国際比較「青少年と家庭」 −青少年と家庭に関する国際比較調査報告書− 発行者 :総理府青少年対策本部 発行年月:昭和57年5月 性格・背景  青少年の健全育成上、家庭が重要な役割を果たすものであるとの認識から行われた調査である。6か国(日本、韓国、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス)の0歳から15歳までの子供を持つ父親又は母親を対象とし、昭和56年2月から3月までの間に各国、それぞれ約1,000サンプルの調査が実施された。調査主体は総理府青少年対策本部であるが、その実施については各国の民間調査機関に委託された。 構成  「調査の概観」、「調査結果の各論」、そしてクロス集計表を含めて320ページに及ぶ「集計表」の3編から構成されている。その中で、「調査結果の各論」については、「親子関係」、「母親と職業」、「夫婦関係」、「老後」、「家庭観」の5つの章から構成されている。B5版520ページ。 内容  特に欧米の各国と比べて、日本の親が際立った特徴を見せた点は以下のとおりである。(カッコ内の数字は、日本。単位は%、小数点以下四捨五入。一部を除き複数回答。)  「親子で、よく一緒にする行動」のうち、「室内ゲーム」(42)、「散歩・スポーツ」(41)、「旅行」(35)、「映画・観劇」(12)は、韓国の次に少なく、「勉強をみてやる」(29)は6か国の中で最低である。ただし、「レストランなどで食事」(53)は、一位のアメリカに次いで高い。なお、「テレビ・音楽鑑賞」(79)は、日本で第一位であるが、西ドイツを除いて他国でも同じく第一位になっている。  「ふだんから特に気をつけて子供に言いきかせていること」のうち、「老人や体の不自由な人をいたわる」(34)、「道路や公園をよごさない」(33)、「列のわりこみなどをしない」(19)などの弱者へのいたわりや公衆道徳に関するものは、韓国に次いで低率である。  「子供のしつけ」については、「親ができるしつけには限界がある」(53)という意見に賛成する者は、6か国の中でもっとも少ない。「男らしく(女らしく)育てる」(85)、「父親は何よりも毅然とした厳しさが必要」(73)は、韓国に次いで多い。  「夫婦専用部屋あり」(56)、「子供部屋あり」(70)は、英米仏がすべて9割を超えているのに対して、韓国の次に低い。しかし、子供が6歳をすぎると8割、11歳をすぎると9割は子供部屋を持つようになる。ただし、その場合も、夫婦専用部屋を持つ者はそれほど多くならない。  「母親就業中の子供の保育」は、「保育所・託児施設」(49)が高率で、「ベビーシッター」は、米仏のそれぞれ30%、36%に対して、0.6%と韓国に次いで少ない。 「母親の就業で困ること」については、「家事が不十分」「心身の疲れ」「子供のしつけ・保育が不十分」などから、「ある」(52)とする率が韓国に次いで高い。  一方、「専業主婦の悩み」についても、「社会的視野が狭くなる」(40)などの理由から「ある」(68)とする者が多い。欧米では「ある」とする者は半数以下である。  「子供のしつけの方針」については「妻主導型」(32)の率は各国の中で最も高い。 「離婚を抑制する理由」として「子供に及ぼす影響」(91)を挙げる者は、日本が一番多く、米独では7割弱である。そして、「夫婦がうまくやっていく上で最も大切なこと」として、「同じ人生観を持っている」(38)、「経済的安定」(28)の他、「子供がいること」(21)とする者が多い。欧米では「同じ人生観」とする者が高率で、西ドイツでは73%である。  「老後の子供との同居」については、「同居したい」(64)とする者は、日本、韓国の順で多く、19%の西ドイツを除いて英米仏は5〜8%台である。  「親にとっての子供を育てる意味」については、韓国では「家の存続」が68%にのぼるが、日本では「自分の成長」(60)、「家族のむすびつきを強める」(51)の順で多く、「家の存続」(24)は5位である。その点は、欧米に近い。ただし、「子供を育てるのは楽しい」(20)と答える者は、欧米では日本の2〜3倍以上いる。  「家族のイメージ」(1つだけ選択)としては、「愛情」(44)、「血縁」(34)の順で、「血縁」が多い韓国と、「愛情」が多い欧米の中間的位置を占めている。ただし、「相互扶助」(7)とする者は日本が一番少なく、他の国では15%から27%いる。 特色・評価  日本は物質面では「欧米化」されていても、家庭教育においては、欧米の良い点を充分に取り入れているとは言えず、むしろ我が国の精神的風土とのギャップに問題が生じていることを、この調査は示唆している。