教育は従来の価値を伝え、新しい価値を生み出そうとする行為である。しかし、そこで求めようとしている価値が問題である。教育や親の一般的現状は、若者が共感し、かつ、目指そうとできる価値を示していない。価値伝達の目標を隠すのでもなく、かといって、むやみに同化や社会適応を迫るのではなく、個人の癒しによる原点回帰及び時空間の充実と、他者との出会いから始まる社会形成とが、連続するものであることを示す必要がある。それはすなわち、個人の深まりと原点回帰を支持することである。そのことによって、結果的には、到達目標を明確にして効果的に彼らの社会的能力を育てることができる。このようにして、地域意識、職業意識、結婚・子育て意識など、彼ら自身が社会形成者の一員としての価値観を「自分らしく」持つことができるように支援することが、次代の価値創造につながる。これまでの教育は、個性尊重を標榜しつつ、じつは個人化を敵視しすぎてきた。これが最大のネックであったと考える。