 43.5% 380 86 717 56 93 100 11.0% 18.3% 19.7% 18.3% 48.8% 401 87 769 36 100 104 6.3% 17.4% 18.1% 17.4% 36.4% 445 88 848 53 107 116 8.1% 16.3% 17.6% 16.3% 39.2% 481 89 834 51 92 101 7.9% 14.2% 15.6% 14.2% 38.5% 485 90 741 47 92 97 7.9% 15.5% 16.4% 15.5% 34.7% 513 91 891 100 185 196 14.6% 27.1% 28.7% 27.1% 41.1% 471 92 994 95 208 211 12.5% 27.3% 27.7% 27.3% 36.7% 470 93 1,055 91 169 174 10.9% 20.3% 20.9% 20.3% 32.4% 497 94 1,147 108 206 218 11.8% 22.5% 23.8% 22.5% 37.5% 510 95 1,178 111 194 206 12.1% 21.2% 22.5% 21.2% 39.7% 482 96 1,305 106 206 213 10.5% 20.3% 21.0% 20.3% 40.7% 483 97 1,493 114 240 248 9.9% 20.8% 21.5% 20.8% 39.3% 476 98 1,469 134 265 274 11.6% 22.9% 23.7% 22.9% 41.1% 495 99 1,702 148 320 334 11.2% 24.3% 25.4% 24.3% 43.0% 479 00 1,537 163 283 311 16.2% 28.0% 30.8% 28.0% 45.3% 345 01 1,322 127 194 217 18.7% 28.5% 31.9% 28.5% 48.7% 212 02 994 118 181 208 24.6% 37.7% 43.3% 37.7% 49.3% 187

 図2-6 操作後「青少年」の出現率の変遷( 青少年問題全般文献 )

 図2-6-2 操作後「子ども」の出現率と「青少年」との比較( 青少年問題全般文献 )



表2-7 操作後「青少年」の出現率( 青少年教育・対策文献 )
青少年 の出現率【操作後】 n= 4,202 出現数= 2,016 AVE= 59.0% 平均要旨文字数 西暦 文献
総数 出現数     出現率【操作後】   比較 書名に 要旨に 総合 書名に 要旨に 総合 青少年 子ども 90 102 36 54 58 44.2% 66.3% 71.2% 66.3% 54.0% 510 91 168 61 106 108 45.6% 79.3% 80.8% 79.3% 48.6% 506 92 178 59 101 103 40.2% 68.8% 70.2% 68.8% 39.5% 544 93 172 60 102 104 39.7% 67.5% 68.8% 67.5% 41.7% 617 94 213 78 140 144 38.2% 68.6% 70.5% 68.6% 46.0% 735 95 221 72 125 130 33.9% 58.8% 61.2% 58.8% 42.3% 740 96 255 74 142 145 29.6% 56.8% 58.0% 56.8% 41.6% 768 97 287 84 158 162 29.6% 55.7% 57.1% 55.7% 45.1% 781 98 335 93 172 177 28.4% 52.5% 54.0% 52.5% 47.6% 766 99 364 101 183 192 28.0% 50.7% 53.2% 50.7% 58.1% 788 00 469 130 204 225 33.3% 52.2% 57.6% 52.2% 60.7% 555 01 385 85 127 143 36.6% 54.7% 61.6% 54.7% 63.3% 291 02 416 92 144 163 44.0% 68.8% 77.9% 68.8% 59.3% 202 03 475 63 111 125 25.6% 45.1% 50.8% 45.1% 65.9% 214 04 162 17 33 37 20.3% 39.4% 44.2% 39.4% 63.3% 214
 
 
 図2-7 操作後「青少年」の出現率の変遷( 青少年教育・対策文献 )


 図2-7-2 操作後「子ども」の出現率と「青少年」との比較( 青少年教育・対策文献 )


2.3.3 青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷

 「青少年問題全般」文献について、青少年の社会化に関わるキーワードを下記のとおり分野別に設定し、上記の操作方法を加えてキーワード分析を行った。

① 自己や自我に関するキーワード
自我、自己、自立、自律、自分らしさ(く)、セルフ、自己中心、孤独、疎外など。
② 個人と社会に関するキーワード
個人、個性、社会性、地域、地域社会、社会、協調、不適応など。
③ 家族、親子に関するキーワード
家庭、家族、親子、兄弟、母親、父親、両親、母子、保護者など。
④ しつけや規範に関するキーワード
社会化、しつけ、自由、反社会、不良、非行、少年非行、規律、規範など。
⑤ 社会参加に関するキーワード
社会貢献、ボランティア、公共、社会参加、社会参画など。
⑥ 交友関係に関するキーワード
人間関係、交友関係、対人、友達、友人、コミュニケーションなど。
⑦ 仲間関係に関するキーワード
仲間、サークル、居場所、いじめなど。
⑧ メディアに関するキーワード
携帯電話、インターネット、ネットワーク、ゲーム、テレビゲームなど。

 上のキーワード検索の結果から、各キーワードの出現率の変化量を、分野別に調べたのちに、分野横断的にまとめた結果を図2-8-1に示す。なお、キーワードごとの結果は、図2-9から図2-64までとして、ホームページ(http://mito.vs1.jp)に示した。
 本図において、2000年以降の変化は90年代に対するものである。したがって、2000年以降の「横這い」への変化は、たとえ矢印が上向きや下向きであっても、いわば「停滞」を示すものであることに注意が必要である。
 図2-8-1に示した結果から、青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷について、次のように考える。

① 1990年代及び2000年代初頭の出現率の増減がともに横這い(不変)だったキーワード(表2-8-1)は、時代を越えて不変のテーマといえる。
② その点で、ボランティア、居場所、地域、社会参画などの増加しているキーワードが、今後、「不変」のテーマとして定着するかどうかが重要である。
③ また、次のテーマについては、「不変」のテーマとしてとらえられる。これらは「時代の波」の影響を受けるべきではないテーマと考える。これらの出現率減少傾向が見られることは重要な問題といえる。
* 「自分らしさ」など、「自己形成」に関するテーマ。
* 友達、友人、交友関係など、青少年の社会化の「入り口」にあるテーマ
* 家庭、しつけ、社会化など、「自己形成」と「社会形成」を結ぶテーマ。
④ 逆に、携帯電話などの「時代」のキーワードは、「テレビゲーム」などと同様に、「逆転減少」の傾向が見込まれる。これらのものは、「時代」とともに増減する種類のものととらえることができる。

 




注:変化パターンは、「1990年代の(80年代からの)変化」・「2000年代初頭の(90年代からの)変化」を表す。
図2-8-1 1990年代または2000年代初頭に出現率が増減したキーワード(分野横断)


表2-8-1 1990年代及び2000年初頭の出現率の増減がともに横這いだったキーワード
①自己自我 ②個人社会 ③家族親子 ④躾け規範 ⑤社会参加 ⑥交友関係 ⑦仲間関係 ⑧メディア 自立 社会 公共 人間関係 仲間 自我 協調 自己


 以上の観点に立ち、それぞれの分野について次のとおり検討を行った。

① 自己・自我
 「自分らしさ」の出現率は、90年代になって大きく増加した。また、中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について-子供に[生きる力]と[ゆとり]を」(1996年7月)では、個人の「自分さがし」を援助する教育の役割について次のように述べている。
 
 教育は、子供たちの「自分さがしの旅」を扶ける営みとも言える。教育において一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その伸長を図ることの重要性はこれまでも強調されてきたことであるが、今後、[生きる力]をはぐくんでいくためにも、こうした個性尊重の考え方は、一層推し進めていかなければならない。そして、その子ならではの個性的な資質を見いだし、創造性等を積極的に伸ばしていく必要がある。こうした個性尊重の考え方に内在する自立心、自己抑制力、自己責任や自助の精神、さらには、他者との共生、異質なものへの寛容、社会との調和といった理念は、一層重視されなければならない。
 
 しかし、フリーターやニートなどの問題を意識して、各種審議会などでも「自分探しばかりしていて、いつまでも見つからない」などの否定的な意見が目立つようになる。
 1999年6月、香山リカ『〈じぶん〉を愛するということ―私探しと自己愛』(講談社新書)では、次のように述べている。
 
 「私探し」の時代──そのうち私は、「私探し」という言葉は、世紀末の日本に突然、生まれたものであるけれど、それは単なる偶然ではなく、多くの人がその誕生を待ち望んでいたところに登場したという必然性があるのではないか、と考えるようになりました。そして「私探し」が世に広まった背景には、90年代以前から連錦と続く「こころの歴史」のようなものとの関係があるのではないか、ということにも気づきはじめたのです。そうなると、大げさに言えば80年代のサブカル残党を気取る私にも責任の一端はある、ということになります。なぜ、人は「私を探そう」などと思うようになったのか。またそうやって「探したい」と思っている「私」とは、いったい何のことなのか。私は、「「私探し」探し」の旅に出てみることにしました。デイパックの中に詰め込むアイテムは、「80年代サブカルチャー」と「精神医学・心理学」のちょっとした経験と知識だけです。

 以上の前提のもとに、香山は、90年代の「自分らしさ」、「私探し」のもつもろさや危険性について警鐘を鳴らした。
 香山の主張が、「自分探しの旅」自体を否定するものでないことは当然である。
 しかし、「自分探し」を支援することによって、個人の充実を図り、望ましい社会化を支援しようとする理念は、「自分らしさ」出現率の変化から見て、その後、衰退していったことが明らかである。
 前掲中央教育審議会答申は「個性尊重の考え方に内在する自立心、自己抑制力、自己責任や自助の精神、さらには、他者との共生、異質なものへの寛容、社会との調和といった理念は、一層重視されなければならない」(下線引用者)と述べた。「個性尊重」に基づく社会化支援理念は「変わるはずのない理念」としてとらえる必要があると考える。

② 個人・社会
 90年代に入って、大きく増加した「個性重視」の支援理念は、2000年以降大きく後退し、それに代わって「社会性涵養」の重要性が叫ばれるようになる。
 2003年4月、養老孟司『バカの壁』(新潮新書)は、第3章『「個性を伸ばせ」という欺瞞』において、臨時教育審議会答申以来の「個性重視」理念に対して、強く異議を唱えた。
 2000年代初頭に「社会性」の出現率が大きく増加していることは、青少年の社会化に対する社会的期待の高まりを示している。しかし、その期待に応え、現実化を図るためには、社会化と「個人の充実」(個人化)を一体化して支援する理念の形成が求められていると考える。
 山崎正和は、1984年の時点で、「個別化」について次のように述べている。
 
 個別化はけっしてたんに社会の消極的な分裂を意味するものではなく、より積極的に、個人が内面的な自発性を発揮し始めた現象だ、と解釈することができる。ここで働いてゐるのは、たんにさまざまの社会的紐帯が弛んだことの効果ではなく、少なくとも、ひとびとが自己固有の趣味を形成し始めたことの影響だ、と考へられるからである。25
 
 この点について、1990年代初頭には次のように考えた26。
 
 もちろん、これは個別化のある一面であって(上では「趣味の形成」の場合)、現代社会において「個別化」の本質とは、じつは「画一化」であったりする。オーダーメイドと思っていた商品が、全部同じコンピュータのデータから作られていることもあるだろう。あるいは、その「画一化」にまきこまれることを拒否しようとして、威勢はよいけれども、じつはうわべだけの、空しい自己顕示をする者もいる。それらは、現代社会の個の弱さの表れでもある。
 山崎自身が同じ本の中で、たとえば現代人の「自己顕示」を「自我の力の誇示ではなくて、むしろ弱さと不安の表現である」ととらえている。このように、今日の「個別化」の状況は、必ずしもすべてが望ましい状況とはいえない。「個の自覚」はむしろ脆弱化する状況も見受けられるのである。
 しかし、前述のように「個人が内面的な自発性を発揮」できるような「自己固有の」趣味などを形成し始めていることも、また、一つの事実である。
 「個別化」とは、一人一人が自分にしかない「何か」をもちたいと少なくとも心の中では望むことであるといえる。今後の社会においても、この「個別化傾向」はますます強まるだろう。この「願望」を誰も否定することはできない。自分だけにしかない自分を大切にしたり、まわりから大切にされたりしたいという願いは、個の充実・確立のためには不可欠である。したがって、もしそれらの「個別化」が建設的に展開されるならば、深く充実した個別性が、静かな自信と自尊のもとに社会や集団に対して主体的に発揮されることが十分考えられる。この個別性は、「派手だが空しい自己顕示」によるものとは本質的に異なる。

 上記1991年の時点における考察について、本研究の観点からは次のように考えたい。
 山崎の評価する「社会の消極的な分裂」とは異なるかたちで「ひとびとが自己固有の趣味を形成し始める」という「個別化」を、「社会化」との二項対立としてとらえるとすれば、結局は「社会の消極的な分裂」という事態は免れないといえよう。このような「個別化」を「社会化」と対照的に「個人化」としてとらえ、その両面を統合的に支援するための理念を形成する必要があると考える。
 このようにして、青少年の「個人化」と「社会化」の統合的支援が実現した場合、教育及び社会の視点からは、それを「自己形成と社会形成の一体化」と言い換えることができる。
 その場合、「個人化」とは、「個人として充実して生きていく能力を獲得すること」としたい。そして、「社会のなかでの役割を果たして充実して生きていく能力を獲得すること」としての「社会化」との相関関係を明らかにする必要があると考える。
 「青少年問題文献」においては、これまで、どちらかというと「個人化」には否定的、「社会化」には肯定的という傾向が見られた。しかし、より望ましい社会形成の基盤としての「個人化」もあれば、暴力団などの反社会的集団への帰属などの「社会化」もある。
 青少年の社会化支援においては、いったんは価値中立的に、青少年の個人化と社会化の実態を把握した上で、次に、自己形成と社会形成に関わる教育的価値の実現の視点から、その支援のあり方を明らかにする必要があると考える。
 
③ 家族・親子
 90年代、2000年以降と、「父親」「母親」「両親」「母子」の出現率がともに大きく減少している。それに伴って、「保護者」が1990年代に大きく増加した(2000年以降は「保護者」の増加率は微少である)。
 親のない子にとって、「保護者」という呼称は適切といえよう。しかし、この呼称が、親の社会化及び親の子に対する社会化機能に関して、軽視するような結果にならないよう注意する必要があると考える。
 現在、家庭教育に、青少年の社会化機能の発揮が強く求められている。そのためには、青少年社会化支援理念においても、親の社会化支援、親の子に対する社会化支援能力達成のための支援として、「親教育」等の機能を積極的に位置づける必要があると考える。

④ しつけ・規範
 1990年代、2000年以降と、「しつけ」の出現率がともに大きく減少している。また、「社会化」が1990年代に大きく減少した(2000年以降は「社会化」の減少率は微少である)。
 先に述べたとおり、「社会化」が「個人化」と二項対立的にとらえられる限り、両者をともに支援する理念は十分には形成されないと考える。
 「個性尊重の考え方に内在する自立心、自己抑制力、自己責任や自助の精神、さらには、他者との共生、異質なものへの寛容、社会との調和といった理念」(前掲中央教育審議会答申、1996)及び「柔らかい個人主義」(山崎、1984)の発展的継承が重要と考える。

⑤ 社会参加
 1990年代、2000年以降と、「ボランティア」の出現率がともに大きく増加している。また、「社会参画」が2000年以降に大きく増加した。
 われわれは、職業能力開発手法「クドバス」を活用し、栃木県岩舟町の小中学生の参画を得て、図2-65に示したチャートを作成した。クドバスの方法と効果については後述する。
 このチャートは、青少年の「個人化」と「社会化」両者の統合的達成が、子どもたちでもわかるごく自然なかたちで示されていると考える。
 現在、青少年に対して、「社会参加」から「ボランティア」、さらには「社会参画」といういわば「高度な社会化」が求められている。
 その「高度な社会化」も、たとえば1-1A「誰かに悩みを相談することができる」などの個人としての充実(本研究ではこれを「社会化」に対して「個人化」と呼ぶ)から始まると考える。
 


図2-65 「私たちがこのまちで楽しく生きていくために必要な能力」クドバスチャート


 
⑥ 交友関係
⑦ 仲間関係
 現在、全国各地の青少年施策、青少年教育において「青少年の社会参画」が重視されている。
 しかし、多くの青年にとって、社会化達成の状況は、社会参画に至るまでにはほど遠い段階であると考える。
 1990年代に若者は、「仲間以外はみな風景」(宮台真司)、すなわち、「仲間さえ大切にしていれば、外の世界はどうでもいい」と分析された。それでは、その仲間の中はどうなっているのか。「島宇宙化」(宮台)して閉鎖された小さな仲間の中で、「みんな、みんな」と言ってますます仲間と同化していきながら、それゆえ、じつは孤立していく。若者が社会化以前に立ちすくんでいる現在の状況の根源として、彼らの交友関係が「みんなぼっち」の孤独な状態にあると考える。
 このような社会化困難の状況のなかでは、その解決のための入り口としての「交友関係」や「仲間関係」に関する研究が重要になる。
 交友関係の面では、交友関係、友人などの「身近な他者」に関わるキーワードの出現率が1990年代から減少している。これは、「親子」の出現率の減少とともに、社会化支援理念の変遷において、「身近な他者」との関係性の究明が不十分であることを意味していると推察される。そのことが、いわば「現代青少年に対する一足飛びの社会参画要請」につながることが懸念される。
 仲間関係の面では、「サークル」が90年代激増し、2000年代初頭激減した。「いじめ」は減少→減少であった。
 「居場所」は、「ボランティア」と並んで、90年代に激増し、2000年代初頭にさらに激増した。この場合の「居場所」とは、「青少年問題文献」の性格上、「自分の部屋」などの自然形成的な居場所よりも、「(社会化支援の目的で)意図的につくられる居場所」という意味で使用されることのほうが多い。そのため、当然、友人などの「身近な他者」ではなく、クラスや学校が違ったり、年齢が違ったりする「見知らぬ他者」との出会いが前提になる。
 本研究では、前出「仲間以外はみな風景」(宮台真司)という場合の「仲間」の意味とは別に、「サークル」(90年代激増、2000年代初頭激減)や「居場所」の中での「仲間」というキーワードがもつ意味を重視した。「身近な他者」との交流が「社会化への入り口」だとすれば、「見知らぬ他者」との出会いと仲間づくりは、「社会参画への通り道」と考えたからである。
 社会化支援の観点からは、「身近な他者との関係性」→「仲間と自己との関係性」→「社会と自己との関係性」という段階的発展や循環の過程を明らかにする必要があると考える。

⑧ メディア
 「携帯電話」が90年代増加し、2000年代初頭激増した。「テレビゲーム」は激増→激減である。このようないわば「時代の課題」については、社会化支援において今後も対応が求められると考える。同時に、今後のメディア技術の進展とともに生活する青少年にとっての「不変」のテーマについて、次のような追究が重要と考える。
 第一に、青少年にとって「遠い所」にある地域、行政、公共の情報が、インターネットなどの情報通信技術の発展によって開かれたものになり、アクセスが容易になっている。そこでは主体的な情報摂取という「不変」のテーマが重要になる。
 第二に、電子的仮想空間が発達している。その中で、生涯学習ボランティアや情報ボランティアが創り出す空間が広がりつつある。そこでは、「自負できるプライバシー」および「二次利用されたい著作権」と呼ぶべき動向を指摘することができる。
 これは、従来の財産権としての著作権やプライバシーを守るという「社会からの自己の防衛」の発想から、自らの意思でこれを広く開放し、交流したり、支え合ったりするという「社会への自己の発信」の発想への転換として注目に値すると考える。
 電子的仮想空間においては、個人が所有する手近な資材で、他者の承認や組織の決定を待たずに、自己の意思でこれができるようになった。そこで重要になる「不変」のテーマとは、「他者との相互関与」であり、「社会と自己との関係性」であると考える。
 
 
2.4 論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷

 本研究では、青少年の「気づき」に関する「即自」、「対自」、「対他」の分類に基づき、青少年の社会化過程に沿った形で、「主観的社会」、「身近な他者」、「(身近な他者以外の)他者」、「集団・組織」、「社会全体」という5つの類型を設定した。
 青少年問題文献において「社会性」というキーワードが、どのような文脈で使われているかを、この類型に沿って分析した。
 「身近な他者」については、原初的社会としての「家族」のほか、「友達」を含めた。
 キーワード文脈の各類型への帰属に関して、他類型への決定要因となる記述がない限りは、次の基準に基づいて処理した。
① 「体験活動」における「社会性」については、「他者」とした。
② 学校という場における「社会性」については、「集団・組織」とした。
③ 「社会奉仕」「社会参加」「社会参画」等における「社会性」については、「社会全体」とした。
 その結果を図2-68に示した。この結果から、類型別比率の経年変化の特徴を分析した。その結果を図表2-66に示す。



表2-66 「社会性」の文脈の類型別比率(操作前)
類型別比率 主観的社会 身近な他者 他者 集団・組織 社会全体 計 1980-1984 7 6 5 2 20 1985-1990 17 10 5 6 38 1991-1995 17 10 14 6 5 52 1996 7 4 5 16 1997 6 1 6 4 2 19 1998-2001 21 11 16 11 16 75 2002 2 2 8 4 2 18 計 77 40 53 36 32 238

図2-66 「社会性」の文脈の類型別比率(操作前)

 図2-68から1996年と1997年に断続的な特徴が見られたため、図表2-66に示したように、他の年とは切り離して分析した。
 次に、1996年2月、第21期東京都青少年問題協議会「青少年の自立と社会性を育むために東京都のとるべき方策について」が答申され、「社会全体」に該当する5件の文献のうち3件が、そのタイトルの紹介として出現していたため、その3件を1件として分析し直した。
 また、1996年を「1991-1996」に、1997年を「1997-2002」に組み入れて分析した。その「操作後」の結果を図表2-67に示す。
 社会性の出現率自体は2000年初頭に激増している(「1.3.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷」の「図2-8-1 1990年代または2000年代初頭に出現率が増減したキーワード(分野横断)」参照)ため、各時期のキーワード出現母数には大きな差があることに注意する必要がある。
 図表2-67に基づき、各時期における「社会性」の文脈の類型別比率について検討する。
 

図2-67-1 「社会性」の文脈の類型別比率の
タイプ別比較(操作後)(面グラフ)



表2-67 「社会性」の文脈の類型別比率の時期別比較(操作後)
時期別比率 主観的社会 身近な他者 他者 集団・組織 社会全体 計 A 1980-1984 6 4 0 5 2 17 B 1985-1990 17 10 5 6 0 38 C 1991-1996 24 10 18 6 8 66 D 1997-2002 29 14 30 19 20 112 計 76 38 53 36 30 233

図2-67-2 「社会性」の文脈の類型別比率の時期別比較(操作後)(棒グラフ)


 図表2-67と1-68をもとに、次の4タイプを設定した。

A 「他者」(身近な他者を除く)が少なく、「集団・組織」が多い「身近・集団」タイプ
B 「主観的社会」や「身近な他者」が多く、「社会全体」が少ない「個人・身近」タイプ
C 「他者」(身近な他者を除く)が多く、「集団・組織」が少ない「他者・社会」タイプ。
D 「他者」が「身近な他者」の倍を超え、「集団・組織」とともに「社会全体」が多い「他者・集団・社会」タイプ

 それぞれのタイプについて、各文献の要旨に基づいて検討する。なお、各文献の要旨と分類は、別に、ホームページに示した(http://mito.vs1.jp/)。

A (1980年-1984年)
 個人の充実(の不足)に関する社会性の記述が多い。その他、社会性の涵養において、家族、親、友達、集団等のもつ意義について記述したものが多い。教育意図による「見知らぬ他者との交流」などの社会性涵養効果についての記述は見あたらない。このように「身近な他者」との関連で社会性について論じた文献が多い。「社会全体」についても、青少年の社会参加のもつ社会性涵養効果などについての記述は見あたらない。

B (1985年-1990年)
 85年6月の臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」が個性重視の原則を掲げ、生涯学習体系への移行を訴えた。それ以降、「主観的社会」としての論旨は増えたが、「集団・組織」による社会性涵養効果に関する記述は少なくなった。個性重視の「集団・組織」運営理念の形成が不十分であったと推察される。
 また、「社会全体」としての言及が見あたらなかったのは、社会化支援理念において「個人主義」が未成熟だったため、「公共」を支える個人、社会形成に伴う個人の自己形成という認識にまで至っていなかったからだと推察される。
 この点について、1990年代以降、社会化支援理念は成熟に向かったといえるだろうか。ボランティア論などにおいては、個人と社会に関する追究は深まったと考える。しかし、一般的な社会化支援理念においては、臨時教育審議会の提起した「個性重視」や「個人主義」については、十分に発展しないまま衰退していったと推察される。

C (1991年-1996年)
 文献全体の動向としては、1990年代から、「保護者」を除き、「親」「兄弟」などの家族に関するキーワード出現率は激減する(「1.3.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷」の「図2-8-1 1990年代または2000年代初頭に出現率が増減したキーワード(分野横断)」参照)。同様に、「社会性」の文脈においても「身近な他者」に関する記述が激減する。
 「青少年問題文献」において、「子育て支援」というキーワードが最初に出現するのは、「子育て支援のための新たな児童福祉・母子保健施策のあり方について(答申)」(東京都児童福祉審議会、1992年11月)である。しかし、それ以降も、子どもに対する効果的な社会性涵養を図るための「子育て支援」という文脈をもつ文献は見あたらない。
 この時期は、「身近な他者」に代わって「(見知らぬ)他者」との関連で「社会性」を論ずる文献が激増する。具体的には、「自然体験活動」などの意図的な教育活動によって、他者や異世代の者との交流をさせようとするものが多い。
 「社会全体」については、青少年の自立(の欠如)を問題とし、これを解決して、社会に積極的に関与させるという文脈のものが多い。
 反面、「集団・組織」については記述が少なく、また、社会性涵養のための効果的運営方法まで直接的に論究しているものは見あたらない。

D (1997年-2002年)
 「社会全体」については、青少年の社会参加や社会貢献などを通した社会形成への参画活動による社会性涵養効果を重視する文献が増えた。また、集団については、教育的意図に基づく組織化による効果を重視する文献が増えた。
 「社会全体」について、「社会参加活動では、否定的な目でイメージを抱きがちな少年が新たな自分を発見し、社会性が身につく」(文献147)など、「社会奉仕」や「社会参加」に関わることによる自己肯定感の充足という文脈で、青少年の社会性涵養の意義を位置づける文献があった。
 反面、「主観的社会」や「身近な他者」という文脈での社会化に関する記述の比率は減っている。
 現代青少年に対して、一足飛びに集団適応や社会参画による社会性涵養を求めたり、即効的な社会性涵養によって、直接、集団適応や社会参画を求めたりした場合、彼らのニーズやレディネスと食い違いを生ずるおそれが大きいと考える。青少年の自己成長や交友関係の深まりなど、個人や「身近な他者」との関連による社会性の涵養にたえず目を配りながら支援を進める必要があると考える。
 効果的な社会化支援は、マクロな社会からの青少年に対する社会化要請と、青少年自身のミクロな社会のなかでの社会化願望とを関連づけることによって実現できると考える。そのための支援理念を検討し、その支援理念を実現する方法論を明らかにしていきたい。
 

   図2-69 操作後「国」の出現率の変遷
 
 図2-69に「国」の出現率の変遷を示した。さらに詳しく検討するためには、「国」というキーワードが使用された文脈を文献ごとに分析する必要がある。しかし、これまで検討してきた結果と関連づけて図2-69に示された結果を検討すると、青少年自身の内にある「主観的社会」や、原初的社会としての家族、友達などの「身近な他者」へのアプローチが相対的には減少し、「一般的な他者」、「集団・組織」、「社会全体」が増加している傾向と軌を一にするものであると推察される。
 効果的な社会化支援は、マクロな社会からの青少年に対する社会化要請と、青少年自身のミクロな社会のなかでの社会化願望とを関連づけることによって実現できると考える。そのための支援理念を検討し、その支援理念を実現する方法論を明らかにしたい。
 

Aタイプ(1980-1984)
年 月 主観的社会 身近な他者 他者 集団組織 社会全体 1980.05       1   1980.07 1         1980.11 1         1981.05 1         1981.09 1         1981.10   1       1981.11   1       1982.03 1         1982.03 1         1982.10         1 1982.10   1       1982.12       1   1983.11   1       1984.01       1   1984.03 1         1984.03   1       1984.03   1       1984.03         1 1984.06       1   1984.07       1  



注1「社会全体」に帰属させた文献の文脈は次のとおりである。90年代以降の文脈とは異なることに注意する必要がある。

1982.10
「社会性・現実性」の課題をもつ今日の「青少年指導」が「企業国家」という主体への奉仕的参画となっている。

1984.03
全体社会に鈍感であり社会性が欠如した精神的自立のできない学生。











Bタイプ(1985-1990)
年 月 主観的社会 身近な他者 他者 集団組織 社会全体 1985.01   1       1985.07     1     1986.02       1   1986.03 1         1986.03 1         1986.03       1   1986.04   1       1986.07 1         1986.07   1       1986.08     1     1986.08 1         1986.11   1       1987.03   1       1987.04 1         1987.07 1         1987.07 1         1987.09 1         1987.10     1     1987.11 1         1988.03     1     1988.03       1   1988.03       1   1988.06       1   1988.07 1         1988.09 1         1989.03   1       1989.03 1         1989.03 1         1989.03 1         1989.03 1         1989.03   1       1989.10 1         1990.02   1       1990.03   1       1990.03     1     1990.03       1   1990.03   1       1990.11 1        













Cタイプ(1991-1996)
年 月 主観的社会 身近な他者 他者 集団組織 社会全体 1991.02   1       1991.03         1 1991.03       1   1991.03     1     1991.03 1         1991.03 1         1991.11 1         1991.12     1     1992.03       1   1992.03     1     1992.03     1     1992.03   1       1992.03 1         1992.03 1         1992.06   1       1992.06       1   1992.07   1       1992.10   1       1992.12 1         1993 1         1993.02     1     1993.02     1     1993.03   1       1993.07     1     1993.09         1 1993.12     1     1993.12 1         1993.12     1     1994.02   1       1994.03     1     1994.03 1         1994.04     1     1994.04   1       1994.04     1     1994.04-95.03 1         1994.07       1   1994.11         1 1995 1         1995 1         1995 1         1995.01 1         1995.03   1       1995.03       1   1995.03     1     1995.03       1   1995.03   1       1995.07 1         1995.07 1         1995.08     1     1995.11         1 1995.12 1         1995.12         1 1996     1     1996.02         1 1996.03     1     1996.03     1     1996.03 1         1996.03     1     1996.03         1 1996.03 1         1996.03 1         1996.04         1 1996.06 1         1996.08 1         1996.12 1         1996.12         1 1996.12         1 1996.12 1        



Dタイプ(1997-2002)
年 月 主観的社会 身近な他者 他者 集団組織 社会全体 1997.03 1         1997.03         1 1997.03     1     1997.03       1   1997.03     1     1997.03     1     1997.03       1   1997.03     1     1997.03       1   1997.03     1     1997.04       1   1997.08 1         1997.09   1       1997.09 1         1997.09 1         1997.10 1         1997.12     1     1997.12         1 1997.12 1         1998.02 1         1998.02         1 1998.03     1     1998.03     1     1998.03       1   1998.03     1     1998.03       1   1998.05   1       1998.08         1 1998.11         1 1998.12 1         1998.12         1 1998.12 1         1998.12   1       1999.01   1       1999.01 1         1999.03     1     1999.03       1   1999.03     1     1999.03 1         1999.03       1   1999.03     1     1999.03     1     1999.03     1     1999.03         1 1999.03         1 1999.03 1         1999.03   1       1999.08     1     1999.10       1   1999.12 1         1999.12 1         2000.01       1   2000.02 1         2000.03         1 2000.03 1         2000.03         1 2000.03         1 2000.03       1   2000.03         1 2000.03   1       2000.03 1         2000.03 1         2000.03 1         2000.04         1 2000.04     1     2000.04   1       2000.06         1 2000.07 1         2000.08     1     2000.08   1       2000.09         1 2000.11   1       2000.12     1     2000.12 1         2001 1         2001.02 1         2001.02   1       2001.03     1     2001.03   1       2001.03     1     2001.03       1   2001.03       1   2001.03     1     2001.03       1   2001.03         1 2001.03 1         2001.05         1 2001.06     1     2001.06         1 2001.06 1         2001.09 1         2001.11 1         2001.12       1   2001.12   1       2002.01       1   2002.02     1     2002.02 1         2002.02     1     2002.03     1     2002.03     1     2002.03     1     2002.03       1   2002.03     1     2002.03   1       2002.03 1         2002.03       1   2002.04         1 2002.06     1     2002.09         1 2002.10       1   2002.12     1     2002.12   1      









注:「発行年月」の右隣から「主観的社会」、「身近な他者」、「他者」、「集団・組織」、「社会全体」
図2-68 青少年問題文献における「社会性」の文脈の概観



2.5 「青少年教育・対策」文献に見る社会化支援理念の変遷

 近年、青少年の公共の場所での迷惑な振る舞いや、さらには、青少年が引き起こす犯罪などの青少年問題が、深刻な社会問題として指摘されている。このような青少年問題の根底には、青少年の社会化が不十分または不適切であるという問題があると考える27(注1)。青少年自身は彼らなりに社会適応を望んでいるものと思われるが、家庭・学校・社会のもつ青少年に対する社会化機能は、そのニーズに十分には対応できていないといえよう。この問題の解決のためには、青少年個人のニーズ及び社会化プロセスと、社会の側が青少年に求める社会化の内容及び方法とを、関連づけて検討する必要があると考える。
 以上の問題意識に基づき、前掲『青少年問題に関する文献集』において公開してきた「青少年問題文献の動向」(1989年度~2003年度)の研究成果をもとに、社会化支援理念の変遷を検討したい。前掲『青少年問題に関する文献集』において公開してきた「青少年問題文献の動向」(1989年度~2003年度)の研究成果をもとに、社会化支援理念の変遷を検討したい。
 なお、検索対象文献の総数は4,249件で、その中から510件について検討した。ここでは、各文献の要旨を除く書誌情報のみを巻末に示し、要旨は、前掲ホームページに示した。

2.5.1 「青少年対策」に関する社会化支援理念の変遷
 ここでは、『青少年問題に関する文献集』に収録した文献を、「青少年問題」、「青少年対策」、「青少年育成国民運動」の3項目に分類して、文献の発行年度(4月から翌年3月まで)ごとに検討する。
 
(1) 「青少年問題」

1989年度
 子どもの生活構造に関しては、中央青少年団体連絡協議会『なかまたち』28号特集「子どもの時間の過ごし方」(文献0065)、福武書店教育研究所『モノグラフ・小学生ナウ』9巻3号特集「誕生日」(文献0014)、9巻9号特集「夕食」(文献0040)、京都大学教育学部教育人間学研究室研究報告集1『子どもたちの生活時間と日常生活』(文献1936)などの文献が発行されており、研究・啓発や調査が充実されつつあることがわかる。これらの文献により、子どもの日常生活や家庭生活の実態、遊ぶための条件や環境、一人ぼっちの状況などが明らかにされつつある。
 これに対して、青年の生活構造に関しては、大学の紀要等で一部取り上げられているが、子どもの生活構造の解明の進展と比べると、話題の範囲が限定的である。これは、現代青年の生活がますますわかりづらくなり、その構造を総体的にとらえることが難しくなっていることの表れとみることができる。
 青少年問題一般に関しては、高齢社会との関連(大阪府『青少年問題研究』第39号)(文献0068)、都市環境との関連(友田泰正『都市環境と青少年』(文献0047)、大阪大学人間科学部)の解明に見られるような、社会の新しい変化に注目して青少年問題をとらえる視点、従来のモラトリアムの変化(前出『なかまたち』26号所収、菊池龍三郎「若者たちにとって『大人になること』への条件とは」)(文献0041)の解明に見られるような、青少年の新たな実態に対応する見解、学生に語らせた旧世代に対する不信感(社会教育協会『国民』1078号)(文献0027)に見られるような青少年への新しいアプローチの方法などの発展が見られる。
 総務庁青少年対策本部の編集協力のもとに、毎月、発行されている『青少年問題』(青少年問題研究所)も、このような研究の発展を反映して、国際化やメディアの発達の影響などの考察、病院臨床などの周辺の領域や国際比較などによるアプローチなど、その内容がいっそう具体化し、深化した。
 また、「アルマナック子ども」(『モノグラフ・小学生ナウ』9巻6号)(文献0028)は、通刊100号を記念して発行されたもので、それまでの重要なデータや傾向などが掲載されている。多数の調査の蓄積に基づく文献として注目される。
1991年度
 社会問題に関しては、「東京都青少年問題調査」の個別調査として行われた「ビデオソフトの青少年に与える影響に関する調査」(文献0290)に関連する文献があった。この調査では、保護者が子どもに指導と方向づけをきちんと行うことなどが提言された。また、日本青年館青年問題研究所の「現代青年問題の研究」(文献0319)では、現代青年のフリーター的生活様式が、既存のモラトリアム観、アイデンティティ観、イニシエーション観にも、重大な影響を及ぼしうるととらえ、自己・個人の問題と家族・仲間の問題と地域・社会の問題をつなぐ可能性を模索している。どちらの文献も、今日の社会問題としての青少年問題を根本的に解決する方策として、社会のさまざまな教育的機能が重要な要素になることを主張したものであったととらえられる。
 社会保障に関しては、児童の性的虐待や、いじめなど、子どもの人権侵害に関する問題を扱った文献、あるいは逆に、子どもを対象とした人権思想の普及に関する文献があった。
1992年度
 全般を通して、子育てに関する若い親たちの個人的な不安を社会的にはどう受けとめればよいかを考えようとする動きが顕著であった。
 社会構造に関しては、出生率低下や少子化の問題が話題になり、「生みたくない」という女性の選択の自由をどう考えればよいかが議論された。
 社会保障に関しては、とくに児童相談に関する文献があった。また、東京都児童福祉審議会は「子育て支援のための新たな児童福祉・母子保健施策のあり方について」(文献0476)の答申を行ない、福祉、保健、医療にとどまらず、関係各行政分野や家庭、地域社会、企業を含めた社会全体が総合的な取り組みを行なうよう提言している。そこでの「子育て支援」の理念とは、「子どもを産み育てることは、個人の自由意思に属することが尊重されるべきものである」としつつ、「行政は都民が希望と喜びをもって子どもを産み育てたいという動機づけになるような基盤づくりと、子どもを産み育てたいと希望する人々への支援策を行なうものである」というものであった。また、出産・育児に関する不安などの適切な情報提供と発見のシステムを要する問題をも児童福祉施策の対象に含めていくべきとした。
1993年度
 社会構造に関しては、情報化社会に生きる青少年像の追求や、学校以外の家庭・地域の場での生活構造の把握などに関心が高まった。
 社会保障に関しては、子どもの権利保障や、児童相談所、児童福祉施設、出産・育児支援制度などに関する文献があった。
1994年度
 社会構造に関しては、地域での人びとの共同性を高めることによって青少年の生活空間を学校以外にも多様化すること(神奈川県青少年総合研修センター青少年関係調査研究報告書)(文献0830)、課題解決のための時間、すなわち「勉強すること」だけでなく、子ども自身に「自由に使える時間」をたっぷりと与え、「子どもが王様になれる時間と空間」の中での成長を保障すること(東京都青少年問題調査報告書)(文献0852)などへの関心の高まりが見られた。
 社会問題に関しては、交通安全や、若い女性にとっての都市生活、性生活など、社会保障に関しては、児童の権利条約、児童福祉施設などに関する文献があった。
1995年度
 社会問題に関しては、高橋勇悦監修「都市青年の意識と行動-若者たちの東京・神戸90's」(恒星社厚生閣)(文献1037)が、東京と大震災前の神戸の青年を対象にした、青年の人間関係、メディア接触行動意識の準拠枠(自己意識や価値意識)などの実証的な研究(文部省平成4・5・6年度科学研究費補助金・総合研究A)をまとめ、現代都市青年問題に関する新たな視座を提供した。ここで、高橋は、現代青年にとっての準拠集団に代わる「準拠個人」の存在意義を説いている。
 社会保障に関しては、児童の権利条約や児童福祉施設に関する文献があった。神戸市児童相談所において、教育相談はかなり増え、例年不登校相談が教育相談分野の半分以上を占めるのだが、同年度は性格相談が50%を超えた。これは震災後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)症状と思われる児童についての相談が多かったということを意味している。教護相談については大幅に減っており、このことについては、児童相談所がケース対応を充分にできなかったこと、社会全体が児童の教護まで目を向ける余裕がなかったことのほか、一方で児童自身も災害復旧等の活動に従事するなどして、社会の一員としての役割を果していたこともあると相談所では分析した。(文献1126)
1996年度
 社会保障に関しては、児童の権利条約や児童福祉施設に関する文献があった。子どもの人権に関しては、児童虐待やいじめ等も問題になっている。また、同年度のユニセフ(国連児童基金)年次報告(文献1390)で、事務局長キャロル・ベラミーは、「児童の権利条約」批准状況等の今日までの大きな前進を認めつつも、予防できるはずの人権侵害による死亡、不就学、厳しい貧しさ、その他搾取的な工場や戦場あるいは不健康な都市、とりわけ女の子への差別などの緊急な課題を提起した。
 国のエンゼルプランを受けて山梨県や摂津市が子育て支援計画を策定した。「やまなしエンゼルプラン」(文献1399)では、①子どもの視点にたった施策の展開、②安心して子どもを生み育てることができる環境づくり、③子育て支援の社会環境づくりが、「摂津市児童育成計画」(文献1395)では、①最善の利益は子どもに、②地域や社会による子育て支援、③子どもとともに育つ都市づくりが、それぞれ掲げられた。
1998年度
 社会保障に関しては、児童福祉法並びに関連諸法の改正、とくに児童福祉法の改正に対する議論(文献1850,1953)が行われた。また、ユニセフ(国連児童基金)は、同年の「世界子供白書」のテーマを教育とし、「なによりもまず学校教育は生涯学習の基礎にならなければならず、アクセス可能で、質が高く、柔軟で、ジェンダーに配慮し、女子教育を重視するものでなければならない」として、教育の権利、教育革命、人権に投資する、の3点を主張した(文献1955)。
 少子化問題に関しては、「子育て支援」の重要性の議論のほか、「季刊社会保障研究」が特集「少子化社会と社会保障」を組み、出生率低下と子育て支援政策等について論じた(文献2032)。そこでは、有配偶女性の家庭外就業が進行する一方で、家庭内役割の男女分担がほとんど進んでいないわが国では、結婚と出産・子育てにともなう高い女性の機会コストを幅広い政策的対応を通じて軽減することで、女性の仕事と家庭の両立を支援することが急務であるとした。
1999年度
 全体の特徴は、人口構造、ジェンダー、子どもの権利等に関して、青少年の現代的状況に即した研究の深まりが見られたことである。
 人口構造に関して、晩婚化、未婚化による出生力低下の問題から、その根源である若年層の親密関係行動の変化や婚姻の意味自体の変化にまで議論が進んだ(文献2200)。
 ジェンダーの問題に関しては、女性の性的欲求や能動性について肯定的な、現代青年にとって新しい形での問題が提起された(文献2307)。
 子どもの権利に関して、子どもがその主体であり、権利行使を重んずる議論とともに、「子どものオートノミー(自律・自己決定)の権利」を「自由と自律の偶像化」として疑問視する議論(森田明)(文献2395)があった。
 「子ども買春、子どもポルノ」に関して「ユニセフ・グローバルフォーラム」が開かれ、最も有害で搾取的な児童労働の一つと認識された(文献2333,2334)。
2000年度
 17歳の殺人事件に象徴される少年の凶悪犯罪が続発し、世間を揺るがせた。これまで莫大な予算と労力をかけて行われてきた施策や健全育成運動は、彼らのもとには届かないのか、それらの施策や運動に対して、青少年問題研究はこれからも実効性のある視点を提示し得ないのかという問題意識が支援者側に共有されたと考える。
 この点について、同年の施策、運動、研究の三者の動向としては、自己の限界や非力を思い知るという消極的側面と、他方で、求められている「大人=支援者としての責任」をあらためて果たそうとする積極的側面との両面を指摘できる。
 後者の取組のひとつとして、青少年にとっての社会規範や自我意識の形成過程や、その支援のあり方を実証的に検証しようとする研究があった。また、青少年施策としては総合行政としての進展、国民運動としては家庭教育を含む地域の教育的諸機能の総体としての発展など、その必要性の自覚が深まった。
 規範意識の欠如が問題視され、静岡県青少年問題協議会は「青少年・保護者の規範意識に関する調査」を実施した(文献2883)。
 青少年問題研究会発行月刊誌『青少年問題』で毎年、青少年問題を回顧してきた松本良夫が、今回はこの百年・十年・一年について総括し、成人による成人(社会)のための「青少年(問題)対策」から脱却するよう提起した(文献2783)。
 少年の凶悪事件に関連して、「優しさ」や自我意識等の面から検討がなされた。兵庫県「青少年の心の問題」ネットワーク推進会議は「17歳問題を考える」集会を開いた(文献2893)。埼玉県は「生命の大切さを訴える緊急アピール」を発して「緊急青少年非行根絶対策本部」を設置し、「彩の国教育改革会議」を発足させた(文献2905)。東京都では「心の東京革命行動プラン」を策定した(文献2666)。提唱した都知事は「昨今、心身ともに耐性を欠き、自分をコントロールできない子どもが増え続けているが、そうした子どもたちを育ててきたのは私たち大人だということを強く認識すべき」とした。国では「少年の凶悪・粗暴な非行等問題行動について当面取るべき措置」の申合せが行われた。
 児童虐待について、防止法が公布され、ソーシャルワークや非行との関連(文献2640)、心的外傷反応、心のケア、性的搾取などの研究が進んだ。海外の児童虐待防止制度(文献2621)が紹介された。仙台市では「すこやか子育てプラン」の新たな短期計画策定のため、「仙台市こどもをとりまく環境等に関する総合調査」を行った(文献2908)。
2001年度
 2001年6月に大阪教育大学附属池田小学校事件が起こり、児童虐待とあわせて、子どもが犯罪の被害者になる事態が深刻に受け止められた。さらに9月には米国同時多発テロ事件が起こり、世界規模で危機感が広がっていった。青少年施策についてもこのような社会的な不安感を背景に、青少年「問題」として議論されることが多くなった。しかし、このような時代に、「問題」に振り回されたり、対処療法に追い回されたりすることなく、「明るい未来」「無限の可能性」などの過去の青少年のイメージを、いかに議論の中で根拠立て、実践の中で再生するか、果たしてそれはそもそも可能なのか、青少年施策や国民運動の研究及び実践に問われるものは大きい。
 17歳問題については、日本青少年育成学会発足大会のシンポジウムで取り上げられた。門脇厚司は「これまであまり見られなかった不可解な事件を起す犯人たちの年齢は10歳代前半から40歳代、すなわち1960年以降に育てられた世代」とし、「17歳問題」という設定そのものに疑義を示し、社会のあり方こそ問題と主張した(文献3029)。
 規範意識の形成については、静岡県青少年問題協議会が「青少年が『個』や多様性への指向を強める中で、20年後、30年後を見据えて規範意識を育てる」よう提言した(文献3227)。
 池田小学校事件については、開放に慎重になる学校が増えていることについて憂慮する議論があった。また、中村功が「地域住民の自主的で自覚的な活動の弱体化が子どもたちに危険なまちをつくり出している」と指摘した(文献3198)。
2002年度
 規範意識に関しては、古市勝也がマツダ財団の助成を受け、規範意識の獲得と通過儀礼について、小学5・6年生と、その保護者、地域の高齢者・青少年育成指導者を対象にアンケート調査を実施し、規範意識獲得のメカニズムを研究した(文献3562)。
 社会福祉に関しては、竹内かおり他が児童養護施設に入所している子どもたちがかかえている問題と取り組みについて調査した(文献3653)。庄司順一他が、グループホームの実態と制度施行状況を調査した(文献3818)。高橋一弘が、育児の施設主義を見直し、家庭的保育を進めるよう提唱し、里親制度の活性化を訴えた。渡辺伊佐雄が児童自立支援施設(前教護院)北海道家庭学校高校生寮の取り組み、ニーズ等についてまとめた(文献3544)。西郷泰之が、子どもへのサービスの質の確保システムをめぐり、セーフティネットの一つであるオンブズマン制度を兵庫県川西市の事例から分析した(文献3543)。本間真宏他が日英比較分析を中心に、子どもの福祉と権利の法制史的研究を行った(文献3656)。小笠原恵が発達障害児・者における問題行動の研究動向を整理し、問題行動軽減のためのアプローチ法として①直接的なアプローチ法、②分化強化法、③機能的コミュニケーション訓練、④包括的な行動支援法の4点について分析した(文献3820)。木野裕美他が虐待防止や子育て支援のネットワークについて訪問調査した(文献3654)。竹中哲夫が2001~2年の児童福祉の動きと論点を整理して、2004年法改正を展望した(文献3655)。
2003年度
 青少年が加害者になるだけでなく、被害者にもなる社会的問題や事件が多発したため、これにどう対応するかという議論が盛んに行われた。そこでは、学校等を地域住民から隔離するのではなく、むしろ子どもたちの安全を守るための行政と地域住民との協働が求められた。
 社会問題に関しては、岡本吉生がネット心中や二年前の池田小児童殺傷事件について取り上げた(文献4065)。また、伊藤忠記念財団「子どもの危機管理の実態とその改善方策に関する調査研究」は、後者の事件についても触れ、学校の防犯、地域の防犯、及び地震災害への対処に関して、行政と地域住民が協力してどのように危機管理を試みているかを検討した(文献4090)。
 社会保障に関しては、ユニセフ「2003年世界子供白書」が、①子どもの意見や見解を求め、子どもの視点を真剣に取りあげる責任、②子どもと若者が世界で正統かつ意義のある参加を育む手助けをする責任を指摘した(文献3863)。子ども参加とは、子どもに影響を及ぼす問題について、子ども自身の考えを盛り込むことを促し、それを可能にすることである。すべての子どもの多様な意見、発言の自由を保障し、子どもに影響を及ぼす決断をする際は、子どもの声を考慮することを子ども参加の原則とした。

(2) 「青少年対策」
1989年度
 東京都教育委員会の「心とからだの健康づくり」シンポジウムは、問題行動への対応を中心にすえた健全育成から、すべての子どもたちの積極的な健全育成へと視点を変え、「かかわりあい」「みとめあい」「ささえあい」の三つの視点から推進するものである(文献0079)。『かながわの青少年』における「ふれあい教育運動」は、「科学の知」による教育から「臨床の知」を基本とする教育とし、現代社会の「新しい貧しさ」の克服、「共生関係」の学習などに踏み出そうとするものである(文献0075)。『大阪府青少年白書』における「PLANET(遊星)計画」は、青少年が社会という宇宙のなかを遊星のように自由に飛び回ることを願ったものである(文献0042)。『山口県の青少年』における「たくましい防長っ子を育てる運動」は、心身ともに健全な青少年を育成しようとするもので、「みんなの子運動」は、地域の人々の輪の中で子どもを育てようとするものである(文献0015)。『宮崎の青少年』における「新ひむか企画スタッフ交流セミナー」は、対象を青年から壮年にまで拡大し、地域づくり運動のリーダーを育てるものである(文献0080)。『鹿児島の青少年』における「青少年自立自興運動」は、ともに学ぶ、たくましい心身を養う、真の友情を培う、すなおな心でけじめのある生活をするの「4つの基本理念」をもとにして、異年齢集団の中での自主的相互錬成活動、地域ぐるみの青少年育成などを行うもので、地域の伝統を意識した「朝読み夕読み」「山坂達者」などの施策が実施された(文献0034)。横浜市青少年問題協議会の「共生社会に向けての青少年の役割と活動(意見具申)」における「共生」の概念は、情報化・国際化・高齢化の進展による人間や人間関係への影響の中で、青少年の内部の成長・発達を鍵概念として、共によりよく生きていくことのできる社会の実現をめざすものである(文献0038)。「高槻市青少年育成計画」における「チャレンジ推進事業」や「街角ユースセンター(仮称)」は、「チャレンジする青少年」が自発的に活動したりエネルギーを発散したりできるように構想したものである(文献0098)。それぞれに個性のある施策が進められつつあることを示す文献が多かった。
1990年度
 各自治体で青少年関連行政の計画化・体系化が取り組まれ、その上でバラエティーに富んだ施策が展開された。
 秋田県では、「第5次秋田県青少年育成総合基本計画」が平成2年度までの計画で策定されており、青少年の発達段階の各時期に応じて、その発達課題や生活環境の課題が提起された(文献0120)。栃木県では、「いきいき栃木っ子3あい運動」(学びあい、喜びあい、はげましあおう)が推進された(文献0160)。その基本的な考え方は、従来行われている地道で貴重な期活動を掘り起こして光をあてる、多様化し細分化する諸活動について「3あい」の観点から集約化・焦点化を図る、諸活動・諸施策について相互に絡み合わせ関連づけることによって相乗的な効果と効率化を図るの3点である。千葉県では、平成3年度から「さわやかハートちば」という県民運動の中で、青少年の健全育成が県政の重要施策として位置づけられた(文献0180)。神奈川県では、昭和61年にかながわ国際青年の年推進協議会から発表された「かながわ青年行動計画」の改訂が行われた(文献0177)。そこでは、社会情勢の変化にあわせた内容の見直し、より多くの青年が共感し、ともに行動できる内容、単なる課題の提示に終わらない目標を定めた実施計画が目指された。愛知県では、「愛知県青少年健全育成計画」が平成元年2月に西暦2000年を目標として策定された(文献0159)。三重県では、同年度の青少年対策を、前年度の基本目標「時代の変化に主体的に対応できる青少年の育成」を踏襲して、同年度策定の第3次三重県長期総合計画、移行予定の文部省「新学習指導要領」や総務庁「青少年対策推進要綱」等を考慮して策定した(文献0100)。
 大阪府では、PLANET(遊星)計画を進めた(文献0176)。宮崎県では、第4次総合長期計画を策定し、その基本政策の一つに「21世紀を築く人づくり」を掲げて健全育成に取り組んだ(文献0182)。鹿児島県では、昭和55年度から「青少年自立自興運動」を推進してきたが、平成2年度から新たに「未来へはばたけ青少年運動」を展開した(文献0304)。これは、次代を担う青少年に、たくましい自立の精神を加え、幅広い国際的感覚と未知に挑戦する気概をもってほしいという意図で始めたもので、その特色としては、青少年活動を青少年自身が企画・実践する青少年主体のものとし、活動内容も国際的感覚の醸成など時代に即応したものを求めているなどがあげられる。
1991年度
 秋田県では、「秋田県新総合発展計画」の基本理念を踏まえ、「自立と連帯をめざすふきのとうユースプラン」と題した第6次秋田県青少年育成総合基本計画を策定した(文献0455)。その基本目標は、時代の変化に主体的に対応できる青少年の育成などである。群馬県では、たくましい体と優しい心をもった青少年の育成を図って、新総合計画「新ぐんま2010」を策定した(文献0352)。埼玉県では、青少年協議会が「青少年健全育成の進め方について」の意見具申を行った(文献0334)。そこでは、青少年健全育成の三つの原則として、「科学性-専門的知識や技術の活用」「計画性-長期的視点に立った目標の設定と実行」「総合性-密接な相互連帯と全人性の形成」が挙げられた。神奈川県では、昭和63年1月に策定した「かながわ青少年プラン」を推進するための行政施策を、平成3年3月決定の「かながわ青少年プラン改定実施計画」に沿って推進した(文献0305)。そのなかで、「大人のつくった社会参加観の中での活動を期待したり、青少年に特別な行為を要求したりするのでは、青少年の自主性の芽は育たない」などの指摘がされた。横浜市では、青少年問題協議会が、「こころ豊かな市民への成長をめざして」(文献0323)の意見具申を行い、今日の青少年、とくに大学生の個人化と、私化の傾向に対して、「社会への主体的な参加によって、周りの人々や社会とのかかわりから自己認識を深める」として、地域文化活動への参加による人格形成の意義を提唱した。
 愛知県では、青少年問題協議会が、「青少年の社会参加活動の促進方策について」(文献0348)を提言した。そこでは、人類の存続すら危惧されるという地球規模での危機意識をもって、目前にせまった21世紀を担う青少年の社会参加を考えることなどが検討の方向とされ、青少年に地域を知らせる、地域に青少年の受け皿やたまり場をつくる、生涯学習時代にふさわしい地域づくりをする、などの施策が提言された。京都府では、「京都府青少年プラン」(文献0478)を策定した。その視点として、大人一人ひとりが青少年を育てること、京都府の特性を活用すること、などが挙げられた。大阪府では、「大阪府青少年育成計画(プラネット計画)」の計画期間の終了に伴い、「第2次大阪府青少年育成計画(新プラネット計画)」(文献0321)を策定した。この計画作りの視点としては、おとな社会の問い直し、青少年文化の積極的評価、おとなと青少年の共育、などが挙げられた。
 島根県では、これまで昭和60年度を目標とした島根県新長期計画をもとに青少年健全育成に努めてきたが、新たに「伸びゆく島根21世紀計画」(文献0335)の中で青少年対策を県政の重点施策に位置づけて取り組んだ。宮崎県では、平成3年度に策定した第4次総合長期計画において、こころ豊かでたくましく、行動力に富んだ青少年の健全育成を基本目標に掲げた。その一環として、団体指導者の養成として「新ひむか塾長会議」(文献0358)を開始した。そこでは、県内で活動する地域づくり研究活動グループのリーダーを対象として、そのネットワーク化による新しい活動の創造を目指された。
1992年度
 山形県で、共生、融合、創造、自己実現、関係の5つをテーマとする「新アルカディア構想」に基づいて「やまがた青少年プラン」(文献0466)を策定し、①自然や人との豊かな体験の充実、②社会参加、社会貢献活動の推進、③子育て環境の整備、④個性と創造性あふれる学校づくり、⑤地域のリーダーや青少年育成指導者の養成、⑥地域の活性化と地域づくりの推進、⑦(遊び空間をそなえた)青少年の交流拠点の整備、⑧国際性豊かな青少年の育成、⑨家庭・学校・地域社会を結ぶネットワークづくり、の重点目標を設定した。群馬県では「群馬県青少年健全育成マスタープラン」(文献0521)を策定し、①たくましい精神と身体をもつ青少年、②自然や人とのふれあいを通して学ぶ青少年、③社会参加活動を通して豊かな心を育む青少年、④情報を選びいかす青少年、⑤郷土を愛し世界の仲間とともに生きる青少年、の「めざす青少年像」を掲げた。埼玉県では青少年の健全育成に関する総合計画として、「さいたま青少年育成指針」(文献0524)を策定した。富山県では、前年度から「新富山県民総合計画」(文献0671)をスタートした。そこでは、①若者の感性にあった都市や深夜まで楽しめるまちづくり等の遊環境づくりなどによる「若者の定着と流入」、②若者意見の反映などによる「若い力の発揮」、③家庭教育の充実などによる「青少年の健全育成」、が施策化された。
 「名古屋市青少年問題協議会」が設置した「青少年育成環境問題専門委員会」は、「子どもたちが生きいき育つ地域づくりをめざして」(文献0531)の報告を行ない、①地域に残る自然とのふれあい、②子どもが利用しやすい施設の整備、③子どもの遊び・スポーツ活動の工夫と遊び場の確保、④子どもの文化活動に対する援助と有害環境の浄化、⑤多くの青年や大人が参加する青少年育成活動、⑥家庭連合による学校週5日制への対応、をその「課題と方向」として挙げた。ここで「家庭連合」とは、子どもが近隣で過ごすときに、近隣の親たちの協力により、団地の駐車場を遊び場に開放したり、子どもの絵かき教室を開いたりするものである。
 「神戸市児童の健全育成のための環境づくり懇話会」は「今後の児童健全育成施策のあり方について」(文献0523)の提言を行ない、①子育てについての意識変化への対応、②子育てに対する経済的負担の軽減、③子育ての心理的負担や身体的負担の軽減、④子育てと就労の両立のための対応、⑤生活環境の改善、⑥母子保健医療対策の推進、⑦ひとり親家庭への対応、⑧保護を要する子どもへの対応、⑨障害のある子どもへの対応、などの必要性を主張した。
1993年度
 川崎市青少年問題協議会「青少年の豊かな人間形成のために」(文献0702)は、主要産業の担い手としての歴史を持つ川崎市の特徴として、各領域における父親の役割等も含め、市民としての企業のかかわりが存在しているが、母子一体によって父親の存在感が相対的に低くなり、受験戦争により社会体験を学ぶことなく成長してしまうことを考えると、子育てへの積極的な支援や援助が求められるという基本的認識を示し、家庭・学校・企業及び地域の役割とその相互連携について提言した。岐阜県個性を活かす社会づくり懇談会「個性を活かす社会づくりに向けて」(文献0704)は、その視点として、①個性を活かす社会づくりと教育、②自己教育力の養成、③生涯教育の体系化、④人間観の変革、⑤教師観の変革・教師自身に対する視点の見直しなどを提言した。これを受けて、「岐阜県個性を伸ばす青少年対策検討委員会報告書」(文献0705)は、方策推進のための基本方向として、①自主性の尊重、②知的好奇心の尊重、③発達段階に応じた対応と体験的活動の重視、④21世紀に向かう社会的潮流を見据えた展開、⑤役割の明確化と連携のとれた取組みなどを提起した。報告では、個性が尊重される社会とは、画一社会における欠点是正主義とは異なり、長所優先主義で、個性の多様性、異質性が尊重される社会であるとしている。
 「京都市青少年育成計画」(文献0615)は、計画策定の視点として「現代の青少年への視点-『個』の尊重(青少年の『個』の尊重)」を挙げ、従来のように青少年を『集合』としてとらえることから離れて、『個』としてみつめ、基本的人権の尊重を出発点として、個人差の大きさもそれ自身、独自の価値をもつものとして尊重するよう提言した。埼玉県青少年問題協議会「ゆとり社会における青少年の育成」(文献0707)は、①過酷な受験競争、②学校歴社会、③物質的豊かさ、④「三間」(時間・空間・仲間)の減少などの青少年を取り巻く環境と、①積極的意欲の減退、②生活体験の欠如、③ひよわなコミュニケーションの力などの青少年自身の問題や学校週5日制の問題を指摘したうえで、①ボランティア活動の促進、②国際交流活動の促進、③体験学習の充実、④環境教育の充実、⑤生涯学習の視点の重視などを青少年育成活動に対して提言した。東京都青少年問題協議会「青少年が主体的、創造的に生きる21世紀を」(文献0712)は、青少年の新しいライフスタイル確立のためには、自由時間を主体的・創造的に活用し、活動を展開できるような精神や態度をも含むいわば「余暇(活用)能力」が必要であるとした。また、必要な環境と制度として、青少年の余暇能力の育成と余暇活動を通じての人間的成長の視点から、既存の文化・学習施設やスポーツ・レクリエーション施設を改めて見直すこと、青少年にとってより魅力ある施設にするための再整備をはかること、青少年が「自由時間」を十分活用できるように、あるいは青少年の余暇活動を十分サポートできるように、社会システムを構築することなどを提言した。
 「鳥取県青少年育成基本構想」(文献0714)は、「柔軟な思考ができる創造力豊かな青少年」と「自分で正しく判断し自発的に行動できるたくましい青少年」を21世紀の鳥取県を担う望ましい青少年像とした。新潟県青少年問題協議会「青少年の豊かでゆとりある生活の創造について」(文献0715)は、とくに地域生活の充実に関する施策に重点を置いて具申された。山梨県青少年総合対策本部「やまなし青少年プラン」(文献0718)は、①青少年の自主性・主体性の尊重、②「教育」から「共生」への意識改革、③各領域の役割の認識と連携、④青少年問題は大人の問題、の4つをその基本方向に据えて施策を進めた。
 横浜市青少年問題協議会「青少年の主体的成長・発達をめざして」(文献0719)は、彼らの健全な発達を保障する環境づくりについて提言したうえで、青少年自身がこの世に生まれでた命を自らが誇りとすることができ、また自覚と自律心のある人間として健やかに成長することを願い、青少年に対して次のように訴えた。①君たちの心を親はわかってくれているか、②先生をバカにしていないか、③モノをとることをどう考えているか、④社会のルールを守り、積極的に社会に参加すること、さまざまなハンディキャップをもった人と共に生きることの重要さを、君たちはどこまで理解しているか、⑤「いじめ」をしている君たちの心もむなしくないか、⑥君は自分に誇りを持てるか。
1994年度
 総務庁青少年対策本部「平成6年度版青少年白書」(文献0882)は、青少年にとってのボランティア活動の意義をとりあげて、「青少年がそのみずみずしい感性をいかして、人と人とのネットワークの中に自らの居所を求め、さらにうちなる声に衝き動かされ、そのネットワーク自身をより高くへと持ち上げようとしていくことは、21世紀に向けて真に豊かさが実感できる社会、生きがいのある社会を実現していくための重要なステップであるともいえよう」と評価した。
 富山県は青少年問題の対策に関する基本的認識として、「青少年はその時代を写し出す鏡でもある」とし、青少年問題は社会全体、とりわけ大人の姿勢の問題であるということを常に認識し、家庭、学校、職場、地域社会等、社会の各分野において大人たちが、それぞれの役割と責任を果たすよう提唱した(文献0883)。愛知県は、愛知県青少年問題協議会からの提言「青少年情報サービス体制の整備について」に基づき、「平成6年度青少年活動情報等実態調査-市町村青少年社会参加関係施策と情報提供、青少年団体の現況・活動」(文献0910)を発行した。三重県は青少年対策の基本方針の1つとして「自主的、主体的な青少年健全育成活動の促進」(文献0798)を挙げ、「青少年が本来持っているエネルギーと創造力を引き出すため、青少年が感動を覚えるような機会、自然や人と触れ合う場など、様々な体験が得られる活動を充実するとともに、自らを成長させ自立していくうえで大きな役割を果たす各種社会参加活動や国際交流活動を青少年自らが企画・運営することを重視しながら促進する」とした。岡山県青少年問題協議会意見具申「少子化社会と青少年の健全育成」(文献0912)は、「みんなと違うからこそ価値があること」などを子どもたちに伝えていくような教育を展開することによって、画一を是とすることによる弊害の解消を求めた。
 佐賀県は青少年の健全育成上の重点推進事項の1つとして「健全な家庭づくりの推進」(文献0915)を挙げ、「特に、平成6年が国際家族年であることを踏まえ、家族の役割や機能、現状と問題に対する県民の関心を一層高め、理解を深める一方、『家庭の日』の一層の定着を図るため、積極的な広報啓発活動を行う。また、家庭における養育を支援するための相談援助体制の確立、家庭教育について情報交換・相互扶助を行えるような地域交流活動の推進及び児童福祉諸施策の充実を図る。さらに、職業をもつ親が仕事と育児を両立させるという観点から、育児休業制度などの定着を図る」とした。熊本県は「平成6年度青少年健全育成施策」(文献0940)として、「家庭、学校、職場、地域の連携の下に、青少年を取り巻く健全な社会環境の整備を進めながら、青少年が成長期に感動を覚えるような社会参加活動を一層充実していくとともに、成長過程に応じた自然体験・ボランティア活動や国際交流活動等の各種活動についても積極的な推進を図っていく」とした。
 横浜市青少年問題協議会意見具申「青少年の成長・発達と家族」(文献0922)は、①ボランティア活動を促進するために、いろいろな工夫をすること、②親としての自覚を促すための施策を実施すること、③地域の相互援助ネットワークづくりを推進することの3つを重点項目とした。北九州市青少年問題協議会提言「北九州市における青少年育成の基本的あり方について」(文献0815)は、子育て環境の整備のための行政の支援として、①両親教育の早期実施、②学習機会と場の提供、③情報提供・相談機能の充実、④父親の子育て参加の促進、⑤共働き世帯への支援の5つを掲げた。福岡市は青少年対策の基本方向の1つとして、「子どもの生活時間・空間を全体的に見直す中で、子どもが楽しく主体的にゆとりのある時間を過ごせるよう努めるとともに、自然とのふれあいやボランティア活動、あるいは、国際交流活動等さまざまな社会参加活動ができるよう取り組んでいく」とした。
1995年度
 堺市青少年健全育成推進計画「SEED計画」(文献0800)は、「青少年対策は、青少年の営む『生活全体の質』を高めるものでなければならない。社会環境の全体を捉え、それを制御しうる積極的で、総合的な社会システムを開発していかねばならない」とした。「守口市青少年健全育成計画」(文献1025)は、「青少年が変わったとか、理解できないとか嘆くのではなく、彼らの持つ新しい感性や表現方法を積極的に理解し、認知していく」とした上で、「人間や自然との共生を図り、ゆとりとぬくもりのある豊かな都市環境をつくる」、「青少年の夢を育て、生かすという視点に立って、青少年育成の観点を組み込んだ地域環境のあり方を見直す」とした。
 このように、「青少年対策」にとどまるものではなく、現代社会の大人自身がもっと人間的に成長することや、社会自体がもっと生きやすく、他者とともに生きることのできる社会になることと重なっているという認識が示された。
 神戸市青少年育成推進本部が、「(青少年の自発的なボランティア活動への積極的参加について)今回の震災をきっかけとして、多くの青少年がみずからすすんでボランティア活動を行い、その活動に対して高い評価を得ている」として、震災後の厳しい状況の中で、若者のボランティア活動の潮流への期待を示した(文献1308)。
 埼玉県の青少年育成では、その基本理念として、「青少年問題は大人の問題」とし、「大人自身の生き方や社会のあり方を問い直し、大人一人ひとりが青少年育成に対する責任を自覚する必要がある」とした(文献1129)。東京都青少年問題協議会答申「青少年の自立と社会性を育むための基本的考え方」(文献1131)は、いじめ問題への対応について、「どうしたら社会全体に、正義が尊重され、勇気をもつことが価値とされるような文化を作り出すか、大人の姿勢が問われている。大人たちがボランティア活動にかかわる姿を一般化させ、ボランティアが日常化している社会的風土を広げることが必要である。こうして、社会全体が人にやさしい社会となる時、いじめは限りなく終息に近づくことであろう」とした。
 三重県では、いじめについて、「人権に係わる重大な問題」であることを社会全体の共通認識として位置づけるという方針のもと、父親の出番を重要な要素として受けとめるよう提唱した(文献1252)。「わかやまの青少年プラン」(文献1071)では、「大人自身が青少年とともに学び、育つ姿勢を堅持します」という視点のもと、「青少年が世代をつなぐ意思を持って自立していくために、大人もともに働き、ともに生活し、次代を育てる喜びと意味を自覚する必要があります。そのためには、大人自身が健やかに育ち、また、育とうとする努力が大切であり、新しい年齢観や世代役割を考え、創造し、ともに学び育つ姿勢を持ち続ける、いわゆる生涯学習の視点が重要」とした。福岡市の「青少年対策の基本方向」(文献1090)では、青少年の非行等問題行動への対応について、「単に対症療法的な対応や事後的措置だけでなく、大人社会の問題でもあるとの認識のもとに広く青少年の健全育成を基本とした総合的な取組を推進する必要がある」とした。
1996年度
 秋田県は、平成8年度から5ケ年間の期間で、「自主的に判断し行動する青少年を育成する」等を基本目標とする秋田県青少年プラン(文献1322)を開始した。「秋田県テレホンクラブ等営業の規制に関する条例」に関しては、これを機に、県民すべてが青少年に対する深い理解と思いやりを持つよう訴えた(文献1392)。千葉県は、「ちば新時代5か年計画」(文献1396)の初年度に当たり、いじめ対策関連事業の実施、相談機関相互の連携強化、適応指導推進研究校の指定、青少年のリーダー養成や国際交流、大学生等の青年を対象とした「青年ボランティア養成講座」の開設などの施策を展開した。「第21期東京都青少年問題協議会答申-青少年の自立と社会性を育むために東京都のとるべき方策について」(文献1249)に関して、高橋勇悦は、①対人親和性を育てる、②他人への共感性を育てる、③愛他心を発達させる、④人びとの多様性を受け入れる態度を育てる、⑤自己価値観を育てる、の5点を重点として挙げた。神奈川県では、青少年をめぐる新たな施策課題や時代の要請に応えるため、「かながわ新総合計画21」の個別計画として、平成9年度から展開される「かながわ青少年プラン21」(文献1370)を策定した。
 「第3次神戸市青少年育成中期計画」(文献1308)は、震災時のボランティアとして活躍した青少年の若い力に注目し、震災からの復興と21世紀への神戸のまちづくりを進める中心的担い手として、青少年の行動力と創造力に期待した。また、「青少年の心のケア」について、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、既存の相談機関や震災後に設置された各種相談窓口などが情報や意見の交換を行い、連携を強めて対応し、併せて、教育、医療、福祉等様々な専門分野の人たちも一体となって長期的に取り組んでいく必要があるとした。
 岡山県青少年問題協議会は「情報化と青少年」(文献1393)について意見具申を行い、生き生きとしたコミュニケーションづくりをめざして、子どもの明日を拓く情報センターの設置を提案した。これは、「青少年が興味を持つ遊び、趣味、学び、ボランティア、アルバイト、将来の職業など、あらゆるジャンルの情報提供の拠点として、すべての青少年が自由に気軽に訪れ、集い、それぞれの思いを語りあい、情報を探索したり、その調査サービスが受けたりできるような、交流サロン、マルチメディア機器等の設備、豊かな情報、伝言板的なニューメディアの場、サポートする人材が準備されているセンターである。情報提供アドバイザーを常勤で配置するほか、大学生、主婦、高齢者等のあらゆる層のボランティアを多く募ろうとした。
 「福岡市こども育成環境づくり指針」(文献1310)は、こどもを固有の社会的存在(こども市民)としてとらえ、まち全体をあそび、活動できる場にしようと訴えた。また、地域住民が自らの目で地域のこどものための環境を見直し、そのあり方を考えていくため、限られた一部の人に任せてしまうのではなく、高校生、大学生、父親及び高齢者等の参画を得て、地域コミュニティとしてこどもの環境や活動を考え、地域社会全体の合意を作り出していくよう提起した。
1997年度
 数年の文献で散見された青少年育成に関わる社会や大人の責任を問う姿勢が普遍化し、大人自らの市民としての変革と社会風土の革新を求める論調が強くなった。
 青少年対策に関しては、国の青少年問題審議会が、4月に「『高度情報通信社会』に向けた青少年育成の基本的方向-青少年の社会参加の拡大とその課題(意見具申)」(文献1645)を提出した。東京都青少年問題協議会は「性の商品化が進む中での青少年健全育成(中間答申)」(文献1622)で、いわゆる「淫行処罰規定」は、相手方となる大人を処罰する規定であっても、行為自体を「淫行、みだらな性行為」と定義することで、青少年の性に関する行動全般を不良視し、青少年に対する心理的な抑制効果をもたらすなど、かえって青少年の性的自己決定能力を育む機会を失わせる危険性もあるという認識を示しながらも、大人を処罰する「買春等処罰規定」を設けることはやむをえないとの結論に達した。そのため、青少年の性的自己決定能力の育成を重視し、家庭、学校、地域社会それぞれが情報を発信する場となるよう提言した。
 川崎市青少年問題協議会は「青少年の健全育成に向けた社会環境健全化の具体的推進策について(意見具申)」(文献1679)で、大人の側が本腰を入れて取り組むべき具体的推進策として、カウンセリングマインドとグループワークの能力の取得(大人がまず変わるために学ばなければならない)等を挙げた。静岡県青少年問題協議会は「豊かな感性と新しい市民性をはぐくむ青少年の参加・体験活動の推進方策(意見具申)」(文献1682)で、従来ともすると学業の妨げになるなどの理由で制限されていた高校生のアルバイトについて、原則として家庭の責任においてアルバイトができるように、柔軟に対応するよう求めた。
 「札幌市青少年育成計画」(文献1541)は、青少年主体、共生社会、ノーマライゼーション、相互理解と協力の体験機会、生涯学習推進の5視点を掲げた。「青少年の自立と社会活動のための東京都行動プラン」(文献1683)は、青少年の自立と社会参加の促進、青少年をとりまく環境や条件の整備、青少年の健全育成の担い手の養成の3目標を掲げた。東京都児童環境づくり推進協議会「子どもが輝くまち東京(2期最終報告)」(文献1605)は、子どもが自由に使える時間「ノー塾デー」や、群れて安らげる場「現代版子ども宿」づくりを提言した。
1998年度
 青少年問題審議会が「青少年の問題行動への対策を中心とした西暦2000年に向けての青少年の育成方策について」を審議した(文献1980)。また、内閣総理大臣のもと、関係審議会の代表者等の有識者から成る「次代を担う青少年について考える有識者会議」が開催され、同年4月には自然体験、生活体験の重視や、学校外での青少年の居場所づくりなどを提言した。
 東京都は「青少年の自立と社会活動のための東京都行動プラン」(文献2045)を平成10年3月に策定した。横浜市議会は、社会が一体となって子どもたちが健やかに育つ街づくりを推進することを決意し、全会一致で「生き生きはまっ子都市宣言」を決議した。これを受け、横浜市青少年問題協議会が「青少年の発達と社会環境づくり」(文献1824)を意見具申した。そこでは「大人が青少年のために社会環境を改善するということの他に、青少年自身が自らの問題を解決することができるように、青少年の発言の場や活動の場を広げる必要もある」とされた。
 三重県青少年対策は、同年度の基本目標を「生きる力をはぐくむ-人に優しい心と変化する社会に主体的に働きかける力を持った青少年の育成」とし、いじめが人権に関わる重大な問題であることを社会全体の共通認識として位置づける必要があるとした(文献1823)。大阪府青少年育成懇話会は「第2次青少年育成計画(新プラネット計画)」に代わる新しい青少年育成計画の策定(平成13年)に向けた検討を行い、「共育」「コミュニティの再構築」「予防的視点の重視」「未来への対応-積極的な成長の機会の提供」の視点を提起した(文献2037)。また、青少年のニーズや意見を今後の計画づくりに反映させるため、青少年自身の参加による大阪府青年政策会議が設置された。同会議は、青少年が夢を持つためには、青少年から見て将来の夢や希望が持てるような社会が必要であり、今後、そのような社会を作り上げていく「良い大人」が必要だとした。
 岡山県青少年問題協議会は、青少年の主体的活動及び育成活動の促進等について報告し、「地域の子どもは地域で育てる」ことを提起した(文献2039)。徳島県の子ども県議会は、いじめ・非行・人権等について「子ども県議会宣言」(文献1981)を宣言した。
1999年度
 青少年対策に関しては、そのほとんどが社会や大人の現状に関して危機感を訴えた。
 青少年対策の全国的動向に関しては、第15期青少年問題審議会答申「『戦後』を超えて-青少年の自立と大人社会の責任」(文献2286)が、多元的な評価、多様な選択肢のある社会への転換等を訴え、青少年育成基本法(仮称)の制定に向けての検討を提言した。また、「青少年を非行からまもる全国強調月間」のほかに、少年サポートセンターの展開、児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の制定、全国子どもプラン(緊急3ヶ年戦略)、学習指導要領の改訂、児童・青少年の居場所づくりの推進、児童虐待に対する取組、青少年と放送に関する調査研究会及び専門家会合の開催等が行われた(文献2345)。
 各地の青少年問題協議会の提言に関しては、釧路市「子どもプラン中間報告」(文献2418)が、あらゆる機関、組織の力を活用した体験活動などの必要性を訴えた。茨城県「21世紀青少年支援の方向性-青少年健全育成の中長期的対策について」(文献2403)は、「大人自身のあり方が厳しく問われている」とした。
 東京都では、「子どもの権利条約について-子どもの権利条約をいかす東京プログラム」(文献2230)及び「子どもたちの放課後を豊かなものにするために」(文献2428)が答申された。神奈川県「21世紀を担う青少年のために、今、取り組むべきこと」(文献2415)は、家庭、学校、地域が開かれた関係を持ち、協働して取り組むよう訴えた。横浜市「21世紀の社会を担う青少年の自立促進と社会参加」(文献2437)では、「われわれが青少年に対してその参加を求めている社会は、彼らにとって本当に魅力ある社会となっているのか」として、「健全育成」という言葉が避けられた。川崎市「共に生き共に育つ川崎をめざして-川崎市青少年プランの策定にあたって」(文献2308)は中高校生の居場所づくり、個人や集団の「個」を大切にすること等を提言した。
 新潟県「青少年健全育成に向けての提言」(文献2431)のテーマは、「子どもが子どもでいられない。子どもがいつまでも巣立てない。そんな状況を作り出したのは私たち大人」とされた。愛知県「新たな愛知県青少年健全育成計画策定の基本方向について-共に育ち合う社会をめざして」(文献2398)は、青少年の居場所づくり、青少年を支援する大人社会の在り方等を提案した。三重県「みえ・わかもの新世紀ビジョン」(文献2310)は、コミュニケーション、コーディネーション、コラボレーションの3つのCをキーワードとした。島根県「青少年を取り巻く現状・問題点・施策の方向性について」(文献2421)では、「児童生徒の意識と行動に関する調査」が実施された。広島県「地域における青少年育成活動の活性化と家庭・学校・地域社会の連携に関する指標」(文献2231)は、地域の大人の青少年育成に対する自覚と青少年の参加意識を高めていくことが大切」とした。沖縄県「おきなわ青少年育成プランの策定に当たっての基本的な考え方と施策の方向について」(文献2408)は、青少年の『自分探しの旅』に視点を置いた。
 東京都は「基本ルールを守れない子どもたちの増加は、価値バランスが崩壊した社会の反映であり、大人自身がその責任を自覚し、子どもたちを育てていく必要がある」とし、「心の東京革命」(文献2423)を提起した。「福岡市子ども総合計画-子どもが夢を描けるまちをめざして」(文献2433)は、社会がめざす目標や理念が揺らぎ、社会正義が一部で見失われ、モラルが欠如するなどの大人社会の一面を指摘した。
2000年度
 青少年問題審議会の前年度答申「『戦後』を超えて-青少年の自立と大人社会の責任」の具体化に向けて「青少年政策の総合的推進に関する研究会」(文献2790)が設置され、国の青少年行政の総合的かつ計画的な推進に社会全体として取り組んでいく上での対応の方向性や、国及び地方公共団体、企業等、地域の青少年団体、地域の自主的活動者、青少年の保護者などがそれぞれ果たすべき役割などについて報告した。
 静岡県では0歳から24歳までを対象とした「意味ある人」づくりのため、「ふじのくに青少年健全育成総合戦略提言書」がまとめられた(文献2654)。ほかに、「新青森県長期総合プラン」を基本とする「青森県青少年対策基本計画」(文献2901)、「あきた21総合計画」と連動した「第8次あきた青少年プラン」(文献2901)、「県民総ぐるみで取り組む」ための「とちぎ青少年プラン」(文献2912)、「共に育ち合う社会」を目指す「あいちの青少年育成計画21」(文献2900)、「すべての青少年が健やかに育まれるくまもとづくり」のための「くまもと青少年プラン」(文献2850)、「大分県長期総合計画(おおいた新世紀創造計画)」の部門計画としての「豊の国青少年プラン21」(文献2903)が策定された。
2001年度
 全体の文献の特徴として、1985年臨時教育審議会第1次答申以来の「個性重視」が影を潜め、前年からの17歳の殺人事件に象徴される少年の凶悪犯罪の続発以降、「社会規範」の重要性を説く議論が強まっていることが挙げられる。この議論が個人化機能と社会化機能の二項の間を無為に往復しただけの結果に終わらぬよう留意したい。この二項対立を乗り越える統合機能が実践と研究に求められていると考える。
 各自治体の青少年対策については、前年度から同年度にかけて多くの計画が策定された。「青森県青少年対策基本計画」(文献3250)は基本目標を「21世紀を自らの力で切り拓くたくましい青少年の育成」とした。「第8次あきた青少年プラン」(文献3251)は「思いやりの心を大切に持ち、生き生きと暮らす青少年」の育成を挙げた。「ふくしま青少年育成プラン」(文献3284)は、活力ある青少年を育成するために地域社会が一体となって取り組むことをめざした。「ぐんぐんぐんま子育てプラン」(文献3226)は「子どもを育てるなら群馬県」を目標に、施策の総合化を図った。「あいちの青少年育成計画21」(文献3180)は基本理念を「青少年の自立をはぐくみ、共に育ち合う社会をめざして」とした。「京都市ユースアクションプラン」(文献3258)は青少年を地域社会を構成する「若き市民」として捉え、積極的な社会参画を促した。岡山県では「おかやま青少年さんあい運動-であい、ふれあい、たすけあい」(文献3253)による県民運動をめざした。宮崎県「ひむか青少年プラン21」(文献3269)は「新時代を切り拓く心豊かでたくましく行動力に富んだ青少年」の育成を総合目標とした。鹿児島県「地域が育む『かごしまっ子』育成プラン」(文献3255)は心豊かでたくましい「かごしまっ子」の育成をめざした。
2002年度
 青少年対策に関しては、福井県が「ふくい21青少年健全育成指針」(文献3809)のもとに推進している。茨城県青少年相談員連絡協議会は社会環境県下一斉実態調査報告書を出した(文献3638)。島根県は平成13年6月の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正を受け、ツーショットダイヤル等営業に関する規定の整備をするため条例等の改正を行った(文献3810)。
 静岡県教育委員会は「保護者のみなさまへ」(文献3811)を発行し、「子どもの問題を、私たち自身の生き方の問題として考え、真正面から子どもに対峠してほしい」と訴えた。渡辺かよ子は米国を中心とする先進各国で青少年問題への対応に顕著な成果を上げているメンタリング・プログラムを分析した(文献3812)。メンタリングとは、成熟した年長者であるメンターと若年のメンティとが、基本的に一対一で、継続的定期的に交流し、適切な役割モデルの提示と信頼関係の構築を通じて、メンティの発達支援を目指す関係性を指すとされた。星野周弘は「非行化を促す人間関係」(文献3553)として、行動準則の個別化の容認、過保護、連帯感の弱さ、匿名性などを指摘した。
2003年度
 内閣府が、平成14年から、青少年の育成の基本的な方向等について幅広く検討する「青少年の育成に関する有識者懇談会」を開催し、平成15年4月に「青少年の育成に関する有識者懇談会報告書」(文献3865)を取りまとめた。その基本的な対応の方向はおもに次のとおりである。
 