我が国の家庭がよりいっそう青少年の健全育成に資するものとなるためには、この現状をふまえて日本の風土にあったあり方を考える必要がある。その点で、この調査結果から学ぶところは大きい。                                         青少年の自殺に関する研究調査 (青少年問題研究調査報告書) 発行者 :総理府青少年対策本部 発行年月:昭和54年6月 性格・背景  青少年の自殺がマスコミによって連日のように報道され、各界の関心を集めていたこともあって、総理府青少年対策本部がそれぞれの分野の人々に研究委託したものである。それまでの各種統計や相談事例などの紹介と分析を中心にして、報告書は展開されている。 構成  人口動態統計などを基にした日本の少年の自殺に関する疫学的解析、監察医務業務をとおした東京23区における青少年の自殺の実態、静岡県教育委員会の電話相談「ハロー電話」の実態と意義、東京都立教育研究所の教育相談の立場から見た自殺未遂のケースの分析、精神医学の立場からの症例検討などによる分析、以上のそれぞれの視点に基づく5つの章から構成されている。B5版70ページ。 内容  少年(10〜14歳)の死亡率全体から見た自殺の割合が分析されているが、それは高い死因にはなっていない。少年の自殺の死亡率を歴史的にたどると、死亡統計の確立した大正9年から、戦時中は別として漸次減少し、昭和25年頃は最低となっている。その後、増減があったが、昭和40年頃から漸増傾向にあり、この傾向が持続している。  国際的には、我が国の少年の自殺率が特に多いわけではない。性別で見れば、男子の方がやや多い。季節としては、冬休みの前後の時期が大きなピーク、夏休み直後が次のピークとなっており、休暇・受験・期末テストなどと深い関連がある。発生時刻は、他の世代とははっきりと異なり、午後4〜5時がピークになっている。自殺動機も特徴的で、「学業」と「家族」に集中していることなどが示されている。  青少年(10〜19歳)全体の自殺率の方は、必ずしも増加傾向にはない。これは、高校生以上の自殺がむしろ減少しているためとされている。  「電話相談」については、それが青少年の「死の予告」を受信することはきわめて少ないが、その前駆症状ともいうべき登校拒否や家庭内暴力などの相談が多い。これは、自殺をその前段階で防止するための重要な意義を持っているとされている。  「教育相談」の立場から自殺未遂者の分析が行われているが、家庭に何も問題がないと思われるケースは極めてわずかとのことである。「両親の不和」、「親のノイローゼ」、「嫁姑のこじれ」、「父親の賭事・女性問題」、「夜逃げ」、「親の拒否的、干渉的態度」などが多い。予告徴候としては、死にたい気持の訴え、感情や行動の不安定、他人からの逃避、他人への攻撃性、無断欠席、学業成績の低下、食欲不振、不眠、家出、うつ状態、身辺整理や生活の精算などがあり、早期発見をするための察知力、共感的・援助的な姿勢、日常の地道な営みが指導者に必要であると述べられている。  「精神医学」の立場からは、直接動機だけではなく、これまでに培われてきた子供達自身の神経症的態度としての「自殺傾向」を重視して自殺が分析されている。この「自殺傾向」は、社会・環境的要因、生物学的要因、心理学的要因の3要素から形成されている。生物学的要因としては、うつ病などの精神病の関与が重視される。しかし、うつ病であっても、「非自殺企図群」と「自殺企図群」の2群があり、それは、本人が救いを求められるような家族関係であるかどうかによって、かなり決定されると述べられている。 特色・評価  この研究は、複数の視点から具体的に青少年の自殺の問題を明らかにしようとしたものである。一時期、青少年、特に少年の自殺がマスコミにしきりに取り上げられた時に比べると、現在は青少年の自殺はそれほどまでには「話題」になっていない感がある。しかし、実際には自殺をはじめとする青少年の問題は、決して解決されているわけではなく、むしろ深刻な様相を呈している側面もある。青少年育成に携わる人が、自殺に走ろうとする子供たちからの気づかれにくい「援助を求める訴え」に気づき、手をさしのべるために、この報告書から学ぶべき点はとても大きい。  本書の中の悲しい事例を紹介しておきたい。「自殺念慮をもつ生徒が直接『死にたい』と訴えてきた場合でも、間接的にそのことが把握できてかかわる場合でも、つねに適切な対処がなければかえって危険が生じるものである。