社会形成者の育成の観点に立った生涯教育学序説(2) ―若者の10年間の変化とその対応のあり方― (2013/  /  受理) 西村美東士 聖徳大学生涯学習研究所紀要『生涯学習研究12』(2014年3月)原稿 【要旨】  筆者が所属する青少年研究会の神戸・杉並の若者調査のデータから、2002年と2012年の経時変化を分析した。その結果、次の各タイプの特徴と、10年間の変化に対応した育成方法が導き出された。  @「貫徹志向交渉型」(「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だと思っていて、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」タイプ)は、もっとも大きく減少した。10年前と変わらない積極性も見られたが、新たに生じたマイナス面については、ピア(同輩集団)のなかで生きづらくなっている彼らの気持ちへの共感的理解が必要である。同時に、彼らの「べき論」の強さについては、それを評価しつつ、それができない者への共感的理解の方法を教えて、「生きづらさ」を軽減する手助けが有効と考えた。  A「貫徹志向非交渉型」(「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だと思っているが、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをするということはない」タイプ)については、とくに親友との交友に関して、10年前と同じ消極面が見られたので、真剣に話すことへの自己の阻害要因に気づかせる、異年齢の他者と交流させる、弱みをさらけ出したり仲直りしたりする他者の方法から学ばせるなどの方法が有効と考えた。また、音楽に関する積極性などとともに、自己肯定の傾向などの変化が見られたため、いわゆる「オタク」の若者たちがこのタイプのなかに増えたと推察された。そのため、彼らの社会的存在価値を評価するとともに、自己を発揮させて、その上で、自己を曲げることなく、他者と折り合いをつける方法を体験的に学習させることが有効と考えた。  B「状況対応非交渉型」(「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だとは思っておらず、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをするということはない」タイプ)については、音楽を初めとする文化についての消極性は継続していることから、他者の音楽等の楽しみに共感する機会を提供するなどの方法は現在でも有効と考えた。そのほか、交友関係、自己意識、社会意識の多くの項目で、個人化、社会化の未達状況が見られため、真剣に話すことへの阻害要因を理解させる、弱みをさらけ出す、仲直りする状況を聞かせる、今のままではいけないと思っている部分を他者から受容させる、友達から理解された体験を聞かせる、自己の孤立しないための戦術を客観視するとともにその逆機能を考えさせる、日本の将来に関心を持つ同世代の話を聞かせるなどの方法が有効と考えた。このタイプは3人に1人の割合にまで迫っていることから、社会形成者育成の重要な目的としての「アイデンティティの獲得」について、過去の貫徹志向にとらわれず、個人化、社会化がマッチした望ましい進展のための支援の方向を追究する必要があると考えた。  C「状況対応交渉型」(「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だとは思っていないが、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」タイプ)については、交友関係、自己意識、社会意識など、順調であり、社会形成のリーダーになる可能性を見いだした。だが、そのためには、個人化と社会化の一体的促進と、現代の個人化社会に適合した「状況対応型アイデンティティの獲得」という新たな支援が求められると考えた。  社会形成者の育成にあたっては、このような観点に基づいて、個人課題を与える、同じタイプの者同士でグループを作らせてワークをさせる、違うタイプの者と交流させるなどの効果的な方法を用いて、計画的な目標達成を行うことが求められていると結論付けた。   はじめに  本研究は、生涯教育学研究の成果を、「社会形成者育成」に関わるいくつかの視点から系統的に検討し直し、その結果を、社会形成者の育成の観点に立った生涯教育学の序説として位置づけようとするものである。  本研究の背景には、次のような問題意識がある1。  個性と社会性の育成については、教育学的には両立することが自明であるにもかかわらず、政策的な揺れ動きが、生涯教育学の研究にも影響を与えてきたものと考える。また、「新しい公共」研究にも見られるように、世の中でクローズアップされないと、研究テーマとして上がってこない。さらに、生涯教育学が、「青少年問題」などの社会的現象にとらわれがちであったことも相まって、個性と社会性が二律背反のものとして議論されてきたものと考える。  個性と社会性の両立を自明として疑わず、議論を深めようとしない状態こそ、問題であると考える。個性と社会性の背反の現実を直視することは、生涯教育学が世の中や社会とどうつながり、人間の暮らしにどう連結しているかをシャープに描き出すテーマになりうると考える。そのテーマは、今日の人類、社会にとって大事なテーマである。  