① 能動性を重視した青少年観への転換
② 社会的自立の支援
③ 特に困難を抱える青少年の支援
④ 率直に語り合える社会風土の醸成
 
 これを受け、平成15年6月、関係行政機関の緊密な連携をより高いレベルで図りつつ、青少年育成施策を一層強力に推進する体制として、内閣に内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする「青少年育成推進本部」が設置された。同本部は、以下の3点を基本理念とする「青少年育成施策大綱」(文献4140)を発表した。
 
① 現在の生活の充実と将来への成長の両面を支援
② 大人社会の見直しと青少年の適応の両方が必要
③ すべての組織及び個人の取組が必要
 
 同大綱には、「大人社会の見直し」「率直に語り合える社会風土の醸成」など、これまでの青少年施策、実践、研究の成果を反映した側面が認められる。
 次に、青少年自身の自己形成に関しては、「現在の生活の充実と将来への成長の両面を支援」として、「青少年が、現在の生活を充実して送るとともに、将来に向かって、挑戦と試行錯誤の過程を経つつ、自己選択、自己責任、相互支援を担い、社会とのかかわりの中で自己実現を図る、社会的に自立した個人として成長するよう支援すること」という記述がある(下線は引用者、以下同じ)。
 社会参画については、次の記述がある。(抜粋、カッコ内は施策)
 
① 社会的自立の支援
 青年期には、親の保護から抜け出し、社会の一員として自立した生活を営み、さらに、公共へ参画し、貢献していくことが重要。(人生設計、教育、職業選択、職業訓練、生活保障等に係る包括的な若者の自立支援方策を検討)
② 公共への参画の促進1=公的制度に関する情報提供・意識啓発
 選挙や税、社会保障、外交、防衛等に対する若者の関心を喚起するとともに、関係機関間の連携の下、各種の手段・方法を用いて投票参加等の呼びかけを行う。(各種広報媒体や、諸活動・諸行事等を活用した情報提供・啓発活動)
③ 公共への参画の促進2=政策形成過程への参画促進
 青少年の政策形成過程への参画を促進する。特に、青少年育成施策や世代間合意が不可欠である分野の施策については、青少年の意見も適切に反映されるよう、各種審議会、懇談会等の委員構成について配慮する。
(各種審議会や懇談会等における委員の公募制の活用、意見聴取の対象としての青少年の積極的な登用等)
④ 公共への参画の促進3=社会貢献活動
 すべての青少年がボランティア活動に参加できるよう基盤整備を行う。活動に関するモデル事業の実施やプログラムの開発等を行う。開発途上国における協力活動の機会を提供する。多様な文化と共に生きていく意識を向上させ、国際的な活動や地域における社会的な活動への貢献を促進する。

 本研究の視点からは、同大綱が、自己成長と社会参画に関連して、「人生設計、教育、職業選択、職業訓練、生活保障等に係る包括的な若者の自立支援方策」が検討されていることに特に注目したい。支援が「包括的」に行われることは、個人化支援と社会化支援の統合や、青少年自身の「自己形成」と青少年の社会参画による「社会形成」の一体化にもつながると考えるからである。
 
(3) 「青少年育成国民運動」
 1965年(昭和40年)9月の中央青少年問題協議会意見具申「青少年非行対策に関する意見」等を契機として、同年11月、閣議で国民運動の展開が提唱された。これを受け、国民の総意を結集した「青少年育成国民運動」の推進母体として、1966年(昭和41年)5月に青少年育成国民会議が発足した。
 この国民運動では、「親や、青少年を指導する立場にあるものはもちろん、一般国民がその姿勢を正すとともに、青少年問題についての関心を高め、積極的に青少年育成につとめるよう政府および公共団体の青少年施策の強化を求めると同時に、これに協力して十分にその効果をあげる」(昭和41年5月27日「青少年育成国民会議結成大会宣言」)ことが目指されている。運動発足と同時に青少年育成国民会議が結成され、現在では全都道府県に青少年育成都道府県民会議が、全国の約7割の市町村に市町村民会議が結成されている28。
 ここでは、同国民運動の「青少年育成」(青少年の社会化支援)に関する支援理念の変遷について検討する。
1990年度
 神奈川県では、昭和63年1月の「かながわ青少年プラン」を受けて「ふれあい教育運動」が取り組まれ、県民会議が県民行動計画を作成した(文献0121)。滋賀県では、昭和63年10月の「アクティユースプラン-滋賀県青少年育成長期構想」を受けて、「ひとの時代、活力創生の郷土づくり」(文献0183)をテーマとした湖国21世紀ビジョンの実現を目指して取り組んだ。兵庫県では、「こころ豊かな人づくり」県民運動を支援するため、自治会や子ども会などの既存組織との連携のもとに「ひょうごっ子きょうだいづくり事業」(文献0187)を行った。
 このように、県民・市町村民運動としての国民運動は、自治体の青少年行政とタイアップして行われてきた。自治体が青少年育成国民運動の発展に対して行政独自の役割を今まで以上に発揮しながらも、国民運動自体がいっそう住民の手によって自主的・自発的に活発に進められるような行政の関わり方を明らかにする必要がある。
1991年度
 住民みずからが地域の特性を活かして青少年育成に取り組んでいるものが多く見られた。たとえば、名古屋市では、小学校区域ごとと中学校区域ごとに育成組織がつくられており、それぞれが地域の実情に応じて多様な青少年育成活動を展開した(文献0297)。
1992年度
 熊本県では、県下各地の子どもたちの活動に対して補助金を交付する「わがまち大好き!もやい活動支援事業」(文献0532)を開始し、初年度は、27市町村48団体によってさまざまな活動が行なわれた。また、青少年育成国民会議は「生かそう、学校週5日制」(文献0537)を発行し、具体的条件づくりとして、①地域の育成体制の充実、②ヤル気のある指導者のネットワークづくり、③活動の場の整備・充実、④子どもたちに魅力ある活動を、⑤非行防止への配慮を、⑥安全対策と情報提供を、と提案している。さらに、同会議におかれた特別研究委員会は「21世紀に向けての青少年育成構想」(文献0538)を報告し、「少子化と青少年育成」に関して、①育児条件の整備、②子育てを社会的な視点で、③男性の育児参加、④育児に対する職場での理解、⑤地域の中で子育てネットワークを、と提言している。
1996年度
 青少年育成国民会議が、30周年を記念し、①青少年活動の推進、②国際化時代の青少年育成活動、③家庭生活の変化と国民運動の対応、④青少年の非行や問題行動の防止と社会環境浄化活動、⑤青少年育成の指導者養成、⑥運動の広がり-地域と中央の展開の6つの視点でこれまでの青少年育成運動をまとめた(文献1325)。さらに、子どもや若者と直接かかわる親・教師・青少年指導者や、さまざまな活動の場や機会づくりをすすめている青少年関係団体や機関などが、ともに手を携えて青少年育成に取り組む国民運動の姿を表すため、愛称「のびのびユースネット」(文献1405)の構築を始めた。
1997年度
 総務庁青少年対策本部「青少年健全育成中央フォーラム-青少年健全育成のために薬物乱用の防止を考える」(文献1432)で、和田清が、薬物乱用防止も必要だが、薬物依存は「治す」という区切りのある病気ではないとし、脱慣とその維持は、家庭、医療機関、教育機関、取り締まり機関等あらゆる所の連携的サポートなしには不可能に近いと訴えた。東京都「青少年の健全育成を推進する都民集会」(文献1693)で、加藤諦三は、「自立社会」という言葉の裏側は「中毒社会」であるとし、「大切なのは真面目さではない」と訴えた。
 神奈川県青少年問題協議会は「青少年の多様な体験活動の促進に向けたしくみづくり(報告)」(文献1620)で、「市町村レベルの青少年育成組織設立の支援」により、多様な団体や組織の参加を促進するなど柔軟で風通しのよい組織にするとともに、さまざまなレベルでのネットワークを結ぶよう提言した。
 山梨県「青少年育成フォーラム」(文献1695)では、4年目の最終年度として、「やまなし青少年プラン」実現に向けての総合的な取り組みとして、「各領域の役割の認識と連携」のテーマで、家庭・学校・地域社会・職場の在り方や相互連携の可能性を探った。5月に制定された鹿児島県「心豊かな青少年を育てる運動推進要綱」(文献1543)では、これまでの「未来へはばたけ青少年運動」の成果を継承しながら、青少年の主体的活動の促進、地域ぐるみの青少年育成、関係機関・団体が相互に連携した運動の推進の3つの取り組みを提示した。沖縄県「青少年の深夜はいかい防止県民一斉行動」(文献1660)では、青少年の夜遊びや深夜はいかいの現状に対し、全県民が生活リズムの確立を図り、大人自らが夜型社会を是正するよう求めている。
1998年度
 国際的にはエンパワーメントとして、国内では「生きる力」を育むものとして、青少年の教育およびそれへの青少年自身の参加・参画に期待する論調が強まっている。また、青少年育成に関わる社会や大人の責任を問う姿勢が定着し、親をはじめとする大人自身の生き方の見直しと社会風土の革新を求める議論が多かった。
 各地の県民会議が少年の主張等の大会を実施した。青少年育成香川県民会議は、県と一体となって、CAP(Child Assault Prevention:子どもへの暴力防止)事業や「青少年の自立支援事業」(文献2056)を実施した。
2000年度
 青少年育成国民会議は、都道府県民会議や青少年育成関係団体等の運動関係者とともに、「大人が変われば、子どもも変わる」をスローガンに掲げ、「子どもたちに積極的に声を掛け、顔見知りの関係をつくり、良いことは褒め、元気がないときは励まし、危険なことやルール違反には注意をする」などの「地域のおじさん、おばさん運動」(文献2796)を進めた。
 福岡県では、「まず、大人が意識を変えよう」に始まる「天性を見出し育成に努める-青少年アンビシャス運動100人委員会中間報告」(文献2853)を出した。「社会を明るくする運動」(文献2854)は第50回を迎え、「犯罪や非行が生まれるのは地域社会であり、また、罪を償い、更生を果たす場もまた地域社会に他ならない」という立場から、更生保護と学校との連携を図り、学校と地域社会を結びつける役割を果たしている。
2002年度
 健全育成の重要性に対する認識が深まるとともに、そのためには国民運動としての地域の活動が不可欠であることが共通認識となった。また、児童虐待等の問題が焦点となり、その解決が急がれる一方で、児童福祉等の分野で子どもたちの心の問題にまで配慮するなど、量的な面だけでなく、質的な面でのサービス向上が議論された。
 茨城県が「青少年健全育成活動実践事例調査」(文献3813)を行った。愛知県は、前年度に引き続き青少年健全育成モデル事業を実施し、健全育成事業や市町村民会議による青少年の自然体験、社会体験事業を募集し、選定のうえ、実施を委託した(文献3814)。
 国民会議が有害環境モニター報告書を発行した(文献3815)。これは、青少年にとって有害と思われる地域の社会環境の実態把握を主たる目的に、平成14年度から取り組んできたもので、主として18歳以下の子どもたちにとって好ましくないと思われる社会環境について、日常生活の中で感じたこと、見かけたこと、疑問に思ったことなどを集約するものである。国民会議では、寄せられた意見をまとめた「ニューズレター」を年2回発行した。
2003年度
 青少年育成秋田県民会議は、当年度から「青少年に夢と希望と自信を」をスローガンにした「秋田アンビシャス運動」(文献4111)を、新たに県民総ぐるみ運動として展開した。鹿児島県青少年育成国民会議は以下の事業を推進した(文献3913)。①「心豊かな青少年を育てる運動」の推進、②青少年を育てる「地域の力」の強化促進、③県民会議運営事業の推進、④青少年健全育成推進事業の推進、⑤青少年育成センター事業の推進、⑥青少年会館管理運営事業の推進等。青少年育成国民会議が提唱し、全国で展開されている「大人が変われば子どもも変わる運動」の普及にも取組んだ。
 清水英男は「地域ぐるみの青少年育成に関する一考察」(文献4139)として、「子ほめ条例」に関する先進町村の事例を分析し、その成果や課題を明らかにした。また、西村美東士は「居場所づくりと青少年育成の考え方」(文献3864)において、青少年育成への懐疑としての「居場所論」、個人化と社会化の分裂状況などについて述べ、次のように指摘した。意図的に「自分らしくいられる」居場所をつくろうとする場合は、個人として深まること(個人化)と社会的な資質・能力を身につけること(社会化)を統合的に進めるよう配慮することが、若者のニーズに的確に応えることにつながる。そのためには、居場所をとおして得られる「気づき」の構造を理解し、支援する必要がある。
 
2.5.2 「青少年教育」に関する社会化支援理念の変遷
 ここでは、『青少年問題に関する文献集』に収録した文献を、(1)「青少年教育(生涯教育・社会教育)」、(2)「指導者・ボランティア」、(3)「団体活動」、(4)「国際交流」、(5)「メディア(文化一般を含む)」の5項目の視点から検討する。
 
(1) 「青少年教育」
1989年度
 生涯教育や生涯学習の範囲を広くとらえ直した上で、その一環としての地域参加や体験活動の教育的意義をあらためて評価し、それをいっそう充実させようとする傾向が見られた。
 岡本包治編『青少年の地域参加』(生涯学習のまちづくりシリーズ5、ぎょうせい)(文献0031)では、地域に内在する教育力を、「自然」「文化」「人間」と「間接的・無意図的」「直接的・意図的」とのマトリックスから説明し、青少年を「地域の正式なメンバー」として位置づけるよう提言した。
 自然体験の重視も特徴的であった。国立オリンピック記念青少年総合センターの『自然生活へのチャレンジ推進事業事例集-フロンティア・アドベンチャー』(文献0089)は、文部省補助事業としての推進事業が全国各地で展開されていることを表しており、山奥や無人島等の大自然の中で、異年齢構成の少年50人が10泊もの長期間の原生活体験を行うことによる「欠損体験の模擬的な体験」の顕著な効果を示した。
 青年の家等に関しては、生涯学習援助の観点に立ち、青年や社会の新しいニーズに対応しようとする傾向がますます強くなっていることがわかる。全国青年の家協議会の『青年の家の現状と課題第18集-生涯学習社会の中の青年の家』(文献0091)では、利用団体の要望や実態に即したきめ細かなサービスや、「祭り」と「学習」による青年と地域との結びの場としての役割などの提言が発表された。また、国立オリンピック記念青少年総合センターの『全国青少年教育関係施設ガイド-若者と子供の活動広場』(文献0090)では、全国の施設への直接のアンケート調査に基づき、たとえば吹奏楽の練習ができるかどうかなどのそれぞれのデータを細かく掲載している。
1990年度
 「自然生活へのチャレンジ推進事業(フロンティア・アドベンチャー事業)」に関する各地の実践報告が目立った(文献0206,0208,0212,0218)。これは、文部省が昭和63年度から補助を開始しているもので、異年齢で構成される青少年に山奥や無人島などの大自然の中で10泊程度の長期の自給自足的な生活にチャレンジする機会を提供するものである。それは、さまざまな体験の不足が指摘されている現代の子どもたちにとって迫力あるものであると同時に、これまで青少年教育を進めてきた関係者全体に対しても大きなインパクトを与えた。文献も、この事業の意欲的な性格を反映して、子どもたちの意識変革、態度変容や健康管理まで含めての事前調査やフォローアップを計画的、組織的に行なった上で作成されたものが多かった。
 「青少年ふるさと学習特別推進事業」(文献0153)と「青少年科学活動促進事業」(文献0201,0217,0225,0229)に関する文献があった。前者では、青少年がふるさとについて総合的に学習し、その成果を踏まえて実践活動を展開するモデル事業が多分野の諸団体・機関との連携のもとに推進された。後者では、地域の教育力を活用して、科学に関する特定の興味・関心を自発的、かつ継続的に追求できる社会教育の特色を生かし、青少年の科学する心を育む活動を推進するために、青少年科学教室の開設のほか、科学グループの育成、科学会議の開催などが行われた。
 また、船などを利用した「旅」による教育効果をねらうプログラムも数多く見られた。関連文献は、山形県「親子ふれあいの船」(文献0226)、群馬県「ぐんま少年の船」(文献0376)、岡山県「瀬戸内時代を担う少年の船」(文献0482)、広島県「瀬戸内海少年の船」(文献0138)、広島市「瀬戸内洋上セミナー」(文献0223)、佐賀県「佐賀県少年の船」(文献0384)、鹿児島県「はばたけ青少年の旅」(文献0151)の事業報告書などがあった。
1991年度
 青少年問題を生涯学習の観点からとらえた文献が注目される。神奈川県では、生涯学習推進の広い観点から学校教育の取り組みを含めて、県が独自に全国レベルで事例を収集してとりまとめた資料(文献0283)を、滋賀県では、他の世代の生涯にわたる学習や成長に関わる事例と青少年健全育成の事例とを統合的にとらえた資料(文献0364)が発行された。
 西村美東士「生涯学習かくろん」(文献0262)は、現代社会の情報化、パソコン・パソコン通信等のハイテク化、人間の主体性の喪失、などの状況の中での、現代青年の知的活動の特徴とその援助のあり方を示した。日本青年館青年問題研究所「生涯学習と青年期教育」(文献0365)は、青年の主体形成のための生涯学習の重要性を指摘したうえで、共同学習の再評価、青年期教育から生涯見直し学習、生涯見渡し学習、生涯見通し学習への発展などを提唱した。日本青年奉仕協会「ゆたかな学びの世界」(文献0366)は、生涯学習社会において、ボランティア活動を通して豊かなこころを育む個性的な学習を自ら行うことの重要性を主張した。
 社会教育に関しては、前年度に引き続き、船などを利用した「旅」による教育プログラムや「フロンティア・アドベンチャー事業」(文献0370,0377,0393)に関する各地の実践報告が目立った。後者の事業の同年度の特徴としては、それぞれの実践がより個性的になってきた。山口県の「原始に生きる防長っ子キャンプ」(文献0399)では、自己理解、他者理解、環境理解を深め、対人関係におけるコミュニケーションと協力関係を強化するための指導法を伴う米国OBS(アウトワード・バウンド・スクール)のプログラムを展開した。
 青年の家、少年自然の家については、単年度の事業報告にとどまらない根本的な問いかけを行う文献が見られた。全国青年の家協議会「青年の家の現状と課題第20集」(文献0387)は、「魅力ある青年の家をめざして」をテーマとして、カウンセリングなどの他分野の研究から、現代青年のニーズに対応する運営のあり方について考察した。国立妙高少年自然の家所長から、少年自然の家創設当時の視点から青年の家の運営に関する提案を受けた。国立オリンピック記念青少年総合センターは、国・法人・民間機関で刊行されたさまざまな関係資料を一冊にまとめて「青少年教育データブック」(文献0379)を発行した。国立那須甲子少年自然の家は、設置20周年記念を契機に、少年自然の家の理念と構想、少年自然の家構想の具現化などをあらためて検討した「自然と子ども」(文献0382)を、国立花山少年自然の家は、先導的な事業に意欲的に取り組んできた歴史を欠落させずに実践的にまとめるため、通常の集録のほかに創設期の記録固めの意味を加えて「しゃくなげ」(文献0383)を発行した。
 西村美東士「社会教育の新しい展開からみた学校週5日制」(文献0311)が、社会教育の観点から学校週5日制の意義を考察した。これは、教師、親、大人たちが、マニュアルやひな型を与えられてから動き出すという今までの自己の非主体的な枠組をみずから乗り越え、5日制を契機として、教育・学習主体としての本来の自己を取り戻すよう提唱したものである。
1992年度
 同年9月の学校週5日制の開始にあたって、その制度を生涯教育や社会教育がどう支えるのかを強く意識した文献が目立った。
 生涯教育に関しては、全日本社会教育連合会「社会教育」誌が「生涯学習社会における学校週5日制を考える」(文献0444)を特集し、そこで岡本包治は、学校週5日制とは、地域や家庭を学校教員の勤務日数が5日間になるための「受け皿」とすることではなく、青少年の生涯学習を正式に認知することであると主張している。
 青少年教育と生涯教育の関連について、西村美東士「こころ生涯学習-いばりたい人、いりません」(文献0545)は、青少年対策や社会教育の現場で、教育者が「批判的な親の心」の固まりになってしまう傾向を批判し、青少年を管理したり保護したりしようとせずに、誰のせいにもできない自由を味わう機会を彼らに提供するよう主張した。
 社会教育に関しては、例年のように、船などを利用した「旅」による教育プログラムや「フロンティア・アドベンチャー事業」に関する各地の実践報告が数多く発行された(文献0483,0484,0491)。
 学校週5日制の実施を契機に、小・中学生の幅広い活動と異年齢集団の交流を図る「地域少年少女サークル活動促進事業」の報告書も数点発行された(文献0547,0550,0553,0562,0565,0566)。
 子どもの遊び場に関しては、国民生活センター調査研究部「子どもの生活環境としての遊び場問題」(文献0452)、東京都生活文化局「東京都の遊び場」(文献0507)等があった。これらは、都市居住者としての子どもにとっての児童遊園などの重要性とその不備や不足を訴えている。
 社会教育と学校週5日制の関連については、全日本社会教育連合会「社会教育」誌が「学校週5日制時代の家庭と子ども」(文献0467)を特集し、斎藤哲瑯が、9月12日の開始直後に実施した全国規模の調査の結果を紹介した。同誌は、「体験学習のすすめ」(文献0468)を特集し、薗田碩哉が、社会教育はもっと現実の生活の局面に接近して「体験の学習化」を進めるよう提言した。
 青年の家、少年自然の家については、国立オリンピック記念青少年総合センターが、活動内容から施設を探すなどの多様な検索目的に対応した「全国青少年教育関係施設ガイド」(文献0555)を発行した。国立那須甲子少年自然の家は、学社連携による生活科の研修を先駆的にまとめた「全国生活科担当指導者養成実践研修会実施結果報告書」(文献0559)、自然の家の活動を学習指導要領の各教科の内容と関連づけた「国立那須甲子少年自然の家の活動と学習指導要領(教科)との関連」(文献0557)、学校週5日制導入の観点に鑑みて自然の家の効果的な利用形態等を検討した「子供の心を育む研究開発事業実施結果報告書」(文献0558)などを精力的に発行した。国立花山少年自然の家は、紀要で「花山の沿革」(文献0560)を特集するとともに、学校週5日制対応事業として実施した「家族のつどい」のもつボランティア養成の実践の場としての役割などを自己分析した。また、全国青年の家協議会「新しい青年教育の展開」(文献0445)では、現代の青年像と青年教育や青年の家のあり方について、「青年の家の現状と課題第21集」(文献0563)では、学校週5日制時代の青年の家の役割について追求した。そこでは、青年の家が果たしてきた歴史的役割を評価しながらも、強制的、人工的、形式的、画一的などの青年の家運営上の従来の弊害を改革しようとする強い志向が示された。
1993年度
 前年9月から始まった学校週5日制を生涯教育や社会教育がどう支えるのかを強く意識した文献が目立った。岩淵英之他「生涯学習と学校5日制」(文献0606)は、「学校へは週6日通うものだとする考え方が改められるだけでなく、これまでの学校観を大きく変化させ、教職員・父母・地域の人びととの関係を新しく構築しなければならなくなる」という観点のもとに編集された。
 全日本社会教育連合会月刊誌「社会教育」が、青少年への「死への準備教育」等を意識しつつ外的環境と精神世界の調和を論じた「アメニティと生涯学習ライフ」(文献0689)、生きがいや自己実現のための生涯設計について学校教育や民間の就職活動準備セミナー等の事例を扱った「ライフプランと学習活動」(文献0729)、学校教育から「生涯自己発見学習」への転換を論じた「個人の成長と生涯学習論1994」(文献0647)などの特集を組んだ。青年問題研修所生涯学習委員会「生涯学習時代の青年期教育」(日本青年館)(文献0674)では、生涯学習と青年教育について、生涯という統合的実体と世代という分化的機能に着目することなどを提言している。
 社会教育に関しては、例年と同様に、船などを利用した「旅」による教育プログラムや「フロンティア・アドベンチャー事業」に関する各地の実践報告や、学校週5日制の実施を契機にして、小・中学生の幅広い活動と異年齢集団の交流を図る「地域少年少女サークル活動促進事業」(文献0730,0731,0735,0744)の報告書などが数多く発行された。
 田中治彦「社会教育概念理解(把握)の方法をめぐって-青少年教育の立場から」(文献0619)は、望んで主体形成を避けるモラトリアムや、日本と自分の存在を「加害者」としてとらえるNGOのなかでの社会改革意識など、現代青年の新しいとらえ方を提示した。西村美東士「公民館が仕掛ける出入り自由のこころのネットワーク」(文献0635)は、狛江市中央公民館青年教室における相互理解の試みから、この事業が「自分や他者への信頼」を失いつつある現代青年にとっての、心を開いて交流できる「癒し」(いやし)のネットワークであると位置づけて、その信頼感回復機能を分析した。
 日本社会教育学会「週休二日制・学校週五日制と社会教育」(文献0652)、北海道社会教育委員の会議「主体性、創造性が育つ青少年期教育の充実方策について-休日の拡大に対応した環境づくりをめざして」(文献0762)等が発行された。
 国立少年自然の家については、那須甲子は環境教育や自然体験活動の専門性を生かした報告書を、妙高は雪を媒体にした自然体験を重視したスキー指導テキストなどの資料を発行した。
 文化活動に関しては、9月に創刊された「季刊子ども学」(福武書店)(文献0640)で、ビデオゲームの特集が組まれた。そのほか、メディアとの接触に関する文献が数点あった。
1994年度
 月2回の実施を迎える学校週5日制を強く意識した文献が目立った。また、生涯教育に関しては、全日本社会教育連合会「社会教育」が「生涯学習の場としてのさまざまな『大学』を考える」(文献0808)という特集を組むなど、生涯学習機関の1つとしての大学の地域等での役割の発揮への関心が高まった。
 社会教育に関しては、例年と同様に、船などを利用した「旅」による教育プログラムや「フロンティア・アドベンチャー事業」に関する各地の実践報告、学校週5日制の実施を契機にして、小・中学生の幅広い活動と異年齢集団の交流を図る「地域少年少女サークル活動促進事業」の報告書などが数多く発行された。さらに、「不登校の児童生徒を自然の中に連れ出し、自然に触れ体を動かし、仲間とともに汗を流す」(秋田県教育委員会「平成6年度フレッシュ体験交流活動事業」)(文献0932)、「障害のある子供たちと障害のない子供たちが大自然の中で長期の共同生活を体験する」(栃木県教育委員会「青少年自然体験活動推進事業交流教育キャンプ」)(文献0963)などのかたちでの自然体験活動事業の発展が見られた。
 青森県社会教育委員の会議提言「豊かな心育てる自由時間の活用」(文献0801)は、①気軽で自由な活動空間の確保、②魅力ある多様で幅広い体験活動の提供、③子ども会等への参加の促進、④地域への愛着心を育てることなどを提言している。秋田県社会教育委員の会議答申「少年期における社会教育の望ましい在り方について」(文献0933)は、学社連携の範囲について同一学校区の範囲にとどまっている傾向にあるとし、それぞれの学校には特徴的な施設設備があり、また、様々な特技をもった教員がいることから、複数の学校区での連携は多様な活動を組める可能性があり、子どもたちにも新鮮味を与え効果的であるとした。
 東京都立教育研究所は「平成6年度生涯学習関連施設のカリキュラム編成に関する基礎的研究-青少年対象事業調査を通して」(文献0961)を発行した。西村美東士「狛プーはどうしてネオトラなのか」(文献0849)は、今後の青年教育のあり方について、市民の行政依存的な構造を崩して、人間が主体的に水平に対面するネットワーク型社会を創出するよう提唱した。
 国立青年の家・少年自然の家については、国立能登青年の家「障害児(者)の施設利用に関するアンケート調査報告書」(文献0947)、国立花山少年自然の家「平成6年度主催事業等集録集-科学する心を育てる施設間連携事業の開発と実践」(文献0948)、国立那須甲子少年自然の家「環境教育の充実をめざして」(文献0887)、国立大隅少年自然の家「集団宿泊学習における教育効果に関する調査」(文献0824)など、開発的な調査研究の要素が強くなってきた。また、国立中央青年の家「平成6年度主催事業ヤングリーダー研修」(文献0945)は、集団関係能力、対人関係能力の向上および自主性の涵養という教育目的を焦点化して、現代青年の必要課題を追究した。金沢大学教育学部体育教室「国立能登青年の家における『社会体育実習』共同報告書」(文献0872)が、大学とのカリキュラム面での連携の成果を公開した。
1995年度
 生涯教育に関しては、日本生涯教育学会年報が「大学改革と生涯学習」(文献1084)を特集とするなど、大学との関係への関心が深まった。同年度は、次の3つの展開が見られる。①欧米における大学拡張から継続高等教育への発展への注目(東北大学教育学部附属大学教育開放センター萩原敏朗等)(文献1141)。②達成型の大学開放だけでなく、日本に特有の「楽しさ」を原理とする生涯学習の再評価(日本生涯教育学会山本慶裕)(文献1084)。③自己決定、生きがい創出、信頼・共感・癒しなど、生涯学習時代に向けた高等教育内容・方法自体の転換(全日本社会教育連合会「社会教育」西村美東士)(文献1144)。
 学校開放・学社連携一般については、前掲「社会教育」が新概念の「学社融合」を掲げて特集し、山本恒夫が次の融合パターンを提起した(文献1114)。①教育活動の相互の一部取り込み、②双方の教育活動の一部取り出しと組合せ、③双方の既存の教育活動のそのままでの共有化。
 社会教育に関しては、青少年自然体験活動推進事業(チャレンジキャンプ)、地域少年少女サークル活動促進事業の報告書などが数多く発行された。また、福島県「学校適応サポートプラン」(文献1200)、千葉県「ハート to ハート・リフレッシュセミナー」(文献1192)、大分県「自然大好きチャレンジキャンプ(交流教育コース)」(文献1376)など、登校拒否児への社会教育からの自然体験活動等を重視したアプローチが注目される。岡山県社会教育委員の会議は、学校外の生活体験・自然体験のあり方について、「私たち大人が、星空の瞬きに、海岸の潮騒に、そして山々の薫りに関心を持つことができる生活態度を回復しなければならない」と提言した(文献1153)。
 「チ・イ・キなんかが若者の居場所になるの?」(西村美東士)(文献1069)は、大人たちが「せめて青少年には幸せを」と言って、自分たち自身の不幸で非主体的な状況を批判しないまま地域教育力に期待を寄せることの滑稽さを指摘した。
 国立少年自然の家が、肥満傾向の子を持つ家庭対象や科学する心を育てる施設間連携の事業(花山)などの個性的な事業を活発に展開したり、長期自然体験活動「子どもの冒険キャンプ」16年の歴史の総括(那須甲子)(文献1061)、博物館・少年自然の家等における科学教室等特別事業によるガイドブック(各所)などの開発的な資料を意欲的に発行したりした。室戸少年自然の家では、阪神の被災地の子どもたちに自施設をリフレッシュの場として開放した(文献1176)。国立オリンピック記念青少年総合センターは、プログラム事例集、主催事業事例集、調査研究報告書などの発行を行った。しかし、同年度の顕著な特徴は、この傾向が国立青年の家まで浸透したことである。
 全国青年の家協議会会長・国立中央青年の家所長の内田忠平は、施設実態調査の結果から、「青年の家は、新しい社会の流れを必ずしもうまく捉えられたと思われない。人との心の交流という青年の家が有する機能を生かしながら、青年が求める基本的な快適性の充足を考えていくべき」と提唱した(文献1187)。大雪では教える者、教えられる者という関係ばかりではない受入れ事業に意味を提起した(文献1170)。江田島では「指導系職員が見た青年の家考」(文献1156)を発行、岩手山では全国規模の青少年団体や地域の青少年団体等により組織された実行委員会による交流活動を展開(文献1173)、赤城では自然教室指導者のガイドブックを発行(文献1188)、能登では障害児者の施設利用に関する調査研究協力者会議(文献1159)、乗鞍では視覚障害者の雪とのふれあい(文献1040)、沖縄では無人島に挑む全国青年のつどいを実施した(文献1085)。そして、国立青年の家少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議が、より魅力ある施設に生まれ変わるための「多様なニーズヘの対応と柔軟な運営」などの提言をした(文献1060)。一部の突出した少年自然の家が従来から提起していた新しい経営姿勢が他施設に普遍化しつつあったと考える。
 少年教育研究では、次の3つの新しい発展があった。①体験学習の重視から、自ら望んで安全な世界から踏み出そうとする冒険教育の重視へ。②自主性の尊重から、外から与えられた課題のない自由時間の尊重へ。③群れ遊びだけでなく、独り遊びやソロビバーク等の一人でいることの意味も最評価。「狛プーの公的・現代的意義」(西村美東士)(文献1197)が、発達ばかりでなく信頼や共感をも保障する「癒しのサンマ」(時間・空間・仲間の3つのマ)の必要性を主張した。
1996年度
 生涯教育に関しては、同年4月の生涯学習審議会「地域における生涯学習機会の充実方策について(答申)」(文献1327)が、社会人の学習にふさわしい新たな教育課程の編成や履修形態の工夫を含めた「社会に開かれた高等教育機関」、特別非常勤講師制度の活用や学校に対するボランティア等の地域社会の支援を含めた「地域社会に根ざした小・中・高等学校」、学習の場や活動など学社両者の要素を部分的に重ね合わせながら、一体となって子供たちの教育に取り組む「学社融合の理念に立った事業展開」などの提起を行った。日本生涯教育学会年報が「学社融合の生涯学習」(文献1326)を特集するなど、学校教育と社会教育との連携から融合へと、生涯学習推進の観点に立って発展しつつある段階にあった。岡本包治は、栃木県上都賀地区の小中学校調査の事例や一連の著作で、学校教育における地域資源の活用の意義を訴えた。
 社会教育に関しては、学校適応サポートを含む青少年自然体験活動推進事業、ウィークエンド・サークル活動推進事業、少年の船事業の報告書などが数多く発行された。平成8年7月、「青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議」(飯田稔他)(文献1317)は、青少年の野外教育について「全人的成長を支援するための教育」ととらえ、「生きる力」の育成を図る上で極めて重要と主張した。「公立青年の家の在り方に関する調査研究協力者会議」(文献1427)は、学校・グループ等の利用形態の如何を問わず、最適であると思われる環境の整備、情報化・国際化に対応したインフラ整備を訴えた。第22期東京都社会教育委員の会議(文献1277)は、「一つの固定的な理想像を求めようとする単線型健全育成を前面に掲げる従来の青少年施設は、もはや現代の青少年にとっては魅力がない」として、出会いとやすらぎの場、体験の場、創造・自己実現の場としての、青少年の自己形成のためのユース・プラザの設置を助言した。日本社会教育学会第42回研究大会課題研究「子どもと社会教育」(文献1382)においては、①子どもの文化権と生活・地域(増山均)、②青少年社会教育実践の可能性(沼田伊久俊)、③学校週5日制と青少年の社会参加(岡田忠男)が掲載された。また、神奈川県青少年総合研修センターは「出会いと交流-青年期の新しい地域活動のあり方」(文献1278)を発行し、監修にあたった西村美東士は、①自然体の育成活動を、②地域と人間の真実に出会う、③対象から主体へ、対策よりも支援を、④不幸せな現代社会と大人たち、⑤フツーの大人たちも幸せになれる育成活動、⑥フツーだからこそ、ワガママだからこその、自立の地域活動、とまとめて新しい青年教育のあり方を提起した。建設省公園緑地課が「管理から場の提供者へ」を合言葉に、環境教育の場としての身近で安全な公園の役割を積極的に評価し、ワークブック等を発行した。
 国立青年の家・少年自然の家については、平成6年の、青年の家、少年自然の家などの文部省所轄の国立の社会教育施設に対する総務庁の行政監察、7年の「国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告(①青少年の自主性を育てる、②学社融合を目指して、③地域の中核に)、8年の生涯学習審議会答申などのそれぞれの指摘を受け、それまで先行していた少年自然の家に加え、とくに青年の家が、資料面においても、国立という名に匹敵する質や量の報告を行うようになってきた。国立中央青年の家では、まちづくりを担う青年の役割に注目し、全国の240あまりの青年の家が教育施設としての役割を果たすようになることをねらって、「学ぶ青年全国集会」の参加者を対象にした地域活動の現状に関する意識調査などを行った(文献1445)。
1997年度
 従来の成長・発達だけではなく、「癒し」や「居場所」のための支援が必要とする議論が登場した。ネットワークやNPOの活動様式がより高く評価されるようになった。
 生涯教育に関しては、国立青年の家・少年自然の家が、教員講習会、登校拒否(不登校)児童生徒対応事業、学習指導要領との関連の提示、活動プログラム研究など、「学社融合」事業を多様に展開した。国立オリンピック記念青少年総合センター「登校拒否等青少年の問題行動に関する調査研究報告書」(文献1701)において、飯田稔は、キャンプ療法の目的は「心の居場所」を確保し、社会で生きていくのに必要な社会性を身につけることであり、学校復帰はその副産物とし、参加すればすべてが解決するといった過信は禁物と警告した。西村美東士「癒しの生涯学習」(文献1533)は、若者が癒されるためには、自己決定活動において、他者とともに信頼・共感の居心地のよさを味わいながら、社会貢献も含めてボランタリーに共生創造主体として生きる以外に方法はないと主張した。
 社会教育に関しては、青少年の「生きる力」を育成するため、ウィークエンド・サークル活動推進事業、アドベンチャーキャンプ、野外体験事業などが盛んに行われた。杉並区児童青少年センターでは、「中・高校生運営委員会」が設置され、事業の企画等に携わった(文献1651)。「川崎市青少年の家運営協議会研究報告書」(文献1723)は高校生や大学生自身による企画を取り入れるユースワークを提唱した。萩原建次郎が「若者にとっての『居場所』の意味」(文献1571)、久田邦明が「子どもと若者の居場所」(文献1762)を記した。野外教育の推進に関して、文部省では新たに「青少年の野外教育体験月間」を設けた(文献1578)。国立淡路青年の家「野外活動施設活性化に向けて」(文献1566)は、従来の目的のキャンプは一つの選択肢にしかすぎなくなっているとし、宇田川光雄「子どもの安全対策」(文献1600)は、大移動キャンプでは環境保護を含めたトータルセーフティどころではないと警告した。内田忠平「青年の家・少年自然の家」(文献1663)は、成功体験だけでなく、己のふがいなさを知る失敗体験の意義を主張した。
1998年度
 生涯学習社会や学校週5日制完全実施を意識し、新しい情報手段の有効活用も含めて、青少年の「心を育てる」志向が強まった。また、青少年の主体的な参加・参画を図るため、学習形態としてワークショップ方式を取り入れる事業が報告された。
 生涯教育に関しては、岡山県生涯学習審議会が「21世紀を見通した本県の生涯学習の総合的な推進方策について」(文献2061)を答申し、「少・壮・老」の三世代の県民が仲間(ぱる)として楽しく学習や交流ができるゾーンづくりを目指す岡山県生涯学習センターについて、「高校生が企画・運営に参画する講座」、「青年がまちづくりに参加できる実践的な講座」などを提言した。学社融合に関しては、国立青年の家・少年自然の家で学社融合推進のための開発事業やプログラム研究、調査等が行われた。鹿沼市「学社融合を通じた青少年の育成」(文献2064)は、「学」は学校の教育課程に基づく教育活動であり、「社」は公的機関のほか、民間の事業も含む内容あるとした。
 社会教育に関しては、中央教育審議会答申「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機」(文献1716)が、子どもたちに豊かな人間性がはぐくまれるためには、大人社会全体のモラルの低下を問い直す必要があるとした。全国青年の家協議会は、「青年の家の現状と課題」(文献2102)で「心の教育に対応した主催事業」を特集した。学校週5日制完全実施に向けては、地域において子どもたちに豊かで多彩な体験活動の機会を用意するため、文部省は平成11年度を初年度とする「地域で子どもを育てよう緊急3カ年戦略(全国子どもプラン)」(文献1966)を策定した。
 各地で青少年の体験活動、社会参加やボランティア活動などの学校外活動の推進を図るため、自然体験活動推進事業、地域教育活性化推進事業、地域社会創生事業等の取り組みが行われた。また、青少年の野外教室モデル事業や不登校児童・生徒対応事業も定着してきた。国立信州高遠少年自然の家等では、青少年とくに中学生による憂慮すべき事件などについて、子どもたちのサインを大人が見落としているのではないかということから、前年度半ばの「子どもと話そう全国キャンペーン」(文献2083)に呼応した事業を春休みに展開した。静岡県では、文部省「子どもの『心の教育』全国アクションプラン」委嘱事業として「こどもの心を取り戻す教育推進事業」(文献2099)を実施した。大阪府社会教育委員会議は、「家庭・地域社会の教育力向上に向けて」の提言で、学校、家庭、地域社会が個別化・分離化した状態でその教育機能を果たすのではなく、ともに力を合わせて活動する「協働」の領域を開拓・開発していくよう提唱した(文献1988)。兵庫県社会教育委員の会議は「子どもたちに生きる力を育む社会教育の推進」を報告した(文献2110)。神戸市須磨区の事件以来、「心の教育」の一層の充実を図ることの大切さを改めて認識し、平成10年度から、公立中学校2年生全員が、地域でボランティア体験や勤労体験等を行う「トライやる・ウィーク」推進事業等を実施した(文献2584)。これを受け、同会議は青少年の心の居場所づくりなどを提言した。また、「青年男女の共同参画セミナー」としては、国立岩手山青年の家「男女・共育・学校」事業(文献2014)、佐賀県「ウィメンズ・ライフロング・カレッジ事業」(文献2096)などが行われた。
1999年度
 中央教育審議会答申・生涯学習審議会答申及びこれを受けて開始された「全国子どもプラン」の国の政策の影響力が大きかった。とくに行政資料については、各地の文献に答申の文言が触れられ、同プランに関わる実施報告書も多かった。
 生涯教育に関しては、生涯学習審議会が6月の答申「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」において、日本の子どもの心を豊かにはぐくむためには、家庭や地域社会で、様々な体験活動の機会を意図的、計画的に提供する必要があるとし、平成14年度からの完全学校週5日制の実施に向けて、子どもたちの体験活動の充実を図る体制を一気に整備するための具体的な緊急施策を提言した(文献2255)。これを受け、子ども放送局の創設、子どもセンターの全国展開、家庭教育手帳の配付等を行う「全国子どもプラン-地域で子どもを育てよう<緊急3カ年戦略>」が始まった。各省庁との連携事業も数多く含まれた。
 「総合的な学習の時間」に関しては、社会教育実践や研究の立場からも議論が盛んになった。全国少年自然の家連絡協議会研究紀要(文献2463)は、「自主性に満ちた健全な少年の育成を図る」とした少年自然の家の教育目標と共通する部分が多いとした。
 学社融合に関しては、全国各地の国立青年の家等で自然体験活動担当教員講習会、環境教育担当教員講習会やその他の推進事業が行われた。また、国立教育研究所は、市区町村におけるその実態を調査した。
 ジェンダー問題の学習に関しては、「青年男女の共同参画セミナー」の委嘱事業(文部省生涯学習局男女共同参画学習課)が各地で行われた(文献2014,2487)。
 野外教育に関しては、青少年の野外教室モデル事業、不登校児のキャンプなどが各地で行われた。長期キャンプについては、国立室戸少年自然の家が「わんぱく子ども宿」(文献2499)を17泊18日の日程で実施した。また、国立青年の家等で「野外教育企画担当者セミナー」(文献2540,2543,2544,2545)が盛んに開かれた。これは平成9年度から文部省が始めたもので、研修を3段階のアクティビティ、プログラムデザイン、マネージメントに分け、計12日間とし、コーディネートや指導を民間の野外教育事業者に依頼し、「参加体験型学び」の手法で構成するものである。
 子どもの体験活動に関しては、文部省の委嘱を受けた青少年教育活動研究会(代表平野吉直)が、お手伝いや生活習慣、生活体験や自然体験等といった子どもたちの日常生活の実態を実証的に把握する調査を行い、その結果を発表した(文献2259)。
 社会教育委員の会議に関しては、東京都「中・高校生世代に焦点をあてた社会教育施策のあり方について-多様な自己実現を支援するために」(文献2295)、新潟県「公立青少年教育施設の今後の在り方-より充実した魅力ある活動プログラムの開発を目指して」(文献2508)、広島県「21世紀初頭に向けた社会教育の振興方策-心ゆたかな青少年を育む家庭・学校・地域社会の連携の在り方について」(文献2514)が提言された。
 青少年教育施設に関しては、各県で青少年教育施設の廃止や委託が行われ、国立青年の家・少年自然の家も独立行政法人化が決まるなか、宮本一が青少年教育施設発展の歴史をまとめ、「国公立青少年教育施設は、これまでの45年の歴史を一端閉じ、新しい姿で再発足する重要な時期にさしかかっている」とした(文献2524)。
 1999年12月、門脇厚司「子どもの社会力」 (岩波新書)が出版された。門脇は「いじめ」「学級崩壊」などの子どもたちをめぐる深刻な状況のなかで、「人と人がつながる力」「社会をつくっていく力」としての「社会力」の意味と重要性を示し、成長過程で必要な大人の働きかけや「冒険遊び場」といった地域での実践の重要性を主張した。ここで、「社会力」とは、「主体的に、好ましい社会を構想し、作り、運営し、改革していく意図と能力」とされている。第一に、子どもの対他関係の回復によって社会に主体的に働きかける能力を育てるということ、第二に、そのために地域社会の「働きかけ」が効果的であるという2点において、本研究においても重要な指摘であると考える。
2000年度
 学校教育で行われる「総合的な学習の時間」に対して、生涯学習や社会教育の観点から主体的にアプローチしようとするものが多かった。また関連して、自然体験、野外活動、冒険教育などによる学校外の体験学習のもつ教育力に着目し、これを最大限に活用しようとするものが多かった。
 「全国子どもプラン」が2年目に入り、各地で「子どもセンター」や「子ども地域活動促進事業」などの実施が報告された(文献2514,2528)。その他、生涯学習ボランティア100万人参加計画(文献2583)、「子ども読書年」を受けた「子どもの心を育てる読書活動推進事業」(文献2591)などが進められた。「21世紀教育新生プラン」(文献2930)では、奉仕活動・体験活動を推進する体制が整備され、青少年団体を助成するための「子どもゆめ基金」が創設された。
 生涯学習の観点から「総合的な学習の時間」が議論された。社会教育や青少年教育施設のもつ特性が「総合的な学習の時間」に適することが主張された。学社融合については、実質的な学校評議員制度への発展、博物館と学校とのティームティーチングによる授業の実施など、融合の度合いが深まった。廣瀬隆人は、社会教育関係者の学校教育を含めた視点の所在を問うた(文献2724)。
 子どもの体験活動研究会は国際比較調査から、日本の家庭では子どもたちのしつけが十分に行われていない、日本の子どもたちは総じてあまりお手伝いをしていない、友人との人間関係に積極的に働きかけるのを避ける、などの傾向を明らかにした(文献2382)。
 自然体験プログラムについては、ネイチャーゲーム、プロジェクトラーニングトゥリー、プロジェクトWILD、センス・オブ・ワンダー、アウトワード・バウンド・スクール、プロジェクトアドベンチャー(PA)等、海外の専門的な自然体験プログラムがさかんに紹介された。PAは多くの国立青年の家等で導入された。不登校児童生徒に対する自然体験事業の有効性が各地のプログラムで実践的に確かめられた。国立那須甲子少年自然の家が昭和55年の開設以来の「長期自然体験活動事業」参加者の追跡意識等調査を実施した(文献2954)。自然体験プログラムを指導する指導者について、社会的信頼を確保するための共通登録制度が創設された。
 生涯学習審議会社会教育分科審議会が「家庭の教育力の充実等のための社会教育行政の体制整備」を求めた(文献2823)。家庭の教育力への積極的な支援を主張する議論が強くなった。
 岡山県社会教育委員の会議「自分探しをする子どもたちへ大人社会からのアプローチ」(文献2940)は、青少年の居場所づくりや、「子どもの活動に提案をして、方向性を持たせる」よう提言した。西村美東士は行政側が教育的意図をもって、地域や公共の場に居場所をつくる必要があるとした(文献2979)。
2001年度
 学校教育の「総合的な学習の時間」「学校週5日制の完全実施」という大きな変革に対して、生涯学習、社会教育、青少年教育のそれぞれの視点を生かして「学社融合」の取組みを中心として主体的な関わりが見られた。
 青少年教育施設については大きな波が寄せた。4月に、行政改革の一環として全国の国立青年の家と少年自然の家がそれぞれ独立行政法人として再出発した。一方、都市部の自治体ではその前後に公立青年の家の移管・統廃合等が検討された。団体宿泊訓練を基本的性格とするこれまでの宿泊型青少年教育施設は、都市部の都道府県立の施設から、時代や行政改革の波に洗われた。
 このような状況の中、関係文献では、従来からの自然体験や共同生活の意義を再確認し、さらにはその新たな教育的意義を明らかにしようとする実践や研究が目立った。とくに事業報告書等では、自己点検、自己評価を行い、「成果と課題」を明示するものが増えてきた。
 「学社融合」については、越田幸洋が、図書館ボランティア制度やボランティア人材バンク制度等、各論にわたる鹿沼市の先駆的で本格的な条件整備について報告した(文献3183)。また、国立少年自然の家等では、その有する資源が「総合的な学習の時間」の効果的な実践のために、あるいは「セカンドスクール」として、いかに有効であるかをプログラム開発や調査研究によって実証した(文献2922,2924,3649)。
 国立青少年教育施設独立行政法人化については、松下倶子が、「事業のスリム化、効率の高まり、質の向上、透明性の高まり」をも目指すものであるが、このような状況のもと、「とくに近年の『生きる力』を育てるための学校外活動の充実が強調される動きの中で重視され続けなければならず、事業の確実な継続が必要」と指摘した(文献3056)。
 公立青年の家の移管・統廃合については、埼玉県は「勤労青少年を含む青少年の利用が徐々に減少」などを課題として、次年度末を目途に青年の家を廃止し、「新しいタイプの青少年教育施設」の検討を進めることになった。東京都は新たな青少年社会教育施設として「ユースプラザ整備方針」を策定したことに伴い、次年度には7カ所のうち2カ所だけ残して閉所することになった。神奈川県では県と市町村の役割分担を理由として、青少年施設を「青少年の身近な活動の場」とし、地元市町へ移譲等を進めた。名古屋市では現在の青年の家に代えて都心部に新青少年教育施設の整備を検討した。いずれも、青少年教育施設の後退や撤退に終わらせるのではなく、新しい時代に求められる施設として発展するよう追求する姿勢が求められたと考える。
 青少年の「居場所づくり」については、日本社会教育学会が課題研究「子ども・若者の自己形成空間」として取り上げた(文献3074)。また、東京都立多摩社会教育会館は「子ども・若者の『関わり・参画』の場としての居場所の構想」を提言した(文献3398)。日本青年団協議会は「子どもたちの居場所を地域に!」全国キャンペーンで、子どもの参加と協力を得た行事づくりにおけるコーディネータとしての青年の役割発揮の可能性を指摘した(文献3410)。
 不登校の児童生徒や障害のある児童生徒対象の青少年自然体験活動推進事業(ハートウォームプラン)が各青年教育施設で行われてきたが、同年は新たに「悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業」として、非行傾向の児童生徒も参加対象とする展開を見せた(文献3416,3560)。これは、青少年教育施設特有の自然体験等の教育機能が、現代の病理を映し出す青少年の悩みに対しても明るい見通しを与えうるものであることを実践的に証明する試みととらえることができる。そのため、事業報告書等においても、より実証的で緻密な評価や研究が求められる。
2002年度
 生涯学習・社会教育分野の特徴としては、体験活動のもつ教育的意義への認識が高まった。体験のなかで青少年が主体的に学ぶことの意義は、ボランティア等の社会参加、青少年自身の参画にもつながる。社会性あるいは「社会力」の育成が重視された。
 社会参加・参画に関しては、内閣府政策統括官が「青少年の社会参加活動ハンドブック」(文献3551)を発行し、アメリカの「発達資産」等の事例を紹介した。北海道教育委員会は社会参画推進事業「ステップアップセミナー」を開いた(文献3646)。水野篤夫は「京都市基本計画への青少年によるパブリックコメント」プロジェクト等を紹介した(文献3792)。
 「悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業」に関しては、文部科学省が報告書を発行した(文献3560)。
 体験活動に関しては、文部科学省初等中等教育局が「体験活動事例集-豊かな体験活動の推進のために」を発行した(文献3510)。国立教育政策研究所社会教育実践研究センターは青少年の体験活動等に対して「事前学習」プログラムを勧めた(文献3739)。森田勇造が野外文化教育の体系化に関する研究成果をまとめた(文献3597)。星野敏男が「自然体験活動の効果とその要因」において「そのままの自分自身でいられる場、こころの居場所」の必要性を主張した(文献3589)。
 長期自然体験事業に関しては、国立那須甲子少年自然の家が全国の国立少年自然の家における参加者の事業参加10年後の意識や生活観に関する追跡意識調査を行った(文献2954)。
 社会性、社会力については、こどもの城が、自己中心性から脱皮して、民主的な社会人として育つようキャンプを行った(文献3505)。JR北海道自然の村は、共同生活や行事を通じて規律と責任の大切さを悟らせると同時に日常の躾にも努めた(文献3506)。国立諫早少年自然の家は、中学生の社会性と対人関係能力をはぐくむプログラムを開発した(文献3680)。門脇厚司が「子どもの社会力は地域の教育力が育てる」とした(文献3492)。伊藤俊夫が「躾は文化伝承の第一歩」とした(文献3493)。
 通学合宿に関しては、結城光夫が地域で子どもを育てる新たな仕組みとして評価し(文献3497)、佐久間章が「我が町流通学合宿」を勧めた(文献3498)。
 「居場所」に関しては、新谷周平が公的中高生施設『ゆう杉並』のエスノグラフィーを論じた(文献3777)。西村美東士「青少年施設の居場所機能」は、指導者による指導、青少年の主体性、施設の魅力の両立という問題を設定し、近年の関連文献の動向から論じた(文献3577)。また、居場所づくりにはあえて「創り出す」という明確な意図=教育的意図が必要になるとした(文献3539)。佐川祥子が国分寺市立光公民館でライブ活動事業を行い、「居場所」の条件として①無理強いしない、②社会的ルールは守ってもらう、③主役は若者、を挙げた(文献3538)。
2003年度
 青少年がボランティア活動や団体活動、国際交流活動に関わる際の、青少年自身の主体的な参加・参画を重視する論調が高まった。
 生涯学習・社会教育分野の特徴としては、厳しい財政事情の中でますます緊急性を帯びてきた青少年教育について、現代的で焦点化した対応をめざす傾向が目立った。
 生涯学習振興施策に関しては、中央教育審議会生涯学習分科会が「今後の生涯学習の振興方策について(審議経過の報告)」を発表した(文献4154)。そこでは、基本的考え方として、「個人の需要」と「社会の要請」のバランス、「人間的価値」と「職業的知識・技術」の調和、「継承」と「創造」が挙げられた。また、行政内部の連携の在り方として、とくに職業能力開発分野について、文部科学省と厚生労働省との連携を強化するなど、関係各省との連携を強化し、教育委員会と首長部局の人づくり・まちづくりに関する部局等との連携により多角的な行政を展開するとされた。
 「体験活動推進事業」に関しては、秋田県「地域で育てる子ども体験活動推進事業」(様々な地域資源を活用した放課後や週末等における子どもの体験活動への支援、青少年が共同生活をしながら長期にわたり自然体験などを行う事業等)(文献3682)、福島県「豊かな自然から学ぶ体験活動推進事業(ハートウォームプラン)」(不登校の児童生徒や障害を持つ児童生徒と保護者を対象とし、福祉等を学んでいる学生ボランティアのサポートを加味)(文献3613)、新潟県「不登校児童生徒体験活動推進事業はつらつ体験塾事業」(人や自然とのかかわりを通して社会性や集団適応力をはぐくむ)(文献3922)、山梨県「青少年長期自然体験活動推進事業」(完全学校週5日制の実施に伴い、子どもの地域における様々な体験活動を充実させ、家庭教育を支援)(文献3669)などが実施され、その事業報告書が発行された。また、平野吉直は「役立つ『学力』を高める自然体験活動」において、「学力の低下」を危惧する声に対して、「知識の量=学力」という短絡的な捉え方が今日の様々な青少年問題・教育問題を生み出してきたと述べ、自然体験活動は、子どもを取り巻く現代的課題に対処しうる総合的な教育活動であり、子どもの全人的成長を支援する活動であるとした(文献3982)。
 青少年教育施設に関しては、独立行政法人国立青年の家・国立少年自然の家が、「いつでも、どんなことでもできる(学生)ボランティア活動への転換」(文献4192)、「養護学校と普通学校の児童生徒の自然体験活動を通じた交流」(文献4194)(日高)、「学校教育に生かす体験学習法」(文献3737)、「社会性をはぐくむ長期自然体験プログラム開発の意義に関する研究」(文献4177)(花山)、「悩みを抱える中学生(問題行動、不登校・不登校傾向等)対象長期生活体験・冒険体験事業」(文献4197)(妙高)、「プログラム・アクティビティ実践集の発行」(文献4005)(乗鞍)、「少年期に必要な体験活動と指導のあり方に関する研究」(文献4116)(信州高遠)、「高校生演劇ワークショップ事業」(文献4191)(淡路)などの先導的実践・研究を行った。また、北海道立青年の家・少年自然の家では、それぞれの施設が運営の重点を定めて経営し、報告書を発行した(文献4228)。
 青少年の社会的能力の育成に関しては、門脇厚司が「子どもの社会力を育み高める総合学習の試み~地域の課題を学習テーマとした授業の実践」(文献3898)を発表したほか、「広島大学大学院教育学研究科紀要」(文献4146)が「社会的スキル」の育成に関する諸論文を掲載した。
 「居場所」に関しては、特別区社会教育主事会中央ブロックが青少年の居場所づくりに対する各区の現状を把握した(文献4221)。また、住田正樹は「子どもの発達と子どもの居場所」(文献4098)において、その条件として空間性、関係性、意味づけ(他者から受け容れられているという感覚的な意味合いの関係性への付与)の3つを指摘し、萩原健次郎は「居場所が生まれる場を構想する」(文献4103)において、「居場所は互いの存在を認め合い、感じあう関係において生まれる」とした。

(2) 「指導者・ボランティア」
1990年度
 「青少年ボランティア参加促進事業」に関する文献が多かった。この事業は、青少年及び青少年ボランティア活動の指導者に対してボランティア活動に対する知識・技術の修得及び資質の向上を図ることを趣旨として行われているもので、青少年ボランティア養成講座のほか、青少年ボランティアの集い、青少年ボランティアバンク事業などが行われた。高まりを見せたこれらの社会教育や指導者養成の事業は、ほとんどが少年または高校生を対象としたものであり、それ以上の年齢の青年に関しては、青年対象事業の近年の不振を反映して、国際交流事業を除いて文献点数も少なくなっていった。子どもにとっての「自然生活へのチャレンジ」のように、青年にとってインパクトのある事業とは何なのかを探る実践と研究が求められた。
 そのひとつは、村おこし、町づくり、社会参加活動などに主体的に関わっている青年たちの姿であった。「平成2年度秋田県青年の家紀要-青年団体の組織づくりの方策を探る」(文献0246)では、新たに組織された青年団体の事例が紹介された。事例は、農業近代化ゼミナール、地域振興、ふるさと探検隊、ふるさと創生、イベント演出集団、パーティー仕掛人集団、などである。このような新しい形の団体活動に対して、その自発性や活力を損なわないように援助するためには、社会教育はどうアプローチすればよいかを明らかにすることが課題になった。
1991年度
 「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」に関するものが多かったが、そのほか、秋田県青少年団体連絡協議会「あすの秋田を拓く青年団体リーダー研修資料」(文献0400)では、町づくりイベントの視点が、神奈川県青少年指導者養成協議会「かながわの青少年指導者養成の新たな展開をめざして」(文献0403)では、高齢者までを含めた異世代交流、生涯学習、情報活用、国際社会、多元社会、技術革新、余暇時間増大の視点が、指導者養成の視点として重視された。
1992年度
 田中治彦が、「青少年指導者講習会(IFEL)とその影響に関する総合的研究」(文献0580)を行ない、社会教育法の形成などのさまざまな政策の橋渡しとしてのIFELの歴史的役割を究明した。ボランティア活動については、全日本社会教育連合会「社会教育」誌が「生涯学習ボランティア」を特集し、松下倶子は、その青少年の活動の意義として、集団の中での自分の立場を自覚して進んで役割をはたす行動が、さまざまに異なる他者と関わりをもちながら生きていくための体験になると主張した(文献0835)。日本青年奉仕協会は、「ボランティア白書1992年版」(文献0470)を発行し、社会奉仕を「もうひとつの教育」としてとらえ、それが共生社会の創造につながるという視点を提示した。
1993年度
 「社会教育ボランティア活動総合推進事業」の報告書が多数発行された。また、日本青年奉仕協会興梠寛「生涯学習ボランティアを検証する」(文献0666)は、自主的主体的な草の根活動としてのボランティア活動の意義を強調し、それを人間存在のための学びとして位置づけた。平野嘉昭「育ちの場としてのボランティア-青少年のボランティア活動参加の意味を考える」(文献0657)は、従来、青少年の主体性が育たなかった原因は、大人が彼らの自発的な活動をきちんと評価しなかったこと、また大人の権力によってその自発的な芽をつんできたところにあったと指摘した。
1994年度
 「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」の報告書が多数発行されたほか、国立オリンピック記念青少年総合センターが「青少年教育施設におけるボランティアの養成と活動について(調査報告書)」(文献0897)を発行した。国立花山少年自然の家は「平成6年度主催事業青少年教育施設ボランティア養成事業実施結果報告書」(文献0948)において、社会福祉ではなく社会教育のためのボランティア養成としての花山ボランティア・スクールの16年の経緯をまとめた。埼玉県青少年問題協議会意見具申「青少年のボランティア活動の促進について」(文献0985)は、自立と社会参加の二つの資質がバランスよく調和のとれた発達を実現できるよう、社会や育成者による助力が必要であるとした。
1999年度
 「生涯学習ボランティア活動促進事業」等による社会教育からの中・高校生へのアプローチが盛んに行われた。
2000年度
 ボランティアに関しては「奉仕活動」との比較が議論された。関連して興梠寛は、現在の米国の「コミュニティ・サービス」「サービス・ラーニング」などを紹介し、ボランティア活動の持つ「教育的力」を説いた上で、「奉仕活動」の18歳義務化よりも「ボランティア学習」必修化が現実的と主張した(文献2836)。
2001年度
 指導者については、東京都における「心と身体の居場所をなくして漂う青少年への接触とアドバイス」などを行うユースワーカーシステムの概要が報告された(文献3058)。
 教職志望学生については、金沢大学等で、地域の教育委員会と連携して「フレンドシップ事業」が行われた(文献3450)。これは、地元の小学生と教員を目指す大学生が共にキャンプ生活をしながら、「自然の中でたくましく生きる力」を習得するものである。また、林幸克らが、教職希望学生対象研修会の効果に関する項目についての因子分析を行い、青少年教育施設における研修会が「集団活動やその指導の自信」等の因子の向上に有効であるとした(文献3459)。
 文部科学省では、従来にない新しい人材養成事業「野外教育企画担当者セミナー」を、民間団体との連携により、各独立行政法人の施設の協力のもとに平成9年度から実施し、同年度は7種類の研修を15会場で実施した。青少年野外教育指導者研修事業研究会による同事業の報告書には「野外教育の考え方、指導者の役割、養成事業の構成、実際の進め方」がまとめられた(文献3143)。
 ボランティアについては、神奈川県青少年総合研修センターがコミュニティサービスラーニングとその視点による「総合的な学習の時間」や地域活動等への展開の研究を報告した(文献3822)。日本総合研究所はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国の6カ国を対象に、文献調査および現地でのヒアリング調査を行い、「社会奉仕活動の指導・実施方法に関する調査研究報告書」(文献3144)をまとめた。
 山形県の高校生ボランティア活動は、学校の枠を越え、地域単位サークルとして発展してきた。この「山形方式」を全国に向かって発信するため、文部科学省委嘱事業として「ボランティアフェスティバル」を行い、青少年の社会形成力の育成を図った(文献3219)。
2002年度
 指導者に関しては、黒木宣博が英国のユースワーカーのもつマンパワーの意義から学ぶよう提唱した(文献3839)。
 ボランティア活動に関しては、大分県が県のセンターに加え、10町村に市町村青少年ボランティアセンターを開設した(文献3746)。北九州市立青少年ボランティアステーションが開設1周年を迎えた(文献3751)。国立オリンピック記念青少年総合センターが「ボランティア学習プログラムの在り方に関する調査研究」を行った(文献3689)。文部科学省が「学校と地域を通じた奉仕活動推進事業」を行った(文献3478)。国立花山少年自然の家は、東北学院大学の授業「ボランティア活動」の運営に1年間携わり、「サービスラーニング(奉仕活動を正規のカリキュラムに位置づけた教育活動)」の一環として、花山ボランティアスクールに学生が参加した(文献3491)。
2003年度
 ボランティアに関しては、大分県立生涯教育センターが、受け入れ先の施設や機関の開拓など、青少年のボランティア活動をコーディネートした。しかし、意欲的な子どもがいても、希望する活動の受け入れ先が見つからないことも少なくないため、新たな受け入れ先の拡充が必要とした(文献4014)。また、三井情報開発株式会社総合研究所が「ボランティア活動を推進する社会的気運醸成に関する調査研究報告書」を発行した(文献4242)。

(3) 「団体活動」
1989年度
 全国規模の団体の中では、中央青少年団体連絡協議会の法人化に伴う動向が重要であった。同会発行の『なかまたち』24号では、「21世紀に向けて飛躍する中青連」という特集テーマのもとに、中青連の法人化の3つの目標である「財源の確保と財政自立」、「社会的責任の認識と認知」、「国際化への対応」について説明した。とくに、「国際化」については、加盟団体の国際交流のための橋渡しや世界的なネットワークづくりなどのための国際的役割についての提言も含まれた(文献0026)。
 また、中青連特別委員会提言「青少年団体活動は青少年の自己成長にどう関わるか」では、「個のふかみ」(個の充実)や「MAZE」(何が起こるかわからない「迷路」に挑戦する姿勢)などの新しいキーワードを示しながら、グループワーク理論の再構築、カウンセリングマインドに根ざしたコミュニケーションの創造などによる、青少年の「個」を大切にする団体運営への方向を提起している(文献0096)。
 その他、「誠実、勇気、自信及び国際愛と人道主義」を目的とするボーイスカウト日本連盟の『スカウト』『スカウティング』、「立派な品性と奉仕の精神を養う」(目的綱領より)少女教育をめざすガールスカウト日本連盟の『リーダーの友』、子ども会の指導者のための『月刊子ども会』、地域の激変の中で青年団活動をいかに運営するかを探る『青年-TheSeinen』などの各種の団体機関誌が、現代の問題状況やメンバーのニーズにマッチした形を工夫しながら、本来の団体固有の教育的目的を実現しようとした。
1990年度
 学校週5日制に関連した青少年団体の動向が注目される。中央青少年団体連絡協議会特別研究委員会は、同年度末に「学校週五日制時代に向けて豊かな人間交流を-時間・空間・仲間を生かす青少年団体活動」という提言をまとめた。そこでは、学校が週五日制になったからといって、既成の青少年団体が安易に請け負い主義的に土曜日の子どもたちの面倒を見ればよいとするのではなく、土曜日の子育てを地域の親たちの共同作業(共働)にしようと提言された。これを同提言は「地域子育てネットワーク」と呼び、個人が集団に埋没することなく、個人一人ひとりがそれぞれの方向性をもつ個人として生きるという意味の「個の深み」と、指導者がお膳立てしたものではないもの、見通しをもちきっていないものなどを取り入れるという意味の「MAZE」(迷路)が、前年度の提言に引き続きキーワードとして提示された(文献0248)。
 学校5日制の「受け皿」として青少年団体がたんなる数量的な拡張をするだけではなく、学校5日制をひとつの契機として、青少年団体の活動スタイルそのものを、このように時代に対応し、また学校週5日制の理念に沿って変化、発展していく姿が注目される。
1991年度
 「ピラミッド型よりもアメーバ型を好む青年」の新しいニーズに対応する青少年団体のあり方を模索する「生涯学習時代を担う日本青年館セミナー報告書」(文献0417)、「未来都市創造のために青年の声を地域社会に反映させよう」と訴える「日本都市青年会議広島大会報告書」(文献0419)などの団体自身の発行資料のほか、田中治彦によるボーイスカウト運動の歴史に関する実証的研究が注目される(文献0453)。
1992年度
 ガールスカウト日本連盟が「挑戦しつづける運動」を発行し、「世界連盟の基本」を紹介するとともに、今日的課題に対する基本姿勢を明らかにした(文献0585)。日本青年館は、青年団体活動の実践事例研究をふまえて行なわれた「生涯学習時代を担う日本青年館セミナー」の報告書を発行し、那須野隆一は、その基調講演において、従来の承り学習や世代の輪切り学習に対して反省を促している(文献0586)。
1993年度
 秋田県青年の家「秋田県の青年団体、グループ・サークルの調査とその動向を探る」(文献0778)、全国子ども会連合会「子ども会活動における子どもの成長に関する調査」などの調査結果(文献0781)が発表された。小林平造「青年自身が世界を読み取り、歴史を綴る筋道」(文献0612)は、鹿児島県青年団協議会の「青年の成長を重視する青年団構想」を、自助と連帯を事実によってさとる運動として評価している。
1994年度
 青森県総合社会教育センターが「団体(グループ・サークル)活動と青少年の意識・行動に関する調査」(文献0803)を、全国子ども会連合会が「子ども会活動等の団体活動経験者の行動特性に関する調査-ジュニア・リーダーの日常生活と意識に関する調査」(文献0997)を行った。
1995年度
 田中治彦が「ボーイスカウト-二十世紀青少年運動の原型」(中央公論社)(文献1077)を出版した。
1997年度
 仙台市青少年問題協議会「子ども会活性化方策について(報告)」(文献1799)が地域の多様な年齢層との関係の樹立による再生を、岡山県「これからのFOS少年団の在り方について(報告)」(文献2150)は家族的雰囲気による少人数団活動の工夫などを提言し、静岡県「青少年活動の活性化について(報告書)」(文献1638)は親たちや地域社会がコミュニケーションを行えるゆとりがなければならないとした。日本都市青年会議は「都市青年活動一覧」(文献1803)で全国調査結果を発表した。一方、大下勝巳が、個人としての「私」を取り戻して子どもに向き合い、大人のネットワークづくりを進めてきた「おやじの会」の報告を通して、新しい地縁社会の創造をめざすテーマ・コミュニティにおける市民の意識改革の意義を主張した(文献1554)。恒吉紀寿が、貝塚・子育てネットワークの会、こころの子育てインターねっと関西などの子育て関連のNPOを紹介した(文献1801)。
1998年度
 NPO法に関心が寄せられた。神奈川県青少年総合研修センターは「神奈川県青少年体験活動実態調査」(文献1996)で、青少年の体験活動を行う草の根の団体の網羅的な把握を試みた。横浜市港南区まちづくり塾では市民と行政のパートナーシップが目指され、「子育てまち育て塾」などが市の助成金を受けて展開された(文献1933)。
1999年度
 NPOの可能性や「生きる力」をはぐくむ青少年団体の教育力に関心が集まった。ガールスカウト日本連盟は「やくそくとおきて」を新たにし、前年の日韓両日政府による共同宣言「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」に基づく交流事業のほか、ジェンダー、インターネット等の今日的課題に盛んに取り組んだ(文献2568)。「全国子どもプラン」の一環として、全国子ども会連合会「我が家の家風とアクションプラン」(文献2558)、日本PTA全国協議会「子どもインターンシップ」(文献2563)、日本都市青年会議「子ども地域活動促進事業」(文献2355)などが行われた。
2000年度
 ガールスカウト日本連盟は「やくそくとおきて」の改定をもとにガールスカウト教育内容を見直し、「新教育プログラム」として今年度試行を開始した。そこでは、「自ら参画する姿勢」の重要性が強調された(文献3013)。
2001年度
 子どもの体験・読書活動を推進する活動とそれに役立つ教材開発を行う団体に対して助成金を交付する「子どもゆめ基金」が、前年度からスタートした(文献3221)。全国生涯学習まちづくり研究会の主催による「子どもをほめよう研究会」の第1回研究会が開かれ、子ほめ条例を制定している各地の事例が報告された(文献3177)。
2002年度
 既存の青少年団体が、社会の価値観の変化等の厳しい状況のなか、それに対応し、さらには次の時代の展望を示すような、団体特有の存在価値をあらためて生かすための模索をした。
 日本青年奉仕協会が「青年・社会人向けのボランティア活動及び社会奉仕体験活動にかかる長期参加プログラムに関する調査研究報告」(文献3835)を発行した。また、同協会は、「不登校児等支援」を目指す団体に1年間にわたる青年ボランティアを派遣し、問題解決のための支援のネットワークづくりを行った(文献3848)。ガールスカウト日本連盟・ボーイスカウト日本連盟が「地域ネットワークづくり」を行っている青少年団体、民間団体、地域団体の事例を調査した。松下倶子はこれを紹介し、①各団の自己診断、②これまでの実績が明確に理解されるような発信、③団体での活動を社会生活でも活かされるようにするなどを提案した(文献3335)。文部科学省が「子どもとインターネット」に関するNPO等についての調査研究報告書を発行した(文献3843)。
 江東区教育委員会が「子ども会活動事例集」(文献3845)を発行した。石井幸夫が、子ども会は「生きる力」をいかにして子どもたちに与えられるかを論じ、子ども会で育むべき具体的な能力として、①好奇心(いろいろなことに興味や関心をもったり、感動する能力)、②行動力(興味・関心をもって物事を観察したり創ったりする能力)、③表現力(自分の意見・考えをまとめ、発表したり、訴えたりする対人関係能力)を挙げた(文献3640)。
2003年度
 全国子ども会連合会が「子どもが主人公の場作りと親へのサポート事業調査報告書」(文献4132)において、家庭開放・遊び場・キャンプ場の3拠点から子どもが主人公になる居場所作りをすすめている事例研究の成果を報告した。日本キャンプ協会「キャンプ研究」(文献4109)は、「長期キャンプが参加者に及ぼす効果とその維持時間」(久保和之他)、「キャンプ実習における状態不安に関する研究-係の役割に着目して」(池畑亜由美他)などの諸論文を掲載した。日本赤十字社は「青少年赤十字活動実践事例集全国版」(文献4245)において、学校の教育目標達成のために取り入れられ、効果を上げている先進的な42の事例を紹介した。また、小川俊一は日本都市青年会議による「子ども・若者・居場所」の調査概要について紹介し、居場所としての住民施設、住民による居場所づくり、まちのたまり場、若者たちが創り出す「若者の居場所」などの意義について述べた(文献4108)。夏秋英房は「愛知県半田市の総合型地域スポーツクラブの展開と運動部活動」において、それが学校の特別活動のあり方とどのように関わるかを検討した(文献3859)。山城千秋は「沖縄における地域の共同性と青年の主体形成を促す地域文化活動に関する研究」(文献4243)において、青年会における地域文化活動、特に民俗芸能の伝承過程を考察し、経済的自立のためアルバイトで生計を立てる沖縄の青年が有する、家族、親族、地域の共同性に価値をおく志向について、今日の人間関係不全によって閉塞状況にある日本社会に対して、主体的に生きることの本質を示すものとして評価した。

(4) 「国際交流」
1991年度
 各自治体が行う青年海外派遣事業のほか、民間団体の機動力を活かした事業が注目される。神奈川県青少年協会「海外派遣団」では、タイで植林活動が(文献0423)、ガールスカウト日本連盟「開発教育プロジェクト」では、ネパールで簡易水道に水栓をつける事業が(文献0424)、新潟国際ボランティアセンター「スタディーツアー」では、タイのカンボジア国境やカオイダン難民キャンプでの活動(文献0301)などが行われた。
1993年度
 「社会教育」は、特集「内なる国際化への生涯学習事業」(文献0620)を組み、青年海外協力隊などについて、三沢昌子が、「国際協力のためボランティア活動をしている人たちの姿は、『ボランティア=奉仕』という概念から、『ボランティア=活動しながら学ぶ』ものであるという認識を新たにさせられた」と指摘した。田中治彦「NGO活動と社会教育団体の役割-開発教育を進めるYMCAのネットワーキング」(文献0608)は、社会教育と開発教育の関係について、CA、ガールスカウト、ユネスコ協会連盟など民間社会教育団体の取り組みが早かったのに比べて、行政社会教育は地域に密着している代わりに国際感覚には乏しかったこと、しかし、このことは逆に強みでもあり、日頃なまの国際的な情報に乏しい農村部や、都市部であっても従来あまり関心を示さなかった層に浸透していく可能性をもっていることなどを指摘した。
1994年度
 国立オリンピック記念青少年総合センターが、全国の都道府県教育委員会および青少年教育施設で行っている国際交流・国際理解事業の概況及び事例について調査して報告書を発行した(文献0828)。田中治彦「南北問題と開発教育」(亜紀書房)(文献0841)は、日本の学校教育においては「日本人」であることを強調する考え方と、「国際人」を養成すべきとする考え方が存在し、両者が整合性を持たないまま現場では同時並行的に教えられているとして、近年地球規模で解決すべき課題が多くなるにつれて、従来の民族主義と国際主義の対立を乗り超える「地球市民意識」の形成が求められると主張した。
1997年度
 例年通り青年海外派遣事業が多かったが、大橋玲子は、その目的が、事業開始当初の見聞を広めるという目的から、青年たちに自己を見つめ直し、新たなる発見をさせる場としての役割に変化しつつあると指摘した。
2001年度
 自治体主催の海外派遣事業に代わって、ガールスカウト、世界青少年交流協会、日本スポーツ少年団等の民間団体による国際交流事業が目立った。
2002年度
 国際交流に関する青少年団体の実践が目立った。修養団青年部は、フィリピンのストリートチルドレンやスカベンジャー(ゴミ捨て場で働く子どもたち)を訪問し、支援活動・交流活動を実践した(文献3549)。ガールスカウト日本連盟のUKガイド招聘事業は、実行委員を会員から募り、若い女性が企画・運営の体験を通じて力をつける機会とした(文献3853)。そのほか、川上衛が、ワーキング・ホリデー制度は「自分で決めて何でもできるが、行動は自分の責任である」という自覚が大切とした(文献3665)。文部科学省国際教育協力懇談会が「ダカール行動枠組み」に対する我が国の対応等の資料をまとめた(文献3584)。
2003年度
 「南」の子ども支援NGOネットワークが「国際協力NGOのための子ども参加実践ガイドライン2003」(文献4041)を発行し、「子ども参加はなぜ必要か」、「子ども参加の重要性を組織内でどう共有するか」などについて述べた。伊藤幸洋他は2002年度に行った「PEACE」という「総合的な学習の時間」の実践の研究成果を発表した。伊藤らは、国際理解を進めるために「その人と仲良くなりたい」思いを引き出す必要があるとして、人との出会いを通しての「学習手段」、「表現手段(コミュニケーションスキル)」、「関わり合う力」の獲得の重要性を指摘した(文献4248)。藤田克昌は「国際理解教育を進める実践的アプローチの研究-問題解決能力を高める参加型学習を通して」において、国際理解教育での参加型学習の有効性や問題点を明確にするとともに、学習資料のデータベース化について検討を行った(文献4249)。帆足哲哉は「ドイツにおける異文化間教育に関する一考察-地域社会における(学習)活動の視点から」において、「共存・共生」を見据えた地域での教育のあり方を検討した(文献4086)。

(5) 「メディア・文化」
1989年度
 高橋勇悦他『メディア革命と青年-新しい情報文化の誕生-』(恒星社厚生閣)(文献0093)が、新しい視角を提示した。高橋らは、今日の青少年がテレビなどを生まれたときから享受して育った初めての世代であるとの認識のもとに、青少年とテレビ、電話、ファミコン、パソコン、パソコン通信との接触を共感的に分析した上で、「青年を中心として軽いメディア文化が洗練される」として、情報化の主体としての青少年の形成に期待をかけた。小平さち子「幼稚園・保育所におけるテレビの利用」「家庭における子どもとテレビ」(NHK放送文化調査研究所『放送研究と調査』39巻6号、8号)(文献0147)、深谷和子他「電話・手紙」「テレビアニメ(ドラマ)と子どもたち」(福武書店教育研究所『モノグラフ・小学生ナウ』9巻8号、10号)(文献0053)などが、子どもをとりまくメディア環境の今日の変化を、調査にもとづいて具体的に明らかにした。
1994年度
 メディア接触、テレビゲーム、テレビ子ども番組、放送の公共性と番組内容規制などに関する議論が盛んになった。
1995年度
 電子メディア、テレビ、漫画等とのメディア接触、ジェンダーの影響などに関する文献が発行された。
1996年度
 インターネット、パソコン通信、ポケベル、メディア等の青少年に関する影響などに関する文献が発行された。
 また、若者文化の面では、西村美東士が、「何にムカツいているのか?-癒されない若者文化たち」(文献1493)において、同質の仲間集団とあわせて仲良くやっていこうとする若者のピアコンセプトの弱点を指摘し、サンマ(時間・空間・仲間の三間)で得られる「癒し」による対抗文化の意義を主張した。藤村正之は、マクロな社会現象に積極的に関与しようとはせず、ミクロな社会たる他者像も十分に結びえない若者たちに残された物語は「等身大の自己」という物語であるとし、イッキ飲みやカラオケ・ボックスで象徴的に展開される若者たちのコミュニケーション世界について「みんなぼっちの時代」と指摘した(文献1263)。
1997年度
 青少年問題審議会「高度情報通信社会に向けた青少年育成の基本的方向-青少年の社会参加の拡大とその課題」(平成9年4月意見具申)(文献1645)が提言された。西村美東士が、今日のインターネットなどの情報通信技術の発展によって現代青年にとって一番遠い所にある情報としての地域や行政の情報が開かれたものになり、電子的仮想空間における「自負できるプライバシー」および「二次利用されたい著作権」が若者に「癒し」を与える可能性を指摘した(文献1671)。
1998年度
 「全国子どもプラン」による「こども放送局」が実施された(文献1946)。総務庁青少年対策本部は「青少年とパソコンなどに関する調査研究報告書」で、利用実態や有害情報への接触実態などを明らかにした(文献1883)。民放連では、放送基準審議会を中核に「番組規制問題」および「青少年と放送」について検討を進め、番組格付けやVチップ制度について拙速を避けるよう主張した(文献1920)。
1999年度
 メディアやインターネットが青少年に与える影響については、その功罪について議論が両極化し、実証的研究が進んだ。7月に文部省は「教育情報衛星通信ネットワーク(エル・ネット)」の運用を開始した。「子ども放送局」は、これを利用し、全国子どもプランの一環として、子どもたちの夢や希望をはぐくむ番組を放送しようとした(文献2297)。
2000年度
 「子ども放送局」や「エル・ネット」等の活用が提唱された。坂井知志が、衛星通信やインターネットなどの「道具」としての可能性を訴えた(文献2711)。
 NHKと民放連共同により第三者機関「放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)」が放送番組向上協議会に設置され、青少年有害環境問題とメディアの自律との関係が議論された(文献2876)。竹内淳は「青少年社会環境対策基本法案」による包括的メディア規制を批判し、民放界の自助努力を一定期間見守るよう主張した(文献2875)。
2001年度
 IT化、グローバル化の進行の中で、温かいコミュニケーションや、自己の社会的存在確認を志向する動向が強まった。
 携帯電話やインターネットで結ばれている若者の友人関係は、「広いが浅い」なのか「選択的」なのか、浅野智彦らによる『みんなぼっちの世界』(平成11年、恒星社厚生閣)での提起を受けて、塩森継紀「親指ネットと若者の友人関係の変容」(文献3439)などの議論が行われた。また、山本功は「現実から逃げてバーチャルな世界に没頭する若者というよりは、いわば現実のストリートにいる少年の方が『会ったことのない人』とメールでやりとりしている」とした(文献2371)。
 他方、青少年交友協会は各国の自然観や野外伝承遊びを調査し、森田勇造理事長が「科学文明社会の子どもたち」に対する野外文化教育の重要性を主張した(文献3212)。
2002年度
 IT化の是非論にとどまるのではなく、青少年にとってのその特性を理解し、望ましい対応を考えるための議論がされた。他方、メディア社会のなか、彼らにとっての読書の意義を見直し、その推進を主張する論調も強まった。
 インターネットに関して、内閣府政策統括官が「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針-情報化社会の進展に対応して」に基づく取組等の実施状況をまとめた(文献3517)。また、「第4回情報化社会と青少年に関する調査報告書」を発行した(文献3579)。広島市青少年問題協議会が「電子メディアと子どもたち」に関する実態調査を行い、「広島発の特色を」などと提言した(文献3580)。青少年育成国民会議がホームページ上で「全国ネットシンポジウム」を開いた(文献3826)。
 国語に関しては、旺文社生涯学習検定センターが「実用日本語語彙力検定」受検者の小・中・高校生を対象に「ことばに関するアンケート」を実施し、「大半の子どもが『乱れた日本語』を自覚しながらも使用」と調査結果をまとめた(文献3606)。
 読書に関しては、福岡県が「青少年アンビシャス運動」(県民運動)の一環として「本のわくわく探検事業」を行った(文献3834)。文部科学省が「子どもの読書活動の推進について」を発行し、全国子ども読書活動推進キャンペーンや支援事業等について紹介した(文献3837)。
2003年度
 文部科学省が「子どもとテレビゲームに関するNPO等についての調査研究」を米国調査の結果も含めて報告した(文献4236)。そこでは、知的能力、学力、体力に関する研究、影響力を規定する条件を特定する研究などの必要が指摘された。





2.6 これまでの社会化支援理念の検討
2.6.1 1990年代における「個性重視」支援理念の検討
 以上の文献分析をもとに、以下のとおり、1990年代における「個性重視」支援理念についての検討を行った29。

(1) 1990年代初頭の動き
  -臨教審/個性重視/生涯学習

 1985年6月、臨時教育審議会(以下、臨教審)「教育改革に関する第1次答申」は、欧米へのキャッチアップを実現した我が国の教育改革の基本的考え方として、個性重視の原則を挙げ、生涯学習体系への移行を訴えた。「個性重視」はその後の審議でも中心課題であり、最終答申である第4次答申(87/8)は、教育の基本的在り方と視点として、①個性重視、②生涯学習、③変化への対応、を提示した。90年代の青少年教育は、この考え方に大きな影響を受けながら展開する。
 ただし、臨教審のいう「個性重視」という言葉については、第1部会では新しい教育理念として「個性主義」(個性の最大限の開発)が提起されており、これを「現状の教育の枠内での言葉に置き換えられてしまった」(第1部会委員中内功)結果のもの、すなわち妥協の産物とみることができる。ここには、社会的機能としての教育と、個人的活動としての学習との、折り合いをつけることの難しさが表れている。
 その後、生涯学習局を筆頭局として設置するなど文部省の組織の大規模な改革(88/7)や生涯学習の基盤整備を図ることを目的としたいわゆる「生涯学習振興法」の公布(90/6)があった。中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」(90/1)は、生涯学習を振興するに際して国や地方公共団体に期待される役割は、人々の学習が円滑に行われるよう、生涯学習の基盤を整備して人々の生涯学習を支援していくことであるとし、生涯学習の推進体制や地域における生涯学習推進の中心機関となる生涯学習センターの設置などの基盤整備の具体策を提言した。また、留意点として、次のように述べた。①生涯学習は、生活の向上、職業上の能力の向上や、自己の充実を目指し、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであること。②生涯学習は、必要に応じ、可能なかぎり自己に適した手段及び方法を自ら選びながら、生涯を通じて行うものであること。③生涯学習は、学校や社会の中で意図的、組織的な学習活動として行われるだけでなく、人々のスポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション活動、ボランティア活動などの中でも行われるものであること。同審議会答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」(91/4)は、学校教育を生涯学習の一環としてとらえ、過度の受験競争など学校教育が抱えている問題点を解決するためにも、生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果を評価するような生涯学習社会を築いていくことが望まれるとした。
 生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」(92/7)は、人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会の構築を目指すべきであるとし、当面の重点課題として、①社会人になってからでも再び教育を受けられるリカレント教育の推進、②ボランティア活動の支援・推進、③青少年の学校外活動の充実、④環境、情報の活用等の現代的な課題に関する学習機会の提供を挙げた。
 本研究報告ですでに述べてきたように、これまでの社会化支援理念においては、臨教審が20年以上前に提起した「個人主義」、「個性重視」と社会化支援との関連づけが不十分であったと考える

(2) 大人の個が問われる
  -学校週5日制/個の深み/心を育てる

① 大人自身の「個」の確立
 92年9月、毎月第2土曜日を休業日とする学校週5日制が実施され、2002年には完全実施されることになった。
 中央青少年団体連絡協議会特別委員会提言「学校週5日制時代に向けて豊かな人間交流を-時間・空間・仲間を生かす青少年団体活動」(91/3)は、既成の青少年団体が安易に請け負い主義的に土曜日の子どもたちの面倒を見ればよいとするのではなく、土曜日の子育てを地域の親たちの共同作業(共働)にしようと呼びかけた。西村美東士は委員として、「地域子育てネットワーク」において、個人が集団に埋没することなく、個人一人ひとりがそれぞれの方向性をもつ個人として生きるという意味の「個の深み」が重要であることを文中で提起した。
 これは、学校週5日制の受け皿として青少年団体がたんなる数量的な拡張をするだけではなく、5日制をひとつの契機として、青少年団体の活動スタイルそのものを時代に対応して変化、発展させようとする提起であり、そこで問われるのは指導者や大人自身の「個の深み」の発揮である。
 京都府では「京都府青少年プラン」(91/3)が策定され、その視点として、大人一人ひとりが青少年を育てることが挙げられた。大阪府では「大阪府青少年育成計画(プラネット計画)」の計画期間の終了に伴い、「第2次大阪府青少年育成計画(新プラネット計画)」(92/1)を策定した。この計画作りの視点としては、おとな社会の問い直し、青少年文化の積極的評価、おとなと青少年の共育、などが挙げられている。「大阪府青少年白書」は、これを受け、青少年が「心の豊かさや精神的なたくましさに欠ける」とか「自立がおくれている」とかいわれていることに対して、そのような指摘のあたる面もいくつか見られるが、一方では、青少年がおとな以上に優れた感性や能力をもっている面もあるという認識から、彼らのためにいかなる環境をつくるかについての大人の責任が重大である、と提起している。
 青少年育成国民運動に関しては、93年3月、青少年育成国民会議が『生かそう、学校週5日制』を発行し、具体的条件づくりとして、①地域の育成体制の充実、②ヤル気のある指導者のネットワークづくり、③活動の場の整備・充実、④子どもたちに魅力ある活動を、⑤非行防止への配慮を、⑥安全対策と情報提供を、と提案し、同会議におかれた特別研究委員会は「21世紀に向けての青少年育成構想」を報告し、「少子化と青少年育成」に関して、①育児条件の整備、②子育てを社会的な視点で、③男性の育児参加、④育児に対する職場での理解、⑤地域の中で子育てネットワークを、と提言した。
 岐阜県個性を活かす社会づくり懇談会「個性を活かす社会づくりに向けて」(94/3)は、その視点として、①個性を活かす社会づくりと教育、②自己教育力の養成、③生涯教育の体系化、④人間観の変革、⑤教師観の変革・教師自身に対する視点の見直しなどを提言し、その青少年対策検討委員会報告書は、方策推進のための基本方向として、①自主性の尊重、②知的好奇心の尊重、③発達段階に応じた対応と体験的活動の重視、④21世紀に向かう社会的潮流を見据えた展開、⑤役割の明確化と連携のとれた取組みなどを提起した。報告では、一人ひとりの個性を尊重することにより、「個人の幸福」と「社会の発展」の両面の達成が可能になり、その社会は、長所優先主義で、個性の多様性、異質性が尊重されるとした。社会そのものに「個性を活かす」ことを求めたのである。
 山梨県青少年総合対策本部「やまなし青少年プラン」(94/3)は、「教育」から「共生」への意識改革を訴え、「青少年問題は大人の問題」とした。横浜市青少年問題協議会「青少年の主体的成長・発達をめざして」(同)は、彼らの健全な発達を保障する環境づくりについて提言したうえで、青少年自身がこの世に生まれでた命を自らが誇りとすることができ、また自覚と自律心のある人間として健やかに成長することを願い、青少年に対して「君たちの心を親はわかってくれているか」と呼びかけた。
 『富山の青少年』(95/1)は、青少年問題の対策に関する基本的認識として、「青少年はその時代を写し出す鏡でもある」とし、青少年問題は社会全体とりわけ大人の姿勢の問題であるということを常に認識し、家庭、学校、職場、地域社会等、社会の各分野において大人たちが、それぞれの役割と責任を果たすよう提唱した。「わかやまの青少年プラン」(95/10)は、「大人自身が青少年とともに学び、育つ姿勢を堅持します」という視点のもと、「青少年が世代をつなぐ意思を持って自立していくために、大人もともに働き、ともに生活し、次代を育てる喜びと意味を自覚する必要があります。そのためには、大人自身が健やかに育ち、また、育とうとする努力が大切であり、新しい年齢観や世代役割を考え、創造し、ともに学び育つ姿勢を持ち続ける、いわゆる生涯学習の視点が重要」とした。「守口市青少年健全育成計画」(95/4)は、「青少年が変わったとか、理解できないとか嘆くのではなく、彼らの持つ新しい感性や表現方法を積極的に理解し、認知していく」とした上で、「人間や自然との共生を図り、ゆとりとぬくもりのある豊かな都市環境をつくる」、「青少年の夢を育て、生かすという視点に立って、青少年育成の観点を組み込んだ地域環境のあり方を見直す」としている。福岡市の「青少年対策の基本方向」(95/12)は、青少年の非行等問題行動への対応について、「単に対症療法的な対応や事後的措置だけでなく、大人社会の問題でもあるとの認識のもとに広く青少年の健全育成を基本とした総合的な取組を推進する必要がある」とした。
 東京都青少年問題協議会答申「青少年の自立と社会性を育むために東京都のとるべき方策について」(96/2)は、いじめ問題への対応について、「どうしたら社会全体に、正義が尊重され、勇気をもつことが価値とされるような文化を作り出すか、大人の姿勢が問われている。大人たちがボランティア活動にかかわる姿を一般化させ、ボランティアが日常化している社会的風土を広げることが必要である。こうして、社会全体が人にやさしい社会となる時、いじめは限りなく終息に近づくことであろう」としている。「埼玉の青少年」(96/3)は、青少年育成の基本理念として、「青少年問題は大人の問題」とし、「大人自身の生き方や社会のあり方を問い直し、大人一人ひとりが青少年育成に対する責任を自覚する必要がある」と述べている。そして、「~してはいけない」と禁止的に働きかけるのではなく「~しよう」と積極的に関わるよう提起している。「三重県青少年対策」(96/4)は、いじめについて「人権に係わる重大な問題」であることを社会全体の共通認識として位置づけるという方針のもと、父親の出番を重要な要素として受けとめるよう提唱した。
 また、西村美東士「チ・イ・キなんかが若者の居場所になるの?」(95/9、神奈川県青少年総合研修センター「あすへの力」)は、大人たちが「せめて青少年には幸せを」と言って、自分たち自身の不幸で非主体的な状況を批判しないまま地域教育力に期待を寄せることの滑稽さを指摘し、地域の「善と悪」「毒と薬」の入り交じったなまの出会いによって、「真実」にふれた思いがして、自己の枠組み自体が揺らぎ、拡大するからこそ、そこには深い感動が生ずる、とした。さらに、岡山県社会教育委員の会議提言「青少年の学校外活動の充実について」(96/3)は、学校外の生活体験・自然体験のあり方について、「私たち大人が、星空の瞬きに、海岸の潮騒に、そして山々の薫りに関心を持つことができる生活態度を回復しなければならない」と提言している。大人個々人の実感の乏しさにまで踏み込んで指摘されるようになったのである。
 このように、90年代中盤、青少年対策や国民運動において、その活動が単なる「青少年対策」にとどまるものではなく、現代社会の大人自身がもっと人間的に成長することや、社会自体がもっと生きやすく、他者とともに生きることのできる社会になることと深く関連するという認識が深まっていった。
② 子育て支援と「心の教育」
 日本ユニセフ(国連児童基金)協会『ユニセフ年次報告』(97/3)で、事務局長キャロル・ベラミーは、「児童の権利条約」批准状況等の今日までの大きな前進を認めつつも、予防できるはずの人権侵害による死亡、不就学、厳しい貧しさ、その他搾取的な工場や戦場あるいは不健康な都市、とりわけ女の子への差別などの緊急な課題を提起した。同「世界子供白書」(98/12)は、テーマを教育とし、「なによりもまず学校教育は生涯学習の基礎にならなければならず、アクセス可能で、質が高く、柔軟で、ジェンダーに配慮し、女子教育を重視するものでなければならない」として、教育の権利、教育革命、人権に投資する、の3点を主張した。国際的にも、子どもの加害者としての大人や社会の問題が重視され、生涯学習の意義が強調された。
 東京都児童福祉審議会は「子育て支援のための新たな児童福祉・母子保健施策のあり方について」(92/11)は、福祉、保健、医療にとどまらず、関係各行政分野や家庭、地域社会、企業を含めた社会全体が総合的な取り組みを行なうよう提言した。そこでの「子育て支援」の理念とは、「子どもを産み育てることは、個人の自由意思に属することが尊重されるべきものである」としつつ、「行政は都民が希望と喜びをもって子どもを産み育てたいという動機づけになるような基盤づくりと、子どもを産み育てたいと希望する人々への支援策を行なうものである」というものであり、出産・育児に関する不安などの適切な情報提供と発見のシステムを要する問題をも児童福祉施策の対象に含めていくべきとして、大人の生涯学習支援の性格を強めていく。また、93年11月には、東京都福祉局、衛生局、教育庁の関係職員による「児童虐待防止マニュアル作成検討委員会」が発足し、『子どもの虐待防止マニュアル』(95/3)が作成された。
 国のエンゼルプランを受け、97年3月、「やまなしエンゼルプラン」は、①子どもの視点にたった施策の展開、②安心して子どもを生み育てることができる環境づくり、③子育て支援の社会環境づくりを、「摂津市児童育成計画」は、①最善の利益は子どもに、②地域や社会による子育て支援、③子どもとともに育つ都市づくり、を掲げた。後者は、誰もが楽しく子育てができ、子育てを通じて社会参加・参画ができるよう、親とともに、地域や行政が一体となって子育てに取り組むとしている。
 これらの動きのなかで、団体活動に関しても、97年度、仙台市青少年問題協議会報告「子ども会活性化方策について」が地域の多様な年齢層との関係の樹立による再生を、岡山県FOS少年団連盟専門委員会報告が家族的雰囲気による少人数団活動の工夫などを提言し、静岡県「青少年活動の活性化について(報告書)」は親たちや地域社会がコミュニケーションを行えるゆとりがなければならないとした。大下勝巳は、個人としての「私」を取り戻して子どもに向き合い、大人のネットワークづくりを進めてきた「おやじの会」の報告を通して、新しい地縁社会の創造をめざすテーマ・コミュニティにおける市民の意識改革の意義を主張した(97/5、全日本社会教育連合会『社会教育』)。
 香川県では、「青少年の自立支援事業」やCAP(Child Assault Prevention:子どもへの暴力防止)事業を実施した。これは、ワークショップを通して県民のCAPプログラムへの理解を深めるとともに、子どもが暴力から自分の身を守る知識と手段の習得を図るものである(99/3、青少年育成香川県民会議『青少年の自立支援事業実践事例集』より)。
 これら、大人の問題を問い、大人の心の転換を求める動きを、青少年教育において結実させた答申が、中央教育審議会「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機」(98/6)である。これは、「子どもたちに豊かな人間性がはぐくまれるためには、大人社会全体のモラルの低下を問い直す必要がある。子どもに伝えるべき価値に確信を持てない大人、しつけへの自信を喪失し、努力を避ける大人が増えている。子どもの心を育てるべき大人社会が、こうした『次世代を育てる心を失う危機』に直面していることこそ、根本的な問題。今後、我々大人が率先してモラルの低下を是正し、この危機を乗り越えていこう」、「悪いことは悪いとしっかりしつけよう」などと訴えた。
 学校週5日制完全実施に向けて、地域において子どもたちに豊かで多彩な体験活動の機会を用意するため、文部省は1999年度を初年度とする「地域で子どもを育てよう緊急3カ年戦略(全国子どもプラン)」を策定した。国立信州高遠少年自然の家等では、青少年とくに中学生による憂慮すべき事件などについて、子どもたちのサインを大人が見落としているのではないかということから、前年度半ばの「子どもと話そう全国キャンペーン」に呼応した事業を春休みに展開した。静岡県では、文部省「子どもの『心の教育』全国アクションプラン」委嘱事業として「こどもの心を取り戻す教育推進事業」を実施した。兵庫県社会教育委員の会議は「子どもたちに生きる力を育む社会教育の推進」を報告した。神戸市須磨区の事件以来、「心の教育」の一層の充実を図ることの大切さを改めて認識し、前年度から、公立中学校2年生全員が、地域でボランティア体験や勤労体験等を行う「トライやる・ウィーク」推進事業等を実施しているが、本会議はこれを受けて青少年の心の居場所づくりなどを提言した。
 「心を育てる」について「心を育てるといわれたとき、その指さされた心のあり方が、教育を受けるものにとって本気になれないものだとしたら、指導行為など成り立つわけがない。青少年教育において「心を育てる」ためには、「青少年対策」だけでなく、何よりも大人の個の自己確立にまで踏み込まざるをえないという認識には、90年代終わりの時点ですでに到達しているといってよい。しかし、依然として残っている課題は、青少年にとっても、それを取り巻く大人にとっても、「自らが自らの心を育てる」という個の学習を現実化するための有効な支援方策を明らかにすることであると考える。
社会化支援理念の形成においても、「こころ」というきわめて個人的なテーマにアプローチせざるを得ない状況になったと考える。

(3) 個は個別に多義的に生きている
  -自由時間/ソロ/自分さがし

① 「個」を生かした青少年育成
 神奈川県「かながわ青少年プラン改定実施計画」(91/3)は、「大人のつくった社会参加観の中での活動を期待したり、青少年に特別な行為を要求したりするのでは、青少年の自主性の芽は育ちません」とした。青少年への大人や社会の側から期待するだけでは、青少年個人にとっては意味あるものにならないということであろう。91年度からの「新富山県民総合計画」は、若者の定着と流入のため、若者の感性にあった都市、深夜まで楽しめるまちづくり等をめざした。ただし、沖縄県ではのちに「青少年の深夜はいかい防止県民一斉行動」(95年度から)を始め、青少年の夜遊びや深夜はいかいの現状に対し、全県民が生活リズムの確立を図り、大人自らが夜型社会を是正するよう求めている。
 埼玉県青少年問題協議会意見具申「青少年健全育成の進め方について」(92/2)は、青少年健全育成の3つの原則として、①科学性-専門的知識や技術の活用、②計画性-長期的視点に立った目標の設定と実行、③総合性-密接な相互連帯と全人性の形成を挙げ、「さいたま青少年育成指針」(92/9)について、行為主体である青少年の活動の実効性や定着を図り、受け入れやすいものにするよう具申した。山形県では、共生、融合、創造、自己実現、関係の5つをテーマとする「新アルカディア構想」に基づいて「やまがた青少年プラン」(92/9)を策定し、青少年の自主性を大切にし、自立と連帯を推進する、などの視点を提示した。群馬県「群馬県青少年健全育成マスタープラン」(93/3)は、「21世紀の主役を育てる」ため、青少年の主体的、積極的な社会参加の実現をめざし、青少年の自主的な活動の促進を計画した。「行為主体である青少年」個人に対して、青少年教育はいかに関われば実効性をもつのか。
 「京都市青少年育成計画」(93/6)は、73年以降「ユース・サービス」(青少年の自己成長の援助)を青少年育成の基本理念に掲げている京都市において、成長のモデルを大人に求めることができた時代が過去のものとなり、子どもから大人へと発達課題を達成しながら成長することが困難となった今の時代にあって、青少年の立場に立った育成の理念と方向性を、新しいユース・サービスの展開として提案した。計画策定の視点は、「現代の青少年への視点-『個』の尊重」を挙げ、従来のように青少年を『集合』としてとらえることから離れて、『個』としてみつめ、基本的人権の尊重を出発点として、個人差の大きさもそれ自身、独自の価値をもつものとして尊重する、というものである。岡山県青少年問題協議会意見具申「少子化社会と青少年の健全育成」(95/3)は、画一を是とする誤解の解消として、「みんなと違うからこそ価値があること」「みんなと同じようにしないこと、あるいはできないことがあること、それこそが人間一人ひとりの尊厳であり、かけがえのない価値の証明である」ということを子どもたちに伝えていくような教育を展開するよう訴えた。
 東京都青少年問題協議会意見具申「青少年が主体的、創造的に生きる21世紀を-『自由時間』の中での成長」(94/3)は、学校に代表される計画され、整えられ、課題の用意された時間(課題のある時間)の中での成長のほかに、遊びに代表される自由な時間の中でのもうひとつの成長を重視し、「自由時間」の中での今日の青少年の成長の機会が欠けていたのではないかと指摘した。そして、青少年の新しいライフスタイル確立のためには、自由時間を主体的・創造的に活用し、活動を展開できるような精神や態度をも含むいわば「余暇(活用)能力」が必要であるとし、青少年が「自由時間」を十分活用できるように、あるいは青少年の余暇活動を十分サポートできるように、社会システムを構築することなどを提言した。これは、従来の自主性の尊重から、外から与えられた課題のない自由時間の尊重への姿勢の進展である。
 また、93年から94年にかけて、前出『社会教育』誌が、青少年への「死への準備教育」等を意識しつつ外的環境と精神世界の調和を論じた「アメニティと生涯学習ライフ」、生きがいや自己実現のための生涯設計について学校教育や民間の就職活動準備セミナー等の事例を扱った「ライフプランと学習活動」、学校教育から「生涯自己発見学習」への転換を論じた「個人の成長と生涯学習論1994」など、青少年一人一人の人生にも関わるテーマを立て続けに特集している。
 これらの動きと並行して、体験学習の分野においては、ソロ(単独行)という形での「独りでいること」の実施が試みられた。山口県野外教育活動研究会「グッド・ジョブの声が響く中で-新しい野外教育活動の取り組み」(92/1)では、3日3晩続く孤独と反省の時期として行われるソロなどを、その指導法とするOBS(アウトワードバウンド・スクール、後述)のプログラムが導入された。神奈川県中央青年の家「かもしかキャンプ実施報告書」(92/2)には、自分自身を見つめ直し、自然を認識するための、山中で一人で過ごす2泊3日のソロプログラムが含まれている。その後、ソロは、各地の文献に散見されるようになる。
 このように、個人の個別性の尊重、自由時間の評価、固有の人生への関心、さらには「独りでいられること」の意義への気づきなどの教育的な視点の深化が見られる。これは、いじめ問題やその他の社会動向にも関わって進んできたのであろうが、同時にそれは「行為主体である青少年」に対して青少年教育が実効性をもつための有力な糸口を示すものになると考える。
② 「自分さがし」における「個」の多義性
 中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(96/7)は、次のように述べた。教育は、「自分さがしの旅」を扶ける営みと言える。子どもたちは、教育を通じて、社会の中で生きていくための基礎・基本を身に付けるとともに、個性を見出し、自らにふさわしい生き方を選択していく。子どもたちは、こうした一連の過程で、試行錯誤を経ながら様々な体験を積み重ね、自己実現を目指していくのであり、それを的確に支援することが、教育の最も重要な使命である。このような教育本来の在り方からすれば、一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その伸長を図ることを、教育改革の基本的な考え方としていくべきである。
 これは「自分さがしの旅」を公教育が援助していくのだといういわば「決意表明」である。まずは個性重視の表れとして評価できる。しかし、その功罪は考えなければならない。
 当時、初等・中等教育だけでなく、いくつかの大学でも、自分が何をやりたいかを気づかせたり、自分を見つめさせたりする授業などが試みられた。「自分さがし」とは本当にそういうものなのなのか。「本当の自分」とは、学校教育のような強固に意図的・組織的な営みのなかで支援されるべきものなのか。「本当の自分」があるとしても、それは多義的、状況的な性格を有していることに留意する必要があると考える。
 河合隼雄『子どもと悪』(97/5)は、「端的に言ってしまうと、個性の顕現は、どこかで『悪』の臭いがするのではないか」として、好きなことへの熱中による個性の発揮や集団になじめない人の創造性などについて述べた。そのうえで、大人が子どもの悪に対して「ここからは許さない」という「強い壁として立つ」よう求めた。しかし、それは「何があたってきても退かない強さであって、それが動いて他を圧迫することではない」とした。
 その点からも、インフォーマルな青少年教育の施策と理論の到達点は示唆深い。繰り返すが、それは個別性、自由時間、固有の人生、そして独りの世界の発見、さらには悪の存在である。これをまとめて「個は個別に多義的に生きている」と表現することができると考える。

(4) 固有の身体をもつ個への注目
  -臨床の知/体験と冒険/生きる力/科学

① 「臨床の知」を育む体験と冒険
 神奈川県青少年総合対策本部「かながわの青少年」(90/3)によると、81年の知事の呼びかけに始まる県民総ぐるみの「騒然たる教育論議」に始まる「ふれあい教育運動」が取り組まれており、89年3月の提言「翔べ!神奈川のこどもたち」に至った。そこでは、「ふれあい教育」を、「科学の知」による教育から「臨床の知」を基本とする教育とし、「単に自然や人とのふれあいだけではなく、すべての教育活動の基盤であり、最も本質的な柱」と位置づけている。提言は、その基本理念に基づいて、現代社会の新しい貧しさの克服、共生関係の学習などの実践化へ向けて一歩踏み出すよう訴えた。「臨床の知」とは中村雄二郎の術語で、近代科学の<普遍性><論理性><客観性>を批判し、近代科学が排除してしまった<コスモス><シンボリズム><パフォーマンス>、すなわち<固有世界><事物の多義性><身体性をそなえた行為>の大切さを訴える言葉である。
 このように個人が固有の身体を伴って、それぞれの世界で受苦し、受動しつつ生きているという真実をまともにとらえるとき、青少年教育は、それが提供する対自然、対社会の疑似体験の意義を今まで以上に自負するとともに、疑似とはいえ、青少年個人の体や心の内面により肉薄する体験の提供を志向することになる。
 国立オリンピック記念青少年総合センターの『自然生活へのチャレンジ推進事業事例集-フロンティア・アドベンチャー』(90/3)は、88年から始まった文部省補助事業としての本推進事業が全国各地で展開されていることを表しており、山奥や無人島等の大自然の中で、異年齢構成の少年50人が10泊もの長期間の原生活体験を行うことによる欠損体験の擬似的な体験の顕著な効果を示している。
 群馬県では、登校拒否や青少年のひきこもりといった問題の増加などの状況の中、たくましい体と優しい心をもった青少年の育成を図って、新総合計画「新ぐんま2010」(92/3)を策定した。自然生活へのチャレンジ推進事業「おもいっきり冒険隊」などが、その青少年健全育成事業として位置づけられている。また、山口県教育委員会『原始に生きる防長っ子キャンプ報告書』(92/3)によると、他者理解、自然理解、自己理解、集団理解の4つの視点から、人とのふれあい、自然とのふれあい、生命体とのふれあい、文化とのふれあいを重視し、その指導目標を好奇心の活性化、不撓不屈の根性、探求心の強化、自己抑制、おもいやりの心におき、対人関係におけるコミュニケーションと協力関係を強化するための指導法を伴う米国OBS(アウトワードバウンド・スクール)のプログラムを展開した。この試みは、自然生活へのチャレンジ推進事業の新しい進展のひとつの方向を示すものとしてとらえられる。
 1994年前後の文献からは、それらの体験学習の意義が、自ら望んで安全な世界から踏み出そうとする冒険教育の意義として主張されるようになる。国立赤城青年の家『自然教室に取り組む指導者のために』(96/1)で、飯田稔は「冒険教育のすすめ」と題し、冒険のもつ4つの要素を次のように提示している。①危険を冒そうとすること。特にケガ、時には生命の危険をともなう点である。大なり小なり生命と引換えの部分を含んでいる。②自ら望んで安全な世界から踏み出そうとするエネルギー。行為者の自主性である。③新しい知識や体験に対する憧れ。ある程度の危険を冒してもそれを得ようとする意欲である。④非日常性。日常生活上のきまりや利害関係とかけ離れた行為や活動で、非日常的な状況の中で行われる。したがって、冒険の多くは一般社会にとっては無価値なもので、時には非社会的なものといえる。
 これら全国各地の「自然生活」や「自然体験」の重視の傾向の強力な先導的役割を果たしたのが、国立青年の家・少年自然の家、とりわけ少年自然の家である。一方、青年の家、少年自然の家などの文部省所轄の国立の社会教育施設に対する総務庁の行政監察(94年)ののち、国立青年の家少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議報告「国立青年の家少年自然の家の改善について-より魅力ある施設に生まれ変わるために」(95/7)は、「多様なニーズヘの対応と柔軟な運営」などの提言をした。全国青年の家協議会『青春カルシウム-体験学習のすすめ』(96/3)で、全国青年の家協議会会長・国立中央青年の家所長の内田忠平は、施設実態調査の結果から、「青年の家は、新しい社会の流れを必ずしもうまく捉えられたと思われない。豊かな社会であるがゆえに、疎となりがちな人との心の交流という青年の家が有する機能を生かしながら、青年が求める基本的な快適性の充足を考えていくべき」と提唱した。同書によると、大雪では教える者、教えられる者という関係ばかりではない受入れ事業に意味を提起、江田島では「指導系職員が見た青年の家考」を発行、岩手山では全国規模の青少年団体や地域の青少年団体等により組織された実行委員会による交流活動を展開、赤城では自然教室指導者のガイドブックを発行、能登では障害児者の施設利用に関する調査研究協力者会議、乗鞍では視覚障害者の雪とのふれあい、沖縄では無人島に挑む全国青年のつどいを実施した。一部の突出した少年自然の家が従来から提起していた新しい経営姿勢が、国立青年の家などに普遍化していった。青少年個々の身体にとって過酷な疑似体験と、快適な居心地の両者がともにめざされたのである。
② 「生きる力」と科学教育
 前出、中央教育審議会第一次答申(96/7)は、「ゆとり」の中で子どもたちに「生きる力」をはぐくむことを基本に、学校の教育内容を厳選するとともに家庭や地域社会における教育を充実すること、21世紀初頭を目途に学校週5日制を完全実施すること、社会の変化に対応した学校教育の改善を図ることなどを提言した。ここで「生きる力」とは、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力を指す。
 青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議(主査飯田稔)報告「青少年の野外教育の充実について」(96/7)は、青少年の野外教育について「全人的成長を支援するための教育」ととらえ、「生きる力」の育成を図る上で極めて重要と主張した。同答申を受け、97年度の文献によると、青少年の「生きる力」を育成するため、ウィークエンド・サークル活動推進事業、アドベンチャーキャンプ、野外体験事業などが盛んに行われた。文部省では同年度から新たに「青少年の野外教育体験月間」を設けた。98年度には、青少年問題審議会が「青少年の問題行動への対策を中心とした西暦2000年に向けての青少年の育成方策について」審議している。また、内閣総理大臣のもと、関係審議会の代表者等の有識者から成る「次代を担う青少年について考える有識者会議」は、98年4月、自然体験、生活体験の重視や、学校外での青少年の居場所づくりなどを提言した。99年度には、文部省は、休業となる土曜日などに、地域において子どもたちに豊かで多彩な体験活動の機会を用意していくため、2001年度までに地域ぐるみで子育てを支援する基盤を整備し、夢を持ったたくましい子どもを地域で育てるための「地域で子どもを育てよう緊急3カ年戦略(全国子どもプラン)」を始めた。
 一方、93年ごろまで、各地で「青少年科学活動促進事業」が盛んに実施されていた。これは、地域の教育力を活用して、科学に関する特定の興味・関心を自発的、かつ継続的に追求できる社会教育の特色を生かし、青少年の科学する心を育む活動を推進するために、青少年科学教室の開設のほか、科学グループの育成、科学会議の開催などを行うものである。そして、青少年の科学離れがいわれる中、95年度から文部省が「博物館、少年自然の家等における科学教室等特別事業の研究開発事業」の委嘱を開始した。
 国立オリンピック記念青少年総合センター『夏休み中学生科学実験教室報告書』(97/3)は、同事業の趣旨について次のように述べている。同センターでは、94年度から全国の中学生を対象に、寝食をともにしながら、日頃経験しない手作りの実験を通して、科学の楽しさを体験させることを目的とし、青少年教育施設としては先駆けの事業として「夏休み中学生科学実験教室」を実施してきた。中央教育審議会の答申等にも謳われているように、座学中心で知識偏重の教育を改め、様々な体験を通して「生きる力」を培うことは、21世紀に向けて、我が国の教育における最大のテーマである。科学の分野においても、いわゆる理科離れ現象が指摘される一方で、科学に興味・関心を持ち、より深く学習したい、好きな科学に思いきり打ち込んでみたいと願っている青少年に対し、そのような機会を学校外においても提供することが強く求められている。同センターは、科学実験教室を行う上で施設・設備・指導等において決して充分とはいえないが、青少年教育施設の特色を生かして、大学・高等学校・中学校との連携を図ることにより、学校の授業とは違った青少年教育事業として実施することができた。4泊5日で寝食を共にしながらの実験、講演、施設見学、レクリエーションと多彩なプログラムを用意し、特に中心となる実験については、身近にある素材を利用した手作りのものを基本に、創造することの喜びと科学することの面白さを満喫できるように心がけた。
 また、97年度には、同研究開発事業として、「同時中継おもしろ自然体験」が開始された。これは国立日高少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、国立室戸少年自然の家、国立諌早少年自然の家、日本余暇文化振興会の共催により企画・実施された連携・協力事業で、子どもたちが恵まれた自然の中でさまざまな体験活動を行い、そこから得た感動や思い出をパソコンで整理・表現し、自然体験活動グループごとのホームページを作成して参加者の相互交流を図り、また、テレビ会議システムを利用して親交を深めた。
 「臨床の知」や個人の身体と90年代の青少年教育との関わりについて、まずは自然生活や自然体験、さらには身体の危険をあえて自主的に冒す冒険教育に注目したい。しかし、後半に示したような科学教育の実践についても、青少年教育の面目が表れていると考える。そこに青少年個人個人の体感を通した「臨床の知」や「生きる力」につながる科学、「近代科学」とは異なる科学の存在を感じることができる。科学教育においても、個人学習者としての青少年は固有の身体をもってこれに臨むのだと考える。
 青少年の社会化支援理念において、「生きる力」が重視されるべきことは自明といえよう。今日の「学力向上」、「ゆとり教育見直し」の揺り戻しの中で、「臨床の知」よりも「形式知」、「生きる力」よりも「数値評価」に重点が移るとしたら、自己成長と社会形成の本質を見失う危険があると考える。

(5) 個は他者の個との関係のなかで生きている
  -癒し/居場所/準拠個人/第4の生活の場

① 社会化と分断した「個人化」の進行
 横浜市青少年問題協議会意見具申「共生社会に向けての青少年の役割と活動」(89/11)は、「共生」の概念を「情報化・国際化・高齢化の進展による人間や人間関係への影響の中で、青少年の内部の成長・発達を鍵概念として、共によりよく生きていくことのできる社会の実現をめざすもの」と提起した。栃木県では、「いきいき栃木っ子3あい運動」(学びあい、喜びあい、はげましあおう)を県独自の教育運動として、90年度から2期目として引き続き推進した。秋田県では、91年度から、「自立と連帯をめざすふきのとうユースプラン」と題した第6次秋田県青少年育成総合基本計画を推進した。横浜市青少年問題協議会意見具申「こころ豊かな市民への成長をめざして」(92/1)は、今日の青少年、とくに大学生の生活が私生活優先意識に極めて強く彩られていて、個人単位の生活を追求して個人の関心や要求の充足を志向する傾向(個人化)と、公共的・社会的な関心を失って私的な生活への関心・欲求のみを肥大化させる傾向(私化)とが見出され、しかも彼らの生活における直接体験は希薄化の一途を進み、その反面、「個室」の中での間接的な疑似体験は拡大してきている、という問題意識のもとに、人と人との血のかよった関係を形成することや異なった価値観や生活文化を尊重しあってともに生きることが大切であるとした。
 埼玉県青少年問題協議会「ゆとり社会における青少年の育成」(94/3)は、「三間」(時間・空間・仲間)の減少などの青少年を取り巻く環境と、青少年自身の問題や学校週5日制の問題を指摘したうえで、「互いこそ人の心の輪をつくる」(共に生きる社会)などとした。第21期東京都青少年問題協議会答申「青少年の自立と社会性を育むために東京都のとるべき方策について」(96/2)に関して、高橋勇悦は、①対人親和性を育てる、②他人への共感性を育てる、③愛他心を発達させる、④人びとの多様性を受け入れる態度を育てる、⑤自己価値観を育てる、の5点を重点として挙げた。
 このような青少年教育の努力にもかかわらず、青少年の不登校や引きこもりは進行していく。95年度には、「地域少年少女サークル活動促進事業」(92年度開始、後出)などとともに、「不登校の児童生徒を自然の中に連れ出し、自然に触れ体を動かし、仲間とともに汗を流す」(秋田県教育委員会「フレッシュ体験交流活動事業」)、「障害のある子供たちと障害のない子供たちが大自然の中で長期の共同生活を体験する」(栃木県教育委員会「青少年自然体験活動推進事業交流教育キャンプ」)などのかたちでの自然体験活動事業の発展が見られる。
② 個人化と社会化を統合する「居場所」
 青少年教育にとって、「個人化」した現代青少年の個人個人をよりよく「社会化」するためにはどうしたらよいか。この課題に関して、90年代半ばから新たに提起された議論が、「癒し」「居場所」など、青少年を逆に「個人」としてとらえ返す視点である。
 西村美東士「公民館が仕掛ける出入り自由のこころのネットワーク」(93年8月)は、自ら年間講師を務める狛江市中央公民館青年教室「狛江プータロー教室」における相互理解の試みから、この事業が「自分や他者への信頼」を失いつつある現代青年にとっての、心を開いて交流できる癒しのネットワークであると位置づけて、その信頼感回復機能を主張した。また、前出『癒しの生涯学習』(97/4)において、引きこもり問題のカウンセラー富田富士也の言葉、「人は人によって傷つき、人によって癒される」を引き、若者が癒されるためには、自己決定活動において、他者とともに信頼・共感の居心地のよさを味わいながら、社会貢献も含めてボランタリーに共生創造主体として生きる以外に方法はないと主張した。
 第22期東京都社会教育委員の会議助言「新しい青少年社会教育施設ユース・プラザのあり方」(96/6)は、「一つの固定的な理想像を求めようとする単線型健全育成を前面に掲げる従来の青少年施設は、もはや現代の青少年にとっては魅力がない」として、出会いとやすらぎの場、体験の場、創造・自己実現の場としての、青少年の自己形成のためのユース・プラザの設置を助言した。東京都青少年問題協議会答申「大人も青少年も自立した社会づくり-青少年の自立と社会活動のための行動プラン策定に当たっての基本的考え方について」(98/2)は、自然発生的に生まれた特定の場所をもたない「第5の生活空間」に着目するとともに、青少年の「居場所」を創るよう提言した。国立オリンピック記念青少年総合センター『登校拒否等青少年の問題行動に関する調査研究報告書』(98/3)において、飯田稔は、キャンプ療法の目的は「心の居場所」を確保し、社会で生きていくのに必要な社会性を身につけることであり、学校復帰はその副産物とし、参加すればすべてが解決するといった過信は禁物と警告した。
 萩原建次郎「若者にとっての『居場所』の意味」(97/6、日本社会教育学会紀要33号)は、「若者の自己形成過程を、意図的操作的な教育意志によって教育過程に引き込んでいくことは、彼らの居場所を失わせる危険性をはらんでいる」とした。久田邦明他は『子どもと若者の居場所』(98/3、東京都教育庁生涯学習部社会教育課)において、その確保を訴えた。田中治彦「生涯学習と市民社会」(98/6、日本社会教育学会紀要34号)は、次のように述べた。「上下関係」や「肩書」がないNPOは、若者の自己形成の場であるのみならず、「肩書」や「ノルマ」に疲れた公務員や会社員の「癒し」の場でもある。NPOはかつて青年団や婦人会が地域社会で担っていた役割を、居場所が見つけにくい孤独な都会において新たに担おうとしている。
 また、『都市青年の意識と行動-若者たちの東京・神戸90's』(95/5、恒星社厚生閣)で、監修者の高橋勇悦は、現代青年にとっての準拠集団に代わる準拠個人の存在意義を説いた。
 東京都「青少年の健全育成を推進する都民集会」で、加藤諦三は、「自立社会」という言葉の裏側は「中毒社会」であるとし、次のように訴えた。中毒社会の価値観は真面目さである。しかし、真面目であるからふれあえるというものではない。ふれあいこそを価値にしないと、真面目ならすべてが許されるという価値観になってしまう。そもそも真面目でなく、いい加減な人のほうが自殺しない(98/3、東京都生活文化局『青少年問題研究』188号)。
 たとえ相手が現代青少年といえども、「社会化」や「自立」などのための教育行為をあせることなく、癒し、居場所、「準拠個人」などの個人的と思われる事項も大切にし、その個が他者の個との関係のなかでどのように生きようとしているのかにじっくりと迫るのならば、青少年教育はより効果的なものになるだろう。なぜなら、人は人によって傷つくが、「人によって癒される」と考えるからである。
③ メディアという「生活の場」、「交流の場」
 それが象徴的に表れる一つとして「メディア」がある。現代青少年は、メディアを通して他者の個と関係をもつ。高橋勇悦他『メディア革命と青年-新しい情報文化の誕生』(90/3、恒星社厚生閣)は、今日の青少年がテレビなどを生まれたときから享受して育った初めての世代であるとの認識のもとに、青少年とテレビ、電話、ファミコン、パソコン、パソコン通信との接触を共感的に分析した上で、「青年を中心として軽いメディア文化が洗練される」として、情報化の主体としての青少年の形成に期待をかけた。同書で西村美東士は、パソコンの急速な普及とその文化の未成熟性について述べた上で、当時、その問題点を克服してネットワークを体現しつつあったパソコン通信に着目し、そこでの新しい「知」と「集団」の形成を指摘した。
 国の青少年問題審議会は意見具申「高度情報通信社会に向けた青少年育成の基本的方向」(97/4)で、①自分に必要な情報を主体的に探し出し、活用する能力、②送り手側からの多量な情報に流されず、自分の必要に応じて情報を選択できる能力、③悪質な情報を見分け、トラブルを回避し、身を守る判断力などを身につける必要、を強調した。また、青少年が自分の発信した情報を社会から評価されるという経験を容易にするという利点を十分に生かすためには、「バーチャル・コミュニティ」への参加者には青少年の発信した内容を公正に評価することが求められるとした。
 「青少年の自立と社会活動のための東京都行動プラン」(98/3)は、東京都青少年問題協議会答申を受け、今日の青少年の、多様化したマス・メディアによってもたらされる情報により非現実的、心理的に構成される世界を第4の生活の場として捉え、重視した。
 文部省は、98年度補正予算での「エル・ネット」(衛星通信利用による公民館等の学習機能高度化推進事業)を利用して、「全国子どもプラン」の一環として、子どもたちの夢や希望をはぐくむ番組を放送する「子ども放送局」を始めた。その目的は、子どもたちの憧れのヒーロー、ヒロインが直接子どもに語りかることにより「心の教育」に役立て、内外の一流の科学者が子どもたちに「科学技術への夢と希望」を伝えることである。
 総務庁青少年対策本部『青少年とパソコンなどに関する調査研究報告書』(98/10)は、利用実態や有害情報への接触実態などを明らかにしたが、民放連は、放送基準審議会を中核に「番組規制問題」および「青少年と放送」について検討を進め、番組格付けやVチップ制度について拙速を避けるよう主張した(99/3、日本民間放送連盟『テレビと児童・青少年に関する調査報告書』など)。
 青少年教育におけるメディアへの態度はこのように複雑な様相を呈している。メディア特性に応じた疑似体験やバーチャルにおける「生活の場」や「交流の場」については、社会化支援においても積極的にとらえ直す必要があると考える。
 佐々木玲子「若者の活字離れは進んでいるか-消費者調査からの考察」(99/11、青少年問題研究会『青少年問題』46巻11号)は、マンガやコミック誌を除く読書について好きかどうかを尋ねた結果、「好き」と「まあ好き」の20代の「愛好派」は7割を超え、各年代の中で最も高い割合を占めたと報告した。読書も、個人的で一方的ではあるが、書き手と読み手の関係性のひとつである。読み手にとって書き手は、よき「準拠個人」の一人になりうると考える。

(6) 個は共同体のなかで生きている
  -学社融合/第4の領域

① 学社融合とコラボレーション
 文部省は89年度に「青少年ふるさと学習特別推進事業」を開始し、都道府県は、それに基づき、青少年がふるさとについて総合的に学習し、その成果を踏まえての実践活動を展開するモデル事業を多分野の諸団体・機関との連携のもとに推進した。宮崎県『宮崎の青少年』(90/3)は、団体指導者の養成として「新ひむか企画スタッフ交流セミナー」を紹介している。これは88年度から始めたもので、対象を女性や壮年層にまで広げ、地域間、異業種間、世代間交流を狙いとしている。内容は、活動事例発表、講演、夜なべ討論などである。地域づくり運動を青年たちにも担ってもらおうとしたのである。神奈川県では、91年に「かながわ青年行動計画」の改訂を行い、従来、大人に任せきりの形をとっていた「社会がなすべきこと」についても、青年自身が核となって課題解決に取り組む姿勢を示した。『秋田県青年の家紀要-青年団体の組織づくりの方策を探る』(91/3)は、新たに組織された青年団体の事例として、農業近代化ゼミナール、地域振興、ふるさと探検隊、ふるさと創生、イベント演出集団、パーティー仕掛人集団などを紹介した。日本青年館青年問題研究所『生涯学習と青年期教育』(92/3)は、青年の主体形成のための生涯学習の重要性を指摘したうえで、共同学習の再評価を主張した。92年度からは学校週5日制の実施を契機にした「地域少年少女サークル活動促進事業」の報告書が目立つようになる。これは、地域(=地域共同体、筆者注)における異年齢集団の仲間との切磋琢磨など豊富な活動体験の機会を確保し、地域の青少年活動の総合的な振興を図ることを目的としたものであった。
 93年度には、全国子ども会連合会が「子ども会活動等の団体活動経験者の行動特性に関する調査」で、子ども会会員と子ども会の非会員との比較調査において、地域の大人との関わり度合い、異年齢集団の経験度合い、年下の子の世話度合い等に統計的有意差を立証し、94年度には、青森県総合社会教育センターが、団体活動をしている青少年(会員)としていない青少年(非会員)では、対人関係、リーダー性、自己意識の高揚、社会参加、余暇の活用等、意識・行動に差異があるのではないか、などの仮説のもと、『団体活動と青少年の意識・行動に関する調査集計結果』(94/4)を報告した。
 これらの動きのなか、生涯学習審議会答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」(96/4)は、地域社会の中で様々な学習機会を提供している機関や施設の生涯学習機能の充実方策を示し、「学校教育と社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ね合わせながら、一体となって子供たちの教育に取り組んでいこうとする考え方」としての新概念、「学社融合」を提起した。前出『社会教育』誌は「学社融合」を特集し(96/2)、山本恒夫が次の融合パターンを提起した。①教育活動の相互の一部取り込み、②双方の教育活動の一部取り出しと組合せ、③双方の既存の教育活動のそのままでの共有化。『日本生涯教育学会年報17号』(96/11)では、山本は、自発的組織化の視点を用いて学社融合論の理論化を試み、自発的組織化は自己組織化とは異なり、「無秩序又は一定の秩序を持つ存在が、外的又は内的条件の変化がもたらす存在内要素の相互作用によって指向性を創出し、それがもたらす要素間の相互作用によって新たな秩序を創出することである」とした。
 この新概念は前出「国立青年の家少年自然の家の改善について」(95/7)において、3本柱のひとつとして示されたもので、そこでは、青少年教育施設の教育力をフルに発揮、調査研究の充実、成果の適切な普及、長期利用への対応などが挙げられた。学社融合は、とくに国立少年自然の家が先駆的に実践してきた概念であるといえるが、より本質的には、学校教育が「実践の本場(アリーナ)を当初からかいま見させる」(2章、佐伯胖『状況に埋め込まれた学習-正統的周辺参加』訳者あとがき)ためには学社融合が不可欠であったと考える。すなわち、学社融合は、学校教育が社会教育に代表される共同体における学習のなかにあらためて取り込まれようとする動きとしてとらえることができる。
 越田幸洋は「学校と地域の連携を探る」(99/3)などで、自らの鹿沼市の学社融合の事例を紹介し、次のように述べている。その「学」は学校の教育課程に基づく教育活動を指しており、放課後のクラブ活動とか課外授業とかではなく、正規の授業そのものである。社会教育の方はすべての分野を含む。公的機関が行うものだけでなく、民間が行うものも含む幅広い内容である。
 1990年代に提起された「学社融合」は、学校、地域、団体活動等に対して、新しいコラボレーションの形を求めたものであると考える。
② 「第4の領域」における新しい共同体
 青少年個人が参加する対象としての「共同体」自体は、急激に変化しており、また、青少年教育においては、その共同体が青少年一人一人の成長にとってより望ましいものに変化するよう求めることになる。
 神奈川県青少年総合研修センター『出会いと交流-青年期の新しい地域活動のあり方』(96/6)において、西村美東士は、①自然体の育成活動を、②地域と人間の真実に出会う、③対象から主体へ、対策よりも支援を、④不幸せな現代社会と大人たち、⑤フツーの大人たちも幸せになれる育成活動、⑥フツーだからこそ、ワガママだからこその、自立の地域活動、とまとめて新しい青年教育のあり方を提起し、次のように述べた。
 地域は「善と悪」や「毒と薬」の混じりあう「アンビバレンツ」(両面価値)の場としてとらえられる。これが地域の現実であり、そこには現代人の生きざまの真実の姿が渦巻いている。地域には、現代社会のヒエラルキー(階層)による秩序がいまだ貫徹しきれていない側面があるから、なまの人間や、なまのできごとが、混沌と交錯している。だからこそ地域はおもしろい。そういうなまの水平な出会いによって、ひとは自己と他者の人間存在やものごとのアンビバレンツな真実にたまたま気づくこともできるのである。他者がきれいに整理した「事実」を自己の思考の枠組のなかにいくら取り込んだところで、出会いと気づきの感動は味わえない。「善と悪」「毒と薬」の入り交じったなまの出会いによって、「真実」にふれた思いがして、自己の枠組み自体が揺らぎ、拡大するからこそ、そこには深い感動が生ずるのである。真実にはだれも完璧には到達し得ないが、人間にはそれをどこまでも知ろうとする潜在的欲望がある。これが生涯学習の本当の姿であろう。「事実のインプットなんかより、真実のワンダーランドの感動を」ということである。
 前出、中央教育審議会第一次答申(96/7)は、従来の学校・家庭・地縁的な地域社会とは異なる「第4の領域」の育成を次のように提唱した。
 
 地域社会における教育力の低下が指摘される中にあって、従来の地縁的な活動から目的指向的な活動へと人々が参加意欲を移しつつある傾向がうかがえる。このような状況を踏まえ、これからの地域社会における教育は、同じ目的や興味・関心に応じて、大人たちを結びつけ、そうした活動の中で子供たちを育てていくという、従来の学校・家庭・地縁的な地域社会とは違う「第4の領域」とも言うべきものを育成する必要がある。例えば、青少年団体では、地縁的なものよりも、最近ではむしろ、スポーツやキャンプ、ボランティアといった目的指向的なものの方が人気が高いと言われているが、これなどは、ここでいう「第4の領域」の一つの例と言えよう。また、日常生活圏を離れて、豊かな自然の中で、青年の家、少年自然の家などの青少年教育施設を活用した活動や、民間教育事業者などが提供する体験学習のプログラムを利用した活動も、「第4の領域」の例と考えられ、今後ニーズが高まっていくものと考えられる。行政としては、こうした状況を踏まえつつ、目的指向的な様々な団体・サークルの育成や、日常生活圏を離れた広域的な活動の場や機会の充実、効果的な情報提供活動、民間教育事業者との連携などを通じて、「第4の領域」の育成に積極的に取り組んでいってほしい。
 
 青少年育成国民運動を担う青少年育成国民会議の『のびのびユースネットガイド』(97/3)は、従来の地域の縦割り型組織形態にとどまらず、子どもや若者と直接かかわる親・教師・青少年指導者や、さまざまな活動の場や機会づくりをすすめている青少年関係団体や機関などが、ともに手を携えて青少年育成に取り組む「のびのびユースネット」を形成するよう提起した。静岡県青少年問題協議会意見具申「豊かな感性と新しい市民性をはぐくむ青少年の参加・体験活動の推進方策」(97/12)は、従来ともすると学業の妨げになるなどの理由で制限されていた高校生のアルバイトについて、原則として家庭の責任においてアルバイトができるように、柔軟に対応するよう求めた。高校生が働く場としての地域や職場の共同体を重視する動きといえる。
 98年3月には特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、団体活動が新たに注目をされるようになった。横浜市港南区まちづくり塾では市民と行政のパートナーシップが目指され、「子育てまち育て塾」などが市の助成金を受けて展開された(98/10、加藤隆章「港南まちづくり塾事業における支援」、前出『社会教育』誌)。神奈川県青少年総合研修センター『神奈川県青少年体験活動実態調査』(99/1)は、青少年の体験活動を行う草の根の団体の網羅的な把握を試みた。
 西村美東士「癒しの公民館-新しき伝統」(99/3)は、同誌の「問題縁でつながる」(97/5)における斉藤学の発言、「縁というのは、それ自体危ない。血縁、地縁もあまり頼るなといいたい。これからは、問題縁である。私は魂の家族と言っている」を批判し、次のように述べた。

 こういう地域への敗北感をひっくり返して、地域こそ手始めにワンダーランドにしたい。癒される家族・地域関係を創り出したい。公民館は近代的な形での「心のやさしさ」を追求してきた。コミュニティを貫き通す問題縁が存在するはずである。公民館主事は、住民が安心して自分たちの言葉で体験を語れるようにしてほしい。子育てに悩まない親はほとんどいない。安心して語れないところでは語らないというだけのことである。

 青少年や親に対する社会化支援において、家庭、地域の教育力の回復が重要であることは自明といえよう。しかし、その場合の「回復」とは、たんなる「復古」ではなく、「第4領域」の活動とのコラボレーションによって「創造」するものでなくてはならないと考える。

(7)個は他者から認められることによって生きられる
  -カウンセリングマインド/自己決定能力

① 社会化支援におけるカウンセリングマインド
 中央青少年団体連絡協議会特別委員会提言「青少年団体活動は青少年の自己成長にどう関わるか」(90/3)は、「個の深み」などの新しいキーワードを示しながら、グループワーク理論の再構築、カウンセリングマインドに根ざしたコミュニケーションの創造などによる、青少年の「個」を大切にする団体運営への方向を提起した。
 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題第20集』(92/3)は、「魅力ある青年の家をめざして」をテーマとして、カウンセリングなどの他分野の研究から、現代青年のニーズに対応する運営のあり方について考察し、国立妙高少年自然の家所長五十川隆夫が、少年自然の家創設の視点から青年の家の運営に対して次のように提案した。①運営のメニューをいくつか持つこと、②青年の裁量に委ねる部分を多く用意すること、③完全週休2日制、学校5日制試行に応じ得る体制づくりをすること、④個への対応の在り方を研究・開発すること。カウンセリングマインドの評価などは、個として存在する青少年に向き合い、その個を承認することを意味しているといえる。
② 社会化支援における自己決定能力の育成
 1993年から宮台真司が「ブルセラ論戦」を始め、『制服少女たちの選択』(94/11、講談社)で次のように述べた(抜粋)。

 社会システムは、人格システムの集まりではない。心理的な問題解決(外部帰属化)は、社会的な問題解決とは何の関係もなく、個人的な正しさの信念は、社会の未来をすこしも方向づけない。「社会は個人の集まりではない」、「社会の動きは個人の動きの集まりではない」というこの命題は、社会学が練りあげてきたもっとも重要な命題のひとつである。社会システム理論は言う。親の立つ瀬があろうがなかろうが、胸がスッとしようがしまいが、『それでも社会は回り』、娘たちはパンツや肉体(のパーツ)を売りつづけるだろう」。
 その道を進むことがもたらす不可逆な感覚変容についての知識不足は、彼女たちをきわめて不自由な場所に追い込んでしまうことになる。
 
 宮台は、先に進むのがいいか、引き返すのがいいかを、いったん立ちどまって「選べる」ようにしておくという「ワクチン戦略」を提起しつつ、「わかっていながらその道を選ぶ」というのであれば、彼女たちの意思や自己決定の問題とした。
 また、宮台は、『終わりなき日常を生きろ』(95/7、筑摩書房)では、「輝かしき自分」などめざさずに「まったりと」脱力して生きることが「終わらない日常」を生きる知恵に通じるとした。このように宮台は、社会システムの優位性を打ち出し、学校、家庭、地域等の青少年個人に対する社会化役割の無力を主張した。
 しかし、多くの青少年教育が支援しようとしてきた自己決定能力とは、「わかっていながらその道を選ぶのであれば、それは自己決定なのだから」とすますような「脱力」や「虚無」などではなく、「社会システム」のなかで指導者自身も青少年とともに追求してきた「変わるはずのない理念」である。多くの青少年教育は「社会システム」に適応するばかりでなく、これをよりよく変革していく主体としての自己と青少年の自己決定能力の支援をめざしてきたはずである。実際、青少年教育の指導者のなかには、「輝かしき非日常」を日常的な活動のなかで味わって生きている大人の個人が存在し、青少年にとっての準拠個人になりうると考える。
 東京都では、97年10月、東京都青少年問題協議会中間答申「性の商品化が進む中での青少年健全育成」(97/3)を受けて、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の一部改正が成立した。これは他県の「淫行処罰規定」のようないわゆる「淫行」概念をとらず、売買春等の相手方となった大人を処罰する買春等処罰規定を導入した点などに特徴がある。中間答申は次のように述べた。

「淫行処罰規定」は、相手方となる大人を処罰する規定であっても、行為自体を「淫行、みだらな性行為」と定義することで、青少年の性に関する行動全般を不良視し、青少年に対する心理的な抑制効果をもたらすなど、かえって青少年の性的自己決定能力を育む機会を失わせる危険性もあるという認識をもちつつ、大人を処罰する「買春等処罰規定」を設けることはやむをえないとの結論に達し、青少年の性的自己決定能力の育成のために、家庭、学校、地域社会それぞれが情報を発信する場となるよう提言する。

 東京都は、個人の自己決定がきわめて尊重されるべき性に関する行動に対して、青少年育成の観点からあえて大人を処罰する法的規制に踏み込んだ。しかし、家庭、学校、地域社会それぞれが情報を発信することによって、その性的自己決定能力を育てようとしたところに、同答申のより重要な本質がある。
 川崎市青少年問題協議会意見具申「青少年の健全育成に向けた社会環境健全化の具体的推進策について」(97/4)は、大人がまず変わるために学ばなければならないとして、カウンセリングマインドとグループワークの能力の取得等を挙げた。
 そして、『<宮台真司>をぶっとばせ!』(99/1、星雲社)において、編著者の諸富祥彦は次のように述べた。

 宮台は「意味から強度へ」と、"終わりなき日常"を生きる知恵を説くのであるが、これでは、生きる意味を求めずにはいられないまじめな若者はますます追い詰められていくばかり。"闘うカウンセラー"諸富が、宮台に代わり、こんな時代にあっても"夢と希望を持って生きる"ための人生観・世界観を説く。

 自己決定能力の獲得や発揮のためには、たとえば、判断の材料としての情報提供なども大切であろう。しかし、自己決定のために情報以上に重要なのは、自他への基本的信頼であると考える。これは、それぞれの個を承認しあう関係においてのみ形成される。宮台の指摘する「仲間以外はみな風景」(筆者注:しかも、その仲間関係もピアコンセプトによって個が自己抑圧されている)という現代青少年に対して、自己が承認され、他者を承認する場を提供する青少年教育の有効性は大きい。他者からの「リスペクト」(尊敬・尊重)と他者への「リスペクト」の両方が得られてこそ、セルフ・リスペクトは成立すると考える。
 諸富は「私が、ほんとうに糾弾したかったのは、宮台ではなく、そんな宮台に誰も本気でノーを突きつけない私たち日本人の情け無さである。『もう日本は、とことん"何でもあり"になってしまっているのだから、今さら宮台がそんなことを言ったからって、どうってことないじゃない』という諦めのムードである」と述べている。
 今後の社会化支援においては、現代青少年の「個人化」に伴う「対社会ニヒリズム」をカウンセリングマインドによって共感的に受け止めつつ、ニヒリズムを越えるパワーをもった地域社会のリアリズムを青少年の目の前に対置(可視化)する必要があると考える。

