ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ 反転授業 出版社: オデッセイコミュニケーションズ 発売日: 2014/5/20 1620円 ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ 反転授業 出版社: オデッセイコミュニケーションズ 発売日: 2014/5/20 1620円 2013年10月、本書の監修者山内祐平氏らは、東京大学とNTTドコモの連携により、「反転学習社会連携講座」を開設し、研究開発を始めた。翌11月、武雄市教育委員会は小学校でのICT環境整備による反転授業試行を発表した。現在、全国の教師がSNSを通して、スキル共有の活動をしている。 2000年代後半から米国の初等中等教育を中心に反転授業というキーワードが草の根で広がり、教育関係者の間で注目されている。反転授業は一般に「説明型の講義など基本的な学習を宿題として授業前に行い、個別指導やプロジェクト学習など知識の定着や応用力の育成に必要な学習を授業中に行う教育方法」を指す。山内氏らは、「従来の授業では学習内容の説明に授業時間の大半を使うため、個別指導や協調学習など教員や学習者同士の相互作用的な活動に十分な時間を確保することができなかった」とし、「従来の授業相当分の学習をオンラインで授業前に行うことで、知識の定着や応用力の育成を重視した対面授業の設計が可能になる」と主張する。 本書では、次の通りそのメリットを挙げている。生徒のなじんでいる言語(メディア)で語りかけられる。(生徒会等)多忙な生徒の時間の自己管理を助ける。自己の理解度や学力に応じて進行管理できる。つまずいている生徒を助ける。生徒と教師及び生徒間の関与を増やせる。教師の生徒理解を深める。学習の個別化をもたらす。教室の透明性を高め、保護者自身の学習や学校への態度が変わる。 評者は、次のことを再認識すべきと考える。生徒「みんな」が同様な学習成果をあげるということはありえない。学習は本質的に「個人的事象」であるのだから。能力別指導が、ICT活用により個人別指導にまで下りてきて、その上で生徒間協働が図られる条件が整いつつあると感じる。