ある生徒は、教師から『そんなことぐらいで死にたいなんて・・・』と励まされたが、よけい自分の弱さを思い悩み、ついに自殺をはかったのである。教師と生徒の気持ちが通い合う体験が何よりも大切である。自殺念慮をもつ生徒は内面では理解や援助を求めつつも、なかなか心を開かないとか、拒否的な態度を示すことが多いので、そのかかわり方はむずかしい・・・」。青少年育成の難しさと責任の重大さが、よく表れていると思う。                                         非行原因に関する総合的調査研究 (青少年問題研究調査報告書) 発行者 :総理府青少年対策本部 発行年月:昭和54年6月 性格・背景  昭和48年以降増え続け、「戦後第3のピーク」を迎えていた時期に、非行の原因を総合的に分析する目的で、麦島文夫氏を代表とする「非行原因調査研究会」が総理府の委託を受けて実施した調査である。調査は、昭和52年10月から11月までの間に、非行・触法少年の調査対象群(「非行群」)と、一般青少年の調査対象群(「一般群」)及びそれぞれの群の母親の合わせて約9,000名に対して、個別面接調査法、集合調査法、郵送調査法などによって実施された。 構成  「調査の概要」、「調査結果の概要」、「調査結果」の3編の他、付表と調査表が掲載されている。B5版275ページ。 内容  「父母の欠損率」については、非行群で20.2%と一般群の3倍となっている。特に、母のない子の非行の発生率が高い。その他、欠損理由としては「離別」、欠損時の子供の年齢としては、母親の場合は幼児期、父親の場合は中学生ころの場合が非行化に結びつきやすい。  「母親の就労」については、むしろ一般群の母親の就労率の方がやや高い。この報告書では「両親の共働きが特に非行化に作用するとは言えない」とされている。  家庭の経済的物品レベルの差は、一般群と非行群の間ではごくわずかである(9品目の内、一般群の家庭では5.5個、非行群の家庭では5.0個の所持)。  「有害環境への接触」などについては、高校生以上では一般化しかけており、一般群と非行群の間で顕著な差を見せていない。ここでは、高校生一般の風潮としてのこれらの行為自体を問題とする必要があると指摘されている。一方、中学生においては、「喫茶店・スナック」、「ゲームセンター」、「ディスコ」などへの非行群の接触が多く、また、タバコ、酒、無断外泊などについても顕著である。  「友人」については、「全体として非行少年は親しい友人が少なく、また、年齢も同年に限られる傾向がある」とし、「ひところの非行者が一般群よりも、むしろ年長の者と付き合うことを通じて悪くなったことに比べ、逆の方向」にあると指摘されている。  「小遣い」については、非行群の方がやや多くもらっている。  「両親との心理的関係」については、全体として、非行群は親との対話が少なく、親からの愛情の感得が少ない。  「家庭の統制」については、小学生だけを対象に調査されている。非行群においては、習字・そろばん等の習いごとが少なく、また、特に女子については健康・歯磨などの親の指示によるしつけが少ない。ただ、非行群の小学生は、かくしごとするな、悪いことするな、嘘をつくな、行儀よくしろということはよく言われている。しかし、報告書では「これらはしつけというよりも、子どもの現状に手を焼いて文句を言うものと見られる。」としている。  「性格の自己評定」によると、従来の通説に反して非行群の方がむしろ攻撃的性格が弱い。「健康な活力を示すところの良い意味での攻撃性の欠如」と、報告書はとらえている。また、保守的モラル、前近代的義理人情など精神的成熟面での偏りが非行群で目立つ。 「他者からの自己の評価」については、「自分に対する人々の評価は悪い」という意識は、非行群ではかなり高い。しかし、それだけに「良く思われたい」という願望も強い。 人間や社会にかんする「知的興味」については、非行群の方が少なく、知的興味の広がりも小さい。  以上の調査結果から、家庭の貧困などの古典的犯罪要因に代わって、低年齢では外部からの有害刺激と文化的環境の不足、高年齢では各自の非行的個性が大きな要因になっていること、そして特に両親との人間関係のトラブルが、思春期以後での主な非行化要因に数えられることを報告書は指摘している。 特色・評価  青少年の健全育成に携わる者には、今日の青少年に対する正確な理解と適切な対応が求められる。誤った先入観は、大変危険である。したがって、実際に非行少年も含めた調査を基にしたこの報告書は、大きな存在意義を持っていると言える。