(8) 個は貢献することにより生きられる
-ボランティア/青年海外派遣/情報ボランタリズム

 90年代初頭まで青少年ボランティア参加促進事業が盛んであった。この事業は、青少年及び青少年ボランティア活動の指導者に対してボランティア活動に対する知識・技術の修得及び資質の向上を図ることを趣旨として行われたもので、青少年ボランティア養成講座のほか、青少年ボランティアの集い、青少年ボランティアバンク事業などが実施された。同事業は91年から各地で生涯学習ボランティア活動総合推進事業として発展した。以後、文献における「ボランティア」のヒット率は増加し、後半には25~30%の高率に至る。また、90年代初頭から各自治体が行う青年海外派遣事業の文献が多かったが、これに対し、民間団体の機動力を活かした事業が特徴的だった。神奈川県青少年協会「海外派遣団」はタイで植林活動を、ガールスカウト日本連盟「開発教育プロジェクト」はネパールで簡易水道に水栓をつける事業を、新潟国際ボランティアセンター「スタディーツアー」は、タイのカンボジア国境やカオイダン難民キャンプでの活動などを行った。
 愛知県青少年問題協議会「青少年の社会参加活動の促進方策について」(92/3)は、人類の存続すら危惧されるという地球規模での危機意識をもって、目前にせまった21世紀を担う青少年の社会参加を考えることなどが検討の方向とされ、青少年に地域を知らせる、地域に青少年の受け皿やたまり場をつくる、生涯学習時代にふさわしい地域づくりをする、などの施策が提言された。日本青年奉仕協会『ゆたかな学びの世界』(92/3)は、生涯学習社会において、ボランティア活動を通して豊かなこころを育む個性的な学習を自ら行うことの重要性を訴えている。
 前出『社会教育』誌が「生涯学習ボランティア」を特集し、松下倶子は、その青少年の活動の意義として、集団のなかで自分がどのような立場をとればよいかを自覚して進んで役割をはたす行動が、さまざまに異なる他者と関わりをもちながら生きていくための体験になると主張した。日本青年奉仕協会『ボランティア白書-社会奉仕から社会創造へ』(92/9)を発行し、現代社会の最大のテーマを「個人と社会の新しいあり方」、「人間としての新しい生き方」ととらえ、個人の尊厳と開かれた個人の日本だけにとどまらない共生の社会をどう作っていくのかを考えなければならないという認識のもとに、ボランティア活動の動きのなかから「人間と自然の命あるものが豊かに生きるために、どんな社会を作っていくことがよいのか」を描いた。そこで、社会奉仕を「もうひとつの教育」としてとらえ、それが共生社会の創造につながるという視点を提示した。
 田中治彦「NGO活動と社会教育団体の役割-開発教育を進めるYMCAのネットワーキング」(93/4、国土社『月刊社会教育』444号)は、社会教育と開発教育の関係について、CA、ガールスカウト、ユネスコ協会連盟など民間社会教育団体の取り組みが早かったのに比べて、行政社会教育は地域に密着している代わりに国際感覚には乏しかったこと、しかし、このことは逆に強みでもあり、日頃生の国際的な情報に乏しい農村部や、都市部であっても従来あまり関心を示さなかった層に浸透していく可能性をもっていることなどを示唆した。同氏は「社会教育概念理解(把握)の方法をめぐって-青少年教育の立場から」(93/6、『日本社会教育学会紀要』29号)では、望んで主体形成を避けるモラトリアム青年に対して、自己疎外を克服する形での主体形成という学習論は当てはまらないとし、日本と自分の存在を「加害者」としてとらえるNGOのなかでの社会改革意識、「もの」を大量に消費している自らのライフスタイルや生き方に目を向けるなどの、現代青年の新しい特徴を提示した。
 日本青年奉仕協会事務局長興梠寛「生涯学習ボランティアを検証する-草の根が主役の『在る』ための学びへ」(93/12、前出『月刊社会教育』誌)は、自主的主体的な草の根活動としてのボランティア活動の意義を強調し、それを人間存在のための学びとして位置づけた。同氏は「制度的評価」については、ボランティア活動は自分や社会の発見のプロセスであり、市民の自由意思による社会の改革や創造のためのプロセスなのではないか、として疑問を提起した。
 総務庁青少年対策本部『青少年白書』(95/1)は、青少年にとってのボランティア活動の意義を第1部に特集し、「青少年がそのみずみずしい感性をいかして、人と人とのネットワークの中に自らの居所を求め、さらにうちなる声に衝き動かされ、そのネットワーク自身をより高くへと持ち上げようとしていくことは、21世紀に向けて真に豊かさが実感できる社会、生きがいのある社会を実現していくための重要なステップであるともいえよう」と評価している。
 そして、95年1月の阪神大震災の救援ボランティアに全国の若者たちが駆けつけたことから、「日本の若者はしらけており、ボランティアの風土はない」という論調が崩された。むしろ、せっかくボランティアをしたい人がいるのに、社会がそれを需要と結びつけるコーディネート機能をもたないことこそ問題とされた。神戸市青少年育成推進本部「第3次神戸市青少年育成中期計画」(96/10)は、震災時のボランティアとして活躍した青少年の若い力に注目し、震災からの復興と21世紀への神戸のまちづくりを進める中心的担い手として、青少年の行動力と創造力に期待した。
 1990年代の「社会貢献論」の特徴は、個人主義や個人の自己形成に照準を合わせて論じられたと考える。社会化支援理念にとっては、その理論的継承、発展と、現実化のための方法論を明らかにすることが課題であると考える。

(9) 自己決定能力の獲得と発揮の支援
  -参画/ピアコンセプト

① 参画活動における個性の発揮
 中央青少年団体連絡協議会特別委員会提言(90/3)は、次のように「個の深み」を提起した。個人が集団に埋没することなく、それぞれの方向性をもつ個人として生き、固有の方向に向かって深く踏み入る、踏み入ろうとする、そのことによって自らの所属する集団に対しても独自の役割を個性的に発揮することを「個の深み」としてとらえ、根本的には集団の存続より個人の存在が、そして個の深みの発揮が大切と主張し、その視点として、「何が起こるかわからない『迷路』に挑戦する姿勢」や「ケ・セラ・セラのような軽い気持ち」を挙げ、「目的志向型からMAZE(迷路)型へ」「学習→活動型から活動=学習型へ」「研修会方式からたまり場方式へ」「一括方式から選択方式へ」「既製服型から注文仕立型へ」「スローガン型から遊び心型へ」などの提言を行った。「MAZE」(迷路)は、ミスマッチ、アバウト、ジグザグ、イージーゴーイングの頭文字を合わせた言葉で、指導者がお膳立てしたものではないもの、見通しをもちきっていないものなどを取り入れるという意味である。
 鹿児島県では、80年度から「心身ともにたくましく、思いやりの心とやさしさを持つ青少年の育成」をめざし「青少年自立自興運動」を推進してきた。しかし、90年度から新たに「未来へはばたけ青少年運動」を展開した。これは、次代を担う青少年に、たくましい自立の精神と、幅広い国際的感覚と未知に挑戦する気概をもってほしいという意図で始めたもので、青少年活動を青少年自身が企画・実践する青少年主体のものとした。
 東京都杉並区では、95年、児童福祉センター職員で構成される「児童館の建設・運営の在り方」検討会が設置され、「中・高校生の居場所づくり」や「中・高校生の活動への支援」など中・高校生への取り組みが打ち出された。96年、基本設計に先立ち、関係団体推薦者や一般区民、学識経験者から成る「建設協議会」とともに、「中・高校生委員会」が設置された。その後の「中・高校生運営委員会」は、センターの規則や運営事項、講座、大会等事業に関する意見、事業の企画を行った。「福岡市こども育成環境づくり指針」(96/10)は、こどもを固有の社会的存在(こども市民)としてとらえ、まち全体をあそび、活動できる場にしようと訴えた。また、地域住民が自らの目で地域のこどものための環境を見直し、そのあり方を考えていくため、限られた一部の人に任せてしまうのではなく、高校生、大学生、父親及び高齢者等の参画を得て、地域コミュニティとしてこどもの環境や活動を考え、地域社会全体の合意を作り出していくよう提起した。
 横浜市青少年問題協議会意見具申「青少年の発達と社会環境づくり」(98/4)は、大人が青少年のために社会環境を改善するということの他に、青少年自身が自らの問題を解決することができるように、青少年の発言の場や活動の場を広げる必要もあるとした。『大阪府青少年育成懇話会報告書』(99/3)は前出「新プラネット計画」に代わる新しい青少年育成計画の策定(2001年)に向けた検討を行い、「共育」「コミュニティの再構築」「予防的視点の重視」「未来への対応-積極的な成長の機会の提供」の視点を提起した。そこでは、青少年のニーズや意見を今後の計画づくりに反映させるため、青少年自身の参加による大阪府青年政策会議が設置された。
 そして、90年代終わりには青少年教育関連文献にもワークショップという言葉が多く見られるようになり、それとあいまって青少年自身の参画がキーワードになっていく。しかし、このような個性発揮を現代青少年に求めようとする場合、ピアコンセプトという阻害要因に直面せざるを得ない。
② 参画と個性発揮の阻害要因としての「ピア」
 西村美東士『癒しの生涯学習』(97/4)は、癒されない3つの病理として、①家族関係の病理、②教育システムの歪み、③自分自身の内なるピアコンセプトを挙げた。ピアコンセプトとは仲間を大切にする意識のことである。そこには連帯感や役割意識などの肯定的側面もある。しかし、現実には、ピアは個人の主体性を自己抑圧する否定的側面としても機能する。「みんなのために」とか「みんなだって」とかいう認識が、みずからの個の発現を自己抑圧する結果につながる。
 生涯学習社会以前の学校歴偏重の上下競争社会では、一人ひとりが仲間からいつ足を引っ張られるかわからないから、仲間にあわせたふりをしていなければならないという「防衛的風土」に満ちている。この集団風土は、個々人の内面としてのピアコンセプトによって支えられる。ピアとは「なかよし仲間」のようなものである。仲間を大切にするということはよいことなのだろうが、それは自分を押さえて仲間と無理に同じようになろうとする「卑屈な自己疎外」にもつながりがちである。「友達から変と思われたらもう終わり」という彼らの叫びは、まさに「みんなぼっちの世界」の象徴と考える。
 ピアコンセプトは、ヒエラルキーの支配・服従関係から逃げ出したいという願いから発しているのだろうが、ピアだけでは残念ながら本質的な問題解決にはつながらない。かえって、現在のたての関係を下から支えたり、内部でミニ・ヒエラルキーをつくったりするだけの結果になってしまう。青少年が個性を発揮するためには、彼ら自身の内なるピアコンセプトを意識的・理性的に乗り越えなければならない。
 社会化支援は、集団への「協調」を一方的に進めるのではなく、このようなピアコンセプトの克服を助けるものでなくてはならないと考える。
 総務庁青少年対策本部『青少年健全育成中央フォーラム-青少年健全育成のために薬物乱用の防止を考える』(98/3)で、和田清は、薬物乱用防止も必要だが、薬物依存は「治す」という区切りのある病気ではないとし、脱慣とその維持は、家庭、医療機関、教育機関、取り締まり機関等あらゆる所の連携的サポートなしには不可能に近いと訴えた。そして、害知識の無力さについて次のように述べた。「薬物使用に関する大規模中学生調査」で毎年認められることだが、害知識は薬物使用経験者の方がある。誘われた時に「NO」と言えるようにする指導こそが重要である。そのためには、薬物乱用・依存者に肌で接している人たちの話や、生徒にとっては心理的に仲間に近い元乱用者のノンフィクションの話が有効である。学校教育で知識を教えたら、それを強固なものにする必要がある。
 個性重視から始まった90年代の青少年教育は、2000年を迎え、逆に個性や自己決定能力の獲得に立ち戻りつつ、青少年の「参画」というかたちで彼らの個の発揮を支援する段階に発展しつつあるといえる。そこでは、ピアコンセプトを打破し、自他への基本的信頼の集団風土をユースコミュニティのなかに形成することが必要であると考える。
 青少年の社会参画を進める社会化支援においては、「身近な他者」(1.4論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷)としての交友関係や仲間関係に留意する必要がある。多くの青少年は、その段階ですでに、ピアという「社会化圧力」の前に「立ちすくんでいる」と考えられるからである。
 逆に言えば、「社会参画」する仲間の関係の中での「ピアコンセプトからの自己解放」の展望を示すことができれば、「個人化」と「社会化」の統合的支援のための効果的な方法を示すことになると考える。


2.6.2 青少年教育施設における社会化支援

 青少年問題に関する90年代の文献からは、対策からサービスへ、サービスから教育(自己成長の援助)へ、という施策の大きな展開を見出すことができた30。しかし、一方、施策、教育、研究、さらには世論やマスメディアの論調において、青少年問題が発生するたびに、当面の対応方法について互いに相容れない主張が繰り返されてきた。対策から教育へという青少年教育再評価に向けた重要な流れも、この繰り返しのなかでは実効性を大きく損なってきたと考える。
 そのなかで、青少年教育職員を有する青少年教育施設の先導的・開発的役割は大きい。しかし、青少年教育施設の設置推進、小中学校の「自然教室推進事業」等の取組にも関わらず、生活体験や自然体験の不足は十分には改善されていないという指摘もある31。さらには、多くの自治体で、青少年教育施設の撤退という事態が進行しているのが現状である。
 この研究では、青少年教育施設に関する90年代の文献の分析から、青少年の社会化に関わる施策の進展に対応した施設経営の動向を検討し、そこに見出される視点及び課題を明らかにしようとした32。

2.6.2.1 目的
 上記の施設においては、多くの青少年教育職員が配置され、現代青少年と対面しながら日常の職務を遂行している。このような実践現場でこそ、青少年の本音に触れ、時代の価値観を敏感に察することができると考えられる。そして、そのことによって、わが国の教育改革実現の筋道を実践的に明らかにすることが期待される。
 しかし、実際には、青少年教育施設への社会的評価はいまだ十分とはいえない。その理由の一つとして、時々のめまぐるしく移り変わる施策に追随して仕事をしているような感覚に陥っている職員が多いからと考えた。
 このように想定して、次の仮説を設定した。[ときの青少年教育施策が次々と迫ってくるため、青少年教育施設はその対応と成果の開示に追われている。そのため、施策の理念に現代青年の価値観を反映させて実践を展開するという施設職員として最も大切なことがおろそかになっている]ということである。

2.6.2.2 方法
 この研究では、1990年代の「青少年教育・対策」文献の中から青少年教育施設に関する文献を抽出し、キーワード分析などの実証的検討を通して研究した。また、必要に応じて他の全文献と比較検討した。スポーツ施設、私立施設、児童相談所等福祉施設、2000年度から急増した事業中心の子どもセンターは除いた。施設所管の事業は含めたが、他部署主催のたんなる施設提供だけの関わりについては除いた。なお、2000年4月分から文献ドキュメンテーション作業において要旨の文字数が削減された。そのため、分析対象は比較対照することを考慮し、2000年3月までの発行の文献とした。
 年毎の文献数を表3.1-1に示す。

2.6.2.3 結果と考察
(1) 国立とその他の公立施設との量的比較
 対象文献のうち、筆者、筆者の所属、発行元のいずれかが国立青年の家・国立少年自然の家(以下「国立施設」という)であったものを、表3.1-2に示した。国立施設による協議会等の成果は、内容として公立施設を含めていても「国立」として集計した。
 国立青年の家13・少年自然の家14を、宿泊型の都道府県立青年の家99・少年自然の家97の施設数と比較すると、資料収集の不備等は考慮にいれなければならないが、国立施設関連文献が公立を大きく上回っており、文献数と施設数の逆転現象が指摘できる。ちなみに国立オリンピック記念青少年総合センターのホームページで提供している青少年情報で1998年から2000年までの「行政資料」を調べると、国立307件、公立157件となり、国立の占める割合は本研究よりは低い率(66.2%)を示すものの国立主体であることには変わりがない。また、その国立施設からの収集文献の占める割合も96~97年をピークに漸減傾向にある点に注意を払っておきたい。


表3.1-1 研究対象文献数
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 計 対 11 9 18 16 24 47 55 72 75 57 70 45 500 全 102 168 178 172 213 221 255 287 335 364 469 216 2980 % 10.8 5.4 10.1 9.3 11.3 21.3 21.6 25.1 22.4 15.7 14.9 20.8  ※1 対=研究対象文献数、全=全文献数。
 ※2 2001年は3月まで。


表3.1-2 国立施設関連文献の数
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 計 数 7 4 12 12 16 33 44 57 57 42 49 333 % 63.6 44.4 66.7 75.0 66.7 70.2 80.0 79.2 76.0 73.7 70.0
表3.1-3 青少年教育施策のヒット数
アドベンチャー 生涯学習ボランティア 少年少女サークル 子どもプラン 年 全文献 公立 国立 全文献 公立 国立 全文献 公立 国立 全文献 公立 国立 1990 4 1 2 1991 13 1 2 1 1992 14 2 4 5 1993 11 1 1 6 1 7 1994 11 1 3 7 13 1995 10 7 8 1 10 1996 3 2 6 8 1 1997 5 1 4 6 1 2 1998 3 2 4 1 2 1999 6 1 1 2 13 1 2000 5 1 3 3 18 2 計 85 9 31 48 3 1 41 1 33 3  ※1 「全文献」は全文献(n=2,530)におけるヒット数である(以下同じ)。
 ※2 「公立」と「国立」は「全文献」の内数である(以下同じ)。
 ※3 2000年は3月まで(以下同じ)。




表3.1-4 「生きる力」の文献数
年 全文献 % 公立 % 国立 % 1990 1 1.0% 0.0% 0.0% 1991 6 3.6% 0.0% 1 25.0% 1992 0.0% 0.0% 0.0% 1993 3 1.7% 0.0% 0.0% 1994 3 1.4% 0.0% 0.0% 1995 2 0.9% 0.0% 1 3.0% 1996 8 3.1% 1 1.9% 2 4.5% 1997 28 9.8% 2 3.4% 14 24.6% 1998 22 6.6% 1 1.4% 6 10.5% 1999 31 8.5% 1 2.1% 10 23.8% 2000 31 13.2% 6 13.0% 10 27.0% 計 135 5.3% 11 9.2% 44 13.7%
表3.1-5 「生きる力」の項目ごとの経年変化
紹介列挙 生活体験 自然体験 体験活動 厳しさ 科学的態度 自己決定 自信回復 問題解決 共生 家学社連携 対社会 学校観転換 総合学習 1991 ○ 1995 ○ 1996 ○ ○ ● 1997 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ● ○ ○ ○ ● ○ 1998 ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ● 1999 ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ◎ ● 2000 ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ● ● ● ● ※ ○は国立施設、◎は国立施設のうち講演・寄稿、●は公立施設。
※ 公立施設の講演・寄稿分については該当するものがなかった。

(2) 公立施設の青少年教育施策への関与の低さ
 全国的に推進された青少年教育施策として、「自然生活へのチャレンジ推進事業-フロンティア・アドベンチャー」(1988)、「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」(1991)、「地域少年少女サークル活動促進事業」(1992)、「地域で子どもを育てよう緊急3カ年戦略(全国子どもプラン)」(1999)(カッコ内はいずれも開始年度)を取り上げ、それぞれのキーワードで、題名、要旨のいずれかにおけるヒット数を調べた。青少年教育施設こそ、これらの施策を地域の実情にあわせて個性的、具体的に推進できると考えたからである。その結果を第3.1-3に示した。
 「全文献」のデータからは、青少年教育施策が時の流れとともに地方に普及していく様子が確認できる。しかし、ほとんどの施設では、その施策推進に関わったとしても委員の派遣程度で、所管や参画には至っていない。これらの施策は、教育改革の流れの中で行政全体の重要な課題になった反面、施設の役割は、専ら自然体験活動等に限定されてしまったと推察される。
(3) 「生きる力」の育成への関与
 題名・要旨に「生きる力」という語を含む文献数を調べ、その結果を表3.1-5に示した。
 中央教育審議会が「ゆとり」の中で子どもたちに「生きる力」を育むため、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、社会全体でこれに取り組むよう答申したのは1996年7月(審議は前年度から)であるから、それ以前のものはこれに先行した文献である。しかし、それらは県社会教育課等実施の資料が多くを占める。ここでも青少年教育施策推進と施設経営とのタイムラグが見出される。
 次に該当文献のキーワードを分析した。紹介・列挙以外については、それがもっとも「生きる力」の重点とする項目毎に分類した。項目は、生活体験、自然体験、その他の体験活動、厳しさ、科学的態度、自己決定、自信回復、問題解決、障害児者との共生、家学社連携、対社会、学校観の転換、総合的な学習の時間の13項目とし、項目ごとの経年変化を図3.1-5に示した。
 この図によると次の点が指摘できる。
 第一に、1996年の中教審答申の翌年には、「生きる力」への関心が多様な方向に広がった。青少年の科学への興味の尊重、利用団体のプログラムの尊重や生活時間の弾力的運営、さらには「いま一人の自分」との出会いまでもが「生きる力」と関連づけられ、のびのびと語られた様子が示されている。
 第二に、「問題解決能力」や「学校観の転換」等の、「生きる力」の政策的根拠にあたる事項については、それを重点とした言及が少ない。数少ない言及も研究者等の講演や寄稿によるものであった。政策の本質を議論するよりも、目の前にいる青少年や差し迫った「生きる力」関連事業にどう対応するかということに施設は追われていたと推察される。
 第三に、「生きる力」と「総合的な学習の時間」との関連づけにタイムラグがあることと、絶対数も少ないことである。「総合的な学習の時間」について答申では繰り返し触れているが、答申文の「地域社会における様々な学習機会の提供」の項目にはたまたま直接的な記述はない。それも原因となっているとしたら、施策と現場との乖離に関する施設側の主体的問題として再点検する必要があるといえる。
 第四に、1999年から2000年にかけての自然体験活動への集中である。99年に生涯学習審議会が青少年の「生きる力」をはぐくむ地域社会の環境の充実方策について答申し、これに機敏に反応した結果と考えられる。
 しかし、生涯学習審議会はこれを大きく「地域社会の環境づくり」ととらえている。施設それぞれが今まで持ってきた野外教育の路線から外れてでも、これにどう主体的に関与して独自の「自然体験活動」を展開するかということが問われると考える。
 また、1996年の「青少年の野外教育の振興に関する調査協力者会議」報告は、野外教育の役割を「生きる力」の育成においたが、報告のいうそれは知的好奇心、自己発見などを含む概念である33。このような意味での「生きる力」の育成効果の面から、「自然体験」の指導についての自己評価がなされなければならないと考える。
 第五に、2000年に入ってからの列挙型の増加である。これは「生きる力」の項目を、当該事業からみた優先順位を付けずに並列したととらえられるものである。この種の文献の増加は、公立施設の該当文献の増加に負っているといえる。総合的な取組によって「生きる力」の育成が目指されているという積極的側面もあるだろうが、ねらいを焦点化できていないという不十分な側面も指摘される。そのいくつかは、多くのねらいを抱え込みすぎており、実際に到達するためには、繁忙や消化不良、到達度評価の困難などが推察される。
 第四の傾向は「自然体験活動への傾倒」、第五の傾向は「総花化」ということができる。これらの90年代末からの傾向の功罪を検討する必要があると考える。

2.6.2.4 討論
(1) 受け身の自己都合の発想からの脱却
 青少年教育施設が時々の施策への対応に追い回されていては、施策が期待する教育改革による「生きる力」育成の役割を発揮することはできない。施設の中で、「仕事が増える」、「人が減らされる」などの理由から教育改革が「邪魔者扱い」されるような事態を招くことがあるとすれば、それは国家的損失ともいえる。また、施設の側も、地域やわが国の青少年教育施策に向け、施設だからこそできる大胆で個性的な実践を発信し続けることが求められている。
 「ときの青少年教育施策が次々と迫ってくるため、青少年教育施設はその対応と成果の開示に追われている」という仮説は、部分的には確かめられた。「生きる力」の育成への関与では、答申等の文面の言葉にキーワードが偏るなどの傾向が見られた。また、盛りだくさんのねらいが羅列された文献も散見された。
 しかし、本研究ではそれよりも、時の施策への対応が遅れる、成果の開示が少ないなどの事例を多く見出した。青少年教育施策の進行と若干のタイムラグがあり、むしろ「あとになってから追い回されている」、そして「成果を公開する余裕もない」と推察されよう。
 「ときの施策が次々と迫ってくる」というよりも、施設職員自らが繁忙を避ける等の自己の理由から施策との距離を置こうとし、しかしながらタイムラグの後、その施策の影響を受けることがあるということから、青少年教育施策に主体的に取り組む意欲がそがれたと考える。あとになってから「やらされる」のでは、本気にはなれないだろう。

(2) 公立青少年教育施設と青少年教育施策との相互疎外の解消
 本研究から、青少年教育施策が各自治体の教育行政全体の重要な課題となった反面、多くの公立青少年教育施設の役割は自然体験活動の拠点等に限定され、施策に直接的に関わる事業の実施には至らなかったと推察される。
 また、本研究で取り上げたそれぞれの施策についても、次のように阻害要因が考えられる。①アドベンチャーについては、無人島など、施設・設備の整っていない場所での実施が初期の前提であった。②生涯学習ボランティアは、総合行政としての性格を有する。③少年少女サークル活動は、各地域に対する働きかけが必要である。④子どもプランは1999年度が初年度で、当時は本庁止まりの段階であった。
 しかし、これらの阻害要因はそのまま、公立青少年教育施設と青少年教育施策との相互疎外状況を表しているともいえる。「施策推進は本庁で」という固定概念が、施設・本庁の双方において支配的であったと推察される。
 上記の阻害要因については、それぞれ次のように考えるべきではないか。①つねに自前の施設を使用するという前提は、公立施設の教育機能を萎縮させている。その自縛を解く必要がある。②公立施設が生涯学習推進に寄与するためには、総合行政としての機能の発揮が必要である。③公立施設が設置されている近隣の地域への働きかけも重要だが、今後はそれとともに自治体の守備範囲である「わが町」全体への役割発揮が求められる。④「子どもプラン」など、各種の新しい青少年教育施策を「本庁から下ろされた」という形で受けとめるのではなく、その意義を主体的に吟味し、施設にあった事業展開を能動的に提案する必要がある。そこにこそ施設のアイデンティティが生じよう。
 施設には青少年教育職員が配置されている。地方の青少年教育施策の推進において、それは貴重な専門的人材であり、自律的、積極的な活用が図られなければならないと考える。

(3) 国立青少年教育施設の先導性の保持
 本研究から、実践・研究成果の公表、「生きる力」の開発的取組など、国立青少年施設の先導的役割の重要性が明らかになった。
 たとえば、1990年にはすでに「長期にわたる少年の自然体験活動に関する調査研究Ⅱ」(国立那須甲子少年自然の家)が公開された34。これは事業前後のアンケート調査等により、長期にわたる自然体験活動が参加者の意識や行動に与えた教育効果を明らかにしたものである。そこでは標準化された検査を用いて自主性の変化が数量化された。
 前述の「生活体験や自然体験の不足が改善されていない」という問題についても、これらの先行研究を効果的に活用することが必要といえよう。また、国立青少年教育施設は、独立行政法人化以降も実践的研究・開発やその公開・普及の機能を維持・発展させることが期待されると考える。

(4) 実践・研究の充実とその成果の開示・流通
 本研究から、とくに1990年代の公立青少年教育施設の実践・研究の成果開示の停滞が示唆された。青少年教育施策実施の報告書は、主に教育委員会事務局の社会教育主事を中心として編まれていたと考えられる。しかし、本庁だけでなく、青少年教育施設にも専門職員を配置しているところは多い。青少年と対面しながら実践と研究を進めている青少年教育施設職員、とりわけ専門職員の青少年教育施策推進における役割は重要といえよう。
 もちろん、小さな施設でも現在の教育改革の先を行くような実践をしているところは多いと思われる。広く目にはとまらなくても、報告書等も作成しているのかもしれない。このような検討においては、『青少年問題に関する文献集』をはじめとするデータベースにおける資料収集の不備や限界を念頭におかなければならない。
 しかし、少なくとも、その職員は、実践の成果を目に見える形にして、より広くわが国の施策にフィードバックする責務をもあわせもっていると考える。また、内容面においても、「成果」と「課題」は事業主体の責任として報告書に明記するなどの質的向上が必要と考える。主観的・義務的な報告ではなく、より適正な自己評価に基づいた科学的な事業評価及び研究成果の公表と流通が求められる。
 そのためには、次の条件整備が緊急に求められていると考える。第一には、青少年教育施設の職員体制を充実する必要がある。時々の施策に追われてやっているだけの施設には、青少年教育施策や大きく教育改革への提言力は期待できない。第二には、施設職員が現代青年の意識や行動を的確に把握し、教育改革理念に基づく主体的な施設経営ができるよう、その研修体制の確立を急ぐ必要がある。事例の発表にとどまったり、逆に理論の承りで終わったりするのでは、教育改革が求める青少年教育施設職員としての専門性を獲得するには至らないだろう。実践と研究を継続的、計画的に往復する研修制度の確立が重要である。

 このようにして、青少年教育施設における実践の成果交流を進めることによって、社会化支援理念を支える方法論が協働によって確立することが求められると考える。

2.6.3 職業・就職支援に関する社会化支援理念の検討

 現在、とくに職業・就職支援理念においては、若者の「自分さがし」や「やりたいこと重視」の傾向が、結果としてはフリーターやニートにつながりかねないものとして否定的に受け止められる傾向にある。
 しかし、すでに検討してきたように、その傾向が社会化支援における「変わるはずのない理念」を変化させることとならないよう注意する必要があると考える。青少年の自己形成と自主性伸張を社会化のための不可欠な決定要因として重視する必要がある。
 むしろ、社会化支援理念においては、次のような職業・就職支援が求められると考える。

① 「自分さがし」が現実社会に関してより正確な認識のもとに行われ、「経済社会における自己の位置決め」が適正に行われるよう支援すること。
② このようにして、「やりたいこと」への願望も、よりリアルな強い信念となり、計画的な展望を伴った「アイデンティティ」や「社会的戦略」として現実化するよう支援すること。

 2002年10月、日本産業教育学会第43回大会が徳島大学で開かれた。われわれはラウンドテーブル「最近の若者の労働観と生き方を考える」を開き、この問題について討論したうえで、その結果を検討した35。
 登壇者は次のとおりであった。
 
司会
西村美東士(徳島大学大学開放実践センター)
パネラー
玉井伸明(洋風居酒屋「Typhoon」店主)
正木伸一郎(徳島市公務員)
川田春夫(コミュニティFM放送局エフエムびざん)
 
(1) 本ラウンドテーブルの趣旨と方法
 このラウンドテーブルでは徳島でアクティブに活動している若者たちが「定職に就くということ」、「仕事の楽しみ」、「自分らしく生きることと仕事との関係」、「自分より若い人たちの仕事ぶり」「教育や学びと職業との関係」などについて率直に語り合った。
 本ラウンドテーブルでは、西村が各登壇者に事前にインタビューを行い、そのまとめをもとに議論を進めた。登壇者は一般的な若者ではない。むしろ彼らの生活における自己決定や主体性の発揮の状況を見ると、突出的な存在である。しかし、だからこそ多くの若者にとって憧れやモデリングの対象にもなりうる影響力の大きな存在と考えられる。そういう彼らの考え方から、一般的な若者の今後の労働観の動向を予測できると考えた。
 そのために以下の仮説を設定し、各登壇者からコメントを得た。

 〔職業生活への適応をはじめとする青少年の「社会化」は、青少年自身のニーズでもある。しかし、他方で、彼らは「できれば自分のために働きたい」という希望をもっている。自己実現や自分らしさを大切にしようとするゆえである。これらの「個人化」傾向を肯定的に理解することによって、現代青少年の望ましい社会化を支援することができる。〕

 青少年が自分自身のことを深く考えたり、あるいは自分のやりたいことを大切にしたりしようとする傾向を、若者の他者への気づきや社会化の阻害要因としてとらえ、できるだけ排除しようとする動きがあるとすればそれは妥当ではないと考える。むしろ「自己の人生を充実させたい」という彼らの思いを励まし、彼らがそれとともにもう一方でもっている社会化ニーズにつながるよう支援することこそ社会化支援のあり方だと考える。

(2) 玉井の働き方
 玉井は「いやな仕事を一生続けるのがいいこととは思えない」として次のように述べている。「私は往生際が悪かったのだと思う。この仕事にたどり着くまで10年以上かかった」。彼は36歳で今の仕事を始めた。「世界一」には興味がないが、この辺(徳島市常三島)で一番になりたい。あこがれて東京に行き、大阪に行ったからこそ、今は徳島、常三島が好きという。
 彼の生きがいは「接客」である。これを小さい範囲でやりたかった。秋田町(徳島一の繁華街)のようなところではなく、小さいところで「お山の大将」になるのが好きだ。だが、遊びでやっているように見えるかもしれないが、じつは損しないように厳密に計画している。彼にとってはそれも楽しい。
 彼は店を大きくしたり、各地に増やしたりしたいとは思っていない。それより、常三島で小さい店でもしっかりやっているといわれたい。「ほかの店にけんかを売る気もない。まあ、自己満足である」と彼はいう。
 小さい店でも町内では「しっかりやっている」といわれるようなところに彼は仕事のプライドを見出そうとしていると考えられる。それは従来の競争社会にありがちだった「勝ち組になる」ことによるプライドとは異なる。しかし、「やさしい若者」なりに、飲食業やそこでの接客に関する自己の思い(後述「やりたいこと」)を「わが町」の範囲でアピールしようとしている。その意味では、10年以上の紆余曲折を経た上で彼自身の手でつかみとった「仕事を通した社会の中での自己の存在確認」の方法ととらえられる。

(3) 正木の働き方
 玉井と比べて安定した立場の公務員である正木は、玉井とは逆に、仕事を他の活動のための手段として割り切っている。
 彼は「自分は事務屋のため、3年ごとの異動で、何の仕事に就くかわからない状態。常に新人であり、言われたことをやるだけ」。それゆえ彼にとって仕事は、仕事以外のこと(娯楽・教養・旅行など)をするための手段でしかない。つまり仕事は収入を得るためのものである。だから彼は残業してお金を稼ぐよりも、自由な時間を大切にしたい。仕事中心になって自由な時間がつぶれるのはいや。仕事以外にやりたいことが何もないのなら仕方ないが、それより教養を身につけたい、体験したい、知りたいという。
 また、彼は徳島県立青少年センターで「コミュニケーションをしている」という。そこで子どもフェスティバルなどのイベントも手がけているから、「多少社会に協力しているといえるかもしれない」が、「人の役に立つ」とか「社会のためになる」ということには関心がないという。
 何の目的も設定せずに、「とにかく海岸で100人のバーベキュー大会を開く」ということを思い立ち、友達に呼びかけて実現させたことがある。
 個人経営なら仕事が生きがいということもあるかもしれないが、公務員の場合、何をやれるのか自分ではわからない。だから残業ばかりやっていて、他の活動をしようとしない同僚を見ていると、「そんなに仕事ばかりしていて何になるの」という気がするという。
 われわれは個人が職業を通して社会に関わるということを重視してきた。しかし、正木のいうように社会参加のチャンネルは必ずしも職業だけではなく、さまざまな活動にわたっていることを認めなければならないと考える。若者の労働観を考えるとき、余暇と職業、個人的事項と社会的事項などの二項対立の既成概念からもっと自由になる必要がある。
 公務労働の意義についてどう考えるべきかは議論の余地があるだろうが、ここで注目したいのは、玉井の仕事にせよ、正木の社会的活動にせよ、いずれにせよそれらは彼らにとって「自分がやりたいこと」の延長線上にあるということである。

(4) 川田の働き方
 川田は工業高校を卒業して夜間短期大学部に入学。その後、大学工学部電子工学科に編入した。前の二人よりやや年長である。
 彼は在学時から短期大学部の後輩とイベント企画サークルを立ち上げ、また、市社会教育課のヤングフェスティバル運営委員会に所属して活動した。これが町づくり活動へのきっかけとなり、市社会教育委員としても活動した。その後、徳島市をフィールドとして青年層の活性化や人材の育成に携わってきた。現在は、市生涯学習運動の青年ボランティアゼミ事業、生涯学習施設ボランティア、音楽の町づくり等の活動をしている。
 彼はこれらの活動を通して「今より楽しく、いろいろな価値観が認められる徳島にしたい」と考えている。そして「異分子を排除した、価値観があまり違わない、いさかいのない、個人の選択を認めない社会はいや」だという。その観点からいえば、今回の仮説についても、「社会化に対する個人化=若い人たちのわがまま」ととらえているようで疑問を感じるというのだ。むしろ若い人たちが個人として責任を持ち、社会が若い人たちにその責任を与えることができる環境づくりをすることこそが、現代青少年の社会化を支援することにつながると彼は考えている。
 一方、仕事の面では、夜間短大時は、昼は市施設課で汚水処理場の水質検査業務、県環境保健センター大気課で雨水中の重金属成分についての研究を行った。その後、大学に編入し、4年後に退学して、水質保障会社に入社し、オゾンの特性を利用した装置の販売や開発を行った。2年前、コミュニティFM放送局に入社。企画部に所属し、各種企画、放送技術、ケーブルテレビの番組表の編集を行っている。
 このように転職を重ねた彼だが、仕事の喜びについての考え方は一貫している。彼はいう。「仕事を通してお客さんに喜んでもらえることが一番の楽しみ。自分で作って営業した商品を認めてもらって、その商品を導入してもらい、その会社の業績が上がったときが一番うれしい時。販売から製作、導入までの過程を通して、お客様からわがままをいってもらってそれに対応していくのが楽しい」。評価が見える、自分の成果が確認できるということが彼にとっては大切なのだ。
 彼の考え方には、若者の個人化に対して否定的な受け止め方が見られない。しかし、同時に、彼の考える個人化は「わがまま」とは正反対の、他者や社会との相互関与の中で位置づけられているものである。「客に喜んでもらう楽しみ」が個人化の発展上に自然に位置づけられているといえる。
 個人化支援と統合された社会化支援理念を形成するにあたって、重要な考え方だといえよう。

(5) 若い人たちの仕事ぶりから自分の生き方を語る
 仕事は人生のうちの長い時間を費やす。それなのに多くの人は、いやな仕事をなんで我慢して続けているのかと玉井はいう。店を訪れる学生客を見ていても、「何とかどこかに引っかからないか」ということで就職活動をしているように見える。もし、そこで内定を受けられたとしても、彼には「とりあえずやってみたら」としかいえない。むしろ、「自分にはもうあわない」と思ったとき、模索することが大切だと彼は思っている。
 最近の就職支援の動向から見れば、まったく正反対の論議といえよう。また、最近の若者自身も、玉井のような若者が減り、「店を訪れる学生客」のような若者が増えているように思われる。
 玉井自身は、「(小さなケーキ屋で)雇い主が自分の働きを見てくれていなかった」という寂しい経験をしたことがある。そこで彼はアルバイトには売り上げを公開し、ボーナスに反映させている。彼らもやる気が出て、提案もするようになった。がんばってくれて、頭が下がる思いだという。
 また、アルバイトの人たちの「この店が好き」という気持ちを大切にしている。彼らは仕事帰りには店で食べて帰るという。アルバイトの彼らに「ここで働きたい」、「ここで働いているので、仲間の中でも鼻が高い」と思われたいので、バイト募集は、情報誌ではなく店内チラシだけで行っている。
 彼はいう。今時の若者は「やる気がない」「夢がない」と言われているが、自己の価値観の中での夢は持っていると思う。それを「夢の大小」などで測って決めつけようとするのは大人側の勝手な都合ではないか。社会に貢献せよというが、社会も個人に貢献してくれなければ釣り合いがとれない。玉井の提唱していることは、大人や社会の側にとって都合のよい若者像を求めるのではなく、今の若者たちが彼らなりにもっている夢や可能性に立脚して仕事を提供すべきということだと考えられる。
 これに対して正木は、今の若者が何を基準に仕事を選んでいるのか疑問だという。仕事だけでなく、個性を出さない、提案しないなどの傾向を感じる。これについては「やりたいこと」を見つけていないからではないかと考えている。そして、ともに活動している現在の仲間たちには、やりがいをもたずに参加している人はまずいないという。
 このように玉井や正木は「その仕事や活動をしたいかどうか」、「その店が好きかどうか」など、個人的な判断基準や嗜好を重視しているといえる。その点は川田も同じである。
 川田はいう。「働きぶり」は個人のパーソナリティによるものであり、若い人ということでひとくくりにはできないと思う。しかし、仕事のとらえ方が下手かなとは感じている。自分の価値を周りの環境や、テレビドラマやマスコミなどに左右されて過大評価したり、必要以上に矮小化したりしていると感じる。もっと自然に仕事を楽しんだらいいのではないかと思う。また仕事をしている上で、責任を持つおもしろさや人に喜んでもらう楽しさをもっと体験してほしいという。
 このように川田は他の二人と同様に若者一人一人の個人的な事柄を重視し、むしろもっと自然に「楽しさ」などを味わえばいいと考えている。しかし、責任を持つことや他者に喜んでもらうことなど、社会的にもより充実することが個人的な「楽しさ」につながるとする点が川田の発言の特徴的な点である。
 このようなことから、社会化支援においては、若者(のリーダー層)が個人化し、その結果、職業の面でも「わがまま」であることについて、そのマイナス面にばかり目を奪われないよう留意する必要があると考える。むしろ、社会化圧力に屈した結果、個人的充実だけでなく、皮肉にも川田のいうような社会的充実をも損なってしまう若者たちに対して、もっと個人化が、「社会化と統合しながら」ではあるが、深化するよう援助する必要があるといえるのではないか。

(6) 定職に就く意義の見直し
 定職とは辞書には「きまった仕事」とある。英語では、a fixed job、fixed employment、a regular occupation、a permanent jobなどとある。このことから「不変性」が定職に関する一つのキーワードになると考えられる。その場合、働き先が不変、仕事内容が不変、自分にとっての仕事の意義が不変の3種類が考えられる。これに沿って表2.6.2-1のとおり登壇者の意見を整理してみた。ただし、「自分にとっての仕事の意義が不変」については、「責任をもつ」「裁量が大きい」に置き換えて分類した。

表2.6.3-1 定職志向に対する意見
定職における「不変性」の意味 定職志向に対する肯定・否定の内容 勤め先が不変 「一生の仕事にしなければいけない」と思い込んでいるだけなのではないか。 「フリーターはいけない」というプレッシャーに流されているだけではないか。 大人は「先々困るから」というかもしれないが、それはやってみないとわからない。 仕事内容が不変 一生同じ仕事をするのがいいこととは思えない。 いやな仕事でも定年までやるのか。 「10年やればおもしろくなるかもしれない」という人もいるが、それは苦痛。 責任をもつ裁量が大きい アルバイトだって、プロ級の仕事をする者もいる。責任から逃れようとする者ばかりではない。 自己裁量の大きい職場であれば、正社員の方がわがままがきく。(受容) 個人の力より、組織を使った方がより多くのことができる。(受容)
 3人の登壇者は共通して「定職に就く」ことを絶対視する考え方(ときにはプレッシャー)に対して異議を申し立てた。それよりも彼らは「やりたいこと」を求めて生きていくことを大切にした。このことは後で述べるように、定職に就こうとしない若者を、すべて「社会的弱者」としての問題としてとらえようとすることは、必ずしも若者の正確な理解に基づいたものとはいえないということを示していると考える。
 次に、表2の右下2段は、個性や個人の裁量の発揮のためを考えるからこそ、正社員、定職、組織につくほうが良いという指摘である。確かに、現在は、社員個人の欲求実現のために機能できるフラットな組織システムが求められている。この指摘はその動向と符合すると考えたい。
 このように、勤め先や仕事の内容が変わることには無頓着であっても、自分の裁量が大きく責任ももつということに関しては「どうでもいい」とは思っていないことに注意したい。自分にとっての意義の深さについていえば、彼らも不変性を求めているといえる。言い換えれば、自分が仕事をする意義を自分なりに見つけてそれを貫くことが本来の「定職」だとすれば、彼らはそれを強く支持し、望んでいるとさえいうことができる。
(7) 今回の仮説に関する検討
 3人の若者リーダーの話からは、本ラウンドテーブルで設定した仮説の中での、「個人化の傾向を肯定的に理解すること」の重要性は一応支持されたと考える。表2は本仮説に関わる発言内容を、個人化/社会化の視点で整理したものである。

表2.6.3-2 個人化/社会化に関する発言内容
個人化/社会化 発言内容 提起された
課題 個人化の希薄化 最近の若い人は、興味あること自体少ないのではないか。しかし、それは経験していないからだけであって、「若い人は一生懸命やらない」とは決めつけられない。 決めつけずに、経験するチャンスを与えよ。 そもそも会社には『やりたいこと』がたくさんあるはず。これに対して多くの若者が『自分の会社にはやりたいことがない』という。このことが致命的。 「やりたいこと」を会社のなかに見つけられない若者の問題。 ↓ 個人化と社会化の分裂 社会におもねるのでなく、流されるのでもなく、私たちは社会の一員として生きている。そういう一人で生きることのできない人間として、若い人たちが自己実現や自分らしく生きることを大切にしたいと思うことは、個人としての当然の欲求ではないか。 当然な欲求を否定的にとらえざる得ない状況や環境こそ、変える必要あり。 ↑ 社会化の空疎化 今の子どもに「将来何になる?」と聞くと「サラリーマン」と答えるというが、それだけはいやだ。小学生の時ぐらいだれでも夢を持つはずなのに。 子どもが将来の仕事に夢を持たなくなったのは大人や社会の責任。
 この結果について、次のように検討した。
 第一に、登壇者は自分より若い人たちについて、「自分のやりたいこと」をもっと大切にすることが必要と感じていることが明らかになった。すなわち、社会化圧力に負けて個人化が阻害されているという側面が指摘されたと考えられる。
 仮説では「職業生活への適応をはじめとする青少年の社会化」を、「青少年自身のニーズ」として肯定的にとらえたが、それが、たとえば「店を訪れる学生客」のように、「自分のために働きたい」という欲求を抑圧するという否定的側面を見逃していた。
 第二に、それでは「個人化の傾向」の肯定的理解を、どのように「現代青少年の望ましい社会化」の支援と統合して進めたらよいのかという課題がある。そこでは、第1の課題と関連していえば、より深い自己のなかでの「自分のやりたいこと」の追求を励ましつつ、他者や現実社会との接点の中で自己を位置づけることによって、「自分のやりたいこと」がより明確になり、より深まるよう支援する方策を明らかにすることが重要といえよう。表の「個人化の希薄化」はその必要性を示している。
 表の中段は、社会化が「おもねるのでも、流されるのでもない」個人としての当然の行為であるのと表裏一体の関係として、自己実現や自分らしさを大切にしたいという若者の欲求を、社会化が必須の個人としては当然の「自己保存本能」としてとらえている。若者の「自己実現や自分らしさを大切にしようとする」個人化傾向を肯定的にとらえようとする仮説に対し、さらに進めて、若者個人の側からはその傾向は社会化と同様に「必須」であると指摘しているのだ。
 第二の課題として挙げた個人化と社会化の統合的発展のあり方を考えるにあたって、両者を別のものとせず、個人としてはともに必須の事項であることを認識することが、現代の若者たちの正確な理解にとって重要であろう。そして、青少年の社会化は促進しようとするのに、個人化については「それを否定的にとらえざる得ない状況や環境」こそ、批判的に点検し直す必要がある。

(8) 若い人材を育てるには
 ラウンドテーブル後半の討議では、登壇者よりさらに若い人たちをどう育てるかということがとくに話題になった。この「人材育成」の話題については、自分の店のアルバイト、会社の後輩、さらには青少年活動の後継者など、対象は三者三様であっても、三者同様に強い関心が示された。その結果、次の課題が明らかになった。
 第一に働き方や生き方を教えるとはどういうことかという課題である。
 まず、今の若者たちは「自分は何をしたいか」がわからない若者が多いのではないか。
 次に挨拶ができない。それなのに、雇用側は若者をしつけきれない。むしろ雇用側が今の若者に迎合しつつあるとさえ思われる。大人の立場からもっと若者に切り込んでいってよいのではないか。
 これに対して若者の側は、「生きていて楽しい」を一番大切な要素と考えている。しかし、「自分だけで楽しがっている」状態はあまり楽しくない。このことについてわかるように教え、より深い楽しさを得る体験を提供することが大切である。
 社会や国に貢献するということについては、川田以外は「自分にはそのような意識はない」としたが、川田だけは「社会や国のことを考えたほうが、自分の枠がより広がると思うようになった」と発言した。
 社会貢献に向けた積極的態度をどのように若者に形成させるかという課題は、確かに重要である。しかし、それ以前に、「自分だけで楽しがっている」状態の若者たちに対して、それを否定して社会化に誘導しようとするのではなく、川田が指摘するように、もっと「自分の枠が広がる」社会的活動があるということを教えることこそが必要なのであろう。
 第二に、無気力な若者を「改善」するにはどうしたらよいかという課題である。育てようとする自分たち「若者」まで無力感にさいなまれるときさえあるという。
 これについては「とりえを伸ばす」ことの重要性が提起された。しかし、競争主義の立場に立たないとして、「とりえ」とは本当は何のことか。それらを明らかにする必要があるだろう。
 どんなに無気力に見える若者であっても、必ず個性はもっているはずであり、自己表現が抑制されていただけかもしれないと考えることが必要ではないか。
 第三に「フリーター問題」である。これは前述したようにフリーターであること自体に問題があるということではなく、「どうしたら生きがいを持って働いてもらえるか」という課題としてとらえる必要があるという結論を得た。
 まず、自分が好きな仕事をするのが基本ということが確認された。これに対して新しく20代になった若者は逆に定職志向が強い。しかし、それは周りにそう言われているからだけなのかもしれない。そういうなかで、「自由人」としてのフリーターをあえて選択することについては、むしろ評価されて当然ではないか。
 もちろん、「とりあえず就職」するのもよい体験になるだろう。ただしそれは遊びの中でも学べることだ。
 さらに前掲表の「やりたいことを会社のなかに見つけられない若者の問題」は、深刻な危機を表している。この状況を乗り越えて、若い人材を育てるためには、職業決定時の余計な外的圧迫をできるだけ排除すること、そして「自分のやりたいことを仕事に求めてはいけない」という自己抑圧からできるだけ解放してやることの両側面が重要であると考える。
 正木のいうような「経済的事情」から「定職に就く」ことのメリットを説くのならまだしも、「自分のやりたいこと」よりも見栄や外見を優先してフリーターをやめさせようとする大人側の行為は、今の若者から自主性を奪い、ますます真の意味で人間にとって必要な「定職」(前述「自分が仕事をする意義を自分なりに見つけてそれを貫くこと」)から遠ざける結果になりかねない。

(9) 若者の「やりたいこと」を見つけさせる職業面
での社会化支援理念の形成

 第一に「主体的フリーター」の認知について、その意義が明らかになった。
 今回のラウンドテーブルでのキーワードの一つは「フリーター」であった。しかも、それはもっぱら「定職を避けてフリーターに逃げようとする若者たち」の問題としてではなく、「フリーターであることを避けるために、好きでもない仕事に就く(登壇者より)若い世代」の問題として語られた。このように時代は「働きがいを犠牲にした定職志向」、「個人化を断念した社会化」に突入しつつあるのかもしれない。
 しかし、そのような若者の個人化面での希薄化は、今後の企業経営にとってけっして歓迎されるものではないことは明らかである。それよりも、気の利いた企業なら、登壇した3人(正木を含めて)のような者を生かす方策を考えるだろう。さらには、自分の「やりたいこと」のためにあえてフリーターであることを選ぶ若者が、一般の若者たちの尊敬の対象となっていることに注目する必要がある。
 今回の議論を通していわば「主体的フリーター」の存在が浮かび上がってきたのだといえよう。今後の職業支援は、「定職」にこだわることなく、「主体的フリーター」をも包含したところに「望ましい到達像」を設定する必要があると考える。
 第二に本ラウンドテーブルでは、社会化の大切さは「他からいわれるまでもなく若者自身が痛感している」ということが確認された。しかし、それは「職業で」とは限らないという点に注意を払う必要がある。
 若者自身にとっては「職業かどうか」という外面的なことより、「自分がやりたいこと」であり、しかも同時に「社会的により有為な存在として自己を位置づけることができるかどうか」という内面的なことに、より関心があると考えられる。
 第三は愛社精神、さらには社会や国家への貢献といった場合、それを大人たちが過去の価値観のまま若者に押しつけようとしても効果的ではないと考えられるという点である。それよりも、「ものづくりが好き」、あるいは川田のいうような「喜ばれたらうれしい」という個人的な感覚から出発して支援する必要があるだろう。
 そして、玉井が目指し、一定程度の成功を収めている「この店が好き、マスターが好きだから働きたい」という個人的嗜好をより重視するやり方は、職業支援の大きな転換の必要性を示唆していると考えられる。従来は、会社や集団などに所属し、そこに帰属意識を持つことが社員に求められてきた。判断基準等もそこに準するので、これを「準拠集団」ということができる。
 しかし、玉井が目指しているのは、このような「準拠集団」としての店づくりではない。多くの若者が自分の好きなミュージシャンの生き方にあこがれ、その人から自分の生き方のモデルとしても学ぼうとするのと同様に、自らがいわば「準拠個人」(高橋勇悦編『都市青年の意識と行動』恒星社厚生閣、1995)としての雇用者であろうとしているのである。
 彼の目指すことは「個人としてやりたいこと」を実現するというだけでなく、「自分が準拠する個人のもとで働く」ことによってそれを実現しようとする新しい志向としてとらえられる。
 第四に、「個人がやりたいこと」を重視する3人の登壇者が奇しくも一致したキーワードに「パチンコ」(への否定的反応)がある。徳島のような地方都市に働く多くの人々にとって、パチンコは主要な娯楽場である。市内には大規模なパチンコ屋が数多く建っている。しかし、彼らの口ぶりからは「勤めとパチンコに明け暮れる自らの地方都市の日常」への反発を感じさせられた。
 3人のいう「自分のやりたいこと」にはパチンコは含まれないのである。パチンコのように一人で完結してしまうことではなく、コミュニケーションや共同作業を経て、少なくとも他者との関与によって実現するものを「自分のやりたいこと」としているのだといえる。
 いわば過去の「マイホーム主義」などに代表されるような小市民的な生き方に飽き足らないということなのだろう。ただし、だからといって彼らは「社会変革」などの活動をしようとしているわけでもない。あくまでも個人として「やりたいこと」の延長線上に、他者や社会との相互関与が存在するのである。
 地方都市の有力なレジャー産業であるパチンコを否定的にとらえることの是非については、ここではおくとしよう。しかし、少なくとも、地方都市を愛し、そこに足場を構えて、パチンコではなく、他者とともに仕事や社会的活動をしようとする彼らを支援することが必要であるといえる。
 それは地方都市に生きる若者や多くの人たちの人生にとって、個人が「より楽しくなる」もう一つの選択肢を示すことにもつながるものと考えられる。
 第五に登壇者は皆、自分より若い世代を育てることの重要性を主張していた。とくに彼らが危惧していたように「自分のやりたいこと」を模索する前からあきらめて(敗北主義)「定職」に就こうとする傾向が見え始めているとしたら、青年期の人間形成に対する青少年教育ほか、大人や社会の責任は重大である。若者が「やりたいこと」を探し当て、それを体験するチャンスを与えること、また、彼らのそういうチャレンジに対して受容的雰囲気を社会全体がもつことこそ切実に求められている。
 本大会が開かれた翌月に宮本みち子著『若者が《社会的弱者》に転落する』(洋泉社)が刊行された36。そこでは久木元真吾によるフリーターの選択に関する言説の分析を引き、親も子も「やりたいこと」の呪縛にとらわれ、結果として現実逃避が続いていると指摘している。また、「安定雇用というものに魅力を感じなくなった」子どもたちにとって、日本はまだ「若い時期から実社会で活躍できる」土壌が少ないのに、「アルバイトする半労働者として、成人に達する前から、将来の保証も上昇の見通しもないまま、流動化する人生を開始しているようにみえる」として、そういう若者たちの傾向を否定的にとらえた。
 しかし、今回のラウンドテーブルにおける若者リーダーの発言からは、「やりたいこと」を社会との相互関与の中で自らつかみ取り、その「やりたいこと」については不変なものを求めて、「主体的」に流動化する若者の姿をわれわれは見てきた。「好きな店であこがれるマスターの元で」いきいきとアルバイトする学生の姿も知った。そして、むしろ、登壇者より若い世代に「やりたいこと」の模索や実現をあきらめてしまう傾向があり、そこにこそ危険があることが問題として浮かび上がってきた。
 最近の若者の仕事に関する意識やライフスタイルを理解しようとするとき、個人化/社会化の二項対立を乗り越え、現在の若者の現実に根ざして、「やりたいこと」を実現しようとする彼らの意思や、さらには個人化そのものの側面をもっと肯定的、積極的に評価する必要があるのではないか。その上でこそ、「近年のEU諸国の青年政策」に習い、「若者を社会の構成員として明確に位置づける」という宮本の提唱もより現実性のあるものになると考えられる。
 登壇した3人のような若者の予備軍はまだたくさんいるだろう。そういう若者たちの模索さえもが「現実逃避」と見なされ、彼らの行き場を奪ってしまう結果にならないようにしたい。

2.6.4 「居場所づくり」の支援方策に関する理念の検討

 文部科学省は、学校週五日制の実施に合わせ、平成11年度から、学校・家庭・地域の協働による「心の教育」や「体験活動」の充実を目指す「全国子どもプラン」を推進してきた。16年度からは、地域教育力再生プランを創設し、「地域子ども教室推進事業」を開始した37。また、平成17年11月の「今市事件」を背景に、子どもたちの安全な下校体制を整えるため、緊急に「子ども待機スペース交流活動推進事業」を実施した。さらに、平成19年度政府予算において、全国の小学校区で、放課後の子どもの安全で健やかな活動場所の確保を図る観点から、新規施策として「放課後子どもプラン」の創設が認められた。
 これは、子どもが犠牲となる犯罪・凶悪事件が相次いで発生し社会問題化したことや、子どもを取り巻く家庭や地域の教育力の低下が指摘される中、少子化対策の観点から、文部科学省の「地域子ども教室推進事業」と厚生労働省の「放課後児童健全育成事業」の放課後対策事業を、一元的に実施しようとするものである38。
 政府の「教育再生会議」は、本プランの全国的な展開を強く求めた39。文部科学省も、「本プランは、これまで実施してきた『地域子ども教室推進事業』同様、地域の方々の積極的な参画が事業の推進に欠かせない」として、次の点を強調した。
① この取組は行政や学校だけではなく、地域の多くの方々の参画がなければ定着・促進されない取組であること
② 地域社会全体で地域の子どもたちを見守り育む気運の醸成が図られ、この取組を通した地域コミュニティの形成が、子どもを育てやすい環境の整備につながること
 また、平成19年2月に発表された「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」第一次まとめにおいては、放課後活動の重要性が指摘された。本まとめにおいて、「社会全体で子どもを育て守るためには、親でも教師でもない第三者と子どもとの新しい関係(ナナメの関係)をつくることが大切であり、地域社会と協同し、校内外で子どもが多くの大人と接する機会を増やすこと」が提言された。
 本プランの求める「放課後の安全」についても、青少年や親の社会化支援の観点から、「青少年の居場所づくり」と「子育てのまちづくり」によってこそ本質的な現実化を図ることができると考える。なぜなら、下校時までの安全を確保しても、安全な地域づくりと、「ナナメの関係」によって地域に支えられる「子どもの居場所」がなければ、帰宅後に子どもが再び地域や学校に遊びに出かけてしまえば、その時点ですでに下校時までの安全確保は意味を失うと考えるからである。
 このような意味から、「放課後子どもプラン」の政策研究に関しても、社会化支援の観点からは、「変わるはずのない理念」としての「居場所」が重要なキーワードになると考える。
 ここでは、「居場所づくり」を行う行政側の教育的意図のあり方40について検討したい。
 
(1) 無意図の居場所の多様性
 まず、他者による居場所づくりの意図が働いていない居場所について検討したい。
 第一に、「対自」(自分に向き合う)の居場所がある。学生に「自分らしくいられるところ」を聞くと、真っ先に「自分の部屋」という答えが返ってくる。自分の部屋では、他者に気兼ねなく過ごすことができるため、自分らしくいられるというわけである。自分の部屋にとじこもって外界との接触を断つ「ひきこもり」も、そのことによって「本当の自分」を守ろうとし、自分と対面する。長期・短期の差はあるにしても、だれにでもこのように一人になる時間が大切である。まわりに人がいても、黙想、音楽、散歩なども同様である。ここでは、一人でも安心して自分らしくいられることが、居場所成立の条件といえる。
 しかし、次の対他なしに、対自だけで自己完結させようとすると、「自分らしさ」は十分なものとは感じられなくなってしまう。また、自分との対面の結果、他罰傾向に陥れば、「自分らしさ」どころか「対自」も置き去りになってしまう。
 第二に、「対他」(他者と関わる)の居場所が考えられる。友達の部屋や放課後の教室、部室、街頭、コンビニの前などである。ここでも、本人が「自分らしくいられる」と感じる場合に居場所になる。仲間への気兼ねや対面への気後れなどから、「自分らしさ」を出していないと感じる人にとっては、居場所になりえない。しかし、そういう人でも、インターネット通信なら、対面ではないので「本当の自分」のままで発信していると感じるかもしれない。そうだとすれば、仮想的な電子空間がその人の居場所になる。ここでは、他者がいても安心して自分らしくいられることが、居場所成立の条件といえる。
 しかし、先述の対自の深まりがたがいに交流できないような空しい関係に陥ると、「自分らしさ」は感じられなくなる。
 第三に、対社会(社会に関わる)の居場所がある。たとえば、若者が地域でイベントを行ったり、地域や公共に関わる活動をしたりするとき、その仲間関係に「自分らしくいられる」雰囲気を感じ取る可能性が大いにありうる。活動の目的は自分たちの居場所をつくることではないのに、「自分にとっての居場所」という理由からそれに参加する若者も多い。
 しかし、活動目的の遂行のために個人の対自・対他の気づきや深まりを重視する余裕がなくなり、「自分らしさ」が犠牲にされるようなことがあると、その人にとっては居場所とは感じられなくなる。ただ、だからといって、必ずしもその活動が非難されるものでもない。「居場所づくり」は、その活動の一次的な目的ではないからである。


表2.6.4-1 「居場所」の分類
種 類 例 無意図の居場所 対自 自分の部屋、ひきこもり、黙想、音楽、散歩 対他 友達の部屋、街頭、インターネット通信、(家族) 対社会 地域活動、ボランティア活動、市民活動、(学校・職場) 意図された居場所 対自他・対社会 行政活動、青少年施設、地域施設、青少年育成活動等 一般的呼称 一次的目的 集まり方 主催事業 特定の事業目的 特定の事業目的にひかれて集まる。 活動拠点 特定の活動目的 集まることによって、ある目的を実現しようとする。 たまり場 偶発的な目的 集まっているうちに何かをやろうとする。 居場所(狭義) 即目的 居場所であること自体が主要な目的である。


(2) つくる居場所
 上に述べたように、対自・対他・対社会それぞれの「無意図の居場所」は、居場所としての機能不全に陥りがちである。そこで、行政や、行政活動、青少年施設、地域施設、青少年育成活動等は、「無意図の居場所」の充実を期するとともに、それとは別に、次のような若者の居場所を意図的に創り出す必要があると考える。
 第一に、学習その他の特定の目的をもった事業を、参加した若者が居場所として感じられるように運営することである。もちろん参加者は、その事業目的にひかれて参加したのではあるが、同時に、「他者といても自分らしくいられる場」を潜在的に求めている。
 第二に、特定の目的のもとに若者が集まって活動するための拠点を提供したり、先の1の第三の自主的な対社会活動を支援したりすることによって、それが居場所としても機能するよう働きかけることである。
 上の2つに対しては、「本来の事業目的のため」あるいは「活動目的を同じくする仲間を見つけるため」に参加したという理由から、事業や活動拠点自体を居場所にすることについては「余計なお世話」という若者側の反発もあるかもしれない。そういう若者のスタンスは、それはそれで当然だ。行政側としては、居場所であるかないかの判断は個人に任されることをはっきりと示したうえで、わざわざ居場所をつくろうとしている理由を明示する必要があるだろう。
 第三に、特定の目的をもたずに集まる「たまり場」を提供することである。そのうちに、何かをしようという話が偶発的に持ち上がる。しかし、行政側は、そのことよりも、そのたまり場が居場所になりえているかどうかに関心をもつことになる。この場合、彼らのあいだで偶発的に沸き起こった活動テーマに対してよりも、居場所を成立させる条件としての風土に関心を払うべきだ。
 第四に、居場所であること自体を主要な目的とする狭義の「居場所」を提供することが考えられる。しかし、これは、特定の依存症に関わる自助グループなど、何らかの共通する課題に関するものでなければ、事業としては考えにくい。広く若者に対しては、会議室やロビーあるいは図書館などの施設提供において、対自、対他の居場所になりうる空間的条件を整えることが必要であろう。
 たとえ行政がつくったものだとしても、以上のような居場所が若者にとって新たな「自分らしくいられる場」と感じられれば、自他への信頼や共感の獲得の場になる可能性がある。

(3) 居場所づくりの動向
 「青少年問題文献」ドキュメンテーションの要旨における「居場所」の出現率は、97年から増加した。96年までの該当文献の特徴は、地域に子どもの居場所が必要であるとする論調のほか、不登校児を対象とした居場所づくりの実践(秋田県)などが挙げられる。
 97年には、中・高校生建設委員会の基本設計による東京都杉並区児童青少年センター『ゆう杉並』が開館し、彼らの地域での居場所が目指された。
 98年4月、内閣総理大臣の下、関係審議会の代表者等の有識者から成る「次代を担う青少年について考える有識者会議」が「学校外での青少年の居場所づくり」を提言した。そこでは、「適切な指導者等の下に、子どもたちの主体性を重視した子どもにとって魅力ある活動を行うこと」等が挙げられた。
 99年3月、兵庫県社会教育委員の会議審議報告「子どもたちに生きる力を育む社会教育の推進-心の教育の充実に向けて」では、「神戸市須磨区の事件以来、『心の教育』の一層の充実を図ることの大切さを改めて認識」し、青少年の健全な育成を図るための学校外活動の展開方策のなかで、青少年の心の居場所の重要性に注目した。同年10月には、東京都社会教育委員の会議が「中・高校生の自立性・自発性を育てるためには、青少年が気軽に立ち寄り、若者文化の発信や受信ができる居場所をつくることや、中・高校生世代が主体的に参画できる機会を設けることが必要」とした。その後、翌年にかけて、川崎市青少年問題協議会、愛知県青少年問題協議会、茨城県青少年問題協議会、東京都青少年問題協議会が、「居場所づくり」が必要であるとした。
 繰り返し起こる青少年問題のなかで、青少年施策は、居場所づくりの対象として子どもだけでなく若者をも含め込み、なおかつ、「居場所が大切である」という客観的認識から「居場所をつくる」という能動的行為に進みつつあるといえる。
 このような段階においては、前出「有識者会議」のいう指導者による「指導」と、青少年の「主体性」の重視を共存させる方法が求められると考える。

(4) 対他活動としての居場所と教育的意図
 多くの若者は「自分らしくありたい」というだろうが、そこでの「自分らしさ」は、他者とのせめぎあいや折り合いが不十分のまま、あるいはそれを避けたまま、自分の閉ざされた枠組のなかで、こぢんまりと固定化させてしまっているものであり、悩みや苦しみを経た自己内対話から生まれてきたものではないと推察される。
 「自分らしさ」や「本当の自分」とは、他者や社会との相互関与によってつくられていくものであり、そのなかで自己に立ち戻り、自己の多様な側面に日々気づいて確認される、もっと流動的なものなのではないかと考える。
 そうだとすると、対他を避けたままの個性や「自分らしさ」への願望は、若者たちをかえって「自分らしさ」から遠ざける結果になりかねない。また、行政が意図的につくる居場所においても、今の若者と同様の表面だけの「許しあい、わかりあい」に走るならば、それは、「自分らしさ」を望めば望むほど「自分らしさ」を失っていく今の若者の傾向を強化することにしかならないだろう。
 以上の考察から、居場所を「つくる」教育的意図とは、居場所の中で若者たちの相互関与を深め、対他、対自、対社会の気づきの循環を支援しようとすることであると考える。
 行政側は、この意図に沿い、若者と出会い、一人一人の悩みや苦しみを大切に受けとめ、個人に自己内対話を促す問いを与え、ときには自明とされていることについて疑問を与えて揺さぶり、正答のない問いをいっしょに考えることによって、若者とともに自他への気づきを深めることが必要であると考える。

(5) 集団嫌いの若者に対する態度
 上では、対他活動の重要性について述べた。そこで、「集団になじめない若者はどうするのか」ということが問題になる。
 実際、現代学生の多くが、「自分らしさを守ることも大切だが、集団に適応できるようほどほどに」と考えている。自己と集団とが二項対立的にとらえられている。集団は苦手だが、かといって集団、とくに仲間集団(ピア)に同調しないであくまでも「自分らしく」いること、いわば「あぶれ者」になることも極度に恐れている。このダブルバインド(二重拘束)は、自己と集団の二項対立的な現状から発している。
 こういう現状のなか、現在の行政は集団になじめる若者しか相手にできていないのではないかと推察する。しかし、集団になじむことを嫌う「あぶれ者」こそ、ほかの「みんな」にはないエネルギーを秘めていることがある。「集団が苦手」というのも個人の特性にすぎず、その対他関係には長所も短所もあるはずだ。
 居場所の大きな特徴は、無理に集団になじむ必要はないということにある。これを大切にする必要があると考える。
 ただし、外界や、その中での自分が見えていないへその曲げ方は、本人にとっても不幸であり、社会にとってはただの迷惑になるだろう。だからこそ、行政がつくる教育的意図をもった居場所が期待される。「自分らしくいる」ことが尊重されることが宣言された場における対他活動によって、へそ曲がりはより立派にへそを曲げられるようになるし、他者から承認されたりもするだろう。
 そうはいっても、彼らは、「気持ちも行動もみんなで一致して」などという心境には最後まで至らないかもしれない。しかし、むしろ、そのような「みんな主義」への異議申し立てこそ、彼らの存在価値であり、居場所の要点でもある。
 参画活動や行政の場には「みんなで決めていない」ということを口実にして、異質な者の個性を集団の力で排除してしまう危険性があると考える。「居場所」をそういう場にしてはならない。
 むしろ、「みんなの気持ちが一致して、みんなで同じ行動をするなどということが本当にあるのか?」と問い続け、個人ごとの異なりを大切にするような居場所をつくることが必要である。
 また、集団嫌いの若者のほうに対しても、実体のない「みんな」に対して御託を並べたり、「みんな」に何とかしてもらおうとしたりするのではなく、その居場所を拠点として、自分の責任で思い切りやらせてもらえばよいと考えさせるようにしたい。

(6) 「自分らしさ」の内実を埋める居場所
 96年7月、中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の答申は、教育を、「自分さがしの旅」をたすける営みとした。ボランティア活動についても、「本当の自分を見つける」という趣旨の発言をよく聞く。
 そして、この流れのなかで、若者たちも「自分らしく生きることが大切」という。しかし、多くの場合、それは「自分とは何か」を問い続けた結果としてではない。
 一方で、行政は、地域共同体の衰退の中で、新たな「共同性」をつくろうとしてきた。それは、結果として「集団になじむことを好む」人たちの狭い世界の「コミュニティ」と、それと行政との偏った「パートナーシップ」を生む危険があると考える。「集団になじむことを好む」ということは、えてして、「みんな」という偽善の言葉を使いつつ、じつは個を抑圧して、集団に従属したり、支配したりしようとする傾向の裏返しの表れにすぎないことが多いと考える。それは、個人の対自と対他の循環を断絶させる。
 社会化支援の理念と実践において、青少年の自己決定能力の向上が叫ばれているが、そこには上に述べた視点が必要と考える。なぜなら、現実には人は他者や社会との関係性のなかで生きているのだから、それを切り離したままの「自己決定の人生を送りたい」という願いは無茶な願望に過ぎないし、これを無批判に受け入れるとすれば、現実化しえない願望を肥大化させる結果にしかならないと推察されるからである。
 青少年の社会化支援に関わる社会的諸機能が、このようにして意図的な「居場所づくり」と、その過程における青少年の参画意欲の意図的な掘り起こしを行うならば、個人化と社会化を統合的に支援し、自己形成と社会形成の一体化を図る支援理念を現実のものとする可能性が開かれると考える。




第3章 社会化支援の方法論―青少年教育指導の実践から―


貫徹志向非交渉型 貫徹志向 貫徹志向交渉型



非交渉 ★高校部活とは異なる魅力を示す
★エステ等通いたくない自分の理解と通いたい他者の理解
★他者の音楽等の楽しみに共感させる
★携帯電話を即切りする便利さから、距離の取り方を学ばせる
★インターネットをする他者から学ぶ
★意味ある情報入手の困難性を表現させる
★真剣に話すことへの阻害要因を理解させる
★異年齢の他者と交流させる
★弱みをさらけ出す、仲直りする状況を聞かせる
★自分がわからないという気持ちを表現させる
★勉強等に真剣に取り組む人から話を聞かせる
★他者の孤立しないための戦術から学ばせる
★最も大きな出来事に友達が関わった状況を聞かせる
★日本の将来に関心を持つ人の話を聞かせる
★倫理規範を大切にする人の話を聞かせる
★高校部活での積極性を引き出す★留学の夢を開示させる★探求発見型の他者を理解させる★音楽や演劇の魅力を伝えさせる★携帯電話利用を含めたコミュニケーションの積極性を評価し、活用する★即切りされた人の寂しさを理解させる★関心や考え方が異なる者と交流させる★弱みをさらけ出す、仲直りする状況を話させる★自分がわからない人の気持ちを理解させる★今のままではいけないと思っている他者を理解させる★なぜ努力が必要か、自明とせずに言語化させる★なぜ勉強や仕事に取り組むのか、内なる動機を見つけさせる★友達から理解された体験を話させる★他者の孤立しないための戦術から学ばせる★最も大きな出来事に友達が関わった状況を話させる★尊敬するアーティストについて話させる★損得や影響の計算が重要であるという他者から話を聞かせる★日本の将来や政治等に関心ない人の話も傾聴する態度を身につけさせる★「べき論」に消極的な人の話を聞かせる



交渉 ★高校運動部とは異なる魅力を示す★エステ等通いたい自分の理解と通いたくない他者の理解★探求発見型の自己を受容させる★他者の音楽等の楽しみに共感させる★携帯電話を即切りする便利さから、距離の取り方を学ばせる★インターネットをする他者から学ぶ★意味ある情報入手の困難性を表現させる★真剣に話すことへの阻害要因を理解させる★弱みをさらけ出す、仲直りする状況を聞かせる★今のままではいけないと思っている部分を他者から受容させる★友達から理解された体験を聞かせる★勉強等に真剣に取り組む人から話を聞かせる★自己の孤立しないための戦術を客観視し、その逆機能を考えさせる★最も大きな出来事に友達が関わった状況を聞かせる★日本の将来に関心を持つ同世代の話を聞かせる ★高校運動部とは異なる魅力を提示
★自分らしさに執着する他者を理解させる
★ホームページ閲覧の魅力を表現させる
★弱みをさらけ出す、仲直りする状況を話させる
★今のままではいけないと思っている部分を他者から受容させる
★友達から理解された体験を語らせる
★自己の孤立しないための戦術を客観視し、その逆機能を考えさせる
★最も大きな出来事に友達が関わった状況を話させる
★世間の評価や道徳は判断材料ではないという他者から話を聞かせる

状況対応非交渉型 状況対応 状況対応交渉型 図3.1-3 各類型に応じた社会化支援方法の検討


3.1 若者の友人関係の類型と社会化支援の方法

 われわれは、現代都市青年の友人関係や自己意識などについて質問紙調査を行った。同調査により、2002年秋に東京都杉並区と神戸市の16歳から29歳までの青年から1100標本を得た。
 友人関係は社会化の重要な要素であると同時に、ピア・プレッシャーなどの重大な問題も抱えている。本研究では、その傾向と「自分らしさ」に関する意識との関連を検討するとともに、そこで表れたそれぞれの類型の者の社会的活動等の特徴について、量的データをもとに明らかにしたい41。

3.1.1 方法
 この研究では、友人関係に対する態度を横軸に、「自分らしさ」に対する考え方を縦軸にして4領域を設定し、それぞれの特徴を分析した。
 友人関係については「友達と意見が合わなかったときには,納得がいくまで話し合いをする」、「自分らしさ」については「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」を取り上げ、それぞれの肯定/否定によって4分類した。
 「合意形成への態度」としては「非交渉」と「交渉」、「自分らしさの一貫性」としては「貫徹志向」と「状況対応」に分類し、表3.1-1のとおり各類型に分類した。

