子育て支援インターネット・マルチメディア活用に関する研究 西村美東士 1. 目的 子育て支援社会連携研究センターの研究支援機能及び子育て支援情報提供機能を充実するため、インターネット、マルチメディアの活用のあり方を明らかにする。 2. 方法  支援センターの情報システム及び情報機器について、その機能を分析することによって、効果的な活用方法を検討する。 3. 経過  インターネット、マルチメディア関連については、子育て支援社会連携研究の構想原案作成段階においては、次の諸点のとおり整備したいと考えた。 @ 地域子育て情報については、書籍や資料のほか、マルチメディアも利用できるようにする。 A 数台のノートパソコンを用意し、市民や学生が個人研究もできるようにする。 B インターネットによるテレビ会議システムを活用した能動的な学習ができるようにする。 C マルチスクリーンは4面分割投影もできるようにする。 D 無線LANにより、ノートパソコンを持ち込めばインターネットにつながるようにしておく。  この構想を実現するため、株式会社メディアクリエーションは、おもに次の3点を提案した。 @ マルチメディア機器の設置 A WEBポータルの開設 B グループウェアの導入 4. 結果  構想原案作成段階で求めたインターネット、マルチメディア関連の整備に関する趣旨は、メディアクリエーション社の努力により、次に述べるように、ほぼ実現することができたといえる。 @ 大型液晶ディスプレー2台の設置により、自由自在なプレゼンテーションのほか、4人(×2組)のパソコン画面の同時表示による共同研究やワークが可能になった。 A WEBポータル構築ツール「XOOPS」の活用により、情報発信や利用者同士の情報共有が容易になり、さらには「子育てコミュニティ」の活動支援も可能になった。また、そこでは、投稿メッセージだけではなく、ニュース、画像、動画、スケジュールなどのすべての情報が投稿可能になった。 B グループウェアソフト「BOXER.V」の活用により、スケジュールやアドレス等の個人情報やグループ内での共有情報などを効率よく管理することができるようになった。グループ・ユーザ管理、スケジュール管理、文書管理、プロジェクト管理、設備予約、ワークフローなどの多様なアプリケーションを、統一されたインターフェイスで容易に行うことができる。 5. 課題  子育て支援インターネット・マルチメディア活用に当たっては、セキュリティや個人情報保護等に関して重要な課題が多々存在する。  子育て支援社会連携研究センターにおいては、これらの課題を解決する現実的な手段を一つずつ模索しながら見いだし、活用を進めている現実がある。  しかし、その模索自体が、わが国の子育て支援の新たな展開にとって重要な成果を生み出すものと考える。  子育て支援研究、子育て支援実践、子育てまちづくり活動のすべてにおいて、インターネット・マルチメディア活用がもたらす効果は大きい。その要素として、次の諸点を指摘しておきたい。 @ 子育てに関する画像、動画を含めた情報発信が可能になる。 A 発信者側からの一方的な発信にとどまらず、受信者との双方向のやりとりが容易にできるようになる。 B 子育て仲間を見つけて、コミュニティを形成し、気軽に交流することができるようになる。 C 子育てまちづくり参画活動のための情報拠点として活用できる。 D 子育て支援の研究や実践において、連携、協力、協働のためのツールとして活用できる。  以上の5点を実現するためには、子育てまちづくりに参画しようとする大学、産業、市民等のすべての人々に、異質の他者を受け入れるオープンマインドと、情報リテラシーの形成が求められると考える。  学生や親の参画については、子育て情報の入力や支援センターホームページのコンテンツ作成、関連情報の収集にあたることなどが考えられる。このために「子育て情報関連ボランティア」を募集し、その活用を図ることによって、彼らの社会に開かれた観点の形成等が期待できる。  このことから、子育て支援インターネット・マルチメディア活用の面においても、その学びと活用を通した自己形成と、ネットワークと参画活動を通した社会形成の一体化が重要な概念になると考える。