書評
「任せるための校長マインド」では、「任せ上手の管理職に必要な3つのこと」として次のように述べる。著者が管理職になった頃には、校長シップやマネジメントについて学ぶ機会はなかったと言う。研修と言えば、人事評価、人事考課、学校評価、不祥事防止、コンプライアンス、メンタルヘルスの分野が定番だった。人材育成が近いのかもしれないが、それは特定の人や経験年数別の人を対象にしたものが多くあり、学校を組織ととらえ、組織づくりに着目したものではなかった。そのため、これまでの管理職研修に抜けていることとして、数年前から著者は次の3つのことを提案している。それは、「一人ひとりのモチベーションを高め、持続する」、「学校組織マネジメントの転換」、「人・もの・金の管理」である。そして、「一人ひとりのモチベーションを高め、持続する」ためには、仕事の内容をさらに詳細に伝えようとしたり、スケジュール管理をより強固にしようとしたりするのではなく、教職員に対し、任せていることがいかに重要なものか、学校経営全体の中の何に影響し、それが学校経営の命運をどのように握っているのかを伝えるよう主張する。
書評
住田 昌治 (著)
「任せる」マネジメント
−管理しない校長が、すごい学校組織をつくる! −
2020/6/4
著者は、学校現場で「教職員に任せること」によって、教職員自らが仕事への自覚を持ち、任された仕事に対して、自ら意思決定ができる力を育てると言う。その上で、「仕事をラクにし、教職員1人1人が生き生き働くようになるポイント」を説く。
「任せる校長になろう」では、「任せることで教職員は主体的になる」、「校長の役割は学校環境を整えること」、「まずは仕事の1割を減らす」、「すべてを任せる勇気をもつ」などと述べる。
「学校改善マネジメントの進め方」では、「目指すビジョンを共有しよう」、「学校教育目標を絵に描いた餅にしない」、「この指とまれプロジェクトの実践」などについて述べる。
「教職員との信頼関係はどう築く」では、「任せるとは双方向的なもの」、「みんなで本音を共有できるか」などと述べる。
「任せるために校長がしていること」では、「やらされ感をもたせないよう、つぶやき、間を持たせる」、「指示・命令を問いに変える」などと述べる。そのことによって、部下に対して奉仕の気持ちで接する「サーバントリーダーシップ」を実現しようとする。
「任せるための校長マインド」では、「任せ上手の管理職に必要な3つのこと」として次のように述べる。筆者が管理職になった頃には、校長シップやマネジメントについて学ぶ機会はなかったと言う。研修と言えば、人事評価、人事考課、学校評価、不祥事防止、コンプライア,ンス、メンタルヘルスの分野が定番だった。人材育成が近いのかもしれないが、それは特定の人や経験年数別の人を対象にしたものが多くあり、学校を組織ととらえ、組織づくりに着目したものではなかった。そのため、これまでの管理職研修に抜けていることとして、数年前から筆者は次の3つのことを提案している。それは、「一人ひとりのモチベーションを高め、持続する」、「学校組織マネジメントの転換」、「人・もの・金の管理」である。そして、「一人ひとりのモチベーションを高め、持続する」ためには、仕事の内容をさらに詳細に伝えようとしたり、スケジュール管理をより強固にしようとしたりするのではなく、教職員に対し、任せていることがいかに重要なものか、学校経営全体の中の何に影響し、それが学校経営の命運をどのように握っているのかを伝えるよう主張する。
評者も、今日の教職員の主体性を育むためには、校長のこのような「サーバントリーダーシップ」が必要と考える。
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