生涯学習ホットライン104選 生涯学習における少年教育の推進 生涯学習としての少年教育の特徴  少年(少女を含む)とは、少年法では満二十歳に満たない者、児童福祉法では小学校就学から満十八歳までをいうが、生涯学習の観点からは、義務教育年齢の範囲の者をさす場合の方が一般的である。  もちろん、そういう義務教育年齢の子どもたちにとって、組織的な教育の最大の場は、学校である。しかし、生涯学習時代に向けて、従来の学校教育のやり方だけでは不十分であることが人々の認めるところとなり、学校教育が子どもたちの自ら学ぶ意欲・態度・能力を養うための、すなわち生涯学習の基礎づくりとしての新しい努力を重ねる一方、それと相互に支えあうかたちでの生涯学習としての少年教育にも、あらためて脚光があてられるようになってきた。そこでは、生涯学習の基礎づくりとともに、成人の生涯学習と同じように、自ら学びたいことを学びたい手段で学ぶなど、生涯学習そのものの実践がめざされている。そこでのポイントは、体験、参加・参画、地域活動、仲間集団、異年齢集団などのもつ「教育力」を生かすことである。 体験、参加、参画のもつ教育力  美深町の「フロンティア・アドベンチャー」では、子どもたちが大自然の中での原生活に挑戦する。子どもたちは、そこで、たとえば冬の極寒の中での自然の厳しさなどを体験する。少年期にそういう体験をしておくことは、その人の考え方や生きる態度に、生涯にわたって意味をもつのである。  人間の生涯のそれぞれの段階において、獲得しておくことが望ましい体験を、現代社会はかなり失ってしまっている。人間が、今後、より豊かに生きるためには、そういう体験を意識的に用意しなければならない。  もちろん、体験を生かすためには、自らがそれを受け入れようとする意欲と態度が重要である。活動の各局面で、子どもたちの主体的な参加が得られるよう最大限の工夫をこらすとともに、計画段階でも子どもの参加を考える必要がある。参画は、ひとをワクワクさせる。参画するとき、そのひとは主体的にならざるをえず、自分自身の判断基準などの枠組も鋭く問い直される。このことは、子どもでも同じである。 地域、集団のもつ教育力  体験、参加、参画のチャンスにあふれた場として、地域をあらためて見直す必要がある。地域には、本来、人との交流、自然とのふれあい、文化の享受などの豊かな体験があふれている。戸隠村の「中学生招待キャンプ」や妙高村の「山村留学」は、潜在化していたそういう地域の教育力を掘り起こしたのである。  もちろん、これらの事例の他に、地域がそこに住む子どもたちに素晴らしい影響を与えている活動事例も、また、重要である。ただし、そのような地域活動であっても、地域完結型の活動だけでことたりるわけではない。地域の子どもたちが「交流を通して視野を広げ、閉鎖性を打破する」(妙高村)など、地域という豊かな土壌の上に、地域の外からの「新しい風」を吹きわたらせることが、地域活動の重要な要素の一つなのである。  また、かつて地域に健在であった子どもたちのインフォーマルなグループの中での、自発や自治にもとづく相互作用による教育力の意義も忘れることはできない。ここに紹介されている諸事例も、そういう相互作用を意識的にあらためて生み出そうとしているものである。  しかし、それは、子どもたち一人ひとりの個性をうずもれさせるものであってはならない。むしろ、「個の深み」ともいうべき予測しえない多様性がいきいきと発揮されるようでないと、集団の中での相互作用の意味は弱くなる。それぞれの事例にも、子どもたち自身の個別な反応が息づいているはずである。 (1)北海道美深町 美深の位置と全体図(図1)●カット  大部分は豊富な林業資源を包蔵する森林地帯であるが、天塩川沿岸および天塩川に流れこむ大小河川の沿岸は肥沃な農耕適地として開け、農業と林業の町として栄えてきた。 美深の位置と全体図(図1) 美深の町づくりの目標 (一)たくましい多様な産業づくり (二)うるおいとやすらぎのある快適生活空間づくり (三)いきいき健康福祉社会づくり (四)未来を開く人づくり・個性が生きる文化づくり (五)大自然を保全し、高度に活かす基盤づくり 文部省補助事業「自然生活へのチャレンジ推進事業」  この補助事業は昭和六三年に始められた。