もちろん、ここで調査の対象となった非行群の青少年の多くが、本書のいうとおり「検挙後において、良い方向に向かって努力している」のであるから、非行に走っている青少年の気持をそのまま代弁しているものではない。しかし、この自らを改めようとする彼らの気持も、また、是非理解すべきなのである。                                         青少年の健康と体力(旧) 編者:文部省体育局 発行年月日:昭和52年3月15日 性格・背景  発行の前年、文部省は、我が国の体育・スポーツ施設の実態調査の結果を発表し、次いで、学校体育施設の開放に関する方針を示した。他方、同年末には教育課程審議会が小・中・高校の教育課程の基準の改善について答申し、ゆとりのある充実した学校生活が目指された。このような動向のもとに、生涯体育・スポーツの実現に資するため、それまでの関連する数多くの調査を活用して、青少年の健康と体力に関する現状を明らかにしているのが本書である。 構成  「青少年の体格と体力の現状」、「青少年の健康と体力向上のための指導者」、「学校の体育」、「社会における体育・スポーツ」、「児童生徒の健康と安全」の5章のほか、巻末に基礎データが掲載されている。A5版196ページ。 内容  児童・生徒の体格は、戦争直後の低下を除いて向上してきているが、特に昭和20年以降はそれが著しい。11歳の体格の地域差を見ると、男子はその差が大きく、東京がトップとなっている。特に体重がとびぬけている。女子は地域差はそれほど大きくない。  体力については、男子は17歳、女子は15歳ぐらいまで順調な伸びを示すが、その後は停滞し、20歳ころからは衰退傾向を示している。児童・生徒の体力を10年前と比べると、総体的には向上の傾向にあるが、12歳男子の「懸垂」などは明らかな低下傾向が認められる。地域差を見ると、市街地域より農村的地域の児童の方が優れている。  次の2章から4章では、学校教育、社会教育における健康・体育・スポーツのための、職員、施設、事業、団体などの現状が述べられている。  最後の5章では、児童・生徒の慢性的疾患の増大、学校における事故や交通事故の実態などについて特徴的なデータが紹介されている。                                         青少年の健康と体力 編者:文部省体育局 発行年月日:昭和52年3月15日 性格・背景  発行の前年、文部省は、我が国の体育・スポーツ施設の実態調査の結果を発表し、次いで、学校体育施設の開放に関する方針を示した。他方、同年末には教育課程審議会が小・中・高校の教育課程の基準の改善について答申し、ゆとりのある充実した学校生活が目指された。このような動向のもとに、生涯体育・スポーツの実現に資するため、それまでの関連する数多くの調査を活用して、青少年の健康と体力に関する現状を明らかにしているのが本書である。 構成  「青少年の体格と体力の現状」、「青少年の健康と体力向上のための指導者」、「学校の体育」、「社会における体育・スポーツ」、「児童生徒の健康と安全」の5章のほか、巻末に基礎データが掲載されている。A5版196ページ。 内容  1章では、主に児童・生徒の体格と体力について述べられている。体格は、年々向上してきている。体力についても総体的には向上の傾向にあるが、12歳男子の「懸垂」などでは明らかな低下傾向が認められる。11歳児童の地域の違いによる体力の差を見ると、市街地域より農村的地域の児童の方が優れていることがわかる。  次の2章から4章までは、学校教育、社会教育における健康・体育・スポーツのための、職員、施設、事業、団体などの現状が述べられている。  最後の5章では、児童・生徒の慢性的疾患の増大、学校における事故や交通事故の実態などについて特徴的なデータが紹介されている。 特色・評価  本書でもいうように、青少年の体力は男子は17歳、女子は15歳ぐらいまで順調な伸びを示す。青少年の育成に携わる者にとって、本書のような資料により基礎的理解をした上で、青少年のスポーツ活動の効果的な援助に当たることはとても大切なのである。また、子どもたちの健康や安全についての具体的な実態からも、学ぶべき点は多いであろう。                                         