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若者論のトレンドCONCEPT

書評

職業全般が社会貢献につながるという実態と認識も広げていきたい。

サービスインの前にはウェブサイトをスタートさせる。これがないと、利用者に、どこか頼りない団体との印象を与えかねない。助成金などでお金が入ったころ、30万〜50万円くらいでつくれるものにする。あるいは社会人プロボノにお願いして、タダ同然でつくってもらえるのならば、それに越したことはない。NPOやソーシャルビジネスにかぎらず、起業の鉄則は、最初は小さく、どんどん大きく育てていく。いかにお金をかけないで、いいものをつくっていけるかを考えるのが重要だ。なお、ウェブサイトをつくっても、フェイスブックとツイッターは生かしておこう。一方、ブログはウェブサイトに移行させるのがいいだろうと言う。ネット社会において将来、生徒が利益を得る手段が拡大していることに無頓着であってはいけないといえよう。
 本書が提唱する「新しい社会貢献」について、評者は次のように考える。このような手の届く範囲で社会貢献したいという若者の志を大切に受け止めたい。もう一方で、過去の学生は「儲け主義はイヤ」という理由で教員や公務員を目指していた(今の学生は安定のためだが)。今後は、職業全般が社会貢献につながるという実態と認識も広げていきたいものだ。


書評



社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門
(PHP新書) 新書
駒崎 弘樹 (著)
出版社: PHP研究所
発売日: 2015/12/16

 本書では「フルタイムでNPOを事業として経営する」ための具体的方法が書かれている。駒崎氏は、「社会起業家」という自分を説明する言葉があとからくっついてきてくれたと言い、株式会社、社団法人、財団法人などの区分にはこだわっていない。
 彼は2004年にNPOフローレンスを設立し、日本初の「共済型・訪問型病児保育」サービスを開始した。10年後に待機児童問題解決のため「おうち保育園」を創設し、これが後に「小規模認可保育所」として国策に採用された。本書では、「国に事業をパクってもらい、社会変革を行う方法」として、視察を受け入れ、官僚に「肝」と費用対効果を伝え、政策化につなげるよう助言する。また、「現実はもっと厳しいよ」と批判する「ドリームキラー」に対しては、「貴重な意見ありがとう。でもまあ、俺はやるけどね」という「スルー力」の必要を説くとともに、一割くらいは「よい批判」があるので、「なんで?」と聞き返し、彼らのライフスタイルを推察し、ターゲットとすべき人物像を発見するという、いわば「生きる力」の具体的発揮方法を示している。
 また、このような具体的方法をネット上でも公開している。たとえば、「本格的な準備をしよう(情報編)」については次のとおりである。メンバーのメールはGメール、チームの予定表はグーグルカレンダー、ファイルの共有はグーグルやドロップボックス、サイボウズ、ハングアウト、顧客管理システムはクラウド型のセールスフォースを利用して、グループウェアは無料で構築する。また、対外的な情報発信は、まずはブログとフェイスブック、ツイッターの3つを使う。さまざまな活動状況を発信することで、チーム内、さらにはステークホルダー(支援してくれる個人や財団・企業など)への活動報告になる。また、応援してくれる人を増やす効果もある。たまたま読んでくれた人が、「頑張っている人がいるんだ。私も手伝いたいな」と思ってくれるきっかけづくりになるからだ。
 さらに、このように日々の活動報告が蓄積されることで新しくかかわってくれた人には、その団体の歴史や、メンバーたちの人となりを知ってもらえるツールとなる。そのほか、ブログやフェイスブック、ツイッターの更新をルーティンにすることで、将来、ウェブサイトをつくった時に、スムーズに移行しやすいというメリットもある。経営者個人が情報発信することで、自分自身を知ってもらういい機会になる。団体そのものの情報発信は学生インターンや社会人プロボノ(専門的技能をもったボランティア)にまかせる。ブログなどの更新は遠隔でもできるので、彼らにまかせやすい仕事だといえる。
 そして、サービスインの前にはウェブサイトをスタートさせる。これがないと、利用者に、どこか頼りない団体との印象を与えかねない。助成金などでお金が入ったころ、30万〜50万円くらいでつくれるものにする。あるいは社会人プロボノにお願いして、タダ同然でつくってもらえるのならば、それに越したことはない。NPOやソーシャルビジネスにかぎらず、起業の鉄則は、最初は小さく、どんどん大きく育てていく。いかにお金をかけないで、いいものをつくっていけるかを考えるのが重要だ。なお、ウェブサイトをつくっても、フェイスブックとツイッターは生かしておこう。一方、ブログはウェブサイトに移行させるのがいいだろうと言う。ネット社会において将来、生徒が利益を得る手段が拡大していることに無頓着であってはいけないといえよう。
 本書が提唱する「新しい社会貢献」について、筆者は次のように考える。このような手の届く範囲で社会貢献したいという若者の志を大切に受け止めたい。もう一方で、過去の学生は「儲け主義はイヤ」という理由で教員や公務員を目指していた(今の学生は安定のためだが)。今後は、職業全般が社会貢献につながるという実態と認識も広げていきたいものだ。