山奥や無人島等の大自然の中で、異年齢構成の少年五十人が十泊もの長期間の原生活体験を行うもので、現代青少年に欠けるといわれる忍耐心や自立心を培おうとするものである。美深の場合は、雪の中の自然体験が特徴的である。 (2)長野県戸隠村 戸隠村の自然と文化●カット  戸隠連峰と、千年の歴史を持つ戸隠神社を擁する。岩峰が屏風のように立ちはだかる山と深い森、豊かな清水に、古代から山岳宗教の聖地として全国に知られている。 ガール・スカウト日本連盟  グループワークやキャンプなどを通じて、少女の心身発達に寄与する事業を行っている社団法人。信頼、忠実、友情、礼儀、規律、快活、倹約、純潔などに関する「おきて」と「やくそく」にもとづき、「立派な品性と奉仕の精神を養う」ことをめざしている。 信州こども夏休み高原村  戸隠村では、ガール・スカウトとの交流だけではなく、広く一般の子どもたちに自然体験を提供している。それは新しい観光のあり方を示唆するものでもある。具体的なプログラムは、戸隠神社参拝、昆虫採集(みやまくわがた)、ほたる見学、岩魚つかみ、手打ちそば作りなどの体験学習から構成されており、そのどれもが、村内の豊かな教育資源を有効に活用したものである。参考までに、その概念図を掲げる。(図2) (3)新潟県妙高村 妙高村のPR(図3)●カット ・感動いっぱいの四季折々の自然の美しさ。 ・うまい米、高原トマト、葉タバコ等の活力ある地場産業。 ・いにしえびとの息づかいが聞こえてくる豊かな文化財。 ・若者から高齢者まで楽しめるリゾート・ライフ。 ・素朴で人情味あふれる住民。 妙高子ども村のプログラム  友だちつくり、はたらく、自然を知る、感動する、くふうする、などの「ねらい」のもとに、次のようなプログラムが組まれている。 1日目 「妙高村に集まろう」(友だちづくり) 2日目 「妙高村ってどんな村」(妙高村探検) 3日目 「川の生いたち探検」(清流遊び) 4日目 「ひろい農家で思いきり働こう、楽しもう」(農家の生活発見) 5日目 (4日目の続き) 6日目 「活動のまとめ」(記録など) 長期山村留学(図4)  これも、社会教育団体である「育てる会」との共催で実施されている。内容は次のとおりである。 生涯学習における青年教育の推進 仲間や社会との交流によって深まる青年の個  アイデンティティ(同一性)の獲得は、青年期の重要な発達課題である。青年期には、それまで取り結んだ諸集団(家族、同年齢集団、学校)によって獲得したアイデンティティと、青年期以降関係を結ぶことになる成人社会(職場、地域社会)において期待されるアイデンティティとが対立する。少年期に築き上げた「自分らしさ」だけでは、社会には通用しないことが自覚され、「自分とは何か」を模索するのである。その模索のために与えられる猶予期間をモラトリアムと呼ぶ。これは、新しい社会を生み出す原動力にもなるのであり、社会としては、そういう個々の模索を最小限にとどめようとするのではなく、むしろ、モラトリアムが一人ひとりの内面的な世界で十分に意味深く過ごされるよう援助する姿勢をもたなければならないだろう。  アイデンティティの獲得、いいかえれば、個の確立は、カプセルの中に閉じこもっていては達成できない。他者と触れ合ってこそ、自らの個も深まる。しかし、それはけっして同質集団の形成や、社会への没個性的な順応を意味するものではない。従来の青年教育が、ややもすれば、青年をマス(集団)として扱ってきたのに対して、今後は、青年一人ひとりの多様な個性が発揮される組織化や活動がめざされなければならない。 「個の深み」を尊重し助長するための視点  青少年団体の全国的連絡組織である「中央青少年団体連絡協議会」によって設置された「特別研究委員会」の提言、「青少年団体活動は青少年の自己成長にどう関わるか」(平成元年度)は、青少年団体が「個の深み」を追求するために、次のような視点が必要だとしている。  