表3.1-1 4類型の設定(実数)
合意形成への態度 非交渉 交渉 自分らしさ
の一貫性 貫徹志向 263 335 状況対応 272 205
3.1.2 結果
(1) 「自分らしさ」と合意形成への態度
 各類型について、他のすべての類型を合わせたものと比較し、有意差のあった項目を表3.1-2に示す。検定結果は、危険率0.05以下のものは○、0.01以下のものは●で示した。危険率が0.05より大きいものは「有意差なし」と表記した。「対自己」については、「ありのままの自分でいることが大切」に共感する者を「現存重視型」、「自分の個性や自分らしさを探求し,発見することが大切」に共感する者を「探求発見型」とした。
 表3.1-2からは、それぞれの類型に応じた社会化支援のあり方について多くの示唆を得ることができる。
 「貫徹志向交渉型」は運動部系部活歴、音楽活動、友人関係など活発で自己肯定感が強い。勉強や仕事にも真剣に取り組み、日本の将来にも関心があるという。
 「貫徹志向非交渉型」は、本人は「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」と考えているのに、友達と意見が合わなかったときでも、納得がいくまで話し合いをするということはないという者たちである。
 音楽活動、携帯電話やインターネット等のメディア利用があまり盛んではなく、親友や友人とも深入りしない。自己同一感、自己肯定感が弱く、日本の将来にもあまり関心がない。
 「状況対応非交渉型」も同様に携帯電話の利用を含め、全般的に不活発である。
 携帯電話をあまり使わないから、そのかわり、フェース・トゥー・フェースのコミュニケーションが盛んになる、あるいは親友や友達との信頼関係が深まるということではないのである。
 「状況対応交渉型」は、親友・友人関係については活発である。場面によっては自分らしさを貫かないときもある。しかし、「納得がいくまで話し合う」という。
 以上から、各タイプの状況や特徴に応じた社会化支援を行うことが効果的であることは明らかである。たとえば、「貫徹志向交渉型」の若者に対しては、ピアに協調することを迫るのではなく、「趣味や関心が近いこと」、「考え方に共感できること」などの友達への考え方が、ややもするとピアとしての同化にもつながりかねないことを警告し、むしろ異質の者との交流を図る必要があるといえよう。各タイプの有意差のあった特徴に基づいた対応の方法を検討し、その結果を図3-1-3(紙面の都合から前ページに掲載)に示した。
 社会化支援が提供するこれらの交流は、現代の若者たちの日常の友人関係とは異なり、異質との出会いによる「共感」を伴うものである。この出会いこそが、「入り口としての友人関係の場面で立ち止まる」若者を、個人として深まり充実する「個人化」へと導くとともに、同時に彼らの「社会化」を促すものになると考えられる。現在、青少年教育における体験学習や、大学教育における参画型授業などが盛んになりつつあるが、それは日常にはないピアを越えた人間関係の体験を提供するところにその眼目を置くべきと考える。

3.1.3 各類型の社会的有能感/無力感の特徴
 次に、各類型の社会的有能感/無力感との関係を確かめた。
 「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」なのであれば、「個人の力で社会を変えることができる」と思えなければ、「自分らしさを貫くことよりも、まわりの状況に対応することを優先」するのであれば、「みんなで力を合わせれば社会を変えることができる」と思えなければ、社会的有能感はもち得ないだろう。
 上のように考えて、「貫徹志向」の類型の者については、「個人の力だけで社会を変えることはできない」の回答により、「状況対応」の類型の者については、「みんなで力を合わせても社会を変えることはできない」の回答により、それぞれ否定を「社会的有能感」、肯定を「社会的無力感」ととらえて検討した。度数分布を表3.1-4に示す。類型ごとに有意差のあった特徴を表3.1-5に示す。この結果からは、表3.1-2に見られるような目立った特徴は多くは見られなかった。
 これは、一つには、「個人の力だけで社会を変えることはできない」や「みんなで力を合わせても社会を変えることはできない」を否定したとしても、社会的有能感というよりは建前的な判断が働いてしまったから、二つには、それゆえ、社会的有能感が、「友達と意見が合わなかったときには,納得がいくまで話し合いをする」という友達との合意形成への態度ほどにはリアルなものにはなっていないから、三つには、社会的有能感がたとえあったとしても、それが「社会的能動」の展望までにはつながっていないから、などの理由が考えられる。
 以上から、家族や友人との関係以外の、たとえば職業遂行や市民性としての「社会性」や「社会的能動」については、現代青少年はほとんど成熟していないととらえるべきだと考える。この状況は、中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について-子供に[生きる力]と[ゆとり]を」(1996年7月)が提唱した「生きる力」としての「社会性」とはほど遠いものといわざるをえない。
 このことは、社会化支援にあたって、社会的能動/受動以前に、多くの若者がその入り口としての友人関係の場面で、とくにピア・プレッシャーに対して立ちすくんでいることを念頭に置かなければならないということを示すものと考える。









表3.1-2 現代青年の「自分らしさ×友人関係」各類型の特徴 貫徹志向交渉型 貫徹志向非交渉型 状況対応非交渉型 状況対応交渉型 属性 (属性関連の有意差なし) ●男>女 ●低年齢>高年齢 ●女>男 (属性関連の有意差なし) ●親と同居(学生/非学生有意差なし) ○親と同居していない 部活歴 ○運動部系に所属 ○部活やサークルに所属しない ○文化部系に所属 ●運動部系の場合、積極的活動 ○文化部系の場合、非積極的 ●運動部系での積極的活動しない ●運動部系の場合、非積極的 ○文化部系の場合、積極的活動 文化 ●演劇を観に出かける ●演劇を観に出かけない (文化関連の有意差なし) ○ブランド品を購入 ○ブランド品を購入しない ○写真・プリクラを撮る ○エステティックサロン通いたくない ○エステティックサロン通いたい ○フィットネスクラブ等通いたくない ○自己分析等の本を買わない ○留学したい ○留学したくない 音楽活動 ○ラジオで音楽情報得る ○インターネットで音楽情報得る ●インターネットで音楽情報得ない ○カラオケで音楽情報得ない ●CDショップで音楽情報得る ○ディスコ等で音楽情報得る ○ディスコ等で音楽情報得ない ○フリーペーパーで音楽情報得る ○友人・知人から音楽情報得ない ○友人・知人から音楽情報得る ●好きな音楽CD購入 ●好きな音楽CD購入しない ●DJブースのあるクラブに行く ○DJブースのあるクラブに行かない ●特定の音楽にくわしい ○コンサートやライブに行かない ●特定の音楽にくわしくない ●音楽は自分のライフスタイル ○音楽はまあ自分のライフスタイル ○音楽は自分のライフスタイルでない ●音楽を創るのが好き ○該当する音楽行動ない ●音楽を創るのが好きではない ●サウンドよりも歌詞 ○サウンドよりも歌詞とは思わない ○気持ち変えるために選曲 ○気持ち変えるための選曲しない ●他者との場に合った選曲 ○他者との場に合った選曲しない ●機器の音質優先 ●機器の音質優先しない ○機器の音質優先しない ●録音よりも生演奏が「本物」 ●ジャケットや歌詞カード自作 ●「MP3があれば」に不支持・未知 ●PC等で楽曲サンプリングする ●PC等で楽曲サンプリングしない ●PC等で音楽への愛着深まる ●PC等で音楽への愛着深まらない メディア ●携帯電話で通話 ○携帯電話で通話しない ○携帯電話で通話しない ○発信番号を見ずに出る ○発信番号を見ずに出る ○固定電話で通話しない ○固定電話で通話しない ○オークション利用 ●インターネット利用しない ●インターネット利用しない ○ホームページ閲覧する ○テレビゲームする ○テレビゲームする ●自分もテレビに出られる ○テレビ見ながらメールやりとり ○テレビ見ながらメールやりとり ●意味ある情報の入手可能 ●意味ある情報の入手困難 ●意味ある情報の入手困難 親友・友人 ●親友や仲の良い友達が多い ○親友を尊敬している ○親友を尊敬しない ○親友を尊敬しない ●親友を尊敬している ●親友と真剣に話できる ●親友と真剣に話できない ●親友と真剣に話できない ●親友と真剣に話できる ●親友をライバルと思わない ●親友はライバル ○親友といても安心できない ●親友のように生きたいと思わない ●親友といると楽しい ○親友との関係満足 ○親友との関係不満足 ●親友に弱みさらけ出せる ●親友に弱みさらけ出せない ○親友に弱みさらけ出せない ●親友に弱みさらけ出せる ●ケンカしても仲直りできる ●ケンカしたら仲直りできない ●ケンカしたら仲直りできない ●ケンカしても仲直りできる ○職場で知り合った ○職場で知り合ったのではない ○学校で知り合ったのではない ●塾や予備校で知り合った ○サークルで知り合った ○部活等で知り合ったのではない ○インターネットで友達づくり ○友達たくさんを心がける ●友達たくさんを心がけない ●一人の方が落ち着く、はない ●一人の方が落ち着く ●互いに深入りすることがある ●互いに深入りしない ●互いに深入りしない ●互いに深入りすることあり ●友達同士を引き合わせ ●友達同士を引き合わせしない ●友達同士を引き合わせしない ●初対面ですぐ友達になる ●初対面ですぐ友達にならない ○初対面ですぐ友達になる ○遊ぶ内容で友達を使い分ける ●趣味や関心が近いこと ●年齢が自分と近いこと ○容姿や顔立ちが自分好みなこと ●年齢が近くなくてもよい ●考え方に共感できること ○同性であること ○ファッションが自分好みなこと ○同性でなくてもよい 恋人 ●恋人とすべてさらけだす ●恋人がいたことがない ●恋人とすべてをさらけださない (恋人関連の有意差なし) ○今の恋人よりいい人はいない ●今の恋人よりいい人はいる ○恋人といてうっとうしいときある 対自己 ○探求発見型が少ない ●探求発見型が多い ●両方肯定型が多い ○両方肯定型が多い ●両方肯定型が少ない ●両方肯定型が少ない ●両方否定型が少ない ●両方否定型が多い ○両方否定型が多い 自己意識等 ●今の自分が大好き ○今の自分が大好きではない ●今の自分が嫌い ●自分には自分らしさがある ●自分には自分らしさがない ○場面によってでてくる自分違わない ●場面によってでてくる自分違う ●自分がわからなくならない ○自分がどんな人間かわからなくなる ●まとまりがあるよう見える ○意識して自分を使い分け ●意識して自分を使い分け ●うわべだけの演技ない ●うわべだけの演技ある ●今のままの自分でいい ○今のままの自分でいいと思わない ○いいと思わない ●仲のよい友達は私を理解 ●仲のよい友達でも私を理解せず ●仲のよい友達は私を理解 ●勉強や仕事に真剣に取り組む ●勉強や仕事に真剣に取り組まない ●勉強や仕事に真剣に取り組まない ●経済的成功のためには個人の努力 ○経済的成功のためには個人の才能 ●「将来に備えるより今」肯定 ●「将来に備えるより今」否定 ○仕事選択で生活安定優先せず ●「孤立しても主張通す」肯定 ○「孤立しても主張通す」肯定 ●「孤立しても主張通す」否定 ○「孤立しても主張通す」否定 影響 ○最も大きな出来事親が関わり ○最も大きな出来事親が関わり ○最も大きな出来事祖父母関わらず ●祖父母が関わった ●最も大きな出来事友達関わり ○最も大きな出来事友達が関わらない ●最も大きな出来事友達関わらない ○友達が関わった ○先生が関わった ●最も大きな出来事がある ●最も大きな出来事がない 判断材料 ●世間評価や道徳は材料でない ○世間評価や道徳は判断材料 ●損得や影響計算は判断材料 ○アーティストの発言判断材料 ○アーティストは材料でない ●親友等の意見は判断材料でない ○親友等の意見は判断材料 ○親の意見は判断材料 社会意識 ●日本の将来に強い関心あり ●日本の将来に強い関心なし ○日本の将来に強い関心なし (社会意識関連の有意差なし) ○政治・経済面を読む ○政治・経済面を読まない ○新聞や雑誌の占いコラムを読む ●「選挙には行くべき」支持 ○「選挙には行くべき」不支持 ○「目上の人には敬語使うべき」 ●「敬語を使うべき」に消極的 ●「ボランティア参加すべき」 ○「ポイ捨てすべきでない」に消極的 ●「割り込みすべきでない」に消極的

表3.1-4 4類型×社会的有能感/無力感の度数分布
  Q25③「個人の力だけで社会を変えることはできない」 Q25④「みんなで力を合わせても社会を変えることはできない」   無力感 有能感 合計 無力感 有能感 合計 Ⅰ 235 98 333 88 245 333   70.6% 29.4% 100.0% 26.4% 73.6% 100.0% Ⅱ 190 70 260 81 180 261   73.1% 26.9% 100.0% 31.0% 69.0% 100.0% Ⅲ 207 64 271 75 196 271   76.4% 23.6% 100.0% 27.7% 72.3% 100.0% Ⅳ 138 67 205 53 152 205   67.3% 32.7% 100.0% 25.9% 74.1% 100.0% (注) Ⅰ=貫徹志向交渉型、Ⅱ=貫徹志向非交渉型、Ⅲ=状況対応非交渉型、Ⅳ=状況対応交渉型。
   分類と分析には太枠内のケースを使用した。

表3.1-5 社会的有能感/無力感の特徴比較 (n=回答実数) 貫徹志向交渉型 貫徹志向非交渉型 状況対応非交渉型 状況対応交渉型 「個人の力だけで社会を変えることはできない」を肯定 「みんなで力を合わせても社会を
変えることはできない」を肯定 無力感 ○文化部系の場合、積極的活動n=235 ○政治・経済面を読まない
○「ポイ捨てすべきでない」に消極的
n=190 ○一人の方が落ち着く
○互いに深入りしない
●仲のよい友達でも私を理解せず
●日本の将来に強い関心なし
n=75 ●今のままの自分でいいと思わない
n=53 「個人の力だけで社会を変えることはできない」を否定 「みんなで力を合わせても社会を
変えることはできない」を否定 有能感 ○運動部系に所属
●ディスコ等で音楽情報得る
○DJブースのあるクラブに行く
○自分もテレビに出られる
n=98 ○「割り込みすべきでない」に消極的
n=70 ○携帯電話で通話しない
n=196 ○友人・知人から音楽情報得る
n=152

3.2
学生の社会化を支援する大学授業の方法

 大学授業を行う者にとって、学生の社会化は重要課題である。
 第一に「よい授業をするため」に不可欠である。
 われわれは大学授業において、積極的に双方向要素を取り入れようとしてきた。しかし、その際、多くの学生が他者、とくに集団に対して意見を述べあうなどの相互関与をすることに対して「苦手意識」をもっており、そして、それが学生の能動的な授業参加に対する阻害要因になっていることを痛感している。
 第二に「よい人材を社会に送り出すため」の重要課題でもある。
 社会は、卒業する学生に対して、望ましい個性とともに、その個性を社会で発揮、実現するための社会的な資質・能力を求めている。社会的側面での現在の学生の欠陥を指摘し、大学教育に対処を期待する社会からの要請の声は強い。
 また、青少年施策や教育全般、青少年研究、世論、マスメディア等も、「引きこもり」等の現象を問題視し、広く現代青少年全般の社会化をますます重要な課題として認識し、対応しようとしている。
 学生たち自身も、多くは他者への関与に「苦手意識」を持ちながらも、これを少しでも改善し、社会性を身につけ、職業などの社会生活を上手にやっていきたいと思っている。
 しかし、現実には、大学授業や青少年施策等において、彼らの社会化を十分効果的に支援しているとはいえない状況にあると考える。その原因として、第一に、学生自身の社会化ニーズが、われわれの支援しようとする社会化の内容とすれ違いを起こしているからなのではないかと考えた。
 もちろん、学生の社会化ニーズ自体が、未成熟であり、「適切」とは限らないものではある。しかし、学習者の学習欲求から出発しなければ、教育効果は上げられない。
 第二に、彼らの社会化を支援しようとする際に、学生の社会化状況を的確に把握し、その状況に適切に対応した指導を行うという点で、不十分だったからなのではないかと考えた。それぞれの状況によって、適切な指導のあり方も異なるはずである。
 さらに、第三に、われわれに「学習は個人的事象である」42という認識が不足していたからなのではないかと考えた。大学授業のすべてに個人対応を貫くというのは困難であろう。しかし、学生の内面の社会化は、本質的に「個人的事象」としての学習の一環であることを認識した上で、授業では学生の「集団」に対するということが必要であると考える。
 本研究では、社会化に関わる学生のニーズや状況を分析し、その類型化を試みたい。そして、これをもとに、学生の社会化を効果的に支援するための大学授業の方法と、そこでの学生指導のあり方について検討したい43。
 そのため、次の3つの研究を行った。

研究1 双方向要素を取り入れた授業の試行とその成果の検討
研究2 学生の社会化の段階及び類型の理解
研究3 学生に子育て支援研究に取り組ませる授業の試行と学生の気づきの検討44

3.2.1 研究1の方法
 2000年度後期の共通教育(教育学)「大学・市民・ボランティア」において、すべての回について学生の授業イメージを調査した45。
 授業は、「昨年当初は、半数近くの学生がこの授業を受ける理由について『単位取得以外に理由はない』とした。他方で、多くの市民が生涯学習に関心を示している。なぜ、このようなギャップが生ずるのか。市民の学びや、ボランティア活動の可能性を考えることによって、どのように学生として生きるか、市民として生きるか、他者にとって意味ある存在としての自分を発見するかという課題に対して、各人なりの答えがもてるようにする」ことを目標とした。また、ほとんどの回で「双方向要素」を取り入れた。
 授業実践と研究方法の概要は表3.2-1のとおりである。他に毎回の内容に関する課題を与えて文章を書かせ、その記述内容を分析したが、本稿では省略する。

表3.2-1 各回の双方向要素等とイメージ調査の項目 月日 テーマ 形態 双方向要素 授業イメージ調査(n=回答者数) 2000
10/17 ①なぜこの授業を受けるのか 対教師観察型WS 「なぜ受けるか」カード式発想法 カード式発想法は講義より
n=120 10/24 ②なぜ「教育」なのか 教師主導型文章表現交流 出席ペーパー(学生の自由記述読み上げ)システム 出席ペーパーシステムは講義より
n=83 10/31 ③どう「個の深み」と出会うか 対教師観察型図解作成 「幸せの瞬間」カード式発想法 「幸せの瞬間」は講義より
n=83 11/07 ④何を伝えるのか 教師の強制によるGW 「学生の特権」カード式発想法 「学生の特権」は講義より
n=70 11/14 ⑤フリーチャイルドを取り戻せ 個人作業による図解作成 「フリーチャイルド」図解ワーク 図解ワークはグループワークより
n=60 11/21 ⑥「総合的な学習の時間」の意味 共同作業による図解作成 「総合的な学習の時間」図解ワーク 図解ワークは講義より
n=37 11/28 ⑦「セックス」を考える 教師の講義とビデオ視聴 「性教育をどうする」ビデオ視聴 今日の講義は双方向授業より
n=62 12/05 ⑧共感の時空間のつくり方 グループ内相互の自己開示 「価値観ゲーム」と話し合い 価値観ゲームは講義より
n=47 12/12 ⑨市民活動の仲間関係 個人による沈思 「価値観ゲーム」の分析 価値観ゲームの分析は講義より
n=51 12/19 ⑩組織や社会への対峙方法 共同作業による図解作成 自分らしさの判断基準(GW) 自分らしさの判断基準は講義より
n=22 01/09 ⑪自分らしく生きる 共同作業によるスローガン作成 自分らしさの方法(GW) 「自分らしさの方法」は講義より
n=17 01/16 ⑫癒しの時空間のつくり方 特定学生対教師の対話観察 インタビューダイアローグ(特定学生) 出席ペーパーシステムは講義より
n=31 01/23 ⑬学びとは何か 学生対教師の対話(質疑応答) インタビューダイアローグ(全員) インタビューダイアローグは講義より
n=22 01/30 ⑭大学/市民/ボランティア 教師による一方的講義 出席ペーパーシステム 本日の講義はグループワークより
n=36 02/06 ⑮各自まとめ 個人による沈思 学生個人の文章表現 この授業はほかの講義型授業より
n=50
3.2.2 研究1の結果と考察
 調査結果の数値を表3.2-3に示す。「そう思う」を4、「ある程度そう思う」を3、「あまりそう思わない」を2、「そう思わない」を1として集計した。中間値の2.5は「どちらともいえない」を表す。また、その主な結果を図3.2-2に示す。その結果から以下の諸点が指摘できる。




図3.2-2 おもな結果

表3.2-3 各回の双方向要素のイメージ数値結果 項目 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ AVE. 01 3.45 3.20 3.24 3.21 3.12 2.92 2.97 3.26 3.08 3.00 2.65 3.06 2.91 2.86 3.34 3.08 02 3.14 3.06 3.00 2.99 2.90 2.57 2.84 2.89 2.67 2.77 2.44 2.58 2.59 2.47 2.82 2.78 03 2.91 2.87 2.81 2.76 2.92 2.70 2.84 2.91 2.75 2.91 2.47 2.90 2.27 2.50 2.65 2.74 04 2.94 3.01 2.88 2.63 2.92 2.27 2.76 2.40 2.43 2.67 2.25 2.52 2.18 2.86 2.84 2.64 05 2.58 2.76 2.69 2.78 2.92 2.49 2.39 2.89 2.51 2.55 2.75 2.80 2.45 2.17 2.66 2.62 06 3.16 3.28 3.06 2.97 3.08 2.62 3.02 2.57 2.82 2.73 2.76 3.00 2.50 2.97 3.22 2.92 07 2.70 2.82 2.61 2.63 2.57 2.65 2.55 2.57 2.45 2.32 2.53 2.35 2.23 2.25 2.48 2.51 08 3.02 2.83 2.90 2.74 2.73 2.62 2.55 2.57 2.57 2.59 2.65 2.47 2.27 2.50 2.70 2.65 09 3.37 3.28 3.10 2.91 2.78 2.76 2.74 3.00 2.65 2.95 2.87 2.77 2.50 2.75 3.04 2.90 10 3.20 3.07 2.94 2.71 2.75 2.73 2.76 3.11 2.86 2.82 2.41 2.58 2.50 2.63 2.94 2.80 11 3.05 2.83 2.66 2.70 2.50 2.51 2.84 2.70 2.75 2.41 2.31 2.61 2.33 2.92 2.69 2.65 12 2.59 2.46 2.31 2.30 2.58 2.43 2.77 2.37 2.57 2.50 2.06 2.45 2.18 2.78 2.58 2.46 13 2.90 2.96 2.84 2.79 2.70 2.84 3.00 2.79 2.69 2.82 2.50 2.77 2.45 2.94 2.92 2.79 14 2.88 2.83 2.58 2.90 2.67 2.78 2.66 2.47 2.69 2.68 2.38 2.55 2.64 2.50 2.78 2.66 15 2.56 2.66 2.31 2.56 2.70 2.46 2.47 2.32 2.63 2.55 2.47 2.23 2.68 2.64 2.48 2.51 16 3.13 3.24 2.99 3.03 2.95 3.00 2.74 2.91 3.06 3.09 2.93 2.94 3.18 2.58 3.12 2.99 17 3.00 3.05 2.95 2.91 2.92 2.89 2.74 2.98 3.12 3.09 3.00 2.77 2.64 2.58 3.02 2.91 18 2.77 2.72 2.57 2.60 2.38 2.38 2.84 2.38 2.48 2.45 2.44 2.29 2.59 2.81 2.54 2.55 19 2.50 2.41 2.28 2.49 2.48 2.65 2.39 2.66 2.24 2.86 2.63 2.58 3.00 2.19 2.60 2.53 20 2.26 2.33 2.05 2.57 2.15 2.84 2.15 2.68 2.29 2.73 2.41 2.19 2.09 2.22 2.34 2.35 21 2.19 2.12 2.07 2.21 2.08 2.65 2.06 2.55 2.25 2.68 2.44 1.97 2.00 1.86 2.28 2.23 22 2.32 2.41 2.11 2.23 2.33 2.59 2.23 2.46 2.38 2.55 2.38 2.10 2.27 2.11 2.22 2.31 23 2.75 2.78 2.39 2.67 2.67 2.70 2.45 2.68 2.63 2.91 2.76 2.35 3.00 2.44 2.54 2.65 24 2.86 2.88 2.67 2.93 2.73 2.76 2.55 2.94 2.67 2.86 2.88 2.45 3.27 2.22 2.92 2.77 25 2.86 2.89 2.84 3.03 2.90 2.78 2.76 2.89 2.71 2.77 2.65 2.74 2.27 2.47 2.80 2.76 26 2.96 3.05 2.99 3.09 2.92 2.86 2.77 2.96 3.08 3.27 3.06 3.03 2.91 2.64 3.02 2.97 27 2.56 2.48 2.36 2.50 2.55 2.49 2.58 2.57 2.47 2.64 2.41 2.29 2.27 2.33 2.54 2.47 28 2.60 2.66 2.46 2.63 2.57 2.49 2.40 2.55 2.47 2.14 2.41 2.48 2.68 2.36 2.38 2.49 29 2.98 2.90 3.01 3.07 2.73 2.97 2.68 3.11 2.80 3.14 2.94 3.00 2.59 2.44 2.94 2.89 30 2.40 2.52 2.30 2.31 2.58 2.24 2.48 2.53 2.41 2.23 2.24 2.32 2.18 2.33 2.38 2.36 31 2.93 3.10 2.84 2.84 2.92 2.81 2.68 2.85 2.96 3.00 2.88 2.84 2.95 2.58 2.86 2.87 32 2.40 2.52 2.24 2.41 2.25 2.53 2.23 2.43 2.48 2.64 2.53 2.35 2.18 2.25 2.70 2.41 33 2.60 2.63 2.40 2.59 2.37 2.32 2.29 2.43 2.63 2.55 2.47 2.52 2.27 2.33 2.74 2.48 34 2.72 2.88 2.49 2.66 2.42 2.46 2.34 2.53 2.64 2.36 2.53 2.35 2.36 2.42 2.82 2.53 35 2.53 2.61 2.42 2.50 2.42 2.70 2.37 2.66 2.66 2.82 2.65 2.42 2.41 2.31 2.66 2.54 36 2.81 2.84 2.69 2.86 2.37 2.86 2.34 2.93 2.86 2.68 2.76 2.65 3.09 2.22 2.84 2.72 37 2.45 2.57 2.42 2.63 2.34 2.64 2.16 2.79 2.27 2.82 2.94 2.53 2.68 2.42 2.60 2.55 AVE. 2.78 2.80 2.63 2.71 2.64 2.65 2.58 2.71 2.64 2.72 2.59 2.56 2.53 2.48 2.73 2.65 注1 丸付き数字は回数である。
注2 左列の01から37は授業イメージの調査項目で、それぞれ図3.5-2に示したとおりである。

 初回の「カード式発想法」については、「01進め方がおもしろい」、「02わくわくする」、「09授業に親しみがわく」、「10退屈しない」、「11わかりやすい」などのいわば「即自的」な項目において高い評定を得た。
 これは「なぜ、この授業を受けるのか」を各自がカードに記入して提出するWSであり、あとは教師が読み上げて黒板上で集計するのを観察していればよいというものであった。そのため、他者とのコミュニケーションが苦手な学生でも、気楽に参加することができたのだと推察される。
 第2回の「出席ペーパーシステム」についても、「01進め方がおもしろい」、「02わくわくする」、「06自分のペースで受講できる」「09授業に親しみがわく」、「10退屈しない」などの「即自的」な項目において高い評定を得た。
 しかし、同時に、「16幅広い見方ができるようになる」、「29自分に気づける」などの対自的項目、「34友達にこのシステムについて話したくなる」などの対他的項目においても評定が高い。ラジオのディスクジョッキーに投稿するような形態での文章表現と、顔の見えない他者のそれを聴くことは、学生に適度な距離感を保証しながら対他の気づきを促す点で有効だったと推察される。
 共同作業による「図解ワーク」は、前記2項目とは対照的に即自的項目の評定が低く、「04心が安らぐ」、「30くよくよしなくなる」などに対して平均値が中間値を大きく下回っている。
 しかも、「33人の痛みがわかるようになる」も低い。ただし、「20団体で行動ができるようになる」、「21リーダーシップが身につく」、「22責任感が強くなる」に対しては肯定的である。
 このことは、チームワークが苦手な学生に対して団体行動や統率力、さらには責任感をもつようにグループワークを強制しただけでは、かえって「人の痛み」などを無視して表面的なワークに走らせる危険性があることを示唆している。
 「価値観ゲーム」については、「04心が安らぐ」ということはないものの、即自面でも「03没頭できる」「10退屈しない」という評定である。その上で、「29自分に気づける」し、「20団体で行動ができるようになる」、「36相手のよいところを発見できる」のである。
 「価値観ゲーム」とは、愛、自己実現、正義などの項目を一対比較法で順位づけし、自他の価値観を知るものである。これをグループ内で発表させ、また、相手の判断基準を納得するまで質問させて、異なる価値観を受容させた。
 「対他は苦手」という学生の中には、社会化とは、先述のように自他の痛みを切り捨ててまで、組織や集団に奉仕することだと考えている学生もいると思われる。そういうタイプの学生には、望ましい社会化に向けた気づきにつながるといえよう。
 このような自他受容を促す「仕掛け」は、もっと初期の段階に配置すべきだったと考える。
 「全員インタビューダイアローグ」については、「03没頭できる」、「04心が安らぐ」、「07夢がもてる」の即自的項目のみならず、「25自分と関係のある」という対自、「32人を信頼できるようになる」、「20団体で行動ができるようになる」、「21リーダーシップが身につく」などの対他の項目でも評定がかなり低かった。反面、「19言葉をうまく使えるようになる」、「23判断力が身につく」、「24自発性が身につく」「36相手のよいところを発見できる」については他から突出して高い。
 「インタビューダイアローグ」とは、「(司会者を置かずに)参加者の代表と講師(教師)との直接対談が行われるため、参加者の理解や問題意識が高められる」(5)(カッコ内は引用者)というものである。前回の授業で有志の学生から教師にインタビューさせた後、その回は全員にマイクをまわして「できるだけ何か一つでもインタビューするように」指示したのである。
 調査結果から、次のように推察される。講義型授業だけでなく、グループワークであっても、積極的に参加しない学生がいる。周りの学生もその学生に発言を促すことまではしない。グループの成果を上げることよりは、距離を置いて衝突を避けることの方が優先されるのだろう。しかし、積極的に参加しない学生は、じつは自己内の思考さえしていないおそれがある。
 これに対して、その回は、教師がマイクをまわして発言を指示したことにより、そういう学生たちが仕方なく「自発的」に「自己の判断」を働かせて「言葉」を発し、他者にも気づいたのだろう。
 しかし、見知らぬ大勢の他者の前で、発言を強制されることは、「心が安らがない」ばかりか、少なくとも当初は、学生自身にとって納得できる意義を感じられないことであることは、教師は留意する必要があったといえよう。教師が学生に「発問」することは、しばしば見られる指導行為の一つであるだけに、それを意識することは重要である。
 しかも、その回、教師が学生に要請したことは、教師の問いに答えることではなく、教師に(「何でもいいから」ではあるが)インタビューせよということである。すなわち、問いを発するよう指示したのである。これは、「問うことを学ぶ」という学問の基本的姿勢を身につけさせるためのものであったのだが、「答えを教わる」ことに慣れてきて、しかもそれが正しい学習態度であると思い込んで安心している学生にとっては、いっそう衝撃が強かったものと推察される。
 以上に述べたように、本授業の双方向要素の一定の部分は、一部の学生にとっては、主に即自的な面での不安、不快感が強く、そのため脱落者も多かったものと思われた。そこで、翌年度からは、全出席を前提とする学生参画型授業とすることを授業の初回に公言し、そういう授業に耐えられないと思う学生は「自分自身のためにも」受講を辞退するよう要請した。
 そのため、翌年以降、受講人数は50人以下に精選され、双方向授業がやりやすくなり、学生の出席率も向上した。
 しかし、双方向授業と聞いて、初回の授業の途中ですでに、がっかりして出て行く学生の姿が、われわれには気になっていた。結果として、われわれは彼らを疎外したのではないか。教師や親の言うとおりに「まじめに」勉強し、大学側も彼らの入学を認めたのである。われわれ教師はそういう青年たちを受け入れ、「まじめな勉強」とは異なる学問の魅力を伝える必要がある。
 そして、「社会性を身につけること」が「曲がりなりにも」彼ら自身の願いでもあることを思えば、双方向授業に耐える社会性をもった青年だけを相手にするのではなく、それを恐れる学生に対しても、教師は社会化支援機能を発揮する責務があるだろう。
 そのためには、学生個人個人の即自、対自、対他の気づきの状況、すなわち各人の個人化と社会化の状況に的確に対応した指導行為が大学授業に求められる。「十把一絡げ」では双方向授業は成立しない。

3.2.3 研究2の目的
 「社会化」と「個人化」の二項対立の問題は、個人の側面にも深刻な影を落としている。「友達から変だと思われたらもうおしまい」という言葉に象徴される「同化圧力」が指摘できる。他者との同質化というある種の社会化過程が、自己の異質性を犠牲にしてでも実現しなければならない重荷として意識される。しかも青少年の場合、同質化の対象はあくまでも「ピア」(peer:同等の者、同輩)であって、一般的な他者や社会ではないことが多い。
 このようにして、個人化と社会化はますます背反するものになっていく。そこでのキーワードは「自分らしさ」と考えられる。「自分らしさ」と社会化との背反のなかで、多くの若者の「自分らしさ」への願望と絶望感には大きなものがあると推察される。
 本研究では、「社会化」と「個人化」の関連の一側面としての「社会性を身につけること」と「自分らしく生きること」の矛盾を、学生がどのように受け止めているかを分析する。そのことによって学生の「社会化」の類型を設定する。

3.2.4 研究2の方法
 徳島大学2002年度共通教育(教育学)「大学・市民・ボランティア」において、「もし宇宙に他者がいなければ、自分らしさはもっともよく守ることができるということになってしまうのか」という教師からの「揺さぶり」の発問ののち、「自分らしさを守り育てることと、社会性を身につけることはどういう関係にあるか」について学生56人に対して文章表現を提出させ、その記述内容を分析して類型化した46。また、次の回にすべての記述を学生に示し、自分は他者のどの発言に共感したり、あこがれたりするかを回答させ、集約した。
 なお、この研究では「社会性を身につける」という言葉を使い、ニュアンスとして友人関係にとどまらない「社会」をイメージさせることによって「社会的能動/受動」の傾向を調べようとした。

3.2.5 研究2の結果と考察
 記述内容を分析した結果、以下の4つの意見が象徴的、代表的なものとして浮かび上がった。また、これらは、次の回のアンケートでも、多くの学生が「共感する」、「(自分は違うタイプだけど)あこがれる」などと回答した。

Ⅰ 「自分らしく生きたい」と思っている今その全てが「自分らしさ」。社会性が身に付いていてもいなくても、それがそのまま「自分らしさ」。言葉に振り回されてはいけない。結局自分自身で認めるかどうかの問題。
Ⅱ 他人と違う行為や言動で仲間から外されるという恐怖があって自分の意見を言えない。意思を押し通そうとすれば「協調性がない」と煙たがられる。自分らしさを守り育てることと、社会性を身につけることは相反する。
Ⅲ 自分らしさを守り育てることは、社会性を身につけることの中に含まれる。社会性を身につけた上での、社会に受け入れられる自分らしさじゃないと価値がない。両者は同時に並行して行われなければならない。
Ⅳ 自分らしさは、人と接することでさらに磨かれる。健全な両者を持つということは他者へも良い刺激となり、再び自分へつながる。よってこれら2つの関係は、お互いに盛りたてあう関係にある。木と根っこのようにも思える。

 Ⅰを「主観的自分らしさ優先型」と名付けた。彼らにとっては自分の中にもともとある自分らしさが大切であり、たとえ社会性が身についていなくても自分らしさの存在には疑いをもたない。その点から、社会にはあまりプレッシャーを感じないままに、能動的に働きかけることができると推察される。
 Ⅱを「同化圧力としての社会化型」と名付けた。彼らも自分の中にもともとある自分らしさを本当は大切にしたいのだが、同化圧力を敏感に感じるため、自分らしさを出すことは苦手である。とくにピア・プレッシャーが強いと考えられる。この回答自体が、広い意味での社会性ではなく、「仲間」からの圧力を前提としている。これらの点から、社会に対して基本的には受動的であると推察される。
 Ⅲを「社会への組込まれ必然型」と名付けた。第Ⅰ類型とは反対に、自分らしさも社会に受け入れられなければ価値がないとしているからだ。社会によって規定される現実を受け入れている。「社会に受け入れられる」ことを優先しているので、社会に対して受動的と推察される。
 Ⅳを「社会と自己相互発展型」と名付けた。社会の中にあってこそ、自分らしさが磨かれるというのだ。そして、自己が社会を「盛りたてる」というところから、社会に対して能動的と推察された。
 このようなことから、図3.2-4のとおり「社会化の類型」を設定した。56人の記述分析をしたところ、Ⅰは6人、Ⅱは14人、Ⅲは13人、Ⅳは14人が該当した。価値中立または無価値型が6人いた。


















図3.2-4 社会化の類型



 ところが、「共感する」、「あこがれる」発言を集約したところ、Ⅰに対して8人、Ⅱに対して5人、Ⅲに対して4人、Ⅳに対して4人が支持を表明した。
 結果として、少数派の類型に所属するⅠが一番支持を集めたのである。母数は小さいが、このデータの限りでは、(主観的には)社会から自由な「主観的自分らしさ優先型」が、逆にWS型授業等での学生同士の関係において他の学生によい刺激を与える可能性を示唆している。大学授業において「自己内自分らしさ型」の欠点を補いつつも、力点は彼らの長所を発揮させるところにおくことが重要と考えられる。
 このことは、われわれは経験的には感じてきたことだが、大学授業の運営に生かすために実証的に教育研究を進める必要があると考える。
 各類型における社会化の特徴や問題点については、それぞれ次のように推察される。Ⅰは自己を守ろうとする純潔さゆえに、組織や社会に対しては「仮所属」になりがち。Ⅱは表面上は外部からの同化圧力に屈服した形をとり、主体的には社会に関わらない恐れがある。Ⅲは過度に社会に適応しようとし、組織や社会になじめない自他の個性については否定しがち。Ⅳは実際に自分らしさの危機に陥ったときに、それを認めようとしなかったり、挫折したりする恐れがある。
 このように、4類型でとらえてみると、それぞれの類型ごとに異なる問題を抱えていると考察される。

3.2.6 研究3の目的
 2005年度後期科目「児童学の基礎としての社会学」を受講する大学1年生297人、大学2年生39人に対して、「グループによる子育て支援研究課題」に取り組ませる授業を実施した。そこでの「未来の母親」としての学生の気づきを分析し、その社会化過程を明らかにしようとした。具体的には図3.2-5に示すような、「学生の子育て支援学習における能力開発ラダー」が妥当するか否かについて確かめようとした。

レベル4 子育て支援の視点をもった子ども支援者としての自覚   契機(チームワークによる研究活動) レベル3 子ども・家族・社会という広がりに関する気づき   契機(親の会や地域、社会に関する研究) レベル2 自分や仲間の「育てられ方」に関する気づき   契機(親の子育て研究) レベル1 自己の研究関心をよく見つめる 図3.2-5 学生の子育て支援学習における能力開発ラダー

3.2.7 研究3の方法
 学生の学習成果の分析は次のように行なった。各グループの次の研究成果の内容を検討した。①「自由課題に関する問題点と解決策」(図解)、②中間発表における投影資料(図表等)、③最終発表における投影資料(図表等)。提出数は66件あった。
 学生の記述内容の分析は次のように行なった。授業ごとに、毎回、「授業中や研究活動中に気づいたこと」または「研究活動報告」を個人として記述させ、その記述内容を逐語的に分析した。分析対象は、保育士をめざす学生及び小学校教諭をめざす学生計185人、記述件数延べ1,921件であった。

3.2.8 研究3の結果と考察
 学習課題1「自分たちは親にどう育ててもらってきたか」について、学生に研究成果を一覧表としてまとめさせることによって、少なくとも表面的には、親の間の共通点、差異などを、明らかにすることができた。しかし、それをどのように整理したらよいのかということが学生には難しいようだった。
 これに対して、調査項目ごとの「まとめ」を試みているグループもあった。しかし、そのまとめ方には、全般的に、「共通点を見出してまとめる」という傾向が見出された。とくに学生によるまとめの言葉「みんな望まれて生まれてきた子ども」に代表されるような予定調和的な結論の仕方は、現代学生の志向を表していると考える。「ほっとした」、「無事に生まれてよかった」、「責任を感じた」などの示す出産前後の不安、責任感などの重要な要素が捨象されてしまっている。
 研究を深めさせるためには、個人間の差異にもっと注目させ、学生の研究関心を引き出す必要があるだろう。さらには、そこから、調査対象個人の各項目間の回答の横断的分析まで深めさせていくことが、質的調査の発展を促すものになると考える。このことは、学生が社会化を達成するにあたって問題になることとも一致していると考える。すなわち、ピア・コンセプト(同輩意識)によって「群れのなかでの同質化」が進行することと、共通する答えを見出そうとするあまり、個人間の興味深い差異を見過ごすこととは、本質的には通じていると考えられる。
 この点で、個人的事象における異なりという事実に対して、科学的態度で臨もうとする研究態度は、ピア・コンセプトを乗り越えて望ましい社会的態度を獲得することにも資するものになると推察される。このようにして研究のなかで実現される個の発揮こそ、組織的目標達成と統合的に進めうるのだと考える。
 学習課題2「親が組織する子育てに関わる団体活動の検討」について、学生による「親の会研究」に関する中間報告における投影資料を用いて検討した結果は次のとおりである。PTA役員(委員を含む)をやらなかった親に対して、何を調査するかという点が、学生にとっては困難な問題となった。そのため、PTAの肯定面は書かれているが、今後の課題は明確になっていない。
 このことについては、次のように考える。学生の意識のなかで、社会参画の建前だけが先行してしまう場合、親一人一人の状況や感じ方に基づいて考察し、阻害要因等を科学的に突き止めていくという作業が困難になる。逆に、研究活動を通して、それぞれの親のもつケースごとの分析ができるようになれば、「すべての人が、同じように積極的に参加すべき」という実現困難な「内なる教条」を乗り越えることができるだろう。「建前」を疑うことなく自明のこととして処理する彼らの教条主義とも呼ぶべき思考過程は、科学的思考法を妨げるとともに、結局は彼らを社会参画から遠ざける働きをしていると考える。なぜなら、他者に対して「社会参加すべし」という「踏み絵」を押しつけようとする者は、結局は自らの自由な参加決定をも抑圧する結果になると考えられるからである。
 これに対して、個人に対する臨床的な研究態度を養うことは、自分自身も含めて、「個人がおかれている状況のなかで、社会に対して、できる範囲で参加する」という柔軟で生産的な思考に転換することにもつながると考える。このことにより、自己という「個」を社会のなかで適正に位置づけて、社会参画に意欲をもつことができるようになり、結果として望ましい社会的態度の形成にも資するものになると考える。
 学習課題3「学生が任意に設定した課題の検討」に関しては、次の4点を指摘できる。
 第一に、学生自身およびその環境という「資源」の調査対象としての活用についてである。これは、調査の客観性の確保の面からいえば問題は多いといえるが、学生の自己客観視や、自己とは異なる他者の存在への気づきの面では、資するところが大きいともいえる。
 大学教師が学生による研究活動を推進しようとする場合、学生自身の価値観や周囲の人々の存在、生まれ育った環境等が一人一人異なることに気づかせ、それらを研究対象として関心を持たせ、客観視できるように導くことが重要であろう。それは、学生の研究能力の育成としてとともに、ピアコンセプトのマイナス面の克服にとっても効果が大きいと考える。
 第二に、他者の意見という「事実」に対する主体的関与についてである。中間発表の当初、多くの学生は、被調査者が言ったことを、そのまま結論として利用しようとした。これは、今までの教育のなかで「答えを教えてもらうこと」に慣れてしまったことが原因と推察される。
 教師は、「研究においては、『Aさんはこう考えている』というデータでしかない」と助言し、自分たちの切り口を見つけて、その回答を分析するように指示した。このようにして、受け身の姿勢を改めさせ、自らの主体的思考による分析を経て、結論するようにさせることが、学生の研究能力を育てることは明らかである。同時に、このことは、他者に対して主体的に関与しようとする意欲と能力につながるものと考える。
 第三に、第二とも関連するが、他者の意見間および自己の意見との差異の解釈と構造的把握についてである。過去のワークショップ型授業において、他者の異なる価値観と出会い受容する「価値観ゲーム」が学生に容易に受け入れられたのに対して、他者の異なるカードをグループ化して表札をつけたり、全体を構造化したりする作業が必要になる「図解ワーク」は、学生の側に強い抵抗感があった。これは、自己とは異なる他者と「共存」はできても、理解の「共有」はできないという、現代学生の可能性と限界を示すものと考えられる。「人それぞれ」という言葉で簡単に片づけられてしまいがちなのである。
 今回の研究成果においても、個人間の差異は見出しているものの、全体をどう構造化して把握するかという面については、彼らの戸惑いがうかがわれた。その場合、教師が図解や類型化などによる検討を指示することは、彼らのもつ「人それぞれ」という限界を乗り越えさせ、「意味ある他者」を能動的に取り戻させるきっかけにもなると考える。
 第四に、「批評精神を働かせる」ということについてである。上記第二、第三の効果を実現するためには、研究において必要とされる「批評精神」が、他者の回答を分析するにあたっても重要になると考える。「人それぞれ」で終わらせてしまっては、研究は深まらないからである。この点に関して、現代学生の「共存志向」には、「自分が批判されたくないから他者を批判しない」という消極的な傾向もうかがわれる。
 現在、関係する諸学界において、青少年にとっての自己肯定感(Self-Esteem)の重要性が指摘されている。しかし、「批評されない」ということが、真の自己肯定感の涵養につながるとは考えられない。これに対して、研究活動において真摯な批評の方法を経験することは、「打たれ強い」、「友人と真摯に批判しあう」などの資質と能力にもつながる。その点で、安定した自己肯定感を養い、それに基づく望ましい教育効果をもつと考える。

3.2.9 討論
(1) 大学教育としての社会化支援の課題
 以上、学生の社会化類型に応じた大学授業の可能性について検討してきた。しかし、その課題も大きい。
 第一は、「授業における社会化の達成度をどのように評価するか」という問題である。青少年教育のなかで、その必要性が盛んに叫ばれている「体験学習」については、10年前に実施した「長期自然体験活動事業」参加者の事業参加後の意識や生活観などについて調査する青少年教育施設がある47。
 大学授業についても、卒業時に社会適応できて即戦力となる人材より以上に、職業生活の中でだんだんと自己の力量を発揮できる人材を育成することを目指さなければならないのではないか。
 その観点からいえば、若い頃の多少の社会性のなさや、対他者に関する苦手意識などは、大学授業で問題にすべきことではないと考えられる。個人化(個人の充実等)と統合的に行われるような、もっと本質的な「社会化」こそが大学の人材育成の使命であり、授業評価もその観点から行われなければならないと考える。
 第二は、第一にも関わるが、「大学授業が支援すべき真の社会化とは何か」という問題である。もちろん、大学授業が、たくさんの友達をつくったり、社交性を身につけさせたりするためのものではない。そして、この研究で設定した「受動型」や「非交渉型」などの学生を、一方向的に「能動型」や「交渉型」に追いやることでもないと考える。「受動」や「諦観」は、人間が生きるにあたって、重要な哲学という側面を有しているからだ。
 このような意味から、大学教師が授業等をとおして学生に対する社会化機能を発揮する場合、教師自身の内なる社会化モデルに学生を沿わせようとするのではなく、それぞれの学生の状況とニーズに応じて、本稿でも考察したようにいわば「一人一人の持ち味を生かす」形でそれを行わなければならない。
(2) 大学教育研究の方法上の課題
 大学教育研究における方法上の課題としては、次の3点をあげたい。
 第一は、「授業外での個人の気づきと、それが授業での気づきに及ぼす影響を、どう明らかにするか」という問題である。
 研究の対象は各回の実施時期が1週間の間隔で離れている。その時間が学生に与える影響は大きいと考えられる。また、授業以外でも、自習時のみならず、生活、アルバイト、交友、さらには一人でいる時に思索を重ねる時間こそが学生が学生でいることの価値とも考えられる。そこでの気づきと授業での気づきの関連を把握する必要があるといえるだろう。
 第二は、「青年としての学生の『文化』をどう理解するか」という問題である。
 藤村正之は個人に及ぼされる諸効果の要素について、加齢(aging)、時代(period)に並んでコーホート(cohort)という要素を挙げ、「ほぼ同時期に生まれた者たちの集団」であり、同一年齢段階に比較的類似の経験をしていく「同時経験集団」と説明している。そして、「私たちは、『コーホート文化』として考えるべきものを、『青年文化』と概念規定していた可能性がある」と指摘している48。
 この指摘は、諸個人を生物学的年齢によって区別する「自然主義的世代概念」や、近似的な年齢の諸個人を社会的・歴史的な生活空間の中で統一体として把握する「歴史主義的世代概念」だけでは青年文化は正確には理解できないことを示唆している49。
 新しい世代としての学生の文化を分析し、学生理解を深めるためには、授業という実践の場でテンポラリーな調査を行うことによって、先行研究からは得られない知見を得ることが必要といえるだろう。
 第三は、「個人の気づきをどう数値化するか」という問題である。本研究では、授業イメージの調査項目を「即自」、「対自」、「対他」の3つに分類し、数量的な面から検討した。
 しかし、項目ごとに「即自」、「対自」、「対他」の占有率があるはずであるし、さらには、学生個人の変容に焦点を当てた場合、その占有率の変化という動的状態こそを確かめたいのである。そのことによって、学生の「即自」→「対自」→「対他」の気づきの発展プロセスや、他者への気づきが「対自」や「即自」の気づきに再び転化して深まっていく「段階を踏んだ循環」を、いっそう明らかにすることができるといえよう。


3.3 ワークショップ型授業の構成要素とその効果

 高等教育にとって学生の自己決定能力が大事な要素であることはいうまでもない。そして、そのための大学教員の指導の研究は、青少年教育全般が行う社会化支援にとっても有益な知見を与えることが期待できる。
 この研究では、徳島大学学芸員課程科目の集中講義の機会を用いて、自己決定の生き方を自ら選択するよう導く授業方法を検討した50。学生の自己決定的な参加・参画に基づく手法であるワークショップ形態を中心にして、その指導の効果を明らかにしようとした。ワークショップは、各人の自己決定による言動が成果の共有のための必須条件として体験的に認識されると考えたからである。
 自己決定能力を効果的に育成するためのワークショップの構成要素を明らかにすることによって、個人化と社会化を統合的に支援する方法としての効果を確かめたい。

3.3.1 仮説の設定
 本研究では、学生の気づきの状態を「即自」と「対自」と「対他」に分け、その発展上に「対自=対他」を設定した。ここでの自は自己であり、他は他者である。「即自」とは無自覚に認識できる「そのままの自分」である。ただし、「対自」や「対他」から何度も立ち戻った末の深いレベルの「即自」は、いわゆる自然体の「あるがままの自分」が想定される。「対自」とは自己を客観的に認識する「もう一人の自分」を想定している。これも表層的な自己否定から深層の自己受容に至るまで、いくつかのレベルが想定される。「対他」とは「自己とは異なる他者の存在」への気づきである。これも数段階のレベルを想定している。
 従来の議論では、「対自」は「自己洞察による客観化と主体化」であり、それゆえ「対象に対するときは、自分自身もその中に参加し、自分の問題として考える主体的な構えをもつ」51とされるが、教員の実感としては、「対自」は深まっても「対他」は苦手という若者が多く見受けられる。そのため、「対自」とは別にあえて便宜上の造語である「対他」を設定して研究を進めた。
 このように想定して次の仮説を設定した。[2日間の授業の中で学生の気づきが「即自」→「対自」→「対他」と経緯する]ということである。
 この研究の目的の第一は、学生が授業のどの場面でどのように気づきを得てゆくか、その変容過程を解明することである。第二は、ワークショップ型授業の構成要素とその効果を明らかにすることである。

3.3.2 研究の方法
 研究対象とした授業は、2000年度前期学芸員課程の科目「生涯学習概論」である。受講学生42名(うち男3名)に対して8コマ2日間にわたる集中講義で実施した。
 調査及び分析は、①授業イメージに関する調査、②学生の提出した文章、③ワークショップの成果、④映像による授業記録に関する調査を対象にして行なった。
 授業イメージの変容の検討は次のように行なった。3回にわたって「この授業について」のイメージ調査を質問紙により行なった。調査の構成はa「即自」13問、b「対自」13問、c「対他」11問である。調査の実施時期は図3.6-1の1a終了時と2d終了時とした。今回の報告では調査②③を用いている。有効データ数は33である。
 学生の記述した文章の分析は次のように行なった。1a終了時に文章表現①「私はどう生きてきて、この授業に何を期待しているか」、1d終了時に②「自分の自己決定を阻害する要因」、2a終了時に③「午後の授業に、私は今は何を期待しているか」、2d終了時に④「ワークショップを終えての感想」を、それぞれA6版1枚に書くよう学生に指示した。この内容を類型化して分析を行なった。
 ワークショップの成果の分析は次のように行なった。1dのワークショップ成果①「本日の授業における出会いと自己への気づき」(図解)、2bの②「価値観ゲーム」(メモ)52、2cdの③「自己決定阻害要因排除あの手この手」(図解)を、各班で作成し提出させ、内容を検討した。

1a     1日目
11:15-12:00
教師指示型の個人文章作成
ワークショップ型授業の紹介
-私の生き方、授業への期待
12:00文章表現①授業イメージ①回収 1b     13:00-14:30
対教師観察型の図解作成
生涯学習とは何か
-自己決定活動の意義と可能性 1c     14:40-16:10
教師指示型の出会いワーク
第一印象ゲーム
-異質の他者や自分との出会い 1d     16:20-17:50
教師介入型のグループワーク
振り返りとシェアリング(成果①)
-出会いと自己への気づき
17:50文章表現②回収 2a     2日目
10:30-12:00
教師主導型の対話とグループ発表
自己決定活動の阻害要因
12:00文章表現③回収 2b     13:00-14:30
教師指示型のグループワーク
価値観ゲーム(成果②)
-ネットワークへの態度変容 2c
2d     14:40-17:50
ワークショップ(成果③)
-自己決定阻害要因排除方策
17:50文章表現④授業イメージ②③回収 図3.6-1 授業の進行

3.3.3 結果と考察
(1) 授業の進行に伴う学生の気づきの変容過程
 表3.6-2に分析結果を示した。×は否定的、△は中立的、○と◎は肯定的な反応であるが、自覚的な反応は◎とした。この表によると下記の諸点が指摘できる。
 第一に、「対自」への関心は、「あなたはどう生きてきたのか」と働きかけだけで十分に引き出すことができた。具体的には、短時間の一斉指導によって、「対自」の○と◎が「即自」を上回る結果(20対32)を得た。もともと学生には「対自」に関する自覚・無自覚の関心があり、「この授業の関心はそこにある」と教師が表明するだけで成立したと考えられる。
 第二に、カード式発想法による図解のグループワーク(図1の1d)では、「対他」に関する肯定的・自覚的記述が高い。午前の文章表現では「対自」と「対他」が32対7であるのに対し、14対38と逆転している。この状況は、他学生の文章表現とそれに対する教師のコメント、第一印象ゲームにおける「その人らしさ」との交流を経ることによって生じたと考えられる。他学生の文章表現を聞くとともに、初対面の人とも安心して出会えるワークを体験できれば、他者の存在に対して関心を向けさせることができるといえよう。
 第三に、価値観ゲーム(図1の2b)では、結果や「メモ」を見る限り、上で述べたような学生の変容は見られない。本授業のワーク等が効果をもつのは、もっぱら態度の変容に関してであって、短期間で学生一人一人の価値観を変えていくものとはなっていない。
 第四に、最後のワーク(図1の2cd)では、「対他」に匹敵する「対自」の増加(39対45)が見られた。これは、2日目午前のグループごとのプレゼンテーションや午後の価値観ゲームによる他者との出会いから生じ、それが自己の存在を振り返ることにつながったと考えられる。
 第五に、○に対する◎の割合については、1日目最後のワークでは「対自」で10対4、「対他」で32対6であったのに対して、最後では28対17、23対16と増えている。特に「対他」においては、親やその他の自己決定阻害要因に対して「自己決定へのアドバイスとしてとらえる」、「相手と本気でやりあう」などの内容は注目すべきことといえる。さらに、「即自」に関しては、×と△と○の合計に対する◎の割合が、1日目午前35、1日目ワーク13に対してともに0であったものが、2日目最後のワークでは13対5に上がっている。そこでは、自己決定が運などの要因によって左右される人間の宿命を受容しつつ、しかも「他人があきれるような自分の世界を作る」などの方策が打ち出されていた。
 このように授業進行に伴う学生の気づきは、「即自」→「対自」→「対他」の単なる一方通行ではなく、「対他」に至った後「対自」に戻っている。このような、段階的に、しかも循環して深まっていく過程が明確に見出された。
(2) 授業イメージの変化
 図3.6-3は本授業に対する学生の受け止め方の水準である。「そう思う」を4、「ある程度そう思う」を3、「あまりそう思わない」を2、「そう思わない」を1として集計した。中間値の2.5は「どちらともいえない」を表している。また、標準偏差を棒グラフで示した。
 その結果の第一は、「有意義な時間である」が3.45とトップで、「そう思う」と「ある程度そう思う」の中間値(3.5)に位置している。変化量からみても、2日目のワークによってより肯定に動いたといえる。
 第二に、上位10位の内容によると、aが1、bが6、cが3で、グループワークが主体だったにも関わらずbが上位3位を占め、cは「相手のよいところを発見できる」が4位であるほかは、9、10位にとどまった。自己による教育と相互関与による教育に分けてとらえると、本授業は前者の効果の方が高かったといえる。
 第三に、「ある程度そう思う」の3.0付近の項目としては、「知識が増える」「自分と関係のある」「団体で行動ができるようになる」「わくわくする」「論理的になれる」などがある。上位の項目である自分や他者の存在への気づきに比べて、現実の日常の場で判断や行動するための知的・現実的能力については「まあまあ役立つ」と学生にはとらえられたといえよう。
 また、「人を信頼できる」「人の痛みがわかるようになる」「自信のもてる」はそれより少なく、2.88、2.82、2.64であり、現実の他者と接する場で上手に自己決定の生き方をするための能力が十分身につくという感覚はそれほどもててはいない。
 第四に、「効率が良い」は2.55でほぼ中立であるが、ワークショップ型よりも講義型の方が「効率が良い」と感じられるのは止むを得ないことであろう。しかし、「自分の目標をもてる」も2.61と小さい。「くよくよしなくなる」「夢がもてる」は、わずかながら否定に傾いている(2.42、2.39)。つまり、自己決定の生き方をしようと思ったとしても、どのような段取りでどういう具体的目標をめざして生きていくかといった現実場面における変容にはつながらなかったということがいえる。それゆえ「夢がもてなかった」という回答になったと推察できる。この段階までの変化のためには、互いに「自分をさらけ出す」持続的な機会の設定が必要と考えられる。


表3.6-2 授業の進行に伴う学生の気づきの変容過程   ×否定的 △価値中立的 ○肯定的 ◎自覚的





    


 図3.6-3 授業イメージの変化                  表3.6-4 授業イメージの変化(ランキング)


 1日目終了時と2日目終了時の本授業のイメージの変容量をランキングしたものを表3.6-4に示した。これは2日目に入ってのやや本格的なワークショップが学生にどのような変化をもたらすかを示している。その特徴は次のとおりである。
 第一に、「対自」では「感情を大切にできる」ようになり、「対他」では「気持ちを話したく」なっている。ともに同率1位を占めている。前者も「対自」とはいえ、ワークのなかで先述の思い込みが解消した結果ととらえられる。すなわち、2日目のワークは他者と出会うことについての彼らの不安・不快の予想から安心・快感に向けた固定観念の打破にとってもっとも効果的であったといえよう。
 第二に、「自分に気づける」、「自分の問題に気づける」は高く現れている。2日目のワークによる他者との相互関与がそれらの気づきを与えたといえよう。
 第三に、10位になって初めてaの「わくわくする」があがっている。ワークショップの効果は、学生の「即自」的な要求に応えるよりも、「対自」、「対他」の変容をもたらすものといえる。
 第四に、「自分と関係のある」が低い。学生にとって授業が「自分と関係のある」ものとなるためには、「講義かワークショップか」とは異なる別の授業構成要素の検討が必要と推察できる。
 第五に、微小な変容にとどまった下位5項目は、「わかりやすい」「人の痛みがわかるようになる」「授業に親しみがわく」「自分のペースで参加できる」「自分の目標をもてる」である。「人の痛みがわかるようになる」ためには、短期間のワークショップを行なうだけでは不十分といえる。しかし、「授業に親しみがわく」「自分のペースで参加できる」の低調さは、現代学生にとって対人ワークがあくまでも苦手な部類に属するということを裏付けている。
(3) 学生の文章表現における変容の検討
 ここでは、授業の過程で得られた学生の文章表現からその変容過程を検討する。
 多くの学生は、「最初はどうなることやら」と思いつつも「いろいろ意見が出てよかった」などとしている。「即自」の初期段階にある場合、ワークショップをのびのび楽しんでいる様子がみられた。これ以外の記述に重要な事項が含まれているので、ここではその事例について検討したい。
 「グループでの話し合いや皆の意見を聞いて、自分がどう生きていったらいいのかという迷いのようなものが断ち切れたような気がする」とまで書いている事例がある。授業に過大な期待をする学生にとっては、本授業は無理をしないで現実的に教育や自己成長に向かい直させる効果があったといえよう。
 1日目にすでに自省的に「私自身のブレーキ」を阻害要因としてあげていた学生は、「今までは『くだらない意見だと思われたらいやだから言わないでおこう』と思っていたが、口に出さないといい意見かどうかわからないし、大切ではなさそうな意見でもみんなが大事にしてくれるので話しやすい」としている。内省はできても、他者との距離取りや自分の位置決めに悩む学生には、ワークショップは効果を発揮すると考えられる。
 「価値観の違いという一言で、何もかもすまされてしまう。その言葉は人を理解することを拒否する言い訳のように聞こえる。午後の授業では、そんな言葉をなくせる人間関係の方法を知りたい」とした学生は、このワークショップの終りでは「今、何か考えがまとまりそうと思っているときに別のことを言われてわからなくなったりした」と書いている。このような先まで見ている学生には、一斉参加型のワークショップだけでなく、自己内の深い思考のための静寂の時間が必要だといえる。ワークでの他者との交流がかえって自己への気づきにとって邪魔になる場面もあると考えられる。

3.3.4 討論
(1) 自己決定能力を高める授業方法
 学生を自己や他者存在への気づきにまで導くためには、一方向の一斉承り型講義では時間がかかる。双方向の授業や学生同士の共同作業によるワークショップ型授業は、現代青年を自己決定の態度に向かって変容させるために一定の効果があるといえよう。
 学生の「即自」→「対自」→「対他」という気づきの発展過程の仮説は、部分的には検証された。しかし本研究では同時に、他者への気づきが「対自」や「即自」の気づきに再び転化して深まっていくことが確認された。
 気づきの循環を効果的に支援するためには、個人の生涯の時々と生活の各場面に、自己と他者とのトータルな相互関与を体験する機会をいくつか用意する必要がある。これを高等教育において実現するためには、「問わず語り」の場を数多く用意することが必要であろう。
 さらに、一人一人の自己内対話をどう促すかという教育的視点が求められる。ワークショップでの対他者の体験だけで自己を質的に高めることはできない。他者との相互関与とともに自己内対話の充実こそが、現在、若者が顕在的に求めている「癒し」「居場所」の中でのように「あるがままの自分」でいられることにつながり、さらには自己対社会・自己対歴史の学問の広がりにまで通ずるのである。自己決定能力はこのようにして育まれると考える。
(2) ワークショップ型授業の構成要素とその効果
 上の視点に立ち、今後求められるワークショップ型授業の構成要素を考えたい。
 今回の授業における指導者の行為は、課題提示(問いかけ)、紹介(読み上げ)、回答(レスポンス)、指示(ワークの進め方)が頻繁に行なわれた。そのことによって、役割提供機能(ワーク)、表現支援機能(文章、話し合い、発表)、受容機能(学生の表現への評価)、課題解決機能(気づきの促進)、揺さぶり機能(固定概念の打破)を発揮していたと推察できる。
 しかし、その効果は、学生の到達段階やその循環の程度によって左右されることが明らかである。
 受動的に生きてきたと自己規定する学生にとっては、表現支援機能や受容機能による学習が大きな部分を占めていたと考えられる。日常で避けてきた「新しい関わり方」を体験し、他者への肯定的関心と自己への気づきにつながったといえる。
 次に、自己決定がしづらいと認識していた学生に対しては同様の効果があったと思われるが、それ以上のものは得られなかったようである。これらの学生に対しては、より質の高い課題を提示することによって、もっと高いレベルの気づきを促すことが重要といえよう。
 ワークショップ型授業の構成にあたっては、学生の変容がどの段階にあるのかをたえず把握しながら、適切で柔軟な授業を組み立てることが求められる。学生が到達した質的内容に応じたグループ編成や展開方法も検討の価値がある。適時処理が行なわれず、終了後に教師が講評で補完する事態では、ワークショップ型授業の意義は薄い。
 また、学生のもつ固定概念を揺さぶり、自己と他者との関わりのとらえ直しを促すことが大切である。自己内対話の深化を含めた気づきの支援機能の充実が重視されるべきであろう。
 他者との距離を測ることによって自己の位置を客観的に認識し、役割発揮を自己決定する要素も重要である。本授業の図解ワークショップで自分のカードの主張がメンバーに共有され、全体の図のなかで位置づけられることは、その自己決定を促すものであった。
 この研究で確かめたワークショップ型授業の構成要素とその効果を、青少年の社会化支援に関する他のワークショップにおいても確かめていく必要があると考える。




表3.6-5 学生の文章表現と教師からのコメント
    文章表現①     教師の指導内容     当該学生の最終文章表現④ 1 a 中学生のときアトピー性皮膚炎がひどく元々の性格も暗いので傷ついた。地元を出るため大学に行こうと思った。 1 b どうでもいい人からいわれてもそれほど傷つかないはず。では、どういうふうに傷ついたのか。 1 c ふだん思っていることを文章に示すのは抵抗あるけれど、他人の意見を知る貴重な機会になった。 2 a 確固たる意志や信念を貫いて生きてきたわけではない。自分の事だけど他人事のように曖昧でつかみどころがない。自立しておらず、いつまでも子供のよう。 2 b 信念で生きてきたわけではないのに自立しなければいけないと思っている。自立しないと親に悪いからか?  2 c ふだんこのような自己実現の話や人生の過ごし方など話したことがないので、同年代の人がどのように生き方をとらえているのか知る機会がなく、とても参考になった。 3 a 自分の価値観を大切にし、それを壊さないような意見や事象に対しては柔軟に対応し理解も示すが、壊すようなことには敵対心を抱くが戦おうとはせず逃げる生き方。 3 b なるほど、でも、「逃げるが勝ち」という言葉もあるよね。このようなぴったりした言葉(明確化)は図解のときに有益である。 3 c 形式としてはおもしろかったが、題についてはやりにくかった。ぼくらの班ではあまりそういう思いをした人がいないようなので、何度も詰まってしまった。 4 a 私は何とか自分のペースで生きてきたと思う。多少流されたりしているかもしれないけど。 4 b マイペースと流されることとはアンビバレンツである。しかし、その受容こそが重要である。 4 c とても楽しかった。いろいろ意見が出てよかったと思う。最初はどうなることやらと思ったが。 5 a 私は普通に生きてきて、この授業に、生涯学習というのはどういう意味なのかということが分かるように期待する。 5 b ここまで普通に生きてきたと言い切るのも、もしかしたらかなりの個性かもしれない。 5 c 自身の自発性、積極性のなさを知った。こうした授業が学校教育のなかで普通になっていけば、私のような消極的な人間には助けになる。 6 a 好きなものに対してはものすごい情熱を傾ける。臆病なのでストレスをためこんだり、いやな思い出をいつまでも忘れられずウジウジもするが、それを昇華させてしまわず、根性にまかせてズルズル引っ張ってきた。退屈しない授業を。 6 b これからは参加型になるので、退屈することはない。せっかく時間と空間を共有するわけだから、あつかましく要求をしてほしい。その場合、体験型の学習なので必ず体験して、批判したり、注文を出したりして。 6 c 話し合いをしてみると、一つのキーワードについても、いろんな意見が出ておもしろかった。このような人との話し合いで進める授業というのはやったことがなかったので、有意義な時間を過ごせたと思う。 7 a 受動的に生きてきた。親にいわれるままで、あまり自分の意見を持っていなかった。今でも流されている。 7 b 中村雄二郎は「受苦」という言葉を使い、受動は能動としている。これについて、どう考えるか。 7 c 見知らぬ人といろんな情報交換ができた。ワークショップをしている最中に、2人も同じ高校出身者がいた。 8 a 特にこれと言ったこともなく普通に生きてきたとしか言いようがない。自分の考え方がどう変わるか楽しみ。 8 b 逆に、教師に自分の枠組を変容させられてたまるかという抵抗感があっても不思議ではない。 8 c グループでやり遂げたという達成感と充実感があった。こんなに有意義な授業を受けたのは久しぶりだ。 9 a 転学のとき、様々な人から影響をうけたけれど、決定したのは私ただ一人。他の人にはほとんど相談しなかった。 9 b このように相談しない自己決定もある。ただ、相談も自己決定の一環として考えられる。 9 c ワークショップ型の授業はおもしろい。これからの講義もこんなふうに変わっていくのかと思った。 10 a 自分の思うとおりに生きてきた。後悔しないように。でも、あんまり努力せず、楽そうな方向を選んできた。 10 b 「となりのトトロ」で「トトロに会えるか」という娘たちの問いへの父の回答は「運がよければね」である。 10 c 最初はどうなるかと思ったが、やってみると不安は残りつつもなんとかなるもの。ただ、もっと話題を引き出し、ふくらます力が自分自身にほしい。 11 a いろいろな面で受動的に生きてきた。成長していくにつれて、その傾向も強まってきた。「みんなと同じ」だと安心するという部分もある。この授業では、そういうのが少しでも改善されるといいかなと思う。 11 b 本当にみんなと同じだと安心できるのか。同じでなくて疎外される人と同様に、同じであろうとして強迫しあう仲間関係もつらいのではないか。 11 c このような授業は大学に入って初めてだったので少し戸惑ったが、グループ内の団結力ができた。いろいろな意見が出てきて、みんなが考えることがよくわかった。どの意見も大切にすることによって広がった部分もある。 12 a 新しいものに首をつっこみたがるくせに、自己紹介とか自己表現はあまり得意でないので、3コマ目の自己紹介の方法とかが気になる。 12 b 緊張し、見比べあう自己紹介を蹴っ飛ばせというのが、次のコマのテーマである。安心してほしい。 12 c 初対面では身構えてしまいがちだったが、ゲームで自己紹介をしたせいか、とても楽しくみんなとすごせた。一人暮しのせいもあり、人の話をあまりきかなくなっていたような気もするし、じたばたしていたような気がするけれど、意見を交わすうちに人の話もよくきけるようになっていたと思う。私らしくいられないところは避けがちだったけれど、このワークショップで自分がそういう空間をつくることを働きかける糸口が少しだけ見つかった。 13 a 学芸員だけでなく、生涯学習や人間関係とか生き方とかを学ぶことは人生のなかで大切。今まで気づかなかった新しい自分を発見することを期待するとともに、相手を正しく理解し、自分の意思で悔いのない自分だけの人生を送る指針になればと思う。 13 b 博物館は生涯学習そのもの。自分だけでなく、相手もかけがえのない人生を生きている。その相手との出会いが、本授業でこれから行うカード式発想法であり、生涯学習等の自己決定活動である。 13 c 初めは少し抵抗のような気持ちもあったが、ワークショップを終えてみると、この授業を受けてよかったと思う。グループでの話し合いや皆の意見を聞いて、自分がどう生きていったらいいのかという迷いのようなものが断ち切れたような気がする。 14 a のんびりと好きな本を読み、適当に勉強し、適当に遊んできた。しかし、思春期を迎え、やたらと人生やら人間性やらに興味を持ち始め、考えをめぐらせた。また、過去の幼い頃を振り返り、あの頃の好奇心いっぱいの無邪気で貪欲な学習心をなくした気がした。学習心や人間について学び、昔の学習心を少しでも取り戻したい。
14 b 大学時代は、人間存在、なぜ何を学ぶか、社会の不正などの役にも立たないテーマでしゃべりあう友達をもつことが重要なのだろう。大人になるにつれ、子ども心を失い、自分らしさを見失うということがあろう。生涯学習は、それに気づいた大人たちの「自分さがし」とえいよう。 14 c 自己決定というのは、つらく苦しいものだとイメージが濃かったのですが、なんとなく肩の荷がおりてしまいました。不思議ですが楽しくやっていこうと思います。(文章表現③=自分を見つめるという作業は私にとって苦痛です。そういった苦痛はなぜ起こるのかがわかるとうれしいです。) 15 a 家族は好き。けれど、「○○さんの家の子はこんなことはしない」とか、「あの子はもちろんあの学校に行く」とか言われたら、自分がとる行動=親の面子になってしまう。実家にいるときはつねに他人の目を気にして「いい子」を演じてきた。自分がしたいことを将来についてでさえ、思うままにしたことはほとんどない。 15 b ゲシュタルトの祈り(あなたはあなた、私は私)を紹介。自立とは何だろう。 15 c 疲れた。他人とコミュニケーションをとるのは神経を使う。出会いや対話はかなり楽しかった。おもしろい授業の進め方だったが、先生の言っていることが皆理解できていないことが何回かあったと思う。私に価値観の違う人を教えてくれたのは、残念なことに先生ではないが、今回それにいろいろなことがプラスされたように思う。 16 a 他者の否定というまなざし。否定されることによって自分が一瞬ひるんでしまう。自己決定がいかに強固なものであっても、他者の否定は意外に大きい。 16 b 「ほめてやらねば人は動かじ」という。でも、そういう環境でなかった人は、今からどう生きればよいのか。 16 c しゃべる人は延々としゃべるし、しゃべらない人はまったくしゃべらない。カード形式でも同じ。2日間でのコミュニケーションの飛躍的な上達は難しいが、その糸口を教えてもらった。 17 a 人とのつきあい。多くの人と語り合うことによって、「自分の意見は違うんだ」「そういう考えもあるんだ」と自分の意見を見直さなきゃと考えだす。自己決定とは矛盾そのもの。 17 b 準拠枠組の説明。他者を理解する、自分を理解してもらうということは、準拠枠組やそれに基づく共感と深く関わっている。 17 c やりたくなかったのに発表者に決まってしまった。班の人たちや友達に励まされ、終わるとなんともいえない充実感があった。逃げるのも大切だが、逃げてばっかりじゃだめかなと思う。 18 a 阻害要因として、私の中で最も大きなものは私自身であるように思う。何かをしようとするとき、「でも私には無理だろうな」とか「できなかったとき、自分がつらくなるからやめておこう」などと思うときがよくあるからだ。私にとって何かをする前に自分でブレーキをかけてしまうことが問題だと思う。 18 b 自己決定を邪魔しているものの一番は自分であるとも考えられる。親に対しても、自分自身が「さわやかな自己主張」を身につけるという方法が考えられる。また、失敗にこりて自己評価基準を不当に下げてしまうという「敗北主義」の問題も内なる問題である。 18 c ぎこちなさは最後までとれなかったが、ある程度言いたいことが言えるようになった。今までは「くだらない意見だと思われたらいやだから言わないでおこう」と思っていたが、口に出さないといい意見かどうかわからないし、大切ではなさそうな意見でもみんなが大事にしてくれるので話しやすい。きのう先生が言っていたことに対して、正直「何言ってんの?」という気持ちがあったが、今では「ああ、そういうことを言ってたんだ」と少し理解できた。   a 文章表現③   b 教師の指導内容   c 当該学生の最終文章表現④ 19 a 人それぞれの価値観をどのようにわかってもらえるのか方法を知りたい。でも、基本的に価値観という言葉が嫌い。「価値観の違い」という一言で、何もかもすまされてしまいそう。その言葉は人を理解することを拒否する言い訳のように聞こえる。午後の授業では、そんな言葉をなくせる人間関係の方法を知りたい。 19 b たしかに「価値観の違い」という言葉には、価値観が違うから交流しようというより、自分一人で生きていく、それが自己決定というニュアンスがある。今回は、価値観の違いを楽しく思う体験をする。 19 c 楽しかったといえば楽しかった。一人で考えるのとはちょっと異なって、いろんな意見が出てきて、最終的にちゃんとまとめることができた。逆にむずかしくてちょっとやりにくかった部分もある。「今、何か、考えがまとまりそう」と思って考えているときに別のことを言われてわからなくなったりした。




第4章 社会化支援の方法論 -政策決定・政策実施のプロセスから-



4.1 佐野市における青少年の社会化支援と「子育てのまちづくり」の計画過程の分析

 1992年7月、生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」は「現代的課題の学習」の必要性を提起した。そこでは「人々の学習への関心の現状を見ると、人々の身近な問題や実益を伴う問題についての関心が高く、比較的自分と空間的・時間的に遠い問題には、余り関心を示さない傾向が見られる」として、次のように述べている。