序章 なぜ、いまソーシャルビジネス入門なのか?
第1章 ソーシャルビジネス入門を始める前に考えておくべきこと
第2章 ソーシャルビジネス入門の「仕組みづくり」(事業プラン)をどうするか
第3章 さあ、ソーシャルビジネス入門を始動させよう
第4章 準備は整った。大海へ漕ぎ出そう!
第5章 事業を大きくし、より大きな社会変革を目指す
第6章 「制度化」という社会変革の方法

内容紹介
貧困や格差、高齢化など、私たちを取り囲む社会課題は尽きない。そうした課題を解決するための手段の1つとして注目されているのが「ソーシャルビジネス」だ。
病児保育を行う認定NPO法人「フローレンス」を2004年にたちあげ、日本の社会起業家の若き旗手としてニューズウィーク「世界を変える社会起業家100人」にも選ばれた著者。
本書では、起業当初から現在に至るまで、10年以上にわたる著者の軌跡を初めて具体的に明かしていく。
社会課題を解決するための「仕組みづくり」はどうしたらいいのか。お金はどうやって回していくか。人を集めるには、行政とうまく付き合う方法……など、超実践的なノウハウ満載。本書を読めば「新しい社会貢献」の実際がすべてわかる!
NPOからソーシャルベンチャー、ボランティアまで、「社会を変えたい」と願うすべての人、必読。

内容(「BOOK」データベースより)
病児保育を行う認定NPO法人「フローレンス」を2004年にたちあげ、日本の社会起業家の若き旗手として、ニューズウィーク「世界を変える社会起業家100人」にも選ばれた著者。本書では、起業当初から現在に至るまで、10年以上にわたる著者の挫折と奮闘の軌跡を初めて具体的に明かしていく。社会課題を解決するための「仕組みづくり」はどうしたらいいのか。お金はどうやって回していくか。人を集めるには、行政とうまく付き合う方法…など、超実践的なノウハウ満載。NPOからソーシャルベンチャー、ボランティアまで、社会を変えたいと願うすべての人、必読!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
駒崎/弘樹
1979年生まれ。認定NPO法人フローレンス代表理事、(財)日本病児保育協会理事長、NPO法人全国小規模保育協議会理事長の他、全国医療的ケア児者支援協議会事務局長。慶應大学総合政策学部卒業後、2004年NPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型病児保育」サービスを首都圏で開始。10年、待機児童問題解決のため「おうち保育園」を創設。後に「小規模認可保育所」として国策に採用。14年、日本初の障害児専門保育所「障害児保育園ヘレン」を創設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

あなたも、ソーシャルビジネスの世界へ。

3年に渡り、YOMIURI ONLINEで連載された、「社会起業のレシピ」が本になりました。NPOやソーシャルビジネスの認知の高まりとともに、社会起業を志す人が増えています。本書は、実務知識をシェアすることで、彼らの羅針盤となることを目的としています。

成熟した社会が抱える様々な問題に、ソーシャルビジネスはいち早く反応し、”小さな解“を提示します。新たなモデルケースを提起し、そしてそれが、制度や、市場を生み出すことにつながる。結果として、日本社会全体としては「適応」する。このループを、「如何に早く、如何に広範に回していけるか」が問われています。そして、そのループの鍵を握るのが、ソーシャルビジネスです。

ループのはじまりである、”小さな解”の生み出し方から、制度改正やロビイングによる、”大きなうねり”の起こし方まで、本書にはそのノウハウが、すべて詰め込んであります。さあ、あなたも本書を片手に、ソーシャルビジネスの世界に飛び込みましょう。その先にある笑顔のために。

認定NPO法人フローレンス 出版チーム
- See more at: http://special.florence.or.jp/recipe#lead

NPO/ソーシャルビジネスの認知の高まりと共に、実際に社会起業をしたい、という若者達も増え始めてきています。その羅針盤となるよう実務知識をシェアします。






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