それは、すでに設定された目的にとっての最適の手段ばかり考えるのではなく、各自が「迷路」の中でさまようことを許容すること(目的志向型から迷路型へ)、日常の活動の中で個人個人がいろいろなことを「気づき」「思いつき」さまざまな思いをもつという意味での「学習」を高く評価すること(学習→活動型から活動=学習型へ)、「個の深み」から発したユニークなアイデアを団体運営に反映するために、喫茶店や居酒屋などのような気楽にしゃべれる空間を活用すること(研修会方式からたまり場方式へ)、団体は情報やメニューの提示などをし、各個人がそこから自らの行動を「選択」し、その上でそれぞれの「発見」を披露し交流してもらうこと(一括方式から選択方式へ)、各人のばらばらなニーズに合わせた「注文仕立て」の多様な活動をすること、ただし、それを注文した本人が一番熱心にそれに取り組むこと(既製服型から注文仕立型へ)、既成のスローガンにあまり拘束されず、変幻自在に「遊び心」で活動できるようにすること(スローガン型から遊び心型へ)、などである。 主体的に企画する、表現する、関わる  本書にあげた事例を支えているのも、メンバーの「個の深み」である。それは必ずしも活動の表面に表れてくるとは限らないが、活動のプロセスの中では重要である。これが、活動全体の個性と創造性を生み出す。  熊本市の「野外教育研究所」の事例では、事業を企画すること自体に、青年は大きな魅力を感じているようだ。渡嘉敷村の青年会活動では太鼓をとおして、鳴子町の喫茶店では書くことをとおして、青年が自分自身を表現している。香北町青年団は、三十人にも満たない団員たちが、町づくりに大きな影響をもたらしている。  青年たちの主体性が失われつつある現代社会において、このような青年自らの手による企画、表現、そして地域や社会への関与が行われていることは、私たちに明るい希望を与えてくれる。 (1)熊本県熊本市 企画に関わることの重要性  全国子ども会連合会『中学生−その青春と地域活動−』には、「おしきせプログラムはまっぴら」と題して、次のように書かれている。  「どうも、大人が事前にすべてを準備しきって、ただ子どもは、お客さまで参加するという行事が多かったのではないか。プログラム立案の段階から参画することは、参加意識を高め、苦労しても、なんとかやりとげ成功させたい、そのために労をおしまず仲間と協力しあおうとするであろう。その仲間と苦労をともにして、やっと仕事をなしとげたあとの成就感を味わったとき、ヤッタという晴れ晴れした気持ちになるであろうし、その時、またやってみようというやる気を育てるわけである」  企画するためには、そのひとは主体的にならざるをえず、自分自身にも鋭く迫ることになる。自立の意欲と態度を養うべき青年期においては、企画に関わることの意味はより大きいであろう。 (2)沖縄県渡嘉敷村 青年団(青年会)の歴史  鎌倉時代ごろから各地の村落を中心に形づくられた「若衆組・若連中」にその源があるといわれる。明治時代になって、青年の修養機関や銃後活動組織として評価され、各地に青年会が設置された。  青年団は、戦後の地域の生産・政治の主力部隊の一つになったが、高度経済成長期の頃には、目的志向型のグループ・サークルの方が盛んになった。そして、現在では、青年の自主的な活動は、そのどちらもがあまり振るわないといわれている状況だが、地域に直接関わりあいながら、青年自身の生活の課題に総合的に取り組む青年団活動は、新しい存在価値をもっているといえる。 (3)高知県香北町 青年団の目的と町づくり  日本青年団協議会綱領では、 一 私たちは心身を修練し、よりよき個人の完成に努めます 一 私たちは友愛と共励を信条として団結します 一 私たちは住みよい郷土社会の建設に努めます 一 私たちは人類愛と正義をもって世界平和に努めます として、次のスローガンを掲げている。 ・平和と民主主義を守り育てよう ・青年の生活と権利を守り、豊かな青春をおくろう ・青年の力で新しい地域づくりをすすめよう ・単位団との一体化をはかり、団員の倍増をはかろう  「郷土社会の建設」や「新しい地域づくり」など、青年団の活動目的の中で、町づくりに関わることがかなり重要なものとして従来から位置づけられてきたことがわかる。  