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職業能力の見える化がもたらすもの

職業能力の見える化がもたらすもの

職業能力の見える化がもたらすもの

若者文化研究所 西村美東士

2023年5月19日 『学びの見える化の理論と実際』を読み解く会発表


 学校教育が職業能力とシームレスになっていない現状の中でも、若者はやっぱり学校で習ってきたことは正しいと思い込んでいることに注意しておきたい。だから、主体的な検討に基づいたPDCAなどを信じる気になれず、「とにかく頑張る」などの漠然とした努力目標しか持てないままになる。
 これに対して企業の人材育成の側は、「現実社会ではこうなのだ」という姿を示すことになる。これは昔から同じだ。しかし、企業の側も、流動化・不透明化の中で、自信をもって「こうなのだ」と言えなくなっている。
 若手社員の「学校からのトランジション」を成功させるためには、本人の職場におけるローカルな必要能力の見える化が必要である。彼らが必要な能力を構造的に理解できたとき、それは自己客観視にもつながり、「不安な若者」は、学校から社会へスムーズに移行できるのだと考える。

クドバスによって、その職業人に必要な能力を「構造的」に理解するということは、すなわち、その職業の全体像をつかみ、そのなかでの自分の位置づけをして、自分はどのような能力を身につけて仕事をすればよいかを知るということである。それは「自己の職業への主体的な構え」につながる。
 ピンポイントで、やるべきことを教えられ、やらされるとしたら、主体性は期待できない。それを見て、上の者が「主体性に欠けている」と嘆くのは、ナンセンスな話だ。しかも、今の若者の多くは、宿命論で穏やかに生きているから、不満も感じず、抵抗もせず、唯々諾々と「やらされている」ままである。これは新たな時代の労働疎外というべきであろう。
 このようなとき、職業の「全体像」と自己の位置を把握しながら仕事をするということは、職業人が労働疎外から脱し、主体的、生産的に仕事に取り組むことができるようになるということを意味している。
発表パワーポイント資料



職業能力の見える化がもたらすもの−必要能力の構造的理解の意義
本発表の構成

1 本書編集の想い
「学びの変化」の時代背景−個人化・多様化、流動化・不透明化
ビジネス界での動向−見える化から遠ざかっていく−VUCAとAAR
ICT教育政策の遅れ 「未来の教室」「GIGAスクール構想」
編集の想い PDCAと社会開放型の視点による「根拠のある自信」を
社会開放型視点による「根拠のある自信」

2 「見える化」を妨げるもの
「新しい能力論」と「資質向上論」が 「見える化」の目を曇らせる
職業能力への不安「私は何ができればよいのか」に答えられない教育の権威主義
実証研究が進まない理由−実証研究につながらない
帰納的思考がブラックボックス化して、演繹的思考でトップダウンを図る弊害
トップダウンとボトムアップの心地よい交流が「見える化」を進める
「非認知能力」論の弊害と評価
資質向上・豊かな人間性という「常套句」は「見える化」を妨げる

3 クドバスで新しい価値を生み出す
クドバスが若者に与えるもの 〜現場からの帰納法の威力
オンラインワークショップによるクドバスの実際
参画ラダーを「必要能力ラダー」にする意義
私の「楽習」から出発できるように
ワークショップにおいて教育を成立させる−新しい価値の創造のために
個人化・多様化の時代に、新しい価値を生み出す方法


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