青年団と社会教育のコラボ 若者文化研究所代表 西村美東士  社会教育とは、人々の暮しと仕事に根ざして、学び、支え合う自治の活動である。青年団は、地域や社会への視野の拡大を促し、若者を育てる社会教育の重要な役割を担っている。本特集第1回で、近藤氏は「地域リーダーのインキュベーター」としての役割を青年団に期待した。第2回で、小山氏は、青年団の経験を生かした地域住民を巻き込む町長として実践にふれた。  青年団は、次のような社会教育としての特質をもっている。@青年団を通じた地域の仲間づくり、A活動を通した地域・社会への参画、B新しいビジネスモデルの創造、C生きる楽しみの創造と交流。これらの活動は、個人の活動にとじこもらず、周囲や社会との関係づくりを促す。しかし、一般的には社会教育が軽視され、青年団活動は衰退しつつあるといわれる。ここでは、新しい青年団活動を新たに創り出すための方策を考えてみたい。  第65回全国青年問題研究集会では、「目の前にいる相手の表情や声色、雰囲気を感じ取って相手の気持ちを思いやりながら行う語り合い」の重要性が述べられている。だが、青年会館建設において、行政に対しては感情で動く場所でないことが明確になったという報告があった。筆者は、行政とのコラボにおいては、同情ではなく、活動の「まちづくり」につながる公共的意義を示す必要があると考える。とくに、箱物の実現においては、行政はタネ、手がかりがほしいのだ。建設過程にどう関わるか、どう利用するか、まちはどうなるか、整然と説明する、図示するなど、行政のメカニズムを理解して、タネを提供することが肝心だ。コラボは重要だが、あとは行政のプロに任せたい。  また、この集会で、自己啓発本を読むなどして「仕事、子育て、青年会などそれぞれの場所で居場所としてバランスよく楽しんできた」が、県の充て職などの動員に振り回された末、「自分の人生をかき乱されるのは構わないが、自分の身の振り方で周りの人生をかき乱すのに疲れてきた」という報告があった。確かに行政とのコラボにおいて、団員個人の生き方を犠牲にする活動は、今日の社会にはなじまない。個人化を尊重した上での他者との出会いと参画・協働こそが、世界を広げ、自己啓発本以上の効果をもたらしてくれる。青年団は、今日、個人の多様性を認める数少ない場なのである。  私が関わった佐野市の「生涯学習推進基本構想」では、市民アンケートから@「地域で自分を生かしたい」、A「自分を打ち出したい」、B「地域に生きる」、C「自分を見つけたい」の4つの地域活動タイプを抽出した。そこで、@には「まちづくり活動メニューの提供」、Aには「自己診断カルテの作成」、Bには「地域を知る機会や多世代交流の場の提供」、Cには「居場所・出会いの場の提供」を提唱した。私たちはそのように意図し、意識化することで青年団活動に大きな転換をもたらすだろう。