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書評倉成英俊『伝説の授業採集−好奇心とクリエイティビティを引き出す』宣伝会議、2022/9/6

本書が収集する授業は、日本は東京から地方まで津々浦々。海外はアメリカ、カナダ、ヨーロッパからアフリカも。学校の授業はもちろん、企業研修から家庭の教育まで入っている。倉成氏は「凝り固まったこの現代の空気が変わるように、次世代を育むインスピレーションになるように、人々が面白く生きていくきっかけになるように」という思いのもとに、素晴らしい問題や授業を考えた先人たちの伝説の授業をシェアする。「大人の方が変わろう。面白くなれ、大人」という倉成氏の大人へのメッセージは、教員にとっても刺さる言葉である。自身が学びを楽しみ、楽しい授業をすることこそ、われわれの喜びとしたい。


書評



倉成英俊『伝説の授業採集−好奇心とクリエイティビティを引き出す』宣伝会議、2022/9/6

 本書が収集する授業は、日本は東京から地方まで津々浦々。海外はアメリカ、カナダ、ヨーロッパからアフリカも。学校の授業はもちろん、企業研修から家庭の教育まで入っている。倉成氏は「凝り固まったこの現代の空気が変わるように、次世代を育むインスピレーションになるように、人々が面白く生きていくきっかけになるように」という思いのもとに、素晴らしい問題や授業を考えた先人たちの伝説の授業をシェアする。
 その具体例は、次のとおりである。「バラを分解せよ」という青山フラワーマーケットの社内研修。大縄跳びを10回跳ぶスイスのビジネススクール。同じ隅田川花火について、4つの新聞社が書いた記事の違いを比べる授業。上級生対下級生で戦うルールの「下剋上体育祭」。自分が使う椅子と机を、自分で作るところから始める中1の授業。「草で、自分の体重を支えるロープを作れ」というカナダのテクノロジーの授業。「ツケで本を買っていい」という親に育てられたブックディレクター。
 倉成氏は、大人たちに問いかける。「あなたは主体的で、対話的な、深い学びをしてる大人ですか」。倉成氏も、若い頃、青春はもう18歳くらいで終わって、あとはつまんなくなるのかな、なんて思っていたと言う。年齢とともに、責任が重くなり、それにつれてなんだか硬直化していくのかなと。実際は違った。大人になるにつれ、自分のお金で、自分の時間で、自分の責任でやれることが増えるということは、自分の裁量が増えるわけで、自由を意味する。歳を取れば取るほど、面白くなる。だから、大人になるということは、面白いよと、これから大人になる若者たちに話すと言うのだ。
 この「大人の方が変わろう。面白くなれ、大人」という倉成氏の大人へのメッセージは、教員にとっても刺さる言葉である。自身が学びを楽しみ、楽しい授業をすることこそ、われわれの喜びとしたい。

目次
はじめに ホームルーム的まえがき
会社
1時間目 1週間が8日に増えたら、その1日何をしますか。800字以内で書きなさい。
2時間目 テーブルを拭く。という入社試験
3時間目 「バラを分解せよ」青山フラワーマーケットの社内研修
4時間目 スイスのビジネススクールで、大縄跳びを10回跳ぶ。
コラム 伝説の授業から生まれた「変な宿題」
学校(国内)
5時間目 同じ隅田川花火について、4つの新聞社が書いた記事の、違いを比べる授業
6時間目 「三種の神器について、所感を述べよ」中学時代の黒澤明監督の答案と、先生の採点。
7時間目 チーム分けは学年別。上級生VS.下級生で戦うルールの「下剋上体育祭」
8時間目 公式は覚えるな! と言う数学のB先生&たった一言で工学の本質を問うたK教授。
9時間目 「なぜ生徒たちがあんなに手を挙げるか教えましょうか?」伝説の教師クマGの教え
10時間目 自分が使う椅子と机を、自分で作るところから始める中1の授業。
11時間目 沖縄戦で亡くなった方と同じ数、23万6095個の石に番号を振って、積み上げる。
学校(海外)
12時間目 「草で、自分の体重を支えるロープを作れ」~カナダのテクノロジーの授業
13時間目 南アフリカ、ペナン共和国の「満月の夜だけ開かれる学校」についてゾマホン氏に聞く
対談 「学び」の場は、いつも自分の隣にある 中邑賢龍×倉成英俊
歴史
14時間目 薩摩の「究極の選択問題」VS. 肥前の殿様参加型「無礼講ディスカッション」
15時間目 マ、ツ、チの3文字で都鳥を描く?北斎の門人たちへの教え方
コンテンツ
16時間目 洗車で空手を教える。教科書を破らせる。他~フィクションの中の伝説の授業
17時間目 80年代の伝説の番組「YOU」の中で見つけた、坂本龍一さんの実験的音楽の授業
家庭
18時間目「バスケで俺と勝負しろ。」ある日突然、現代美術家・椿昇氏が息子に挑んだ理由。
19時間目 ツケで本を買っていい?ブックディレクターを生んだ幅家の教育
20時間目 狙うは創意工夫賞。知らないうちに父が僕に仕込んでいたこと。




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