しかし、その伝統を受け継ぎながらも、今日では、それぞれの地域の特性と地域青年団の個性を生かした町づくりへの現代的なアプローチが行われていることに注目したい。 (4)宮城県鳴子町 拠点の必要性  青年にとって、現代社会の管理から一時的に逃避できる「駆け込み寺」のような存在は、貴重である。これをアジール(不可侵の領域)と呼ぶことができる。そこでの自由な空間とネットワーク的な人間関係から、創造的な活動が生み出されるのである。  そういう拠点としては、喫茶店、飲み屋、廃屋、寺、神社などがあげられるが、「青年会館」を新たに設置したり、公民館の一部屋を「青年室」として設定したりする例も見られる。 書くことの意味  「個の深み」は、時々の内なる到達点を外在化する営み(表現)とそれへの他者の反応との双方が循環して創り出される。  内的世界をそれなりの論理構成をもって記述することによって、自己に気づき自負することもできるし、欠陥部分を発見することもできる。自己の勝手な無力感や万能感を、自らの目の前にあからさまに突き出すことにもなる。そういう試練を乗り越えてあえて書くことによって、はじめて、「個の深み」を自負し獲得していくことができる。 (5)東京都渋谷区 若者の街、渋谷  渋谷の街づくりの成功のカギとなったのが、西武パルコである。駅からちょっと歩かねばならず、けっして立地条件がいいとはいえない所、「公園通り」を若者のメッカにしてしまった。他にこの通りには若者の「文化拠点」として「ジァンジァン」がある。これは、教会の地下にある劇場で、最先端の文化活動が行われている。 東急ハンズ  渋谷には、東急系のデパートとして「ハンズ」がある。これはクリエイティブライフストアーと銘打ち、「手づくり」のブームを生み出した店である。ロフトは、そのすぐ近くにオープンしたのである。  ハンズはそれまでの流通業の人たちの常識では考えられないデパート経営をした。店子(たなこ)に場所を貸すのではなく、いいものを探して買い取って来て自らが売る。このように、若者に受けている店は、本質的には何らかの「情報」を売りものにしている。どこも若者に誇れるような情報のアンテナをもっていて、それによって得た新鮮な情報を売場での「品揃え」の形などでアピールするのである。 オープン当時(一九八七年一一月)のロフトのフロア設定(図5)●カット 学習情報の提供の意義と方法 なぜ学習情報提供が必要なのか  生涯学習に関する情報は、あまりにも大量で多種多様なため、個人が学習機会に関する情報を統一的に把握することはかなり難しくなっている。そのため、学習環境そのものは豊かであっても、その中から、学習者が自分の必要とする学習の情報をうまく選び出すことができないということもおこっている。そこで、生涯学習情報をなるべくもれなくとらえ、それらをわかりやすく提供することが求められるようになってきた。 コンピュータの活用  学習情報の整理・提供にコンピュータを活用することによって、求めるデータに、よりスムーズにたどりつくことができるようになる。真岡市の学習情報提供やNHK放送データ情報部の事例は、そういうコンピュータの特性を生かしたものである。  ただし、コンピュータを使うことだけが目的になってしまって、情報を求める現実の人間にとっては不都合なものになるようではいけない。電話帳のように冊子体であることによる便利さや可能性も一方ではあるのだ。また、冊子体では検索に困るほどの情報量と複雑な検索条件があってコンピュータを使う場合でも、ユーザー側がそれを使いこなせなければ意味がない。人間に親切な(ユーザーフレンドリーな)システムが必要なのである。そのためには、ユーザー、またはその代弁者が、システムエンジニアに的確にニーズを伝えなければならない。さらには、学習情報提供の場合には、システムとしてのソフトとともに、学習情報そのものの量と質が勝負どころになる。「コンピュータ、ソフトなければ、ただの箱」なのである。 各種メディアの有効活用  千厩町の「生涯学習カレンダー」は、家庭内のプライベートな日々の動きと町の生涯学習関連事業を直接に結びつけるのに役立っている。