生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律
 (平成二年六月二十九日法律第七十一号)
 
 最終改正:平成一四年三月三一日法律第一五号
 
 (目的)
 第一条  この法律は、国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、生涯学習の振興に資するための都道府県の事業に関しその推進体制の整備その他の必要な事項を定め、及び特定の地区において生涯学習に係る機会の総合的な提供を促進するための措置について定めるとともに、都道府県生涯学習審議会の事務について定める等の措置を講ずることにより、生涯学習の振興のための施策の推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図り、もって生涯学習の振興に寄与することを目的とする。
 
 (施策における配慮等)
 第二条  国及び地方公共団体は、この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、効果的にこれを行うよう努めるものとする。
 
 (生涯学習の振興に資するための都道府県の事業)
 第三条  都道府県の教育委員会は、生涯学習の振興に資するため、おおむね次の各号に掲げる事業について、これらを相互に連携させつつ推進するために必要な体制の整備を図りつつ、これらを一体的かつ効果的に実施するよう努めるものとする。
 一  学校教育及び社会教育に係る学習(体育に係るものを含む。以下この項において「学習」という。)並びに文化活動の機会に関する情報を収集し、整理し、及び提供すること。
 二  住民の学習に対する需要及び学習の成果の評価に関し、調査研究を行うこと。
 三  地域の実情に即した学習の方法の開発を行うこと。
 四  住民の学習に関する指導者及び助言者に対する研修を行うこと。
 五  地域における学校教育、社会教育及び文化に関する機関及び団体に対し、これらの機関及び団体相互の連携に関し、照会及び相談に応じ、並びに助言その他の援助を行うこと。
 六  前各号に掲げるもののほか、社会教育のための講座の開設その他の住民の学習の機会の提供に関し必要な事業を行うこと。
 2  都道府県の教育委員会は、前項に規定する事業を行うに当たっては、社会教育関係団体その他の地域において生涯学習に資する事業を行う機関及び団体との連携に努めるものとする。
 
 (都道府県の事業の推進体制の整備に関する基準)
 第四条  文部科学大臣は、生涯学習の振興に資するため、都道府県の教育委員会が行う前条第一項に規定する体制の整備に関し望ましい基準を定めるものとする。
 2  文部科学大臣は、前項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。以下同じ。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 
 (地域生涯学習振興基本構想)
 第五条  都道府県は、当該都道府県内の特定の地区において、当該地区及びその周辺の相当程度広範囲の地域における住民の生涯学習の振興に資するため、社会教育に係る学習(体育に係るものを含む。)及び文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の多様な機会の総合的な提供を民間事業者の能力を活用しつつ行うことに関する基本的な構想(以下「基本構想」という。)を作成することができる。
 2  基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一  前項に規定する多様な機会(以下「生涯学習に係る機会」という。)の総合的な提供の方針に関する事項
 二  前項に規定する地区の区域に関する事項
 三  総合的な提供を行うべき生涯学習に係る機会(民間事業者により提供されるものを含む。)の種類及び内容に関する基本的な事項
 四  前号に規定する民間事業者に対する資金の融通の円滑化その他の前項に規定する地区において行われる生涯学習に係る機会の総合的な提供に必要な業務であって政令で定めるものを行う者及び当該業務の運営に関する事項
 五  その他生涯学習に係る機会の総合的な提供に関する重要事項
 3  都道府県は、基本構想を作成しようとするときは、あらかじめ、関係市町村に協議しなければならない。
 4  都道府県は、基本構想を作成しようとするときは、前項の規定による協議を経た後、文部科学大臣及び経済産業大臣に協議することができる。
 5  文部科学大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による協議を受けたときは、都道府県が作成しようとする基本構想が次の各号に該当するものであるかどうかについて判断するものとする。
 一  当該基本構想に係る地区が、生涯学習に係る機会の提供の程度が著しく高い地域であって政令で定めるもの以外の地域のうち、交通条件及び社会的自然的条件からみて生涯学習に係る機会の総合的な提供を行うことが相当と認められる地区であること。
 二  当該基本構想に係る生涯学習に係る機会の総合的な提供が当該基本構想に係る地区及びその周辺の相当程度広範囲の地域における住民の生涯学習に係る機会に対する要請に適切にこたえるものであること。
 三  その他文部科学大臣及び経済産業大臣が判断に当たっての基準として次条の規定により定める事項(以下「判断基準」という。)に適合するものであること。
 6  文部科学大臣及び経済産業大臣は、基本構想につき前項の判断をするに当たっては、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、文部科学大臣にあっては前条第二項の政令で定める審議会等の意見を、経済産業大臣にあっては産業構造審議会の意見をそれぞれ聴くものとし、前項各号に該当するものであると判断するに至ったときは、速やかにその旨を当該都道府県に通知するものとする。
 7  都道府県は、基本構想を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 8  第三項から前項までの規定は、基本構想の変更(文部科学省令、経済産業省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。
 
 (判断基準)
 第六条  判断基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一  生涯学習に係る機会の総合的な提供に関する基本的な事項
 二  前条第一項に規定する地区の設定に関する基本的な事項
 三  総合的な提供を行うべき生涯学習に係る機会(民間事業者により提供されるものを含む。)の種類及び内容に関する基本的な事項
 四  生涯学習に係る機会の総合的な提供に必要な事業に関する基本的な事項
 五  生涯学習に係る機会の総合的な提供に際し配慮すべき重要事項
 2  文部科学大臣及び経済産業大臣は、判断基準を定めるに当たっては、あらかじめ、総務大臣その他関係行政機関の長に協議するとともに、文部科学大臣にあっては第四条第二項の政令で定める審議会等の意見を、経済産業大臣にあっては産業構造審議会の意見をそれぞれ聴かなければならない。
 3  文部科学大臣及び経済産業大臣は、判断基準を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 4  前二項の規定は、判断基準の変更について準用する。
 
 第七条  削除
 
 (基本構想の実施等)
 第八条  都道府県は、関係民間事業者の能力を活用しつつ、生涯学習に係る機会の総合的な提供を基本構想に基づいて計画的に行うよう努めなければならない。
 2  文部科学大臣は、基本構想の円滑な実施の促進のため必要があると認めるときは、社会教育関係団体及び文化に関する団体に対し必要な協力を求めるものとし、かつ、関係地方公共団体及び関係事業者等の要請に応じ、その所管に属する博物館資料の貸出しを行うよう努めるものとする。
 3  経済産業大臣は、基本構想の円滑な実施の促進のため必要があると認めるときは、商工会議所及び商工会に対し、これらの団体及びその会員による生涯学習に係る機会の提供その他の必要な協力を求めるものとする。
 4  前二項に定めるもののほか、文部科学大臣及び経済産業大臣は、基本構想の作成及び円滑な実施の促進のため、関係地方公共団体に対し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
 5  前三項に定めるもののほか、文部科学大臣、経済産業大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、基本構想の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
 
 第九条  削除
 
 (都道府県生涯学習審議会)
 第十条  都道府県に、都道府県生涯学習審議会(以下「都道府県審議会」という。)を置くことができる。
 2  都道府県審議会は、都道府県の教育委員会又は知事の諮問に応じ、当該都道府県の処理する事務に関し、生涯学習に資するための施策の総合的な推進に関する重要事項を調査審議する。
 3  都道府県審議会は、前項に規定する事項に関し必要と認める事項を当該都道府県の教育委員会又は知事に建議することができる。
 4  前三項に定めるもののほか、都道府県審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。
 
 (市町村の連携協力体制)
 第十一条  市町村(特別区を含む。)は、生涯学習の振興に資するため、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるものとする。