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書評朝比奈なを『進路格差 <つまずく生徒>の困難と支援に向き合う』朝日新書、2022/11/11

日本の高等教育機関(大学、短大、専門学校)は、現実と乖離した「夢追い型」が多い。今日では、教育困難校から進学する生徒が多く、深刻な格差拡大装置となりつつある。また、無償化は学費のみで、多額の施設費や実習費を納めるために奨学金制度を利用して卒業後も返済に苦しんでるケースも少なくない。進学したがゆえに、貧困のループから抜け出せないという、逆効果が生じている。評者は考える。政治家も企業も世論も、学校で習うことは社会では役に立たないと言いつつ、「教育困難」と言われる学校や若者が格差のしわ寄せであることを忘れて、結局、今の学校制度で「成績が良い」ことだけを良しとする。これはどちらも間違いと言えよう。学校で習うことは、社会では直接的には役に立たないことも含めて人間として大切なことであり、格差のなかでも、「教育困難」と言われる若者が充実した進路に進めるように「個別最適」な支援をすることは、教育としての大切な価値創造の営みなのである。


書評



朝比奈なを『進路格差 <つまずく生徒>の困難と支援に向き合う』朝日新書、2022/11/11


 本書は、教育困難校と言われる高校・大学に通う若者の就職の問題を訴える。生徒と保護者を食い物にする「教育困難大学」と「ブラック専門学校」、旧態依然とした「高校生の就活」の慣例など、さまざまな進路問題を指摘し、教育と労働のあり方を問い、戸惑う高校生の支援を提言する。著者は言う。日本の高等教育機関(大学、短大、専門学校)は、現実と乖離した「夢追い型」が多い。今日では、教育困難校から進学する生徒が多く、深刻な格差拡大装置となりつつある。また、無償化は学費のみで、多額の施設費や実習費を納めるために奨学金制度を利用して卒業後も返済に苦しんでるケースも少なくない。進学したがゆえに、貧困のループから抜け出せないという、逆効果が生じている−−と。
 本書は、「親ガチャ」で運が悪かった者たち、貧困や不安定な家族生活など様々な問題を抱えて、自分の学力や能力を中学卒業までに伸ばすことができなかった者たちの進路選択、すなわち「将来への分水界」にスポットを当てる。そこで高校生が現在行っている進路選択は、就職であれ、進学であれ、「親ガチャ」による差異を解消する方向に導く選択になり得ていない場合が多いと言う。

【広告より】

無償化の落とし穴

分極化する進学と就職
生徒支援の立場から、教育と労働を問う

「夢追い型」の大学・専門学校に進学して貧困スパイラルを断てない実態や、
「一人一社制」「在学中の研修禁止」といった理不尽な慣例がある高校生の就活、
煩雑すぎる給付型奨学金制度…。

気鋭の教育ジャーナリストが、学校現場を丹念に取材し、
「18歳の選択」における様々な問題を浮き彫りにする意欲作。

<目次>
第1章 進学した高校で人生が決まる 
第2章 なぜ学力が低迷したのか
第3章 就職の問題点
第4章 高卒就職生を受け入れる企業の立場から
第5章 専門学校進学の問題点
第6章「玉石混淆」の専門学校
第7章 大学進学の問題点
第8章「教育困難大学」の実相
第9章 進路格差を解消するには

商品説明
生徒と保護者を食い物にする「教育困難大学」と「ブラック専門学校」、旧態依然とした「高校生の就活」の慣例…。さまざまな針路問題を指摘し、教育と労働のあり方を問い、戸惑う高校生と支援する人々の姿を描く。【「TRC MARC」の商品解説】

現実と乖離した「夢追い型」が多い日本の高等教育機関(大学、短大、専門学校)は、教育困難校から進学する生徒が多く、深刻な格差拡大装置となりつつある。また、無償化は学費のみで、多額の施設費や実習費を納めるために奨学金制度を利用して卒業後も返済に苦しんでるケースも少なくない。進学したがゆえに、貧困のループから抜け出せないという、逆効果が生じているのだ。気鋭の教育ジャーナリストが現場からリポートする
【商品解説】

現実と乖離した「夢追い型」が多い日本の高等教育機関(大学、短大、専門学校)は、教育困難校から進学する生徒が多く、深刻な格差拡大装置となりつつある。

また、無償化は学費のみで、多額の施設費や実習費を納めるために奨学金制度を利用して卒業後も返済に苦しんでるケースも少なくない。
進学したがゆえに、貧困のループから抜け出せないという、逆効果が生じているのだ。

気鋭の教育ジャーナリストが現場からリポートする【本の内容】

現実と乖離した「夢追い型」が多い日本の高等教育機関(大学、専門学校)は教育困難校から進学するケースが多く、格差拡大装置となりつつある。進学したがゆえに貧困のループから抜け出せない負の連鎖が生じている。気鋭のジャーナリストが現場から報告。【本の内容】

著者紹介
朝比奈 なを
略歴〈朝比奈なを〉東京都出身。筑波大学大学院教育研究科修了。公立高校の地歴・公民科教諭を経て、公立教育センターでの教育相談、講演など幅広い教育活動に従事。著書に「ルポ教育困難校」など。

HP
本人は何事にも無関心、親は入学式なのに普段着…偏差値が測定不能「BF大学」の教員がいちばん苦労すること
服装、持ち物、言葉遣い…すべてがとにかくラフ

大学を偏差値でランク分けしたとき、不合格者が少なすぎて偏差値が測定不能な「BF(ボーダーフリー)」とされる大学がある。教育ジャーナリストの朝比奈なをさんは「BF大学では、高等教育の学習が困難なケースが少なくないため、『教育困難大学』といえる」と指摘。現場で奮闘する教員の姿に迫った――。
※本稿は、朝比奈なを『進路格差 <つまずく生徒>の困難と支援に向き合う』(朝日新書)の一部を再編集したものです。







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