前号では、このような問題意識に基づき、分析の枠組みとして、分野については、@教育方法、A集団形成、BICT活用、視点については、@対面志向、A個人志向、B癒し志向、C社会開放志向、D社会形成志向のマトリクスを設定し、社会状況の変化、社会形成に関わる研究成果、団体等の活動、自治体の生涯学習推進施策、国の教育政策などの動向と対照させながら、その概観を示した。  そこでは、若者の個人化と社会化の内実の変容の把握と対応の必要性が示唆された。また、加齢効果だけでなく、時代効果、コーホート効果(共通の出来事を同時代に経験した人々の特徴)を把握することの重要性が示唆された。このことから、若者の個人化と社会化の内容の変容を把握してこそ、効果的な育成ができるものと考える。  「10年以上前の若者」が、自分が若かった時からの連想(加齢効果)だけで、職場や地域で、今の若者を育成しようとした場合、的外れなものになるおそれがある。時代効果やコーホート効果を考慮した対応が求められよう。本号では、21世紀に入ってからの10年間の若者の変化を、個人化と社会化の内容を象徴するある断面から明らかにし、その結果に基づいて、今の若者を社会形成者として育成するための理念と効果的な方法について検討する。   1 目的  2002年と2012年の都市青年の個人化と社会化の内容の変化を明らかにし、その結果に基づいて、社会形成者の育成の方法を検討する。   2 方法  「個人化と社会化の類型」と経時変化を、2002年と2012年の都市青年の量的調査の結果から明らかにする。  筆者を含む青少年研究会は、都市青年文化の経時的実証に関する研究を行った2。本研究では、その調査結果に基づき、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」、「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」の2つの設問を取り上げ、それぞれの肯定・否定によって、「交渉型」と「非交渉型」、「貫徹志向」と「状況対応」に分類した3。このことによって、次の4タイプを設定した。   @ 貫徹志向交渉型=「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だと思っていて、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」タイプ A 貫徹志向非交渉型=「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だと思っているが、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをするということはない」タイプ B 状況対応非交渉型=「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だとは思っておらず、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをするということはない」タイプ C 状況対応交渉型=「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だとは思っていないが、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」タイプ  本研究では、この4タイプについて、他の設問への回答の傾向の差をピアソンのカイ二乗検定により確かめ、各タイプの特徴と、その変化を明らかにした。 3 結果 3.1 各タイプの量的変化  「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」とする貫徹志向が、全体で3.9ポイント減少した。「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」とする交渉型が、全体で13.9ポイントと大きく減少した。各タイプの量的変化は表1、図1のとおりである。     タイプ 2002年 2012年 増減率 貫徹志向交渉型 31.2% 20.5% -10.7% 貫徹志向非交渉型 24.5% 31.2% 6.8% 状況対応非交渉型 25.3% 32.5% 7.2% 状況対応交渉型 19.1% 15.9% -3.2% n= 1075 1041    貫徹志向交渉型、すなわち「どんな場面でも自分らしさを貫くことが大切」だと思っていて、「友達と意見が合わなかったときには、納得がいくまで話し合いをする」タイプが、量的にも大きく減少していることがわかる。  ここで、一般に言われている「若者の交友関係が希薄化している」ということについて、本稿での「非交渉型」の量的変化との比較をしておきたい。これについては、「友だちとの関係はあっさりしていて互いに深入りしない」という設問が1992年の調査から継続されているので、その肯定を「淡泊型」として、「状況対応」の変化もあわせて比較する。        図2 「淡泊型」の増加との比較    図からは、「状況対応型」が20年前から10年前にかけて激増し、「非交渉」が10年前から現在(2012年時点)にかけて激増したのに対して、さほどの増加がないことが読み取れる。このことから、「互いに深入りする」とは思っているが、「納得がいくまで話し合いをする」ということはないという若者が、10年前から激増したことがわかる。  