茅野市の「生涯学習メニューブック」は、学習者が独自のプログラムをつくるための道具である。いずれも、一覧性、親しみやすさなど、活字媒体のメリットをうまく活用している。また、戸河内町の八ミリ映画「わがまちの新しい風、生涯学習」は、言葉や文字だけでは伝えきれないものを、映像メディアをとおして伝えるものといえよう。コンピュータを活用するなどして、豊かな学習情報のどれもが、だれでもいつでも即時に入手できるように努めるとともに、このように、学習者の立場に立って学習情報を編集し直して、各種メディアの特性を生かして提供することも大切である。 ギブ・アンド・テイクの情報交流  今日の生涯学習の重要な側面の一つとして、従来の教える人と教えられる人との縦の関係ばかりでなく、互いに得意な分野を教えあったり、共通する関心ごとに応じて学びあったりする、横の関係としてのネットワークを指摘することができよう。日本視聴覚教育協会の「AV−PUB」に見られるように、パソコン通信の世界では、迷路のような情報交換とおしゃべりが行われている。この「迷路」を、「求める情報にたどりつくには、効率が悪い」として避けようとする人もいるが、情報を与える(ギブ)人にこそ、情報は集まる(テイク)という原則に立ち戻る必要がある。  学習情報提供事業も、学習者の学習情報処理行動のすべてを節約するためのものではなく、むしろ、学習者自身が活発に、しかし無意味な労力は払わずに情報を発信・受信するための手助けなのである。 (1)栃木県真岡市 真岡(もおか)市のプロフィール  真岡市の都市イメージは「住むまち、働くまち、学ぶまち、そして生きがいのあるまち」といわれている。たくさんの川がまちを縦横に流れ、良質の真岡もめんがそこでさらされた。昭和四三年には、市の西部に工業団地が完成し、多くの企業が操業している。 真岡市の生涯学習推進の基本 (一) 快適な環境づくり (二) 心ふれあうまちづくり (三) 活力あるまちづくり (四) 文化の香り高いまちづくり (五) 明るく住みよいまちづくり  なお、真岡市では、それぞれの項目について、各ライフステージごとに学習課題を設定している。 (2)広島県戸河内町 戸河内町の状況●カット  人口、世帯数、ともに昭和三十年の九,一五七人、二〇五〇戸が過去の最高で、昭和三八年の豪雪を機に急減し、平成二年三月現在、三,九三一人(減少率五七%)、一,三四七戸となっており、過疎地域に指定されている。  中国地方第二の高峰、恐羅漢山を筆頭に千メートルを超える高峰が十指を数える山岳地帯で、山林が九三%を占め、耕地は二.五%である。 生涯学習と映像  最近、文部省が地域映像情報整備充実事業、郵政省がハイビジョン・シティ構想、通産省がハイビジョン・コミュニティ構想、自治省が地域情報化計画やハイビジョン・ミュージアム構想を打ち出すなど、生涯学習や文化の振興も含めた地域における高度映像技術の活用に関する施策が続々と生まれている。  一方、文部省科学研究費補助金総合研究「生涯学習時代における文化映像の製作・保管・活用に関する調査研究−平成二年度中間報告書−」によると、その研究の緊急の課題として、 (一) 映像の実態調査の本格実施 (二) 製作、保管、活用の前提になる映像分類体系の作成 (三) 映像の保管、活用のための著作権問題の解決 が、あげられている。  生涯学習情報としての映像活用を進めるためには、高度技術の動向への注目とともに、すでに蓄積されている映像の把握と整理、著作権問題の解決などが重要であることがわかる。 (3)東京都渋谷区 放送と視聴者の生涯学習との関係  教育番組の担当者などに、視聴者のグループから、良質の番組を良い時間帯に数多く放映してほしいという要望がよく出されることがある。それに対して、担当者としては、そういう声を大きくしてほしいとしか答えようがないようである。●カット  良質の放送番組の拡大のためには、番組提供側の良識に期待すべきところも大きいが、視聴者が自覚的に視聴行動を起こすとすれば、もっと根本的な効果が期待できる。放送視聴をとおした市民の生涯学習の実態が現在よりも内実の豊かなものになれば、結果として、放送全体が生涯学習に貢献するような内容を獲得するのだといえる。 放送番組の保存・活用の新しい動向  平成元年度に放送法、電波法が改正され、郵政大臣の指定法人として放送ライブラリーが発足した。これは、放送番組を貴重な文化財として評価し、後世に継承して、放送文化の発展を期そうとするものである。  これによってナショナルセンターとしての放送ライブラリーの設置が実現すれば、そこでは、放送番組の収集、分類、整理、保存、活用の事業が進められよう。●カット  放送事業者によるインナーライブラリーと並んで、このような公共的ライブラリーによって、今まで一過性のものとして過ぎ去っていった貴重な放送番組が、市民の生涯学習のために繰り返し活用できるようになることの意義は大きい。 (4)東京都港区●この項横書き AV-PUB視聴覚教材情報全国システムの内容の一部(抜粋) 視聴覚教育電子掲示板 掲示板メニュー 1 AVサロン      →サロン的な雰囲気の中での意見交換、情報交換 2 ソフト&ハード    →視聴覚教材、放送番組、新機材情報など 3 研究カレンダー    →関連学会・団体主催による研究会の案内など 4 読みものアラカルト  →文献・資料・報告書・雑誌などの広報の場 5 虎ノ門ニュース    →文部省や関係官庁の各種情報、関連統計など 6 AVワールド     →ICEM(国際教育メディア協議会)からの情報 7 AV資料室      →記事索引、アドレス、学習指導案、利用者一覧など 8 初期メニュー     →全体のメニューに戻る 9 終了         →通信を終了する *AVサロン/総数:66件            →それより前の記事も呼び出せる 番号 タイトル                →ここでは755番の記事を呼出 755 ふたたび呼称「先生」について<mito →mitoはハンドルネーム ------------------------------------------------------------ 登録日 時間 行数 枚数 発信者 91/06/04 00:07 029 (3) 西村美東士   →登録日時などは自動的に記録 内容  つしまさん、さっそくのレスポンス、どうもありがとう。運動会の延期は残念 でしたね。(残念会の飲み会はやったのかな?)  つしまさんのご指摘に対して、私は、こう考えました。 その1/教師が1人称として「先生」と言う場合について(以下略) (5)岩手県千厩町 千厩町の位置(図5)●カット 千厩町の特徴 ・源義経の愛馬「太夫黒(たゆうぐろ)」のふるさと。 ・東洋一の奇岩「夫婦石(めおといわ)」、メオトピアのまち。 ・生涯学習宣言のまち(平成二年一一月大会採択、一二月議会議決)。 ・スリーステップ計画による生涯学習の推進。 ・生涯学習推進員、生涯スポーツ推進員の設置。 ・シンボルマーク、推進標語作成による生涯学習の普及・啓発。 ・生涯学習カレンダーの他、生涯学習だより、子育てテレホンサービスなどの情報提供。 メオトピア  千厩町の生涯学習だよりの名前は、メオトピアである。命名の理由は、 (一) 日本一の夫婦石にちなんだものです。 (二) 夫婦の円満は家庭の円満。生涯学習の原点は家庭から。家族ぐるみで学習ができます。 (三) まろやかな地域社会。互いに認め合う社会が学習を発展させます。 ということである。「家族ぐるみ」が千厩町の生涯学習推進のキーワードの一つになっていると考えられる。 (6)長野県茅野市 茅野市の特徴  縄文時代からの豊富な文化遺産と八ヶ岳山麓の恵まれた自然環境や、中央自動車道の利便性を生かして、自然と調和した高原リゾート観光地域として発展。  一方、内陸唯一の新産業都市指定地域として先端技術産業の立地促進を図るとともに、生涯学習都市宣言を行い、生涯学習のまちづくりを推進している。  また、平成二年度、「活力のあるまちづくり」として優良地方公共団体自治大臣表彰を受けた。 学習メニュー方式による学習の展開(図5)  茅野市では、学習者が学習活動を展開し、学んだことを自己評価していくなかで、学習プログラムの修正を行い、再度、学習の展開をしている。その過程は左の図のようになっている。