書評原貫太『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』KADOKAWA、2021年12月
本書は、次のように訴える。私たちの何気ない行動が、世界の問題をむしろ助長していることに気づけているか。私たちが「寄付」をすると、アフリカの経済的自立が遠のくかもしれない。貧困・環境・資源・紛争といった世界の問題と、私たちの生活は繋がっている。世界の問題と自分の「繋がり」を知れば、無関心ではいられなくなるだろう。そうやって内から湧いてくる問題意識を持つことが、本当に意味のある社会貢献をするために欠かせない。
著者の「アフリカの人たちを一時的な施しの対象として、無力な存在として見てしまうのではなく、彼らにも未来をつくる力があるのだと認めた上で、一緒に魚の釣り方を考える」という言葉は、われわれの教育のあり方についても大きな示唆を与えるものだと評者は思う。
書評
原貫太
あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣
¥1,540
出版社 : KADOKAWA (2021/12/16)
発売日 : 2021/12/16
目次
第1章 アフリカはなぜ今も経済的自立ができないのか
第2章 「衣服ロス」から考える環境廃棄社会
第3章 肉食が水不足につながる「不都合な真実」
第4章 世界最悪の紛争とスマートフォン
第5章 データをもとに「アフリカ」を正しく読み解く
第6章 なぜ近年、日本で貧困が叫ばれるのか
原貫太
あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣
¥1,540
出版社 : KADOKAWA (2021/12/16)
発売日 : 2021/12/16
本書は、次のように訴える。私たちの何気ない行動が、世界の問題をむしろ助長していることに気づけているか。私たちが「寄付」をすると、アフリカの経済的自立が遠のくかもしれない。貧困・環境・資源・紛争といった世界の問題と、私たちの生活は繋がっている。世界の問題と自分の「繋がり」を知れば、無関心ではいられなくなるだろう。そうやって内から湧いてくる問題意識を持つことが、本当に意味のある社会貢献をするために欠かせない。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきだ」という言葉について、著者は「困っている人に魚を与えてしまえば、それを食べてしまったら終わりです。でも、魚の釣り方を教えれば、その釣り方を教えた人がいなくなった後も、自分の力で生きていくことができる。このような意味の言葉です」と説明する。その上で、「先進国側の人間が一方的に考案した釣り方を教えるのではなく、現地の人たちの中に眠っている釣り方を引き出すためのサポートをする。川と魚がある所なら、現地の人たちは釣り方を知っているはずです。それを知らないと勝手に決めつけてしまっているのは、私たち先進国側の人間かもしれません」と警告を与える。そして、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を引き出すべきだ」と、もう一歩踏み込んだ提言をする。
著者の「アフリカの人たちを一時的な施しの対象として、無力な存在として見てしまうのではなく、彼らにも未来をつくる力があるのだと認めた上で、一緒に魚の釣り方を考える」という言葉は、われわれの教育のあり方についても大きな示唆を与えるものだと評者は思う。
広告文
誰かに伝えずにはいられない、世界の事実がここにあるーー。
2030年までに達成すべき国際目標として「SDGs」が掲げられ、世界は動き出した。
ビジネスや教育現場など、様々な場面でSDGsが謳われている。
しかし、私たちは「本当に意味のある社会貢献」に取り組めているだろうか?
表向きはSDGsと謳いながら、単なる「きれいごと」に終始していないだろうか?
そもそも、私たちの何気ない行動が、世界の問題をむしろ助長していることに気づけているだろうか?
・私たちが「寄付」をすると、アフリカの経済的自立が遠のくかもしれない
・私たちが「新品の服」を求め続けると、バングラデシュの悲劇が繰り返されるかもしれない
・私たちが「肉食」を続けると、世界で「水戦争」が起きるかもしれない
・私たちが「スマートフォン」を買い続けると、コンゴの性暴力が悪化するかもしれない
貧困・環境・資源・紛争といった世界の問題と、私たちの生活は繋がっている。
世界の問題と自分の「繋がり」を知れば、無関心ではいられなくなるだろう。
そうやって内から湧いてくる問題意識を持つことが、本当に意味のある社会貢献をするために欠かせない。
本書ではアフリカで人道支援に取り組んできた原貫太氏が、独自の切り口で世界の諸問題に迫る。
この本を読めば「どこか遠くの世界の出来事」で終わっていた話が、「私の生活の延長線上にある出来事」に変わるはずだ。
さらに、世界の貧困の正しい見方を学び、「アフリカよりマシ」で片付けられない日本の貧困についても理解を深めることができる。
どれだけ大きな問題も、すべては「知る」ことから始まる。
さあ、勇気を持って世界へと続く扉を開けよう。
100万部超の大ベストセラー『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)共訳者・上杉周作氏推薦!
世界の問題を伝えるのは難しい。
遠い国の不幸を語れば「私には関係ない」と言われ、未来の危機を語れば「先の話だ」と言われ、
世界を変えようと語れば「綺麗事だ」と言われ、
SDGsあるあるを語れば「聞き飽きた」と言われる。
原貫太
原貫太(はらかんた)。1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。
フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援してきた。
大学在学中にNPO法人コンフロントワールドを設立し、新卒で国際協力を仕事にする。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞した。
大学卒業後に適応障害を発症し、同法人の活動から離れる。半年間の闘病生活を経てフリーランスとして活動を再開。現在はウガンダのローカルNGOと協働し、北東部で女子児童に対する生理用品支援などに従事。他にも講演やブログ、YouTube、オンラインサロンの運営にも携わるなど、「フリーランス×国際協力」という新しい働き方を追求している。著書『世界を無視しない大人になるために』
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