1 地域青少年団体連絡協議会の設置状況 2 青少年団体連絡協議会の現状と役割 −全国青少年団体連絡協議会研究会議から− 3 昭和47年度地域青少年団体連絡協議会活動状況 発行者 :いずれも青少年育成国民会議 発行年月:1−昭和47年5月、2−同年8月、3−翌48年2月頃 性格・背景  当時、それまでの社会構造や生活意識の変化が、青少年団体などのあり方や活動に大きな影響を与え、まわりからの拘束を受けない趣味や同好の小さなグループの生成と消滅が著しかった反面、青少年団体連絡協議会の結成の気運も盛り上がっていた。後者は、地域ごとに青少年団体・グループが相互に情報交換をしながら連絡提携し、横のつながりを強化しようとするものであり、青少年活動の積極的な側面を持っている。  そこで、青少年育成国民会議は全国青少年団体連絡協議会を開催し、その発展のための研究協議の機会を設定した。この会の参加者に対するアンケート調査により設置状況をまとめたものが1、この会自体の概況を記録したものが2である。そして、翌年には、この成果を受けて、各地域ごとの連絡協議会の活動状況を紹介する3が発行された。 構成  1は「回答を寄せた県」、「結成状況」、「連絡協議会の目的」、「事務局所在地」、「常勤職員」、「連絡協議会の構成団体」、「予算規模」、「結成の見通し」、「結成の必要性」、「研究協議会への期待」の10項目から成る。B5版14ページ。  2は「協議会の概況」、「地方青少年団体連絡協議会の役割と活動の進め方(パネル討議)」、「地方青少年団体連絡協議会の役割と活動(分科会報告と討論)」、「青少年団体の社会的役割(日高幸男氏講演)」の順で記録されているほか、巻末資料として前記1が掲載されている。A5版63ページ。  3は北海道、秋田県、福島県、埼玉県、静岡県、滋賀県、愛媛県、広島県、川崎市の順に、それぞれの連絡協議会の活動状況が報告されている。B5版25ページ。 内容  1によると、当時、28県(都道府県)で青少年団体の連絡協議会が結成されている。そのうち、20県が調査アンケートに回答している。協議会の目的としては、青少年団体間の連絡提携または情報交換の他、「青少年団体共通問題の解決」(16県)、「県民会議事業への協力」(14県)、「指導者養成・訓練」(14県)、「補助金・資金の獲得」(11県)、「広報活動」(11県)などが多く挙げられている。  事務局はほとんどが、県庁知事部局または公共施設内に置かれているが、常勤職員まで置いているのは、4県だけである。予算規模については15県の回答があったが、数万円から850万円までと大きな開きがある。  2では、この研究協議のパネラーや参加者から、次のようなことが地域青少年団体連絡協議会の意義として挙げられている。「青年の連帯感の育成の基礎としての団体間の連帯」、「得意な分野での指導者の相互派遣」、「団体指導者の視野の拡大」、「リーダー研修およびその発展としての国際交流」、「行政と加盟団体とのパイプ役」などである。その上で日高氏は、講演の中で、「正しい価値の創造」、「地域開発への参加」、「デモクラシーの実現」の3つを青少年団体活動の社会的役割として指摘している。  協議会の問題点としては、「団体エゴまたは団体モンロー主義による団体間のぶつかりあい」、「基礎的団体への意思の疎通の不足」などが挙げられており、「青年団体と少年団体など団体間の性格の違いの調整」、「連合青年団や小グループに対する関わり」、「未組織青少年の組織化」、「行政との連携と団体の主体性の確保」などの課題に関する協議会のあり方が話し合われている。  3を見ると、地域青少年団体連絡協議会の実際の活動がかなり活発に行われていたことがわかる。創意工夫に満ちたユニークなイベントも多い。それだけに加盟団体のリーダークラスが、準備などのために相当の時間と労力を割いたであろうことが推測される。しかし、それをもおしてその活動にかけた当時の情熱が伝わってくるような内容である。 特色・評価  この3つの資料は、地域青少年団体連絡協議会結成の全国的な動向にいち早く注目し、そのための情報提供をしたという点で、当時、大きな役割を果たしたと考えられる。そして、青少年団体が手を取り合って、地域や社会に役割を果たすという協議会結成の意義にはとても大きいものがある。  このような青少年団体の連絡体は、現在の青少年団体のあり方にとってもキーの一つになるはずである。もちろん、今日、特に青年活動は全体としては停滞気味であり、簡単に地域連絡体が活性化するわけではない。しかし、各団体の「自立的価値」を前提にしているともいえる新しいネットワーキングの動きを促進し、成功させるためにも、当時の連絡協議会に関わる議論から学べる点は多い。「連絡協議会」も「ネットワーキング」も、ともに「古くて、新しい」課題と可能性をもっているのである。