社会形成者の育成の視点からは、交友関係の「希薄化」ではなく、「意見があわなくても、ほどほどにしか話し合わない」という関係にこそ焦点をあてるべきだと考える。これと20年前からの「どんな場面でも貫く自分らしさはなくてもよい」という「状況対応」の若者の増加を考え合わせると、従来の「アイデンティティ論」では、現在の若者の個人化・社会化状況には対応しきれなくなると考えられる。   3.2 各タイプの2002年の特徴  結果を別表に示す。  「貫徹志向交渉型」は運動部系部活歴、音楽活動、友人関係など活発で自己肯定感が強い。勉強や仕事にも真剣に取り組み、日本の将来にも関心があるという(他のタイプと比べて有意差があるという意味であり、同タイプ内の量的大小を示すものではない。以下同じ)。  「貫徹志向非交渉型」は、音楽活動、携帯電話やインターネット等のメディア利用があまり盛んではなく、親友や友人とも深入りしない。自己同一感、自己肯定感が弱く、日本の将来にもあまり関心がない。  「状況対応非交渉型」も同様に携帯電話の利用を含め、全般的に不活発である。携帯電話をあまり使わないから、そのかわり、フェース・トゥー・フェースのコミュニケーションが盛んになる、あるいは親友や友達との信頼関係が深まるということではない。  「状況対応交渉型」は、親友・友人関係については活発である。場面によっては自分らしさを貫かないときもある。しかし、それでも「納得がいくまで話し合う」という。   3.3 2012年の全体的特徴の変化  以下、有意差5%レベルを○、1%レベルを●で示す。  量的に大きく減少した貫徹志向交渉型だが、質的にも、2002年の高校時代「○運動部系に所属」、「○文化部系の場合、積極的活動」という項目の差が消滅している(有意差が5%レベルに至らないという意味。以下同じ)。これに対して、たとえば状況対応非交渉型の「●運動部系の場合、非積極的」などの差も消滅している。  性差については、2002年には、貫徹志向非交渉型は●男、状況対応非交渉型は●女という傾向があったが、消滅した。  年齢については、貫徹志向交渉型が●低年齢であることは変わりないが、状況対応交渉型の●高年齢が新たに加わった。  親との同居については、貫徹志向非交渉型の●同居と状況対応非交渉型の○非同居がともに消滅した。   3.4 2012年のタイプ別特徴の変化 3.4.1 貫徹志向交渉型  以下、両調査共通の設問において変化があった項目のみ列記する。また、1%と5%のレベルの変化は除外した。 @ 差が消滅した項目 【部活歴】○運動部系に所属、○文化部系の場合、積極的活動、【文化】○留学したい、○ラジオで音楽情報得る、○インターネットで音楽情報得る、●他者との場に合った選曲する、●音楽を創るのが好き、●録音よりも生演奏が「本物」、【交友】●親友に弱みをさらけ出せる、○職場で知り合った、○サークルで知り合った、○遊ぶ内容で友達を使い分ける、【自己意識等】●自分がどんな人間かわからなくならない、●他人からみると私は好みや考え方にまとまりがなくはない、●将来に備えて耐えるより今を大切にしたい、【判断材料】●世間評価や道徳は大切なことを決めるときの判断材料でない、○アーティストの発言は大切なことを決めるときの判断材料、【社会意識等】○政治・経済面を読む、●選挙には行くべき、○目上の人には敬語を使うべき。 A 差が新たに生じた項目 【文化】○資格取得経験なし、○雑誌やインターネット上の占いを読まない、【交友】○親友をライバルだと思う、●親友のような考え方や生き方をしたい、●友だちとの関係を楽しいとは強くは感じない、【自己意識等】○場面によってでてくる自分というものは違うとは思わない、●自己啓発の本を買う、【判断材料】○損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料ではない、○親の意見は大切なことを決めるときの判断材料、●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料、●友人の意見は大切なことを決めるときの判断材料、●自分の意見や信念は大切なことを決めるときの判断材料、【社会意識等】●日本は平等な社会である、○日本の将来は明るい、●約束の時間は守るべき、●電車やバスの中で化粧をすべきでない。 3.4.2 貫徹志向非交渉型 @ 差が消滅した項目 【属性】●親と同居、●男>女、○文化部系の場合、非積極的、○部活やサークルに所属しない、【文化】○留学したくない、●インターネットで音楽情報得ない、○エステティックサロン通いたくない、○ブランド品を購入しない、【交友】○部活等で知り合ったのではない、●恋人がいたことがない、○職場で知り合ったのではない、○親友といても安心できない、【自己意識等】○今の自分が大好きではない、○自己啓発の本を買わない、○自分がどんな人間かわからなくなる、○場面によってでてくる自分というものは違うとは思わない、【社会意識等】○政治・経済面を読まない、○選挙には行くべきと思わない、。   