女子力男子−女子力を身につけた男子が新しい市場を創り出す 2014/12/12 原田 曜平 (著) 出版社: 宝島社  原田氏は、マーケティングの視点から、「若者の消費離れ」説を疑えと述べる。最近の若年男性が「元気がない」「なよなよしている」と言われる原因は「女子力」を身につけた急激な変化の結果だという。もはや「男らしく」という言葉は通用せず、思い思いに料理、美容やダイエットに関心を持ち流行にも敏感、そんな「女子力男子」が台頭しているというのだ。そして、この動向は、わが国の中高年やアジアの国々にも広まるだろうと分析する。  氏は、「自己満足/他者の目を意識」「ライフスタイル/美」の2軸による4象限で女子力男子を分類する。とくに「ライフスタイル×自己満足」については、企業にとって市場拡大の可能性が大きいという。その分類にリストアップされているのは、ぬいぐるみ収集、男子会で手作り料理、女子会に溶け込んでトーク、母親と仲良し、少女漫画好きの男子たちである。  後書きでは、次のように述べている。「減少する労働人口を確保するために、とにかく女性を男性と同じように働かせる」ということだけを目標とする右へならえの画一的な発想や号令ではなく、個々人が自分の本当の幸せを見つめ、それに沿った働き方を様々なチョイスの中から選択でき、専業主婦も専業主夫も、バリバリのキャリア女子も男子もいて良い世の中。今、日本社会に最も必要なことは、すべての当たり前から解き放たれることという。  学校教育においても、マーケティングの視点に習い、このような若者の実態や変化に対応する必要があるだろう。同時に、評者は、彼らの社会生活の充実につながるようにするために、従来の価値の伝承とともに、今の若者の各ライフスタイルに共通する新しい価値をともに創造する必要があると考える。