 これからの我が国においては、人々がこのような現代的課題の重要性を認識し、これに関心を持って適切に対応していくことにより、自己の確立を図るとともに、活力ある社会を築いていく必要がある。そのためには、生涯学習の中で、現代的課題について自ら学習する意欲と能力を培い、課題解決に取り組む主体的な態度を養っていくことが大切である。

 そのため、「人々に学習機会を提供する機関は多様である」が、行政の果たすべき役割としては「特に現代的課題に関する学習機会の提供」が重要としている。
 これは、「現代的課題」(この研究では「公的課題」と呼ぶ)の学習が、その重要性にもかかわらず、個人からは「遠い問題」であることを指摘し、生涯学習推進による解決を訴えたものと理解される。
 この研究では、これを「自己形成と社会形成の一体化」の課題としてとらえる。そして、現在に至るまで、その課題は十分には解決することなく、「遠い問題」の一般市民にとっての距離感はむしろ大きくなっているとさえ考えられる。この課題解決は、「望ましい方向」どころか、「持続可能な開発」53にとって「必要不可欠な方向」というべきだろう。
 以上から、「個人の社会的課題」の達成、すなわち「社会化」は、青少年や親の自己形成と、公的課題の学習としての「まちづくり」による社会形成をつなぐ重要な環であると考える。本研究では、この視点から、「公的課題学習推進」のための政策決定の要素と計画化の方法について検討したい54。

4.1.1 研究の背景と目的

 平成17年2月28日、一市二町が合併して、人口約12万7千人の新佐野市が発足した。そこで、同年8月30日、市長から佐野市生涯学習推進協議会に対して、新佐野市における生涯学習社会の構築を図るための新しい佐野市生涯学習推進基本構想について諮問があった。
 佐野市は、現在、第1次佐野市総合計画策定基本方針を示し、将来像を「育み支え合うひとびと、水と緑と万葉の地に広がる交流拠点都市」として、市民参加を基本方針に掲げて「総合的なまちづくり」に取り組もうとしている。
 答申の原案作成者としては、次のように考えた。市民一人一人の個人としての充実とともに、その個人が新佐野市のまちづくりのなかで市民としての役割を発揮することによって、ますます個人としても新佐野市としても充実するという「自己形成と社会形成の一体化」を実現する生涯学習推進の展望を示したい。
 旧佐野市においては、平成5年4月に「佐野市生涯学習推進基本構想」を策定し、同年10月2日には「楽習のまち佐野」都市宣言を行い、「私らしさ咲かせます 楽習のまち佐野」をキャッチフレーズとして、「私」という個人をキーワードとした生涯学習のまちづくりを全市全庁的に進めてきた。それは、地域住民一人一人の「私」を最上段において、「生涯学習のまちづくり」を実現しようとしたものである。
 この成果をさらに発展させるため、中間答申作成に当たり、「私らしさ このまちに 咲かせます」というコンセプトを設定することとした。それは、「旧佐野市生涯学習推進基本構想」でいう「私」が、学びを通してまちづくりに関わり、まちづくりを通して学ぶことによる「自己形成と社会形成の一体化」の実現の方向でもある。
 以上から、本答申の作成過程は、まちづくりという「公的課題」の学習を、いかに「私らしさ」の充実という個人的課題と結びつけて推進するかという課題に直面しながら進められたということができる(資料1「中間答申作成スケジュール」、資料2「専門部会の設置」、資料3「中間答申の構成」参照)。

 そこで、本研究では、以下の3点について明らかにしようとした。

研究目的① 青少年と親の社会化状況に関する
 生涯学習推進関係者の認識
研究目的② 生涯学習推進関係者が重視する
 青少年と親の社会化促進要因
研究目的③ 各要因の活性化のための「まちづくり」
 及びそれに伴う「公的課題の学習」の
 推進方策

 このことによって、青少年と親の社会化を効果的に進める「公的課題の学習」や「まちづくり」の推進のあり方を検討したい。

4.1.2 研究方法
 研究目的①、②のため、中間答申作成過程における委員の青少年育成及び子育てのまちづくりに関する発言(全50件)の内容を分析した。分析にあたって、以下のように「社会化促進要因」を仮説的に設定して、その妥当性を確かめようとした。

A 居場所
B 参画
C 仲間づくり
D 文化や労働の伝承
E 地域の教育力
F 自然の教育力
G 教育機関の教育力
H 家庭の教育力

 第1回協議会で、筆者は、「生涯学習を個人の充実だけでなく、田中正造のような社会正義の視点から提言していきたい」、「一人一人がいつからでも始め、学びの仲間をつくって生きていくという生涯学習社会を目指す」、「市民の自主性を尊重した推進が重要」などの方向付けをした。
 その後の、青少年及び子育てまちづくりに関する各委員の発言内容は資料4のとおりである。本表の作成に当たっては、佐野市生涯学習課事務局に負うところが大きい。
 資料4で、各委員については、関係団体代表者は1~10、学識経験者は11~17(内、公募委員は11~15、)、学校関係者、事務局等は18~20の番号を振った。なお、筆者自身(17)の発言は除いた。
 研究目的③のためには、以上の研究で見出された社会化促進要因と、中間答申の起草結果を対照して、提言の効果を検討した。

4.1.3 研究結果
①青少年と親の社会化状況に関する生涯学習推進関係者の認識
 審議の最初から多く出された意見は、青少年や親の社会化不全に関するものであった。
 0504「(教育熱心なお母さんのため)、有名な遠い所に通う。親も子どもも地域との交流がまったくなくなっている」、0513「自分自身だけの考えで行動している。人とのかかわりが希薄になり、事件につながる要素がある」、0704「私らしさを取り違えると、自由奔放に何でもしていいということとなる。子どもにしつけることはもちろんだが、しつけをする若い親にしつけ方を教えるといった、世代に応じたしつけが、まちの中で必要」、1002「民主主義は、基本的に必ず責任を伴う。そういったことを、戦後教育ではあまり教えてこなかったことが、自分が自由にやればいいという環境を引き起こしている」、1203「今の若い子は何で子ども産まないのって、もう親の責任じゃないけど、社会情勢が悪いから生まないとか、今の自分たちの生活が楽しいから生まないとか、自分たちの心の貧しさがそういうことを物語っている」。
 これに関して、1003では、「子どもというのは、叱らなければ人間にならない。どうやって叱ってあげるかが問題」として、「他人のことなんかどうでもいい」という風潮に対して、「叱られて、叱られて、ぎゅっと抱きしめられることが子どもの真の幸せ」という旧佐野市「こどもの街宣言」が掲げるしつけのあり方を支持している。
②生涯学習推進関係者が重視する青少年と親の社会化促進要因
 各回の委員の発言に表れた社会化促進要因の分布は表4.7-1のとおりであった。
 各委員の発言に表れた社会化促進要因の分布は表4.7-2のとおりであった。出現回数は図4.7-3のとおりである。
 なお、同表の数字は、「青少年育成」と「子育てまちづくり」に関する発言のみ取り上げて計上したものであり、各委員の発言の活発、不活発を示すものではないことを付記しておきたい。
③ 各要因活性化のための「まちづくり」及びそれに伴う「公的課題の学習」の推進方策
 生涯学習推進協議会の中間答申起草結果のうち、青少年と親に関わる部分は、資料5のとおりである。そのうち、社会化促進要因に関連する記述の出現回数は表4.7-4のとおりであった。

4.1.4 考察
①青少年と親の社会化状況に関する生涯学習推進関係者の認識
 3の①の結果から、審議で指摘された「社会化不全」の要素としては、①親子の交流不足、②地域の希薄化、③しつけの不在、④自由と民主主義のはきちがえ、⑤自己中心主義と個人的快楽志向、⑥心の貧しさなどが挙げられる。
 とくに1003の発言は、「こどもの街宣言」が子どもを甘やかす結果になるという危惧に対してなされたものであり、社会化不全に対して、一方的に糾弾するのではなく、何らかの生産的な対応を考えようとしたものと考えられる。
 以上のことから、生涯学習推進関係者は、現在の青少年や親に関して「社会化不全」という認識を強く持っているといえる。それは、当然ながら社会化としての「しつけ復活への期待」につながる。しかし、それを繰り返し述べていても、先に示した「社会化不全要素」を解決するための展望は見えてこない。
 ここに、「まちづくり」及びそれに伴う「公的課題の学習」の推進における青少年と親の社会化支援方策を検討することの重要性が示されていると考える。
②生涯学習推進関係者が重視する青少年と親の社会化促進要因
 3の②の結果から、地域教育力およびこれを支える家庭教育、さらに、これらの教育力を専門的に支援する学校教育、社会教育等の教育機関への期待が大きかったといえる。
 また、起草委員会に移ってから、「居場所づくり」、「参画促進」などの育成活動の具体的な展望が活発に論じられたことがわかる。

表4.7-1 各回の発言に表れた社会化促進要因の分布
回 A B C D E F G H 実数 03 1 1 2 05 1 1 2 6 1 1 13 07 1 3 3 3 9 09 1 1 2 10 1 1 3 3 12 1 2 1 2 4 3 13 13 4 2 1 2 1 1 2 8 計 7 4 4 6 13 1 9 12 50 注 最右列のみ発言件数(実数n=50)。他の列は各要因に関する発言の延べ出現回数(n=56)。○は起草委員会。

表4.7-2 各委員の発言に表れた社会化促進要因の分布
委員 A B C D E F G H 実数 01 1 1 1 1 5 02 1 1 1 3 03 1 1 2 04 0 05 0 06 1 3 07 1 1 1 1 2 2 4 8 08 2 1 2 09 0 10 0 11 1 1 12 1 1 13 1 1 14 1 1 2 15 2 1 1 3 16 2 1 1 1 2 6 18 3 1 2 2 4 1 9 19 1 1 3 20 1 計 7 4 4 6 13 1 9 12 50 注 最右列のみ発言件数(実数)。他の列は各要因に関する発言の延べ出現回数。○は起草委員。



図4.7-3 委員の発言に表れた社会化促進要因の出現回数

表4.7-4 起草結果に表れた社会化促進要因の分布
項目 A B C D E F G H 計 1 4 4 2 2 2 3 3 4 1 8 4 3 1 4 5 13 5 5 3 1 1 10 計 5 13 6 0 8 0 0 5 37 注 各要因に関する記述の延べ出現回数。

③ 各要因活性化のための「まちづくり」及びそれに伴う「公的課題の学習」の推進方策
 3の②で示された青少年と親の社会化促進要因に関する委員の発言と、3の③で示された中間答申の起草結果における「まちづくり」及びそれに伴う「公的課題の学習」の推進方策に関する記述とを対照して考察したい。

A 居場所
 居場所については、1210「考えているけど友達としてそういう話はできない居場所づくりが必要だなと感じますね。僕は自分の家を居場所にして、若者が何人か来ます」、1307「私の居場所の子どもたちは、私がついていけないくらいおしゃべりが多くて、鬱積して溜まっているものが多いんだなとつくづく感じます。そういう意味で、居場所は何らかの形で作る必要があるだろうと思う。公民館は子どもたちで借りるなんて見たことがない」という委員発言に対して、5-01「現在、多くの青少年が『自分らしさ』を大切に思い、『自分らしくいられる居場所』を必要と感じている」という起草結果になっている。
 青少年の「自己吐露要求」に対して「あるがまま」でいられる居場所の提供を提言したととらえられる。今後は、指導者のカウンセリングマインドなど、しゃべりたくなるような働きかけのあり方を具体的に明らかにする必要があると考える。
 1306「子どもが活動する場所、その確保は大人の最低の義務。さわやか指導員の若い子が来ていたので、ちょっとバスケットをやってみないかとバスケットを月1回その子に頼んだら、仲間を連れてきて子どもと遊んでくれる」、1308「どなたが考えても居場所は同じ。みんな同じなのです。基本的には、一緒にやる経験やっぱり一緒にいると楽しい、何かのときは助けてくれるとか、虫にかまれたら大丈夫と心配してくれる」、0512「子どもを育てる地域の活動地域の交流の場づくりへの子どもの参加の配慮を」という委員発言に対して、5-04「それ(居場所)は、青少年も大人も、ともに参画する『まちづくり活動』の一環として位置づけられる」という起草結果になっている。
 青少年同士の交流を図るため、居場所を「青少年も大人も、ともに参画する『まちづくり活動』の一環」として推進するよう提言したととらえられる。今後は、「まちづくり活動への参画」に至るまでの青少年同士の交流の困難について、より詳しく検討し、居場所における交流促進の働きかけについて、具体的に明らかにする必要があると考える。
 0512「子どもの居場所づくりでは、『大人のすごさ』を見せる場づくりを」という委員発言に対して、起草結果では、5-03「まちづくりに参画する大人たちが、仲間づくりをして、互いの違いを認め合いながら、それぞれの『自分らしさ』を社会に発揮する姿を(青少年の居場所において)示す」、5-05「彼らを地域に囲い込もうとするのではなく、社会に羽ばたいていく巣立ちのための巣として、居場所を提供したい」、5-07「現代は、親、大人、中高年自身が、青少年と同じように『自分らしくいられる居場所』を求めている時代とも考えられる。今まで述べてきた『子育てのまちづくり』を含む『まちづくり』の観点からは、それらの願いに対する端的な解答は『仲間との参画』と言うことができるだろう」としている。
 居場所において、大人自身が「仲間との参画」の姿を示すことによって、青少年にとっての「モデリング」の対象となるよう提言したととらえられる。居場所において、青少年に対して、「放任する」というのでもなく、「強制する」というのでもなくして、彼らの社会化を効果的に支援するためには、このような配慮は不可欠と考える。
 それでは、居場所の指導者は自らの姿を青少年にどう伝えればよいのか。今後は、指導者自身が「仲間との参画」の姿を青少年に示すための、いわば「居場所における指導者の自己アピール」のあり方を実践的に明らかにする必要があると考える。

B 参画
 子どもの参画の意義と必要については、1201「子どもたちの意見を取り入れる学校経営があってほしい」、1202「小学4年生から中学生中心で、『子ども白書』というのを作った。自分たちが遊ぶ当事者だから、そういうものは子どもの意見を直接聞いたほうが、本当に子どもが喜ぶようなものができる」、1301「中学生が中心になって子ども市民憲章を作っています。これから高浜市の中心になっていくのは中学生である。これをはっきり謳っている。まちづくりに参加させている」などの委員発言があった。
 これに対して、起草結果は、1-03「世代を越えた参画の中での合意形成が重要になる」、1-06「子どもの参画によって、子どもたち自身の意見も聞きながら『子育てのまちづくり』を進めていくことが重要である」となっている。
 年金制度の健全な運営など、重要な公的課題の解決のため、インタージェネレーション55による合意形成の「鍵」として、「子育てまちづくり」への子どもの参画の意義を位置づけたものととらえられる。
 「子育てまちづくり」への参画活動については、起草結果では、ほかにも次のように述べている。1-05「親が支援される立場だけでなく、自分のできる範囲で、子育てしやすいまち、子育てしていて楽しいまちにするために力を合わせることが重要である」、3-04「わが子のことから出発して『あなた任せ』にしない子育てまちづくりへの参画」、3-06「自らが仲間をつくって、自分たちのできる範囲で支え合い、実践的な学習を通してまちづくりに参画し、その『福祉』をつくりだす主体にもなる」、3-07「親たちが仲間づくりを通して互いの子育てを支え合い、地域もそれを支えること、さらには、生涯学習やまちづくり活動を通して『子育て環境の改善のための市民参画』を行う」。
 この起草結果は、「あなたまかせ」の状態から、「わが子の子育て」をとおして「子育てまちづくり」への参画に至る親の社会化過程の概要を示したものととらえられる。そこで重要になる要素は、4-07「PTA、保護者会、子ども会、町会などの仲間との活動」と考える。これは次に述べる社会化促進要因C「仲間づくり」につながるものである。
 委員発言1306「子どもが活動する場所、その確保は大人の最低の義務。さわやか指導員の若い子が来ていたので、ちょっとバスケットをやってみないかと、バスケットを月1回その子に頼んだら、仲間を連れてきて子どもと遊んでくれる」に対して、起草結果では、1-09「現代の若者たちの一人一人に適した形での『まちづくり活動』を開発し、その活動への参画を促進するようにしたい」と述べている。
 1980年代にすでに、「青少年が地域社会のゲストから、大人とともに主体的に役割参加を進められるメンバーになることのできるコミュニティ形成」が提起されている56。しかし、その後の青少年施策のなかで必ずしもこれが実現しているとはいえない。「コミュニティ形成に対する若者の主体的な役割参加」のための実効性のある展開の一方策として、起草結果が述べているような「子育てまちづくり」への若者の参画が考えられる。
 その場合、「子育てまちづくり」の範疇を広げ、委員発言1306「仲間を連れてきて子どもと遊んでくれる」というような活動も、重要な参画活動として認識する必要があるといえよう。また、1-09「現代の若者たちの一人一人に適した形」を実現するためには、現代青年の社会化過程に関するより詳細な検討が必要と考える。
 さらに、起草結果では、次のように親教育における「達成目標」の必要性を強調している。4-09「達成目標(できれば各回ごとの)を設定し、それを明示して学習者側の理解を求め、目的意識的な学習を促進することは、むしろ『学習者主体』の考え方に基づくものだと私たちは考える」、4-10「獲得能力目標の明示された親学習プログラムとして編成する手法を開発したい。このことによって、親学習プログラムの作成における親自身の参画が可能になると考えられる」。このように、「達成目標を設定し、これを学習者に明示し、さらにはその達成目標の設定自体に学習者側の参画を取り入れていく」よう提言しているのである。
 先述の青少年と親の社会化不全の実態からいえば、このような教育側の「指導性」は不可欠といえよう。ここに「参画教育」の意義と必要性が示されていると考える。
 今後は、目標設定から、実施後の達成度の測定・評価に至るまでの手法について、具体的に明らかにする必要があると考える。

C 仲間づくり
 仲間づくりについての委員発言は、0502「わからないから学校に行く、わからないから同じ仲間と意見交換するということが大事」、1208「消防団活動、PTAの時にもそうでした集団で楽しんでいくことが、地域を愛するというふうに変わっていくような気がします」、1308「基本的には、一緒にやる経験。やっぱり一緒にいると楽しい、何かのときは助けてくれるとか、虫にかまれたら大丈夫と心配してくれる」などであった。
 これに対して、起草結果は、3-02「親の会や地域社会における『仲間』との出会いを得た場合、実践的な『集団学習』が効果的に展開される可能性がある」、3-06「自らが仲間をつくって、自分たちのできる範囲で支え合い、実践的な学習を通してまちづくりに参画」、3-07「親たちが仲間づくりを通して互いの子育てを支え合い、地域もそれを支える」などである。「まちづくり」のなかでの「仲間」の意義を強調したものになっている。
 現在の青少年と親の交友関係の延長線上で、望ましい「仲間関係」に発展するような展望を求めようとしても限界がある。これに対して、起草結果は、「まちづくり」に参画する「仲間」に、日常の交友関係とは異なる可能性を見出そうとしたものととらえることができる。
 今後は、参画活動における仲間関係の特徴と、交流発展のための方法について、より詳しく検討する必要があると考える。

D 文化や労働の伝承
 文化や労働の伝承については、0505「働くところを見学し、感じることは非常に重要」、0902「子どもたちは働きたいと思っている。昔は子どもは手伝いや仕事をよくしていた」、1211「いわゆる匠のおじさんはどれなのか、子どもからみてこのおじさんはすごいぞと」、1212「昔ながらのものをなくさないように、次世代につなげていくことが大事。そこで連帯感が生まれて、郷土愛が生まれて、付随するものがいろいろ出てきてつながっていく」などの委員発言があった。
 これに対して、起草結果では、青少年と親に関する記述としては直接にはふれていないが、伝承活動をまちづくりの一環としてとらえ、たとえば「鐙塚宮比講神楽(あぶつかみやびこうかぐら)保存会」の活動について、「活動事例」として次のように紹介している。

 会員は12名で、月3回の稽古がある。保存会は、犬伏東小学校宮比講クラブで年間15回、高萩保育園で年間3回の活動をしている。(中略)
 月3回行われている練習日に訪問してみた。駐車場に着くと、お囃子の音色が響き、別世界に来たような気がする。部屋の中では、幼児から小学生、大人まで、いっぱいで、お年寄りが指導に励んでいる。子どもたちは一生懸命で、その眼差しは強く心に感じさせるものがある。また、庭いっぱいに衣装の虫干しをしており、その衣装の古さが貴重な伝統文化であることを物語っている。
 このように鐙塚町では、町内の人々が、神楽を後世まで伝えるために一体となって、生活の一部として伝統文化を守っていこうとしている。そこには至誠、この上なく誠実なまごころを、ひしひしと感じさせるものがある。

 子どもに対する文化や労働の伝承については、まずは、大人たち自身の労働観、「匠」や郷土の文化を大切にする意識が問われると考える。そのうえでこそ、子どもの家事手伝いの復活や、職業意識や郷土意識の向上、文化伝承に関する態度変容などが期待できるといえよう。
 このことから、「町内の人々が一体となって、生活の一部として伝統文化を守っていこうとする」などの活動には、大人と子どもの両者の社会化を効果的に促進するための重要な要素が数多く含まれていると考える。

E 地域の教育力
 「ふるさと」については、0301「子どもとふるさとづくり、子どもとまちづくりという観点からの働きかけが必要」などの委員発言があった。
 これに対して、起草結果では、筆頭章に「郷土愛をはぐくみ、ふるさとを守るために」を置き、次のように述べている。

 「ふるさと」は、「他国を排斥しない愛国心」、「自然への畏敬の念」、「宗派を問わない宗教心」、「自分を育ててくれた自然、地域、人々への感謝の念」、そして、「社会の中で生きる力」につながるための「始まり」として、個人にとって格段に重要な意味をもっている。しかし、時代変化の中、とりわけ「平成の大合併」の影響を受けて、郷土、郷土愛が少しでも失われるとすれば、これは深刻な社会問題というべきである。

 市民全般にとっての「ふるさと」の重要性とともに、「平成の大合併」によって、「ふるさと意識」が衰退することのないよう提言したものととらえられる。
 そのため、起草結果では、「市民がふるさとに能動的に関わり、ふるさとを守り再生させる営み」として「まちづくりや生涯学習の活動」の意義を重視したものになっている。
 青少年と親の社会化不全および課題解決のための地域教育力への期待については、0504「小さい時から地域との交流がないと難しい」、0510「昔は町内にガキ大将がいて、親分がいて、子どもたちのなかにルールができていた」、0513「幼児期から親と子ども、親と地域との交流がなくなる。自分自身だけの考えで行動している。人とのかかわりが希薄になり、事件につながる要素がある」、0704「しつけを学ぶおじいちゃん、おばあちゃんの存在もいない。しつけをする若い親にしつけ方を教えるといった、世代に応じたしつけが、まちの中で必要」、0703「しつけといって抑えつけるよりも、子どもには愛情が必要。親が抱きしめれば、その暖かさから何かを学ぶ。家族愛とか子どもへの愛情が大切。愛を含めた学習を楽しむことを、まちとして何ができるか。若い方に是非考えてほしい」、1002「地域ぐるみ、まちぐるみでしつけを考える核になるのは家庭」、1303「私たちは家庭教育の中で教わった。それが地域社会に生きるための術」などの委員発言が多数あった。
 これに対して、起草結果では、4-03「今の家庭、今の大人自身のあり方に危機を感じる。私たち自身が、今の生き方を見直さなければならないと考える」とし、次のようにその方策を提言している。「親が子に、地域の店で買うことを教えることによって、地域の人々が支え合う姿勢を伝える」、2-05「アウトレットに来たお客様を、『家庭・地域に支えられる商店街』に誘導して、アウトレットの魅力とともに、佐野のまちづくりの良さを味わってもらう」。
 これは、「子育てまちづくり」が、地元商店街の活性化などの公的課題としての地域振興とともに進められるよう提言したものととらえられる。
 しかし、委員発言のなかには、0707「妻が地元の人間ではない。周りをみるとそういった方は結構いるが、地元のコミュニティに参加しづらい」などと、ある層の市民のなかには、地域にとけ込みづらい者もいることを指摘する発言もあった。
 地域と交流しようとしない親を責めるのではなく、現在のコミュニティをどのようにしたらそういう親たちがとけ込めるようになるのか、検討を進める必要があると考える。とくに「参画」と「仲間づくり」によるまちづくり推進の観点から、その方法について検討することが重要であるといえよう。

F 自然の教育力
 自然の教育力については、0302「佐野市は合併により自然豊かな広大な地域となった」などの委員発言があった。
 これに対して、起草結果では、「河川、山林、農地等に関する学びと山村振興活動」という章を設け、まちづくりへの参画が目指すものの重要な一環として「持続可能な開発」を挙げている。そして、次のように委員発言を紹介している。

 関東平野に向かって日光連山はモミジの手のように広がっています。それで奥まっている所が、たまたま飛駒とか秋山だったり、松田のダムの地区だったりとなっています。この付け根には、前日光基幹林道という道が通っています。これは作られたものじゃなくて、まさしく自然のものなのです。その端々には、地域の人たちが頑張ってログハウスを作ったり、釣り堀を作ったり、手打ち蕎麦を作ったりしている集団がポツンポツンとあります。曲がりくねった道だけど、これが全部つながっているのですよ。自然を愛する人は必ずいます。一過性で人が集まって、テレビで流れて人気が過熱化するというのとは違った世界というものが、必ずあるのだと思います。
 そういった意味で、私は秋山という地域に力を入れてきたつもりなのです。これからの考えとしては、商店街振興だけに力点を置くのではなくて、地域の隠れた財産というものを私は大事にしたい。それを生涯学習推進やまちづくりの中で、どういった位置づけをするのか考えていきたいと思います。

 このような委員発言があったため、起草結果は、「人々が生活していける、しかも自然環境をこれ以上悪化させない山村振興」を求めるものとなっている。
 このような「山村振興活動」のプロセスと、その結果としての「守られた自然」が、青少年と親にどのような「教育力」を発揮しうるのか。また、そこで発揮される社会化機能はどのようなものか。以上の検討を進める必要があると考える。

G 教育機関の教育力
 教育機関に関しては、委員からは次のように数多く期待が述べられた。0502「(親は)わからないから学校に行くということが大事」、0706「昔の家族・学校制度の方が良かったが、今の世の中にあった形で親に受け入れてもらえるようにしたら良いのでは」、0708「身近な公民館を中心として展開していきたい」、1204「公共の施設の場所を広げていく」、1307「公民館は子どもたちで借りるなんて見たことがない」、1201「子どもたちの意見を取り入れる学校経営があってほしい」、1205「これから親になる中・高校生から親育てをしてもらう学習プログラムを提言する『親育て学習プログラム』を考えてワークショップなりを授業の一環の中に入れてもらう」。
 以上のことから教育機関への期待としては、「教育機関に実施してもらう」、「教育機関と連携して実施する」、「教育機関を拠点として(市民が)実施する」という3種類があるといえる。
 これに対して、起草結果では、「わたしたちからの呼びかけ」の章のなかの「市民の仲間たちへ」において、「追いつめられた子どもたちを出さないまちをつくろう。支持的風土と人権尊重のまちづくりの中で、若者のあこがれる大人になろう」と提言し、市民主体のまちづくりを呼びかけている。その上で、「佐野市行政へ」においては次のように提言している。

 既存施設については、「まちづくりへの市民参画」と「市民としての生涯学習」の往復運動の観点から、新たな活性化を図ってください。たとえば、旧田沼地区の地区公民館などについては、その観点から、組織変更、人員配置を含めて、「貸し施設」から「活動拠点施設」への抜本的転回を図ってください。
 職員、とりわけ専門職員に関して、市民の求める職能を分析し、それに応えることのできる資質・能力をもった職員を適正配置してください。
 公的施設の夜間ボランティア館長の導入、広報の「まちづくり」、「生涯学習」関連ページにおける市民の企画・編集など、公的部門への市民参画の機会を拡大してください。

 以上から、起草結果は、市民参画の原則に立った施設運営と、専門職員等の指導者の必要の両者を提言したものととらえられる。さらに、「生涯学習推進構想への提言」としては、次のように述べている。

 これまで、多くの自治体の推進構想では、あくまで行政としてすべきことを計画化し、表明することを主眼としていて、市民に対する露骨な注文はややもすると抑制されてきたように感じます。しかし、佐野市生涯学習推進協議会としては「協働」の観点から次のように逆注文しておきたいと思います。
 行政として、市民の協力なしにはできないこと、市民でなければできないととらえていることは遠慮なく、はっきり示してください。まちづくり、生涯学習推進における、行政の課題、市民の課題、協働の課題のそれぞれを、官民協働で互いに検討しましょう。これが、今後の各自治体の生涯学習推進構想の本来のあり方になると私たちは考えます。

 この起草結果は、まちづくり等の公的課題の学習に対して、行政側が市民主体の姿勢を鮮明にし、なおかつ公的課題の「提起者」の一員として、行政としての主体的役割を積極的に果たすよう求めたものととらえられる。
 教育機関においても、青少年や親などの学習者側の社会化不全の実態を嘆くことにとどまらずに、まちづくり等の公的課題の提起によって、社会参画活動の推進に努める必要があると考える。
 その場合、教育機関による公的課題の提起、参画活動との連携、参画活動の拠点機能の発揮、活動支援などの方法について、より詳しい検討を進める必要があると考える。また、一般行政とは異なる独自の機能としての「教育力」を実現するためには、集団の参画活動過程における個人の社会化過程の構造を明らかにし、効果的な社会化支援の方法を実践的に明らかにする必要があるといえよう。

H 家庭の教育力
 家庭の教育力についても、次のように、委員から多くの発言があった。0507「社会を形成しているのは家庭」、0703「しつけといって抑えつけるよりも、子どもには愛情が必要。親が抱きしめれば、その暖かさから何かを学ぶ。家族愛とか子どもへの愛情が大切。愛を含めた学習を楽しむことを、まちとして何ができるか。若い方に是非考えてほしい」、0704「しつけを学ぶおじいちゃん、おばあちゃんの存在もいない。しつけをする若い親にしつけ方を教えるといった、世代に応じたしつけが、まちの中で必要になってくるのではないか」、1001「中高生が中心になって自分たちで子どものまち条例を作っているしつけを、家庭・地域・職場でやっているか、日本では疑問」、1003「わが子のことを真剣に考えているかいないかわからない親が多い中で、ましてや他人のことなんかどうでもいいやっていうのが現実」、1203「『今の自分たちの生活が楽しいから生まないんだ』とか、いろんな人が言いますが、私は、自分たちの心の貧しさがそういうことを物語ってくるのかなと感じています」、1206「家庭教育をどのように勉強し直すか、ということから入っていっていただきたい」、1303「私たちは家庭教育の中で教わった。それが地域社会に生きるための術」、0706「昔の家族・学校制度の方が良かったが、今の世の中にあった形で親に受け入れてもらえるようにしたら良いのでは」、1002「地域ぐるみ、まちぐるみでしつけを考える核になるのは家庭」、1302「居場所であるべき家庭が居場所ではなくなってきている子たちが多くなってきている。家庭はどういうふうに夫婦で築いていくものなのかということを、しっかり今の子どもたちから考えて」。
 これに対して、起草結果は、4-01「家庭教育の回復を挙げたい。親子の交流、共有、感動、絆、そして感謝の気持ち、このような大切なことが、今、失われつつある」、4-03「今の家庭、今の大人自身のあり方に危機を感じる。私たち自身が、今の生き方を見直さなければならない」と、家庭の教育力に対して委員のもつ大きな期待を反映する結果となっている。
 その上で、起草結果では、一方策として、次のように「親教育」の意義と方法について述べている。4-04「親の不安や悩みに的確に応える親学習プログラムを提供することの重要な意義が示されている」、4-10「獲得能力目標の明示された親学習プログラムとして編成する手法を開発したい。このことによって、親学習プログラムの作成における親自身の参画が可能になると考えられる」。
 従来から、青少年教育関係者のあいだでは、「子どもの問題以上に、それを育てる親に問題がある」、「社会教育で親のための学習プログラムを実施しても、学校教育のように義務教育ではないので、本当に学ぶ必要があると思われる問題のある親は参加しようとしない」ということがよく言われてきた。
 今回の起草結果は、その「閉塞状況」に転回をもたらす要素として、「子育てまちづくりへの参画」およびそれに伴う「仲間づくり」の重要性を指摘したものととらえられる。親教育も、このような公的課題への参画活動推進の一環として位置づけられているととらえることができる。
 この点については、今後、さらに検討を進め、親の社会化過程の実態と基本的構造に的確に対応した支援の内容と方法のあり方を明らかにする必要があると考える。

4.1.5 結論
 以上の佐野市生涯学習推進基本構想作成過程の検討結果から、次の点が明らかになったと考える。

① 「まちづくり推進」という公的課題の学習において、生涯学習推進関係者のあいだでは、青少年と親の社会化不全の状況が問題視された。
② 社会化不全状況の解決のためには、先述の「社会化促進要因」が重要であると認識された。
③ 「まちづくり推進」において、これらの「社会化促進要因」を活性化するための方策については、委員発言および起草結果から、「居場所」、「参画」、「仲間づくり」などに関して、実践的で有益な一定の提言が行われた。
④ しかし、「地域教育力」、「家庭教育力」などに関しては、現在の「衰退」「閉塞」等の状況に対する憂慮がややもすると強く表れ、実効性のある現実的な支援方法を十分に具体的に明らかにするまでには至らなかった。

 ④に述べた問題の解決のためには、「子育てまちづくり」等の「まちづくり推進」における青少年と親の社会化過程に関する構造的理解のもとに、その支援方策を明らかにする必要があるといえよう。

4.1.6 討論-社会化過程の構造的理解
 佐野市のまちづくり推進のような公的課題学習の推進にあたって、青少年・親の社会化を効果的に支援するためには、さらに次の課題について検討する必要があると考える。
 子育てまちづくりに至るまでの学習の発展の構造は次のように考えられる(図4.7-5)。「問題解決のための個人学習」→「自分の子育て行動に対する気づき」→「親の会や地域社会における『仲間』との出会いを基礎にした集団学習」→「親の子育てまちづくりへの参画行動」。これは、親の社会化過程の構造に他ならない。
 また、青少年の社会参画活動に至るまでの学習の発展の構造も、「自分への関心」→「自己への気づき」→「他者への気づき」→「社会への参画」という同様の社会化過程が考えられる(図4.7-6)。
 しかし、これらの構造は単純な一方向的なものではない。①集団学習によって、個人学習による自己への気づき効果がより高まる、②主体的、客観的条件が整った場合は、地域社会における「仲間」との活動自体が、学習活動にとどまらずに、まちづくりへの参画活動そのものとして行われる、③仲間との参画活動が個人の気づきを深め、集団学習の質をレベルアップさせる、などの「連鎖」や「循環」が想定される。そのため、一つのモデルをすべての学習の発展段階や社会化過程に当てはめることはできない。個人の学習の局面ごとに、さまざまな循環とねじれを経て発展していく状況をより詳細に検討しなければならない。
 さらに、現実には、社会参画能力の獲得という「高度な社会化」に至る以前の社会化困難の状況が控えている。現代の若い親たちにとっては、「公園デビュー」などの多難な社会化課題が山積し、青少年にとっては仲間との過剰な同一化等の社会化不全による阻害要因が立ちふさがっていると考えられるのである。
 生涯学習推進施策において公的課題の学習を効果的に促進するためには、研究面では、「まちづくりへの参画」に至るまでの彼らの社会化過程を、より実態に即したかたちで構造的に理解するための研究を進める必要があると考える。


レベル4 子育てまちづくりへの参画   契機(親の会や地域社会での活動) レベル3 自分自身や家族関係に対する気づき   契機(家族の問題解決の取り組み) レベル2 自分の子育て行動に対する気づき   契機(わが子の問題解決の取り組み) レベル1 わが子のことをよく見る 図4.7-5 親の能力開発ラダー レベル4 社会への参画   契機(仲間づくり活動) レベル3 他者への気づき   契機(他者との交流) レベル2 自己への気づき   契機(他者との出会い) レベル1 自分への関心 図4.7-6 青少年の社会参画能力開発ラダー
























[資料1]中間答申作成スケジュール
回 内    容 01 平成17年度第1回佐野市生涯学習推進協議会 02 佐野市生涯学習推進協議会に伴う専門部会説明会 03 専門部会②「新佐野市まちづくり部会」第1回会議 04 専門部会④「わがまち発見交流部会」第1回会議 05 専門部会③「異世代の共生と参画部会」第1回会議 06 専門部会④「わがまち発見交流部会」第2回会議 07 専門部会①「推進基盤・支援体制部会」第1回会議 08 専門部会②「新佐野市まちづくり部会」第2回会議 09 専門部会④「わがまち発見交流部会」第3回会議 10 平成17年第2回佐野市生涯学習推進協議会 11 平成18年度第1回佐野市生涯学習推進協議会 12 中間答申起草委員会第1回会議 13 中間答申起草委員会第2回会議 14 中間答申起草委員会第3回会議 15 平成18年度第2回佐野市生涯学習推進協議会 注 ○は青少年育成及び子育てまちづくりに関する審議のあった回



[資料2]専門部会の設置
 資料1の02「佐野市生涯学習推進協議会に伴う専門部会説明会」において次のとおり専門部会を設置し、それぞれの柱に沿って審議を行った。同資料1の10「平成17年第2回佐野市生涯学習推進協議会」において、この専門部会は解散し、起草委員会の審議に引き継がれた。
部 会 名 基本的な柱 1 推進基盤・支援体制部会 ① 各旧市町の優れている点を、細かなことまで洗いざらい出し合って、共有する。
② 市民が「私らしさ」を社会の中でよりよく咲かせるための展望を示す。
③ 市民が学び、まちづくりの主人公になるために、行政は何ができるのかという展望を示す。
④ 新佐野市のすべての部署が生涯学習推進のために効果的に役割を果たすための仕組みをつくる。
⑤ 既存の人的・物的資源を生涯学習推進のために有効に活用する仕組みをつくる。 2 新佐野市まちづくり部会 ① 各旧市町の優れている活動を、細かなことまで洗いざらい出し合って、共有する。
② 地域のすみずみの諸活動を、生涯学習及びまちづくり活動と結び付けて整理し、体系化する。
③ 「あなた任せ」の市民がいなくなる市民主体の「まちづくり活動」の枠組みを示す。
④ 「知らん顔」の部署がまったくなくなる「生涯学習支援」によるまちづくりの道筋を示す。
⑤ 「『まちづくり活動』が、市民一人一人の『自分づくり』と『地球や人類の未来を守ること』につながる」ということをわが国全体にアピールする。 3 異世代の共生と参画部会 ② 各旧市町の優れている活動や施策を、細かなことまで洗いざらい出し合って、共有する。
③ とくに、青少年の社会参加、成人の自分探しや社会貢献、異世代交流等については、実現可能な具体的方策を示す。
④ 生涯学習推進のために、学校教育とより一層有機的に連携するための方策を示す。
⑤ 子育て支援と家庭教育の充実のため、地域全体の子育て、青少年育成機能を活性化するための方策を示す。
⑥ 生涯学習推進がわが国の少子高齢化ダメージの縮小につながるということをわが国に全体にアピールする。 4 わがまち発見交流部会 ① 各旧市町の人材、文化、自然、施設、設備等の「宝物」を、細かなことまで洗いざらい出し合って、共有する。
② 青少年の参画も得て、新佐野市「地域の宝物マップ」を作成・配布し、協議会の活動の成果が市民全体に共有されるようにする。
③ 多地域の多様な活動が、地域ごとにますます発展するように努めるとともに、テーマごとに旧市町の枠を越えてつながり、交流できる仕組みをつくる。
④ 当部会で進行中の研究の成果は、当部会の判断および他部会の要請により、随時、他部会に報告し、全体の協議研究成果のまとめに生かすようにする。
⑤ 発見された「宝物」を全国にアピールすることによって、よその地域の人々にもっと訪れてもらえるようにする。

[資料3]中間答申の構成
 資料1及び2に示した審議の結果、中間答申の構成は最終的には次に示す構成に基づく中間答申が起草された。

見出し 頁 Ⅰ はじめに 1 本中間答申までの経緯 1 2 本中間答申の背景 1 Ⅱ 中間答申の趣旨 1 中間答申の趣旨 5 2 専門部会の構成と検討の基本的な柱 7 3 答申の構成 8 Ⅲ 中間答申 1 まちづくりへの参画 9 (1)郷土愛をはぐくみ、ふるさとを守るために 9 (2)田中正造などの郷土の偉人の整理と提示 9 (3)少子高齢社会の問題解決 10 (4)男女共同参画によるまちづくり活動 11 (5)河川、山林、農地等に関する学びと山村振興活動 12 (6)家庭・地域に支えられる「中心市街地活性化」 14 2 子育てのまちづくり (1)支え合う仲間との活動の重要性 15 (2)家庭教育の回復と親学習プログラムの開発 16 (3)子どもや若者の居場所をつくろう 17 (4)地域子育て宝物マップづくり
18 3 幅広い生涯学習活動の活性化 18 (1)趣味・教養分野の市民研究成果の社会還元と
 大学による支援 18 (2)健康づくりと仲間づくり 19 Ⅳ わたしたちからの呼びかけ 1 市民の仲間たちへ 21 2 佐野市行政へ 21 3 生涯学習推進構想への提言 21 -資料編- 【活動事例】 (1)鐙塚宮比講神楽の伝承 23 (2)地域女性会の活動と課題 23 (3)子ども会を通した青少年健全育成の活動 24 (4)葛生における「原人祭り」等の地域おこしの活動 25 (5)老人クラブによる三世代交流事業
 「グラウンドゴルフ」の活動 27 (6)市民による「佐野市まちづくり研究会」の活動 28 (7)不登校、ひきこもりなどの子どもの
 居場所づくりの活動 29 【関連事業】 (1)青年が参画する佐野市青年団体活動促進事業
 (ちゃいるどりーむ) 31 (2)子どもの居場所づくり事業 31 (3)親学習プログラムを活用した家庭教育支援事業 32 (4)地域の子育て支援者として活動する
 家庭教育オピニオンリーダーの養成 33 (5)協働による生涯学習の推進活動「楽習出前講座」 33 (6)自然体験活動の活性化と
 インタージェネレーションによるまちづくり 34 (7)社会体育の基本方針
 「総合型地域スポーツクラブの育成」 35 【参考資料】 36 (1)平成17年度「市政に関するアンケート調査結果」
 から 36 (2)「こどもの街宣言」(旧佐野市)(平成5年) 40 (3)「佐野市協働のまちづくり推進会議」報告から 41 (4)専門部会④「わがまち発見交流部会」の作業結果 42 (5)地域立脚型から地域一体型を目指す大学
 ・短期大学の役割 43 (6)「まちづくり」を通した住民参画の先進地事例  -「福祉でまちづくり」の愛知県高浜市と「有償ボランティアによる市民力でまちづくり」の埼玉県志木市の事例から 44 (7)市民会議を中心とした生涯学習の推進
 -埼玉県所沢市の事例から- 48



[資料4]関連発言の内容
回No 委員 発言内容と社会化促進要因(注) 0301 13-1 子どもとふるさとづくり、子どもとまちづくりという観点からの働きかけが必要。今までの基本構想の中にも、学校や地域、まちづくり、町会を通じての働きかけがあったが、はたしてどこまで具現化できているか。 E 0302 12-1 佐野市は合併により自然豊かな広大な地域となったことで、生涯学習の考え方も変わっていくと思う。子どもたちを主役としたふるさとづくりなど、合併という新しい情勢に答えた生涯学習活動も良いと思う。 F 0501 18-1 「こどもの街」ということは、豊かな大人の街でもある。 E 0502 18-2 子育ての段階では、それぞれの段階で必要なことがある。わからないから学校に行く、わからないから同じ仲間と意見交換するということが大事。 G、C 0503 06-1 話さない子どもは、大人が子どもに話しかけなかった。コミュニケーションがない。
0504 06-2 最近、幼稚園児からどこの幼稚園に通わせようか、教育熱心なお母さんがいる。有名な遠い所に通う。親も子どもも地域との交流がまったくなくなっている。小さい時から地域との交流がないと難しい。 E 0505 18-3 昔の人は親の姿をみじかに見られた。今は、離れてすぎていて親の存在感じられない。働くところを見学し、感じることは非常に重要。 D 0506 06-3 共有するものがない。感動することがない。ばらばら。親子で共有するものがあるといい。 0507 19-1 社会を形成しているのは家庭。家庭が集まって町内、町内が集まって、佐野ができている。1つの単位ごとに家庭教育を。 H 0508 18-4 子どもの街推進のための生涯学習としての取り組みを入れていけば、異世代の共生と参画につながるのではないか。子どもを大事にすれば、いずれ子どもは大人になり高齢者も大事にすることにつながる。立派な自立した社会人を育てるために「こどもの街宣言」の精神を入れてほしい。 0509 19-2 「こどもの街宣言」を続けることは、時代を担う21世紀、次々、継続的に担っていく、そして、成長した人が発展させていく、また、次に期待を込めて発展させるための土台作りをしていく。 0510 19-3 地域の子どもたちを育てていくとするならば、それは町内で行うべき。昔は町内にガキ大将がいて、親分がいて、子どもたちのなかにルールができていた。 E 0511 18-5 市民像の実現に向けたすべての活動は、市民参加の生涯学習。大人が子どもの成長にかかわる街・互いの幸せづくりにかかわる街。 E 0512 18-6 育成会の役割は、子どもを育てる地域の活動が中心、市子連活動は情報交換の場である。地域の交流の場づくりへの子どもの参加の配慮を。子どもの居場所づくり、子どもの安全保持活動。「大人のすごさ」を見せる場づくりを。 E、A、D 0513 18-7 遊びの質は、大人たちが環境配慮をしていかないと確保できない。「こどもの街宣言」を推進していけば、豊かな子どもを育てる。豊かな子どもを育てることは自立した大人を育てることと同じである。幼児期から親と子ども、親と地域との交流がなくなる。自分自身だけの考えで行動している。人とのかかわりが希薄になり、事件につながる要素がある。昔は、バランスがよかった。自然とかかわり人とかかわり、だから空き地があるといい。子どもの群れる場所があるといい。 E 0701 02-1 生涯学習というのは、産まれてから死ぬまでの学習だが、学齢期はどこかがやっている、中高年になると生涯学習は非常に盛んである。一番抜けているのが、子どもにしつけをする年代、学齢を終えたばかりの年代である。母親になったばかりの女性は、本当に学ぶ気にならないと学べないし、その時間もない。そういった人たちにしつけを、ただほったらかして委ねて良いのか。そうではないと思う。子どもが小学校に入る頃になると、PTAとか、母親学級とか学習の機会は結構ある。では、学齢に達するまでの若い親をどのように生涯学習に取り込んでいくのか。非常に大事な課題と思っている。子育てで忙しいなかにあって家庭に閉じこもりがちの方をどうするか。 G
0702 02-2 旧佐野市では、学習を楽習にした。学ぶことは楽しいということを実感できる生涯学習であってほしい、まず自分が楽しみ、それが佐野市の社会づくりへとつながっていくというのが旧佐野市のコンセプト。楽しくなければならない。その楽しみと「ハート」"愛"を入れたい。しつけというと、押さえつけて教えていくようだが、そうでなく、自分で学んでいく中にさらに「愛」を入れていく、今度の生涯学習の計画の中に位置づけられないだろうか。 0703 02-3 小学校に入った孫がいるが、それをきっかけに、世の中の子どもと、小さい子を持つお母さんに目がいくようになった。お母さんは、携帯をやって、1歳くらいの子がよちよち後をついてくる。昔の母親は必ず手をつないだ。今の母親は片方は荷物、片方は携帯のメールで手をつながない。それで子どもが遅れると、早く来いと手を上げる。しつけといって抑えつけるよりも、子どもには愛情が必要。親が抱きしめれば、その暖かさから何かを学ぶ。その中でしつけが必要なときはそうすれば良い。子どもが小学校に上がるまでの学習機会が少ないと前述したが、その間こそ、家族愛とか子どもへの愛情が大切。愛を含めた学習を楽しむことを、まちとして何ができるか。若い方に是非考えてほしい。 H、E 0704 08-1 今の若者を見ていて、しつけの崩壊が1番の問題になっていると感じる。若いお父さん・お母さんが家庭でしつけができない、学校の中でもしつけができない、ではどこでしつけを行えば良いのかという問題がある。若い親にしつけを教える場所もない。核家族化が進み、しつけを学ぶおじいちゃん、おばあちゃんの存在もいない。今後ますますしつけがなくなり、私らしさを取り違えると、自由奔放に何でもしていいということとなる。私らしさというのは、しつけをきちんと受けたなかで、個性を磨いていくというものが良いと思う。子どもにしつけることはもちろんだが、しつけをする若い親にしつけ方を教えるといった、世代に応じたしつけが、まちの中で必要になってくるのではないか。このような取り組みは、個人レベルではなかなか構築できないので、まちぐるみで構築する必要がある。 H、E 0705 14-1 旧佐野市においても、コミュニケーション・しつけの問題は情報発信をしていたが、飛びついて来ない。忙しい年代、仕事が忙しくて、休みがない、プラスアルファの勉強・活動ができない。決してやっていなかった訳ではなく、どうやって母親も含めて参加してもらえるかが問題。 0706 14-2 子どもの教育の基本は、家庭と学校。怖いけどやさしい親・おじいちゃんがいなくなった。昔の家族・学校制度の方が良かったが、今の世の中にあった形で親に受け入れてもらえるようにしたら良いのでは。 G、H 0707 08-2 1歳と4歳の子ども抱えているが、妻が地元の人間ではない、周りをみるとそういった方は結構いるが、地元のコミュニティに参加しづらいという問題がある。青年会議所で親業を学ぶ機会もあり、こういったものが広がっていけば、しつけるというだけでなく、本当のコミュニケーションの取り方といったような形から考えると入りやすいのではと思う。 E 0708 03-1 身近な公民館を中心として展開していきたい。子どもを面倒みてくれる人の存在が必要。または、保育園・幼稚園などに子どもが行っている間にお母さん同士集まってみるとか。 G 0709 03-2 会沢地区のコミュニティセンターには常に誰かいると聞いた。子どもの居場所づくりを始めた。交代で地区の方が詰めているようだ。 A 0901 07-1 先日の中学生の集まりのこと。中学生全員(10人)「私、住んでいるところが好き」「自然がなくなるのはいや」と言っていた。「この自然のままで、多くの情報が来ればいい」。「都会には住みたくない」。中学生同士で交流の場がないから、意見を言う場がない。以前あった中学生サミット。一日ではなくて続けてやればもっといろいろな意見が出たのではないか。子どもたちもこれからもやりたいと言っていた。「参加」ではなく「参画」。 C 0902 15-1 子どもたちは働きたいと思っている。昔は子どもは手伝いや仕事をよくしていたが、働いていたのではなく遊びの一種としてやっていた。高校生のアルバイトは、学業専念の考えから好ましくないという考えが主流だったが、容認に変化している。社会でなければ学べないこともある。お金をもらうがゆえに我慢しなければならないことがある。 D 1001 16-1 愛知県高浜市は、中高生が中心になって自分たちで子どものまち条例を作っている。子どものまち宣言も、子どもたちが中心になって考えなければいけないと思う。しつけの問題でも、ヨーロッパ等では地下鉄にお年寄りが乗ってくると、子どもたちが黙っていても席を譲る。しつけを、家庭・地域・職場でやっているか、日本では疑問。戦後の民主主義は良い面もあったが、確実なしつけをしてこなかった。 H、D 1002 16-2 民主主義は、基本的に必ず責任を伴う。そういったことを、戦後教育ではあまり教えてこなかったことが、自分が自由にやればいいという環境を引き起こしている。そこを、地域ぐるみ、まちぐるみでしつけを考えることは大切であり、その際、核になるのは家庭であろう。 E、H 1003 11-1 子どもというのは、叱らなければ人間にならない。どうやって叱ってあげるかが問題。「叱られて、叱られて、ぎゅっと抱きしめられることが子どもの真の幸せ」と言っている宣言は、決して甘やかすような表現はない。世間の大人たちも、わが子のことを真剣に考えているかいないかわからない親が多い中で、ましてや他人のことなんかどうでもいいやっていうのが現実ですから。 H 1201 07-2 子どもたちの意見を取り入れる学校経営があってほしいし、それをやってみようという先生方であってほしい。お互いに意見を言った、入れてくれた、じゃあなんとかしよう、そこから信頼関係が生まれる。よく言われる学校の図書館が、従来型のではなくてごろっと横になれて読める机なんかいらない図書館であってほしい。我々の目から思うですけど、やはりいつも暗いよう図書館です。子どもたちが学校の中でどうしてほしいかと意見を聞く場、児童会とか何か、小学校の内から自分の学校をどうしたら良いのか、愛校心を育てるにはそれかな。空き教室に物置のように物を置く。いけないですよね。第三者が行くと目につく。言っていいのか悪いのか思いながら、一から十までとはいわないけれど、そのようなものの聞く場、それも専門職ではないですが、聞いてくれる職員、窓口を設けてほしい。やはり生涯学習なんかに係わっていたりすると、異動があって、退職するまでに全部の課を回れるから、非常に職員にとってはいいが、自分が生かせる場で職員が働くことによって、それが市民に還元される。義務的に異動するのではなく、適材適所で職員を配置していただきたい。 B、G 1202 16-3 高浜市の場合、小学4年生から中学生中心で、「子ども白書」というのを作ったのですよ。先進的に子どもが中心になって、自分たちが考えるまちづくりはこうだよって。ことばづかいだけは調整して、子どもたちが言ったもの、その声をまちづくりにするような「子ども白書」を作っている。佐野も、市役所の職員、大人の目線だと、杓子定規に考えちゃう、公園など全部同じようなワンセット主義でね。子どもは場所によって、ここは野球をやりたいから他の施設・遊具はいらない。この遊び場には、どういうものが似合っているかどうか、子どもの目線のほうが確かだ。自分たちが遊ぶ当事者だから、そういうものは子どもの意見を直接聞いたほうが、本当に子どもが喜ぶようなものができる。 B 1203 01-1 今の若い子は何で子ども産まないのって、もう親の責任じゃないけど、「社会情勢が悪いから生まない」とか、「今の自分たちの生活が楽しいから生まないんだ」とか、いろんな人が言いますが、私は、自分たちの心の貧しさがそういうことを物語ってくるのかなと感じています。 H 1204 01-2 市の生涯学習の基本の中に、こういうプログラムが組まれているとすると、例えば公民館活動って言うんでしょうか、そういうところで提案して公共の施設の場所を広げていくということでしょうか。 G 1205 07-3 これから親になる中・高校生から親育てをしてもらう学習プログラムを提言すると、子どもたちが強くなる。そういった幅広い学習をしていくことによって、自分たちが親になった時に、何かできるのではないかって考えられるのではないか。親が育てられないなら、「親育て学習プログラム」を考えてワークショップなりを授業の一環の中に入れてもらう。 H、G 1206 07-4 今だからこそ、子育てを一生懸命やっていかないと、日本はダメになってしまうと思っています。家庭教育が本当に今ズタズタです。ですからその家庭教育をどのように勉強し直すか、ということから入っていっていただきたいと思っています。「こどもの街宣言」も、合併したからなくなるのではなく、あれは生かしてほしいと思っています。 H 1207 01-3 義務教育というと窮屈、嫌なことを押し付けられる感じですが、生涯学習は一生涯、生きている以上は何事も学習なんですという考え方かな。自分は何でもやってること全部そう思う。 1208 01-4 確固たるレールのようなものがなくとも、消防団活動、PTAの時にもそうでしたが、子どもを見つめたとき、わが子ばかりじゃなくて、それを通じての親の役目、どう活性化すべきか、そういう導き方をしながら、集団で楽しんでいくことが、地域を愛するというふうに変わっていくような気がします。私が原人まつりで全くその通りのことをやったつもりですけども、こういうことで、郷土愛の「ズタズタ」という言葉、なかなか使えない言葉ですけども。 C 1209 16-4 子育てに関しては、愛知県の高浜市はコンセプトがはっきりしていて、福祉でまちづくりをやっています。市長さんが「福祉特区」って言っています。その中で「子育てのまちづくり」というのを謳っている。日本のまちづくりで一番先進的な所だと思いますね。階層別にいろんなまちづくりの施策が作られてあり、例えばまだ小学校に行ってない子どもの場合は、かつて保育園の先生や、幼稚園の先生をやられた方が、有償ボランティアみたいな形で各地区3、4人にいます。お母さん方が子育てに悩んでいる場合、自分と子どもの弁当を持って、9時時頃から午後3時頃まで一緒に過ごすことによって、そういう人たちの面倒をみて、子育て支援をやってるんです。小学校、学童関係ですと、学童保育というのがありますが、各地区に「子ども館」というのがあって、そこに行くとリタイアされた高齢者が、夏休みだったらば夏休みの宿題をみてあげたり、いろんな遊びを教えてあげたりとか、各年代に分かれた形での子育てプログラムが、全部できています。 G 1210 15-2 最近の子どもは、15歳位で、「昔は」という言葉を使う。子どもは人生を長く感じている。そういう世の中に自分たちは生まれていることを、言葉ではなく感覚で肌で感じている。彼らが友情は大切だとか、友達がいて有難かったとか言いますが、社会人になっていろいろ揉まれてから、少なくとも30歳過ぎて、友達が大切だと思うのならわかるんだけども、もう15歳未満でこういうことを真剣に本当に考えてしまう。考えているけど友達としてそういう話はできない。だれがその話を聴いてくれるかというと、親では照れ臭くて言えない。昔は身近にいる先輩が話を聴いてくれたものですけど、先輩ですら自分のことで精一杯。じゃあ本当に聴いてくれるのは誰なのかという世論調査とかアンケートなんか取ると、本当の相談相手はいない。幸か不幸か僕の場合はうちに来ている生徒は個々にみんな話をしてくれるから、ある程度ストレス解消になっているかもしれない。僕のほうも自分の話をしているからストレス解消になっています。だから、居場所づくりが必要だなと感じますね。僕は自分の家を居場所にして、若者が何人か来ますけども、好きなこと喋っています。そういう場、昔は隣の家によく遊びに行ったものですけど、それができない世の中。僕の地区はちょっとおかしいのかも知れないけども、私の家が、その居場所として必要なんだと考えています。何らかの形を取っていきたい。そういう活動が僕が言っている普段の市民活動です。市民大学とか生涯教育の中で生かせていけたらいい。 A 1211 01-5 私たちの街は鉱山だから、昔名前があった山がどんどん削られて崩れてしまう。各地域の資源じゃないけども、今から15年ぐらい前から、子どもの目線でものを考えるという中に、これと同じ項目があったんですよ。いわゆる匠のおじさんはどれなのか、子どもからみてこのおじさんはすごいぞと。例えば普段の生活は厳しい生活をしていても、子どもからみるとこの人は宝物に見えたりする。 D 1212 07-5 旧佐野市では遊び場の冊子を作ってあります。それを全部探検して、遊び場マニュアルみたいのがあって。田沼も確か作っています。郷土芸能の伝承、太鼓、笛、そういったものが伝承されなくなってきている。今やっている地域は郷土芸能があるんですけど、だんだんそのなり手がいなくなって、廃れていってしまう。ついにはなくなってしまうのではないかと思うぐらいの状態にあります。小学校単位で色々、八木節や、オカリナとかはやっているんですが、郷土の芸能を伝承するスクールみたいなのを、作っていくのもひとつかなと思います。佐野に伝わるものでも何でも構わない。とにかく、昔ながらのものをなくさないように、次世代につなげていくことが大事。そこで連帯感が生まれて、郷土愛が生まれて、付随するものが色々出てきてつながっていくと思います。 D 1213 20-1 皆さんのおっしゃる通りで、今話題になっております「家庭の日」とか、そういうような活用もあるし、伝統芸能ですね、本当に大事にしなくちゃならない。 1301 16-5 高浜市の「子どもの権利部会」では中学生が中心になって子ども市民憲章を作っています。「たかはま子ども市民憲章」は中学生が中心になって作っています。これから高浜市の中心になっていくのは中学生である。これをはっきり謳っている。まちづくりに参加させている。 B 1302 07-6 居場所、いちばん子どもたち、親もほっとする、ああ、うちへ帰ってきてよかったという、あの居場所。居場所であるべき家庭が居場所ではなくなってきている子たちが多くなってきている。この現実を思うと、やはり家庭はどういうふうに夫婦で築いていくものなのかということを、しっかり今の子どもたちから考えてやっていかないと、これからの子どもたちが、今度、次世代の親になった時に何も考えられない。だから、基本が抜けていて居場所をつくりましょう、何しましょうではなくて、次の子たちのための家庭教育の実践プログラムとか、そういったものが答申の中に入ってきているという感じです。 A、H 1303 07-7 昔親が教えていたことを、道路の端っこに寄って停まってなさいとか、それから、回覧版を持っていきなさいとか、ありきたりになったものが、今は教えてられなくて、ちょっとそこを避けなさいよって言ったら、きれてブスッとやられちゃったとかね。そういったものを、私たちは家庭教育の中で教わった。だけど今の人たちには教えられていない子が今は目に付く。そういうものの、それが地域社会に生きるための術ですよね、端っこによるとか、ご近所さんと仲良くするとか、そういったものが全部含まれてた家庭という社会の中でね、それができてたものが今そうではなくて、みんなよそ様に目が行って、教育はみんな学校にお任せして、みんな学習塾にお任せしてっていうものになってきている。 H、E 1304 16-6 高浜市の子育て、子育ち政策への住民参画の取組み。ここに住民を参画させていまして、子どもの出生率もここはあがっている地区です。なぜいうと、ここは子育てが非常にしやすい。1歳、2、3歳とか階級保育ではなくて、家庭保育、グループ保育活動が中心で、かつて幼稚園、保育園の先生だった人とかを、有償ボランティアみたいな形でやっている、その地区ごとにそのお母さんたちも弁当をもってそこに行くとそこで面倒をみてくれる。子どもを一人でなく2人3人と産む。非常に子育てがしやすい仕組みを作っている。
1305 07-8 佐野地区子連としては、地区10町内の単位の子ども会の、佐野地区としてやっているものが3つあります。単位子ども会として各町内でやっているものも、事業はたくさんあります。特徴的なものがたくさんありますけど、子どもたちは80~90%、ほとんど全員参加です。それがやらされているとか、出なくちゃいけないというものではないのですけど、自然に、子どもたちが親と一緒に活動していくというものが定着しているものですから。佐野小学校の中で通学している1~6年生までの子どもたちの中で、全員が一緒に何かをやるというものが地区子連の事業なのです。ぐにゃぐにゃたこのデザインコンテストだとか、キャンプファイヤーとか、かるた取りとかがそれに入ります。これが30年近くやっています。他の地区がやっているものもありますが、佐野地区としてはこれがずっと途切れることなくやってきているものです。私で会長は4代目ですが、前の会長さんたちは一生懸命やってきたものを受け継いで、今私が6年継続しています。町内には子ども会長と育成会長がいます。その人たちと会議をしながら、事業を展開しているのがこの子ども会です。最後のほうに書きましたが、このような新聞を出しています。年に2回ですけど。1号目からやっていくと、手書きのガリ板刷りから始まったという歴史があります。ここに登場している子どもたちが、当時こうだったなということがわかりますので、歴史の良さ、代々受け継がれてきた伝統というものの中で、子ども会がずっと発展してきたということを訴えたいです。子ども会が果たす役割というのが大変大きくて、大きくなった子たちがこれに遊びに来たり、今30代、ちょうど小学校に上がった子どもたちの親が、「私もこれをやっていたんです。あの当時はこうでしたよね」とか話しかけてくる。それの繰り返しが、重みを感じるのです。これはなくしてはいけないものだのだなぁと。今全国ネットで子ども会が衰退しているという話は聞きますけど、私はこれをずっと続けていきたいと思っています。 E 1306 18-8 学校で子どもの居場所づくり、今は国の事業となっていますが、その前に犬伏東の子どもを育てる会というのがあって、結局子どもの安全な場所がない、安全な場所がないと子どもは育たないと思っています。放課後の件、ここずっと10年くらい考えていることですが、やはり子どもが活動する場所、その確保は大人の最低の義務だと考えています。そんなことを考えていたものですから、4年前佐野市で不審者の情報があった時にこれは地域で守らなくてはだめだということで、町会長や関係者を呼んで状況を説明して、安全確保を図ろうと、安全確保だけではつまらない、マイナスのイメージの活動になるものですからそれ同時に、能動的に子どもを育てていく、そういう中から守っていくということから始めていいと思って、遊び場所を確保しませんか、何とか地区ごとにどこか一箇所くらいあるでしょうということで、2地区出てきて、たまたま国の居場所づくり予算が来たものですから、これ幸いと始めたものです。実際活動をやって、面白い例ですが、さわやか指導員の若い子が来ていたので、ちょっとバスケットをやってみないかとバスケットを月1回その子に頼んだら、仲間を連れてきて子どもと遊んでくれる。肩車をしてくれる、じゃれ付く、活動になって、最近は中学2年生になって、「来ていい先生?」と。「あたりまえじゃない」と答える。だんだん先ほどの「好循環」になりつつあります。これが例えば小学校単位で一つずつできれば28箇所できるではないか、2箇所ならば56箇所、それがやっていけば子育ての面で誰もが子育てに参加できる。ましてや遊びの中から学ぶことができるのではということです。 A、B 1307 15-3 さっき小学校単位にして考えた地区子ども会、もちろん必要ですけども、外側から眺めてみると、参加している子どもたちというのは一体何割いるかというと、僕がみるにそんなに多くは感じない。夏祭りとか秋祭りとかに子どもたちが行けば、なんとなく多くの人に触れ合う機会を持っていることになります。そういうことも必要でしょうけれど、大人とふれあい、じいちゃんとふれあい、ばあちゃんとふれあい、近所の子どもたち・仲間とふれあう機会・話す機会、腹・頭の中にあるもの、考えているものをしゃべりたいというか。私の居場所の子どもたちは、私がついていけないくらいおしゃべりが多くて、鬱積して溜まっているものが多いんだなとつくづく感じます。そういう意味で、居場所は何らかの形で作る必要があるだろうと思う。実際は、栃木県の会議では、このような居場所はこの数年の間に3倍に増えてきました。簡単に言えば、自分の家を開放しただけですよ。これも必要なのでしょう。一時的なものにしかならない場合もある。条件が整わないとできない。賑やかになっちゃいますから近所迷惑になることもある。しかし、それはそれで良い所もある。条件環境を整えるとなると、本当はコミュニティセンターや学校の一部を開放するとか、公民館とかが望ましい。でも、大体、公民館は子どもたちで借りるなんて見たことがない。責任者がもちろん必要でしょうけど、責任者がいてそこに集まる子どもたちが何かをする。趣味のものでもいいです。スポーツ、スポーツとよく言われますけど、スポーツのできない子もいるわけですから。そういう子たちは折り紙でもいい。漫画を読む機会でもいい。今流行りのDVDでもいい。そういうものをみんなで観る機会、小映画館みたいなスペースを作ったりということも考えられるんじゃないか。 A、G 1308 18-9 どなたが考えても居場所は同じ。みんな同じなのです。基本的には、一緒にやる経験。例えば、まず、子どもの世界は命令されてやるものではないじゃないですか。今親がしゃべり過ぎだし、過保護の世代・家庭・本人というのがあるけれど、いかに問題が多岐にわたるのかがよくわかる。基本的にはしつけはすべきですね。でも、あとは自由にするべきことがなければ子どもはわからない。コントロールしすぎたら子どもは叱られるように育つ。僕は基本的には、子どもが安全で、テレビゲームとかじゃなくて、人と関われる場所が必要なんです。そして今までのように感情のやりとりの中で、これやろう、あれやろう、ダメだよ、みたいな経験があって、やっぱり一緒にいると楽しい、何かのときは助けてくれるとか、虫にかまれたら大丈夫と心配してくれる。つまりは人間同士なんだという、原初的体験が今できていない。みんなバーチャルな世界だから。それから人との言葉のやりとりを面倒くさがったりしますので。まずは、その場の確保。ある意味それだけでもいい。余り活動を作っちゃうと、「やれ」というと逆に窮屈になってしまう。 A、C 注 社会化促進要因の種類=A居場所、B参画、C仲間づくり、D文化や労働の伝承、E地域の教育力、F自然の教育力、G教育機関の教育力、H家庭の教育力


[資料5]青少年と親の社会化に関わる中間答申起草結果
1 少子高齢社会の問題解決 1-01 わが国は、現在、少子高齢社会の問題に直面している。この点について、若手労働力人口の減少がおもに問題にされているが、私たちは、まちづくりの観点から、それとは別の次の三つの「社会問題」について指摘しておきたい。 1-02 第一に、若い世代とそれより上の世代との間に利害対立の問題がある。これが世界的にも問題になりつつあり、異世代間交流(インタージェネレーション)の重要性が叫ばれている。この問題をどうするか。佐野市では、どのような手法で、世代を越えた合意形成をしていくのか。 1-03 まちづくりについて、世代を越えた参画の中での合意形成が重要になると考えた。子どもから高齢者までが、地域の公園づくり計画に参加する。高齢者が「子どもが遊んでいてうるさい」と言い、若いお母さんが「年寄りがゲートボールをしていて邪魔」などと言って互いにいがみ合うのではなく、互いに納得して受け入れることのできる公園づくりを行う。このことによって世代間の利害対立を乗り越える可能性が生まれる。 B 1-04 第二に、子育て支援のあり方の問題がある。出生率向上のための出産補助金等の諸施策は悪いことではない。しかし、まちづくりへの市民参画推進の観点から言えば、これがもし、若い親たちの子育てのための主体的な意欲と能力を損ない、行政や関連専門機関等への「あなた任せ」的な態度を助長する結果に陥るとしたら、これは重大な社会的損失と言わざるをえない。 1-05 この点については、親が支援される立場だけでなく、自分のできる範囲で、子育てしやすいまち、子育てしていて楽しいまちにするために力を合わせることが重要である。たとえば、PTAや保育園の保護者会など、全国的にはかなり弱体化し、親の関心が薄くなってきている。わが子のことだけで頭がいっぱいになっている。わが子のことをよく見るということは大事なことではあるが、今回の答申では、それがさらに発展し、親たちが力を合わせて「子育てのまちづくり」に参画する方向を提案したい。 B 1-06 その場合でも、子どもの参画によって、子どもたち自身の意見も聞きながら「子育てのまちづくり」を進めていくことが重要である。「子育てのまちづくり」については、次章で改めて提言したい。 B 1-07 第三に、若者の社会意識の問題がある。出生率を高めるだけでは少子高齢社会の本質的な問題解決にはつながらない。社会的意識、社会的責任感など、社会の側から見た若い世代の質の高さが問われるのである。しかし、現実には、1990年代にすでに「仲間以外はみな風景」という若者の特徴が指摘されている。いつも一緒にいる数人の仲間だけが重要であり、それに一生懸命協調したり同化したりしようとする割には、ややもすると、社会どころか、仲間以外の他者に対してさえ無関心という傾向が見られる。 1-08 労働力人口の減少の問題だけならば、外国人労働者の受け入れ拡大などで、ある程度は解決できるかもしれない。しかし、次代の社会を支えるべきわが国の若者が、その社会に関心がないという状態が続くとすれば、これはわが国の少子高齢社会の致命的問題になりかねない。若い世代の人口比率だけが問題なのではなく、彼らがどのように社会に関心をもち、責任をもち、支えようとしてくれるのかということこそが重要といえる。 1-09 この点については、現代の若者たちの一人一人に適した形での「まちづくり活動」を開発し、その活動への参画を促進するようにしたい。そこで、社会貢献、社会参画の楽しさと、自己を社会的にうまく位置づけることができた場合の自己充実の喜びを感じさせたい。これは、少子高齢社会における抜本的な問題解決策の一つと言ってもよいだろう。 B 2 家庭・地域に支えられる「中心市街地活性化」(抜粋) 2-04 その今までの結論は、「家庭・地域に支えられる商店街」である。親が子に、地域の店で買うことを教えることによって、地域の人々が支え合う姿勢を伝える。さらには、地域の人々が消費者として、地域の店で購買行動をするというだけでなく、参画の観点からいえば、生産や流通、地域規模の商品開発にまで関わって意見を述べたり、参加・協力したりする。 E 2-05 アウトレットのような劇的な商業施設をまねようとすることよりも、私たちは、このように「家庭・地域に支えられる商店街」を目指すことのほうが、「佐野市らしい商店街振興」だと考える。そして、アウトレットとはむしろ有機的な連携を図り、アウトレットに来たお客様を、「家庭・地域に支えられる商店街」に誘導して、アウトレットの魅力とともに、佐野のまちづくりの良さを味わってもらうようにしたい。 E 3 支え合う仲間との活動の重要性 3-01 現在、少子化が進む中で、多くの若い親たちは周りや地域に支えてくれる人もいないままに、メディアや本などから得た知識を頼りに、「子ども・子育て商品」を受動的に受け取りながら子育てをしている。そのため、親の主体的、自発的な子育て意欲も萎え、子どもはその影響をまともに受けてしまっている。このままでは、少子化によるわが国のダメージは計り知れないものになる。 3-02 わが国においては、多くの親たちの子育てに関する関心事はわが子のことだけであり、そのほかのことは専門家任せ、ましてや「子育てまちづくり」などはほとんど「あなた任せ」の現状であるといえよう。しかし、「わが子の問題」が生ずると、その問題解決のための子育て学習が行われる。当初の学習は、メディアや本などからの知識を受動的に受け取る「個人学習」が中心になるだろう。その学習が効果的に行われた場合、対症療法的な問題解決方法の発見にとどまらずに、自分の子育て行動に対する気付き、さらには、自分自身や家族関係に対する気付きに発展する可能性がある。そのとき、親の会や地域社会における「仲間」との出会いを得た場合、実践的な「集団学習」が効果的に展開される可能性がある。この学習が、親の子育てまちづくりへの参画のための意欲と能力を高めることが期待できる。 C 3-03 このように想定した過程を「親学習の発展過程」として図2に示した(略)。もちろん、この過程は一方向的なものではなく、循環して発展していくことが予想される。 3-04 この想定における、「わが子」のことから出発して「あなた任せ」にしない「子育てまちづくりへの参画」に至る過程は、自己の充実のための生涯学習が、まちづくりへの参画という実践との往復運動によって発展する過程と一致するものといえよう。 B 3-05 そして、ここでも重要な要素となっているのが「仲間づくり」である。PTA、保護者会、子ども会を通した親同士の交流、さらには町会などの地域のまちづくり団体の参加、協力を得て、「あなた任せ」から脱却して、支え合う仲間を持つことが重要である。特に若い母親が、核家族化した家にわが子だけと引きこもり、「公園デビュー」におののかなければならない状況を考えると、その意義は大きいと言えよう。 C 3-06 そして、子育て支援のあり方を社会的視点からとらえた場合、PTA、保護者会、子ども会、町会などの活動を通した「子育てまちづくりへの参画」のもう一つの大きな意義が浮かび上がってくる。それは、出産補助金、駅前保育園などの福祉的施策により「支援される」だけの対象であった親たちが、自らが仲間をつくって、自分たちのできる範囲で支え合い、実践的な学習を通してまちづくりに参画し、その「福祉」をつくりだす主体にもなるということである。 B、C 3-07 もちろん、少子高齢社会においては、出生率向上のためのさまざまな福祉的諸施策が今まで以上に必要であることはいうまでもない。しかし、子育て支援の目指すべきこととして、親たちが仲間づくりを通して互いの子育てを支え合い、地域もそれを支えること、さらには、生涯学習やまちづくり活動を通して「子育て環境の改善のための市民参画」を行うことを、もう一つの重要な支援方向として指摘しておきたい。 B、C、E 4 家庭教育の回復と親学習プログラムの開発 4-01 ここでは、「子育てのまちづくり」が目指すものとして、家庭教育の回復を挙げたい。親子の交流、共有、感動、絆、そして感謝の気持ち、このような大切なことが、今、失われつつあるのではないか。 H 4-02 先に、「ふるさと」は、「他国を排斥しない愛国心」、「自然への畏敬の念」、「宗派を問わない宗教心」、「自分を育ててくれた自然、地域、人々への感謝の念」、そして、「社会の中で生きる力」につながるための「始まり」として、個人にとって格段に重要な意味をもっていると述べた。同様に、「家庭」は、それらの「始まりの始まり」だと言える。これが現代社会のなかで「ズタズタにされる」危険性を私たちは感じている。 E 4-03 他者の痛みを感じる気持ちはどうか。人に迷惑をかけないようにするという規範意識はどうか。働くということを大切にするという態度はどうか。私たちは、このような点について、子どもたちだけでなく、今の家庭、今の大人自身のあり方に危機を感じる。私たち自身が、今の生き方を見直さなければならないと考える。 E、H 4-04 しかし、このような個人の範疇に属する事柄は、押し付けや強制によって解決すべきものではない。まさに、個人の自発的意思に基づく生涯学習の中で、一人一人が自律的に考えていくべきことである。ここに、親の不安や悩みに的確に応える親学習プログラムを提供することの重要な意義が示されている。 E、H 4-05 すでに栃木県では『親学習プログラム集』を作成、配布するなどの普及に努めている。佐野市でも、そのプログラム集に基づく指導者研修に家庭教育オピニオンリーダーを派遣し、市民への普及活動に努めている。 E、H 4-06 私たちは、その一層の普及・活用を期待するとともに、次の点について提言しておきたい。 4-07 第一に、先に述べた観点から、「わが子のこと」から出発して、PTA、保護者会、子ども会、町会などの仲間との活動を通して「子育てまちづくりへの参画」に発展できるような配慮をすることである。その点で、『親学習プログラム集』において、参加型学習の手法が多く取り入れられていることなどは、高い評価に値すると考える。 B、C 4-08 第二に、学習目標の設定と提示である。これは、到達目標の達成に対して、プログラム提供者側と学習者側が相互に責任をもつという態度によるものであり、「教育の視点」とも言うことができよう。「到達目標」や「教育」と言うと、一部には、押し付けや強制という誤解に基づく反発もあるかもしれない。 4-09 しかし、達成目標(できれば各回ごとの)を設定し、それを明示して学習者側の理解を求め、目的意識的な学習を促進することは、むしろ「学習者主体」の考え方に基づくものだと私たちは考える。「子育てまちづくり」を含めて「まちづくりへの参画」における学習は、問題解決のための市民の目的意識的な学習であり、学習プログラムにおいて、その課題を実現するための目標設定が明確であることは必須条件といえる。 B 4-10 私たち生涯学習推進協議会としては、親が必要と思っている親能力を構造化して、これを獲得能力目標の明示された親学習プログラムとして編成する手法を開発したい。このことによって、親学習プログラムの作成における親自身の参画が可能になると考えられる。 B、H 5 子どもや若者の居場所をつくろう 5-01 現在、多くの青少年が「自分らしさ」を大切に思い、「自分らしくいられる居場所」を必要と感じていると言える。そして、その居場所とは、まずは「自分の部屋」であったりする。しかし、その部屋を出たときに重要なのは数人の「仲間」である。その仲間同士の関係自体も、必ずしも「居場所」と言えるものではない。「みんな、みんな」と言って同調しているように見えて、じつは「ひとりぼっち」という孤独感を感じている、すなわち「みんなぼっち状態」であるという指摘もある。また、この点については、メディア環境の影響も検討する必要があるだろう。しかし、その場合、各メディアについて一概に是非を論ずることよりも、各メディアの適性に応じたコミュニケーションのあり方を検討することのほうが生産的と言えよう。 A 5-02 ただし、現在の青少年の交友関係やメディア利用の影響によって、「いろいろな人間関係を経験しておく」という体験が欠如したまま大人になるとすれば、これは決定的な問題と言わざるを得ない。 5-03 このような青少年に対して、まちづくりに参画する大人たちが、仲間づくりをして、互いの違いを認め合いながら、それぞれの「自分らしさ」を社会に発揮する姿を(青少年の居場所において)示すことは、重要な意義をもっている。PTA、保護者会等に関わる親たちはもちろん、それ以外のまちづくりに関わる市民も、わがまちの子どもや若者たちに目を向けてほしい。 A、B 5-04 「子どもや若者の居場所づくり」を提言したい。それ(居場所)は、青少年も大人も、ともに参画する「まちづくり活動」の一環として位置づけられる。居場所を求める青少年にとって、まず大切な居場所の条件は、「あるがままの自分でいられる」、「無条件で歓迎される」ということである。 A、B 5-05 しかし、私たちは、それを大切にした上で、まちづくりに参画する自らの姿、そこでの多様な仲間関係の魅力、社会参画の手応えを伝えていきたい。そして、彼らを地域に囲い込もうとするのではなく、社会に羽ばたいていく巣立ちのための巣として、居場所を提供したい。「自分の部屋」のたんなる延長ではなく、最終的には自立して社会に出ていくための拠点として「居場所づくり」を位置づけたい。 A、E 5-06 このことは、青少年にとって、「同化を迫る他者や社会」という認識から、「自己の存在価値を認める他者や社会」という認識に転換する貴重な機会になるだろう。また、まちづくり活動にとって、青少年は旅人と同様の「新しい風」を吹き込んでくれる存在になってくれるであろう。 5-07 現代は、親、大人、中高年自身が、青少年と同じように「自分らしくいられる居場所」を求めている時代とも考えられる。今まで述べてきた「子育てのまちづくり」を含む「まちづくり」の観点からは、それらの願いに対する端的な解答は「仲間との参画」と言うことができるだろう。 A、B、C