A 差が新たに生じた項目 【属性】○学生>非学生、【文化】○ヒーリンググッズを身につけたり使ったりしたい、○家族・恋人から音楽の情報得ない、○音楽制作・演奏のためのソフトウェアやアプリを操作する、○楽曲の歌詞に惹かれない、○録音よりも生演奏が「本物」、【交友】○友だちをたくさん作るよう心がけている、○遊ぶ内容によって友だちをそれほど使い分けない、●友だちとの関係を楽しいとは強くは感じない、●仲のよい友人でも私のことをわかっていない、【自己意識等】●将来に備えて耐えるより今を大切にしたい、【判断材料】○損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料ではない、●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料ではない、●自分の意見や信念は大切なことを決めるときの判断材料ではない、●専門家への相談結果は大切なことを決めるときの判断材料ではない。 3.4.3 状況対応非交渉型 @ 差が消滅した項目 【属性】●女>男、○親と同居していない、【部活歴】○文化部系に所属、●運動部系での積極的活動しない、【文化】○エステティックサロン通いたい、○新聞や雑誌の占いコラムを読む、【交友】○学校で知り合ったのではない、●互いに深入りしない、●仲のよい友人でも私のことをわかっていない、【自己意識等】●場面によってでてくる自分というものは違う、●意識して自分を使い分けている、○今のままの自分でいいと思わない。 A 差が新たに生じた項目 【文化】○留学したくない、●音楽は録音よりも生演奏が「本物」とは思わない、●CDショップで音楽情報得ない、【判断材料】●友人の意見は大切なことを決めるときの判断材料ではない、【交友】●誰かといる時でも、その場の雰囲気に合った曲調の音楽を選ばない、○親友に親しみを感じない、○親友といると楽しいと思わない、○親友といても安心できない、●友だちとの関係を楽しいと感じない、○現在恋愛交際している相手がいない、【社会意識等】○みんなで力を合わせても社会を変えることはできない。 3.4.4 状況対応交渉型 @ 差が消滅した項目 なし。 A 差が新たに生じた項目 【属性】●高年齢>低年齢、○非学生>学生で有職者、【文化】●資格取得経験あり、●家族・恋人から音楽情報得る、【交友】●親友の数が多い、●親友との関係に満足、○容姿や顔立ちを重視して友だちを選んでいない、●友だちとの関係を楽しいと感じることがよくある、●大学等で親友や親しい友だちと知り合った、○幼稚園・保育園・小中学校で親友や親しい友だちと知り合った、○職場で親友や親しい友だちと知り合った、●友だちをたくさん作るよう心がけていない、●恋愛交際経験あり、【自己意識等】○場面によってでてくる自分というものは違う、【判断材料】●専門家への相談結果は大切なことを決めるときの判断材料。   4 考察  10年前(2002年)の調査結果から、筆者は、各タイプの特徴に応じた育成方法を提言したことがあるが4、その後の10年間の変化を踏まえて、現在の各タイプの特徴と育成方法について、ここで再検討する。   @ 貫徹志向交渉型  10年前の結果からは、高校部活での積極性を引き出す、留学の夢を開示させる、音楽や演劇の魅力を伝えさせる、携帯電話利用を含めたコミュニケーションの積極性を評価し、活用する、自分がわからない人の気持ちを理解させる、なぜ努力が必要かを自明とせずに言語化させる、なぜ勉強や仕事に取り組むのか内なる動機を見つけさせるなど、彼らの積極的な特徴を生かす方法を提言したが、それらの特徴はほとんど消滅したので、意味が薄れたといえる。しかし、関心や考え方が異なる者と交流させる、弱みをさらけ出させる、他者の孤立しないための戦術から学ばせるなどの提案については、このタイプの不変の特徴に対する有効な方法と考えてよいだろう。また、10年前と同じ特徴については、(ケンカしても仲直りできるので)仲直りする状況を話させる、(今のままの自分でいいと思っているので)今のままではいけないと思っている他者を理解させるなども同様に有効と考える。  しかし、友だちとの関係を楽しいとは強くは感じないなどの新たに生じたマイナス面については、ピア(同輩集団)のなかで生きづらくなっている彼らの気持ちへの共感的理解が必要であろう。同時に、約束の時間は守るべき、電車やバスの中で化粧をすべきではないなどの「べき論」の強さについては、それを評価しつつ、それができない者への共感的理解の方法を教えて、「生きづらさ」を軽減する手助けが必要と考える。また、日本は平等な社会である、日本の将来は明るいなどの現代社会への肯定的評価についても、そう思えずに不安や不満をもつ者への共感能力も育てたい。   A 貫徹志向非交渉型  (部活動への消極性がなくなったので)高校部活とは異なる魅力を示す、(エステに通いたくないという特徴が消滅したので)通いたくない自分の理解と通いたい他者の理解、(インターネットを使わないという特徴が消滅したので)インターネットをする他者から学ぶ、(自分がどんな人間かわからなくなるという特徴が消滅したので)わからなくなる気持ちを表現させるなどの10年前に提案した方法は、現在では意味が薄れたといえる。しかし、親友を尊敬していない、親友と真剣に話ができない、親友に弱みをさらけ出せない、親友とケンカしたら仲直りできないなどの特徴が、10年前と同じく1%レベルで検証されているため、真剣に話すことへの自己の阻害要因に気づかせる、異年齢の他者と交流させる、弱みをさらけ出したり仲直りしたりする他者の方法から学ばせるなどの方法は、現在でも有効と考える。  また、新たに生じた、音楽制作・演奏のためのソフトウェアやアプリを操作する、録音よりも生演奏が「本物」などの音楽への積極性、2012年新規設問の自分の聴いている音楽は他の人のより優れている、同じアーティストをいちずに応援し続けるなどの特徴から、いわゆる「オタク」の若者たちがこのタイプのなかに増えたのではないかと推察される。