本文へスキップ

若者文化研究所は若者の文化・キャリア・支援を専門とする研究所です。

TEL. メールでお問い合わせください

〒165 東京都中野区・・詳細はメールでお問い合わせください

若者論のトレンドCONCEPT

書評

仕事だけでなく、私生活、社会活動のそれぞれの場で、幸せな生涯を送るための基礎・基本を、個人差に応じて身につけさせることこそ、生涯学習時代の学校教育の役割

若者の帰属意識の不足などを批判するだけでは、教育は始まらない。仕事だけでなく、私生活、社会活動のそれぞれの場で、幸せな生涯を送るための基礎・基本を、個人差に応じて身につけさせることこそ、生涯学習時代の学校教育の役割といえよう。


書評


川島 高之 (著)
いつまでも会社があると思うなよ!
2015/9/16
PHP研究所
¥ 1,512

 他者との対立や私生活への犠牲を避けようとする今の若者を、流動化社会の中でどう育てるか。川島氏は、社員を育てる「イクボス」が必要だと言う。それは、部下の私生活に配慮しながら、業績目標を達成させるという「新しい管理職像」である。その要件は「部下の私生活とキャリアを応援している」「自らも仕事と私生活を両立させている」「業績目標の達成に強くコミットしている」の3つである。氏は、仕事(ワーク)と共に、私生活(ライフ)と社会活動(ソーシャル)という「3本柱の生活」が人生を強く豊かなものにしてくれると言う。
 氏は、時間泥棒トップ3として、資料作成、メール、会議を挙げる。たとえば会議については、ゴール決め、資料の事前配布、人数絞りの3つで時間は8分の1になると言う。ただし、その生産性とは、アウトプット÷インプットであることから、分母である時間の削減幅以上に、分子である成果を収縮させないよう警告する。そのうえで、残業している社員より成果を出すよう求める。この「結果志向」が若者に支持されているようだ。
 氏が代表を務めるNPOゴヂカラ・ニッポンにおいては、苦手や弱点ではなく、得意なことに注目する。そして、社会で役に立つ経験を与えて「貢献心」を育むことによって、子どもの自主性と社会性を育てようとしている。
 評者は考える。若者の帰属意識の不足などを批判するだけでは、教育は始まらない。仕事だけでなく、私生活、社会活動のそれぞれの場で、幸せな生涯を送るための基礎・基本を、個人差に応じて身につけさせることこそ、生涯学習時代の学校教育の役割といえよう。

内容

 今の多くの若者が仕事に求めることは、私生活を犠牲にしないことのほか、仕事内容や収入よりも、人間関係が良いことや上司が評価してくれることだ。そのような若者を、会社で有用な人材に育てるにはどうしたらよいのか。
 川島氏は、自らも「イクメン」で、今は上場企業の社長として社員育成のための「イクボス」の必要性を提唱する。「イクボス」とは、部下の私生活に配慮しながら、業績目標を達成させるという「新しい管理職像」である。その要件は「部下の私生活とキャリアを応援している」、「自らも仕事と私生活を両立させている」、「業績目標の達成に強くコミットしている」の3つである。氏は、仕事(ワーク)と共に、私生活(ライフ)と社会活動(ソーシャル)という「3本柱の生活」が人生を強く豊かなものにしてくれると言う。それが、エリート若手社員からも歓迎されているようだ。
 氏は、経済成長期の「オヤジ」が、「圧倒的な権力」を背景とした理不尽な命令や支配に対するストレスで、家庭を暗くさせたとし、若者に、結果志向で「柳に風」のしたたかさでやっていこうと言う。
 ただし、生産性重視は譲らない。時間泥棒トップ3として、資料作成、メール、会議を挙げ、たとえば会議については、ゴール決め、資料の事前配布、人数絞りの3つで時間は8分の1になると言う。ただし、その生産性とは、アウトプット÷インプットであることから、分母である時間の削減幅以上に、分子である成果を収縮させないよう警告する。
 氏は、怒鳴り続ける少年野球のコーチを例に上げて批判し、代表を務めるNPOゴヂカラ・ニッポンの方針を示す。それは、部下や子どものを自主性を育てるためには、苦手や弱点ではなく、得意に注目すること、社会で役に立つ経験を与えて「貢献心」を育むことなどである。そのうえで、残業している社員より成果を出すことを若手社員に求めるのだ。
 氏は「三本柱の生き方」によって、次の仕事能力が身に付くと言う。人脈が広がる/視野が広がる/多様性が身に付く。頭の中で、仕事とは別の視点との化学反応を起こせる。コミュニケーションカが高まる。組織運営力が高まる。自分の素の実力、強み・弱みがわかる。プロジェクトマネージメントなど、OJTトレーニングの場を得られる。

内容紹介
かつて、男性にとって会社は確かに「安全地帯」であった。しかし今は……。長時間労働の対価であった「終身雇用と年功序列」が崩れ、合併や倒産も珍しくなくなった今、会社だけを頼りにしていたら、男の人生どんづまりになるかも知れない。
そんな時代だからこそ、仕事(ワーク)と共に、私生活(ライフ)と社会活動(ソーシャル)という「3本柱の生活」があなたの人生を強く、豊かなものにしてくれるのである。
かつて「イクメン」だった著者は、今や「元祖イクボス」として、部下の私生活を応援し、自らもワークライフバランスを満喫しながら、3本柱の生活を実践している。
そこでわかったことは、私生活や社会活動の充実と、仕事の能力や組織の業績に「シナジー効果がある」ということ。現に著者はイクボスとして職場の労働時間を激減させながらも、3年間で8割の増益を達成した。本書はその実践過程で得られた効率的な時間術や部下育成法も紹介する。

内容(「BOOK」データベースより)
「イクボス」の旗手が語る新時代の生き方論。ワーク、ライフ、ソーシャルの3本柱があなたの人生を強く、豊かにする!私生活を楽しむことで、会社の業績もアップ。

著者について
三井物産ロジスティクス・パートナーズ代表取締役

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
川島/高之
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社代表取締役。1964年、神奈川県生まれ。慶応大学理工学部卒。1987年、三井物産に入社。2012年より現職。他にNPOコヂカラニッポン代表、NPOファザーリング・ジャパン理事など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)




バナースペース

若者文化研究所

〒165-0000
詳細はメールでお問い合わせください

TEL 詳細はメールでお問い合わせください

学習目標に社会的要請を組み込む