4.2 宿泊型青少年教育施設における支援方法

 宿泊型青少年教育施設は「集団宿泊訓練」による社会化支援を行ってきたが、現在までに、多くの自治体で、「時代遅れ」、「財政合理化」のためなどの理由で廃止されつつある。
 しかし、そこでの事業報告書や研究成果報告書を確かめてみると、実際には、現代青少年の個人的ニーズに対応しながら、公的課題の学習を推進するための方法を実践的に追求してきた蓄積を多数見ることができる。個人化と社会化の統合的支援を最先端の現場で受け持ってきたといっても過言ではないと考える。
 青少年の社会化支援が社会的にも重視される現在、その方法に関するおもに1990年代までの蓄積を確かめ、検討しておきたい57。

4.2.1 青少年教育施設の基本的性格
 最初に、宿泊機能をともなう少年自然の家と青年の家には指導系職員が多く配置されていることに注目しておきたい。あとでみるように、これらの職員が施設の「宿泊機能」のなかでどのようにその専門性を生かせばよいかという課題が繰り返し議論されている。この点で社会教育主事や公民館主事と異なる独自の課題がみられる。
 国立青年の家は、自主性に満ちた健全な青年の育成をはかるため、団体宿泊訓練を通じて、次の各号に掲げる教育目標の達成に努めるものとされた。①規律、協同、友愛及び奉仕の精神をかん養すること。②自律性、責任感及び実行力を身につけること。③相互連帯意識を高め、郷土愛、祖国愛及び国際理解の精神を培うこと。④教養の向上、情操の純化及び体力の増強を図ること58。
 国立少年自然の家も、同じく自主性に満ちた健全な少年の育成をはかるため、少年を自然に親しませ団体宿泊訓練を通じて、次の各号に掲げる教育目標の達成に努めるものとされた。①自然の恩恵に触れ、自然に親しむ心や自然に対する敬けんの念を培うこと。②規律、協同、友愛及び奉仕の精神をかん養すること。③自然の中で心身を鍛錬し、自ら実践し、創造する態度を育てること59。
 以上から国立青年の家、国立少年自然の家に共通していた特徴を指摘しておきたい。①青少年の健全育成を目的としている。②団体宿泊訓練を通じた規律、協同、友愛、奉仕の精神の涵養を目標としている。③広域交流や先導的な事業や運営により、その成果を広く公立青少年教育施設に及ぼし、水準向上に資することが求められている。④団体活動の助長および青少年教育指導者・関係者の研修のための事業が意図されている。⑤少年自然の家だけでなく青年の家も「引率責任者が定められ」「あらかじめ具体的な研修計画を定めている」いわば「しっかりした団体」の利用を想定している。
 とくに上の①と②については、1959(昭和34)年4月の初の国立青年の家の中央青年の家が設置された際に、すでに「団体宿泊訓練を通じて健全な青年の育成を図るための機関」と法律に明記されているとおり、国立青少年教育施設の一貫した基本的性格ということができる60。

4.2.2 青少年教育施設の歴史

 国立中央青年の家所長足立浩は「青年の家の源流」として、わが国の漢学塾や塾風教育、欧米の組織キャンプのようなフォーマルな教育訓練の面と、若衆宿、ユースホステルのようなインフォーマルな面の2つの流れを指摘した。足立はとくに下村湖人の青年団講習所について、「昭和初頭の人間性を無視した強圧的な鍛錬主義の教育に反対して、良心をもった自主的人間の育成をめざした。そのために横の関係を緊密にする修練に重点をおき、温かな雰囲気の中で日常生活を深め高めることに努力した」とし、フォーマル、インフォーマルの両面を具備した教育として高く評価し、今後の青年の家のあり方と重ね合わせた61。また、若衆宿との連続性の側面を認めつつ、「それとは区別されて青年倶楽部が位置づけられる」とする議論もある62。
 1955(昭和30)年を境にして青年学級が全国的に停滞の傾向を示していた。このため文部省は青年学級の振興に努めるとともに、従来の「青少年野外訓練施設」等の規模を大きくし、職業に関する実験実習の施設整備を進めた。これらの施設を1958(昭和33)年からは「青年の家」と称し、地方公共団体に対して助成を始めた。翌年には国立中央青年の家を設置したこともあり、青年の家の名称と役割は全国的なものになっていった63。
 1959(昭和34)年までは運輸省のユースホステル、労働省の勤労青少年ホームにも「青年の家」という名称が使われていたが、以降は「青年の家」の名称は文部省のみが使うことになった。ユースホステルの整備にともない「野外旅行の拠点」という性格は薄れていき、国立中央青年の家の設置にともない、公立青年の家の性格も「研修、野外活動、団体宿泊訓練」の方向へと向かった64。
 1960年代には青年の都市集中が進んだ。そのため「青年の日常生活圏内にあり、いつでも容易に利用できる青年教育施設」が要請され、1964(昭和39)年から宿泊機能のない都市型青年の家が設置されることになった65。
 1971(昭和46)年の約15万人をピークに国立中央青年の家の利用者は減少を始めたが、1972(昭和47)年自民党文教部会「社会教育振興5ヵ年計画」では「青年(15~24歳)人口1727万人(1975年)の約70%が毎年1回、3泊4日の集団宿泊訓練をするのに必要な国立、公立青年の家の施設(12万床)」が目標とされ、県・市立で678ヵ所の整備計画が示された。全国青年の家協議会の文献では、これに対して「前途洋々」と評したうえで、1969(昭和44)年経済企画庁「全国総合開発計画」で広域施設として位置づけられた青年の家の「必要性がよく理解され、支持されなければならない」とし、投資効果を配慮した「青年の家の適正配置」の必要を説いている66。これは、ときの青少年政策と団体宿泊訓練による教育機能との整合性を証明する事例といえよう。それとともに施設側の「広域施設」としての期待される機能発揮への戸惑いも示されているととらえられる。青年の家に関する補助金は1995(平成7)年度に廃止された。
 公立少年自然の家については1970(昭和45)年に補助が始まった。1973(昭和48)年には文部省社会教育局長通知「公立少年自然の家について」が出された。そこでは「学校と少年自然の家とは相互の教育機能を補完しあう関係」が強調され、学社連携が強く意識されていたことがわかる。少年自然の家に関する補助金は1996(平成8)年度に廃止された67。国立青年の家は1976(昭和51)年に設置を完了している。また、国立少年自然の家については1975(昭和50)年に初めて設置され、1991(平成3)年の設置をもって完了した。
 2001(平成13)年4月には、行政改革の一環として全国の国立青年の家と少年自然の家がそれぞれ独立行政法人として再出発した。独立行政法人の設立は「事業のスリム化、効率の高まり、質の向上、透明性の高まり」をもめざすものであるが、このような状況のもと、「とくに近年の『生きる力』を育てるための学校外活動の充実が強調される動きのなかで重視され続けなければならず、事業の確実な継続が必要」と指摘されている68。
 さらには、都市部の自治体ではその前後に公立青年の家の移管・統廃合等が検討されている。埼玉県は「勤労青少年を含む青少年の利用が徐々に減少」などを課題として、2002(平成14)年度末を目途に青年の家を廃止し、翌年度から「新しいタイプの青少年教育施設」の検討を進める。東京都は新たな青少年社会教育施設として「ユースプラザ整備方針」を策定したことにともない、2002(平成14)年度には7カ所のうち2カ所だけ残して閉所した。神奈川県では県と市町村の役割分担を理由として、青少年施設を「青少年の身近な活動の場」とし、地元市町へ移譲等を進めた。名古屋市では現在の青年の家に代えて都心部に新青少年教育施設の整備を検討している。このように、団体宿泊訓練を基本的性格とするこれまでの青少年教育施設は、都市部の、しかも県立の施設から、時代や行政改革の波に洗われつつある69。
 これらの大きい変化以前の1995(平成7)年7月に、すでに国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議(主査坂本昇一)は、前年の総務庁の行政監察の勧告を踏まえ、「国立青年の家・少年自然の家の改善について-より魅力ある施設に生まれ変わるために」を報告(以下「協力者会議報告」と呼ぶ)している。同報告は、文部省組織令の「団体宿泊訓練を通じて健全な青少年の育成を図る」ための施設という規定について、「これまでの施設の運営は、ともすれば規則に基づいた、指導者が一方的、形式的、画一的に行う訓練的なものになってしまい、また、利用者のイメージとしても、楽しさよりも厳しさ、堅苦しさが先行している面があった」のでこれを改め、「団体宿泊訓練という言葉は、理念そのものではなく、あくまで手段・手法」とした70。
 しかし、「団体宿泊訓練」自体が否定されたわけではない。この言葉は、独立行政法人国立青年の家の2001(平成13)年度からの「中期計画」においても、基本方針冒頭に施設の目的として明記され、継続された71。

4.2.3 宿泊型施設における指導性と専門性の困難

 宿泊型青年の家独自の教育機能としては、たとえば朝夕の「つどい」等を含む生活時間のなかで、「規律正しい集団生活・訓練を体験させる」こととされてきた。そのことについて「今日の社会的風潮からすれば、利用者が『自由に使えて便利な施設』ほど良い施設であるように考えられがちであるが、青年の家はもとからこのような施設ではない」という記述がみられる72。当時の宿泊型施設、とくに国立施設は、生活指導に関してはこのように確固たるアイデンティティを自負していた。
 そこでの「生活指導」については、当時の次のような記述にその「教育性」を見出すことができる。「青年の家の生活は、個人の目標と集団の目標を同時に達成していくことが必要であるが、究極は、個人がどのように生きていくかというものへのつながりを持たせる場である。このことから青年の家の生活指導は、ただ規律や規則を守らせるだけではなく、なぜ『きまり』が必要なのかを一人一人が納得するようなものでなくてはならない」73。
 このような生活指導に支えられたアイデンティティに対して、研修指導については、1970年代には、「一人の職員がフォークダンスを指導し、職員の人間関係を講義し、青年の生き方を話すなど、スーパーマン的活躍をして自己満足をしているものもいる」という指摘がみられる74。指導依頼の内容は、レクリエーション、野外活動、スポーツをあわせると73.5%にのぼった。一般教養、青年団体活動等に関する「文化」は15.3%であった75。
 また、1979(昭和54)年の指導系職員の調査から、「青年の家は主催事業を主体とするか、受け入れ指導事業を主体とするかについて、指導系職員の意見は、宿泊型青年の家ではほぼ同じ割合で両論に分かれ、非宿泊型青年の家では主催事業主体が受け入れ指導事業主体の2倍になる」ことが報告された。そして、報告者は、青年の家が教育機関として存立するためにも主催事業を実施することが必要と主張している76。
 このように、宿泊型であっても、施設提供に終始することなく、教育機関としての専門性の発揮のために主催事業に力点をおこうとする議論があった。それは従来の団体宿泊訓練における生活指導機能が、研修指導を含めた体系化という困難な課題に直面して戸惑い、さらには時代の変遷のなかで生活指導自体も発揮しづらくなってきたという状況を示している。かといって主催事業だけに完全に乗り換えてしまうのでは、独自の教育機関としての展望を見失うのは明らかである。なぜならば宿泊施設提供事業のなかでの指導性のあり方も、時代に適した新たな形で、なおかつ主催事業のなかでの指導性と両立する形で見出さないかぎり、「団体宿泊訓練」を独自の役割とする青少年教育施設の存在価値を示すことはできないからである。
 さらには、それに加えて宿泊型施設職員の勤務実態の厳しさも念頭におく必要がある。土・日曜日はもとより早朝や夜間にわたる勤務が恒常化し、そのうえ、多くの青年の家は、施設の性格上、市街地から遠く離れた山間や海浜に位置しているので、変則的勤務・交代制勤務の困難さは大きい77。たとえば東京都青年の家の主催事業は、「国際青年年」であった1985(昭和60)年の記念事業を契機に、それ以降増えていったものである。青年の家開設当初の社会教育主事の役割は「受付から帰りまでのスローガンのもとにそれぞれの活動を助成」することであり、「利用団体への対応に追われ、主催事業の実施自体が困難だった」と指摘されている78。
 さらに1999(平成11)年の調査では、6~7割の県立施設が、事業運営上の課題として「施設・設備の老朽化」、「予算が少なく期待する事業ができない」をあげている。しかし、大規模な施設・設備を誇る国立施設においても「活動分野ごとの専門性のある職員の不在」等が課題としてあげられている79。
 このことから、まずは、過去には意気込みをもって盛んにつくられ、職員も勤務の困難に耐えてきた多くの青少年教育施設、とくに宿泊型施設が、時代の変容のなかで老朽化すなわち「取り残され」「放置されている」問題が指摘される。しかし次に、たとえそれが改築され、デラックス化されたとしても、専門職員(指導系職員)がどのように配置され、どのように「専門性」「指導性」を発揮するかということが、より本質的な課題として残されている。
 宿泊施設特有の勤務の困難さの中で、指導系職員の専門性をどのように確保すればよいのか。協力者会議のいう「人材の計画的養成」による専門職員の専門分野の多様化80は重要な指摘である。しかし、専門分野の多様化という場合、そのように多岐にわたる「専門性」の底を流れる共通の「教育性」の基盤をどこにおくのか、明らかにする必要がある。その基盤として、個人化/社会化の統合的教育機能を検討したい。

4.2.4 青少年教育施設に求められる個人化/社会化機能

 1973年、全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』創刊号は、青年の家の基本的性格を「集団を通じての教育機関である」と規定し、公立青年の家に共通する3要素として次の点をあげた。①個人利用ではなく、団体、グループによる利用。②日帰り研修ではなく、少なくとも1泊2日以上の宿泊による研修。③規律・協同・友愛・社会性・市民性等の涵養といった生活訓練。
 そして、このような団体宿泊訓練の教育がもつ独自性として次の3点を主張している。①知識の伝達だけでなく、生きていくための意欲を高める生活指導。②職員と青年、青年と青年との全人的な接触を前提とした教育。③集団生活における秩序と責任を重視した教育。さらに、標準的な教育目標として次の3項目を列挙している。①規律ある生活と時間厳守。②信頼される言動と相互教育。③友の発見と友情81。
 今日盛んに叫ばれている「生きる力」やコミュニケーション能力の育成、「規範意識の形成」にも十分通じる考え方が、すでに当時示されたものととらえることができる。しかし、このような団体宿泊訓練のもつ従来からの教育性を今日に生かすためには、それをどのように新しいかたちで展開するかということが重要になる。
 1974(昭和49)年、『青年の家の現状と課題』第2集は、当時の青年について「自己主張が強すぎる」「国家・社会に関する意識が薄い」などの特性を指摘し、「青少年の自律性を高め、自己啓発を援助する作用」としての生活指導の重要性を訴えた。そして「自発的集団活動の意思決定に基づく集団規範の樹立と、その実践を促す場や時間の設定が位置づけられていない」と青年の家での生活時間の問題点を指摘した82。
 これら、青少年の社会化に向けた主張が、個人が集団や社会に埋没することを促そうとするものではなく、むしろ個人が自己の体験によって気づきや深まりを自発的に獲得することを重視している点に注意しておきたい。それは前出論文「生活指導と研修指導」における「(生活指導の)究極は、個人がどのように生きていくかというものへのつながりを持たせる場」との主張と軌を一にするものである83。
 しかし、そういう努力にもかかわらず青少年の団体活動は衰退していく。そのなか、1979(昭和54)年総理府の青少年問題審議会「青少年と社会参加」(意見具申)は青少年の社会参加・団体活動への参加は「孤独・不安・不信・無力感・混迷などというマイナスの側面を克服するためにも必要な営み」とした。これを受け、青年の家は、これらの団体・グループ活動に関して、①既成青少年団体への施設提供、②青少年団体結成・助長、③青年の家利用者への団体紹介等を通した役割を果たそうとした84。
 しかし、その後、今度は逆に個人化重視の風が吹くことになる。
 1985(昭和60)年6月、臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」は、欧米へのキャッチアップを実現したわが国の教育改革の基本的考え方として、個性重視の原則をあげ、生涯学習体系への移行を訴えた。「個性重視」はその後の審議でも中心課題であり、1987(昭和62)年の最終答申では、教育の基本的在り方と視点として、①個性重視、②生涯学習、③変化への対応を提示した。これ以降、青少年教育施設は、この考え方に大きな影響を受けながら展開する。
 1993(平成5)年の「全国青年の家実態調査」では公立青年の家ではボランティアを導入していない施設が半数を超えたが、国立施設においては逆に8割以上が活用していた。しかし、登録ボランティア数については「不足している」に比べ「余っている」という回答が多かった。そこで、調査結果としては「志願者は多いのに、施設によっては十分に活用しきれていない」と結論づけられている85。
 さらに、このようなボランティア導入について、「なぜ本人の自発的意思に基づいて自由に行われるはずのボランティア活動を、『育成する』とか『活用する』とかいうことになるのか。本旨に立ち戻って考えると、支援とか助長とかいう表現の方がふさわしいと思われる」という指摘もされた86。
 ボランティア活動は若者自身の社会参加欲求の表れとみることができる。しかも、それは本質的には個人的な行為である。このような活動を青少年教育施設がどう扱うかは、まさに新しい社会化機能のあり方が問われる事例といえる。
 1995(平成7)年1月の阪神大震災以降のボランティア志向の高まりのなか、青少年教育施設においてもボランティア導入が盛んにおこなわれたが、「施設の側も何のためにボランティアを受け入れ、養成事業を実施しなければならないのか施設職員間での共通理解もできないまま、ただ忙しくなっただけという不満が残るだけ」、「ボランティアの側も、体よく施設のお手伝いをさせられているだけという憤懣を抱くだけ」という状況が生じた87。
 これについて青少年教育施設ボランティア研究会(加藤雅晴座長)報告書は、「ボランティア個々の特性を的確に把握し、活動を通して自己実現・自己開発ができるよう支援する」コーディネータの配置と養成などを提起し、さらに、「ボランティアと施設職員とのコミュニケーションの深化」として、「施設がボランティアに対応する際、ともすれば登録された集団とみなし画一的になりがちであるが、ボランティアを『個』としてとらえて、それぞれのボランティアの考え方や特性を把握し、個別に対応する」よう提起している88。
 このように、施設ボランティアの導入は、不可避的に施設自身にボランタリズムの指導という困難な課題を持ち込み、団体宿泊訓練に象徴される従来のアイデンティティを、ボランティアに代表される個人化傾向という時の流れとどう整合させるかということが問われる結果をもたらした。
 そして、青少年教育施設におけるボランティア導入の結果が、職員の多忙感やボランティアの「やらせられ感」につながらないようにするためには、職員個人とボランティア個人との「対話」が必要ということが示唆された。
 また、個人の出会いの支援も主張された。前出「協力者会議報告」は、従来、学校や青少年団体などによる利用が中心となっていた施設利用について、これからは、施設を「青少年の出会いとコミュニケーションの場」と考え、少人数のグループや個人での利用についても受け入れていくよう提言した89。
 このように、出会いやコミュニケーションの体験はたとえ「個人的」ではあっても、同時に欠かせない重要な「社会化」の行為といえる。
 前述の1979(昭和54)年の青少年問題審議会意見具申以降、青少年の個人化傾向に対処することが青年の家の諸事業でも課題になり始めた。ただし、理論面では社会化機能の究極のところに「個の重視」をみてきたが、実践面では、青少年の個人化傾向の否定的側面だけとらえて、団体活動の意義を単純に対置させるものが多かった。
 逆に、1984(昭和59)年の臨時教育審議会発足以来、個性重視が叫ばれてきたが、実践面では、それが社会化と有効に結びついて展開されることは難しかったようだ。そのため、前述のように現状を批判する議論が多かった。青少年が引き起こす「問題」が社会を大きく揺るがすたびに、個人化を否定し、規範意識の形成等による社会化等を説く議論が蒸し返されてきたといえる。
 このような個人化/社会化の二項対立と無限循環の問題は根が深い。この二項対立は個人にも深刻な影を落としている。他者との同質化というある種の社会化過程が、自己の異質性等をかなぐり捨ててでも実現しなければならない重荷として意識されている。
 しかし、このような状況だからこそ、青少年教育施設特有の教育機能は重要である。前述のような究極的には「個人がどのように生きていくか」につながるような「他者との出会い」を通して、結果的には社会化を促すというその教育機能は、青少年およびそれを取り巻く社会が直面する個人化/社会化の二項対立を実践的に乗り越える可能性をもっているからである。

4.2.5 団体宿泊訓練への新たな理解

 1996(平成8)年、中央教育審議会答申は、子どもたちの「生きる力」の育成を求めるとともに、「教育は子どもたちの『自分探しの旅』をたすける営み」と述べた。これを受け、当時の国立中央青年の家所長内田忠平は、「共に食べる・寝る・遊ぶ・風呂に入る・仕事をする」といった活動を、青年の家特有の「人と人との絆を作る上で最も基本的な要素」とし、「青年の家は『生きる力』をはぐくむための重要な基地」とした90。
 そして、次のように「たまり場」の意義を提唱している。以前ならば「厳しい研修のイメージ」が先行し、「もう二度と行きたくない」という意識が利用者に先立ったが、「たまり場機能」を提供することによって、「あの研修はつらかったけれど、青年の家には素敵な場所がいっぱいある。今度は個人として自由に使ってみたい」というイメージを残すことが可能になる91。
 これは学校側や企業主に「連れてこられる」青少年教育施設の、社会教育施設としての矛盾と苦悩をよく表していると同時に、それを乗り越えて徹底的に個人的ニーズに対応することによって、本来の「自主活動」を取り戻そうとする青年の家側の意思を示すものととらえられる。
 現代青少年の個人化傾向を否定的にしかみないとすれば、それは施設側の自己否定にもつながる行為といえよう。むしろ内田のいうように、個人的ニーズにきちんと対応することによってこそ、施設特有の社会化機能につなげることができるのであろう。
 さらに、吉永宏は青年の家のもつ「官性と私性を超える公性」を指摘し、次のように述べている。「官性と私性は対立、緊張、背反を招く異質の存在として表面化することが多い。それは『近頃の若者は社会性に乏しい』または『施設側は官僚的で頭が古い』という双方からの非難をもたらす。したがって、今後の課題は青年の家の目的・目標にそった運営管理と青年の成長体験に『私』の貢献と参加をどのように確保、発展させるかであろう」92。
 本稿の趣旨に添って言い換えれば、吉永は、青年の個人化と社会化の統合的発展の結節点として、「公性」という特性を指摘したものと考えられる。
 自らが所属する「団体」という枠組みを越えたところに「社会」があり「公共」がある。「訓練」する者とされる者との分裂を埋めるものとして「対話」があり、さらには「参画」がある。そして、それらの究極的な主体はあくまでも個人であり、その個人化は、敬遠されるどころか、より望ましい社会化につながるものとして歓迎され、支援される。
 青少年教育施設の伝統ともいえる「団体宿泊訓練」は、このような新たな展開によって、個人化と社会化を統合的に支援する方法を開発できると考える。















第5章 結論

 本研究では、青少年の社会化支援について、理念研究と方法論研究の二つのアプローチによって検討を進めた。これにより、従来なされてきた青少年支援に関わる実践と研究の成果を整理し、青少年の社会化支援に関する新たな知見を構築しようとした。
 なぜなら、青少年支援という観点で見たとき、従来の研究では、個人化と社会化が分離または対抗するものとして捉えられてきたため、結果として、個人化と社会化のいずれにおいても成果が明確には見出せないという隘路に陥っていたといえるからである。
 本研究の視点は、個人化と社会化とを関連づけ、両者の発展過程に関する一体的支援という観点から検討を行うことにある。このことによって、社会も個人も、流動化、多様化する今日の状況の中で、今後の青少年支援が追求すべき理念と方法が明らかになると考えた。
 研究にあたって、青少年個人とその自己形成を重視する視点から、社会化を「社会の中でより充実して生きるための能力(知識・技能・態度)の獲得過程」として設定した。また、「個人化」を、「社会化」と対比させて「個人としてより充実して生きるための能力の獲得過程」として設定した。
 社会化を個人化と関連づけて検討するため、次の具体的視点に基づいて検討を行った。第一に、社会からの要請の視点だけでなく、個人の側面の視点からも、社会化を捉え直すことにした。第二に、社会化過程における個人化の積極的側面に着目することである。第三に、社会化過程を構造的に把握し、構造モデルの類型化を図ることである。第四に、他者や社会への関与や参画の促進と、自問自答や自己内対話の促進の両側面から検討する。第五に、社会化における獲得能力に着目し、これを個人化と関連づけて検討し、能力ラダーとしての理解を図ることとした。
 支援理念研究としては、本研究では、次の具体的視点のもとに、個人化と社会化の一体的支援という目的を明確にして検討を進めた。第一に、青少年個人を尊重し、その自己形成に着目する。第二に、青少年個人のもつ社会化ニーズを重視し、これを社会が要請する社会化ニーズと関連づける。第三に、青少年個人の身近な他者から社会全体までの関わりにおける、自己への気づきに着目する。
 支援方法研究としては、次の具体的視点のもとに、個人化と社会化の一体的支援という目的を現実化する方法を明らかにしようとした。第一に、社会化という目的を明確に位置づけ、指導の内容や方法が、その結果につながる過程を実証的、動態的に確かめる。第二に、青少年自身の「自分らしさ」願望や社会化ニーズと関連づけて検討する。第三に、記述分析のための指標を設定し、そのとき行われた指導の方法や内容と対照して、社会化効果を検討する。あわせて、支援理念現実化の方法の一環としての政策決定・政策実施について検討する。
 本研究で用いた手法は、第一は、文献におけるキーワード出現率の量的分析である。「青少年問題全般」文献23,732件等を対象として、青少年の社会化支援に関するキーワードの発行年による量的変化について検討した。第二は、文献における「社会性」に関する論旨の量的分析である。各文献の個人と社会との「関係性」の認識に着目して、「社会性」のもつ意味及び文脈の変遷を検討した。第三は、「青少年教育・対策」文献における支援理念の変遷に関する質的分析である。ジャンルごとに発行年度ごとの質的変化を検討した。第四は、1,100人の若者の質問紙調査結果をもとにした若者の友人関係の類型的理解と各類型に応じた社会化支援方法に関する検討である。第五は、大学授業におけるアクションリサーチによる青少年個人の社会化の段階及び類型の理解に基づく支援方法の検討である。ほかに、政策決定に参画する市民委員の発言分析や、社会化支援の実践と研究の過程の検討を行った。
 本研究では、以上のように文献の量的、質的分析を行うことによって、個人化と社会化支援の問題点を明らかにし、その解決方法としての構造的な把握、能力の獲得過程という視点から、青少年支援の方法を検討した。このような能力獲得過程からのアプローチによって、青少年の個人化と社会化の一体的支援のための理念と方法を結びつけて検討を進めた。
 その結果、「個人化と社会化」支援の問題とその解決方法について、次の5点が指摘できた。
 
(1) 社会化支援理念変遷過程に見られる「個人化」と「社会化」の分離、及び青少年からの視点の縮小
 キーワード出現率の量的分析から、次の出現率に減少傾向が見られた。第一に、「自分らしさ」など、「自己形成」に関するテーマである。第二に、友達、友人、交友関係など、青少年の社会化の「入り口」にあるテーマである。第三に、家庭、しつけ、社会化など、「自己形成」と「社会形成」を結ぶテーマである。以上の三つは、「青少年個人を尊重し、その自己形成に着目する」、「青少年個人のもつ社会化ニーズを重視し、これを社会が要請する社会化ニーズと関連づける」、「青少年個人の身近な他者から社会全体までの関わりにおける、自己への気づきに着目する」という本研究における支援理念研究の視点からは、重大な問題として指摘される。このことから、個人の視点からの社会化の捉え直しや、社会化過程における個人化の積極的側面への着目という本研究の視点の重要性が確かめられた。
 「社会性」に関する論旨の量的分析から、次の4期にタイプ分けされた。1980年から1984年までは、「身近な他者」との関連で社会性について論じた文献が多かった。1985年からは、臨時教育審議会第1次答申の「個性重視」以降、「主観的社会」としての論旨が増えた。反面、「集団・組織」運営及び「社会全体」の論旨が減ったことは、「個性重視」が社会化支援理念と結合されなかったことを示している。1991年からは、「身近な他者」に関する論旨が激減した。これに替わって「自然体験活動」などの意図的な教育活動の中での「(見知らぬ)他者」との交流によって社会性を涵養しようとするものが増えた。1997年からは、「社会全体」については、青少年の社会参加や社会貢献などを通した社会形成への参画活動による効果を、「集団・組織」については、教育的意図に基づく組織化による効果を重視する文献が増えた。反面、「主観的社会」や「身近な他者」という文脈での社会性に関する論旨は減った。これらのことは、これまでの支援理念において、社会化を個人の視点から十分にはとらえられなかったことを示している。
 以上の結果から社会化支援理念の変遷を見るとき、〔仮説1:青少年の「個人化」と「社会化」を分離してとらえたため、両者を統合した社会化支援理念を見出せなかった。〕は部分的に支持された。また、文献の趣旨に見られる「主観的社会」や「身近な他者」という論旨の減少から、〔仮説2:青少年個人からの視点が軽視されたため、彼らの社会化の実態やニーズに適合した社会化支援理念を見出せなかった。〕は支持された。なお、文献の質的分析においても、両仮説は支持された。
 
(2) 個人化と社会化の一体的支援という視点の有効性
 1990年代の文献の検討によって、「個性重視」の観点を示すいくつかの重要な概念が示された。また、もう一方の「対社会」についても、「生きる力」、ボランティア、参画などのキーワードが見出された。だが、両者をつなぐ支援理念は十分には形成されなかったことが明らかになった。
 「青少年教育施設」における「生きる力」支援理念の変遷の検討によって、政策的根拠にあたる事項の軽視、タイムラグ、自然体験活動への傾倒の傾向、列挙型の増加、すなわち「生きる力」の「総花化」の傾向などが見出された。このことから、「生きる力」とともに、「教育は、子供たちの『自分さがしの旅』を扶ける営み」として、個性重視の考え方のもとに、「他者との共生、異質なものへの寛容、社会との調和といった理念」を提唱した1996年中央教育審議会の答申は、個性重視と結びついた社会化支援理念としては十分には継承されなかったといえる。
 ラウンドテーブル「最近の若者の労働観と生き方を考える」の討論結果からの「職業・就職支援」に関する検討によって、第一に、「自分のやりたいこと」を大切にする必要が指摘され、社会化圧力に負けて個人化が阻害されているという側面が示された。第二に、より深い自己のなかでの「自分のやりたいこと」の追求を励ましつつ、他者や現実社会との接点の中で自己を位置づけることによって、「自分のやりたいこと」がより明確になり、より深まるよう支援する方法を明らかにすることの重要性が示された。第三に、自己実現や自分らしさを大切にしたいという若者の欲求を、社会化が必須の個人としては当然の「自己保存本能」としてとらえられることが示された。
 「居場所づくり」に関する文献分析によって、「居場所が大切である」という客観的認識から「居場所をつくる」という支援者側の能動的行為に進みつつあることが明らかになった。このような段階においては、「指導」は、「自分らしさ」の内実を埋める対他者活動としての居場所の意義に立脚して行われる必要があることが指摘された。
 以上の結果から、「個人化と社会化の一体的支援」という視点の有効性が検証された。
 
(3) 多様な社会化過程とその構造的理解に基づく個人化と社会化の一体的支援方法
 若者の友人関係の類型的理解と各類型に応じた社会化支援方法の検討によって、「自分らしさの貫徹志向」×「友人関係の交渉型」による4類型の特徴が明らかになり、それに応じた社会化支援を行うことが効果的であることが指摘された。
 学生の「自分らしさの位置づけ」×「能動的/受動的社会性」による4類型のそれぞれの特徴の検討によって、大学教師が授業等をとおして学生に対する社会化機能を発揮する場合、教師自身の内なる社会化モデルに学生を沿わせようとするのではなく、それぞれの学生の状況とニーズに応じて行わなければならないことが指摘された。
 以上の研究結果から、青少年自身の「自分らしさ」願望や社会化ニーズと関連づけた社会化支援方法研究の有効性が見出された。
 大学教育研究における学生の記述分析によって、次の点が明らかになった。学生の社会化過程における「即自」→「対自」→「対他」の気づきの発展プロセスや、他者への気づきが「対自」や「即自」の気づきに再び転化して深まっていく「段階を踏んだ循環」を明らかにすることの必要性が指摘された。このことから、気づきの分析指標としての「即自」「対自」「対他」は十分機能すると考えられる。
 ワークショップ型授業の構成要素に関する検討によって、学生の「即自」→「対自」→「対他」という気づきの発展過程が、一部検証できた。しかし、本研究では同時に、他者への気づきが、教師の多様な行為によって、「対自」や「即自」の気づきに再び転化し、深まっていくことが確認された。気づきの循環を効果的に支援するためには、個人の生涯の各段階と生活の各場面に応じて、自己と他者とのトータルな相互関与を体験する機会を用意することや、一人一人の自己内対話を促すという教育的視点をもつことの重要性が明らかになった。
 
(4) 個人化と社会化の一体的支援理念を実現する政策決定・政策実施の方法
 政策決定の場面において、「居場所」、「参画」、「仲間づくり」、「文化や労働の継承」、「地域の教育力」、「自然の教育力」、「教育機関の教育力」、「家庭の教育力」の6つの社会化促進要因の重要性が指摘された。また、青少年の社会化過程の理解に基づいて方法論を検討することの妥当性が確かめられ、親の社会化過程にまで広げて理解する、個人化と一体化した社会化支援方法の必要性が指摘された。
 一方、政策実施の場面において検討してみると、個人化と社会化の統合的支援の課題に直面してきた宿泊型青少年教育施設に関して、青少年の個人化傾向の否定的側面だけとらえて、団体活動の意義を単純に対置させることの問題が指摘された。個人化傾向の積極的側面を評価し、個人のニーズに適切に対応することによってこそ、効果的な社会化支援が可能になるといえよう。
 
(5) 「個人化と社会化」をつなぐもの -連続体としての理解と構造的把握-
 個人も社会も流動化し、多様化する中で、青少年問題の頻発にもかかわらず、青少年の社会化支援は目標を見失いつつある。目標を再発見するためには、個人化と社会化の多様性と流動性を認め、双方を分離したものとしてではなく、連続体として捉える必要がある。そのためには、個人化と社会化の相互的関係を構造的に理解する必要がある。その理解が効果的な指導を可能にすると考えられる。
 これまで、青少年の社会化支援において、個人化と社会化が分離してとらえられてきたにもかかわらず、そのことによって生ずる問題はあまり指摘されてこなかった。個人化と社会化を同じ次元でとらえて理解し、支援することによって、重要な成果をもたらすと考えられるにもかかわらず、その理念や方法はほとんど描かれてこなかった。
 しかし、現実の青少年の社会化過程や政策決定を見ると、いろいろなパターンをたどりながらも、自分との対話や他者との対話、その振り返りというサイクルが必ず表れている。他者や現実社会との接点の中で、自己を客観視し、自己を位置づけることによって、個人としてより充実して生きるための能力の獲得も進むと考えられる。本研究では、自己内対話の促進による個人の充実が、他者の自己内対話結果との交流によってさらに充実することを、ワークショップ型授業におけるアクションリサーチの結果から明らかにした。
 流動と多様の中にあっても、このことによって、新しい指導の方法論が見出せるといえる。そのためには、個人化と社会化の双方の多様性を認め、構造的把握によって連続体として理解することと、流動性を認め、ラダーや循環を動態的に把握することが重要である。
 個人と社会の流動と多様の中で、青少年の社会化支援は「普遍」と「共有」を見失ってきた。現代社会の政治・経済面での不正や格差、不透明さを見るとき、普遍的な目標や、青少年と共有できる価値を見出すことは、たしかに容易ではないといえる。社会の成員としての能力や、さらには社会参画能力についての達成目標を社会の側が設定したとしても、青少年だけでなく、支援者自身が、それを懐疑の念をもって受け止めざるをえない状況とさえいえるからである。しかし、だからこそ、この状況の打開のために、個人化と社会化の相互関係を充実させることが重要であると考えたい。このようにして目標設定や共有すべき価値の根拠を見出さない限り、教育そのものが存立し得ないと考えるからである。そして、そのためには、本研究で得た知見からは、青少年個人の対自、対他、対社会の気づきや循環、さらには能力ラダーの視点が有効であると考える。
 
 青少年支援においては、青少年の社会参画の必要性が叫ばれる一方で、青少年の現実はますます個人化し、狭いピアの世界に閉じこもっている。青少年支援の立場からでさえ、自らがもつ社会化支援機能について、理念や方法を見失い、諦観が支配的である。このときにおいて、個人化と社会化とを連続体として理解し、両者のインタラクティブな能力獲得過程からのアプローチによって構造的な把握に基づく支援理念と方法を明らかにすることの意義は大きい。このことによって、青少年支援が掲げるべき「目標」や「価値」は、現代青少年の能力獲得過程に対して適合的に形成されると結論づけられる。
 本研究で想定した「Ⅰ社会化・個人化タイプ」(図1-1参照)は、このアプローチによって現実化を進めることができるものと考える。今日、青少年の現状の中に、社会化と個人化の相克がたびたびかいま見られる。このような事態において、利己主義でもなく、孤立でもなく、かといって、集団への埋没でもない「自立して社会に参画する個人」としての自己形成に向けた「目標」や「価値」を、青少年支援が明確に掲げることの意義は大きいと考える。


【資料】「青少年教育・対策」参考文献リスト
(2.5「青少年教育・対策文献に見る社会化支援理念の変遷」参考文献)