さらに、上に述べた交友関係の困難とは対照的に、2002年のこのタイプがもっていた、今の自分が大好きではない、自分がどんな人間かわからなくなるなどの自己評価の困難の特徴が消滅していることは、「オタク」が「クールジャパン」などによって社会的に認知され始めたことの表れではないかと考えられる。  そうだとすれば、彼らの社会的存在価値を評価するとともに、自己を発揮させて、その上で、自己を曲げることなく、他者と折り合いをつける方法があるのだということを、体験的に学習させることが適切だと考える。   B 状況対応非交渉型  (部活動への消極性がなくなったので)高校運動部とは異なる魅力を示す、(エステに通いたいという特徴が消滅したので)通いたい自分の理解と通いたくない他者の理解などの方法は意味が薄れたといえる。しかし、音楽を初めとする文化についての消極性は継続していることから、他者の音楽等の楽しみに共感する機会を提供するなどの方法は現在でも有効と考える。新規設問のSNSについては、Facebook(フェイスブック)を利用しない、SNSで「イイネ」を押さない、SNSを知らない・わからないなどの消極的な特徴が1%レベルで検証された。これと対照的に、掲示板「2ちゃんねる」を読む・書き込むという特徴が5%レベルで検証されており、「Twitterを読む・書き込む」、動画サイトを見るなども、他との有意差は見られなかった。  そのほか、このタイプは、2012年新規設問を含めて、交友関係の多くの項目で、個人化、社会化の未達状況が見られる。1%レベルの差があったものだけ列記しても、次のとおりである。親友と真剣に話ができない、親友をライバルだと思わない、親友との関係には「やや満足」程度、親友とケンカしたら仲直りできない、親友の考え方に共感できるとは思わない、親友のおかげで友だちづきあいがうまくなったとは思わない、友だちとの関係を楽しいと感じない、初対面ですぐ友達にならない、わかりあいたい相手と本音でとことん話し込める機会があまりない、誰とでもすぐ仲良くはなれない、表情やしぐさでは相手の思っていることはわからない、人の話の内容が間違いだと思ったときでしも自分の考えを述べない、まわりの人同士でトラブルが起きても上手に処理できない、感情を素直にあらわせない、ほとんどの人が信頼できるとは思わない、友人や仲間といるとき充実感を感じない、自分は友人関係に恵まれているとは思わない。  自己意識等については、今の自分が好きではない、自分には自分らしさがあると思わない、自分には他の人にない特技・才能があるとは思わない、自らの将来は明るいと思わない、なりたい自分になるために努力することが大切とは思わない、物事に真剣に取り組まないのがカッコ悪いとは思わない、スポーツや趣味の活動で充実感を感じないなどが1%レベルで有意である。  社会意識等については、高齢で無収入の親を扶養するのが子どもの責任とは思わない、ボランティアに参加すべきとは思わない、ボランティアしたくない、日本の科学技術分野での発展を誇りに思わない、日本人に国を愛する気持ちをもっと育てる必要があるとは思わないが1%レベルであり、5%レベルも示すと、寝たきりの親を子どもが介護するのは当然とは思わない、子どもであっても同居していれば家事の分担は当然とは思わない、成人した子どもの犯罪に親が責任を取るのは当然とは思わない、ボランティア経験なし、みんなで力を合わせても社会を変えることはできない、ボランティア活動で充実感を感じない、日本の経済的な発展を誇りに思わない、自分たちが生活している地域に外国人が増えるのはよくないという消極的特徴が並ぶ。子どもの頃家族と美術展や博物館に行かなかった(5%レベル)という特徴が見られることから、生育歴も影響しているものと考える。うわべだけの演技をしている部分がある(5%レベル)という特徴を考え合わせると、「状況対応」の否定的側面が顕著に表れたタイプだと理解される。  このことから、10年前の結果から提案した次の対応が必要だと考える。真剣に話すことへの阻害要因を理解させる、弱みをさらけ出す、仲直りする状況を聞かせる、今のままではいけないと思っている部分を他者から受容させる、友達から理解された体験を聞かせる、自己の孤立しないための戦術を客観視するとともにその逆機能を考えさせる、日本の将来に関心を持つ同世代の話を聞かせる。  前出表1及び図1では、このタイプが32.5%と、3人に1人の割合にまで迫っていることを示した。同じ状況対応型でも、次に示すように、「状況対応交渉型」には、このような問題点はほとんど見られないのである。社会形成者育成の重要な目的としての「アイデンティティの獲得」について、過去の貫徹志向にとらわれず、個人化、社会化がマッチした望ましい進展のための支援の方向を追究する必要があると考える。   C 状況対応交渉型  (部活動への消極性が消滅したので)高校運動部とは異なる魅力を提示、(今のままの自分でいいとは思わない、が消滅したので)今のままではいけないと思っている部分を他者から受容させるなどの方法は意味が薄れたといえる。  世間の評価や道徳は大切なことを決めるときの判断材料、損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料は継続しているので、それとは異なる他者からの話を聞かせるなどの方法は、現在でも有効と考える。  