東京都港区  生涯学習関係者のパソコン・ネットワーク   −AV−PUBのサロンで「私的」交流−  港区虎ノ門の日本視聴覚教育協会が、文部省の支援も得て教育関係者のためのパソコン通信「AV−PUB」を運用している。これは、「視聴覚教材情報全国システム」という正式名称のとおり、AV関係のデータベースであり、電話線を通して全国から利用できるようになっている。  しかし、愛称の方はPUB(酒場)であり、その中にサロン(談話室)という電子掲示板もある。パブのように気楽に入って必要な情報を入手し、ついでにサロンで全国の仲間とディスプレーを通したおしゃべりもできるわけである。  昨年6月ごろから、このサロンで生涯学習関係者の書き込みが盛んになってきた。LLLという、ゆるやかなつながりの小さなグループである。メンバーは近県の社会教育主事、小学校教師、新聞記者などで、時には、本当に飲み屋で集まって一杯やることもあるが、ほとんどは自分の空いている時間、すなわち深夜、自宅から発信する。  いずれにせよ、フォーマルな立場での気遣いは不要、その意味では「私的」な交流である。そこで、授業、講演、執筆、学会発表、出張、視察、研究発表会参加などの事前・事後報告や他のメンバーとのやりとりが行われる。今まで話題になった主なものを出現順に紹介してみよう。  ニューメディアに関する専門性の内容、社会教育施設のLAN化、情報ボランタリズムの意義、コンピューター教育に必要な知識体系、根底的な学社連携としての教え方の技術の交流、情報処理能力の内容、リーダーシップトレーニングのノウハウ、DIY(手作り)メディアの評価、子どもにキーボードストレスはあるか、社会教育主事の発問や学習プログラムなどの交換の必要、学習情報提供が抱える問題点、小さな市町村の生涯学習関係職員の高い通信ニーズ・・・。  その他、宇宙は有限か無限か、太古の哺乳動物について、海外旅行のコツ、出張先のうまいもの情報求む、マシンの情報や選定についてなど、実際の流れはミスマッチ(M)でアバウト(A)でジグザグ(Z)でイージー(E)で、まるで迷路(MAZE)を楽しんでいるかのようだ。  AV−PUBには、教育に関係する人なら誰でも加入できる。電話料金だけ負担すればよい。技術的にわからないことは、LLLのメンバーが助けてくれる。 (生涯学遊研究会 西村美東士)