DB管理番号 書 名 筆者等 0014 誕生日 深谷和子 他、福武書店教育研究所、モノグラフ・小学生ナウ、9巻3号、p.74、1989.06 0015 山口県の青少年 山口県、山口県、p.110、1989.06 0026 特集・21世紀に向けて飛躍する中青連 宮崎幸雄 他、中央青少年団体連絡協議会、なかまたち、24号、p.3-15、1989.08 0027 今月の話題・現代若者論 加藤一郎 他、社会教育協会、国民、1078号、p.6-29、1989.09 0028 アルマナック子ども 深谷昌志 他、福武書店教育研究所、モノグラフ・小学生ナウ、9巻6号、p.196、1989.09 0031 青少年の地域参加-生涯学習のまちづくりシリーズ5 岡本包治、ぎょうせい、巻号、p.310、1989.09 0034 平成元年版鹿児島の青少年-青少年問題の現状と対策 鹿児島県、鹿児島県県民福祉部青少年婦人課、p.316、1989.10 0038 共生社会に向けての青少年の役割と活動(意見具申) 横浜市青少年問題協議会、横浜市市民局青少年部青少年課、p.86、1989.11 0040 夕食(その2) 森川浩珠 他、福武書店教育研究所、モノグラフ・小学生ナウ、9巻9号、p.55、1989.12 0041 特集・大人になること 菊池龍三郎 他、中央青少年団体連絡協議会、なかまたち、26号、p.3-13、1989.12 0042 平成元年度版大阪府青少年白書-大阪の青少年の現状と青少年施策 大阪府、大阪府生活文化部青少年課、p.352、1989.12 0047 都市環境と青少年 尼崎市-大阪大学人間科学部社会教育論講座 友田泰正、大阪大学人間科学部、p.425、1989 0053 テレビアニメ(ドラマ)と子どもたち-女性主人公の分析 深谷和子 他、福武書店教育研究所、モノグラフ・小学生ナウ、9巻10号、p.47、1990.01 0065 特集・子どもの時間の過ごし方 四方洋 他、中央青少年団体連絡協議会、なかまたち、28号、p.3-15、1990.03 0068 青少年問題研究第39号 大阪府、大阪府生活文化部青少年課、p.59、1990.03 0075 かながわの青少年-平成元年版青少年白書 神奈川県青少年総合対策本部、神奈川県県民部青少年室、p.163、1990.03 0079 平成2年度「心とからだの健康づくり」シンポジウム記録-豊かな人間関係を育てる 東京都教育委員会、東京都教育庁社会教育部計画課、p.55、1990.03 0080 平成元年度版宮崎の青少年-青少年の現状と対策 宮崎県、宮崎県企画調整部青少年婦人課、p.129、1990.03 0089 自然生活へのチャレンジ推進事業事例集-フロンティア・アドベンチャー 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.290、1990.03 0090 全国青少年教育関係施設ガイド-若者と子供の活動広場 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター調査連絡課、p.219、1990.03 0091 青年の家の現状と課題 第18集-生涯学習社会の中の青年の家 全国青年の家協議会、全国青年の家協議会、p.210、1990.03 0093 メディア革命と青年-新しい情報文化の誕生 高橋勇悦 他、恒星社厚生閣、p.171、1990.03 0096 青少年団体活動は青少年の自己成長にどう関わるか-中青連特別委員会提言 中青連特別委員会、中央青少年団体連絡協議会、p.39、1990.03 0098 高槻市青少年育成計画 高槻市、高槻市、p.65、1990.04 0100 平成2年度三重県青少年対策 三重県青少年対策推進本部、三重県福祉部青少年婦人課、p.83、1990.04 0120 1990年版秋田の青少年・婦人 秋田県、秋田県生活環境部青少年婦人課、p.367、1990.07 0121 平成2年版のびる芽、のばす目 神奈川の教育を推進する県民会議、神奈川の教育を推進する県民会議、p.211、1990.07 0138 平成2年度広島県瀬戸内海「少年の船」事業報告書-YOUTH FRIENDSHIP 広島県、広島県教育委員会、p.74、1990.10 0147 国際化時代の子ども向けテレビの展望-「セサミストリート」国際会議を中心に 小平さち子、NHK放送文化研究所、放送研究と調査、40巻12号、p.26-39、1990.12 0151 平成2年度「はばたけ青少年の旅」報告書 鹿児島県はばたけ青少年事業実行委員会、鹿児島県県民福祉部青少年婦人課、p.81、1991.01 0153 特集・青少年のふるさと学習 福田昭昌、全日本社会教育連合会、社会教育、46巻1号、p.4-44、1991.01 0159 愛知の青少年1990年度版-愛知の青少年の現状と青少年育成に関する施策 愛知県、愛知県総務部青少年婦人室、p.264、1991.02 0160 とちぎの青少年 栃木県、栃木県県民生活部婦人青少年課、p.187、1991.02 0176 平成2年度版大阪府青少年白書-大阪の青少年の現状と青少年施策 大阪府、大阪府生活文化部青少年課、p.340、1991.03 0177 改訂かながわ青年行動計画 神奈川県青少年協会、神奈川県青少年協会、p.58、1991.03 0180 千葉の青少年'91-現状と施策 千葉県青少年総合対策本部、千葉県社会部青少年婦人課、p.324、1991.03 0182 平成2年度版宮崎の青少年-青少年の現状と対策 宮崎県、宮崎県企画調整部青少年婦人課、p.134、1991.03 0183 アクティユースプラン実践事例集 滋賀県、滋賀県青少年対策本部、p.153、1991.03 0187 平成2年度ひょうごっ子きょうだいづくり事業活動事例集 兵庫県、兵庫県生活文化部、p.86、1991.03 0201 平成2年度青少年科学活動促進事業のまとめ-科学する心を拓く 秋田県教育委員会、秋田県教育庁社会教育課、p.56、1991.03 0206 平成2年度自然生活へのチャレンジ推進事業実施報告書-めぐりあいと冒険の旅 鹿児島県教育委員会、鹿児島県教育庁社会教育課、p.116、1991.03 0208 平成2年度自然生活へのチャレンジ推進事業実施報告書-チャレンジキャンプin南山城 京都府教育庁指導部社会教育課、京都府教育庁指導部社会教育課、p.105、1991.03 0212 平成2年度自然生活へのチャレンジ推進事業-おもいっきり冒険隊'90 報告集 群馬県教育委員会、群馬県教育委員会、p.101、1991.03 0217 平成2年度佐賀県青少年科学活動促進事業報告書 佐賀県教育委員会、佐賀県教育庁社会教育課、p.121、1991.03 0218 平成2年度自然生活へのチャレンジ推進事業報告書-自然に挑む冒険王国 佐賀県教育委員会、佐賀県教育庁社会教育課、p.84、1991.03 0223 第2回瀬戸内洋上セミナー報告書 広島市、広島市民生局青少年婦人対策課、p.102、1991.03 0225 平成2年度青少年科学活動促進事業-青少年の科学する心 宮崎県教育委員会、宮崎県教育委員会社会教育課、p.29、1991.03 0226 平成2年度親子ふれあいの船事業報告書-海はステージ、主役は子ども! 山形県、山形県生活福祉部児童課、p.85、1991.03 0229 平成2年度豊かな心を育てる青少年科学活動促進事業報告書 山梨県教育委員会、山梨県教育委員会社会教育課、p.56、1991.03 0246 青年団体の組織づくりの方策を探る-平成2年度秋田県青年の家紀要 秋田県青年の家、秋田県青年の家、p.32、1991.03 0248 学校5日制時代に向けて豊かな人間交流を-時間・空間・仲間を生かす青少年団体活動 中青連特別委員会、中央青少年団体連絡協議会、p.30、1991.03 0262 生涯学習かくろん-主体・情報・迷路を遊ぶ 西村美東士、学文社、p.237、1991.04 0283 21世紀のこころ豊かな教育の創造に向けて-全国各地の特色ある取組み 神奈川県教育委員会、神奈川県教育庁管理部総務室、p.74、1991.08 0290 ビデオソフトの青少年に与える影響に関する調査-東京都青少年問題調査報告書 東京都生活文化局、東京都生活文化局婦人青少年部企画課、p.234、1991.10 0297 平成2年度青少年育成地域活動報告書 名古屋市教育委員会、名古屋市教育委員会社会教育部青少年室、p.150、1991.11 0301 遠いアジアをみつめて-第3回NVCスタディーツアー報告書 第3回NVCスタディーツアー、第3回NVCスタディーツアー、p.139、1991.11 0304 平成3年版鹿児島の青少年 鹿児島県、鹿児島県県民福祉部青少年女性課、p.136、1991.12 0305 かながわの青少年-神奈川県青少年白書1991 神奈川県青少年総合対策本部、神奈川県青少年総合対策本部、p.174、1991.12 0311 社会教育の新しい展開からみた学校週5日制-地域子育てネットワークの形成 西村美東士、エイデル研究所、季刊教育法、 巻86号、p.27-33、1991.12 0319 現代青年問題の研究-豊かな明日を築くために 日本青年館青年問題研究所、日本青年館、p.131、1992.01 0321 新プラネット計画-第2次大阪府青少年育成計画 大阪府、大阪府生活文化部青少年課、p.58、1992.01 0323 こころ豊かな市民への成長をめざして(意見具申)-青少年の地域文化活動と発達課題の視点から 横浜市青少年問題協議会、横浜市市民局青少年部青少年課、p.101、1992.01 0334 青少年健全育成の進め方について(意見具申) 埼玉県青少年問題協議会、埼玉県青少年問題協議会、p.54、1992.02 0335 平成4年しまねの青少年 島根県、島根県社会福祉部婦人青少年室、p.82、1992.02 0348 青少年の社会参加活動の促進方策について(提言) 愛知県青少年問題協議会、愛知県総務部青少年婦人室、p.47、1992.03 0352 ぐんまの青少年 1992 群馬県教育委員会、群馬県教育委員会、p.63、1992.03 0358 平成3年度版 宮崎の青少年 宮崎県、宮崎県企画調整部女性青少年課、p.137、1992.03 0364 滋賀の生涯学習・青少年育成実践事例集 滋賀県教育委員会、滋賀県教育委員会事務局文化部生涯学習課、p.102、1992.03 0365 生涯学習と青年期教育 日本青年館青年問題研究所「生涯学習委員会」、日本青年館、p.161、1992.03 0366 ゆたかな学びの世界-生涯学習ボランティア・マニュアル 日本青年奉仕協会、日本青年奉仕協会、p.258、1992.03 0370 平成3年度たくましい岩手っ子フロンティア・アドベンチャー事業-かに族挑戦の10日間 岩手県教育委員会、岩手県教育委員会社会教育課、p.125、1992.03 0376 平成3年度ぐんま少年の船報告書-ふるさと ふれあい 群馬県教育委員会、群馬県教育委員会、p.68、1992.03 0377 平成3年度主催事業「野性にめざめる自然児キャンプ」報告書-自然児への道(第6号) 国立諌早少年自然の家、国立諌早少年自然の家、p.104、1992.03 0379 青少年教育データブック1992 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.312、1992.03 0382 自然と子ども-少年自然の家の歴史とこれからの展望 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.169、1992.03 0383 しゃくなげ 第2号-平成3年度主催事業等集録集 国立花山少年自然の家、国立花山少年自然の家、p.313、1992.03 0384 平成3年度佐賀県少年の船 佐賀県教育委員会、佐賀県教育委員会社会教育課、p.57、1992.03 0387 青年の家の現状と課題 第20集-魅力ある青年の家をめざして 全国青年の家協議会、全国青年の家協議会、p.179、1992.03 0393 平成三年度フロンティア・アドベンチャー事業(海のコース)実施報告書-つかまえた?! 奈良県 他、奈良県総務部青少年課、p.104、1992.03 0399 平成3年度自然生活へのチャレンジ推進事業実施報告書-原始に生きる防長っ子キャンプ 山口県教育委員会、山口県教育庁社会教育課、p.75、1992.03 0400 平成3年度あすの秋田を拓く青年団体リーダー研修資料-魅力ある事業計画で"いきいき青年活動"を進めよう 秋田県青少年団体連絡協議会 他、秋田県教育委員会、p.33、1992.03 0403 かながわの青少年指導者養成の新たな展開をめざして-神奈川県青少年指導者養成総合計画の解説 神奈川県青少年指導者養成協議会、神奈川県青少年総合研修センター、p.77、1992.03 0417 第2回生涯学習時代を担う日本青年館セミナー報告書-全国社会教育(青年教育)活動推進者研修事業 日本青年館、日本青年館、p.124、1992.03 0419 第22回日本都市青年会議広島大会報告書 日本都市青年会議、日本都市青年会議、p.90、1992.03 0423 神奈川県青少年海外派遣団報告書-KANAGAWAYOUTHGOODWILLMISSION 神奈川県青少年協会、神奈川県青少年協会、p.63、1992.03 0424 開発教育プロジェクト報告書1991年 ガール・スカウト日本連盟、ガール・スカウト日本連盟、p.58、1992.03 0444 生涯学習社会における学校週5日制を考える(特集) 岡本包治 他、全日本社会教育連合会、社会教育、47巻5号、p.8-43、1992.05 0445 新しい青年教育の展開-現代の青年像と青年教育
全国青年の家協議会、ぎょうせい、p.179、1992.05 0452 子どもの生活環境としての遊び場問題-東京都における児童遊園を事例として 国民生活センター調査研究部、国民生活センター、国民生活研究、32巻1号、p.26-64、1992.06 0453 ボーイスカウトとウッドクラフト運動-第一次大戦後の英国スカウト運動の分裂に関する研究 田中治彦、日本社会教育学会、日本社会教育学会紀要、 巻28号、p.48-57、1992.06 0455 1992年版秋田の青少年・婦人 秋田県、秋田県生活環境部青少年婦人課、p.370、1992.07 0466 やまがた青少年プラン-21世紀を担う子どもたちと青年のために 山形県、山形県企画調整部青少年婦人課、p.111、1992.09 0467 学校週5日制時代の家庭と子ども(特集) 斎藤哲瑯 他、全日本社会教育連合会、社会教育、48巻1号、p.8-39、1992.09 0468 体験学習のすすめ(特集) 薗田碩哉 他、全日本社会教育連合会、社会教育、47巻9号、p.8-52、1992.09 0470 ボランティア白書1992年版-社会奉仕から社会創造へ ボランティア白書編集委員会、日本青年奉仕協会、p.255、1992.09 0476 子育て支援のための新たな児童福祉・母子保健施策のあり方について(答申) 東京都児童福祉審議会、東京都福祉局児童部児童課、p.66、1992.11 0478 京都の青少年 京都府、京都府総合府民部青少年課、p.215、1992.11 0482 平成4年度瀬戸内時代を担う「少年の船」報告書-青春体験!思い出の夏 岡山県、岡山県、p.92、1992.11 0483 平成4年度フロンティア・アドベンチャー事業記録集-明日へはばたけ冒険キャンプ 岡山県教育委員会、岡山県教育庁社会教育課、p.130、1992.11 0484 1992年度かもしかキャンプ実施報告書 神奈川県立中央青年の家、神奈川県立中央青年の家、p.122、1992.11 0491 平成4年度フロンティア・アドベンチャー実施報告書-木魂の里探検隊 和歌山県教育委員会、和歌山県教育委員会、p.69、1992.12 0507 東京都の遊び場 平成4年度 東京都生活文化局女性青少年部、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.123、1993.02 0521 群馬県青少年健全育成マスタープラン 21世紀の主役を育てる-青少年の社会参加をめざして 群馬県、群馬県教育委員会指導部青少年課、p.66、1993.03 0523 今後の児童健全育成施策のあり方について(提言) 神戸市児童の健全育成のための環境づくり懇話会、神戸市民生局児童福祉部、p.39、1993.03 0524 埼玉の青少年1992年版 埼玉県、埼玉県、p.213、1993.03 0531 青少年育成活動事例集 NO.2-ぎふ若人づくり 岐阜県総務部青少年婦人課、岐阜県総務部青少年婦人課、p.34、1993.03 0532 平成4年度「わがまち大好き!もやい活動」支援事業活動報告書 熊本県福祉生活部県民生活総室、熊本県福祉生活部県民生活総室青少年係、p.99、1993.03 0537 生かそう、学校週5日制-家庭・地域への期待と提案 青少年育成国民会議、青少年育成国民会議、p.79、1993.03 0538 21世紀に向けての青少年育成構想-21世紀に向けた青少年育成のための特別研究委員会報告書 青少年育成国民会議、青少年育成国民会議、p.71、1993.03 0545 こころ生涯学習-いばりたい人、いりません 西村美東士、学文社、p.246、1993.03 0547 地域少年少女サークル活動促進事業実施報告書 秋田県教育委員会、秋田県教育委員会社会教育課、p.97、1993.03 0550 平成4年度地域少年少女サークル活動促進事業活動事例集 大阪府教育委員会、大阪府教育委員会社会教育課、p.59、1993.03 0553 平成4年度青少年教育事業報告書-くまもとの青少年教育 熊本県教育委員会、熊本県教育庁社会教育課、p.131、1993.03 0555 全国青少年教育関係施設ガイド-若者と子どもの活動広場 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター調査連絡課、p.301、1993.03 0557 国立那須甲子少年自然の家の活動と学習指導要領(教科)との関連 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.37、1993.03 0558 子供の心を育む研究開発事業実施結果報告書-子供チャレンジ講座~学校週5日制に対応して 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.103、1993.03 0559 全国生活科担当指導者養成実践研修会実施結果報告書-生活科と少年自然の家 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.79、1993.03 0560 しゃくなげ 第3号-特集「花山の沿革」 国立花山少年自然の家、国立花山少年自然の家、p.147、1993.03 0562 地域少年少女サークル活動促進事業報告書 静岡県教育委員会、静岡県教育委員会青少年課、p.61、1993.03 0563 青年の家の現状と課題 第21集-学校の週5日制と青年の家 全国青年の家協議会、全国青年の家協議会、p.213、1993.03 0565 地域少年少女サークル活動促進事業報告書 徳島県教育委員会、徳島県教育委員会生涯学習課、p.76、1993.03 0566 平成4年度徳島県青少年教育のまとめ-社会教育資料 徳島県教育委員会生涯学習課、徳島県教育委員会生涯学習課、p.83、1993.03 0580 青少年指導者講習会(IFEL)とその影響に関する総合的研究-平成4年度科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書 田中治彦、岡山大学教育学部田中治彦研究室、p.64、1993.03 0585 挑戦しつづける運動-ガールガイド・ガールスカウト運動 ガールスカウト日本連盟、ガールスカウト日本連盟、p.85、1993.03 0586 第3回生涯学習時代を担う日本青年館セミナー報告書-全国社会教育(青年教育)活動推進者研修事業 日本青年館、日本青年館、p.94、1993.03 0606 生涯学習と学校5日制
岩淵英之 他、エイデル出版、p.237、1993.04 0608 NGO活動と社会教育団体の役割-開発教育を進めるYMCAのネットワーキング 田中治彦、国土社、月刊社会教育、 巻444号、p.19-24、1993.04 0612 青年自身が世界を読み取り、歴史を綴る筋道 小林平造、国土社、月刊社会教育、 巻445号、p.31-37、1993.05 0615 京都市青少年育成計画-新しいユース・サービスの展開 京都市、京都市総務局総務部女性青少年課、p.87、1993.06 0619 社会教育概念理解(把握)の方法をめぐって-青少年教育の立場から 田中治彦、日本社会教育学会、日本社会教育学会紀要、 巻29号、p.11-13、1993.06 0620 内なる国際化への生涯学習事業(特集) 末崎ふじみ 他、全日本社会教育連合会、社会教育、48巻6号、p.6-47、1993.06 0635 公民館が仕掛ける出入り自由のこころのネットワーク-狛江市中央公民館青年教室のなかでの相互理解 西村美東士、全日本社会教育連合会、社会教育、48巻8号、p.20-24、1993.08 0640 ビデオゲーム(特集) 稲増龍夫 他、福武書店、季刊子ども学、 巻 1号、p.27-163、1993.09 0647 個人の成長と生涯学習論1994(特集)-21世紀への潮流;LEARNING TO BE 渡辺康麿 他、全日本社会教育連合会、社会教育、48巻10号、p.10-113、1993.10 0652 週休二日制・学校週五日制と社会教育-日本の社会教育第37集 日本社会教育学会、東洋館出版社、p.201、1993.10 0657 育ちの場としてのボランティア-青少年のボランティア活動参加の意味を考える 平野嘉昭、立教大学、立教、 巻147号、p.16-19、1993.11 0666 「生涯学習ボランティア」を検証する-草の根が主役の「在る」ための学びへ 興梠寛、国土社、月刊社会教育、 巻452号、p.15-22、1993.12 0671 平成5年版富山の青少年 富山県、富山県企画県民部婦人青少年課、p.240、1994.01 0674 生涯学習時代の青年期教育-地域の事例研究 青年問題研究所「生涯学習委員会」、日本青年館、p.216、1994.01 0689 アメニティと生涯学習ライフ(特集)-外的環境と精神世界の調和を求めて アルフォンス・デーケン 他、全日本社会教育連合会、社会教育、49巻2号、p.8-61、1994.02 0702 青少年の豊かな人間形成のために(意見具申書)-家庭・学校・企業及び地域の役割とその相互連携について 川崎市青少年問題協議会、川崎市民生局青少年部青少年課、p.30、1994.03 0704 「個性を活かす社会づくり」に向けて-個性を活かす社会づくり懇談会報告 岐阜県個性を活かす社会づくり懇談会、岐阜県総務部青少年国際課、p.37、1994.03 0705 個性を伸ばす青少年対策検討委員会報告書-青少年の個性を伸ばすために 岐阜県個性を伸ばす青少年対策検討委員会、岐阜県総務部青少年国際課、p.37、1994.03 0707 ゆとり社会における青少年の育成(意見具申) 埼玉県青少年問題協議会、埼玉県青少年問題協議会、p.42、1994.03 0712 青少年が主体的、創造的に生きる21世紀を(意見具申)-「自由時間」の中での成長 東京都青少年問題協議会、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.112、1994.03 0714 鳥取県青少年育成基本構想 鳥取県、鳥取県企画部青少年女性課、p.62、1994.03 0715 青少年の豊かでゆとりある生活の創造について(意見具申) 新潟県青少年問題協議会、新潟県青少年問題協議会、p.34、1994.03 0718 やまなし青少年プラン-21世紀の主役を育てる 山梨県青少年総合対策本部、山梨県青少年総合対策本部、p.44、1994.03 0719 青少年の主体的成長・発達をめざして-健全な発達を保障する環境づくり 横浜市青少年問題協議会、横浜市市民局青少年部青少年企画課、p.77、1994.03 0729 ライフプランと学習活動(特集)-生きがい?自己実現?何のための生涯設計か 渡邊一雄 他、全日本社会教育連合会、社会教育、49巻3号、p.7-49、1994.03 0730 子どもの城-地域少年少女サークル活動の手引
愛知県教育委員会、愛知県教育委員会社会教育課、p.128、1994.03 0731 平成5年度地域少年少女サークル活動促進事業実施報告書 秋田県教育委員会、秋田県教育委員庁社会教育課、p.101、1994.03 0735 平成5年度「のびのび岐阜っ子」サークル活動事例集-地域少年少女サークル活動促進事業 岐阜県教育委員会、岐阜県教育委員会社会教育課、p.42、1994.03 0744 平成5年度地域少年少女サークル活動促進事業-翔べ佐賀っ子 佐賀県教育委員会、佐賀県教育庁社会教育課、p.67、1994.03 0762 主体性、創造性が育つ青少年期教育の充実方策について-休日の拡大に対応した環境づくりをめざして 北海道社会教育委員の会議、北海道社会教育委員の会議、p.24、1994.03 0778 秋田県の青年団体、グループ・サークルの調査とその動向を探る-平成5年度秋田県青年の家紀要 秋田県青年の家、秋田県青年の家、p.60、1994.03 0781 子ども会活動における子どもの成長に関する調査 全国子ども会連合会、全国子ども会連合会、p.164、1994.03 0798 平成6年度三重県青少年対策-伸びよう伸ばそう青少年 三重県青少年対策推進本部、三重県福祉部青少年女性課、p.96、1994.04 0800 平成6年度堺市青少年健全育成推進計画 堺市青少年問題協議会、堺市青少年問題協議会、p.99、1994.04 0801 豊かな心育てる自由時間の活用-瞳キラキラ生き生き体験 青森県教育委員会、青森県教育庁生涯学習課、p.18、1994.04 0803 団体(グループ・サークル)活動と青少年の意識・行動に関する調査集計結果-「青森県における青少年の現状と課題」調査研究中間報告書 青森県総合社会教育センター、青森県総合社会教育センター、p.169、1994.04 0808 「大学」を考える(特集)-生涯学習の場としてのさまざまな「大学」を考える 瀬沼克彰 他、全日本社会教育連合会、社会教育、49巻5号、p.6-81、1994.05 0815 北九州市における青少年育成の基本的あり方について(提言) 北九州市青少年問題協議会、北九州市青少年問題協議会、p.75、1994.06 0824 集団宿泊学習における教育効果に関する調査 国立大隅少年自然の家、国立大隅少年自然の家、p.28、1994.07 0828 青少年教育施設における国際交流事業の概要 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.177、1994.07 0830 青少年と地域社会-学校・家庭・地域の教育力の再編成を目指して 神奈川県青少年総合研修センター、神奈川県青少年総合研修センター、青少年関係調査研究報告書、 巻14号、p.98、1994.08 0835 ボランティア最前線(特集) 松下倶子 他、全日本社会教育連合会、社会教育、49巻8号、p.6-55、1994.08 0841 南北問題と開発教育
田中治彦、亜紀書房、p.243、1994.09 0849 狛プーはどうしてネオトラなのか 西村美東士、全日本社会教育連合会、社会教育、49巻10号、p.105-107、1994.10 0852 大都市青少年の余暇と自由時間に関する調査-東京都青少年問題調査報告書 東京都生活文化局、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.359、1994.11 0872 国立能登青年の家における「社会体育実習」共同報告書 金沢大学教育学部体育教室、国立能登青年の家、p.37、1994.12 0882 平成6年度版青少年白書-青少年問題の現状と対策 総務庁青少年対策本部、総務庁青少年対策本部、p.593、1995.01 0883 平成6年版富山の青少年 富山県、富山県生活環境部女性青少年課、p.228、1995.01 0887 環境教育の充実をめざして-平成6年度環境教育担当教員講習会実施結果報告書 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.87、1995.01 0897 青少年教育施設におけるボランティアの養成と活動について(調査報告書) 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.54、1995.02 0910 平成6年度青少年活動情報等実態調査-市町村青少年社会参加関係施策と情報提供、青少年団体の現況・活動 愛知県、愛知県総務部青少年女性室、p.154、1995.03 0912 少子化社会と青少年の健全育成(意見具申) 岡山県青少年問題協議会、岡山県青少年問題協議会、p.52、1995.03 0915 佐賀の青少年 佐賀県、佐賀県福祉生活部児童青少年課、p.102、1995.03 0922 青少年の成長・発達と家族(意見具申) 横浜市青少年問題協議会、横浜市市民局青少年部青少年企画課、p.52、1995.03 0932 平成6年度フレッシュ体験交流活動事業実施報告書 秋田県教育委員会、秋田県教育庁生涯学習振興課、p.39、1995.03 0933 少年期における社会教育の望ましい在り方について(答申) 秋田県社会教育委員の会議、秋田県教育庁生涯学習振興課、p.72、1995.03 0940 平成6年度青少年教育事業報告書-くまもとの青少年教育 熊本県教育委員会、熊本県教育庁社会教育課、p.141、1995.03 0945 平成6年度主催事業ヤングリーダー研修実施報告書-青年の必要課題にせまる主催事業の実践 国立中央青年の家、国立中央青年の家、p.38、1995.03 0947 障害児(者)の施設利用に関するアンケート調査報告書 国立能登青年の家、国立能登青年の家、p.34、1995.03 0948 平成6年度主催事業等集録集-科学する心を育てる施設間連携事業の開発と実践 国立花山少年自然の家、国立花山少年自然の家、しゃくなげ、 巻 6号、p.92、1995.03 0961 平成6年度生涯学習関連施設のカリキュラム編成に関する基礎的研究-青少年対象事業調査を通して 東京都立教育研究所経営研究部社会教育研究室、東京都立教育研究所、p.64、1995.03 0963 平成6年度青少年自然体験活動推進事業交流教育キャンプ報告書-オールエンジョイ共和国の仲間たち 栃木県教育委員会、栃木県教育委員会生涯学習課、p.26、1995.03 0985 青少年のボランティア活動の促進について(平成6年度意見具申) 埼玉県青少年問題協議会、埼玉県青少年問題協議会、p.26、1995.03 0997 子ども会活動等の団体活動経験者の行動特性に関する調査-ジュニア・リーダーの日常生活と意識に関する調査 全国子ども会連合会、全国子ども会連合会、p.140、1995.03 1025 守口市青少年健全育成計画
守口市、守口市教育委員会事務局指導部青少年課、p.37、1995.04 1037 都市青年の意識と行動-若者たちの東京・神戸90's 高橋勇悦 他、恒星社厚生閣、p.275、1995.05 1040 平成6年度主催事業冬の自然体験活動事業実施報告-視覚障害者の雪とのふれあい 国立乗鞍青年の家、国立乗鞍青年の家、p.75、1995.05 1060 国立青年の家少年自然の家の改善について(報告)-より魅力ある施設に生まれ変わるために 国立青年の家少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議、文部省生涯学習局青少年教育課、p.15、1995.07 1061 子どもの長期自然体験活動をすすめるために-子どもの冒険キャンプ16年 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、p.59、1995.07 1069 チ・イ・キなんかが若者の居場所になるの? 西村美東士、神奈川県青少年総合研修センター、あすへの力、 巻24号、p.6-8、1995.09 1071 わかやまの青少年プラン-自分が好き・仲間が好き・わかやまが好き 和歌山県、和歌山県民生部青少年女性課、p.59、1995.10 1077 ボーイスカウト-二十世紀青少年運動の原型
田中治彦、中央公論社、p.182、1995.10 1084 大学改革と生涯学習(特集) 山本慶裕 他、日本生涯教育学会、日本生涯教育学会年報、 巻16号、p.3-77、1995.11 1085 平成7年度主催事業第22回無人島に挑む全国青年のつどい実施報告書 国立沖縄青年の家、国立沖縄青年の家、p.49、1995.11 1090 福岡市青少年対策の概要 1995年 福岡市、福岡市市民局スポーツ青少年部青少年対策課、p.249、1995.12 1114 学社融合(特集) 山本恒夫 他、全日本社会教育連合会、社会教育、51巻2号、p.6-39、1996.02 1126 児童相談所からみた神戸の児童-平成6年3月~平成7年3月 神戸市児童相談所、神戸市民生局児童福祉部児童相談所、p.53、1996.03 1129 埼玉の青少年 1996 埼玉県県民部青少年課、埼玉県県民部青少年課、p.153、1996.03 1131 東京都の青少年 '95-施策のあらまし 東京都、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.361、1996.03 1141 ドイツ継続高等教育の基礎的研究-「継続教育協調行動」と継続教育政策を中心に 東北大学教育学部附属大学教育開放センター、東北大学教育学部附属大学教育開放センター、p.292、1996.03 1144 生涯学習社会が大学の授業を変える-高等教育内容7つの転換 西村美東士、全日本社会教育連合会、社会教育、51巻3号、p.16-21、1996.03 1153 青少年の学校外活動の充実について(提言)-学校外活動における生活体験・自然体験のあり方 岡山県社会教育委員の会議、岡山県教育委員会、p.26、1996.03 1156 国立江田島青年の家紀要-指導系職員が見た青年の家考 国立江田島青年の家、国立江田島青年の家、p.74、1996.03 1159 障害児(者)の施設利用に関する調査研究協力者会議報告書-ともに語らい、ともに学ぼう 国立能登青年の家、国立能登青年の家、p.129、1996.03 1170 平成7年度事業の概要-主催事業・受入れ事業を通して 国立大雪青年の家、国立大雪青年の家、p.76、1996.03 1173 平成7年度主催事業青少年交流フォーラム実施報告書 国立岩手山青年の家、国立岩手山青年の家、p.55、1996.03 1176 平成7年度主催事業「ワイワイみんなで夏休み」-実践集録 国立室戸少年自然の家、国立室戸少年自然の家、p.38、1996.03 1187 青春カルシウム-体験学習のすすめ 全国青年の家協議会、国立中央青年の家、p.176、1996.03 1188 青年の家の現状と課題-青年をどう捉え、集め、対応するのか 全国青年の家協議会、国立中央青年の家、p.133、1996.03 1192 平成7年度登校拒否児童生徒等宿泊研修事業報告書-ハート to ハート・リフレッシュセミナー95 千葉県教育委員会、千葉県教育庁生涯学習部社会教育課、p.20、1996.03 1197 「おうち」としての狛プー-狛プーの公的・現代的意義 西村美東士、狛江市立中央公民館、狛江プータロー教室平成7年度活動記録、p.53-55、1996.03 1200 平成7年度福島県学校適応サポートプラン(青少年自然体験推進事業)報告書-たくましく生きる少年のつどい 福島県教育委員会、福島県教育庁生涯学習課、p.79、1996.03 1249 第21期青少年問題協議会答申概要-青少年の自立と社会性を育むために東京都のとるべき方策について 高橋勇悦、東京都生活文化局女性青少年課、青少年問題研究、 巻181号、p.4-10、1996.04 1252 平成8年度三重県青少年対策 三重県青少年対策推進本部、三重県生活文化部青少年女性課、p.109、1996.04 1263 〈みんなぼっち〉のコミュニケーション-イッキ飲みとカラオケ・ボックスを手がかりに 藤村正之、大阪少年補導協会、月刊少年育成、 巻482号、p.8-12、1996.05 1277 新しい青少年社会教育施設ユース・プラザのあり方(助言) 第22期東京都社会教育委員の会議、東京都教育庁生涯学習部振興計画課、p.53、1996.06 1278 出会いと交流-青年期の新しい地域活動のあり方 西村美東士 他、神奈川県青少年総合研修センター、青少年関係調査研究報告書、 巻18号、p.94、1996.06 1308 第3次神戸市青少年育成中期計画-21世紀への助走 神戸市青少年育成推進本部、神戸市市民局青少年課、p.58、1996.10 1310 福岡市こども育成環境づくり指針 福岡市、福岡市、p.31、1996.10 1317 「青少年の野外教育の充実について」(報告)の概要 文部省生涯学習局青少年教育課、全日本社会教育連合会、社会教育、51巻10号、p.124-125、1996.10 1322 秋田の青少年・女性-1996年版 秋田県、秋田県生活環境部青少年・女性課、p.416、1996.11 1325 青少年育成国民運動の回顧と展望-30周年を記念して 青少年育成国民会議、青少年育成国民会議、p.290、1996.11 1326 学社融合の生涯学習 池田秀男 他、日本生涯教育学会、日本生涯教育学会年報、 巻17号、p.169、1996.11 1327 地域における生涯学習機会の充実方策について-(答申)平成8年4月24日生涯学習審議会 その1 生涯学習審議会、全日本社会教育連合会、社会教育、51巻11号、p.68-72、1996.11 1370 かながわの青少年-神奈川県青少年白書1996 神奈川県、神奈川県県民部青少年室、p.180、1997.02 1372 平成8年版富山の青少年
富山県、富山県生活環境部女性青少年課、p.228、1997.02 1376 平成8年度青少年自然体験活動推進事業交流教育コース報告書-自然大好きチャレンジキャンプ 大分県立香々地少年自然の家 他、大分県教育庁生涯学習課、p.55、1997.02 1382 平成8年度青少年ふるさと発見銀河鉄道事業報告書 岩手県青年団体協議会、岩手県教育委員会社会教育課、p.140、1997.02 1390 ユニセフ年次報告-1996 ユニセフ(国連児童基金)、日本ユニセフ協会、p.40、1997.03 1392 秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例-条例の運用状況 秋田県生活環境部青少年女性課、秋田県生活環境部青少年女性課、p.30、1997.03 1393 情報化と青少年(意見具申)-生き生きとしたコミュニケーションづくり 岡山県青少年問題協議会、岡山県青少年問題協議会、p.57、1997.03 1395 摂津市児童育成計画-子どもとともに育つまち・せっつ 摂津市、摂津市保健福祉部児童福祉課、p.62、1997.03 1396 平成8年版千葉の青少年 千葉県青少年総合対策本部、千葉県社会部青少年女性課、p.322、1997.03 1399 やまなしエンゼルプラン-子育て支援社会の構築のために 山梨県、山梨県厚生部児童家庭課、p.52、1997.03 1405 のびのびユースネットガイド 青少年育成国民会議、青少年育成国民会議、p.129、1997.03 1427 夢育-夢を育てる青年の家づくり-公立青年の家の改善について 公立青年の家の在り方に関する調査研究協力者会議、国立中央青年の家、p.16、1997.03 1432 青少年教育国際シンポジウム-青少年の薬物問題 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.99、1997.03 1445 青年の課題へのアプローチ-主催事業調査・報告 国立中央青年の家、国立中央青年の家、p.62、1997.03 1493 何にムカツいているのか?-癒されない若者文化たち 西村美東士、東京都中野区地域センター部女性・青少年課、 巻62号、p.5-7、1997.03 1533 癒しの生涯学習-ネットワークのあじわい方とはぐくみ方 西村美東士、学文社、p.156、1997.04 1541 札幌市青少年育成計画-未来への可能性にチャレンジ 札幌市、札幌市市民局青少年女性部、p.59、1997.05 1543 平成9年版鹿児島の青少年-心豊かな青少年を育てる運動 鹿児島県、鹿児島県環境生活部青少年女性課、p.149、1997.05 1554 新しい地縁社会の創造をめざして-一サラリーマンの地域体験活動から 大下勝巳、全日本社会教育連合会、社会教育、52巻 5号、p.22-24、1997.05 1566 国立淡路青年の家所報第20号-青年を対象とした主催事業 国立淡路青年の家、国立淡路青年の家、p.38、1997.06 1571 若者にとっての「居場所」の意味 萩原建次郎、日本社会教育学会、日本社会教育学会紀要、 巻33号、p.37-44、1997.06 1578 青少年の野外教育の推進(特集) 文部省生涯学習局青少年教育課、ぎょうせい、文部時報、 巻1448号、p.7-51、1997.07 1600 子どもの安全対策-トータルセーフティの考え方 宇田川光雄、全日本社会教育連合会、社会教育、52巻10号、p.32-35、1997.10 1605 子どもが輝くまち東京(2期最終報告)-子どもの健やかな成長を社会全体で支えるために 東京都児童環境づくり推進協議会、東京都福祉局子ども家庭部育成課、p.40、1997.11 1620 青少年の多様な体験活動の促進に向けたしくみづくり(報告)-21世紀の社会を担う青少年が自ら育つために 神奈川県青少年問題協議会、神奈川県県民部青少年室、p.42、1997.12 1622 「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正について(特集) 東京都、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、青少年問題研究、 巻187号、p.1-9、1997.12 1638 青少年活動の活性化について(報告書) 静岡県青少年活動活性化推進委員会、静岡県教育委員会青少年課、p.34、1997.12 1645 青少年問題の現状と対策-平成9年度版青少年白書 総務庁青少年対策本部、総務庁青少年対策本部、p.481、1998.01 1651 児童青少年センターの取り組みから-「150%満足!」に向けて 戸澤正行、青少年問題研究会、青少年問題、45巻 1号、p.32-37、1998.01 1660 平成9年度青少年の深夜はいかい防止県民一斉行動事業報告書-生活リズムの確立をめざす 沖縄県生活福祉部、沖縄県生活福祉部青少年・交通安全課、p.88、1998.02 1663 青年の家・少年自然の家-豊かな体験活動の供給基地 内田忠平、青少年問題研究会、青少年問題、45巻 2号、p.16-21、1998.02 1671 人と人との出会いのためのマルチメディア-昭和音楽大学かながわ産業未来展出展報告 西村美東士、全日本社会教育連合会、社会教育、53巻 2号、p.68-69、1998.02 1679 青少年の健全育成に向けた社会環境健全化の具体的推進策について(意見具申書) 川崎市青少年問題協議会、川崎市青少年問題協議会、p.31、1998.03 1682 しずおかの青少年 静岡県青少年対策本部、静岡県教育委員会青少年課、p.148、1998.03 1683 青少年の自立と社会活動のための東京都行動プラン 東京都、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.117、1998.03 1693 青少年の健全育成を推進する都民集会(特集)-TOKYOティーンズ'97青少年健全育成キャンペーン 加藤諦三 他、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、青少年問題研究、 巻188号、p.2-12、1998.03 1695 平成9年度青少年育成フォーラム報告書-青少年を育む社会を目指して 各領域の役割の認識と連携 山梨県、山梨県教育委員会、p.50、1998.03 1701 登校拒否等青少年の問題行動に関する調査研究報告書 国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター、p.116、1998.03 1716 新しい時代を拓く心を育てるために(中間報告要旨)-次世代を育てる心を失う危機 中央教育審議会、文部省大臣官房政策課、p.23、1998.03 1723 平成8・9年度川崎市青少年の家運営協議会研究報告書-青年がいる青少年の家の利用促進策について 川崎市青少年の家運営協議会、川崎市青少年の家、p.34、1998.03 1762 子どもと若者の居場所-今、職員のできること 久田邦明 他、東京都教育庁生涯学習部社会教育課、p.67、1998.03 1799 子ども会活性化方策について(報告) 仙台市青少年問題協議会、仙台市青少年問題協議会、p.31、1998.03 1801 子育てネットワークと「居場所」づくり(特集) 恒吉紀寿 他、国土社、月刊社会教育、42巻 3号、p.5-41、1998.03 1803 都市青年活動一覧 日本都市青年会議、日本都市青年会議、p.88、1998.03 1823 平成10年度三重県青少年対策-「生きる力」をはぐくむ 三重県青少年対策推進本部、三重県生活部青少年・私学課、p.97、1998.04 1824 青少年の発達と社会環境づくり(意見具申) 横浜市青少年問題協議会、横浜市青少年問題協議会、p.77、1998.04 1850 児童福祉法改正(特集)-就労と子育ての両立 網野武博 他、国立社会保障・人口問題研究所、季刊社会保障研究、 34巻 1号、p.4-62、1998.06 1883 青少年とパソコンなどに関する調査研究報告書
総務庁青少年対策本部、総務庁青少年対策本部、 p.155、1998.08 1920 国内専門家聞き取り調査および市民団体との懇談結果-「青少年と放送」 日本民間放送連盟、日本民間放送連盟、p.40、1998.10 1933 港南まちづくり塾事業における支援 加藤隆章、全日本社会教育連合会、社会教育、53巻 10号、p.46-49、1998.10 1936 子どもたちの生活時間と日常生活 沖縄の子どもたちの日常生活と生活技能-研究報告集1 藤本浩之輔 他、京都大学教育学部教育人間学研究室、p.188、1998.11 1946 こども放送局-衛星通信を使った新しい試み 吉川晃、全日本社会教育連合会、社会教育、53巻 11号、p.36-37、1998.11 1953 福祉サービス供給システムとしての措置(委託)制度の考察-保育所制度の改革等を素材として 福田素生、国立社会保障・人口問題研究所、季刊社会保障研究、 34巻 3号、p.281-294、1998.12 1966 家庭と地域社会の教育力の回復のために 清水明、全日本社会教育連合会、社会教育、53巻 12号、p.38-40、1998.12 1980 青少年問題の現状と対策-平成10年度版青少年白書 総務庁青少年対策本部、総務庁青少年対策本部、 p.580、1999.01 1981 子ども県議会会議録
徳島県、徳島県、p.96、1999.01 1988 家庭・地域社会の教育力向上に向けて(提言)-教育コミュニティづくりの勧め 大阪府社会教育委員会議、大阪府社会教育委員会議、p.28、1999.01 1996 青少年の体験活動の実態について-「神奈川県青少年体験活動実態調査」報告書 神奈川県青少年総合研修センター、神奈川県青少年総合研修センター、p.112、1999.01 2014 「男女・共育・学校」事業報告書-平成10年度文部省委嘱事業青年男女の共同参画セミナー 国立岩手山青年の家、国立岩手山青年の家、p.44、1999.02 2032 少子化社会と社会保障(特集) 津谷典子 他、国立社会保障・人口問題研究所、季刊社会保障研究、 34巻 4号、p.348-401、1999.03 2037 大阪府青少年育成懇話会報告書-新たな青少年育成計画の策定に向けて 大阪府青少年育成懇話会、大阪府青少年育成懇話会、p.15、1999.03 2039 岡山県青少年問題協議会報告書-Ⅰ青少年の主体的活動及び育成活動の促進・Ⅱ青少年の現実姿態と非行防止対策 岡山県青少年問題協議会、岡山県青少年問題協議会、p.40、1999.03 2045 東京都の青少年'98-施策のあらまし
東京都、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、 p.356、1999.03 2056 「青少年の自立支援事業」実践事例集 青少年育成香川県民会議 他、香川県・青少年育成香川県民会議、p.79、1999.03 2061 21世紀を見通した本県の生涯学習の総合的な推進方策について(答申) 岡山県生涯学習審議会、岡山県生涯学習審議会、p.44、1999.03 2064 学校と地域の連携を探る-聖徳大学生涯学習フォーラム 越田幸洋 他、社会教育協会、生涯フォーラム、 巻 1188号、p.12-13、1999.03 2083 早春の守屋山にチャレンジ-「子どもと話そう」全国キャンペーン 国立信州高遠少年自然の家 他、国立信州高遠少年自然の家、 p.30、1999.03 2096 平成10年度ウィメンズ・ライフロング・カレッジ事業報告書 佐賀県教育委員会、佐賀県教育庁生涯学習課、p.39、1999.03 2099 こどもの心を取り戻す教育推進事業報告書-距離 DISTANCE 静岡県教育委員会 他、静岡県教育委員会青少年課、p.27、1999.03 2102 東京都の遊び場-平成10年度 東京都生活文化局、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.202、1999.03 2110 子どもたちに生きる力を育む社会教育の推進(審議報告)-心の教育の充実に向けて 兵庫県社会教育委員の会議、兵庫県社会教育委員の会議、p.30、1999.03 2150 これからのFOS少年団の活性方策について(まとめ) 岡山県FOS少年団連盟専門委員会、岡山県FOS少年団連盟専門委員会、p.22、1999.03 2200 1990年代における女子のパートナーシップ変容-婚姻同居型から非婚非同居型へ 岩澤美帆、国立社会保障・人口問題研究所、人口問題研究、55巻 2号、p.19-38、1999.06 2230 第23期東京都青少年問題協議会答申(特集)-子どもの権利条約をいかす東京プログラム 東京都生活文化局、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、青少年問題研究、 巻192号、p.2-9、1999.07 2231 青少年の健全育成に関する提言-「地域における青少年育成活動の活性化」と「家庭・学校・地域社会の連携」に関する指標 広島県青少年問題協議会、広島県環境生活部青少年女性課、49巻 2号、p.78、1999.07 2255 動きはじめた全国子どもプラン-地域で子どもを育てよう<緊急3ヵ年戦略> 文部省生涯学習局、文部省生涯学習局青少年教育課、p.204、1999.08 2259 調査データに見る子どもの体験活動の実態 土屋隆裕、青少年問題研究会、青少年問題、46巻 8号、p.30-38、1999.08 2286 「戦後」を超えて-青少年の自立と大人社会の責任-第15期青少年問題審議会答申 総務庁青少年対策本部、青少年問題研究会、青少年問題、46巻10号、p.52-56、1999.10 2295 中・高校生世代に焦点をあてた社会教育施策のあり方について(助言・要約)-多様な自己実現を支援するために 第23期東京都社会教育委員の会議、国土社、月刊社会教育、43巻10号、p.46-51、1999.10 2297 エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)について 生涯学習局学習情報課、ぎょうせい、文部時報、 巻1478号、p.42-47、1999.10 2307 青年期の性(sexuality)形成に関する研究(1)-高校生の性知識及び性意識の形成におけるマスメディアの影響 中澤智恵、東京学芸大学、東京学芸大学紀要第6部門、 巻51号、p.23-35、1999.11 2308 共に生き共に育つ川崎をめざして(意見具申書)-川崎市青少年プランの策定にあたって 川崎市青少年問題協議会、川崎市市民局青少年育成課、p.50、1999.11 2310 三重県青少年健全育成ビジョン-みえ・わかもの新世紀ビジョン 三重県、三重県、p.64、1999.11 2333 UNICEF Grobal Forum in Tokyo Workshop Report
日本ユニセフ協会、日本ユニセフ協会、p.141、1999.12 2334 ユニセフ・グローバルフォーラム in 東京 公開ワークショップ報告書-子どもの商業的性的搾取の根絶に向けて 日本ユニセフ協会、日本ユニセフ協会、p.88、1999.12 2345 青少年問題の現状と対策-平成11年度版青少年白書 総務庁青少年対策本部、総務庁青少年対策本部、p.618、2000.01 2355 子どもの願い、今、伝えたい私の気持ち-子ども地域活動促進事業 日本都市青年会議、日本都市青年会議、p.14、2000.01 2371 映像メディアへの接触と暴力-テレビゲームを中心に 山本功、青少年問題研究会、青少年問題、47巻 2号、p.35-42、2000.02 2382 子どもの体験活動等に関する国際比較調査
子どもの体験活動研究会、子どもの体験活動研究会、p.65、2000.03 2395 「子どもの権利」の神話をこえて-比較文化論的考察 森田明、比較法学会、比較法、 巻37号、p.23-48、2000.03 2398 新たな愛知県青少年健全育成計画策定の基本方向について(提言)-共に育ち合う社会をめざして 愛知県青少年問題協議会、愛知県総務部青少年女性室、p.51、2000.03 2403 21世紀青少年支援の方向性(意見具申)-青少年健全育成の中長期的対策について 茨城県青少年問題協議会、茨城県青少年問題協議会、p.57、2000.03 2408 おきなわ青少年育成プランの策定に当たっての基本的な考え方と施策の方向について(意見具申)-育て! ジンブナー21 沖縄県青少年問題協議会、沖縄県青少年問題協議会、p.40、2000.03 2415 平成10・11年期神奈川県青少年問題協議会報告21世紀を担う青少年のために、今、取り組むべきこと 神奈川県青少年問題協議会、神奈川県青少年問題協議会、p.42、2000.03 2418 くしろ子どもプラン中間報告 釧路市青少年健全育成推進プラン策定委員会、釧路市青少年健全育成推進プラン策定委員会、p.22、2000.03 2421 青少年問題協議会報告書-青少年を取り巻く現状・問題点・施策の方向性について 島根県青少年問題協議会、島根県青少年問題協議会、p.150、2000.03 2423 「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案の概要 東京都、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、青少年問題研究、 巻194号、p.13-14、2000.03 2428 子どもたちの放課後を豊かなものにするために-第23期東京都青少年問題協議会意見具申 東京都生活文化局、東京都生活文化局女性青少年部青少年課、p.54、2000.03 2431 青少年健全育成に向けての提言 新潟県青少年問題協議会、新潟県青少年総合対策本部、p.30、2000.03 2433 福岡市子ども総合計画(概要)-子どもが夢を描けるまちをめざして 福岡市、福岡市市民局子ども部、p.10、2000.03 2437 21世紀の社会を担う青少年の自立促進と社会参加(意見具申) 横浜市青少年問題協議会、横浜市市民局青少年部青少年企画課、p.46、2000.03 2463 「総合的な学習の時間」と少年自然の家Ⅰ        -「総合的な学習の時間」のねらいと少年自然の家の試み 全国少年自然の家連絡協議会、国立那須甲子少年自然の家、全国少年自然の家連絡協議会研究紀要、 巻26号、p.79、2000.03 2487 青年男女の共同参画セミナー事業報告書-平成11年度文部省委嘱事業 国立江田島青年の家、国立江田島青年の家、p.7、2000.03 2499 わんぱく子ども宿17泊18日へのチャレンジ実践集録-平成11年度全国少年自然の家連絡協議会指定研究 国立室戸少年自然の家、国立室戸少年自然の家、p.58、2000.03 2508 公立青少年教育施設の今後の在り方(答申)-より充実した魅力ある活動プログラムの開発を目指して 第25期新潟県社会教育委員の会議、新潟県教育委員会、p.45、2000.03 2514 21世紀初頭に向けた社会教育の振興方策(提言)-心ゆたかな青少年を育む家庭・学校・地域社会の連携の在り方について 広島県社会教育委員の会議、広島県社会教育委員の会議、p.25、2000.03 2524 日本の青少年教育施設発展の歴史的研究 宮本一、大正大学、大正大学研究紀要、 巻85号、p.343-364、2000.03 2528 山梨県子どもの体験活動推進実施結果報告書
山梨県こどもの体験活動推進委員会、山梨県、p.95、2000.03 2540 平成11年度主催事業「野外教育企画担当者セミナー」報告書-プログラムデザイン研修実践記録 国立淡路青年の家、国立淡路青年の家、p.37、2000.03 2543 平成11年度主催事業「野外教育企画担当者セミナー」実施報告書-アクティビティデザイン研修 国立大隅少年自然の家、国立大隅少年自然の家、p.49、2000.03 2544 平成11年度主催事業「野外教育企画担当者セミナー」実践記録-アクティビティデザイン研修 国立妙高少年自然の家、国立妙高少年自然の家、p.61、2000.03 2545 平成11年度主催事業「野外教育企画担当者セミナー」報告書-マネージメント研修 国立山口徳地少年自然の家、国立山口徳地少年自然の家、p.78、2000.03 2558 文部省委嘱事業心の教育全国アクションプラン-我が家の家風とアクションプラン 全国子ども会連合会、全国子ども会連合会、p.48、2000.03 2563 子どもインターンシップ-文部省委嘱子ども地域活動促進事業実施報告書 日本PTA全国協議会、日本PTA全国協議会、p.91、2000.03 2568 平成11年度日韓ガールスカウト交流事業報告書-日韓青少年(中・高生)交流促進事業 ガールスカウト日本連盟、ガールスカウト日本連盟、p.23、2000.03 2583 生涯学習局-文教施策の進展平成12年度の展望
富岡賢治、文部省、文部時報、 巻 1486号、P10-11、2000.04 2584 こころ豊かな人を育む地域社会の構築-「トライやる・ウィーク」の試み 森野政路、青少年問題研究会、青少年問題、47巻 4号、P28-34、2000.04 2591 子ども読書年(特集) 松岡享子 他、全日本社会教育連合会、社会教育、55巻 4号、P7-25、2000.04 2621 フランスにおける児童虐待防止制度の改善 河合美穂、青少年問題研究会、青少年問題、47巻 6号、P48-51、2000.06 2640 児童虐待のソーシャルワーク 川崎二三彦、青少年問題研究会、青少年問題、47巻 7号、P38-43、2000.07 2654 おおずふれあいスクール報告書-不登校(登校拒否)児童生徒対応事業 国立大洲青年の家、国立大洲青年の家、P88、2000.07 2666 心の東京革命行動プラン-次代のために、行動は今 東京都、東京都生活文化局女性青少年部、P43、2000.08 2711 インターネットがもつ教育の可能性 坂井知志、青少年問題研究会、青少年問題、47巻09号、P4-9、2000.09 2724 地域社会と学校との連携・融合と社会教育の役割-学校支援ボランティアの展望 廣瀬隆人、全日本社会教育連合会、社会教育、55巻10号、P26-31、2000.10 2783 2000年の青少年問題-この百年・十年・一年を回顧して 松本良夫、青少年問題研究会、青少年問題、47巻12号、P4-15、2000.12 2790 青少年政策の総合的推進に関する研究会報告書 青少年政策の総合的推進に関する研究会、青少年政策の総合的推進に関する研究会、P62、2000.12 2796 今こそ地域のおじさん、おばさんの出番 上村文三、青少年問題研究会、青少年問題、47巻12号、P16-21、2000.12 2823 家庭の教育力の充実等のための社会教育行政の体制整備について(報告) 生涯学習審議会社会教育分科審議会、全日本社会教育連合会、社会教育、56巻 1号、P66-68、2001.01 2836 ボランティア活動と奉仕活動 興梠寛、青少年問題研究会、青少年問題、48巻 1号、P4-10、2001.01 2850 くまもと青少年プラン-すべての青少年が健やかに育まれるくまもとづくり 熊本県、熊本県環境生活部県民生活総室、P59、2001.02 2853 天性を見出し育成に努める-青少年アンビシャス運動100人委員会中間報告 青少年アンビシャス運動100人委員会、福岡県生活労働部青少年課、P24、2001.02 2854 第50回"社会を明るくする運動"を振り返って 保護局更生保護振興課、日本更生保護協会、更生保護、52巻 2号、P46‐53、2001.02 2875 「青少年社会環境対策基本法案」-包括的メディア規制が意味するもの 竹内淳、日本民間放送連盟、月刊民放、31巻 2号、P30‐33、2001.02 2876 青少年有害環境問題とメディアの自律-資料集 日本民間放送連盟、日本民間放送連盟、P108、2001.02 2883 青少年・保護者の規範意識に関する調査結果報告書 静岡県青少年問題協議会、静岡県青少年問題協議会、P211、2001.03 2893 青少年の心の問題全国研究集会報告書-17歳問題を考える 兵庫県「青少年の心の問題」ネットワーク推進会議、兵庫県青少年本部、P33、2001.03 2900 あいちの青少年育成計画21-共に育ち合う社会を目指して 愛知県、愛知県青少年対策本部、P57、2001.03 2901 青森県青少年対策基本計画-心豊かな青少年を育てる運動 青森県、青森県生活環境部青少年課、P46、2001.03 2903 豊の国青少年プラン21-大分県青少年健全育成基本計画 大分県、大分県生活環境部女性青少年課、P61、2001.03 2905 平成12年度版埼玉県青少年白書-彩の国の青少年 埼玉県総務部青少年課、埼玉県総務部青少年課、P152、2001.03 2908 「仙台市こどもをとりまく環境等に関する総合調査」報告書 仙台市健康福祉局こども家庭部こども企画課、仙台市、P215、2001.03 2912 とちぎ青少年プラン-心豊かでたくましいとちぎの青少年を育成するために 栃木県、栃木県生活環境部女性青少年課、P85、2001.03 2922 総合的な学習の時間としてのセカンドスクール活動の在り方について 加藤卓 他、国立乗鞍青年の家、乗鞍研究紀要、 巻 2号、P11-18、2001.03 2924 平成12年度主催事業第3回森のふれあい学習インのりくら実践研究報告書-セカンドスクール 国立乗鞍青年の家、国立乗鞍青年の家、 巻 3号、P76、2001.03 2930 「21世紀教育新生プラン」について 生涯学習政策局政策課教育改革広報推進室、全国公民館連合会、月刊公民館、 巻526号、P-43-45、2001.03 2940 自分探しをする子どもたちへ大人社会からのアプローチ(提言) 岡山県社会教育委員の会議、岡山県社会教育委員の会議、P24、2001.03 2954 『長期自然体験活動事業』参加者の追跡意識等調査報告書 国立那須甲子少年自然の家、国立那須甲子少年自然の家、P33、2001.03 2979 若者の居場所-行政が「つくる」教育的意図は何か 西村美東士、兵庫県自治研修所、研修、 巻 号、P16‐22、2001.03 3013 ガールスカウトの「新教育プログラム」-新しい時代のニーズに応える教育 ガールスカウト日本連盟、ガールスカウト日本連盟、リーダーの友、 巻215号、P14-15、2001.03 3029 日本青少年育成学会発足-日本青少年育成学会2000年研究集会から 山田ともこ、全日本社会教育連合会、社会教育、56巻4号、p.28-30、2001.04 3056 国立青少年教育施設独立行政法人化へ 松下倶子、日本青少年育成学会、青少年育成研究紀要、 巻 1号、p.79-81、2001.05 3058 東京都のユ-スワ-カ-システムの導入とユ-スワ-カ 伊藤信男、日本青少年育成学会、青少年育成研究紀要、 巻 1号、p.81-85、2001.05 3074 子ども・若者の居場所づくり-若者の居場所づくりに取り組んで一 大場孝弘、日本社会教育学会、日本社会教育学会紀要、 巻37号、p.3-4、2001.06 3143 野外教育指導者研修ガイドライン 青少年野外教育指導者研修事業研究会、青少年野外教育指導者研修事業研究会、 巻 号、p.66、2001.09 3144 社会奉仕活動の指導・実施方法に関する調査研究報告書 日本総合研究所、日本総合研究所、p.245、2001.09 3177 子どもをほめるまちづくり 全日本社会教育連合会編集部、全日本社会教育連合会、社会教育、56巻11号、p.44-45、2001.11 3180 2001愛知の青少年 愛知県県民生活部社会活動推進課/愛知県青少年問題協議会、愛知県県民生活部社会活動推進課、p.241、2001.12 3183 地域の支援で感性をはぐくむ学校教育のあり方-栃木県鹿沼市立石川小学校を例にして 越田幸洋、全日本社会教育連合会、社会教育、56巻12号、p.24-26、2001.12 3198 子どもを犯罪から守るまちづくり 中村功、青少年問題研究会、青少年問題、49巻 1号、p.18-23、2002.01 3212 第5回野外伝承遊び国際会議報告書-野外伝承遊びの意義と現状 青少年交友協会、青少年交友協会、p、2002.01 3219 平成13年度文部科学省委嘱事業YYボランティアフェスティバルto全国活動報告書 やまがたヤングボランティアフェスティバル、山形県青年の家、p.77、2002.01 3221 平成14年度「子どもゆめ基金」助成事業を募集! 全日本社会教育連合会編集部、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻 1号、p.34-35、2002.01 3226 ぐんまの青少年こども2001 群馬県保健福祉部青少年こども課、群馬県保健福祉部青少年こども課、p.70、2002.02 3227 青少年の規範意識を育てるための施策について(意見具申) 静岡県青少年問題協議会、静岡県教育委員会青少年課、p.31、2002.02 3250 青森の青少年平成13年度版 青森県環境生活部青少年課、青森県環境生活部青少年課、p.199、2002.03 3251 平成13年度ユ-スアクションセミナ--青少年の仲間づくりと社会参加活動 秋田県、秋田県生活環境文化部県民文化政策課、p.54、2002.03 3253 岡山県青少年白書-青少年の現状と施策 岡山県生活環境部青少年課、岡山県生活環境部青少年課、p.236、2002.03 3255 地域が育む「かごしまっ子」育成プラン(試行案) 鹿児島県教育委員会、鹿児島県教育委員会、p.41、2002.03 3258 京都市ユ-スアクションプラン-第2次京都市青少年育成計画 京都市文化市民局勤労福祉青少年課、京都市文化市民局勤労福祉青少年課、p.70、2002.03 3269 宮崎の青少年-青少年の現状と対策 宮崎県生活環境部女性青少年課、宮崎県生活環境部女性青少年課、p.188、2002.03 3284 青少年を育成する地域コミュニティ-づくり提言集 福島県、福島県、p.159、2002.03 3335 ボ-イスカウト・ガ-ルスカウト活動活性化のための調査研究2 ガ-ルスカウト日本連盟 他、ガ-ルスカウト日本連盟、p.47、2002.03 3398 地域での子ども・若者の「居場所づくり」へのアプロ-チ(特集) 東京都立多摩社会教育会館、東京都立多摩社会教育会館、三多摩の社会教育、 巻94号、p.1-31、2002.03 3410 平成13年度事業報告書 檜山青年の家、檜山青年の家、p.30、2002.03 3416 平成13年度福島県青少年自然体験活動推進事業(ハ-トウォ-ムプラン)報告書-悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業 福島県自然の家 他、福島県教育委員会、p.63、2002.03 3439 「親指ネット」と若者の友人関係の変容 塩森継紀、帝京大学経済学会、帝京経済学研究、35巻 2号、p.43-54、2002.03 3450 フレンドシップ事業報告書 金沢大学教育学部 他、金沢大学教育学部、p.67、2002.03 3459 青少年教育施設における教職志望学生対象研修会の現状と課題 林幸克 他、国立オリンピック記念青少年総合センタ-、国立オリンピック記念青少年総合センタ-研究紀要、 巻 2号、p.31-39、2002.03 3478 平成13年度学校と地域を通じた奉仕活動推進事業報告書 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課、文部科学省スポーツ・青少年局青少年課、巻号、p.250、2002 3491 授業科目「ボランティア活動」をふりかえって 国立花山少年自然の家事業課長沖永哲哉、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻4号、p.18-21、2002.04 3492 地域の教育力が育てる子どもの社会力 筑波大学教育学系教授門脇厚司、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻5号、p.10-12、2002.05 3493 生活の基礎である文化の伝承 (財)日本生涯学習総合研究所理事伊藤俊夫、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻5号、p.14-16、2002.05 3497 地域の教育力と通学合宿 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長結城光夫、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻7号、p.8-15、2002.07 3498 「通学合宿」はじめの一歩 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター専門調査員佐久間章、全日本社会教育連合会、社会教育、57巻7号、p.16-21、2002.07 3505 れっつ!2002-第7回フェローシップキャンプの記録 こどもの城プレイ事業部、こどもの城プレイ事業部、第7号、p.69、2002.10 3506 '02北海道自然の村・足あとと思い出集 JR北海道自然の村、JR北海道自然の村、巻号、p.146、2002.10 3510 体験活動事例集-豊かな体験活動の推進のために 文部科学省初等中等教育局、文部科学省初等中等教育局、巻号、p.345、2002.10 3517 「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針-情報化社会の進展に対応して-」に基づく取組等の実施状況について 内閣府政策統括官(総合企画調整担当)、内閣府政策統括官、巻号、p.51、2002.10 3538 「やりたいこと」をきっかけに「集う場所」-公民館でライブ 国分寺市立光公民館佐川祥子、全国公民館連合会、月刊公民館、第547号、p.8-11、2002.12 3539 個人化/社会化のための公民館の教育機能-青少年の居場所づくりをめぐって 徳島大学大学開放実践センター教授西村美東士、全国公民館連合会、月刊公民館、第547号、p.12-20、2002.12 3543 子どものセーフティネット構築上の課題-子どもへのサービスの質の確保システムをめぐって 西郷泰之、大正大学社会福祉学会、鴨台社会福祉学論集野坂勉教授退任記念号、第13号、p.91-103、2002.12 3544 新たな里親施策の可能性と課題 高橋一弘、大正大学社会福祉学会、鴨台社会福祉学論集野坂勉教授退任記念号、第13号、p.105-119、2002.12 3549 青年ボランティア・アクションinフィリピン報告書-平成14年度文部科学省補助事業・SYD青年部創立50周年記念事業 修養団青年部、財団法人修養団、巻号、p.40、2002.12 3551 青少年の社会参加活動ハンドブック 内閣府政策統括官、内閣府政策統括官総合企画調整担当、巻号、p.408、2002.04 3553 非行化を促す人間関係 星野周弘、青少年問題研究会、青少年問題、第49巻第4号、p.32-37、2002.04 3560 平成13年度悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業報告書 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課、文部科学省スポーツ・青少年局青少年課、巻号、p.111、2002.06 3562 青少年の規範意識の獲得と地域の通過儀礼(祭・行事・掟・きまり等)に関する調査研究 古市勝也、マツダ財団、マツダ財団研究報告書、VOL.15、p.115-124、2002.06 3577 青少年施設の居場所機能 西村美東士、徳島大学大学開放実践センター、徳島大学大学開放実践センター紀要、第13巻、p.73-81、2002.07 3579 情報化社会と青少年-第4回情報化社会と青少年に関する調査報告書 内閣府政策統括官総合企画調整担当、内閣府政策統括官、巻号、p.445、2002.07 3580 広島発 電子メディアと子どもたち 広島市青少年問題協議会、広島市教育委員会、巻号、p.81、2002.07 3584 国際教育協力懇談会資料集(その1) 文部科学省国際教育協力懇談会事務局、文部科学省国際教育協力懇談会事務局、巻号、p.108、2002.07 3589 自然体験活動の効果とその要因 明治大学教授星野敏男、青少年問題研究会、青少年問題、49巻8号、p.10-16、2002.08 3597 野外文化教育の体系化に関する研究 森田勇造、社団法人青少年交友協会野外文化研究所、巻号、p.149、2002.09 3606 大半の子どもが「乱れた日本語」を自覚しながらも使用 旺文社生涯学習検定センター、旺文社生涯学習検定センター、巻号、p.20、2002.09 3613 チャレンジ生き生き親子のつどい報告書-平成14年度豊かな自然から学ぶ体験活動推進事業(ハートウォームプラン) 福島県教育委員会・福島県会津自然の家、福島県会津自然の家、巻号、p.35、2003 3638 青少年を取り巻く社会環境県下一斉実態調査報告書 茨城県青少年相談員連絡協議会、茨城県、巻号、p.49、2003.01 3640 子ども会は「生きる力」をいかにして子どもたちに与えられるか? 石井幸夫、青少年問題研究会、青少年問題、第50巻第1号、p.35-40、2003.01 3646 平成14年度青少年の社会参画推進事業「ステップアップセミナー」研修集録 北海道教育委員会、北海道教育庁生涯学習部生涯学習課、巻号、p.56、2003.02 3649 青少年教育施設における野外活動・集団宿泊活動の事例分析-国立乗鞍青年の家におけるセカンドスクールから 村上博基・益川浩一・森田政裕、岐阜大学生涯学習教育研究センター、巻号、p.131、2003.02 3653 児童養護施設の子どもたちがかかえる問題について 竹内かおり・益川浩一・森田政裕、岐阜大学生涯学習教育研究センター、巻号、p.59、2003.02 3654 子どもの虐待の現状とその支援方策について 木野裕美・益川浩一・森田政裕、岐阜大学生涯学習教育研究センター、巻号、p.136、2003.02 3655 児童福祉の動きと論点の整理-2001・2002年の概観と2004年法改正の展望 竹中哲夫、日本福祉大学、日本福祉大学社会福祉論集、第108号、p.81-122、2003.02 3656 子どもの福祉と権利の比較法制史的研究-日英比較分析を中心に 本間真宏・保延成子・平戸ルリ子・川瀬八洲夫、東京家政大学、東京家政大学研究紀要人文社会科学、43集(1)、p.85-95、2003.02 3665 ワーキング・ホリデーにおける国際交流 川上衛、青少年問題研究会、青少年問題、第50巻第2号、p.22-27、2003.02 3669 平成14年度文部科学省委託事業山梨県子どもの体験活動推進事業実施結果報告書 山梨県子どもの体験活動推進委員会、山梨県教育庁社会教育課、巻号、p.66、2003.03 3680 学社融合『総合的な学習の時間』共同開発事業報告書-中学生の社会性と対人関係能力をはぐくむプログラム 国立諫早少年自然の家、国立諫早少年自然の家、巻号、p.64、2003.03 3682 平成14年度秋田県体験活動支援センター報告書 秋田県体験活動支援センター、秋田県体験活動支援センター、巻号、p.23、2003.03 3689 青少年のボランティア学習プログラムの在り方に関する調査研究報告書 国立オリンピック記念青少年総合センター・青少年教育施設におけるボランティア学習プログラムの在り方に関する調査研究協力者会議、国立オリンピック記念青少年総合センター、巻号、p.109、2003.03 3737 国立花山少年自然の家研究紀要「しゃくなげ」-平成14年度主催事業プログラムと考察(学校活用編) 国立花山少年自然の家、国立花山少年自然の家、Vol.17No.1、p.191、2003.03 3739 青少年の体験活動ボランティア活動-「事前学習」プログラムのすすめ 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、巻号、p.142、2003.03 3746 平成14年度「学校内外を通じた奉仕活動・体験活動推進事業」及び「子ども放課後・週末活動等支援事業」報告書 大分県教育委員会、大分県教育庁生涯学習課、巻号、p.59、2003.03 3751 北九州市青少年ボランティアステーション1年のあゆみ 北九州市立青少年ボランティアステーション、北九州市立青少年ボランティアステーション、巻号、p.21、2003.03 3777 学校外支援の構造と機能-公的中高生施設「ゆう杉並」とその周辺のエスノグラフィー 新谷周平、東京大学大学院教育学研究科、東京大学大学院教育学研究科紀要、42巻、p.409-417、2003.03 3792 子ども・若者の市民参加の試み-2つのプロジェクトを通して見えてきたこと 水野篤夫、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要青少年教育フォーラム、第3号、p.121-130、2003.03 3809 青少年の健全育成に関する取組み
福井県県民生活部、福井県、巻号、p.112、2003.03 3810 島根県青少年の健全な育成に関する条例解説
島根県健康福祉部、島根県、巻号、p.157、2003.03 3811 中学生とともに-保護者のみなさまへ 静岡県教育委員会青少年課、静岡県教育委員会青少年課、巻号、p.28、2003.03 3812 青少年向けメンタリング・プログラムの構造的特徴と類型 渡辺かよ子、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要青少年教育フォーラム、3号、p.69-82、2003.03 3813 青少年健全育成活動実践事例調査-地域で育てる地域の子 茨城県知事公室女性青少年課(青少年対策検討ワーキングチーム)、茨城県知事公室女性青少年課、巻号、p.44、2003.03 3814 平成14年度青少年健全育成モデル事業事例集 愛知県県民生活部社会活動推進課、愛知県、巻号、p.70、2003.03 3815 平成14年度青少年有害環境モニター報告書 青少年育成国民会議、社団法人青少年育成国民会議、巻号、p.49、2003.03 3818 グループホームの現状と課題(1) 庄司順一 他5名以上、日本子ども家庭総合研究所、日本子ども家庭総合研究所紀要、第39集、p.83-149、2003.03 3820 発達障害児・者における問題行動の研究動向 小笠原恵、東京学芸大学紀要出版委員会、東京学芸大学紀要第1部門教育科学、第54集、p.173-181、2003.03 3822 始めてみませんか学校支援ボランティア地域体験活動-子どもたちの豊かな成長のために 神奈川県青少年指導者養成協議会、神奈川県青少年総合研修センター、巻号、p.68、2003.03 3826 平成14年度全国インターネットシンポジウム報告書 青少年育成国民会議・全国インターネットシンポジウム実行委員会、社団法人青少年育成国民会議、巻号、p.53、2003.03 3834 平成14年度「本のわくわく探検事業」報告書 福岡県生活労働部青少年課青少年アンビシャス運動推進室、福岡県生活労働部青少年課青少年アンビシャス運動推進室、巻号、p.70、2003.03 3835 青年・社会人向けのボランティア活動及び社会奉仕体験活動にかかる長期参加プログラムに関する調査研究報告 日本青年奉仕協会、社団法人日本青年奉仕協会、巻号、p.111、2003.03 3837 子どもの読書活動の推進について スポーツ・青少年局青少年課、第一法規出版、教育委員会月報、No.645、p.2-4、2003.03 3839 青少年育成を英国に学ぶ 黒木宣博、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立青少年センター研究紀要青少年教育フォーラム、第3号、p.47-57、2003.03 3843 「子どもとインターネット」に関するNPO等についての調査研究報告書-米国を中心に 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課企画係、文部科学省、巻号、p.163、2003.03 3845 江東区子ども会活動事例集 江東区教育委員会生涯学習課青少年センター、江東区教育委員会、巻号、p.30、2003.03 3848 平成14年度「1年間ボランティア計画」不登校児等支援プロジェクト報告書 日本青年奉仕協会、社団法人日本青年奉仕協会、巻号、p.35、2003.03 3853 平成14年度青少年交流推進事業報告書 ガールスカウト日本連盟、社団法人ガールスカウト日本連盟、巻号、p.46、2003.03 3859 愛知県半田市の総合型地域スポーツクラブの展開と運動部活動 夏秋英房、聖徳大学生涯学習研究所紀要 生涯学習研究1 、p.15-24、2003.03 3863 世界子供白書2003 ユニセフ、p.120、2003.04 3864 居場所づくりと青少年育成の考え方 西村美東士、青少年問題研究会「青少年問題」、50巻 4号、p.54-56、2003.04 3865 青少年の育成に関する有識者懇談会報告書 青少年の育成に関する有識者懇談会、p.173、2003.04 3898 子どもの社会力を育み高める総合学習の試み~地域の課題を学習テーマとした授業の実践 門脇厚司、日本青少年育成学会 青少年育成研究紀要 2003、第3号、p.35-46、2003.05 3913 鹿児島県青少年育成県民会議総会資料 平成15年度 鹿児島県青少年育成国民会議、p.32、2003.06 3922 不登校児童生徒体験活動推進事業はつらつ体験塾事業実施報告書 新潟県少年自然の家/新潟県教育委員会、p.131、2003.06 3982 役立つ「学力」を高める自然体験活動 平野吉直、青少年問題研究会「青少年問題」、50巻 8号、p.2-3、2003.08 4005 国立乗鞍青年の家 プログラム・アクティビティ実践集 国立乗鞍青年の家、p.78、2003.09 4014 あなたのハート、貸してください 大分県立生涯教育センター、社会教育、第58巻9月号、p.24-26、2003.09 4041 国際協力NGOのための「子ども参加実践ガイドライン」2003 「南」の子ども支援NGOネットワーク、p.34、2003.10 4065 今年の青少年問題 岡本吉生、青少年問題、第50巻第12号、p.10-17、2003.12 4086 ドイツにおける異文化間教育に関する一考察~地域社会における(学習)活動の視点から 帆足哲哉、国士舘大学教育学会 教育学論叢、第21号、p.97-118、2003.12 4090 子どもの危機管理の実態とその改善方策に関する調査研究 伊藤忠記念財団、p.377、2004.01 4098 子どもの発達と子どもの居場所 住田正樹、青少年問題、第51巻第1号、p.10-15、2004.01 4103 居場所が生まれる場を構想する 萩原健次郎、青少年問題、第51巻第1号、p.16-21、2004.01 4108 若者の居場所を探そう 小川俊一、青少年問題、第51巻第1号、p.22-27、2004.01 4109 キャンプ研究 日本キャンプ協会、第7巻第2号、p.68、2004.01 4111 秋田の青少年 平成16年 秋田県生活環境文化部県民文化政策課、p.100、2004.02 4116 少年期に必要な体験活動と指導のあり方 国立信州高遠少年自然の家、p.168、2004.02 4132 子どもが主人公の場作りと親へのサポート事業調査報告書 全国子ども会連合会、p.98、2004.02 4139 地域ぐるみの青少年育成に関する一考察 清水英男、聖徳大学生涯学習研究所紀要、2、p.11-20、2004.03 4140 青少年育成施策大綱 青少年育成推進本部、p.35、2004.03 4146 中学校における学校規模の社会的スキル訓練 金山元春 他、広島大学大学院教育学研究科紀要、52号第3部、p.259-266、2004.03 4154 今後の生涯学習の振興方策について(審議経過の報告) 中央教育審議会生涯学習分科会、p.47、2004.03 4177 平成15年度 主催事業 「ふれあい新発見!冒険隊」報告書 国立花山少年自然の家、p.70、2004.03 4191 高校生演劇ワークショップ報告書 国立淡路青年の家、p.67、2004.03 4192 平成15年度研究報告書 シシリムカ
国立日高少年自然の家、p.38、2004.03 4194 平成15年度主催事業報告書 わくわくキャンプ イン ひだか 国立日高少年自然の家、p.17、2004.03 4197 「オープン・ザ・ドア!」
国立妙高少年自然の家、p.133、2004.03 4221 都心区における青少年の居場所づくりと社会教育・生涯学習 特別区社会教育主事会 中央ブロック、2003年度 特別区社会教育主事会 紀要 、第41号、p.1-6、2004.03 4228 平成15年度事業報告書
北海道立青年の家、p.31、2004.03 4236 「子どもとテレビゲーム」に関するNPO等についての調査研究―米国を中心に(報告書) 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課、p.171、2004.03 4242 ボランティア活動を推進する社会的気運醸成に関する調査研究報告書 三井情報開発株式会社総合研究所、p.148、2004.03 4243 沖縄における地域の共同性と青年の主体形成を促す地域文化活動に関する研究 山城千秋、九州大学大学院教育学研究紀要2003 、第6号、p.77-93、2004.03 4245 青少年赤十字活動実践事例集 全国版
日本赤十字社、p.108、2004.03 4248 総合的な学習「PEACEステーション」~国際理解学習の一事例として 伊藤幸洋 他、三重大学教育学部付属教育実践総合センター 紀要、第24号、p.111-119、2004.03 4249 国際理解教育を進める実践的アプローチの研究~問題解決能力を高める参加型学習えお通して 藤田克昌、平成15年度愛媛県総合教育センター 教育研究紀要、第70集、p.45-48、2004.03


引用文献・参考文献
(2.5「青少年教育・対策文献に見る社会化支援理念の変遷」以外のもの)


1. 「青少年育成施策大綱」(平成15年12月9日、青少年育成推進本部決定)
2. Durkheim, E., Education et sociologie(1922), P.U.F., 1968. 佐々木交賢訳『教育と社会学』, 誠信書房, p.41, 1976年。
3. Parsons, T., The Social System, Tavistock Publications, 1952, p.205. 佐藤勉訳『社会体系論』, 青木書店, 608p, 1974年。
4. Brim, O. G., Jr. & S. Wheeler, Socialization after Childhood : Two Essays, John Wiley & Sons, 1966, p.3.
5. Blumer, H., "Society as a Symbolic Interaction in Rose", A. M. (ed.), Human Behavior and Social Process : An Interactionist Approach, R. K. P., 1962, pp.179-192.
6. Giddens, A., The Third Way: the Renewal of Social Democracy, Polity Press, 1998. 佐和隆光訳『第三の道―効率と公正の新たな同盟』, 日本経済新聞社, pp.67-71, 1999年。
7. 柴野昌山『しつけの社会学-社会化と社会統制』, 世界思想社, pp.15-16, p.297, p.300, 1989年。
8. 門脇厚司『子どもの社会力』, 岩波新書, 251p, 1999年。
9. 養老孟司『バカの壁』, 新潮新書, 204p, 2003年。
10. 宮本みち子『若者が≪社会的弱者≫に転落する』, 洋泉社, p.81, 2002年。
11. 臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」, 1985年。
12. 中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について-子供に[生きる力]と[ゆとり]を」, 1996年。
13. 中央教育審議会答申「次代を担う自立した青少年の育成に向けて-青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促す方策について」, 2007年。
14. 国立那須甲子少年自然の家『長期にわたる少年の自然体験活動に関する調査研究Ⅱ』, 50p, 1990年。
15. 国立那須甲子少年自然の家『「長期自然体験活動事業」参加者の追跡意識等調査報告書』, 33p, 2001年。
16. 全国子ども会連合会『子ども会活動における子どもの成長に関する調査』, 164p, 1994年。
17. 国立オリンピック記念青少年総合センター『登校拒否等青少年の問題行動に関する調査研究報告書』, 116p, 1998年。
18. 土屋隆裕「調査データに見る子どもの体験活動の実態」, 青少年問題研究会『青少年問題』, 46巻8号, pp.30-38, 1999年。
19. 溝上慎一編著『大学生の自己と生き方-大学生固有の意味世界に迫る大学生心理学』, 246p, 2001年。
20. 田中治彦『学校外教育論』, 学陽書房, 1988年。
21. 田中治彦編『子ども・若者の居場所の構想』, 学陽書房, p.10, 2001年。
22. Roger Hart., Children's Participation, UNICEF, 1997. 木下勇・田中治彦・南博文翻訳監修『子どもの参画-コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』, 萌文社, 2000年。
23. 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター『青少年問題に関する文献集』第35巻(最終号), 平成17年。
24. 西村美東士「ワークショップ型授業の構成要素とその効果-学生の自己決定能力を高める授業方法」(研究論文), 大学教育学会『大学教育学会誌』22巻2号, pp.194-202, 2000年。
25. 山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』, 中央公論社, pp.50-51, 1984年。
26. 西村美東士『生涯学習か・く・ろ・ん-主体・情報・迷路を遊ぶ』, 学文社, pp.3-4, 1991年。
27. 結城光夫「青少年教育施設で『生きる力』を育む」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』28, pp.1-5, 2000年。
28. 西村美東士「青少年施策の進展に対応する施設経営の動向-90年代の関連文献の分析から」, 『日本生涯教育学会論集』23号, pp.85-92, 2002年。
29. 青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議「青少年の野外教育の充実について(報告)」, 1996年。
30. 西村美東士「最近の若者の労働観と生き方を考える-日本産業教育学会第43回大会ラウンドテーブル報告」, 日本産業教育学会『産業教育学研究』33巻1号, pp.20-25, 2003年。
31. 西村美東士「若者の居場所-行政が『つくる』教育的意図は何か, 兵庫県自治研修所『研修』, pp.16-22, 2001年。
32. 西村美東士「若者の友人関係の類型と社会化支援」, 平成13・14・15年度科学研究費基盤研究(A)(研究課題番号13301011)研究成果報告書『都市的ライフスタイルの浸透と青年文化の変容に関する社会学的分析』(研究代表者高橋勇悦), pp.148-159, 2004年。
33. ロンドン大学・大学教授法研究部『大学教授法入門-大学教育の原理と方法-』, 喜多村和之他訳, 玉川大学出版部, p68, 1982年。
34. 西村美東士「学生の社会化を支援する大学授業の方法論」, 徳島大学『大学教育研究ジャーナル』1号, pp.1-19, 2004年。
35. 西村美東士「構造的理解に基づく子育て学習の支援のために-子育て支援学習における学生の社会的視野拡大の事例からの検討」, 『日本生涯教育学会論集』27号, pp.51-60, 2006年。
36. 西村美東士「大学授業における学生の社会化過程の類型-個人化と社会化の相互関係に着目して」, 大学教育学会『第24回大会発表要旨集録』, pp.116-117, 2002年。
37. 国立那須甲子少年自然の家『長期自然体験活動の効果に関する調査報告書-全国の国立少年自然の家における「長期自然体験活動事業」参加者の追跡意識調査』, 56p, 2003年。
38. 藤村正之他『みんなぼっちの世界-若者たちの東京・神戸90's・展開編』, 恒星社厚生閣, pp.104-106, 1999年。
39. 西平直喜『青年分析-人間形成の青年心理学』, 大日本図書, pp.16-18, 1964年。
40. 坂口順治『実践・教育訓練ゲーム』, 日本生産性本部, 1989年。
41. 西村美東士「まちづくり推進における青少年と親の社会化支援方策」, 聖徳大学生涯学習研究所紀要『生涯学習研究』5号, pp.17-35, 2007年。
42. 草野篤子他『インタージェネレーション-コミュニティを育てる世代間交流』, 至文堂, 2004年。
43. 東京都青少年問題協議会「東京都における青少年健全育成のための行動計画策定にあたっての基本的考え方と施策の方向について-自立と参加のユースコミュニティを(答申)」, 東京都, 1984年。
44. 西村美東士「青少年教育施設の活動・経営をめぐる問題」, 鈴木眞理編『生涯学習の計画・施設論』, 学文社, pp.153-167, 2003年。
45. 「国立青年の家の管理運営について」(文部省社会教育局長通知), 1996年。
46. 「国立少年自然の家の管理運営について」(文部省社会教育局長通知), 1996年。
47. 「文部省設置法の一部を改正する法律案」1959年2月3日, 『衆議院内閣委員会議事録』第4号。宮本一「日本の青少年教育施設発展の歴史的研究」, 『大正大学研究紀要』第85号, p.351, 2000年。
48. 足立浩「青年の家の源流」, 『国立中央青年の家紀要第1号』,1964。全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第12集, p.163-171, 1983に再掲。
49. 上野景三「青年期施設の変遷と課題――倶楽部から公民館、青少年教育施設へ」, 日本社会教育学会『日本の社会教育』第46集, pp.38-50, 2002年。
50. 澁谷健治・池田尚「青少年教育施設における社会教育事業の現状と運営改善」, 『国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要』第1号, pp.151-159, 2001年。
51. 野村壽夫他「青年の家の発展と今日の基本的性格」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第12集, pp.8-9, 1983年。
52. 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第1集, pp.111-113, 1973年。
53. 松下倶子「国立青少年教育施設独立行政法人化へ」, 『青少年育成研究紀要』第1号, 日本青少年育成学会, pp.79-81, 2001年。
54. 「都道府県・政令指定都市における青少年教育施設への行政の取組み」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第30集, pp.5-50, 2002年。
55. 国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議「国立青年の家・少年自然の家の改善について――より魅力ある施設に生まれ変わるために」報告, p.6, 1995年。
56. 独立行政法人国立青年の家「中期計画」, 2001年。
57. 「生活指導と研修指導」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第3集, p.29, 1975年。
58. 「振興への具体的方策をさぐる」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第2集, pp.144-149, pp.151-153, 1974年。
59. 吉川弘「主催事業の意義」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第13集, pp.10-11, 1985年。.
60. 「資料から見た青年の家」, 『東京都青年の家紀要』vol.16, p.16, 2001年。
61. 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第1集, pp.4-5, 1973年。.
62. 「振興への具体的方策をさぐる」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第2集, pp.142-144, 1974年。
63. 「全国青年の家実態調査」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第22集, pp.154-155, 1994年。
64. 坂本登「4つの課題と青年の家」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第23集, p.11, 1995年。
65. 青少年教育施設ボランティア研究会(加藤雅晴座長)『青少年教育施設ボランティア養成プログラム開発に関する調査研究報告書』, 国立信州高遠少年自然の家, 「はじめに」, 1998年。
66. 国立中央青年の家所長内田忠平「青年の家将来考」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第25集, pp.90-91, 1997年。
67. 吉永宏「地域に根ざす青少年教育施設の在り方」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第25集, pp.13-14, 1997年。


【注】
1 広く社会で行われている青少年支援は、青少年の個人としての充実とともに、社会の一員としての資質・能力の向上を図ることをめざしてきた。これを社会化機能ととらえることができる。しかし、青少年の社会化不全がもたらす問題は、社会問題としても深刻視され、「社会的自立の支援」(平成15年12月9日青少年育成推進本部決定「青少年育成施策大綱」の重点課題)が求められてきたといえる。
2 Durkheim, E., Education et sociologie(1922), P.U.F., 1968. 佐々木交賢訳『教育と社会学』, 誠信書房, p.41, 1976年。客観主義的な社会学方法論を確立したデュルケームは、教育を「若い世代に対して行われる一種の組織的ないし方法的社会化」の一環としてとらえ、社会化を、個人に対する社会優位の観点から、個人レベルの問題ではなく社会レベルの問題とした。彼が社会学独自の対象とした「社会的事実」とは、個人の外にあって個人の行動や考え方を拘束する集団あるいは全体社会に共有された行動・思考の様式を指している。しかし、デュルケームは、後期には、道徳性の要素として「自律的拘束」を挙げるなど、個人からの視点ももつようになる。
3 Parsons, T., The Social System, Tavistock Publications, 1952, p.205. 佐藤勉訳『社会体系論』, 青木書店, 608p, 1974年。パーソンズは、学習過程を「役割を十分に演じるために必要な構え(orientation)の習得」の過程とし、その学習の「特殊な一部分」が社会化の過程であるとした。ここでは、個人の役割学習を通した価値の内面化と、その結果としての同調と社会への統合が基調とされた。
4 Brim, O. G., Jr. & S. Wheeler, Socialization after Childhood : Two Essays, John Wiley & Sons, 1966, p.3. ブリムは、社会化を「ひとが、それによって、その社会の有能な成員に仕立て上げられる知識、技能、および性向を獲得する過程」としてとらえ、「自己と他者とのあいだの認知的相互作用関係の連続」であるとした。このように、彼は、社会化によって個人が獲得する「能力」(ability)を重視した。
5 Blumer, H., "Society as a Symbolic Interaction in Rose", A. M. (ed.), Human Behavior and Social Process : An Interactionist Approach, R. K. P., 1962, pp.179-192. パーソンズに代表される「機能主義的社会化論」に対して、ブルーマーは、「象徴的相互作用主義」の基本的特徴について、人間の行為や相互作用を、個人による解釈過程を媒介にして、たえず生成、構築されるものとして考えるところにあるとした。
6 Giddens, A., The Third Way: the Renewal of Social Democracy, Polity Press, 1998. 佐和隆光訳『第三の道―効率と公正の新たな同盟』, 日本経済新聞社, pp.67-71, 1999年。ギデンズ(Gidens, A.)は、近代市民社会の成立による個人の解放とは別の意味での、新しい「個人化」の進行を指摘し、そこでは、個人が社会的帰属集団などとの関係においてではなく、個人それ自体としてとらえられるようになり、個人それ自体が社会や制度を構成する「制度化された個人主義」に至るとする。そして、個人の自己選択が再帰的に求められるこのような社会について、個人のあり方を根本的な不安にさらすことになると指摘した。
7 柴野昌山『しつけの社会学-社会化と社会統制』, 世界思想社, pp.15-16, 1989年。柴野は、ブルーマーらの相互作用論について、その観点に基づくしつけにおいては、しつけ手は相互作用の一方の当事者としての作用主体であり、しつけの対象となる青少年も、しつけに対する反応主体またはネゴシエーションの一方の当事者であるとしている。同時に柴野は、「個性や個人差の強調」が、「積極的な個人本位」ではなく、「情緒的で矮小化された私的自己本位的性格を帯びる」と指摘する。彼は、著の最後で「近代化のジレンマと現代的アノミー」として、社会化にとっての「あまりにも大きな課題」としている。なぜならば、「望ましいしつけ方略やしつけ対策が科学的洞察によってあみ出されたとしても、所詮それらは社会統制の一端をになう作為として立ち現れる」からであるとしている。
8 門脇厚司『子どもの社会力』, 岩波新書, 251p, 1999年。門脇は「いじめ」「学級崩壊」などの子どもたちをめぐる深刻な状況のなかで、「人と人がつながる力」、「社会をつくっていく力」としての「社会力」の意義を示し、成長過程で必要な大人の働きかけや「冒険遊び場」といった地域での実践の重要性を主張した。ここで、「社会力」とは、「主体的に、好ましい社会を構想し、作り、運営し、改革していく意図と能力」とされている。その後、門脇は、『親と子の社会力-非社会化時代の子育てと教育』(朝日選書, 2003年)において、「目立たぬことを強いる子ども世界」で生きる子どもたちの「非社会化状況」を指摘している。
9 ただし、関連文献における「社会化」という言葉自体の出現率は、1980年代に激減し、その後、停滞したままである(本論文第1章参照)。
10 養老孟司『バカの壁』, 新潮新書, 204p, 2003年。
11 宮本みち子『若者が≪社会的弱者≫に転落する』, 洋泉社, p.81, 2002年。宮本は「自己選択・自己責任」の問題について、次のように指摘している。

 選択の自由は与えられているが、現実に利用できる資源には格差がある。そのため選択の結果は、それらの格差を反映したものになることも明らかである。先述したライフコースの個人化と問題解決の私化という傾向と重なる指摘である。さらにまた、「何がやりたいことなのか」を自問自答するなかからは、やりたいものをみつけることはむずかしい。自分の内なる世界から出て、実際に体を動かすことを通してこそ、やりたいことはみつかるはずだ。社会から隔絶された家庭と学校に閉じ込められた状態で、やりたいことを見つけようとする矛盾。「やりたいこと」は実はかならずしも「できること」ではないし、できることに比べ「価値あること」ともかぎらない。だが、親も子もその呪縛にとらわれ、結果として現実逃避が続いていることに、問題の根があるのではなかろうか。

12 このような支援理念の動向に対して、若者文化の現状としては、「自分らしく」や「オンリーワン」等のキーワードの頻出に見るとおり、「個人重視」の傾向が今日まで引き続いているととらえられる。
13 臨時教育審議会「教育改革に関する第1次答申」, 1985年。ただし、臨教審のいう「個性重視」という言葉については、第1部会では新しい教育理念として「個性主義」(個性の最大限の開発)が提起されており、これを「現状の教育の枠内での言葉に置き換えられてしまった」(第1部会委員中内功)結果のもの、すなわち妥協の産物とみることができる。ここには、社会的機能としての教育と、個人的活動としての学習との、折り合いをつけることの難しさが表れている。
14 中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について-子供に[生きる力]と[ゆとり]を」, 1996年。
15 前掲「青少年育成施策大綱」(平成15年12月9日、青少年育成推進本部決定)。
16 中央教育審議会答申「次代を担う自立した青少年の育成に向けて-青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促す方策について」, 2007年。支援の視点としては、「好奇心を、他者や社会と自己との関係への興味・関心に発展させ、社会的期待や社会のルールやマナー等との関係をとらえつつ、社会との関係の中での自己実現を図り社会的自立を目指す意欲に結実させていく」ことが示された。教育政策において青少年の自己形成と社会的自立の促進は、これまでも普遍的課題ではあったが、青少年の個人化と社会の多様化が進行する今日において、その重要性の認識がさらに高まっていることを示すものである。
17 田中治彦編『子ども・若者の居場所の構想』, 学陽書房, p.10, 2001年。
18 Roger Hart., Children's Participation, UNICEF, 1997. 木下勇・田中治彦・南博文翻訳監修『子どもの参画-コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』, 萌文社, 2000年。
19 牧昌見『改訂学校経営診断マニュアル-新しい手法の開発と効果的な使い方』,教育開発研究所,1999年。牧は、教育評価について、「学校評価というと終戦後の歴史的な経緯があり、学校の善し悪しを外部から評定するというニュアンスが残っていて、学校の側がその導入に消極的になりがち」と指摘している。青少年の社会化支援にあたっても、事業評価に対するこのような消極論を克服して、支援の側がその意義を認めて積極的に取り組める指標を開発する必要がある。
20 同文献集は、昭和43年度(1968年度)発行の該当文献から、総理府青少年対策本部(当時)等により、毎年発行されてきたが、平成15年度(2003年度)発行の該当文献を収録して独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターが平成17年3月にこれを発行した後、次年度から発行が中止された。その後発行された「青少年教育関係資料」については、国立オリンピック記念青少年総合センターがWEB上で簡単な紹介文を付して公開している(http://nyc.niye.go.jp)。
21 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター『青少年問題に関する文献集』第35巻, 平成17年3月31日発行(最終号)による。収録文献のカテゴリーは、本文献集発刊時から少しずつ変更されてきている。
22 西村美東士「ワークショップ型授業の構成要素とその効果-学生の自己決定能力を高める授業方法」(研究論文), 大学教育学会『大学教育学会誌』22巻2号, pp.194-202, 2000年。本研究では、2日間の「生涯学習概論」の授業で、学生がどのように自己や他者に対する気づきを得たのか、その変容の過程を解明することによって、学生の自己決定能力を高める授業の構成要素とその効果を明らかにした。第1に、ワークショップ型授業によって、即自から対自へ、対自から対他者へと学生の気づきが促され、対他者から再び対自や即自のより深い気づきへと循環する過程が明らかになった。第2は、学生の自己決定能力の到達段階の把握に基づく戦略的な指導内容と授業構成の必要性が明らかになった。
23 前掲「ワークショップ型授業の構成要素とその効果-学生の自己決定能力を高める授業方法」, p195。
24 読売新聞記事検索「ヨミダス文書館」(http://www.yomiuri.co.jp/bunshokan)。なお、出現率は、97年以前は継続して掲載年次の半分以下で、05年以降は継続して2倍以上になっているが、ここでは省略した。
25 山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』, 中央公論社, pp.50-51, 1984年。
26 西村美東士『生涯学習か・く・ろ・ん-主体・情報・迷路を遊ぶ』, 学文社, pp.3-4, 1991年。
27 森聖雨「分散する教育機能と学校」、森聖雨ほか『学校学』、pp.197-198。森は家庭に備わる教育機能として、次の10点を挙げている。
① 言語能力及び読書等の基礎
② 基本的な行儀と対人関係の作法
③ 日常生活に必要な基礎的な生活技術
④ 基本的な道徳律の基礎の定着と価値観
⑤ 近辺社会及び地域、国家の機能の基礎的理解
⑥ 生活の諸般の分野にかかわる基本的ルールの理解と定着
⑦ 家庭の伝統や家風の認識と行動化
⑧ 情緒反応の自己規制や調整
⑨ 家族に対する愛情と思いやり
⑩ 家族との協同体制への積極的態度
 森は、「近年、往々にして見掛ける青少年の交通機関や公共の場所での思わしくない振る舞いの頻発などを始め、学校での不適応行動などの続出」について、上記教育機能が「十分に発揮されないか、欠落したための現象として考えられなくもない」としている。森が指摘した家庭の教育機能の不全は、現在の青少年の社会化の不十分さ、不適切さと一致するものと考えられる。また、森が示したような青少年に伝えるべき価値については、家庭だけでなく、社会全体が不確実な状況になっているといえる。
28 社団法人青少年育成国民会議ホームページ http://www.nayd.or.jp
29 初出は西村美東士「1990年代青少年教育施策と理論の文献分析-10年間の青少年問題文献ドキュメンテーションから」, 徳島大学大学開放実践センター『徳島大学大学開放実践センター紀要』11巻, pp.27-52, 2000年。これをもとに、本稿では、「個性重視」の支援理念について考察した。
30 西村美東士「青少年問題の文献の動向-社会・文化」, 総務庁青少年対策本部『青少年問題に関する文献集』22巻~31巻, 1992年~2001年。
31 結城光夫「青少年教育施設で『生きる力』を育む」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』28, pp.1-5, 2000年。結城は「子どもの体験活動等に関するアンケート調査」(青少年教育活動研究会:代表 平野吉直, 1999年)を引き、これまでの自然体験活動の施策にも関わらず「体験不足」の結果が出たことについて、「体験があっても根付いていない」と推察した。
32 西村美東士「青少年施策の進展に対応する施設経営の動向-90年代の関連文献の分析から」, 『日本生涯教育学会論集』23号, pp.85-92, 2002年。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
33 青少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議「青少年の野外教育の充実について(報告)」, 1996年。
34 国立那須甲子少年自然の家『長期にわたる少年の自然体験活動に関する調査研究Ⅱ』, 1990年。
35 西村美東士「最近の若者の労働観と生き方を考える-日本産業教育学会第43回大会ラウンドテーブル報告」, 日本産業教育学会『産業教育学研究』33巻1号, pp.20-25, 2003年。3人の登壇者は「定職に就く」ことを絶対視する考え方に異議を申し立て、「やりたいこと」を求めて生きていくことを大切にした。その議論を通して「主体的フリーター」の存在が浮かび上がってきた。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
36 前掲宮本みち子『若者が≪社会的弱者≫に転落する』
37 文部科学省ホームページによれば「地域子ども教室推進事業」の趣旨は次のとおりである。「子どもたちに関わる重大事件の続発など、青少年の問題行動の深刻化や地域や家庭の教育力の低下等の緊急的課題に対応し、未来の日本を創る心豊かでたくましい子どもを社会全体で育むため、学校等を活用して、緊急かつ計画的(平成16年度から3カ年計画)に子どもたちの居場所(活動拠点)を確保し、地域の大人の協力を得て、安全管理員・活動アドバイザーとして配置し、子どもたちの放課後や週末におけるスポーツや文化活動などの様々な体験活動や地域住民との交流活動等を支援する」。この趣旨から、「地域子ども教室推進事業」においては「居場所づくり」が目指されてきたことがわかる。
38 同ホームページ。以下同じ。
39 「教育再生会議」は平成19年1月に第一次報告を発表し、その中で、「放課後子どもプラン」は、放課後や土曜日に子どもたちに遊びや学びの機会を提供して地域社会の再生や異年齢交流に資する極めて重要な取り組みであるとし、「社会総がかり」で子どもの教育にあたることの重要性を指摘した。
40 初出は、西村美東士「若者の居場所-行政が『つくる』教育的意図は何か, 兵庫県自治研修所『研修』, pp.16-22, 2001年。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
41 西村美東士「若者の友人関係の類型と社会化支援」, 平成13・14・15年度科学研究費基盤研究(A)(研究課題番号13301011)研究成果報告書『都市的ライフスタイルの浸透と青年文化の変容に関する社会学的分析』(研究代表者高橋勇悦), pp.148-159, 2004年。神戸・杉並の約1000人の若者の回答から、友人関係に対する態度を横軸に、「自分らしさ」に対する考え方を縦軸にして4領域を設定して検討した結果、各類型に応じた社会化支援の必要が導き出された。しかし、社会的能動/受動との関連については、上のような鮮明な有為差が出なかったことから、個人として深まり充実する「個人化」と、「社会化」との統合的支援の課題を提示した。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
42 ロンドン大学・大学教授法研究部『大学教授法入門-大学教育の原理と方法-』喜多村和之他訳, 玉川大学出版部, p.68, 1982年。
43 西村美東士「学生の社会化を支援する大学授業の方法論」, 徳島大学『大学教育研究ジャーナル』1号, pp.1-19, 2004年。社会化に関する学生の記述内容の分析と「自分らしさ」に関する意識との関連による類型化を試みた。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
44 西村美東士「構造的理解に基づく子育て学習の支援のために-子育て支援学習における学生の社会的視野拡大の事例からの検討」, 『日本生涯教育学会論集』27号, pp.51-60, 2006年。
45 この調査はメディア教育開発センター通信研修「学生による授業評価実践」の支援を受けて行った。
46 西村美東士「大学授業における学生の社会化過程の類型-個人化と社会化の相互関係に着目して」, 大学教育学会『第24回大会発表要旨集録』, pp116-117, 2002年。
47 国立那須甲子少年自然の家『長期自然体験活動の効果に関する調査報告書-全国の国立少年自然の家における「長期自然体験活動事業」参加者の追跡意識調査』, 2003年。この事業への参加をきっかけとして、自分が変わったこと、新たに始めたことについては、「キャンプや登山など、自然の中での活動に興味を持つようになったこと」、「知らない人とも話ができるようになったこと」、「自分に自信を持ち、物事に積極的に取り組むようになったこと」、「他者の意見にも耳を傾けられるようになったこと」の順に回答が多かった。そのほか、参加青年と一般青年との比較も行っている。
48 藤村正之他『みんなぼっちの世界-若者たちの東京・神戸90's・展開編』, 恒星社厚生閣, pp.104-106, 1999年。
49 同, p.103。
50 前掲西村美東士「ワークショップ型授業の構成要素とその効果-学生の自己決定能力を高める授業方法」, pp.194-202。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
51 西平直喜『青年分析-人間形成の青年心理学』, 大日本図書, pp.16-18, 1964年。
52 「価値観ゲーム」「第一印象ゲーム」ともに坂口順治『実践・教育訓練ゲーム』, 日本生産性本部, 1989年。
53 2002年8月の国連・ヨハネスブルグ・サミットで、日本政府と日本のNGOが共同で「国連・持続可能な開発のための教育の10年(2005年~2014年)」を提案し、同年12月、国連総会で採択・宣言された。ユネスコによれば、「持続可能な開発のための教育(ESD)」とは、次のとおりである。
 地球温暖化や酸性雨などの「環境問題」、人権侵害や異文化間の衝突といった「社会的問題」、貧富格差をはじめとする「経済的な問題」など、わたしたちは互いに関連し合うさまざまな課題に直面し、現代社会はこのままでは持続不可能であることが明らかになっています。それらの課題を解決し、「世界中の人々や将来の世代までもが安心して暮らせる社会」を実現するには、わたしたち一人一人が、互いに協力し合いながら、さまざまな課題に力を合わせて取り組んでいくことが必要です。そうした未来へ向けた取組みに必要な力や考え方を人々が学び育んでいくことを指し、近年その必要性が強く叫ばれています。
54 初出は、西村美東士「まちづくり推進における青少年と親の社会化支援方策」, 聖徳大学生涯学習研究所紀要『生涯学習研究』5号, pp.17-35, 2007年。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
55 草野篤子他『インタージェネレーション-コミュニティを育てる世代間交流』, 至文堂, 2004年。
56 東京都青少年問題協議会「東京都における青少年健全育成のための行動計画策定にあたっての基本的考え方と施策の方向について-自立と参加のユースコミュニティを(答申)」, 東京都, 1984年。




































57 西村美東士「青少年教育施設の活動・経営をめぐる問題」, 鈴木眞理編『生涯学習の計画・施設論』, 学文社, pp.153-167, 2003年。青少年教育施設の基本的性格、歴史をたどり、宿泊型施設における指導性と専門性の困難、青少年教育施設に求められる個人化/社会化機能等について考察した。また、「団体宿泊訓練への新たな理解」として、「究極的な主体はあくまでも個人であり、その個人化は、敬遠されるどころか、より望ましい社会化につながるものとして歓迎され、支援される」よう主張した。本稿はこの文献をもとに、本研究の視点から検討し加筆したものである。
58 「国立青年の家の管理運営について」(文部省社会教育局長通知), 1996年。
59 「国立少年自然の家の管理運営について」(文部省社会教育局長通知), 1996年。
60 「文部省設置法の一部を改正する法律案」1959年2月3日, 『衆議院内閣委員会議事録』第4号。宮本一「日本の青少年教育施設発展の歴史的研究」, 『大正大学研究紀要』第85号, p.351, 2000年。
61 足立浩「青年の家の源流」, 『国立中央青年の家紀要第1号』, 1964年。全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第12集, pp.163-171, 1983に再掲。
62 上野景三「青年期施設の変遷と課題――倶楽部から公民館、青少年教育施設へ」, 日本社会教育学会『日本の社会教育』第46集, pp.38-50, 2002年。
63 1999年青年の家・少年自然の家調査。澁谷健治・池田尚「青少年教育施設における社会教育事業の現状と運営改善」, 『国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要』第1号, pp.151-156、2001年。
64野村壽夫他「青年の家の発展と今日の基本的性格」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第12集, pp.8-9, 1983年。
65 前掲, 宮本一, p.356-359。
66 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第1集, pp.111-113, 1973年。
67 前掲, 宮本一, pp.347-349。
68 松下倶子「国立青少年教育施設独立行政法人化へ」, 『青少年育成研究紀要』第1号, 日本青少年育成学会, pp.79-81, 2001年。
69 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第30集のうち、「都道府県・政令指定都市における青少年教育施設への行政の取組み」, pp.5-50, 2002年。
70 国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議「国立青年の家・少年自然の家の改善について――より魅力ある施設に生まれ変わるために」報告, p.6, 1995年。
71 独立行政法人国立青年の家「中期計画」, 2001年。
72 前掲野村壽夫他, pp.27-29。
73 「生活指導と研修指導」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第3集, p.29, 1975年。
74 「振興への具体的方策をさぐる」全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第2集, pp.151-153, 1974年。
75 同, pp.144-149。
76 吉川弘「主催事業の意義」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第13集, pp.10-11, 1985年。.
77 前掲野村壽夫他, p.29。
78 「資料から見た青年の家」, 『東京都青年の家紀要』vol.16, p.16, 2001年。
79 前掲澁谷健治・池田尚「青少年教育施設における社会教育事業の現状と運営改善」, 『国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要』第1号, pp.158-159, 2001年。
80 前掲国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議, p.12。
81 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第1集, pp.4-5, 1973年。.
82 「振興への具体的方策をさぐる」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第2集, pp.142-144, 1974年。
83 前掲全国青年の家協議会, p.29, 1975年。
84 野村壽夫他, pp.23-25。
85 「全国青年の家実態調査」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第22集, pp.154-155、1994年。
86 坂本登「4つの課題と青年の家」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第23集, p.11, 1995年。
87 青少年教育施設ボランティア研究会(加藤雅晴座長)『青少年教育施設ボランティア養成プログラム開発に関する調査研究報告書』, 国立信州高遠少年自然の家, 「はじめに」, 1998年。
88 同, pp.58-59。
89 前掲国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議, p.6。
90 国立中央青年の家所長内田忠平「青年の家将来考」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第25集, pp.90-91, 1997年。
91 同, p.100。
92 吉永宏「地域に根ざす青少年教育施設の在り方」, 全国青年の家協議会『青年の家の現状と課題』第25集, pp.13-14, 1997年。
---------------

------------------------------------------------------------

---------------

------------------------------------------------------------



12

i

1序論

1序論


11

2「青少年の社会化」支援理念の変遷

2.1研究目的・2.2研究方法

111

2「青少年の社会化」支援理念の変遷

2.1研究目的・2.2研究方法

112

2.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷

2.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷

2.3.3青少年の社会化に関するキーワード出現率の変遷

2.4論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷

2.4論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷

2.4論旨の分析から見た「青少年の社会化」を支援する理念とその変遷

2.5「青少年教育・対策」文献に見る社会化支援理念の変遷

2.6これまでの社会化支援理念の検討

2.6これまでの社会化支援理念の検討

2.6これまでの社会化支援理念の検討

3社会化支援の方法論―青少年教育指導の実践から

1.1大学生の職業観とキャリアアップ形成支援の方法

124

3.1若者の友人関係の類型と社会化支援の方法

123

2.3大学生の子育て・出産観の形成の方法


3.1若者の友人関係の類型と社会化支援の方法


3.2学生の社会化を支援する大学授業の方法


3.2学生の社会化を支援する大学授業の方法


140


139


3.3ワークショップ型授業の構成要素とその効果






4社会化支援の方法論―政策決定・政策実施のプロセスから

4.1佐野市における青少年の社会化支援と「子育てのまちづくり」の計画過程の分析

171

4社会化支援の方法論-政策決定・政策実施のプロセスから

194

4.2宿泊型青少年教育施設における支援方法

5結論

5結論

191

2.5「青少年教育・対策」参考文献リスト

資料

2.5「青少年教育・対策」参考文献リスト

引用文献・参考文献

引用文献・参考文献





引用文献・参考文献