また、自己の孤立しないための戦術を客観視させて、そのマイナス面にも気づかせる、自分らしさに執着する他者の気持ちを理解させる、弱みをさらけ出して仲直りする状況を確認させるなどの方法も、このタイプの不変の特徴に対する有効な方法と考えてよいだろう。  そのほか、このタイプは、2012年新規設問を含めて、交友関係についても順調である。1%レベルの差があったものだけ列記しても、次のとおりである。SNS上の友人リスト登録者が多い、Facebook(フェイスブック)を利用する、親友の数が多い、親友を尊敬している、親友と真剣に話ができる、親友との関係に満足、親友に弱みをさらけ出せる、親友とケンカしても仲直りできる、友だちの少ない人間だと思われないようにしなくてもよい、友だちとの関係を楽しいと感じることがよくある、インターネットサイトに関する話題で友だちを作る、互いに深入りすることがある、分かり合いたい相手と本音でとことん話し込める機会がある、人の話の内容が間違いだと思ったときに、まあ自分の考えを述べる、仲のよい友人は私のことをわかっている、自分は友人関係に恵まれている、恋愛交際経験あり。「友だちをたくさん作るよう心がけていない」という特徴についても注意したい。「友だちをたくさん作らなければいけない」という呪縛にはとらわれていないといえる。また、5%レベルでは、生き方・ライフスタイルを恋愛交際相手に求める、好きな人と性交渉をしたことがある、複数の相手と同時に恋愛交際したことがあるなどが並び、同じ交渉型でも、「貫徹志向交渉型」とは異なり、自由にのびのびと「状況対応型」の交友関係を楽しんでいる側面をもっていることがわかる。  このタイプの自由さは、1%レベルでは、他人と同じことをしていると安心とは思わない、他人の行動や考え方が場面ごとに変わるのが許せないとは思わない、5%レベルでは、場面によってでてくる自分というものは違う、他人とは違った自分らしさを出すことが好きではない、世間から自分がどう思われているかは気にならないなどにも表れていると考える。  また、5%レベルでは、現在の生活に満足していない、1%レベルでは、勉強は得意な方だ、よい未来が迎えられるよう努力しているなどの目標志向や向上心が見られる。  家族意識、社会意識等に関しても、1%レベルで、親に金銭的な援助をした、親の相談相手になってあげた、仕事やアルバイトをしているときに充実感を感じる、エアコンの使用を控えて別の方法で温度調整をする、ボランティア経験ありが並び、5%レベルだが、寝たきりの親を子どもが介護するのは当然、親が高齢で自分たちだけで暮らせなくなったら子どもは同居すべきと考えているという特徴が見られる。同じ交渉型でも、「貫徹志向交渉型」が5%レベルで、エアコンの使用を控えて別の方法で温度調整をしないという特徴が示されたことと対照的である。  属性として、2012年に新たに1%レベルの有意差で「高年齢」という特徴が生じたことを考慮に入れなければならないが、その上で、社会形成のリーダーになる可能性が十分期待できるタイプだということができよう。だが、その前に、自己客観視や他者への共感的理解によるさらなる成長が必要である。そのためには、個人化と社会化の一体的促進と、現代の個人化社会に適合した「状況対応型アイデンティティの獲得」という新たな支援が求められると考える。  このようにして、各タイプの10年間の特徴の変化を考慮した育成方法を考え直す必要があることは明らかである。たとえば、いわゆる「体育会系」の「10年前若者だった者」が、時代効果やコーホート効果による変化を忘れて、今の若者を育成しようとした場合、大きなギャップが生まれるおそれがある。「体育会系」については、新たな個人化の波が押し寄せているのだと推察されるからである。  社会形成者の育成にあたっては、このような観点に基づいて、個人課題を与える、同じタイプの者同士でグループを作らせてワークをさせる、違うタイプの者と交流させるなどの効果的な方法を用いて、計画的な目標達成を行うことが求められていると考える。   【別表】 2002年/2012年 各タイプの有意差項目の変化 注)ゴチック太枠は2012年。明朝斜体は2002年。網掛は2012年に有意差が消滅した2002年の有意差項目。 ●は有意差1%レベル、○は有意差5%レベル。 分野 貫徹志向交渉型2002年調査 貫徹志向交渉型2012年調査 貫徹志向非交渉型2002年調査 貫徹志向非交渉型2012年調査 状況対応非交渉型2002年調査 状況対応非交渉型2012年調査 状況対応交渉型2002年調査 状況対応交渉型2012年調査 属性 ●男>女 →× ●女>男 →× ●低年齢>高年齢 ●低年齢>高年齢 ×→ ●高年齢>低年齢 ●親と同居 →× ○親と同居していない →× ×→ ○学生>非学生 ×→ ○非学生>学生で有職者 部活歴 ○運動部系に所属 →× ○部活やサークルに所属しない →× ○文化部系に所属 →× ○文化部系の場合、積極的活動 →× ○文化部系の場合、非積極的 →× ●運動部の場合、非積極的 →× ●運動部系の場合、非積極的 →× 文化 ○ブランド品を購入 ○高級ブランド品を購入 ○ブランド品を購入しない →× ○エステティックサロン通いたくない →× ○エステティックサロン通いたい →× ○留学したい →× ○留学したくない →× ×→ ○留学したくない ○留学経験あり ×→ ○資格取得経験なし ×→ ●資格取得経験あり ×→ ○ヒーリンググッズを身につけたり使ったりしたい ×→ ○雑誌やインターネット上の占いを読まない ○新聞や雑誌の占いコラムを読む →× 音楽活動 ○ラジオで音楽情報得る →× ●ラジオで音楽情報得ない ○インターネットで音楽情報得る →× ●インターネットで音楽情報得ない →× ○カラオケで音楽情報得ない →× ●CDショップで音楽情報得る ○CDショップで音楽情報得る ×→ ●CDショップで音楽情報得ない ○友人・知人から音楽情報得ない ●友人・知人から音楽情報得ない ○友人・知人から音楽情報得る ●友人・知人から音楽情報得る ×→ ○家族・恋人から音楽の情報得ない ×→ ●家族・恋人から音楽情報得る ●他者との場に合った選曲する →× ○他者との場に合った選曲しない ○誰かといる時でも、その場の雰囲気に合った曲調の音楽を選ばない ×→ ●誰かといる時でも、その場の雰囲気に合った曲調の音楽を選ばない ●音楽を創るのが好き →× ×→ ○音楽制作・演奏のためのソフトウェアやアプリを操作する ●音楽を創るのが好きではない ○音楽制作・演奏のためのソフトウェアやアプリを操作しない ●サウンドよりも歌詞に惹かれる ●楽曲の歌詞に惹かれる ×→ ○楽曲の歌詞に惹かれない ○サウンドよりも歌詞とは思わない ○楽曲の歌詞に惹かれない ●録音よりも生演奏が「本物」 ○録音よりも生演奏が「本物」 ×→ ○録音よりも生演奏が「本物」 ×→ ●音楽は録音よりも生演奏が「本物」とは思わない 交友 ●親友や仲の良い友達が多い ○仲のよい友だちの数多い ×→ ●親友の数が多い ○親友を尊敬している ○親友を尊敬している ○親友を尊敬していない ●親友を尊敬していない ○親友を尊敬していない ○親友を尊敬していない ●親友を尊敬している ●親友を尊敬している ●親友と真剣に話ができる ●親友と真剣に話ができる ●親友と真剣に話ができない ●親友と真剣に話ができない ●親友と真剣に話ができない ●親友と真剣に話ができない ●親友と真剣に話ができる ●親友と真剣に話ができる ×→ ○親友をライバルだと思う ●親友をライバルと思わない ●親友をライバルだと思わない ●親友をライバルだと思う ○親友をライバルだと思う ○親友といても安心できない →× ×→ ○親友といても安心できない ×→ ●親友のような考え方や生き方をしたい ●親友のような考え方や生き方をしたいと思わない ○親友のような考え方や生き方をしたいと思わない ×→ ○親友といると楽しいと思わない ●親友といると楽しい →× ○親友との関係に満足 ●親友との関係に満足 ○親友との関係に不満足 ●親友との関係には「やや満足」程度 ×→ ●親友との関係に満足 ●親友に弱みをさらけ出せる →× ●親友に弱みをさらけ出せない ●親友に弱みをさらけ出せない ○親友に弱みをさらけ出せない ○親友に弱みをさらけ出せない ●親友に弱みをさらけ出せる ●親友に弱みをさらけ出せる ●親友とケンカしても仲直りできる ●親友とケンカしても仲直りできる ●親友とケンカしたら仲直りできない ●親友とケンカしたら仲直りできない ●親友とケンカしたら仲直りできない ●親友とケンカしたら仲直りできない ●親友とケンカしても仲直りできる ●親友とケンカしても仲直りできる ×→ ●友だちとの関係を楽しいとは強くは感じない。 ×→ ●友だちとの関係を楽しいとは強くは感じない ×→ ●友だちとの関係を楽しいと感じない ×→ ●友だちとの関係を楽しいと強く感じる。 ○職場で知り合った →× ○職場で知り合ったのではない →× ○学校で知り合ったのではない →× ●塾や予備校で知り合った →× ○サークルで知り合った →× ○部活等で知り合ったのではない →× ×→ ●大学等で親友や親しい友だちと知り合った ×→ ○幼稚園・保育園・小中学校で親友や親しい友だちと知り合った ×→ ○職場で親友や親しい友だちと知り合った ○インターネットで友だちをつくる ●インターネットサイトに関する話題で友だちを作る ○友だちをたくさん作るよう心がけている ●友だちをたくさん作るよう心がけている ×→ ○友だちをたくさん作るよう心がけている ●友だちをたくさん作るよう心がけていない ●友だちをたくさん作るよう心がけていない ×→ ●友だちをたくさん作るよう心がけていない ●一人でいるほうが落ち着くということはない ○一人でいるほうが落ち着くということはない ●一人でいるほうが落ち着く ○一人でいるほうが落ち着く ●互いに深入りすることがある ●互いに深入りすることがある ●互いに深入りしない ●互いに深入りしない ●互いに深入りしない →× ●互いに深入りすることあり ●互いに深入りすることがある ●初対面ですぐ友達になる ●初対面ですぐ友達になる ●初対面ですぐ友達にならない ●初対面ですぐ友達にならない ○初対面ですぐ友達になる →× ○遊ぶ内容で友達を使い分ける →× ×→ ○遊ぶ内容によって友だちをそれほど使い分けない 自己意識等 ●今の自分が大好き ●今の自分が好き ○今の自分が大好きではない →× ●今の自分が嫌い ●今の自分が好きではない ●自分には自分らしさがある ●自分には自分らしさがある ●自分には自分らしさがあると思わない ●自分には自分らしさがあると思わない ×→ ○場面によってでてくる自分が違うとは思わない ○場面によってでてくる自分が違うとは思わない →× ●場面によってでてくる自分というものは違う →× ×→ ○場面によってでてくる自分というものは違う ●自分がどんな人間かわからなくならない →× ○自分がどんな人間かわからなくなる →× ●他人からみると私は好みや考え方にまとまりがなくはない →× ○意識して自分を使い分けている ○意識して自分を使い分けてはいない ●意識して自分を使い分けている →× ●うわべだけの演技をしている部分があると思わない ○うわべだけの演技をしている部分があると思わない ●うわべだけの演技をしている部分がある ○うわべだけの演技をしている部分がある ●今のままの自分でいいと思う ○今のままの自分でいいと思う ○今のままの自分でいいと思わない →× ○今のままの自分でいいと思わない →× ●仲のよい友人は私のことをわかっている ○仲のよい友人は私のことをわかっている ×→ ●仲のよい友人でも私のことをわかっていない ●仲のよい友人でも私のことをわかっていない →× ●仲のよい友人は私のことをわかっている ●仲のよい友人は私のことをわかっている ●将来に備えて耐えるより今を大切にしたい →× ×→ ●将来に備えて耐えるより今を大切にしたい ●将来に備えて耐えるより今を大切にと思わない ●将来に備えて耐えるより今を大切にと思わない ×→ ●自己啓発の本を買う ○自己啓発の本を買わない →× ●世間評価や道徳は大切なことを決めるときの判断材料でない →× ○世間評価や道徳は大切なことを決めるときの判断材料 ○世間の評価や道徳は大切なことを決めるときの判断材料 判断材料 ×→ ○損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料ではない ×→ ○損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料ではない ●損得や影響計算は大切なことを決めるときの判断材料 ○損得や影響の計算は大切なことを決めるときの判断材料 ○アーティストの発言は大切なことを決めるときの判断材料 →× ○アーティストの発信は大切なことを決めるときの判断材料でない →× ×→ ○親の意見は大切なことを決めるときの判断材料 ○親の意見は大切なことを決めるときの判断材料 →× ×→ ●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料 ×→ ●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料ではない ●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料でない ●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料ではない ○親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料 ●親友や恋人・配偶者の意見は大切なことを決めるときの判断材料 ×→ ●友人の意見は大切なことを決めるときの判断材料 ×→ ●友人の意見は大切なことを決めるときの判断材料ではない ×→ ●自分の意見や信念は大切なことを決めるときの判断材料 ×→ ●自分の意見や信念は大切なことを決めるときの判断材料ではない ×→ ●専門家への相談結果は大切なことを決めるときの判断材料ではない ×→ ●専門家への相談結果は大切なことを決めるときの判断材料 ○政治・経済面を読む →× ○政治・経済面を読まない →× 社会意識等 ●選挙には行くべき →× ○選挙には行くべきと思わない →× ×→ ●日本は平等な社会である ×→ ○日本の将来は明るい ○目上の人には敬語を使うべき →× ●目上の人には敬語を使うべきと思わない →× ●ボランティアに参加すべき ○ボランティアに参加すべき ×→ ●ボランティアに参加すべきとは思わない ×→ ○みんなで力を合わせても社会を変えることはできない ×→ ●約束の時間は守るべき ×→ ●電車やバスの中で化粧をすべきでない 1 西村美東士「社会形成者の育成の観点に立った生涯教育学序説(1)」、『聖徳大学生涯学習研究所紀要』11号、pp.1-29 2 本調査は、青少年研究会による科研費基盤研究(A)「流動化社会における都市青年文化の経時的実証研究−世代間/世代内比較分析を通じて」(研究代表者:藤村正之)の一環として行われた。本研究会は、1992年および2002年に同じ科研費研究により若者の行動と意識について総合的な調査を行ってきた。10年ぶり3回目の2012年度の調査は、20年間の経時的な比較を目的の一つとしている。調査の概要は次のとおりである。 調査名:「都市住民の生活と意識に関する世代比較調査」 調査対象:東京都杉並区、兵庫県神戸市灘区・東灘区在住の16歳から29歳の男女、合計2000人。(2012年調査では、30歳から49歳の男女対象の調査も並行して行った。) 調査方法:郵送法(2002年は訪問留置法) 3 2設問のうち、いずれかでも回答のない標本は分析対象から除外した。 4 西村美東士「若者の友人関係の類型と社会化支援」, 平成13・14・15年度科学研究費基盤研究(A)(研究課題番号13301011)研究成果報告書『都市的ライフスタイルの浸透と青年文化の変容に関する社会学的分析』(研究代表者高橋勇悦), pp.148-159, 2004年。 --------------- 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